真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結   作:ダーク・シリウス

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板垣兄弟姉妹

 

九鬼家の従者として働くようになって3年。風間翔一と直江大和、岡本一子、川神百代、

九鬼揚羽と九鬼英雄と出会って3年。外国へ行く九鬼揚羽や九鬼英雄達について行きながらも

元の世界に帰る方法を探すが未だに見つからない。

 

「オーフィス。見つからないなぁ、帰る方法」

 

「・・・・・イッセー、寂しい?」

 

「そうだな・・・・・あれから何十年もあいつ等の声を聞いていない」

 

腹の上に寝転がるオーフィスを抱えるように腕を回す。

 

「我も、少し寂しい。でも、イッセーとずっと一緒だから平気」

 

「うん、俺もそうだよ。オーフィス」

 

「イッセー」

 

俺の名を言って顔を近づけてきた。オーフィスの小さな唇が俺の唇と重なる。

 

「我は、イッセーとずっと一緒にいる。これ、絶対の約束」

 

「オーフィス・・・・・」

 

「我は、イッセーが好き」

 

「俺もオーフィスが好きだ」

 

「―――旅人さーん!」

 

テントの外から声がする。体を起こして外に出る。

 

「おー、お前ら・・・と、岳人と卓也もいるな」

 

「おはようっす!旅人さんとオーフィス!」

 

「おはようございます。旅人さんとオーフィス」

 

「ん、おはよう」

 

つい最近、新しく遊びに来るようになった島津岳人と師岡卓也。

 

「フハハハ!九鬼揚羽、降臨である!」

 

「同じく九鬼英雄、降臨である!」

 

この3年で成長している九鬼姉弟も当然のように登場する。

 

「今日も全員揃っているな」

 

「旅人さん!今日もやってくれ!」

 

「もう、これは恒例となっているな・・・・・」

 

上空へ放り投げる。風間翔一と川神百代の他に、

九鬼揚羽と九鬼英雄も上空に投げるようになった。

 

「そぉーら!」

 

4人の子供を空へ放り投げる。しばらくすれば、落ちて来て風間翔一と川神百代を

受け止めれば、今日はヒュームが九鬼姉弟を受け止めた。

 

「貴様、九鬼家の令嬢と子息を投げるなどと許されん行為だぞ」

 

「そう言うのは揚羽様に言えよ。俺は揚羽様の指示に従っているだけだ」

 

「うむ。ヒュームよ、旅人にお願いしているのは我である。許せ」

 

「・・・・・分かりました」

 

納得していない顔をして言っても意味がない。

 

「さて、百代。今日もまた拳を交えようではないか」

 

「ああ、今日も楽しく拳を交えようか」

 

川神百代と九鬼揚羽が同時に拳を突き出して、稽古と言う名の勝負をし出す。

 

「はぁっ!」

 

「おおっ!」

 

将来、四天王の一人と武の頂点に君臨する二人がこうも早い時期で拳を交える。

 

「川神百代の相手にとっては不足はないな」

 

「当然だ。俺が鍛えているのだからな」

 

「俺もしているけどな」

 

ほどなくして、二人は稽古を止めた。

 

「ふぅ、今日もすっきりしたなー」

 

「また強くなったな。が、我もまだまだ負けはせん」

 

「揚羽は旅人さんから直々に鍛えてもらっているからじゃないか。

私なんて、土日しか鍛えられないんだぞ」

 

「フハハハ!我の執事であるから当然であろう!」

 

「むぅ、旅人。私ももっとお前に鍛えられたいぞ」

 

「子供は子供らしく、遊んでいれば良いんだよ。無理して強くなろうとしなくても問題ない」

 

「私の家ではそんなことは不可能だ」

 

「それもそうだな」

 

川神百代の言葉に苦笑する。

 

「旅人さん!今日も遊ぼうぜ!」

 

「おう!早く遊びたいぞ!」

 

「はいはい、分かったよ。そんじゃ、今日も楽しく遊ぼうか」

 

今日も変わらない日常を過ごす。

この日も楽しく夕方まで遊べば風間翔一達は各々と自分の家へと帰っていく。

 

「オーフィス。散歩に行こう」

 

「ん、行く」

 

ピョンと俺の方に乗っかって定位置に着く。俺達は街へと赴く。

 

 

―――親不孝通り

 

 

川神駅裏側の街、堀之外。全国でも有名な歓楽街であり、メインストーリは親不孝通りとも

言われている。そして、日常から一歩外れた世界。そんな場所へ俺達は訪れた。

目的は治安の改善。この街に害になるような存在を見つけ次第排除する。

 

ドサッ。

 

「麻薬の取引の現行犯・・・・・堂々と販売するなんて日本の未来はどうなるんだか」

 

積み重ねた数人を一瞥して溜息を吐く。

 

「取り敢えず、縛って警察に連絡しておくか」

 

携帯を取り出して警察に連絡する。警察と連絡を終えればポケットにしまって、

次の獲物を探す。

 

「弱い者イジメしても、つまらないもんだ。少しでも歯応えがある奴がいれば、

九鬼やら川神院にでも・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「ん?」

 

