真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結   作:ダーク・シリウス

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Episode22

レイヴェル・フェニックスの言葉通り、二日後に直江大和達は一誠と関わりある者達を引き連れ、

蒼天の大陸に足を踏み入れた。全員、緊張の面持ちでボロボロな宇宙船に歩み寄ると、

大勢の男性や女性が佇んで出迎えた。とてつもない威圧感を放って、

直江大和達を威嚇するかのように真っ直ぐ見据えてくる。

 

「来たぞ・・・・・俺たちを一体どうする気だ」

 

「問おう。貴様達は一誠と関わりがあるのだな?」

 

「ああ、そうだ。お前らの言う通り、一誠さんと関わりがある人間だけ連れてきたぞ」

 

「ならばいい」

 

真紅の髪の女性が指を弾いた。直江大和達の間に魔方陣が発現し、

魔方陣の光と共に寝台で寝かされている一誠が浮かんだ。寝台の周囲には未だに光る魔方陣。

 

「その光る魔方陣の中に入れ。そうすれば一誠と出会える」

 

「・・・・・本当だろうな」

 

「我が嘘を吐くと思うか?」

 

ギロッ!と金色で垂直のスリット状の瞳を直江大和に向けた。

まるで猛獣に狙われているかのような感覚が覚え、生きた心地がしない。

そんな女性に織田信長が一歩前に出た。

 

「私は信じます」

 

「なら、魔方陣の中に入るがいい」

 

「ええ、そうさせてもらいます」

 

織田信長は威風堂々と魔方陣の中に侵入した―――直後、織田信長の体が崩れ落ちた。

 

「なっ!?」

 

「ちょっと、織田信長が倒れたわよ!?」

 

「昨日説明したじゃないか。あの魔方陣は一誠の心の中に入るんだって。

彼女は今、一誠の心の中に入ったんだよ」

 

「・・・・・とても信じられないな」

 

「はぁ・・・・・そう警戒しなくてもいいじゃないか。

今、一誠を呼び起こせることができるのは君達しかいないって言うのに」

 

「どういうことだ?」

 

「一誠の心の中に入れば分かることだよ」

 

男性―――和樹は敢えて具体的には言わなかった。直江大和達は訝しむが、

先に一誠の心の中に入ったと思しき織田信長の様子は変わらないでいる。

本当に一誠の心の中に入ったのか、自分達を一網打尽にするための罠ではないのかと

感じてしまっている。そこで、兵藤百代が言った。

 

「なんだ、お前らの一誠に対する気持ちはそんなものなのか?

―――一誠との絆はどうやらその様子だと、大したことじゃなさそうだな」

 

「なんだと・・・・・っ」

 

「一誠に世話になっておきながら、お前らは躊躇している。

私達は一誠のためなら何だってするつもりだ。

だが、私達ではもう一誠をどうする事ができないでいる状態だからこそ、

お前達に一誠を託しているんだ。そのことすら気付かないのか?私ともう一人の弟よ」

 

「何の説明も無しに、はいそうですかと応えれるわけがない」

 

「そこの可愛い子はお前らより早く応えたぞ?それが絆の大きさだ」

 

「っ・・・・・!」

 

兵藤百代の言葉に直江大和達はぐうの音も出なかった。

織田信長は誰よりも早く一誠を包む魔方陣の光の中に入っていった。

その指摘に直江大和は最後の質問だと心の中で呟き兵藤百代に問うた。

 

「俺達が一誠さんの心の中には入れたとして、お前達はどうするつもりだ」

 

「見守るだけだ」

 

 

 

 

それから少しして、直江大和達は魔方陣の中に入った途端に意識が急になくなった。

次に目を覚ました時には暗い空間にいた。全員が辺りを見渡して警戒していると、

声が聞こえてくる。一行はその声がした方へどんな原理で進んでいるのか分からないが

まるで宇宙空間の中で移動するような感覚で前に進んでいくと

 

「先輩!凄く可愛いです!」

 

「ちょっ、信長!僕を構っている暇はないよ!」

 

「今は先輩を構います!あー、先輩がちっちゃいです!

お持ち帰りができるなら直ぐに私の自室で可愛がりたいです」

 

―――なんだ、あの光景は?

 

先に一誠の心の中に入った織田信長を発見できたのはいいとして、

あの子供の一誠はなんだろうか?

