真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結   作:ダーク・シリウス

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秘密基地×中二病の子×川神百代

 

とある日、風間翔一が大量の段ボールを持ってきた。

 

「それ、どうするんだ?」

 

「旅人さんの隣で風間城二号を作りたい!」

 

「つまり、秘密基地か?」

 

指摘すると笑顔で頷かれた。

 

「旅人さんとオーフィスも手伝ってくれ!でっかい秘密基地を作りたいんだ!」

 

「でっかい秘密基地か・・・・・それなら」

 

「うん?」

 

一度テントに潜った。風間翔一は知らないだろうが、このテントはとある場所と

繋がっている。俺がいるとき限定だが。・・・・・あったあった。

とある物を手にして外に出る。

 

「でっかい秘密基地にするならもっと必要になるだろう?」

 

「わっ!段ボールが一杯じゃないか!」

 

テントから大量の段ボールと工具を掴んでいる俺に風間翔一は驚いた声を上げた。テントから

段ボールが出てくるとは思わないはずだ。それが出てきたんだから驚くに決まっているか。

 

「さて、一緒に作ろうか。目標は今日中に完成させるぞ」

 

「おうよ!」

 

こうして、俺達は子供らしい秘密基地を作ることになった。モデルと組み立ては風間翔一に

任せるオーフィスも一緒だ。俺は段ボールを切ってパーツを作る係としてそれぞれ分担し、

秘密基地を順調に建てていく。

 

「滑り台みたいな緊急脱出用に隠し扉みたいなものも設計するか?」

 

「隠し扉だと!?ロマンじゃないか!旅人さん、作ってくれ!」

 

「オーフィス、あいつが置いてほしい場所に置いてくれ」

 

「ん、分かった」

 

オーフィスが分厚く床や壁を組み立てると、俺は二階の空間の分のパーツを作って行く。

バルコニーも設計でもしよう。うん、楽しくなってきたな。子供のころに戻った気分だ。

 

「さて、頑張って完成するぞ」

 

「おう!」

 

「ん」

 

二人は頷き、せっせと組み立てていく。俺のバルコニーのパーツを見せたら風間翔一は

喜んで採用してくれた。何でも、高いところから見るのが好きだからとか。

 

 

―――数時間後。

 

 

「ふぅ・・・・・完成したな」

 

「うっはー!でっかい風間城二号が完成したなぁー!」

 

「大きい」

 

空き地に生えている森よりちょっと大きい巨大な秘密基地が完成した。

我ながら随分と凝った秘密基地をしたもんだよ。というか、目立つんじゃね?

 

「旅人さん!ありがとう!風間城二号が完成したのは旅人さんとオーフィスのおかげだぜ!」

 

「どういたしましてだけど、風間城一号はどうしたんだ?」

 

「駅の近くの空き地で作っていたら見知らぬおじさんが住み着いちまったんだ」

 

「あれま」

 

それじゃしょうがない。住み心地が良かったんだろうな。

風間翔一は完成した秘密基地の中へと入っていった。中から歓喜の声がすぐに聞こえる。

上手く隠しているから分からないだろうが、壁のとある部分に隠し通路がある。

 

行き来できて、脱出ルートとしても使える。一階と二階にそれぞれある。バルコニーには、

昇り棒を設置した。当然、段ボール製だ。昇れないのが欠点だけどな。段ボール製だし。

 

「ここは俺と旅人さんとオーフィスの秘密基地だぁ!」

 

バルコニーで大はしゃぎする風間翔一。はは、子供だなぁ・・・・・。

秘密基地のてっぺんには風間翔一が自ら書いた『風間城二号』と書かれた旗が風で

靡かせている。

 

「イッセー」

 

「どうした?」

 

「人間、来る」

 

オーフィスが空き地の向こうから誰か来ると教えてくれた。ここからだと秘密基地の壁で

遮られて見えないので移動すると、風間翔一と見知らぬ子供が言い合っていた。

 

「お前、こっちは俺と旅人さんとオーフィスの場所だぞ。くんなよ」

 

「別にお前たちの土地ってわけじゃないだろ」

 

「でも、ここは俺と旅人さんとオーフィスの場所だ!

