真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結   作:ダーク・シリウス

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Episode9

 

他国から襲撃が遭って数日が経った。

蒼天襲撃した国にハッキングして一誠は尋ねた。

 

『俺達の国に侵略してきた証拠と証人がある。蒼天に侵略したお前たちの真意を尋ねたい』

 

他国の反応は―――好戦的だった。

 

『我ラハ自国ノ海域及ビ空域デ軍事演習ヲシテイタニ過ギナイ。

貴殿ノ国ハ我ガ国ノ海域内ニ存在スル。ヨッテ蒼天ハ我ガ国ノ領土ニ値スル』

 

『残念ながら貴国の海域内ではない。蒼天は独立の大陸であり国だ。

貴殿が何を言おうと、我が国は日本でも貴国に属すつもりはない』

 

『ソノ発言ハ我ガ国ニ対スル反逆、クーデター、反乱デアル』

 

『勝手にそう勘違いしていろ。

ただし、再びこの国に襲撃してきたら貴国との戦争の開戦だと思え』

 

結果、両国は和平どころか宣戦布告にまで発展してしまい、何時でも戦争が起きてもおかしくない

状況になってしまった。その事に蒼天の重臣達が集結して会談をする。

 

「で、一誠はどうするつもりなのよ?本当に戦争を起こすの?」

 

「自分から喜んで戦争なんて起こす気はない。話し合いの結果的にそうなってしまったが、

向こうからまた侵略してきたら迎え撃つまでだ」

 

「なんでや、後もう少しであの塔が完成するっちゅうのに・・・・・」

 

「もしかしたら、あの塔を自分達が作ったのだと自慢したいから侵略してきたわけ?」

 

「んな、子供みたいな発想で侵略されたら・・・・・腹が立つわ」

 

重臣達は怒りを感じられずにはいられなかった。

しかし、その怒りをこの場の誰かに当たることはできない。

 

「警備を厳重にしておく必要がある。何時でも迎撃体勢で敵を迎え撃てるように」

 

「ええ、そうですね。それにあの国の政治や環境には目に余るところもあります。

豊かなところがあればそうれないところもあり、貧しい民が今でもひもじい思いを、

辛い思いをして過ごしております。その民たちのことを思うと・・・今回の襲撃は他国に

侵略できる口実、キッカケができたと言うわけです」

 

「稟ちゃん・・・・・」

 

眼鏡を掛けたクールビューティーな少女、北の地区を統べる華淋の部下である稟がそう言うと、

一誠に視線を向けた。

 

「一誠さん。あの国を我が領土にするべきでは?

二度と、この国に侵略する気を起こさせないように我が国の力を見せつけるためにも」

 

「・・・・・」

 

「一誠さん?」

 

「いや、侵略する気はない。ただでさえ、お前たちが必死にこの国を維持していると言うのに、

これ以上また多忙な時間が増えてしまう。現状維持だ」

 

と―――。一誠は他国に攻める気はないと言い放った。

 

「しかし・・・・・それでは向こうが」

 

「どうでもいいさ。だが、最初に言った通り。再び襲撃したら迎え撃つまでだ。

相手の鼻をへし折ってな。が、もしも襲撃があれば・・・・・俺はドラゴンを使ってあの国を

潰しに掛かる。主に軍事兵器を製造する場所と核開発の場所をな」

 

そう言って一誠は立ち上がる。

 

「俺達は俺達自身の夢を叶えるためにこの国にいる。戦争、侵略なんて二の次でも三の次もない」

 

『・・・・・』

 

「蒼天は中立の立場で保つつもりだ。それでも、どんな手でこの国を我が物にしようとするなら

俺達は黙っているつもりはないだろう?」

 

当然とばかり一誠の問いに首を縦に振った面々は、一誠の言葉に耳を傾ける。

 

「稟、お前が言うように貧しい思いをしている民がいるのは間違いないだろう。

だが、国を乗っ取ってその民に救うまでまでの時間はさらに増えてしまう。

まず最初にしないことは国自体を立て直すことだからな。

その民に裏から手を回して助ければ良い。その方が手っ取り早い」

 

「その上、この国に来れる『招待状』を受け取っていない理由は、

心から招待状を受け取る気持ちまでにはなってないってこと。無理強いで救いの手を差し伸べたら

有難迷惑ってことよね」

 