しかも、織田信長が子供の一誠を抱き締めて幸せそうな顔を浮かべているではないか。

 

「あっ、皆!ちょっと助けて!」

 

「・・・・・えーと、一誠さん・・・・・だよな?」

 

「そうだけど、それよりも早く!信長に食べられちゃいそうだよ!」

 

「なんですって!?」

 

「なんだって!?」

 

椎名京と榊原小雪が激しく反応した。

 

「「一誠を食べるのは私(僕)が先だ!」」

 

「ちょっとぉ!?」

 

二人の反応と言動に子供の一誠が愕然とする。

 

「おいおい、今はそんな事をしている暇はないって」

 

「そうだぜ。えーと、子供の一誠さん。俺達がいるここは一誠さんの心の中で?」

 

「うん、そうだよ。そして、皆にあの鎖を解いてもらいたいんだ」

 

子供の一誠が指をとある方へ指した。その先は黒い球状の鎖が浮いていた。

 

「・・・・・あれ、なんですか?」

 

「もう一人の僕が閉じ込めている鎖だよ」

 

「もう一人の一誠さん・・・・・?」

 

「今の僕は精神と魂が分かれた状態。僕は精神で魂はあの鎖の中にいるんだ」

 

「だから植物状態になっていると・・・・・?」

 

「そう。ただ見ていただけじゃ僕たちは目覚めなかったよ?」

 

『・・・・・』

 

そう言われ、自分達の非力さを改めて思い知らされた。

病室で眠り続ける一誠をただ見守ることしかできなかった。

この一誠はその光景を見ていたのかもしれない。

 

「最後はこの場にいる皆で解いて欲しい」

 

「あの鎖を・・・・・か?」

 

「うん、そうだよ。あの鎖を全部解けれたら魂の一誠が解放されて僕と一つになれる」

 

「じゃあ、そうすれば一誠さんは起きるんだな?」

 

「外にいる皆も必死に頑張ってくれた。僕達のために。自分達のために」

 

精神の子供の言葉に直江大和達はなんとも言えない面持ちとなる。

自分達が一誠奪還のために動いていた。

兵藤百代達は一誠の精神と魂を再び一つにするために動いていた。

両者一誠のために動いている事は明らかだが、

善と悪を決めつけられたら・・・・・自分達が悪だと言われてしまうのではないだろうか?

 

「それじゃ、頑張って」

 

織田信長に抱きかかえられたまま、蒼天の国旗を振る精神の一誠。

 

「鎖を解くだけなら、簡単じゃないか」

 

川神百代が動き出した。音もなく魂の一誠を縛っている鎖に近づくと、

意思を持っているかのように一部の鎖が動き出して川神百代を襲いかかった。

 

「おっと、やんちゃだな」

 

逆にその鎖を掴んで引き寄せた。すると―――脳裏で一誠と過ごした幼少の頃の記憶が甦った。

 

「おお・・・・・懐かしいな」

 

「モモ先輩?」

 

「鎖を引いたら、懐かしい記憶が頭に浮かんだぞ」

 

「ほう、そうなのか?」

 

九鬼揚羽が興味を持ち、鎖に近づくと鎖の一部が襲い掛かり九鬼揚羽の手に掴まれ、

引っ張られると、

 

「・・・・・ふふっ」

 

脳裏に浮かんだのは一誠と寝た時の記憶だった。

 

「なるほど・・・・・危険はあるが楽しいではないか」

 

嬉々として笑みを浮かべる。振り返って直江大和達に告げた。

 

「お前達!勇ましく鎖に突貫せよ!一誠を起こすために!」

 

 

 

一方、現世の兵藤百代達は一誠の心の中の光景を見守っていた。

 

「鎖が、次々と解けていく」

 

「やはり、あの子達もそうだったようだな」

 

「なんだか、不満ですわ」

 

「まあ、しょうがないだろう。この世界に住めば、誰かと自ずと接してしまうから」

 

「最後の鍵はあいつらか・・・・・確かに面白くはないな」

 

真紅の女性が眉間に皺を寄せる。その言葉を聞いて何人か頷いた。

 

「でも、これでイッセーが復活できれば御の字だということは変わらないわ」

 

「・・・・・それもそうだな」

 

理解しているが、長年傍にいた者としてやはりつまらないだろう。

この湧きあがる気持ちをどうする事も出来ず、できるとすれば一誠にぶつける事だろう。

 

