Persona 4-マニアクス-   作:ソルニゲル

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この話しを含めた、23話、x2話は少し、急いで書いたので、おかしな点があるかもしれません、後程、修正していきますので、ご了承下さい。


問い続ける『文月』
第22話 Unexpected "Death" 7月10日(日) 天気:曇/晴


6月25日以降、りせの回復が望まれる中、変哲もないただの日常がシンの生活を満たしていた。

 

何故なら…いや…後に語るべきだろう。

 

シンは高校生活も慣れてきた。

だが、未だに人間の接することに違和感を覚える。

(うまくいかないものだ…)とシンは思いながら生活していた。

 

7月9日の夜には濃霧が立ち込めた。

これでまた一人救出できた。鳴上達はそう思い、目を閉じ眠っていった。

 

 

「…」

シンは深夜、自宅の窓から霧を眺めていた。

シンはこの静まりかえった世界に、自分が溶けていくような感覚で満たされていた。

温泉にでも浸かるような、満足感に満たされる。

 

 

メリーはそんな雰囲気を見てぼそりと呟く。

 

「…やはり、間薙様は"王"です。」

「?」とシンはメリーの方を見て首をかしげた。

「私はこれほど夜に溶け込み、幻妖な姿をした方を知りません。」

「…そうか。嬉しいね」とシンは淡々と答えると、ソファに座り軽く目を閉じた。

 

 

 

 

 

…7月10日。

 

町はサイレンに包まれていた。

鳴上はそれを気にし、窓の外を眺めていた。

(…何か、あったのだろうか)と鳴上は思う。

一抹の不安が鳴上の胸中に去来していた。

 

そこに携帯が鳴る。千枝からであった。

「はい。鳴上です」

「た、た、たいへん!商店街の外れで、し、死体が見つかったって!」

「!?本当か!」

「ね、なんで!?だって、あたしたち…とにかく、ジュネスで待ってるから、急いできて!」

 

鳴上は慌てて、携帯を閉じ階段を駆け下り、「行ってきます!」と菜々子に言うと、走って出て行った。

 

 

ジュネスの屋上に行くと、すでに天城と千枝、完二が座っていた。

千枝は鳴上に気が付くと、立ち上がり

「あっ、こっち!今、花村とシン君が現場見に行ってる。たぶん、もうそろそろ…」

そこに花村が走ってくる。

 

「ハァ…やっぱ、殺人だ。死体、アパートの屋上の手摺りに、逆さにぶら下がってたって…」

と花村は息を切らしながら皆に説明する。

「そんな…そんな事って…」

「それよか、大変なんだよ!!殺されたの…“モロキン”だ。」

「モ、モロキン…!?」

花村の思わぬ被害者に皆が驚いた。

 

「モロキンって、あのモロキンか!?先輩らの担任の…」

「な、なんで…!?なにそれ!?」

「知らねーよ!けど、見たヤツが居たんだ!間違い、ねーよ…」

と花村も慌てている様子である。

 

「んだよコレ…狙われんのは、テレビ出た奴じゃねえのかよ。

夜中の番組も、普通のニュースも、モロキン出てるとこなんて見た事ねえぞ!?」

「くそ…どうしてこんな事に…」

 

「…」

「…」

 

千枝は俯き言う。

「色々、分かったような気してたけど…結局、全部ただの偶然だったのかな…」

「マヨナカテレビも、本当は関係無いのかな…」

「ちっくしょ、ここまできて振り出しかよ!!やっぱり…警察も捕まえらんない犯人を俺らで、なんて…無理だったのか?」と花村は机を叩いた。

 

「諦めるのは早い」と鳴上は皆に言った。

 

「ったりめーだぜ、鳴上先輩!」と鳴上の言葉に完二は応える。

「そもそも、警察にゃ無理だろうって始めたんじゃねえスか。

オレらが腰砕けんなったら、犯人は野放しんなっちまう。

泣きゴト言ってる場合じゃねえ…オレらなりのやり方で、前進むしかねんだ。

間薙先輩だって言ってたじゃないっすか!

