真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結   作:ダーク・シリウス

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すいません、書き換えました。


Episode16

一誠達が学校を止め、七月に突入する頃、

 

―――川神学園―――

 

『・・・・・』

 

一誠が学校に来なくなってから直江大和達は元気がない。

何時も通り過ごしているとはいえ、久し振りに再会した一誠がまた会えなくなったのだ。

迷惑を掛けられないと、そう言って姿を消した。

 

「なんだろう、物凄く物足りなさを感じるぞ」

 

「やっぱ、一誠さんがいないと何時もの騒ぎがなりませんね」

 

「うー・・・・・いっせぇー」

 

「一誠さん、今頃どうしているのかな・・・・・」

 

「先輩・・・・・会いたいです」

 

ズーン・・・と全員が落ち込む擬音が聞こえそうなほど、かなり落ち込んでいた。

 

「って、信長は蒼天に一っ飛びできるじゃないか」

 

「ええ、当然しましたよ。ですが、蒼天を覆う結界のようなもので阻まれた上に、

ドラゴン達まで邪魔されて結局、先輩に会いに行けれませんでした」

 

「行ったのかよ!?つーか、蒼天を覆う結界って何だよ」

 

「卵の黄身が蒼天で、卵の殻が結界だと思えば分かるでしょう。

その殻のせいで入れなかったんです」

 

「・・・・・ああ、そう言うことか」

 

「それで分かるガクトの知能はどこまで低いんだろうね」

 

「そんなくだらないことどうでもよいわ。

しかし、結界とは・・・・・今までにないことであるな」

 

「きっと、敵の襲撃に備えているのでしょう」

 

「・・・・・蒼天を侵略する国か・・・・・」

 

「お姉様ならその結界を破壊できそうだわね」

 

「試してみないと分からないが、壊してほしいなら壊しに行くぞ」

 

「では、放課後になったら一緒に行きませんか?」

 

「よし、良いぞ」

 

一誠を会うため、織田信長は川神百代を誘った。川神百代自身もその誘いに乗る。

 

「信長ちゃん。私もお願い。一誠さんと会いたい」

 

「分かりました。では、三人で―――」

 

「ちょっと待って。俺達も行くぞ」

 

葉桜清楚も願えば了承した織田信長。しかし、直江大和を筆頭に他のメンバーも自分も行くと

瞳に籠めて織田信長を見詰める。が、首を横に振られた。

 

「二人しか抱えれないのでいくらなんでも無理です。

九鬼家のクルーザーでも乗って追って来てください」

 

『―――その手があった!』

 

「そーいえば、九鬼家の船なら来ても良いと言ってたっけ?」

 

「ええ、そうですね。まあ、追い返されるのが目に見えますが」

 

「その時は私が追い返してやる」

 

ギュッと拳を握って宣言する川神百代だった。しかし、ドラゴンを追い返す程、

自分達は強いのだろうか?そう思わずにいられない織田信長は空を見上げる。

 

「(先輩、待っててください。いま、あなたの後輩がそちらに向かいます)」

 

―――蒼天―――

 

「ご主人様。こちらにも目を通してくださいませ」

 

「了解だ。それと、町の方はどうだ?」

 

「今日も平和ですよ」

 

「ん、それを聞いて安心した」

 

中央区のとある建物中で一誠が実務をしていた。

学校を止めてからというものの、一誠は自分の仕事を集中ができて溜まっていた仕事を

処理ができた。勤務をする一誠の様子に愛紗は言い辛そうに尋ねる。

 

「しかし、よろしかったのですか?・・・・・学び舎を辞めて」

 

「二度も俺達は襲撃された。二度もあれば三度あるって言うし、

これ以上・・・あいつらに迷惑を掛けられない。それに・・・・・」

 

「俺は化け物だと言われているしな」と一誠は自嘲の笑みを浮かべる。

 

「愛紗、お前は俺のことをどう思っている?今まで隠していた力を出して、

人とは違う力を見せ付けた俺を」

 

「・・・・・一誠様、その質問に私は答える気はありません。

それに言ったではありませんか、私は何時でもあなたのお傍にいると」

 

何時か言ったあの時の夜。一誠は脳裏にその時の光景、記憶を思い出して肯定と呟く。

 