バラバラバラ・・・・・ッ。

 

その時、騒音が少しずつ近づいてきた。面々は空に顔を上げると、

十数機の軍用ヘリが空を飛んでいた。

 

「あれ、消して良いの?」

 

「様子を見よう。和樹、結界を張ってくれ」

 

「了解」

 

巨大な魔方陣を上空に出現すると、壊れた宇宙船ごと魔方陣が膜のような光が

展開され包んでいく。まるで一誠たちを守るかのように。その中で外の様子を眺めていれば

軍用ヘリが蒼天の大陸に降り立ち、続々と物々しい装備を身に付けている軍隊が現れる。

その中で階級の高そうな中年男性が悠然と出て来た。胸に階級を現す紋章が数多く付けている。

 

「誰だ?」

 

「興味ないね」

 

囲まれながらも悠然としている。軍隊の配備が整うと、

中年男性が軍隊より一歩前に出て口を開いた。

 

「私ハ国防大臣ノ者ダ。取引ヲシニ参ッタ」

 

『・・・・・』

 

取引?国防大臣の言葉に怪訝な面持ちとなる面々だが、

国防大臣はペラペラと取引の内容を告げていく。

 

―――和樹達を某国に招いてVIP扱いで優遇な生活を送らせる。

 

―――宇宙船の修理、費用は某国が請け負う。

 

―――蒼天のメンバー全員を庇護下。

 

―――以下の取引を応じた見返りに、この大陸を某国の所有地、領土とする。

 

国防大臣の取引の内容に面々は顔を見合わせた。

 

「どーする?」

 

「悪くない取引だが・・・・・この大陸を滅ぼした者が向こうから現れたことは確かだな」

 

その瞬間。全員の雰囲気がガラリと変わった。その気配を察知した軍隊が銃を構え出す。

 

「さて・・・・・一誠をこんな目に遭わせた愚か共を・・・・・駆逐するぞ」

 

―――○●○―――

 

「もう少しで鎖は無くなる。もうひと踏ん張りだ!」

 

川神百代が直江大和達に激を入れる。鎖は二メートルぐらいの大きさにまで解かれている。

一本一本、鎖は直江大和達の手によって引き抜かれ、徐々に大きさが減っていく。

そして、ついに―――。

 

「っ!」

 

子供の肌が覗けるところまで解けたのだ。

その機に直江大和達は飛び出してくる鎖を果敢に避けながら引っ張り、さらに必死になった。

 

「一誠・・・・・!」

 

「一誠さん・・・・!」

 

「一誠様・・・・・!

 

一誠を慕う者、一誠を尊敬、敬愛する者、一誠を想う者。

それぞれの胸の内に秘めた想いが―――いま、弾けた。

 

『起きてください。そして、また一緒に・・・・・!』

 

数十本の鎖が一気に引っ張られたその直後、縛られていた魂の一誠が解放した。

膝を抱え、体を丸くしているもう一人の子供の一誠の姿が直江大和達の目に映った。

 

「やっと・・・・・一つになれる」

 

精神の子供がゆっくりと魂の一誠に近づく。そして―――精神と魂がいま―――一つとなった。

 

 

 

―――カッ!!!!

 

某国の軍隊を駆逐していた面々が、寝台に眠る一誠の体が発光している事に気付いた。

 

「あいつらがやったか・・・・・!」

 

「フェンリル、後は頼んだよ!」

 

和樹が魔方陣を展開して巨大な灰色の狼を召喚した。

狼の登場に生き残っている軍隊は狼狽し、中には逃げる者も出始めた。

光を放つ一誠に駆けより、事態を見守ると、直江大和達の体が次々と起き上がった。

 

「お前ら・・・・・やったのだな?」

 

「・・・・・ああ、勿論だ。精神と魂が一つになった」

 

川神百代の言葉に、和樹達は安堵で胸を撫で下ろしたり、歓喜の声を上げたりする。

だが・・・・・一向に一誠が起きる気配がない。

 

「・・・・・どうしたというのだ?」

 

「まだ、何か足りないというの・・・・・?」

 

「だとすれば、一体なにが・・・・・」

 

困惑している面々の中、オーフィスが一誠に近づく。

 

「オーフィス?」

 

「昔、絵本を呼んだ。眠る者を起こす方法」

 

「・・・・・まさか」

 

オーフィスの意図に直江大和が察した様子だった。オーフィスの様子を見ていると、

一誠の腹の上に乗っかりだした途端に―――。

 

「ん・・・・・」

 

一誠の唇を己の小さな唇で押し付けた。

 

『なっ!?』

 

一誠とオーフィスの光景に驚く。数秒、数十秒、はたまた一分か、

オーフィスは唇を押し続けていると、

 

「おい、オーフィス―――!」

 

真紅の髪の女性が真紅のオーラを迸った。

そんな単純なことで一誠が起きれるなら自分もしている!

