マスターは犬?...狼?......いいえ大神です   作:シャーロックペン

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やっぱり所長って動物に弱いと思うんですよ


大神として、人として

果たして俺はマシュたちへ正体を明かすべきなのだろうか?アマテラスとしての姿も見られてはいるが、彼女たちにはただの白い犬か狼にしか見えていない。キャスターには少しばれていそうな気もするが。マシュたちには今、先祖に獣人の血があるということにしている、実際はないが。ただの神道ですから。

 

正体を明かすことで何がどこまで変わるのかはわからない。大神として常に傍で支えるのが役目と思うこともある。カルデアへ来た時はマシュの事情を知って裏から表へ出たこともあったが、実際は俺は大神。つまり見守ることが存在意義。主役になる柄でもない。正体を明かせば確実に信仰は増える。冬木にに来てからもそうだ、自分から戦いに突っ込んだ。いや、マシュと出会ってからか。

 

彼女を守りたいと思ったから。ただ見守るだけでは救えぬと思ったから、大神として逸脱した行為をとったのか?

 

だったら俺はマシュを...

 

 

はぁ......考えてもどうしようもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見渡す限りの壊れた建物。見上げる空は曇天。そして隣には陽気な少女たち...

 

「あーるーこー、「わん!!」あーるーこー、「わん!」私はーゲーンキー「わんわん!!」」

 

これから戦う向かうっていうやつらのテンションではない。マシュもなんかだんだんのせられてきている。所長のイライラゲージも溜まっているがチビテラスの鳴き声のたびに顔がほころんでる。というか、そんなホイホイ餌やらんでください。どっから出してるんですか?

 

「ふむ、歌は良い。それも快活な少女が歌う歌は特に良い。」

 

「小次郎、お前...」

 

小次郎まで乗ってきやがった。なんなの?ここは?やっと最後の橋にたどり着いたってのに。

 

橋を渡った先にある洞窟その中に大聖杯がそしてセイバーが待ち受けているらしい。

 

だが

 

「おっと、気をつけろよ。アーチャーに見つかったようだ。」

 

キャスターの纏う雰囲気が戦闘のそれへと変わる

 

そして飛来するは矢とは言えぬもの。ただ剣を伸ばしただけにしか見えない。反応できたのは小次郎とキャスターとかろうじて見えただけの俺

 

「う、そだろ!?」

 

キャスターは自身で迎撃を、小次郎は気づいていないマスターとマシュへの矢を弾く。所長はチビテラスによって押されて矢の軌道から外れる。

 

「え、小次郎?!」

 

「佐々木さん!!」

 

「ちょっと何よチビテラス...?!」

 

「ぐっっ!」

 

あいつ、見えてるのかよ。そして俺はかろうじて神格によって防がれた。これで残る神格は2。

 

まずいな。このレベルの攻撃を受け続けたら流石に持たない。やはり人型で英霊について行くのは無理があるのか?

 

それに信仰も足りない。当たり前といえば当たり前か、現代社会で日本神話を信じている奴が何人いる。最高神とは言え天照大神の話を知っている奴が一体何人いる。現実を知る。

 

だがそれがどうしたという。知っている奴はいる。少なくともマシュは、俺を信じてくれた。なんなら今から俺の神話をつくればいいじゃないか。

 

今更何を考えてるんだろう。こんな時に、出せる力を出さなくて、一体何を守るというのだ。サーヴァントに頼るだけじゃダメだ。

 

辰だって言っていたじゃないか。先代に劣らぬ旅路を歩むことになると、なら俺は追いつかなきゃならない。世界を救うんだから...

 

「キャスター!!敵の情報を!」

 

「あぁん。ぼうずまた狼になってやがるぞ?」

 

「いいんだ。こっちの方が俺は強い。」

 

アマテラスとしての姿の方が俺は強いそれは確かだ。普段人型維持に回している力を回せるのもあるが、アマテラスの神器は人が使うようにはできていない。この状態ではじめて真価を発揮する。

 

「そうかよ。情報つってもそこまで俺も知ってるわけじゃねぇ。だがいけすかねぇアーチャーってことは確かだ。」

 

そしてもう一本矢が飛来する、しかしそれは俺たちにではなく、これから通ろうとしていた橋へとである。衝撃に耐えきれず軋み、崩壊する橋。

 