「私達も限界があるわ。だから一誠は現状維持と言うのね?」

 

「人は限界がある。まあ、俺はそう言いたいだけだ。できる限りのことはする。

それでも、救えない人間もいるだろう・・・・・」

 

「それでも、私達は前に進まないといけません。そうしないと救えなかった人達の冒涜です」

 

「・・・・・そうだな。それじゃ、今回の会談はこれで終了とする。

各自、自分の務めを果たすように。―――特に桃香と雪蓮、仕事をサボるなよ?」

 

「「っ!」」

 

呼ばれた二人は思わず冷や汗を流した。

北区の王は溜息を吐き、東区の王は苦笑を浮かべるのであった。

 

 

―――川神学園In屋上―――

 

 

「んー、今日もいい天気だねぇ・・・・・」

 

「俺の背中に寄り掛かって川神水を飲む弁慶であった」

 

「一誠さん、誰に言っているんだ?」

 

「さぁ、なんとなくだ」

 

とある日、屋上で昼食をしていた一誠達一行。

この日も晴天の下で一誠を中心に一誠を慕う面々が共に食事をしている。

 

「なぁなぁ、一誠さん」

 

「どうした翔一」

 

「一誠さんって実際にどんだけ強いんだ?」

 

風間翔一の問いに一誠以外の面々の視線は一誠に集中した。その問いに、一誠は言った。

 

「んー、九鬼家従者部隊0位のヒューム・ヘルシングを百回以上勝っているな」

 

「えっと、ぶっちゃけどんだけ強いんだ?ヒュームさんは」

 

「今の百代より強い爺だな」

 

と、当然のように言った一誠。そんな一誠に、義経と弁慶、与一、

清楚がウンウンと首を縦に振った。

 

「そう言う話しを聞いた事あるね」

 

「義経もだ。一度だけ見たことあるから一誠さんの言っていることは本当だぞ」

 

「だな」

 

「うん、一誠さんはとっても強いよ?」

 

四人の証言に驚きを隠せない面々は川神百代にも視線を向ける。

 

「モモ先輩より強いって・・・・・」

 

「ああ、私も実際に負けたぞ。空中戦で」

 

「空中戦って・・・・・」

 

「でも、今度は負ける気はないぞ?」

 

「へぇ?じゃあ、負けたら一つだけ言うことを訊く権利を懸けて勝負するか?」

 

一誠がワッペンを取り出して床に置くと、

川神百代もワッペンを取り出して一誠のワッペンと重ねた。

 

「乗った!」

 

―――ポン。

 

「ん?」

 

しかし、二つのワッペンの上にまた別のワッペンが乗った。そのワッペンの持ち主は―――。

 

「先輩、私も挑ませてもらいます」

 

戦うことが嫌っているはずの織田信長のワッペンであった。

 

―――グラウンド―――

 

ドドンッ!と効果音が立つぐらいに第一グランドにいる川神鉄心が佇んでいた。

昼休みにも拘らず、ギャラリーも大勢集まっていた。

 

「両者、名乗りを上げい」

 

「3-F、川神百代!」

 

「2-F、兵藤一誠」

 

「1-S、織田信長」

 

「わしの立ち会いのもとで決闘を行ってもらう。

相手が戦闘不能になっても攻撃をしようとするならば、わし自身が介入させてもらう。よいな?」

 

「「ああ」」

 

「はい」

 

三人は一つだけ何でも叶える権利を懸けた決闘をする。

そんな三人の決闘をダシにして誰が勝つのか、賭けをする者もいれば、

料理部が儲けようと料理を販売する。

 

「いざ―――尋常に勝負!はじめい!」

 

川神鉄心の試合開始の発言に川神百代が先に動きだした。

 

「川神流無双正拳突き!」

 

ストレートパンチを必殺技に昇華させた一撃必殺の正拳突き。

真っ直ぐ揺るぎのないその拳を一誠を倒さんとばかり突きだした。

対する一誠は、ハエを払うかのように手を川神百代の拳の軌道を逸らして、何時の間にか

接近していた織田信長が振り下ろしていた刀を人差し指だけで刀の腹を添えて横にずらして防いだ。

 

「「っ!」」

 

