Persona 4-マニアクス-   作:ソルニゲル

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第74話 Various Speculation 1月23日(月) ~25(水)

 

 

「最後に聞きたかったのだ、人修羅よ。」

「なんだ、クソ野郎…」

 

シンは壁に寄りかかりながら、セラフを見た。

鳴上も壁に凭れ、荒い呼吸をしていた。

仲間たちは気絶しているのか、倒れたままである。

 

至高の魔弾は鳴上が『仁王立ち』と『食いしばり』でなんとか防ぎ、耐えた。

 

鳴上達の後ろにはシンが囚われていた場所まで一直線に通れるような穴が空いていた。

 

「コトワリを持たずしても、あの停滞する世界は創造出来ただろう。なのに、何故、混沌のコトワリを持ちて、あの世界を停滞させた。」

 

「…停滞とはお前たちのように神を盲信し自分で考えることを放棄したモノを言う。あの世界においてはなおさらな。」

 

シンは溜息を吐くと少し俯く

「それに、やはり、迷いがあったのかもしれんな…」

シンは天井を見上げる。崩れ落ちた天井、崩れた壁。

シンは崩れた壁を見ると一瞬だけ、後ろ空間を見た。

 

「結局、俺は中途半端な存在なのさ。悪魔にもなれない人間にも戻れない。そんなやつが、興味本位で深淵を覗いたんだ。そしたら、突き落とされた。」

 

シンはセラフを見る。

 

「だかな…クソ野郎…俺はいつも自分を信じて、そんな崖を跳躍してきた。深淵の底で、足掻いて飛び続けているんだ。…誰もいない世界で永遠とも思える時間をな」

「…」

「もう、戻れないと俺は知っている。知りながら、憧れてしまう。こんな世界に来てしまってからこそ、俺は尚一層、暗くなった底を這いずることになる」

 

 

「だが、俺はこの先も相も変わらず跳び続けていられると思う。何故だと思う。」

「……分からぬよ」

 

シンはニヤリと笑う。

 

 

 

「お前みたいな腐ったクソ野郎が臣下にいる神ってやつが、さらに腐ってると確信しているからだ。」

 

 

 

 

シンがそう言った瞬間、セラフの胸に突然、槍が突き出てきたあと、すぐに焔の剣がセラフを斬りつけた。

だが、槍が急所に突き刺さったが、剣はなんとか避けた。

 

焔の剣は轟音と共に地面に叩きつけられた。

 

 

「なん…だと…?どうやってここに…いつの間に…」

セラフは動揺しているようだ。言葉がうまく話せていない。

 

「何外してんのよ!バカ!クズ!変な頭!」

「すまぬ…だが、相手は熾天「うるさい!指図する暇があったら、とっととアイツを殺りなさいよ!」……うむ、だが、既に致命傷だ。」

スルトの頭を素手で殴るティターニア。

スルトは肩に焔の剣を乗せた。

 

突然、ゾロゾロと悪魔たちが現れた。

そして、その、後ろはあの吹き抜けの部屋がある。

 

「まさか……登ってきた…だと…!?」

「寧ろなんでちゃんと階段を登らなきゃいけないのよ。シンが至高の魔弾を撃ったからすぐに場所がわかったわ。階段もないし、仕方ないから飛んできたわ。」

ティターニアはそういうと、鼻で笑った。

 

セラフは突き刺さった槍を抜くが傷が深くマガツヒが漏れ出す。白いローブと白い翼は赤く染まっている。

セラフはその傷を見ると、そのまま地面へと落ちた。

 

「ま、まさか、この事を予測していたな!?貴様!