目の前に紫色の少女がフラリと足にぶつかってきた。

 

「ご、ごめんなさい・・・・・」

 

「いや、気にするな」

 

足元で謝る少女。俺は大丈夫だと、言って歩を進めようとした。

 

「と、言いたいところだが・・・・・人の財布を盗もうとは大した子供だな?」

 

素早く俺のポケットに伸ばす腕を弾いて、距離を置く。

 

「・・・っ!?」

 

「いや・・・・もう3人か?」

 

何時の間にか、オレンジ色の髪の少女と青い髪の少女、目つきが悪い少年に囲まれていた。

 

「おい、怪我したくないなら金を渡せ」

 

「(恫喝か?)人に頼むときの礼儀がなっていないな」

 

「ハッ!そう余裕こいていられるのも今のうちだぜオッサン!」

 

「お、おっさん・・・・・!?」

 

その言葉に、俺はショックを受けた。年齢は・・・・・もう人の倍以上はある。

でも・・・・・俺の顔はまだ若い時のままなんだぞ・・・・・?

それをおっさんと呼ばれるだなんて・・・・・・!

 

「おい、何やらショックを受けて固まっているぞ」

 

「今のうちに盗っちまいなよ」

 

紫の髪の少女の言葉に、オレンジ色の髪の少女と目つきが悪い少年が近づいてきた。

 

「・・・・・うん」

 

ポケットに手を突っ込んで、白い束を取り出して―――。

 

スパパンッ!

 

「「いだぁー!?」」

 

二人の頭を叩いた。

 

「誰がオッサンだ。俺はまだ若いんだぞ」

 

「こ、この・・・・・!」

 

「オーフィス」

 

「イッセーの敵は我の敵。だから、倒す」

 

俺の方から飛び降りて、オレンジ色の髪の少女の頭を掴んで、地面に叩きつけた。

次に眼つきの悪い少年の胸倉を掴んでは持ち上げて、地面に思いっきり叩きつけた。

瞬殺である。

 

「な、なんだって・・・・・?」

 

「残り、二人」

 

「く・・・・・!辰、本気を出しな!」

 

焦心に駆られたのか、静かに佇んでいる青い髪の少女に叫んだ。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・お?」

 

青い髪の少女の雰囲気が一変した。静寂から騒音のような感じだ。

眠りから覚めた獣が咆哮するにも似ている。緑色の瞳がカッ!と

開き、青い髪の少女が叫びだした。

 

「うああああああああああああああああああ!」

 

「・・・・・へぇ?」

 

さっきの言葉はこの少女の力を覚醒させるキーワード・・・キーと言うわけか?

でも・・・・・。

 

「お前、遅い」

 

オーフィスが青い髪の少女の顔を掴んで、コンクリートで固められた路面に叩きつけた。

その際、路面に罅が生じた。

 

「ぅ・・・・・・ぁ・・・・・・・」

 

呆気なく意識を狩られた。3人の子供が不能となり、

残るはリーダーらしき紫色の髪の少女となった。

 

「ば、そ、そんな・・・・・!?」

 

「さてと」

 

「う・・・・・っ!?」

 

「お仕置きをしたいところだが・・・・・」

 

紫色の髪の少女の前に跪いて告げた。

 

「お前ら4人、俺の家に来てもらうぞ」

 

 

∞                     ∞                    ∞

 

 

「「「「・・・・・」」」」

 

「どうした、食わないのか?」

 

ジューッ!ジューッ!

 

辺りが暗くなるが、周りにランタンの明かりで確保してバーベキューをしていた。

四つの木の箱に腰を下ろしてジッと静かに座る4人の子供にそう問いかけたが、

口を開かなかった。

 

「イッセー、美味しい」

 

「おう、ありがとうな。オーフィス、この4人に串焼きを配ってやってくれ」

 

「ん、分かった」

 

頼めばオーフィスは、4人に串焼きを渡す。

 

「取り敢えずは食え。お前ら、腹減っているんだろう?」

 

4人のうち3人が、顔を見合わせて悩んだ顔をするが、

青い髪の少女が嬉しそうに串焼きを食べ始めた結果、他の3人も食べ始めた。

 

「うめぇ!これうめぇ!こんなうまいもんは初めて食ったぜ!」

 

「どんどん焼いていくから食べろよ?」

 

「アミ姉ぇ、美味しいねー」

 

「ああ、そうだね・・・・・」

 

「お代わりだ!」

 

美味しそうに夢中になって食べ続ける。それも用意していた食材が無くなるほどに。

思う存分に食べ終えた4人は満足そうにしていた。

 

「はぁ・・・・・もう食べ切れねぇ・・・・・」

 

「俺もだ・・・・・久し振りに食ったぜ・・・・・」

 

「ごちそうさまでしたー」

 

「どう致しまして。―――さて、お前らに訊きたいことがある。正直に答えろよ」

 

「・・・・・いいよ。何でも聞きな」

 

紫色の髪の少女が返事をした。

 

「取り敢えずは名前からだな。俺は旅人だ。この子はオーフィス。お前らは?」

 

