ACE COMBAT ZERO-Ⅱ -The Unsung Belkan war-   作:チビサイファー

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あとがき

あとがき ネタバレ多し

 

 

 終わった……。というのが書き終えてからの率直な感想です。でもあとから見直しをしていくうちに終わったんだという実感が強くなり、どんどんエキサイトしていきました。思えば、友人にだけ見せるつもりで書いてたのをぽいぽいと載せてみたら、私が思っていた以上にお気に入りが増えておったまげました。今となっては100近いお気に入りになりそうでドキドキしています。三桁近くなんて初めてですlからね。

 

 友人に見せたプロトタイプの執筆がアサルトホライゾン発売後の2011年10月くらいだったので、ちょうど四年半くらいかかりました。全盛期のスピードなら、あと一年は早く終わったでしょうね。幾多の物書きたちが遭遇した他ジャンルへの誘惑、挫折、モチベーションの落下。本当に恐ろしくて後半一年は皆様を長く待たせてしまいました。本当に申し訳ないです。でも、それでも待っていてくれた多くの人には本当に感謝しています。感謝しかありません。

 

この作品を書くにあたって、パロディモリモリでお送りしたり、先駆者でもあるエスコン創作者たち様の影響をたくさん受けたりして、現在の形に落ち着きました。ここで全三部構成となったエースコンバットZERO-Ⅱのそれぞれの思い入れを語りたいと思います。

 

 

第一部 凍空の傭兵

 

 書き始めの時は、本当にあまり何も考えずに書いていましたが、もし終わるならスザクとやまとの関係が著しく発展した形で終わろうというのは決まってました。あの最終回、実に四年半前か決まってたんですよ。

 

 内容自体は、行き当たりばったりで、でも一部の終盤辺りではやまとの整備ミスを書こうと決めました。自信家が失敗を目の当たりにして絶望するさまって興奮しますよね(ゲス顔)。 もっとも、本編ではかなり早い段階でことが起きて、自分の中でも「早すぎないか、これ」と思ってました。考えてみればやまとがデレてる時期のほうが圧倒的に長いです。

 

 そんな中早速登場した敵エースパイロット、「キニゴス」についてですが、彼のTACネーム「キニゴス」とは、狩人という意味です。スザクの機体が悪魔の妹なら、それに立ちはだかるのはヴァンパイアハンターしかいないだろうと考えた結果です。彼には復讐に憑りつかれた人間が最終的にどうなってしまうのかを具現化した存在になってもらうべく登場してもらいました。もし、スザクがあのまま落ち続けていたら、キニゴスの様になっていたでしょう。つまるところ、あれはスザクのなれの果てでもあります。それを止めたのが永森やまと、彼女なのでした。

 

 一部後半になるにつれて、あまり触れられなかったサイファーの目的やにとりの立場が明らかになりました。ただ、サイファーの立場について決まったのは5話を書いていた時で、当初は本当に円卓の鬼神にあこがれを抱いていた青年のつもりでした。ですが、サイファーの嫁である如月海里の登場が第二部にずれ込んだ影響もあり、彼には円卓の鬼神の愛弟子という設定が追加されました。後付けなんて誤差ですね、ハイ。

 

 それと、第一部最後のほう、固形燃料の炎で描いた滑走路、そして意識を失ったにとりに呼びかけるシーン、あれは気づいた人もいるでしょうか? そう、新谷かおる先生のエリア88のオマージュです。ジェンセン、ショーホーもさりげなくいたりしてますからね。あの作品は本当に良いものです。今では電子書籍もあるみたいですし、良い時代になりましたね。

 

 え? エリア88は知らない? あなた損してますよ! エスコン開発チーム、特に2の皆さんはエリア88が大好きな人たちが作ってるくらいです! さぁ今すぐ読みに行くのです! あとまだ読んだことのないファントム無類も読みたい!! 買おう!!