呆気なく四天王クラスの実力者の速度と攻撃を見切った一誠に、二人は目を丸くする。

こうして真正面から戦うのは初めてであり、一誠と空中戦で戦った百代に至っては、

空中と地上の戦い方がまるで別物だと悟った。

それでも、二人の攻撃をかわされただけなので、まだまだ戦える。

 

「終わりか?」

 

「―――まだだ!」

 

「はい!」

 

「そっか、だったら全力で来い。ヒュームも全力で戦って百回も負けたんだからな」

 

この場にいない従者に言いたい放題の一誠は二人に挑発する。

 

「因みに、俺が負けたら二人は俺に対して何を願うんだ?」

 

「私は・・・・・まだ考えていない」

 

「・・・・・信長は?」

 

「私は・・・・・」

 

織田信長は思考の海に潜ったがそれは一瞬だった。

 

「あなたを、私と清楚先輩の専属の従者になってもらいます」

 

「・・・・・」

 

彼女の願い事を訊いて―――一誠は体から闘気を滲み出した。

 

「そいつだけはなんとしても阻止しないといけないな」

 

「釣れないですね。いいじゃないですか、九鬼揚羽の専属従者だったんでしょう?」

 

「あの時はあの時だ。いまは従者なんて成る暇なんてないんだよ」

 

そう言って一誠は足を徐に振り払った。その瞬間、鎌風が生じて二人に襲いかかった。

鎌風に、織田信長は刀を振り下ろして一刀両断にして防いでみせたのだった。

 

「へぇ、そうやって防ぐんだ?」

 

「戦いは嫌いですけど、何かの為に戦うことなら話は別です」

 

「じゃあ、その刀を破壊して戦意を削ぐとしようか」

 

一誠が動きだした。手に―――刀を持って織田信長へと突き進む。

 

「私のことを忘れるな!」

 

川神百代も動き出す。三人は己の全身を使い、

得物を激しく振り回して相手を倒さんと攻撃を振るい続ける。

 

ガキンッ!

 

しばらくして、一誠が持っていた刀が真っ二つに折れた。

その原因は百代が闘気を纏っていた拳。

 

「「はぁっ!」」

 

織田信長と川神百代が同時に、一誠へ攻撃を仕掛けた。

ドンッ!と二人の攻撃を直撃して一誠は数メートル地面を滑った。

 

「はぁ・・・・・ようやく、一撃か」

 

「先輩って・・・・・かなり強いですね・・・・・」

 

疲れたとばかりに息を一つ零す。二人の攻撃を受けた一誠は不気味に静かだった―――。

 

「・・・・・ははは」

 

不意に、一誠が笑った。川神百代と織田信長は怪訝な顔で一誠を見詰めた。

 

「懐かしいなぁ・・・・・この感じ、この戦い方・・・・・まるであの時のようだ」

 

「何を言っている?」二人は分からないとばかり、首を傾げると―――。

 

「うん、お前らなら俺の本来の力でも戦えるかもしれないな」

 

「本来の・・・・・力・・・・・?」

 

「ああ・・・・・俺に久々に戦いを楽しませてくれそうなお前達にこの力で戦おう・・・っ!」

 

カッ!

 

一誠が一瞬の閃光に包まれた。宙に浮き始め―――、

 

禁手(バランス・ブレイカー)ッ!」

 

力強くそう言い放った。光に包まれた一誠はやがて光から姿を現す。

―――キラキラと輝く金の長髪の頭上に金色の輪があり、

翡翠と蒼のオッドアイの瞳に背中に六対十二枚の翼を生やすその姿はまるで―――天使。

 

熾天使変化(セラフ・プロモーション)

 

一誠は嬉しそうに言った。

対して二人―――いや、この場にいるオーフィス以外の全員が目を丸くした。

 

「い、一誠・・・・・その、姿は・・・・・」

 

「喜べ、この姿を見せたのはオーフィス以外いなかった。

つまり、お前ら全員が二番目ということだ」

 

金色の翼を大きく広げた。その姿に幻想的で、神の使いで舞い降りた天使そのもの。

 

「綺麗・・・・・」

 

「さぁ、もっとお互い楽しもうじゃないか」

 

光の魔力で具現化した弓矢を―――上空に放った次の瞬間。

 

「踊れ」

 

ガガガガガガガガガガガガッ!