どんなことがあっても前に進むしかねぇって!」と完二はみんなに言い聞かせるように言った。

 

「完二くん…」

「ふん…完二のクセに、生意気だ。」と花村は完二を叩いた。

「な、何スかソレ!」

 

そこにゆっくりと歩いてくるシンが居た。

その隣にはクマが居た。

 

「お、おまっ…何でココに…!?」と花村は思わない存在に驚いた。

「クマさん、出ちゃっていいの!?」

「つか、出れるんかよ!?」

 

「そりゃ出口あるから出れるクマよ。今までは、出るって発想が無かっただけクマ。

でもみんなと一緒にいたら、こっち側に興味がムックリ出たクマよ。

シンクンのせ…」とクマは何かを言いかけ、シンに後ろから軽くど突かれた。

 

「痛いクマ…」とクマはシンにだけ聞こえるように言った

「秘密」

「…そうだったクマ」とクマは思い出したように言った。

 

「え?なんだって?」と花村が不審がる。

「それで、それで、考えてみたら行くトコ無いし、戻るのも勿体無いし、椅子に座ってて、まってたクマ」とクマは慌てた様子で話をする。

「そこに俺が鉢合わせた。それでここに連れてきた」とシンは言う。

 

シンは続けて、自分が調べてきた情報をみなと共有する。

 

「…俺が聞いた話では、やはり被害者は諸岡金四郎。」

「やっぱり…」と天城はショックそうにため息を吐いた。

 

「もう一回しつこく確かめるけどさ。

あっちの世界の霧が晴れた時まで、中にはお前だけだったんだな?」

「そう言ってるクマ」

「でも、天城先輩の話だとすっと、今度こそしくじらねえように、

いよいよ外で殺りやがったって事か。クソ…もしそうなら、

もう犯人押さえねえと防ぎようねえぞ!?」と完二はため息を吐いた。

 

「手掛かり要るよね…りせちゃん、そろそろ話聞けないかな。」

「そうだな…それに期待するしかねーや。」

 

「ハァ~、それにしても暑っクマー。…取ろ。」とクマは自分の頭に手を付けた。

外そうとしたクマの頭を叩き花村が戻す。

 

「取るって、まさか“頭”か?やめろよ、子供見てんだろ!

ったく…中身カラッポで動いてるとか、トラウマ残るっての…気ィ遣えよ。」

「でも、元気になってよかったね。毛もフサフサ。」と天城はクマの毛を見て言った。

 

「さ、触っていいか…?」と完二は手をわきわき動かしていた。

「ダメックマ。

てゆーか、ふふーん。クマもうカラッポじゃないクマよ。

チエチャンとユキチャン逆ナンせねばって、復活頑張って、中身のあるクマになったクマ!」とクマは両手を上げた大喜び

 

「はいはいエラい、よくやった。」

「もう! 逆ナン、いつまで引っ張る気?」

「だいたい、中カラッポなのに、頭開けたって暑さ関係ねーだろ。」と花村はクマの頭を叩いた。

「だから、カラッポじゃないってーの!

あーっち。

もう、限界クマ…」

 

 

クマが頭を開けた瞬間、皆が口を開いたまま驚いた。

シンだけは特に淡々とステーキを食べていた。

 

 

 

 

商店街近くのアパートに白鐘直斗はいた。

聞き込みである。

(…間薙…あの人の家か)と直斗は思い、インターフォンを押す。

「…はい」と女性の声がした。

「今朝あった、事件について調べています。」

「…少々お待ちください」と女性は言うと、すぐにドアが開いた。

 

直斗はその恰好を見て少し驚いた。メイドの恰好をした顔の整った女性が出てきたからである。

しかし、目が赤く独特の雰囲気を醸し出していた。

 

「ご用でしょうか」

「今朝あった事件について調べています。今朝、何か不審なものなどはみませんでしたか?」

「特には見ておりません。眠っておりました」と女性が話していると、

「…メリーさん。わたし、いまあなたのうしろにいるの」とメイドに金髪の少女が抱き着いた。

「…失礼」とメリーと言われた女性は淡々と、その少女に「お嬢様。今はお話しています」というと、少女は頬を膨らませて部屋の奥に戻って行った。

 

「…そうですか。ありがとうございました」と直斗は頭を下げ、次の家へと向かおうと思うと、シンが来た。

 

「こんにちは」と直斗は帽子を外し挨拶をした。

「ん。こんにちは」とシンは言うと、「今朝の事件か?」とすぐに尋ねた。

「ええ。」

「そうか。…頑張ってくれ」とシンが家に入ろうとしたとき、直斗が口を開いた。

 

「あなたは、あなたはどう考えていますか?」

「…さあな」とシンはそれだけ言うと、家の中へ入って行った。

 

 

 

鳴上達男子は四六商店前にいた。それはりせに会いに行くためである。

 

「ん~。"ホームランバー"の季節っスねー。」と完二はホームランバーを食べながら熱い空を眺めていた。

「さっきから何本食ってんだよ。腹壊すぞ」と花村はため息を吐いた。

 

そこに千枝と天城が合流する。

 

「ハァッ、ごめん、遅くなった…」と千枝は暑そうに顔の汗を拭いた。

「ったく、クマきちの服なんか別に何でもいーだろ?」

 