それなのにどうしてお前が来るんだよ?」

 

子供の喧嘩だ。成り行きを、様子見をしようと静観することに決め込んで

眺めていると・・・・・。

 

「俺はいま、理由なき反抗をしている」

 

「おお?なんだそれ、カッコいいな」

 

「母親がうるさくてムカつく。家出したんだ」

 

「家で!やるじゃねーか!」

 

「とはいえ、俺は冷静な子供だ。あまり遠くへ行ってアホに攫われても、経歴に傷が付く。

かと言ってすぐ帰っても舐められる。程よく家でするんだ」

 

「ん?あんまりカッコよくないかな?」

 

・・・・・もしかして、あの子供は中二病なのかな?

 

「この空地は中々いい。隠れ家にしようか」

 

「だめだ。さきに旅人さんとオーフィスがいたんだ。だからあの二人のものだ。次に俺のだ」

 

「実は俺が先に目をつけてた。俺のだ」

 

「ざけんな!旅人さんとオーフィスが先だ!次に俺のだけどな!」

 

「証拠があるのか」

 

「おうよ!見ろよこれ、風間城だ!

俺と旅人さんとオーフィスが一緒に作って完成させたんだ!」

 

風間翔一は三人で造った巨大な秘密基地を誇らしげに、自慢げに言い切った。

 

「これ、三人で作ってたけどお前、見なかったぞ」

 

「ふむ、良い城だ。だが、甘いな」

 

「なに?」

 

「見ろ、こんな巨大な城では敵が攻略してくるだろ。もう少し小さくして作るべきだと思う。

付け加えて言えば、こんな大きい城を完成させてどうするきだ」

 

「勿論、ここを基地にするんだ。俺達の秘密基地!」

 

「・・・・・お前、あまり見ない顔だ」

 

「今まで親父と一緒に旅ばかりしてた」

 

「なるほどな。ではこの秘密基地は」

 

「俺と旅人さんとオーフィスの三人だ」

 

「この城の殿様は誰だ?」

 

「旅人さんだ!」

 

―――俺かよ!?

 

「殿様と家来が二人か・・・それでは国が正しく機能しないだろう」

 

「お前なんか面白い奴だな。一緒に遊ぶか?」

 

「ああ。俺もこの城に入れてもらおう」

 

・・・・・あの子供、中二病だな。確実に。それから風間翔一が俺たちを呼ぶ。

影から現れると、中二病の子は俺とオーフィスを見上げる。

 

「紹介するぜ!この人たちが旅人さんとオーフィスだ!」

 

「よろしくな」

 

「よろしく」

 

挨拶すると中二病の子も挨拶を返した。

 

「そういや、お前の名前は何て言うんだ?」

 

風間翔一はそう訊くと中二病の子はポツリと自己紹介をした。

 

「直江大和だ」

 

 

∞                   ∞                      ∞     

 

―――川神院

 

 

「鉄心、遊びに来たぞ」

 

「おお、おぬしか。待ちわびたぞい。いつ来るかと思っておったわい」

 

その日の夕方、風間翔一と直江大和を家に帰らせた後、川神院に足を運んだ。

別に理由はないけど、なんとなく来た。

 

「ついでに洋菓子も持ってきた。食え」

 

「ありがたいのう。それでは言葉に甘えて食べるぞい」

 

「・・・って、何気にワタシをスルーしないで欲しイ!」

 

川神鉄心と将棋をしていた緑色のジャージを身に包んでいた男がツッコンできた。

 

「「あっ、いたんだ?」」

 

「最初からいましたヨ!総代はワタシと将棋をしていたでしょうガ!」

 

「テヘぺロ♪」

 

「気持ち悪いから止めろ」

 

軽く頭を叩いてやった。

それから将棋の盤を見れば・・・・・また負けていやがるじゃないか。

 

「負けているし」

 

「う、うるさいの!ここからが巻き返す時なのじゃ!」

 

「いや、もうこの時点でアウトだ。でも・・・ここを置けば」

 

「ウム・・・・・?」

 

男がちょっと悩みだした。それから駒を置くと、素早く別の駒を置いた。

それを繰り返すことしばらく。

 

「ま、参りましタ・・・・・」

 

「ギリギリで勝ったな」

 

川神鉄心の駒で何とか勝った。

横でモグモグと洋菓子を食べている川神鉄心が感嘆の声を漏らす。

 

「凄いのう。美味しいのう」

 

「どっちだよ」

 

「で、何の用じゃ?」

 

「なんとなく来ただけさ」

 

そこに一人の修行僧が歩いてきて、茶を差し出してくれた。礼を言って茶を一口。

 

「そう言えば、名前を聞いていなかったけど誰?」

 

「そうだったネ。私は川神師範代のルーだヨ。よろしく、旅人」

 

「よろしく。鉄心より楽しめたぞ」

 

「・・・わしに対して嫌味かの?」

 

当然とばかり頷けば拗ねた。可愛くない!

