真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改 完結   作:ダーク・シリウス

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Episode8

 

―――???―――

 

 

「我々ノ任務ハ蒼天ノ国ニ侵入シ、重要人物ヲ招待ノ形デ拉致スル。失敗ハ許セナイ」

 

『ハッ!』

 

「・・・・・時間ダ。作戦ヲ開始スル・・・・・」

 

 

―――蒼天―――

 

 

カンカンカンッ!ギュィィィィィンッ!

 

「ほら、もう少しで完成やで!お前ら、気張っていくでぇっ!」

 

『了解です!』

 

「真桜、精が出るな」

 

「もう少しで完成するんやで、あったりまえやろ?」

 

何百人の作業員が作業している中、ニッと朗らかに笑を浮かべる真桜とそんな彼女に釣られて

微笑む一誠がいる場所は、地上から百キロ上空まで伸びている建物の中。

 

「この調子だと、確実に夏休みの間で完成するな」

 

「そっから一誠がパパッと月との間に宇宙施設を作って、そっから月まで行くって感じやね?」

 

「その通りだ。月にコロニーを建設するにもまた数年掛かるかもな」

 

「ウチらが爺ちゃん祖母ちゃんになった頃にはとっくに完成しているって」

 

金槌を片手に真桜はそう言う。一誠は鉄の板を何枚も重ねて持って「そうだな」と同意する。

 

「んー、楽しみやなー♪人生最大のウチが作ったもんが未来まで残ると思うと嬉しいもんや」

 

「その上、歴史に名を残すだろうな。誇らしいことだ」

 

「そうやな!」

 

「さて、完成までもう少しだ。頑張るぞ」

 

「了解や!」

 

真桜の気合の声に一誠は嬉しそうに笑みを浮かべた。真桜とこの巨大なタワーを作った

期間は長い。そして、このタワーは掛け替えのない蒼天のシンボル、象徴である。

完成まで間近。―――しかし、

 

ズゥゥゥゥゥゥゥンッ・・・・・・!

 

建物に地鳴りが生じた。一誠と真桜、何百人以上の作業員が手を止めて唖然となった。

 

「なんや、地震・・・・・・?」

 

「いや、この国の大地は海底と繋がっていない。こ

の国は海に浮かんでいる状態だ。地震なんて絶対に起きやしない」

 

「じゃあ・・・・・なんなんや?」

 

疑問が尽きない真桜に一誠は脳裏で様々な可能性を浮かべ出した。

その時、作業員専用のエレベーターから一人の作業員の男が出て来て、一誠のこう告げた。

 

「た、大変です!この建物は攻撃されています!しかも、大量の戦闘機に!」

 

『なっ!?』

 

「さ、さらに上空からスカイダイビングしてくる不法侵入者も確認しました!現在、国の警備が

民間人の避難をし、軍隊が戦闘機と不法侵入者へと迎撃に向かっております!」

 

「・・・・・」

 

「一誠さま、ご指示を!」

 

作業員が懇願するに対して一誠は、「東西南北の区の王たちは?」と尋ねた。

 

「は、はい!それぞれ区の民間人の避難と、国の警護を当たっております!」

 

「わかった、あいつ等のことは放っておいても問題ないだろう。

―――全員!急ぎ、地上へ降りて非難シェルターに迎え!」

 

『了解です!』

 

異口同音で発した作業員たち。非難するため、地上へ降りるため、

滑り台のようなトンネルの中へ入っていく。

 

「真桜。俺と一緒に来い」

 

「当然やでぇ?さっさと片付けて完成させるんや!」

 

―――天―――

 

空は数多の戦闘機が蒼天をミサイルやロケットで攻撃をしていた。

それは、蒼天に上空に浮かぶ複数の巨大な大陸も例外ではない。

その大陸に住んでいるドラゴンたちがこの状況に何もせずにいないわけなく、

 

『グハハハハッ!なんだなんだ!大量の蝿がウロチョロ飛んでんじゃねぇかァッ!』

 

『俺たちに攻撃していると言うことは―――俺達も攻撃していいと言うことだな?』

 

『わぁーい!一杯遊ぶぞぉっ!』

 

『我は下の大陸の護衛に回ります。ゾラード、上の方を任せます』

 

『任せろ。主も迎撃しているだろう。我らも我らで動く』

 

それぞれ、自分の役目を行おうと動き出す。

 

―――地―――

 

「慌てず!非難施設のシェルターへ!」

 

「何時も通りの避難訓練のように動いてください!」

 

東西南北の区の民間人の避難の誘導をしていた。その中に、元四天王の橘天衣の姿もいた。

 

「(なぜ、今頃攻撃をしてくる・・・!私たちの国が一体何をしたと言うんだ・・・っ!?)」

 

見えない黒幕に怒りを感じる。恐怖に怯え、我先へと避難する民間人たち。

その民間人の命を守るべく警備隊がいる。

 

カッ!