「そんな?!橋が!」

 

「ふむこれは少しまずいでござるな。泳いで渡れはしようが、狙い打たれるは確実とな、奴めも女狐めに劣らず策士よのう」

 

「そんな悠長に言ってる場合じゃないのよ?!あぁ?!せっかくここまで来たのに!」

 

「わんわん!!」

 

「?!......え、えぇ、そうね。そうよ、落ち着くのよ私。必ず打開策はあるんだから。...ありがとうチビテラス」

 

「わん!」

 

もはやどっちが主人かわかったもんじゃない所長とチビテラスのやりとり。

 

「やろぉ、俺たちをセイバーのとこまで行かせない気かよ。...ぼうず、橋、なんとかできるか?アーチャーは俺がなんとかする。」

 

「できる、はずだ。まだ使ったことがないから確証はないができるはずだ」

 

「おう、なら上出来だ。頼んだぞ。」

 

言ってキャスターは矢の飛来した方向へと高速で移動していった、直後に爆発音がその方向から聞こえ始め戦闘が開始したのがわかった。なら、矢は飛来しない。

 

「所長渡る準備を」

 

辰から貰った力

 

「何言ってるの?橋がないんだから泳ぐしかないじゃない。大神くんバカになったの?」

 

お前に言われたくはない藤丸。

 

「いいから、黙って目瞑ってろ。慣れないと酔うからな。ほらはやくしろ。」

 

「う、うん」

 

「ええ」

 

「はい!」

 

「ふむ、そういうものか、では拙者も」

 

「わん!」

 

いやお前は別につむらなくても知ってるだろ。というか、俺よりお前の方が完全体なんじゃないのか?

 

深呼吸

 

「筆しらべ...『蘇神・画龍』...さぁ、蘇れ」

 

筆で塗りつぶすように崩壊した橋の手前と奥を結ぶ。まるで墨で新たな道をつくるかのように。

 

世界が動き出す。そして描いたものが現実となる。

 

「いいぞ目開けて」

 

「え?なに...これ」

 

「嘘でしょ...」

 

「すごいです」

 

「お見事」

 

「わん!」

 

視界に映るのは、何事もなかったかのように佇む橋。たしかに壊れたはずのそれは、もとに戻っていた。正しくは「蘇った」だけど。

 

これが、辰の力だ。壊れたもの、失われたものを蘇らせる。無機物ならほぼノーリスクで可能。生物は条件が色々と複雑なので説明はしない。

 

「行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺たちはたどり着いた。聖杯の下へと、そこには、黒く染まったセイバーが無言のまま佇んでいた。背後には聖杯と言う名の超抜級の魔力炉。たしかにあれならどれだけ魔力を使おうが関係ないな。

 

「あれがラスボスってわけだね。」

 

「そういうことみたいだな、簡単に言えば、あれを倒せば俺たちの勝ち、負ければそのままthe endだ。」

 

「...ほう?なかなか面白い娘がいるではないか。黙ってカカシに徹していたが、なるほど」

 

「悪いがセイバー、勝たせてもらう。」

 

「ほざくなよ。...娘、貴様の盾が真実かどうか見極めてやろう。」

 

「へ?!」

 

彼女の持つ黒い剣へと魔力が集まっていく。圧倒的なまでの密度で圧倒的な量の魔力が。宝具発動の前兆である。

 

これが、宝具か。真名解放

 

「させるか!」

 

そんなのを悠長に待っている暇はない。相手が動かないのなら好都合、手を抜くなんてことはしない。というかできない。一刀のもとに振り下ろす!

 

「無駄だ」

 

「かはっ」

 

剣が触れる前に魔力の奔流によって吹っ飛ばされる。魔力放出か。どんな威力だよ、これじゃ大砲と変わらない。

 

そのまま俺はマシュたちの位置まで吹っ飛ばされる。一応神格は発動しているが、それは俺へのダメージを防ぐだけであり、衝撃は無効化できない。

 

あと一回

 

「さぁ、構えろ娘。いくぞ」

 

前に立つマシュ。ダメだ。君が戦ったら意味がない。もう二度と君を失わないために戦うのに。

 

「大神さん、あなたが私を戦わせたくないのは分かっています。でも今度は今回は私に貴方達を守らせてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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