ハドラー子育て日記   作:ウジョー

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オレの地獄の爪でつらぬけぬものなど この世にないわっ!!

―――――――ダイがたまごから孵ってから1週間ほどたっただろうか―――――

 

スゥ・・・・ スゥ・・・・・

 

「まったく この小さな体のどこにあんなでかい声で泣き続ける体力があるんだ?」

 

『そうですね 今のダイの体では外見相応の人間の赤子よりも体力的には高いはずですが

流石にこれは不思議ですね・・・ 

それにこの天界では食事や寒暖による苦痛はないのになぜ泣いているのでしょうか?

わからないことだらけです』

 

「もしや その必要のない食事がかえってストレスになっているのではないか? 

本来腹を満たしているはずのものがないということが不安にさせているのでは?」

 

『なるほど それは思いつきませんでした 元々 私には食事の習慣などないので

しかし仮にそうだとしてもこの天界では食事を用意することができないのですが』

 

天界にも色々と事情があるのだろう しかしどうしたものか と何気なくダイの顔をつついていると

その指をかじられた

 

「むう オレの手は食えんぞ」

 

もう歯が生えはじめているもののまるで痛くはない が、どこか 心地よい

 

『流石に食べませんよ』

 

聖母竜も笑っているように見える

ダイは夢中でオレの指をかじり続けている 額の紋章も今は輝きもせず ただそこにある状態だ 

こうやって時折訪れる静かな時間 このただおだやかなだけの時間・・・ 悪くはないが

 

「最初におまえに聞いた話では ダイは以前の知識と記憶をほとんどもっているはずだったが 

今ここにいるダイは喋るどころか ほとんど泣いてばかりでそんな様子はないように見えるが?」

 

『・・・・・・ それは おそらく体と心のバランスがまるでとれていないからではないでしょうか

いくら頭の中が以前と同じものであったとしても 現状は身動きも満足にとれない 赤子です。 

不自由と不安が余計にあるのかもしれません』

 

「なるほど もしそういうことならダイが順調に成長すれば自然と解消されそうだな」

 

 まあそうだとすれば今ここで泣きだしても うてる手段は相変わらず ない ということだが・・・

 やれやれ この一週間常に感じることだが 血のつながりどころか まるで手がかりもないような状態から

拾った赤子を見事に育ててみせた バルトスやブラスは尊敬に値するな 

正直なところ 魔軍司令時代の中間管理職の苦悩の方がまだマシだと感じる時もある

 

「で、ダイはこのあとどれぐらい赤子の状態なんだ?」

 

『わかりません』

 

「おい 最初に一年と期限を言っていたはずではなかったか」

 

『何分はじめてのことづくしのことですから 一年というのもあくまで目安のようなもので

少なくともダメージの回復は一年以内に問題なく終わるはずです。

私自身も尽きかけていた生命がこの天界にいる間に少しずつ回復していますし』

 

「なんだと?それは初耳だぞ」

 

『たしかに期限をこちらから言っておきながら そこに不明瞭な点があるのは 申し訳ありません』

 

「そこではない おまえの生命が尽きかけていただと? どういうことだ!」

 

『ええ かつてダイがバーンとの敗戦でその命が尽きようとした時に その体に私の力を与えたことは

以前お話しましたが そのとき既に私には新たな竜の騎士を生み出す力さえ残っていませんでした』

 

・・・・・・・・・・・

 

『そしてダイを保護しこの天界に連れてきて あなたに仮初の体を与えたところでもうエネルギーはほとんど

残ってなかったのです』

 

「では もしオレがダイの世話を断っていたら?」

 

『・・・どうなっていたことでしょうか お互いそのまま消滅して ダイのたまごだけがこの天界にただひとつ

漂っていたのかもしれませんね』

 

「・・・・・・・そうか」

 

自らの消滅も覚悟の上で オレを頼ろうとしたのか そんなことを考えるようになった 自分にも戸惑った 

今日はそれだけヒマなのだ そういうことだ 

 

 

 

結局 今日はかつてないほどに穏やかな一日となった ダイはたまに目が覚めるとオレの指を 

歯をたてることもなく吸い付き また寝るだけだった 

オレの爪はかつて多くの敵の体を貫いてきたが こんなこともできたのだな・・・・・・

 

                  ハドラーはレベルがあがった

 

                  ちからが1あがった

 

                  すばやさが1あがった

 

                  たいりょくが2あがった

 

                  かしこさが2あがった

 

                  うんのよさが3あがった

 

                  さいだいHPが3あがった

 

                  さいだいMPが3あがった

 




原作でハドラーの「地獄の爪」は 初登場から使用され・・・
ヒュンケルを鎧ごと貫いてメラゾーマを流し込んだり(それでも素で生きてるヒュンケル)
超魔生物化しても、ダイに深手を負わせ(バランを激怒させ散々にボコられたが)
死の間際 死神を貫いてアバンを助けたりと要所要所で使われるので個人的にはお気に入りだったので
活躍時を探していました(その結果がおしゃぶりなのが今考えればこのSSの方向性を決定付けたっぽい)
正確に言えば「地獄の爪」はハドラーの手の一部とはいえ(ウォーズマンのベアクローように)
普段は手の甲に格納されており指についてる普通の爪とは多分違うのですが・・・

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