「私は板垣亜巳」

 

「ウチは板垣天使だ。天って呼べばいい」

 

「ぐぅ・・・・・ぐぅ・・・・・」

 

「俺は板垣竜兵。寝ているこいつは板垣辰子」

 

「(兄弟姉妹か・・・・・)よろしく。さて、どうしてあんなことをした?」

 

そう訊けば、板垣竜平が鼻を鳴らした。

 

「決まっている。生きるためだ」

 

「両親は?」

 

「私達だけ残してどっかに行っちまったよ」

 

「どうせ、俺達の素行とか目に余り過ぎて、これ以上育てる気も失せたんだろうよ」

 

「ウチに変な名前を付けたヤツがどうなろうと、知っちゃこっちゃねぇよ」

 

捨てられていたのか・・・・・実の両親に・・・・・。

 

「住んでいる場所は?」

 

「使わなくなっている建物の中で寝ているよ。食べ物は他人の金からだけどね」

 

「ふーん、そうか」

 

「・・・・・他人事のように聞くね」

 

「実際に、他人だしな・・・・・でも、それは今日でなくなるがな」

 

俺の言葉に板垣亜巳は怪訝な顔になる。どういうことだい?と。

 

「お前ら、俺が引き取ってやる。今日から俺と一緒にいてもらうぞ」

 

「「「はっ・・・・・?」」」

 

唖然と空いた口が塞がらなくなった3人の子供だが、もう決めたことだ。

 

「お前らの話を聞いているようじゃ、衛生や衣食住も全然なっちゃいなさそうだ。

そんな暮らしを続ける気ならば、俺が引き取ってやるよ」

 

「おいおい、なに急に言い出すんだぁ?ウチらを引き取るって面白い冗談を―――」

 

「俺は本気だぞ?」

 

真っ直ぐ天に視線を向けた。そうしたら天は言葉を呑んだ。

 

「言っておくが、ここから離れようとしてみろ。すぐに捕まえて連れ戻すからな」

 

「・・・なら、こっちも言っておくよ。私達を引き取っても良い事はないよ。

それでもいいのかい」

 

「手のかかる子供は可愛いもんだ。それに、お前らを鍛えるのも面白そうだしな」

 

「鍛えるだと・・・・・?」

 

「お前らの瞳に強い意志が籠っている。その瞳を持つ奴は強くなるもんなんだよ」

 

口の端を吊り上げて、楽しみが増えたと嬉しく思う。

 

「亜巳、天、辰、竜兵。今日からお前らは俺の家族だ。平日は仕事でいなくなるけど、

俺の知り合いのところにいてもらう。午後には迎えに行くから大人しく待っていろよ」

 

「「「「・・・・・」」」」

 

「そら、テントの中に入れ。そこが俺達の家だ。風呂に入って一緒に寝よう」

 

先にオーフィスと一緒にテントの中へ入る。

しばらくして、4人もテントの中へと潜り込んできた。

 

 

―――翌日。

 

 

「そう言うわけで、頼めれるか?」

 

「ふぉふぉふぉ、なるほどのぅ。うむ、分かった。

お主が帰ってくるまではこちらで預かろう」

 

「よろしく頼む。そしてありがとう」

 

板垣兄弟姉妹を川神院に引き連れて川神鉄心に事の説明をし、

仕事の間に預かってもらえないかと頼んでいた。

川神鉄心は4人を見つめて快く引き受けてくれた。

 

「俺がいない間に、体を動かしてやってほしい。やり方はそっちに任せる」

 

「分かった。基礎や心構えぐらいは教えよう」

 

「度々申し訳がない。それじゃ百代、行こうか」

 

「ああ。じじい、遊んでくる」

 

「気をつけるんじゃぞい」

 

川神鉄心に見送られる中、百代も連れて空き地へ戻りに行く。

 

「ぐぅ・・・・・ぐぅ・・・・・」

 

辰子は俺の背中でぐっすりと寝ている。気持ち良さそうに寝ていやがるな・・・・・。

 

「我の定位置・・・・・」

 

「オーフィスは肩じゃなかったのか?」

 

「イッセーは我の。だから、全部我の定位置」

 

ちょっと不機嫌そうな顔をするオーフィス。俺の体はオーフィスの定位置かい。

 

「旅人さん、そいつらを引き取ってどうするんだ?」

 

「どうするもなにも、家族として一緒に暮らすんだよ。その上、鍛えてやる。

さっきも言ったけど俺が仕事の間はお前の家に預けてもらうから仲良くしてくれよ?」

 

「ああ、分かった」

 

「で、旅人。どこにいくんだい?」

 

「家に戻る。お前らと同じ歳の子供が遊びに来るからな。お前らも仲良く遊んで行け」

 

「こんなウチらみてぇなヤツと遊んでくれるのかよ?」

 

「一緒に遊べば自然と仲良くなれるもんだよ」

 

そう言いながら俺達は空地へと戻り、風間翔一達に板垣兄弟姉妹を自己紹介する。

そして、皆は快く遊びに混ぜてくれたことに内心は安堵した。

 


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