と脳裏で叫んでオーフィスに手を伸ばした。

 

「・・・・・」

 

―――その時だった。一誠の手がピクリと動いた。それからゆっくりと目蓋が開いた。

その光景に誰もが目を見開き、開いた口が塞がらないでいる。

目を開けた一誠にオーフィスは覗きこむように一誠の顔を見て口を開いた。

 

「イッセー、おはよう」

 

挨拶の言葉を発した。一誠は上半身だけ起こし、オーフィスの頭を撫でた。

 

「・・・・・オーフィス。ああ、おはよう・・・・・」

 

次の瞬間。一誠の周りが騒々しくなった。

ある者は泣きながら一誠に抱きつき、ある者は安堵で溜息を吐き、

ある者はその場で泣き、ある者は協力し合った仲間たちと喜びを分かち合った。

 

「・・・・・一誠よ」

 

「・・・・・ガイア?」

 

「ああ、我が愛しき一誠。ようやくお前の声を聞けたぞ」

 

「・・・・・どうしてここに?」

 

「決まっているじゃないか」

 

真紅の女性が一誠の頭の後ろに腕を回して胸に引き寄せた。

 

「お前と再び共にいるためだ」

 

「・・・・・」

 

その言葉に一誠もガイアの背中に腕を回した。

 

「懐かしい匂いだ・・・・・忘れかけていたところだよ。

この温もりも、ガイアの声も、何もかも・・・・・」

 

「忘れさせるものか。お前は唯一我が認めている男なのだぞ。

これからはずっと一緒だ。二度とお前を放さない」

 

「ガイア・・・・・」

 

そのまま二人は抱きしめあった。

しばらくして、一誠は寝台から降りようとするが二週間以上も寝込んだせいか、

躓きそうになった。

 

「おっと、大丈夫?」

 

「ああ、久し振りだな。和樹」

 

「うん、お互い見ない間に随分と成長しちゃっているね」

 

「ははっ、そうだな」

 

和樹に支えられ、改めて一誠は直江大和達と向き合った。

 

「お前ら、迷惑を掛けたようだな」

 

「いえ、これぐらい。今までお世話になった一誠さんの恩返しですよ」

 

「・・・・・そうか、ありがとうな。大和」

 

腕を伸ばして直江大和の頭を撫でた。一誠なりの精一杯の感謝の気持ちとして。

 

「林中、楊志、史進、武松・・・・・お前らも久し振りだな」

 

「はい、こうしてあなたと再会できて嬉しい限りです」

 

「俺もそうだ。見ない間に随分と成長したようだな。あの時の泣き虫だった林中とは大違いだ」

 

「なっ、あの時の事を言わないでください・・・・・!」

 

真っ赤になる林中に一誠は微笑むだけだった。そして、蒼天メンバーに顔を向ける。

 

「東西南北の王とその部下達、全員いるか?」

 

「はい一誠様。ここに一人残らず全員がいます」

 

愛紗が一誠の前に現れ、進言した。その背後に蒼天メンバーが跪く。

その光景を一瞥し、一誠は首を辺りに向ける。建物も自然も何一つないただの大陸を―――。

 

「蒼天・・・・・なくなってしまったな」

 

「一誠様・・・・・っ」

 

「蒼天の民達も一人残らず、死んでしまった。俺が油断したせいで」

 

「違います!全ては某国の侵略のせいです!一誠様は何一つも悪い事などございません!」

 

「だが、王として民を守り切れなかったのは事実だ」

 

「っ、それは・・・・・」

 

それ以上何も言えなくなり、場は静まり返った。

一誠の言うことも事実だった。守れる力があったはずの一誠が油断した結果がこの惨状である。

誰も一誠にどう声を掛けていいのか悩んでいた時、

 