この我を陥れるとは。それも…当たる直前まで…我が気付かぬと……は……」

セラフは槍を投げたクー・フーリンを見る。

 

「あまりにも弱いですね。セラフ」

クーフーリンは槍を抜くとつまらなさそうに言った。

 

 

「我は…セラフの一部に過ぎぬからな」

 

 

「…哀れだな。分霊とはいえ、そのマガツヒを生かせぬまま、消え去るとはな」

シンは立ち上がると、セラフを見下ろし嘲笑する。

そんなセラフは笑みを浮かべる。

 

「フフフッ……私は…神の意思だ…私は死なぬ…」

「別に構わん。何度でも殺せばいい」

 

シンはそういうと、セラフの頭を片手で掴むと嘗てトールが勇にしたように、マガツヒを吸い始めた。

 

「貴様が…我が主に気に入られている理由が…少しばかり………理解できた……ただ、選択を間違えた………だけなのだ………な」

 

痙攣を始めたセラフはそう微笑みながらマガツヒを大量に放出する。

やがて、動かなくなった。

 

 

「…どう?セラフの味は」

ティターニアの言葉にシンは嫌悪感を顕にする。

 

「…相変わらず、不味い」

 

鳴上はその言葉を耳にしたあと、気を失った。

 

 

 

 

 

 

「……ゆ……悠!」

そんな花村の声で鳴上は目を覚ました。

辺りを見渡すとそこはテレビの世界であった。

それも、入口の広場である。

 

「やっと、目覚ましましたね」

「本当に心配したんだよ!センパイ!」

「…これで、一安心かな?」

 

仲間たちが心配そうに鳴上の顔を見ていた。

鳴上はゆっくりと立ち上がり、鳴上は張本人に事の次第を尋ねる。

 

 

「どうなったんだ?」

「端的に言えば、セラフは死に俺達とお前たちはなんとか、ここまで帰ってこれたという訳だ。」

シンは肩をすくめた。

 

 

「しかし、本当に来るとは思わなかった。」

「何言ってんっスか。」

「友達だから、とーぜんでしょ?」

完二と千枝の言葉に皆が頷いた。

 

シンは数秒、固まったあとにため息を吐いた。

そして、頭をポリポリと掻く。

 

「相変わらずの、お前たちは……お人よしだな。だが、」

 

 

「ありがとう」

 

 

混沌 ランク8→9

 

 

その後、シンのあの時の真意を皆が尋ねる。

 

シンはギリギリまで粘っているつもりでいた。

事実、それぞれの技は最大出力には程遠い。

そして、それぞれの技で建物の強度を調べていた。

 

だが、楽しくなってきてしまって自制が効いていなかったのも事実である。

 

しかし、唯一最大出力を持ってして放った技があった。

 

『至高の魔弾』である。

 

これは賭けに近かった。壁に穴を開けるほどの威力を鳴上達に放った。

結果はご覧の通りマガツヒにならず気絶で済んだ。

 

セラフがなぜ直接、シンと戦わなかったか。

それは、まだ鳴上たちの世界に来る前に激戦を遂げていたからにほかならない。

 

故にこの世界に来る前にシンは気を失っていたし、同時に本当に休養が必要であった。

ルイはそれを踏まえた上でこの世界にあらゆる思惑を混ぜ込み、シンを連れてきたのだと鳴上達に話しながら思ったのだ。

 

あのセラフはセラフの一部でしかない。故に人間の形をしていたし、クーフーリンのゲイボルグで一撃死となった訳である。

 

「それで、僕たちの成長具合はどうでしたか?」

直斗は呆れた様子で尋ねる。

 

 

「悪くない」

 

 

そう答えたシンの頬をバチンとマリーが叩いた。

 

「サイテー、サイアク」

「知っている」

シンの言葉に鳴上たちは笑った。

 

 

一方、シンは誰にも気付かれずにニヤリと笑った。

こうして、怒涛のようなシン救出はいとも簡単に終わった。

まるで『悪い夢』のような出来事も終わった。

 

それと同時にシンの思いつきの目的もまた果たされたのであった。

 

さて、不思議なことに当たり前のように学校では、全員がシンのことを覚えていたし、当たり前のように休み扱いとなっていた。

 

何事も無かったようにこの町はシンを受け入れていた。

 

 

 

 

25日…

 

所代わり、ケヴォーキアンの病院にシンは来ていた。

 

 

 

 

「可能だろうか?」

「不可能ではないだろうな。元来、人間の体というものは入れ物という考え方がある。」

 

ケヴォーキアンはペンを回しながら答える。

 

シンはケヴォーキアンの言葉に付け足すように言う。

「実体二元論か。

この世界には、肉体や物質といった物理的実体とは別に、魂や霊魂、自我や精神、また時に意識、などと呼ばれる能動性を持った心的実体があるのではないかという考え方だな。」

 