 

一瞬の神々しい光が上空から生じた。その光に目を向ければ、

一匹の巨大な金色のドラゴンがいた。さらに、蒼天を覆うように金色の膜が視界に入った。

その金色の膜にミサイルやロケットが直撃しても、罅一つすら入らない。

 

『敵の攻撃は我が食い止めます!早く非難を!』

 

「(ドラゴン・・・・・!)」

 

この国を守る守護龍と蒼天に住む人々はそう呼称している。

橘天衣自身もドラゴンを見たことがあるのは片手で数えるぐらいでしかない。

が、これは安心して誘導できるというもの。

 

「―――守護龍が私たちを守ってくれる!皆さんは速やかに非難を!」

 

―――人―――

 

蒼天の国を守るように造られた外壁の外に物々しい装備をした侵入者たちが海から、

空から現れる。しかし、蒼天の国は金色の膜が張られて侵入が不可能となり、

真正面から侵入する事となった。

 

「ここから先は一歩も通さん!」

 

青龍偃月刀を持つ愛紗を筆頭に武の心得がある少女たち、

巨大なパワード・スーツを装着している数十人の蒼天の人間達が待ち構えていた。

 

「皆、この国を守るんだ!全軍、突撃ぃっ!」

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』

 

その瞬間、数十人の兵士たちが一斉にパワード・スーツのスラスターを起動させて侵入者達に

向かって行った。

 

「俺達の国に襲撃してくんじゃねぇよ!」

 

「この侵略者どもが!」

 

「お前らにこの国を侵略されてたまるかぁっ!

やっと掴んだ幸せをお前たちなんかに奪われてたまるかよっ!」

 

手に持っていた巨大な銃器で撃ち続け、侵入者達を屠っていく。

しかし、彼らだけ活躍していない。

 

「はぁっ!」

 

愛紗も得物を振るい続け―――敵の命をその手で奪って行く。

 

「・・・・・っ」

 

人の命を奪うのはこれが初めてである。愛紗は震える手を白くなるまで得物を握りしめた。

 

「(これが人の命を奪う感覚・・・・・!

ご主人様の言う通り、『覚悟』がなければ相手にやられてしまう・・・・・っ!)」

 

何時までもこの感覚に浸っていられるわけもない。敵は待ってくれないのだ。

自分と同じこの国に住む民が蒼天を敵から守ろうと必死になっている。

 

「(一誠さま・・・・・どうか、私に勇気をください・・・・・!)」

 

―――川神市In島津寮―――

 

「おいおいおい!なんだよこの光景は!?」

 

「一誠さんの国が襲撃されている・・・・・っ!?」

 

「一体どこの国が襲っているって言うんだよ」

 

「一誠・・・・・」

 

―――九鬼家極東本部―――

 

「母上!我ら九鬼家の軍事力で蒼天の援護に行かせて欲しいです!」

 

「我からもお願い申し上げます!」

 

「・・・・・いや、我らが介入したところで意味がないであろう」

 

「意味がない?それは何故ですか!?」

 

「我らも介入すれば、我ら九鬼家も襲撃に加担しているのだと旅人―――いや、

兵藤一誠に疑われてしまう恐れがある」

 

「一誠がそんな事を・・・・・っ!」

 

「それに、あの国は我ら九鬼家の傘下でもない上にあの国の問題である。

下手に我らが動いたら矛先は我らにも向けられる恐れがある、故に―――我らはこのまま静観する」

 

―――蒼天―――

 

「はぁ・・・・・懐かしいもんだよ」

 

ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!

 

「こんな感じに襲撃されるのは」

 

一機の戦闘機を魔力弾で撃墜させた一誠。直江大和達には教えていない力、

魔法で空高く浮遊して敵を倒しているが一誠の顔に疑問の色が浮かぶ。

 

「しかし・・・・・どうして今頃になって襲ってくる?分からないな・・・・・」

 

両手を横に大きく広げて気と魔力を集め―――レーザーのように撃ち始めた。

それによって一気に複数の戦闘機が撃墜したのだった。

 

「まっ、捕獲した捕虜に訊けばいいか」

 

視線を上空に向けた。そこには空中で動きが停止した幾つかの戦闘機が漂っていた。

 

―――海―――

 

蒼天から数十キロ離れた海上に空母及び対地、対艦、対空の船が鎮座していた。

その船の中にいる彼らはとある国の命令で蒼天を侵略作戦に投入された人間たちである。

 

「艦長、本当ニ・・・コノ作戦ハ上手クイクノデショウカ?