そこに颯爽と現れる金髪美少年。

彼がクマの中に居た。クマ。

 

つまり、本当に中に人間のクマが生まれたのである。

 

そのクマの恰好は王子様風で金髪美少年。それに全員が驚き、数秒時間が止まったように感じた。

 

「のぁ…!ク…クマか、お前?」

「イッエース、ザッツライト。イカガデスカ?」と外人風にクマは鳴上に尋ねた。

 

「ブリリアントだ」

「や…合わせなくていいって。」と千枝は鳴上に突っ込んだ。

 

「あたしもビックリだけどさー。間違いなくあのクマくんだから。

てか、性格まんまでまいったよ…見るモン全部新鮮らしくて、もう大騒ぎでさ。

女性モノのフロアじゃ、コーフンしてワケ分かんない事叫ぶし…

あんた、以後このカッコん時は、本能のままにはっちゃけたらダメだからね?」

千枝に怒られたクマはショックそうに俯いた。

 

「でも、仕方ないよね。ほんとに初めてなんだもんね?」と天城は励ますようにクマに声を掛けた。

「ハァ…わかったよ、そこまでヘコまなくていいから。別に許さないとか言ってないでしょ。」

 

「よかった! 嫌われたのかと思って、ドキドキしちゃった。」とクマは嬉しそうに千枝をみた。

 

「ふふ、まったく…大人しくしてりゃ、見た目はカワイイのに。」と千枝はクマを見ながら言った。

 

 

「待たせた」とシンはメリーと少女を連れてきていた。

金髪の少女は嬉しそうに四六商店の中へと入って行き、それに淡々とメリーはついていった。

 

「はは…なんつうか、もうなんでもありだな」と花村はもう頭の速度が追い付かないのかため息を再び吐いた。

「悪魔?」と鳴上はシンに尋ねた。

「そう。すこしばかり預かってる」とシンは言った。

 

「クマは何か食べるのか?」とシンは財布を出そうとしたが

「しゃーないな。」と花村は財布から千円札をだし完二に渡した。

「完二、これで好きなだけアイス買って、クマと分けろ。

俺たち、ちょっと豆腐屋行って来るから、ここで大人しくしてろよ。」

 

「ワーオ、リッチマン!」とクマは嬉しそうに飛び跳ねた。

「そんな、イキナリもらえねっスよ!」と完二は花村に千円を返そうとするが

「リニューアルしたクマきちの、歓迎ってとこだ。その代わり騒ぐなよ。」

花村は少しかっこよく言った。

 

「お~、どーしたの花村、急に"先輩"じゃん。

そっか、口じゃ色々言っても、ほんとはクマくんにも優しんだ。

よかった、花村がオトナで。オトナは細かい事気にしないよね。」と千枝は何かを含みながら言った。

 

「何だよ…何かあんな、その言い方?」と花村は千枝に尋ねる。

 

「クマくんの服さ、持ち合わせで足りない分、花村のツケで買ったから。」

「ツケ?はぁ!? ツケ!?何だそれ、聞いてねーぞ!?」と花村は叫んだ。

「お金無いんだからしょーがないじゃん!ジュネスのくせに、服高いし!」と千枝もそれと同じくらいのボリュームで声を出した。

 

「ツケって、マジでツケたの?どどどーしてくれんだ! 俺がバイク

買ったばっかで貯金カスカスって知ってるだろ!?」

「いーじゃん別に。 どっちにしろカスカスなら、大して変わんないって。」

「何いぃ!?」と更に花村は怒り、声が大きくなる。

 

「オーケー、ベイベ。ボクのためにケンカは…「だぁーってろ!

つか、お前のせいだろーが!!」」とクマの言葉は遮られしょんぼりとクマはする。

 

「くっそ~…いいかクマ…

それ、大事に大事に大事に着ろよ。

イタズラして破いたら、次からはお前の脱いだ“クマ皮”で仕立てるからな!」

その言葉に更にクマはしょんぼりしている。

 

「おいクマ、しょげてんな。"ホームランバー"食い行くぞ。」と完二の言葉に表情が一転し、四六商店の中へと入って行った。

 

陽介と千枝は再びケンカしている。

 

「先、行こう。千枝たち…長そうだから。」

「そうしよう」と鳴上が言うと、シンもそれにうなずき豆腐屋へと向かった。

 

 

 

「おや…やっぱり来ましたね。間薙さん」

「君も大変だな」とシンは直斗に言う。

「いえ、そうでもないですよ」と直斗は帽子を深く被り直した。

 

 

 