「・・・・・そうだったな」

 

「あなたが誰であれ、どんな力を有していても一誠様は一誠様です。私の愛しい御主人様です」

 

慈しみが籠った瞳が一誠に向けられる。

 

「ありがとう。お前は俺の愛しい家族だ」

 

「一誠様・・・・・」

 

家族、そう言われて嬉しいわけがない。だが、何時か自分を女として見てくれる日が来てほしいと

密かに願う愛紗。

 

「愛紗、これで仕事は終わりか?」

 

何時の間にか一誠が書類にハンコやサインをし終わっていたようだ。

そう訊く一誠に愛紗は首を横に振った。

 

「いえ、もうございません。あっという間に終えてしまうなんて桃香様も見習ってほしいです」

 

「彼女も彼女で頑張っているつもりなんだろうさ」

 

「もう、一誠様。桃香様に肩を持ち過ぎです!」

 

「そうか?これでも注意しているんだがな・・・・・サボったら休みを無しにするぞとか言って」

 

「・・・・・何時の間にそんなことを仰っていたのですか」

 

「最近だ」

 

ということは、自分の目が届かないところでまた仕事をサボっていたと・・・・・愛紗は

そんな自分の王に呆れて溜息を吐くのであった。

 

「仕事がないなら町に出かけようかな。愛紗、一緒に来るか?」

 

「っ!?」

 

一誠からの誘い。胸が高鳴り、乙女心が歓喜した。

いまオーフィスは鈴々と町で食べ物を買い漁って食べ回っている。

ので、現在一誠は一人。ワンツーマンで一緒に出かけることは滅多にない。

 

「はい!」

 

デート・・・・・一誠はどう思っているか定かではないが、それでも好意を寄せいている男からの

誘いに乗らない訳がない。愛紗は花が咲いたように頬を淡く朱に染めて元気良く肯定した。

 

 

―――日本海―――

 

 

「うわ・・・・・本当に結界が張られている」

 

「金色・・・・・昔、リュウゼツランを嵐から守ったあの不思議な光と一緒だね」

 

「それにしても、あの塔はデッカイなぁー」

 

「蒼天の上空に浮遊している複数の巨大な大地もね」

 

学校を終えてすぐ、直江大和達は九鬼家専用のクルーザーに乗って日本海に存在する蒼天の国へ

赴いた。波風に吹かれ、鼻の中に潮の香りが通る。周囲にはカモメが共に飛んでいた。

 

「さて、あの結界を壊してやるとしようか」

 

同乗している川神百代が拳と手の平を合わせて意気込む。

 

「うむ、我も久々に一誠と会いたかったところだ。いろんな国の名物のお土産もあるしな」

 

その横に威風堂々と九鬼揚羽もいた。それからしばらく順調に蒼天へ進んでいると、

交易港のような場所が見えた。

漁業するための漁船があるので港だと認知した一行は船を港へ向けた。

 

「蒼天って漁もするんだね」

 

「というか、誰一人もいないってどういうこと?」

 

「・・・・・嫌な予感しかしないぜ」

 

クルーザーが港に接近した。すると、皆のから数多の黒い影が出現した。

影は空へ跳び、直江大和達が乗るクルーザーを囲んだ。

 

「な、なんだこりゃぁっ!?」

 

「人が、機械が浮いている!?」

 

その正体はパワード・スーツを身に纏う蒼天の警備隊だった。

腕や脚など部分的なところに機械の装甲を纏って、両肩や背中、

手に重々しい武器を装着していた。

 

「蒼天の技術・・・・・これが軍事の一つか・・・・・!」

 

「その通りだ」

 

クルーザーに乗り込むパワード・スーツを纏う一人の女性。

 

「今度は海から来たか、川神百代と九鬼揚羽」

 

「た、橘さん・・・・・」

 

「えっ、もしかして・・・・・西のスピードクイーンと呼ばれた元四天王の橘天衣さん!?」

 

西の出身である松永燕が驚きを隠せないでいた。どうしてその人が蒼天にいるのか、と。

橘天衣は鋭い目つきで言い渡す。

 

