Persona 4-マニアクス-   作:ソルニゲル

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何だかんだ、更新が出来てうれしいようなたいへんのような。





第15話 Deepening Ties 6月18日(土) 天気:曇/晴

午前五時ほどになったとき、シンはむくっと起き上がり、耳栓を外し携帯を確認した。

すると、自宅から連絡が入ってた。

 

留守電を確認するために自宅に電話を掛けた。

 

「…メリーです」

「何か用かい?それも君がかけてくるとは」

 

「…先ほど、20代ほどの女性が『教祖様に上納金だと』家に来ました。」

「…あ、あ」

 

あのしつこく連絡をしてくるやつか。…洗脳なんか、するんじゃなかったな。

それに…自宅を教えた覚えはないんだが…

 

「ですが、バアル様が酔っていらして、シン様に会わせろとヒステリックに叫びましたところ、非常にお怒りになりまして、そのまま『マイムール』で無残にも殺されてしまいました。

その際に電話を差し上げたのですが、お出にならなかったので、とりあえず掃除をしておきました。」

「…はぁ」とシンはため息を吐いた。

 

バアルは酔うと短気になる。

 

「…どうなさいますか」

 

「そうだな…バアルに言っておけ、ミンチにして「間薙様。」…ん?」

メリーに言葉を遮られる。

 

 

「すでにミンチでございます」

 

 

「…そうか。自分で尻拭いもしておけと伝えておいてくれ」

「かしこまりました」

 

後日…

 

この話は後にバラバラ事件として捜査が始まる。

だが、死体はもはや人の形を成しておらず、ひき肉と言われても分からないくらいである。それがなぜ人だとわかったのか。それは彼女が住む部屋にその肉片が無数にあったからだ。事件は難航。だが、一人の男が自分がやったと自首をした。

そして、男の言った場所に行くと、彼女の血痕があった。

つまり、この場所でバラバラにしたのは明白であった。

様々な包丁などがあった。そこにも彼女の血痕が付着。

この男が犯人であることは間違いなかった。

 

だが、自首して二日後その男は突然、心臓麻痺で死亡した。

 

そして、犯人死亡のまま事件は送検された…

 

無論、一人は違和感を持っていたようだが…

 

「どうしたんすか?堂島さん」と足立は警察署でニュースを見ていた。

「いや、どうもおかしくてな」

「この事件ですか?惨いですよねー。

でも、堂島さん。この事件うちの管轄外ですよ。事件は沖奈ですから」

「…」と堂島は納得がいかないものの、どうすることも出来ずに、椅子から立ち上がった。

「いくぞ!足立ぃ!」

「あ、ちょっと!」

 

 

直斗は足を止め、ジュネスの家電売り場で報道されるニュースを見ていた。

そこには『速報!容疑者が心臓麻痺で死亡!』

どこのチャンネルもその沖奈警察署前でその当時の状況などを話す。

 

直斗もどこか疑問に思うところがあった。

だが、容疑者は死亡。どうすることも出来ない。

直斗は帽子を深く被り直すと再び『八十稲羽市怪奇連続殺人事件』の調査に戻っていった。

 

彼女は本望だった。そして、同時に更に彼を崇めた。それはバアルというあの禍々しい存在をみて、彼こそ、私が嫌いだったこの世界を壊してくれる。

そんな気さえ起きた。

 

そして、彼女は思念体となり『アマラ』に居られることとなった。

思念体であるとはいえ『混沌王』に仕えることが出来るのだから、それだけで本望であった。

それこそ、シンの『洗脳』の恐ろしさである。

 

死して尚も崇める。それほど、強力な『洗脳』である。

だが、それはおそらく、彼女の考え方、思想、それらがあの『混沌』と非常にマッチングしてしまったのが大きな要因だといえるだろう。

 

 

さて、話は林間学校二日目に戻ろう。

 

 

シンは電話を切る。だが、その表情に心配はない。

それはある意味信頼である。

 

やはり、あの『大いなる意志』と何度も戦ってきた奴だからこそ、信頼しているといえるだろう。

 

そして、シンはテントから出ると深呼吸をした。

 

と、隣のテントから二人が出てきた。

 

そして、目が合う。

 

「「!?」」

それは千枝と雪子。

 

「…お、おはよう」とシンは流石に一瞬、驚いた顔で二人に挨拶をした。

 

「ち、ちちち違うからね!」

「そ、そうだから!決して」と大声を出す二人に、シンは口をふさぐ。

 

「…大きな声を出すと、皆が起きるぞ?」とだが、その顔は少し笑みを浮かべている。

 

その後、シンも手伝わされ完二を元のテントに連れて行った。

 

 

結局、二人は鳴上と花村を交えてシンに説明をする。

そこは簡単に且つ短絡的に話をしよう。

 

完二にホモ疑惑→それを払拭するために、何故か、完二は女子のテントへ→

完二は偶々、天城と千枝のテントに突入→

入った瞬間、気絶(ここは疑問であったが、シンは特に突っ込んだが、それを貫き通された)