今サラアノ国ヲ侵略ダナンテ・・・・・」

 

「我々ハ、タダ命令ヲ従ウシカナイ」

 

「シカシ、ドラゴンヲ倒セルトハトテモ・・・・・」

 

「―――ああ、思っているならそれはおこがましいというやつだ」

 

「「っ!?」」

 

不意に、背後から一人の船員の言葉に続くように語る存在が現れた。

侵略作戦の全艦隊を指揮する総艦長と一人の船員が背後に振り向けば―――。

 

「お前らの船、すでにドラゴンたちが包囲している。命が欲しければ蒼天に投降しろ」

 

兵藤一誠がそこにいた。背中に六対十二枚の金色の翼を生やして・・・・・。

 

「それともまだ続けるか?どこかの国の命令に従って死ぬのが火を見るより明らかだけどな」

 

「・・・・・」

 

「投降すれば命までは取らないつもりだ。お前ら全員、国に帰す約束もして良い。

ただし、この船は貰うがな」

 

船を貰う代わりに自分達の命を保証してくれる。

おめおめと国に帰れば自分達は上層部達から疎まれ、非難されるだろうが、

自分や他の船員には自分達の帰りを待つ家族や友人、恋人がいる。それを考えると―――。

 

「・・・・・約束シテ欲シイ」

 

「ん?」

 

「部下達ノ安全保障、国ニ返シテクレルト」

 

「カ、艦長・・・・・!」

 

艦長の言葉に首を縦に振って頷いた一誠。

 

「部下思いの良いヒトだな。了解、必ず約束を果たそう」

 

「・・・・・感謝スル」

 

深々と頭を下げる艦長。蒼天の侵略作戦は失敗と終わり幕が閉じた。

その後、国外から侵略してきた船と戦闘機を蒼天の軍事力に加え、

侵略作戦に投入された海兵、船員達は無事に帰国を果たしたのだった。

 

―――数時間後―――

 

「まさか、あの国がなぁ~。これも俺たちドラゴンの力に引き寄せられた結果かな?」

 

「我、分からない。でも・・・・」

 

「うん?」

 

「また、同じことが起こる」

 

夜、ベッドの上で寝転がる一誠に覆い被さるように乗るオーフィスが意味深なことを発した。

 

「また、戦いが始まる」

 

「・・・・・そうか」

 

「イッセー、戦いは嫌い?」

 

「好きな奴がいれば、そいつは戦闘狂だ。―――俺はオーフィスとこんな感じで静かに、

平和の中で過ごしたい」

 

「ん・・・・・我も、イッセーとずっと一緒がいい」

 

オーフィスは徐に一誠の顔を覗き込んだ。

 

「でも、我は、皆と過ごすことも願う」

 

「・・・・・そうだな。俺も、皆と過ごしたい」

 

そう言いながら視線を扉の方へ向けた。

 

「入って良いぞ」

 

と、誰かを招く言葉を発して促せば、扉が勝手に開いて・・・・・寝間着姿の愛紗が入ってきた。

 

「・・・・・夜分遅く申し訳ございません」

 

「気にしていないさ。―――おいで」

 

「・・・・・はい」

 

扉を閉めて真っ直ぐ一誠のもとへと寄る。

愛紗はベッドに上がって一誠の隣で横になると一誠にしがみついた。

 

「・・・・・」

 

敢えて一誠は何も言わず、愛紗の黒髪を撫でる。夕餉の時に各区の報告を訊き、

一誠は理解したのだ。―――家族が初めて人を殺したのだと。

その恐怖心に耐えきって敵を倒しきって国を守った英雄達に数日間の休暇を与えたのだが、

それだけで彼女達の心は晴れるわけがないし思ってもいない。

その証拠と、その証明とこうして愛紗が一誠に何かを求めるように現れたのだから。

 

「愛紗、ありがとう。よく頑張ったな」

 

「・・・・・はい、ありがとうございます」

 

「・・・二度と、お前達の手を血で汚さないようにする。

それまで堪えてくれ。お前達の罪は全て俺が背負おう。だから・・・・・俺の傍にいてくれ」

 

愛紗の手を恋人繋ぎのように握り、真っ直ぐ愛紗に向かって言った。

その言葉を訊き、瞳を潤わせて体を震わせ始めたのだった。

 

「はい・・・っ。私は・・・何時までもあなたのお傍に・・・・・!」

 

「ありがとう・・・・・愛紗」

 

「一誠さま・・・・・!」

 

二人は抱きしめ合い、さらに絆が深まった二人はそのまま夜を過ごしたのだった。

 

 


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