 

「それと、もう一人いたよな?誰だ?」

 

「む?ああ、あの男は―――」

 

「釈迦堂刑部だ」

 

当の本人が現れた。縁の床を歩きながら自分の名を告げた。

 

「旅人、お前さんの強さを知りてぇな?」

 

「勝負しようってか?」

 

「理解が早くて助かる」

 

よっと、と裸足で縁から外に出て俺と対峙しだす。

 

「釈迦堂!旅人と勝負はしてはならなイ!」

 

「かてぇーことを言うなって、ちょっとだけ良いだろう?」

 

「旅人の力は未知数!相手を知らないまま挑んだら火傷では済まないヨ!」

 

「ルー、俺に対する気持ちはよーく分かったよ」

 

ちょっと失礼じゃないかなー?と思い、ルーの腕を掴んで釈迦堂の方へ放り投げた。

 

「鉄心、ちょいっとあの二人を借りるぞ」

 

「ふぉふぉふぉ、良いじゃろう。見物させてもらうぞい」

 

「さて、どっから出も掛かってこい」

 

不敵の笑みを浮かべて挑発する。―――体から膨大な闘気を纏いながら。

 

―――百代side

 

この気の量・・・・・半端じゃない・・・・・!

私、川神百代は突然感じた膨大な闘気に部屋で寝転がっていた身体を起こして

すぐに外へと出ていった。廊下を駆けてゆけば、修行僧達も慌てて外へと向かっていく。

―――縁のところに辿りつけば、私の目は信じられないものが飛び込んできた。

 

「どうした?まだ立てれるだろう?」

 

一度だけこの家に来た男が釈迦堂師範代とルー師範代を地に伏せていた。

両腕に膨大な闘気が具現化したことによって、もう二つの腕が浮かんでいた。

 

「ちっ・・・・・!なんて、強さだよ・・・・・!」

 

「今まで感じたことがない膨大な闘気・・・・・!隠していたのカ・・・・・!」

 

「隠すも何も、武道の達人は己の強さを隠すもんだろう?

俺はそれと同じことをしているだけさ」

 

「行けよリング!」

 

釈迦堂師範代の必殺技!

凝縮したリング状のエネルギーを飛ばして攻撃した。釈迦堂師範代の攻撃は狙いを違わず、

男の方へ飛んでいく。

 

「もっと大きく出せないのか?」

 

つまらなさそうな顔で男は、気で具現化した手を突き出した。

その手の平から・・・・・釈迦堂師範代と同じ攻撃が放たれた。

その大きさも数倍で、釈迦堂師範代の攻撃を弾いてそのまま―――。

 

「なっ!?」

 

釈迦堂師範代の体に直撃した。威力も数倍に違いない。

倒れた釈迦堂師範代を見据えていると、男の気で具現化した腕が消失した。

いや、自分の体に戻したんだ。あの膨大な闘気の気配が忽然と感じなくなった。

 

「―――――」

 

居ても立っても居られなく、気付けば私は男のほうへ飛びこんでいた。

―――目の前の男の強さを知りたい!

 

ガシッ!

 

だが、私の顔を掴まれて、地面に叩きつけられた。

 

「まだまだ、踏み込みが甘いぞ」

 

呆気なく私は倒された・・・・・?男の視線は二人の師範代に向けていた。

それなのに、あっさりと倒されるだなんて・・・・・。

 

「おぬし、子供にも容赦ないの・・・・・」

 

「これ、軽くだけど?」

 

手が離れていく。

私の視界に飛び込んできたのは茶色の目と黒い髪・・・・・いや、腰まで伸びている。

 

「さて、俺は帰るよ。久々に良い運動ができた」

 

「て、てめ、俺たち二人相手に良い運動かよ・・・・・?どんだけ強いってんだ」

 

「くやしかったらもっと強くなることだな。

この川神院でな。そうすれば、俺の体に傷をつけれるぐらいにはなるんじゃないか?」

 

「・・・・・上等だ、ぜってぇ傷をつけてやる。覚悟しやがれよ?」

 

「くくく、楽しみができた。ああ、楽しみにしているよ。首を長くしてな。

オーフィス、帰ろう」

 

「ん」

 

黒い髪の少女がピョンと男の肩に乗っかった。

 

「じゃあな、また来る」

 

それだけ言い残して、スタスタと門の外へと出ていった。

 

「あー、ちっくしょう。体がいてぇー」

 

「ワタシもだヨ・・・・・。しかし、強イ・・・・・。歯牙にもかけれなかったネ」

 

「絶対に傷をつけてやらないと気が済まねえ!