そして、シンは鼻で少し笑いながら言った。

 

「この魂や霊魂が俺の知る思念体を魂とするなら、真実だな」

「残念ながら、私はその思念体を知らなんでな。だが、実に興味深い問題ではあるな。

霊なるものが心の強さつまり、意志の強さが作り出したものだと考えるなら、何となくだが、説明はつく。

恨みを抱いて死んだ者が幽霊となって現れる。」

 

「また、ペルソナは心の奥底、つまり、ユングの集団的無意識からその形を呼び出す。故に神話の神や悪魔が心の力となって表に出る。自分と向き合う強さがペルソナとなる。」

 

「心あってこその、証明だがな」

 

ケヴォーキアンは咳払いをすると言う。

 

「まぁ、俺にとって心はあると思っているよ。それは科学的根拠のないモノだがな。

事実、メリーに感情が芽生えたことが良い証左だ。だが、未だにメリーの感情の芽生えに納得のいく答えが出ていないのだからな。」

 

ケヴォーキアンはペンを止める手をやめた。

そして、シンの持ってきた資料に目を通す。

 

「…ふむふむ……」

 

ケヴォーキアンは資料に軽く目を通して口を開いた。

 

「俺は降霊術士ではない。降魔というべきものなのだ。それに、俺はそう長くは生きれんよ。」

 

「……データだけくれ。邪教の館でできるかもしれん。」

「仕方あるまい。やれるだけ、やってみようか」

ケヴォーキアンはそういうと、椅子から立ち上がった。

 

「今日中にもメリーをお前の家に帰す。」

「わかった。」

 

シンは処置室から出ると、念通をする。

 

『事後処理はどうだ?』

『問題なく。アマラ経絡も閉じあの世界は無になりました。』

『メシア教徒は』

『仰せのままに、カブキチョウ捕囚所に送り、例のシステムの中で楽しんでいますよ。永遠にマガツヒを吸われる運命だというのに、愚かな者共だ。』

ヤマは少し楽しそうに答える。

 

 

カオス勢力には本当に手のつけられない外道もいる。

種族的外道ではなく、本当に手を付けられないモノも。

混沌の連中を統率が取れるというのは、半分当たっていて、半分は意味不明なことなのである。

 

統率というよりは、力による統率。圧倒的な力を持ってそんな手の付かない連中を手懐ける。

それに目的が同じであれば、無理矢理にやる必要もない。

 

あの世界はコトワリに縛られているのだから、尚更である。

 

そんなやつらはカブキチョウ捕囚所でマガツヒの搾取の仕事をしている。

外道には外道の仕事がある。

 

カブキチョウ捕囚所は他の勢力の悪魔が殆どでまた、その数の多さから、最近拡張したばかりである。

 

それをまとめているのがヤマである。

 

恐らく、シンの仲魔でもlightやlawの仲魔は絶対に行きたがらない場所でもある。

残虐非道のありとあらゆる手段でマガツヒを掻き集めている。

 

そして、先ほど、言っていたシステムとは嘗て『アルカディア・エリア』という場所で使われていたものである。

仮想世界を作りそこで、生活をさせる。

 

そこはまさに『アルカディア』

 

そして、システムでより多くマガツヒを集めるために神の試練と称して、苦痛を与える。

その苦痛を感じた際に現実世界の体からマガツヒが放出される。それをターミナルを通じて宝物庫へと送る。

 

効率は落ちるものの人間であるが故に濃いマガツヒが抽出できると外道には好評である。

ストレス発散は別に有り余る捕囚が居るので問題ないからである。

 

 

それに、5万もの大群が数の暴力により、カテドラルの天使たちは死に絶えた。

しかし、残りの悪魔たちはアマラ深界での待機をと索敵命じられたのには、ルキフグスの読みがあったからである。

 

『王を消し去るのが目的ではないか」と。

 

怪しい点が多かったし、過去の事例もある。

つまり、天使たちは救世主を欲しているのだ。

悪魔ではない、人修羅と同じだった人間の救世主を。

 

だからこそ、ルキフグスは王不在で王救出に強いメンバーを集めると考えた天使達はこのタイミングで深界を攻撃すると考えた。

 

そして、結果は読み通り天使達が深界へと攻めてきた。

 