「一誠からお前達が来ることを知らされていない。

よって不法入国者としてお前達を捕縛させてもらう。

抵抗すればこのクルーザーをハチの巣にする。いいな?」

 

「ま、待って下さい橘さん。確かにまた不法入国しようとしましたけど、

これには理由があって―――」

 

「川神百代。武神と呼ばれている者が言い訳は見苦しいぞ」

 

次々と他の警備隊がクルーザーに寄ってくる。

まさか、不法入国者として捕まるなんて思ってもいなかった。

いや、確かに自分達は正式な理由で蒼天に入国をしていないわけで、これは当然の結果だろう。

 

「我らは一誠からこの国を入国する権利を得ているのだぞ」

 

「その証明、証拠となるものは?」

 

「ぐ・・・・・っ」

 

「それ以上何も口にしない方が賢明だ。罪が重くなるだけだぞ」

 

「罪!?一誠さんに会いに来ただけなのに、どうして罪になるのよ!」

 

「不法入国は罪だ。知らないとは言わせん」

 

パワード・スーツ特有のものか、量子化させていた鋼鉄の手錠を呼び出して、川神百代に近づく橘天衣。

 

「橘さん・・・・・」

 

「なんだ?」

 

「―――申し訳ございません―――」

 

―――蒼天―――

 

「はっ?東の港に不法侵入者が?」

 

『・・・・・申し訳ございません。取り逃がしてしまいました。私の責任です』

 

「天衣から逃げるなんて・・・・・その不法侵入者の特徴はなんだ?」

 

『川神百代および、九鬼揚羽と他数名の川神学園の生徒だと思しき者達です』

 

通信で報告される橘天衣の話に、あいつらか・・・・・と一誠は嘆息する。

 

『一誠様とお話がしたいと言っておりました』

 

「・・・・・奴らは今どうしている?」

 

『漁港を越え、真っ直ぐ東区の地域に突入します。すでに月様達には報告しました』

 

「確実に騒ぎになるだろうな。・・・・・たくっ、あいつらは・・・・・」

 

呆れて何も言えないと風に顔を顰める。

 

『住民の避難は?』

 

「あいつらも一般人を巻き込みたくないはずだ。取り敢えず、東西南北の王とその部下達を全員、中央区へ招集だ」

 

『では・・・・・』

 

「下手に騒ぎを起こして一般人に刺激を与えたくない。奴らは必ず俺がいる中央区に来る。お前達も何時も通り町の警邏をしながら中央区に集まれ」

 

『はっ!』

 

橘天衣殻の通信は切れた。一誠が隣にいる愛紗を引き連れて中央区へと引き返す頃、直江大和達は漁港を越えて東区の町に辿り着き、悠然と町中を歩いていた。

自分達が不法侵入者だと悟られないため、人混みに紛れて中央区へと進んでいる。

 

「人がいっぱい・・・・・」

 

「いろんな店もあるね」

 

「通貨は・・・・・日本円じゃないのか」

 

売店で客が店員に払う蒼天の通貨を見て川神百代はポツリと呟く。自分達が持っている日本の通貨が使えなければ、文字通り一文無しということになる。それは―――。

 

「何時も金銭不足の私には対して変わりないな」

 

「姉さん。取り敢えず他人から金を借りないことを頑張ろうか」

 

直江大和の指摘にウンウンと川神百代から金を借りられた経験がある者たちが同感だと首を振る。

 

「・・・・・武神って駄先輩ですね」

 

「うぐっ・・・・・」

 

織田信長にまで言われ、ぐうの音も出ない。

 

「もしかして、私生活もダメな方なんですか?もしそうなら、武神じゃなくて駄神と呼ばせてもらいますよ」

 

「ちょっと待とうか。私が部屋をゴミだらけにしているように見えるのかな?」

 

「・・・・・金銭的なだらしなさが伺える事だけは確かです」

 

グサッ!

 

「・・・・・」

 

川神百代はそれ以上何も言わなくなる。

 

「そーいえば、僕が貸した五千円、まだ返して貰ってないよー?」

 

「・・・・・駄神、決定ですね。駄神・川神百代」

 

榊原小雪の話に、金にだらしない駄神・川神百代と織田信長の中で認知した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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