おい、ルー。怪我が治り次第、俺の相手になってもらうぞ!」

 

あの釈迦堂師範代が燃えている。それほどまで完全燃焼したということなのか?

 

「(ふぉふぉ、あいつめ・・・良い置き土産を残してくれたのう。

こりゃ、感謝せんといかんなぁ)」

 

じじいも嬉しそうだ。いや、修行僧達の顔を見れば真剣な表情を浮かべていた。

自分たちを倒した男の力の一端を見たからだろう。

あんな力を見せつけられては上へ目指そうという気持ちが上がったのかもしれない。

 

「・・・・・じじい」

 

「なんじゃい」

 

「あの男の名前はなんて言うんだ?」

 

「旅人というらしいぞい。まあ、偽名じゃが本人も認めておる」

 

旅人・・・・・。あんな強い人が世界中を放浪しているのか・・・・・。

 

「じじい、旅人の住んでいる場所を教えてくれ」

 

何時の間にか、私は旅人の事を聞いていた。

 

 

∞                  ∞                       ∞

 

 

「おーい!旅人さーん!オーフィス!」

 

「よ、おはよう。翔一と大和」

 

「おはよう」

 

「おはよう、旅人さんとオーフィス」

 

今日も風間翔一がやってきた。

今回は直江大和という中二病の子供も俺達と一緒に遊ぶようだ。

 

「今日も遊ぼうぜー!」

 

「何して遊ぶ?」

 

「その前に旅人さん!また空に投げてくれよ!」

 

「またか?好きだなー」

 

「風になった気分で最高なんだ!」

 

両腕を俺に伸ばしてくる風間翔一。俺は苦笑して、空へ投げてやろうと思った。

 

「―――じじいの言った通りの場所へ来れば、こんなでっかい秘密基地があるなんて面白いな」

 

感じた事がある気が一つ。そして近づいてきた。俺達は声がした方へ顔を向けると、

黒い髪に赤い瞳の少女が空き地の向こうから歩いてくる。風間翔一は首を捻って口を開く。

 

「誰だ?」

 

「私か?私は川神百代だ」

 

川神百代と言った少女が俺に近づく。真っ直ぐ赤い瞳を向けて口を開いた。

 

「旅人、私も仲間に入れてほしい」

 

「・・・つまり、一緒に遊びたいと?」

 

「ああ、旅人と一緒にいたら楽しそうな気がするんだ」

 

「んー、俺は構わないが、お前らはどうしたい?」

 

「俺達は旅人さんに任せるぜ」

 

「俺の人生まで決めつけなければそれでいい」

 

風間翔一はともかく、直江大和はもう少し発言を考えてほしいもんだな。

成長した後の自分が過去を振り返ると後悔することしかないからな。

 

「んじゃ、一緒に遊ぶか」

 

「よろしく」

 

「ああ、よろしく」

 

俺とオーフィスは百代と握手を交わした。そこで、改めてと風間翔一が強請ってきた。

 

「分かったよ。そんじゃ・・・・・ほらよ!」

 

「いっやっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

風間翔一は空へ飛んでいった。しばらくすると、手足を広げて俺のところに落ちてきた。

受け止めて地面に立たせると、面白がっていた。

 

「はぁー!楽しかったぁー!」

 

「お前、恐いもの知らずだな・・・・・」

 

「大和、お前もしてもらったらどうだ?気持ちいいぜ?」

 

「遠慮する」

 

「じゃ、次はオーフィス」

 

そう言って思いっきりオーフィスを空へ投げ飛ばした。

そして、少しして落ちて来て受け止めた。

 

「ほー・・・・・・」

 

キラキラと楽しそうだなぁー、と川神百代が見ていた。

 

「飛ぶか?」

 

「ああ!」

 

―――その後。川神百代も空に投げ飛ばした。

数十秒後、満面の笑みを浮かべ笑いながら落ちてきた川神百代を受け止める。

 

「どうだった?」

 

「最高だった!」

 

「そうか、それなら良かった。さて、遊ぶとしようか」

 

風間翔一達にそう言えば頷いた。新たなメンバーも加わり、さらに賑やかで楽しくなったな。

 


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