→二人は寝れないため、鳴上と花村のテントに行った。

 

というわけである。

 

ちなみに完二はまだ起きない。

 

「…っていうわけだからね!絶対に言わないでよ!」と千枝は顔を赤くし、シンに言った。

「ん。まぁわかったよ」とシンは冷たい水で顔を洗う。

 

「でさでさ、このあと川行かね?」と花村は少しテンション高めに皆に言った。

 

 

 

 

時同じくして、ここは沖奈駅前『喫茶店シャガール』

そこには二人の男がコーヒーを飲み向き合っていた。

 

「…どうだね。この世界は」

 

そこには嘗て『神取鷹久』と言われた男の顔をした者がいる。

サングラスを掛けている。その顔は『皮肉に満ちた嘲笑を浮かべている』。

 

「面白い。それより貴様はどうなのだ?そんな人間を象るとは」とルイはただ、一言いうと笑みを浮かべる。

 

「私にとって姿など、時の流れと変わらん。

そして、『人修羅』…すばらしい、この私が魅せられるのだ。

あの禍々しさ、何よりあの上っ面に隠された悪意…あまりにも深い闇…」

そういうとコーヒーを飲み干し、嘲笑する。

 

「だが、あの女・から私の存在に気が付くとは…流石だな」

「他愛もない」とルイは淡々と答える。

 

「…あの件。確かに了承した」

 

 

 

五人は川の近くまで来ていた。

 

「おぉおお!」と花村のテンションは最大まで上がりきっている。

「とりあえず!泳ぐか!」

「「はぁ?」」と女子二人は疑問の声を上げる。

そして、「はぁ」と完二はため息を漏らした。

「あー、俺怠いんでパス」と完二は完全にテンションが花村とは真逆で下がっている。

 

「俺だけ…泳いでもつまんねーだろ?」

そういうと花村は千枝と雪子を見た。

二人は驚いた表情で「何見てんの!?あんたらだけで入りゃいいじゃん!」と千枝は腕を組む。

 

「そういやぁ、貸しがあったよな」と花村の目つきが鋭くなる。

「貸し?…てっきり盛りの」と言いかけた時に鳴上ににらまれ口をふさがれる。

 

「ま、まぁ…そうなんだけど…。…そう、そう!水着持ってきてないしね?雪子」と千枝は慌てた様子でいう。

雪子もそれに同意するようにうなずく。

 

「じゃーん!ジュネスオリジナルブランド初夏の新作!だぜ!」

と花村はどこからともなく二着の水着を取り出した。

 

「あーだから居なかったのか。あの食材選びの時に」

シンは納得したように思い出す。

「先輩…まじ引くっす」と完二は引き気味に花村から半歩下がった。

 

 

結局、四人は着替えに向かった。無論、別々に。

そして、シンと完二は川の丁度、飛び込めるような深さのある場所で四人を待っていた。

 

「間薙先輩は良いんスか?」

「俺は水着はないからな」

「あーそうっすよね、普通は持ってこないっスよね」

「荷物が増えるのは面倒だ」

 

そんな話をしていると、鳴上と花村が先に戻ってきた。

それから、5分ほどたっただろうか。

 

「おっせーなぁ」と花村はうろうろと落ち着きなく、歩きまわる。

鳴上はただ、じっとまち、完二は座り込んで待っていた。

シンに至っては石を拾い滝に石を軽く投げていた。

 

「間薙先輩はなにやってんすか」

「いや、あの出っ張っている石を削ろうかと」

「どんだけ暇なんすか…」

 

 

「お、おまたせ…」と千枝の声がすると花村と完二はそちらを見た。

 

 

「「おおおおぉおぉおおおおお!!」」

 

「あ、あんまりじろじろ見ないでくれる…」と千枝は恥ずかしそうに言う。

「だ、黙ってないでなんか…言って」天城も同様恥ずかしそうに言う。

 

「二人とも似合ってる」と鳴上は平然とそれを言った。

 

カーッと二人の顔は赤くなった。

 

「いやぁ、想像以上にいいんじゃね?」と花村は嬉しそうに言う。

「まぁ、中身がちょっとガキっぽいけど…将来いいお姉さんになるんじゃね?な、鳴上?」

「確かに」

花村が言い、同意した瞬間、鳴上と花村は宙を舞った。

そして、滝壺へとダイブすることとなった。

 

「あー大丈夫っすか?先輩?」と完二は落ちた二人の方を見た。

そして、天城はふと、完二を見た瞬間、鼻血を垂れていた完二。完二もまた蹴り落された。

 

「綺麗な蹴りだな」とシンは感心したように天城を見た。

 

 

「なんも!落とすことねーだろ!」と花村は千枝たちに向かって叫んだ。

「いいじゃん。どうせ入ろうとしてたんでしょ?」

 