「いや、生き残っている者たちはいたぞ」

 

『っ!?』

 

静寂な雰囲気を破ったのはガイアだった。

信じられないと蒼天メンバーと一誠はガイアに視線を向けた。

 

「ガイア・・・・・どういうことだ?」

 

「そのまんまの意味だ。蒼天の人間はまだいたんだ」

 

「・・・・・どこでだ?」

 

一誠の訊ねにガイアは人差し指を天に向けた。

 

「宇宙にだ。あの花のような建物の内部に大勢の人間が閉じ込められていた」

 

「・・・・・あれが、まだ破壊されていなかった・・・・・!?」

 

「そうだ、その証拠に―――和樹」

 

ガイアの意図に察知し、和樹は巨大な魔方陣を展開した。

一瞬の光が弾けたかと思えば、大勢の人間達が姿を現した。

 

「―――バカな、本当に生きていたというのか」

 

「てっきり、あの塔もろとも破壊されていたのだとばかり思って・・・・・」

 

蒼天のメンバーは唖然として大勢の人間達を見つめると、蒼天メンバーの存在に気付き、

大勢の人間達が駆け寄ってきた。一誠は蒼天の民達の存在にその場で座り込んだ。

 

「一誠、まだお前は全てを失ってなどいない。だから、死んだ者達の分まで

お前は生きなければならない」

 

「・・・・・」

 

「我らも協力する。立て、一誠」

 

ガイアから差し伸ばされたその手を、一誠は唖然と見つめた後に首を縦に振った。

 

「ああ・・・・・俺はまだ全てを失ったわけじゃなかったんだ。また、零から始めればいい」

 

一誠はガイアの手を握り起き上がった。

 

「俺、また頑張ってみるよ」

 

「うむ、その調子だ。流石は我の一誠である」

 

そこへ、オーフィスが一誠の肩に乗っかった。

 

「我、イッセーとずっと一緒」

 

「当たり前だろ?今日も、明日も、明後日も、これからも、未来もずっと一緒だ」

 

オーフィスに笑いかけると、

 

『私達も!』

 

『俺達も!』

 

『ずっと一緒だから!』

 

一誠の周りにいる面々が叫んだ。自分達の事も忘れさせないためにとばかりにだ。

 

「・・・・・ああ、お前らもずっと俺の傍にいてくれよ」

 

虚空から金色の錫杖を手にして、一誠は天に掲げた。

 

「今度は新たな蒼天を創り上げる。お前達、俺に協力してくれ」

 

一誠の言葉に、一誠以外の面々が腕を天に突き上げた。

 

 

―――○●○―――

 

 

―――川神学園―――

 

―――2-F―――

 

「と、言うわけだ。今日からこのクラスに転入生が共に学ぶことになった。名前は―――」

 

「蒼天の兵藤一誠だ。皆、改めてよろしく―――」

 

「いっせぇぇえええええええええええええええええええっ!」

 

「いっやほぅー!一誠さん、お帰りなさい!」

 

「お帰り!一誠さん!」

 

一誠が意識を回復して一ヶ月が経過した。その一ヵ月間、色々と話題が尽きない事が起きた。

蒼天を侵略した国は蒼天のドラゴン達に攻め込まれて上層部や大臣、

国のトップが一網打尽にされ捕縛。また全ての軍も全員が解雇。某国は蒼天に侵略され、

某国の名は第二の蒼天の領土となった。貧困地域には様々な物資の援助をし、

働きたい者には仕事を与え、痩せた土地を潤わせた。

日本海に存在する蒼天の大陸も再び息を吹き返し、一誠の力で建物が元に戻った。

が、逆に人が激減したため、使われていない施設が多い。

これから時間を掛けて再び増やしていくつもりだと一誠は述べた。

さらに蒼天は日本、九鬼財閥と同盟を結び、その確実な同盟として―――。

 

「我は兵藤揚羽だ。これから一誠共々よろしく頼むぞお前達」

 

『く、九鬼揚羽ぁっ!?』

 

九鬼揚羽が一誠と婚約。世界が二人の結婚の話に驚かされた。九鬼揚羽は兵藤の姓を名乗り始め、

一誠と共に川神学園に通う事となった。

 

「先輩!」

 

「おー、信長」

 

「お久しぶりです。私の大好きな先輩!」

 