だが、ピクシーの要請できた『必殺霊的国防兵器』達とモトやシヴァなどの錚々たるメンバーに迎撃され、相手は撤退した。

 

 

 

『しかしながら、あなた様がこちらにいらっしゃらないと、色々と文句をいうものがおりますので、お早めに帰還してください。』

 

『…わかっている。こちらもそろそろ、この世界のごたごたが片付く頃合いだ。』

『?それは予想ですかな?』

『春というのは何かが終わり、始まる季節だからだ。』

『そういうものですかね?』

 

シンは肩をすくめる。

そんなシンに一月にしては少し暖かい風が吹く。

 

「…もう少ししたら、春だ。」

 

 

 

 

 

 

『組織に必要なことって何だと思う?』

『さあ?団結力とかですかね?』

『そんなものは当たり前の話で、必要なのは「話の分かる上司」に尽きる』

『つまり、自分は"話のわかる上司"だと言いたいんですね』

『そーいうことだ。』

 

 

 

シンは自宅でテレビで放映している映画を見ていた。

 

そこへ、ガチャガチャと鍵を開ける音ともに、見慣れた人物が入ってきた。

 

「お久しぶりです。」

「そうだな。メリー」

「……お食事はどうなされますか?」

「いらない。愛屋に行った」

「助かります。冷蔵庫に何もありませんので。」

 

メリーはいつもと変わらぬ表情でシン。迎えていた。

メリーは早々に掃除を始めた。

 

 

 

 

 

 

シンが起き上がると、固い床の上に居た。

「…」

 

シンは辺りを見渡すと、崩壊した家の中であった。

しかし、それはメリーと共に住んでいる家である。

だが、おかしなことに、周りの景色は濃い霧のようなものでみえない。

 

シンは立ち上がり、壊れた窓から外へ出る。

 

そこは妙な世界で、道路が途中で欠けていたり、街灯が歪み奇妙な形をしていたりと、テレビの世界に近い。

しかし、テレビの世界、独特の空気の重さがない。

 

「現実か?」

 

『そうとも言うし、そうではないとも言えます。』

 

シンは咄嗟に後ろに下がり声のした方へと『アギダイン』

を放った。

しかし、当たった気配はなく、遠くへと炎の塊は飛んで行ってしまった。

 

そして、空中に女と男が現れた。

それは紛れもなく、悪魔の召喚音に近かった。

煙を纏い、その姿を現した。

 

途端に辺りが明るくなってきた。

 

「こうして、しっかりと会えるのは初めてですね、人修羅さん」

「我々はこうして会えたことを嬉しく思う」

 

シンは構えを解く。

 

「姿が違うが、イザナミとイザナギか?」

 

シンが知っているイザナミ、イザナギは幽体に近かった為か、現在の2人はしっかりと実体化しており、力も感じる。

 

「はい。アマラ深界のF666、以来でしょうか」

「また、一段と強くなったようで何よりだ」

2人はシンと、同じ目線まで降りてきた。

 

「この様な場所で申し訳ありません」

「しかし、事は早急な解決が必要になる」

 

シンは腕を組み言う。

幻影(・・)の件か?」

 

「…流石ですね。」

「我々はやはり正しい選択をしたようだ。イザナミよ」

2人は頷く。

 

「あなたが滅びた世界のまま『停滞の混沌と秩序』の世界を創ったとき、私たちは疑念を抱きました」

「しかし、貴殿の心の強さはやはり本物であった」

「その進む方向はどうであれ、私たちは良きことをしたのですね」

2人は見つめ合うと身を寄せあい、微笑み合う。

 

「すまないが、イチャイチャするのは後にしてもらいたい。」

シンは呆れた顔で肩をすくめる。

 

「話を戻しますが、この世界にて、私やイザナギに似た『何かを』感じました。」

「我々が作りしこの日の国の一部に、我々は違和感を覚えた。イザナミの分霊が何か良からぬ事をしているのだと分かった。そこに、貴殿がいた故、汝が関係していると考えたのだ」

 

2人はシンを見る。その視線は疑念というよりは、本当にただ尋ねているだけに過ぎないようにシンには思えた。

 

「ある意味、そうなのかもしれない。イザナギの力を使いし少年を知っている。」

 