「ん?何か聞こえないか?」

 

落とされた三人と上の三人に嗚咽のような何かを吐き出すような声が聞こえた。

 

「あの声…」と天城はその声がする上流をみた。

「モロキンだな」とシンも同じように上流を見た。

 

「…」

「…」

「…」

 

鳴上、花村はすぐに察しがついた。

それは昨晩、飲みまくっていたモロキンが上流で吐いている音だった。

三人はまだ、寒い川の中…ただただ、泳ぐことなく、打ちひしがれていた。

 

 

 

 

 

夜…

 

シンはサングラスを掛けた男性と部屋で話していた。

 

「…私は。ニャルラトホテプという。」

「ふーん」とシンは興味ありそうでなさそうな声を出した。

 

「ルイから概ね話は聞いた。私を差し置いて、『混沌王』などというものが現れたからな。」と相変わらず『皮肉に満ちた嘲笑を浮かべている』。

 

「…それで?這い寄る混沌が何の用さ。」

「ああ、やはり貴様の中に渦巻く混沌は私に似ている。…いや、それ以上か…」

 

「用はそれだけか?すこし、疲れているんだ」とシンは欠伸をした。

「しかし、貴様があのような若者の『希望』を傍らでそれを見ているとは、嫌悪しないのかね?」とニャルラトホテプはシンに尋ねる。

 

「…」

「いや、愚問だったな。…貴様は…『すべてを受け入れて尚、永遠に続く闘争を続けている』…だったんだな。だから、そうやって仮面を被り、光も闇も受け入れる。だからこそ、混沌を望んだ…み」と何かを言いかけた時、ニャルラホテプは口を動かすのを止めた。

 

「それ以上の言葉は主は望んでいない。」

「そうなのよね。うん。言葉にしてしまうのは簡単なんだよ?でも、それを口にしてしまうと、きっと、あなたも後悔する…」

 

ニャルラトホテプの周りにはクーフーリン、ピクシー、そして、バアルが囲むように立っていた。

それぞれが睨むようにニャルラトホテプを見る。

 

「フフッ…そうか。真意が読めただけで私は満足だ。無貌の神・ニャルラトホテプ。今後ともよろしくな」

 

そういうと、夜の影に溶けていった。

 

 

「…ルイ様はどういったつもりなのでしょうか。」

「ニャルラトホテプの協力がなければならない理由がある。

恐らく、出せる『悪魔』の数が減ってきていることに関して…ということだろうな」とバアルはふぅと息を吐くとワインを飲む。

 

「そうよね。ふつーに考えて」とピクシーはシンの肩に止まった。

 

「『這い寄る混沌』を仲魔にできたのは大きい。」とシンは淡々という。

「…ま、悪魔の契約ってのは絶対だからね。破ったらどうなるかも、わかってるだろうしね」ピクシーはお菓子を探しにキッチンに飛んで行った。

 

「…しかし、やつは這い寄る混沌。混沌を望む…。しかし、混沌たる混沌の主はそれすらも飲み込まれるのですか?」とクーフーリンはシンに向かって言った。

 

 

 

「…すべては手の上。所詮、あやつは舞台の上の俳優にすぎないのですよ。

やがてはこの話の脚本家も、すべては混沌と帰すだろうな…アドリブ合戦が如く…それぞれが勝手に動き始める…これだから、あなたの下で働くかいがありますよ…」

バアルはにやりと笑うと、アマラに帰って行った。

 

「…相変わらず嫌な言い回し。めんどくさいよねー?ああいうの、なんていうのかな?ヘンタイ?」ピクシーはビスケットを抱えてシンに尋ねる。

「…中二病?」

「あーバカにつける薬はないわよまったく。」ビスケットを一齧りし、アマラに帰って行った。

 

 

 

「…終わりになりましたか?」とメリーはシンに尋ねた。

「ああ、ただの『お話』さ。」

 

「…どうなさいますか?」

「そうだな。…風呂に入る」

「すでに湯は入っています」

「ん、」

 

シンはそういうと、いつもと変わらぬ顔で立ち上がり、風呂場へとむかった。

 

 

「間薙様は何を考えていらっしゃるのでしょうか」とメリーはクーフーリンに尋ねる。

「…私にも計り兼ねます。常にあの方は何かを考えていらっしゃる。

それも遥か先まで見渡しています。…私のような浅慮ではなく…深淵に自ら飛び込んだのですから。」

 

そのクーフーリンの言葉には尊敬の念と同時に、どこか不安を思わせるようなそんな顔であった。

 

「…よくわかりません」

「分からないのは仕方ありません、いずれすべての行為の意味が分かることだと思います。」




『マイムール』
バアルが使う矛のことです。

結局、洗脳された女性にはまぁ、簡単に退場頂いた。
だけんども、これもフラグに使えないかなと思い書いた次第です。
不満不平はあると思いますが、早めに回収したいと思うところです。

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