 

グラウンドは激しく降り注ぐ矢の舞台と化と成った。

 

「こ、これは・・・・・っ!」

 

ドグンッ!

 

「ぐ・・・・・っ!?」

 

「信長、お前は俺の血を受け継いでいる英雄のクローンだ。

だから、お前もこんな力を振るえるはずだ」

 

一際大きく鼓動した体に織田信長の腕が蛇のような鱗に覆われ始めた。

その腕を見て一誠はそう言った。

 

「私にも・・・・・先輩のような力が・・・・・!?」

 

「ああ、もしかしたら唯一・・・俺に対抗できる存在だろうな」

 

降り注ぐ矢が一つになり―――織田信長へと真っ直ぐ向かった。

 

「(私が、先輩のような力に、存在になれる・・・・・?)」

 

妙に辺りが静かだった。だが、何故かそれが心地よかった。

 

「お前は俺で、俺はお前・・・・・かもしれないな」

 

「―――――」

 

ドクンッ!

 

一誠の言葉を耳にした途端、織田信長の中の何かが弾けた。巨大な矢はすぐ目の前、

彼女が今すぐ避ける暇すらなかった。だが―――。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

織田信長の体に流れる一誠の血が彼女の新たな力を目覚めさせた。

彼女から噴き上がるオーラが雷を弾き飛ばして防いだ。

 

「先輩・・・・・っ!私の全てを受け入れてくれますか・・・・・?」

 

「ああ、全て受け入れる」

 

「そう・・・・・ですか・・・・・」

 

彼女は幸せそうに笑んだ。そして―――。

 

「嫌だったこの力を・・・・・解放します!」

 

全身に鱗が覆い、背中に大きな翼と腰辺りにドラゴンのような尾が生え出した。

 

「鉄心」

 

「なんじゃい」

 

「俺と織田信長は途中で欠席させてもらう」

 

一誠は彼女から発する魔力のオーラに笑みを浮かべたままそう言う。

 

「この世界が生んだ奇跡と戦うにはこの学校は狭過ぎる。

もっと―――広い場所で戦おうか。オーフィス!」

 

オーフィスを呼んだ一誠。そんな一誠に当然のように肩に乗っかったオーフィス。その直後、

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

狂喜の笑みを浮かべた織田信長翼を羽ばたかせて宙にいる一誠へと向かった。

そんな彼女に背を向けて一誠はどこかへと飛んで行き、織田信長もそんな一誠の後を追う。

 

―――日本海―――

 

「「はぁあああああああああああああああああああああああっ!」」

 

何度も何度も激しい轟音を海上や空中に鳴り響かせる二つの影。

時折、二つの光線が同時に放たれて相殺され、拳や足で殴り合い蹴り合いなどして思う存分に

戦いを繰り広げていた。例え、二人を中心に海が荒れようが空間が歪んでいようが構い無しに。

 

「あはははは!あはははははははは!楽しい、楽しいです先輩!

もっと、もっと私と熱く一つになるぐらい燃え上がりましょうよ!」

 

「望むところだ!」

 

今まで溜めに溜めこんだモノを、鬱憤を晴らさんばかりに自分から積極的に一誠へ攻撃する

織田信長に、何十年ぶりと一誠が求めていた激しい戦いをできる事に心から喜びを

感じている一誠。―――そんな二人の力に引き寄せられて、

 

『グハハハハハハハッ!なんだなんだ、面白い事をしているじゃないかよッ!俺も混ぜろ!』

 

『あの者は・・・・・なるほど、半龍人と化と成っているのですね』

 

『珍しい人間だな。主の力に反応して力が覚醒でもしたのか?』

 

『僕も混ざって良い?』

 

『お前はダメだサマエル。主を殺しかねない』

 

『おい、グレンデルが行ってしまったぞ。・・・・・吹っ飛ばされたがな』

 

蒼天にいる数匹のドラゴンたちが現れたのだった。

 

『・・・・・グレンデルを放っておいて、戻るぞ』

 

『そうですね』

 

『はーい』

 

一匹のドラゴンを置いてドラゴンたちは自分の住処へと戻って行った。

 

『グハハハハハッ!』

 

「この招かざる客が!」

 

「先にこの怪物を倒しましょう!」

 

二人は取り残されたドラゴンと共闘して戦う事と成ったのであった。

 

 


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