イザナギはふむと頷くと尋ねる。

 

「その少年は貴殿の目から見て、どんな人物か?」

 

 

シンは即答した。

「あなたに似た立派な少年だ。”黄泉”まで、友人を助けに来るような勇敢さと正しい心の持ち主であることは間違いない。俺の目が濁っていないのであればの話だが」

 

 

イザナギは大きく頷いた。

「貴殿の信じる者であるのなら、問題は無い。しかし、我はイザナミの方が心配なのだ」

「あなた…」

イザナミはポッと顔を赤くする。

 

「そちらは分からぬか?」

 

 

シンは憶測ながらも話をする。

「その少年に力を与えたやつがいる。だが、そいつは悪魔ではなく、多くの人々の意思を叶えようとしたのではないだろうか。」

 

「マヨナカテレビは人々の見たいという欲求を満たすために流れていた。マリーが言っていたスパイの話もある。人々の望みを知るために彼女が存在していた。 それは何故か、それは望みを叶える為ではないかという仮定をしてみた。」

 

「するとだ、色々と説明がつく。これまで全ての鳴上たちから出たシャドウは『真実から目を背けていた』。

例えば、りせは『自分というもの』から、直斗は『自分が女だという』真実から目を背けていた。」

 

シンは座ると、天を見上げる。

 

「あくまで、憶測であり、大きな穴の空いた推論だ」

「イザナミの幻影と言ったのは?」

 

「イザナミの幻影と言ったのは、単純にイザナギが出てきて、それに対である『マガツイザナギ』。『アメノサギリ』、『クニノサギリ』。産み落としたのはお前だ」

 

シンはそういうとイザナミを指さした。

 

2人はシンの言葉を聞き、顔を見合わせた。

「真実を話しましょう」

「我々が出ていけ(・・・・)ぬ、故に汝に頼みたい。」

 

「…先ほど、私達と『似た何か』と言いましたが、正直にお話しますと、私の一部であるこの世界における『イザナミノミコト』が良からぬことになっています。

そして、今の私達では日の国を訪れる程の力がありません」

「どんな形であれ、我々の分霊が多大なる力を使っていることに相違ないのだ」

「その制御が効かなく、こうして私達はあなたを呼び、解決をして頂きたいと考えました。」

 

2人の言葉にシンの返答は早かった。

 

「元々、そのつもりだ。」

 

 

「おお。忝ない」

「成功の暁には再び、私達の力を貸しましょう」

 

2人は微笑む。

 

 

「しかし、なんだこの鬱蒼とした場所は」

「ここは、私達の分霊の世界です。その為にここに呼ぶことが可能でした。」

「ここは深い霧に包まれ、この場所ではすべてが終わり、そして、始まる場所でもあるようだ(・・・)

「この場所は空の光さえ奪ってしまっているようです(・・・・)

「我々の光だけが、唯一の光」

 

シンは納得した。そして、理解し、鼻で笑う。

 

 

 

「お前ら閉じ込められてるんだな?出ていけない理由があるんだろう?」

 

 

 

 

「…」

「…」

 

2人は無言で頷いた。

 

 

 

つまり、2人は一部であった筈のその力がいつの間にか強大になり、本体の彼らさえ取り込もうとした。

それに抵抗するため、取り込まれたフリをしているという、少し情けない話である。

 

つまり、ここもテレビの世界である。

 

だが、この2人のおかげで空気は重くないのだ。

 

シンは少し苦笑いをしながら言った。

「なに、恥じる必要は無い。元の鞘にすべてが戻るだけだ」

 

「忝ない…」

「ご迷惑をおかけします…」

 

しょんぼりする2人に特に声をかけるとなく、シンはバアルを呼びつけ仮想ターミナルで自宅へと帰還した。




すげぇ、適当に終わった感がいなめないけど、色々と伏線を張りました。
それと、上手くというか、それなりに終わりにつなぐ話にしました。

シンの救出という話には作者的には色々と思惑があったので、はっきり言うとフラグ立てみたいな感じで書きました。

あと、P4Gとの互換性といいますか、矛盾が起きないようにやってますが、どう考えても欠陥があるので、そこはご愛嬌ということで

よろしくお願いします(´・ω・`)

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