「今度は、久慈川りせを懐柔・・ですか?」

「懐柔とは…別に俺たちは宗教家じゃないぞ?」とシンは鼻で笑う。

 

「ったく…店員の方もツケで売んなってん…

あれ、こいつ…確か、完二ん時の…」と花村が入ってきて直斗を見るとそういった。

 

「…後ろの人たちはあれ以来ですかね。まだ名乗っていませんでした。

僕は白鐘直斗。

例の連続殺人について調べています。

ひとつ、意見を聞かせてください。

被害者の諸岡金四郎さん…皆さんの通う学校の先生ですよね。」と直斗は鳴上達に尋ねる。

 

「そ、それが何?」と千枝は少し動揺したように言った。

 

「第二の被害者と同じ学校の人間…世間じゃ専らそればかりですが、そこは重要じゃない。

もっと重要な点が、おかしいんですよ…

この人…“テレビ報道された人”じゃないんです。どういう事でしょうね?」と直斗は鳴上達の反応を見る。

 

「しっ…知るかよ、そんな事。」と花村もすこし焦っているようにも見えた。

 

「…」

直斗はじっと鳴上達を見回すと、

「…まあいいです。とにかく…僕は事件を一刻も早く解決したい。

では、また」と直斗はシンにアイコンタクトをすると、でていった。

シンもそれが外に来いということの合図だと分かり、外に出て行った。

 

 

シンは直斗についていき、だいだら。のまえで話を聞く。

「…やはり、あなたより彼らを揺さぶった方がいいみたいですね」

「さあね」

「…あなたは本当にそれが口癖ですか?」

 

「興味ないね」とシンは傑作RPGの主人公風に言った。

完全に煽っている。

 

直斗はふぅと一息吐き、シンに言った。

 

「今回に関しては確実にあなたたちではない。ですが、これ以前のものは…まだ疑問が残っています。」

「そうかね…」

「…では、また」と直斗は頭を下げ、去って行った。

 

そこに、鳴上達が丁度豆腐屋から出てきた。

 

「…なんだ、知り合いだったのか?」と花村は少し驚いた表情でシンを見た。

「…そうだな」とシンはうなずいた。

「どんなやつなんだ?」

 

 

 

「頭の回転は良いが、どうも子供っぽいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

一行は神社の境内に来ていた。それはりせの話を聞くに他ならない。

 

「それで何か覚えてることないか?」と鳴上はりせに尋ねる。

 

「うん、家に居た事は覚えてるんだけど…気が付いたら、もう“向こうの世界”だった。」

「またしても、犯人については手がかり無し、か…」と千枝はため息を吐きながら言った。

 

「さっき、白鐘ってヤツに会ったけど」

「あいつは、探偵だ。警察に協力要請を出されたから、来ているんだろう」とシンは花村の疑問に答えた。

「一応だけど、向こうの話はしてないんだよね?」と天城はシンに尋ねた。

「無論」

 

「あの…その…」

「…ん? どしたん?」

りせの言葉の含みに千枝が反応した。

 

 

「あの…助けてもらっちゃって…

…ありがとね!嬉しかった!」と飛び跳ねて嬉しそうな顔で言った。

 

「えっ…あはは。いーって、そんなの。」

「やば、カワイイ…あー、今やっとホンモンって実感した。確かに“りせちー”だ。」と花村は嬉しそうに言った。

 

「その…最近の私、疲れてて少し暗かったから、嫌かなと思って…

喋り方…へん?あ、でも、世間的には今の感じの方が、私の“普通”なのかな…」

 

そういうと慌てた様子でりせは話を続ける。

 

「ごめんなさい、私…どの辺が“地”だか、自分でもよく分かんなくなってて…」

「はは、そんな、謝る事?いいじゃん、その時々で。」

「無理に決めなくても、誰だって色んな顔があると思う。」と天城が言うと千枝は天城をみて笑った。

「あはは、雪子が言うと説得力あるわ。」

「えっ…そ、そう?」

「……。ありがとう。」そういうとりせは笑った。

「ふふ、よかった。最初に知り合ったのが、先輩たちで。」

 

 

その後、りせにあの世界の事、めがねを渡し協力を要請したところ、協力してくれることになった。

クマはシンが引き取ると言ったが、花村が「ジュネスでこき使う」と言っていたのでクマは花村のところで引き取ることとなった。

 

 

 

これでまた最悪の事態を回避できた。

 

犯人への目星はついていない。

 

だが、確かに我々は一歩前進したといえる。

 

 

 




所謂、ストーリーのセリフにシンを混ぜることをしていたら、とんでもなく文章量が増えてきて、話が進まない。

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