休憩時間になると2-Fに織田信長が現れ一誠に抱きついた。

 

「あー!僕の一誠に抱きつくなよー!」

 

「私の一誠に抱きついていいのは私だけ!」

 

2-Sの榊原小雪も現れ、一誠に抱きつく織田信長に抗議する。

椎名京も負けじと一誠に抱きつく。

 

「おーおー、あそこに一誠さんがいるじゃんか」

 

「ふふっ、暇な学校生活じゃなくなりましたね」

 

「フハハハハ!やはり、こうして揃っていると楽しいではないか!」

 

「ほら、義経。お前も一誠さんに抱きつきに行ったら?」

 

「えええ!?べ、弁慶は何を言っているのだ!?」

 

「大丈夫、私も一緒だから」

 

あっという間に一誠を中心に2-Fは騒がしくなった。それは昼食時も変わらない。

 

「ほーら、一誠。お姉さんが作った弁当を食べてみろ」

 

「おや、モモちゃんが積極的に動いているよん」

 

「そういう燕もその弁当はなんだ?」

 

「えへへ、一誠さんに新作の松永納豆の料理を味見してもらいたくて作ってきたの」

 

「い、一誠よ。我の手作り弁当を食べてくれ・・・・・」

 

「「乙女だ、あそこに乙女がいる」」

 

そして、学校が終わり、一誠は第二の故郷である日本海の蒼天に戻れば、

 

「ようやく帰って来たか一誠。夕餉まで我と一緒にいるぞ」

 

「ちょっと待て!ご主人様には目を通してもらいたい書類があるのだ!」

 

「ふん、そんなもの貴様が一誠の代わりにやればいいのだ」

 

「これは一介の私ではなく、一誠様に見てもらわないとダメな重要なものなのだ!」

 

「知るか。一誠は我と過ごすのだと決めている」

 

「・・・・・ちょっと待て、その一誠様はどこにおられる?」

 

「なに?」

 

 

一誠が自室に戻ると、ベッドに兵藤百代と兵藤清楚が寝転がっていた。寝ているように見えるが、

実は起きていて一誠が近づいて瞬間にベッドへ引きずり込もうと企んでいた。

だが、それは呆気なく覆された。

 

「一誠、来週の某国の訪問について相談したいわ。ちょっと桃花と雪蓮と話をしましょう?」

 

華淋が現れ、一誠を部屋から連れ出した。すると、華淋が顔だけ部屋の中を覗きこんだ。

 

「あなた達の思い通りはさせないわよ?」

 

不敵に言って扉を閉めた。

 

「・・・・・あいつ、気付いていやがったな」

 

「でも、一誠くんの匂いが染みついた布団、なんだか落ち着くね」

 

「ああ、このまま寝よう」

 

「うん、一誠くんのベッドを独占♪」

 

風呂場では―――。

 

「一誠、今日も一緒に入ろう」

 

「一誠様。お、お背中流します・・・・・」

 

一誠個人用の大浴場に数十人の女性や少女達が全裸や体にタオルを巻いて入ってくる。

どこにいようが一誠の傍には常に誰かが一緒にいる。

蒼天での日常でこんな生活が既に一ヵ月間も続いているのである。

一誠は思った。今日も明日も未来永劫、俺は誰かと一緒に居続け、生きていくんだと。

 

「イッセー」

 

「オーフィス?」

 

「我、ずっとイッセーの傍にいる。これ、絶対」

 

オーフィスは変わらず一誠の傍にいると言い続ける。何回も誓いの言葉のように言い続ける。

 

「ああ、俺たちはずっと一緒だ。オーフィス、愛しているぞ」

 

一誠は笑みを浮かべ、オーフィスに告白した。

そして、オーフィスは一誠の首にしがみ付いて耳元で言った。

 

「うん、我・・・・・私も、あなたを愛している」

 

 

―――『完結』―――

 




今までこの作品を呼んでくださり誠にありがとうございます。
急ピッチに作品を終わらせた気分を感じさせてしまうかもしれません。
いつか、この作品をベースとした第二の真剣にD×Dに恋しなさい!S改を投稿しようと思いです。
いつ投稿するかは分かりませんが、残りの未完結の作品を集中していきます。
これからもどうか読者さんに読んでもらえるよう努力いたします。
では、真剣にD×Dに恋しなさい!S改の完結でした。ありがとうございました!

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