 

 とまぁ、宣伝はここまでにして、続いて第二部に入ります。

 

 

第二部 地獄の猟犬

 第二部を書く辺りに来た時点で、話の流れはほぼ完ぺきに決まりました。にとりの窮地、成長するゆたか、復讐と決別するスザクと、明確な変化を表現、そして好きな男のために平和を投げ捨てた愚か者を書き出しました。これを乗り越えて、彼らは最後の戦いに挑む準備を整えます。その先に、地獄の猟犬は再び姿を現しました。

 

 第二部にてめでたく登場するサイファーの嫁、如月海里。鬼神の娘という設定はサイファーの愛弟子設定と同時に生まれました。前々から私の二次創作でヒロインとして登場する彼女の共通設定に、「父親は戦闘機乗り」というものがあるので、「じゃあ鬼神にするか」と決まりました。

 

 ISAFとの合流で世界がどう動いているのか知ったうえで、彼らはつかの間の平和を味わい、改めて自分たちがこの先身を投じる場所について考えます。そこで戦うことを決意した彼らは、新たな地獄の猟犬として空に戻ります。ここであらすじを回収ですね。『使命、復讐、戒め、尊敬、自尊心、感情。それらが全てが交錯した時。「地獄の猟犬」は再び現れた』

 

 これ、童話のラーズグリーズを意識してます。ラーズグリーズは再び現れる。英雄として、現れるのところです。なぜこうしたかというと、みなさんはゲームのほうのエースコンバットZEROのラストミッションBGM「ZERO」の歌詞、ご存知でしょうか? 以下ZEROの歌詞です。

 

 

 

Cum potentia sua Daemom  悪魔はその力をもって

Mortem in terra        大地に死を降り注ぎ

Deinde           やがて死ぬ

Moritur cum somnus     しばしの眠りのあと

Finit Razgriz surget nave   ラーズグリーズは円卓に現れる

 

Cum historia mutat valde   歴史が大きく変わるとき

Razgriz revelat ipsum    ラーズグリーズはその姿を現す

Primum daemon scelestus est はじめには漆黒の悪魔として

Historia mutat valde     歴史が大きく変わるとき

Razgriz revelat ipsum    ラーズグリーズはその姿を現す

Surget cumu nave      円卓に姿を現す

Historia Mutat valde     歴史が大きく変わるとき

Razgriz revelat ipsum    ラーズグリーズはその姿を現す

Cum somnus finit      しばしの眠りのあと

Razgriz           ラーズグリーズは

Suget iterum         再び現れる        

Veniet            来たれ!

 

 

 となってます。これ、アンサングウォーの内容ではないです。ZEROの歌詞です。つまり、サイファーはもう一つのラーズグリーズだったという解釈ができます。

 

 この歌詞を二部の最後、そして第三部の内容に重ねて。展開させました。と言ってもそんなにはっきりわかるようなものではありませんでしたけどね。

 

 

第三部 傭兵王、帰還す

 

 ついに訪れた最終章です。第三部って聞くとスターダストクルセイダースを思い出しますね。ここからはもう自分が思い描いていた最終回に向けてまっしぐらでした。内容としては、エースコンバット5の裏舞台。ブレイズたちが活躍するその裏で、もう一つのラーズグリーズであるガルムがどう活躍していたのかを描くことがメインでした。

 

 とにかく書きたかったのは現代のB7R制空戦です。一方的な虐殺を、たった二機の戦闘機で覆し、巡航ミサイルを破壊するというこの展開、一度でいいからやってみたかったです。とくに巡航ミサイルを破壊するシーンは、OVA戦闘妖精雪風の4巻をイメージしました。あのジャムを迎撃する瞬間のマスクの呼吸音、大好きです。

 

 5の裏側ということなので、こちらではより世界観が共通になるように、ラーズグリーズが到着する直前に繰り広げられていたアークバードとの戦闘、サイファーたちの教官であったバートレット大尉のニカノール元首の救出援護、そしてスーデントールに集結したエースたちをまとめ上げる様を描きました。敵だった者たちが手を取り合い、共に戦う5のあの展開は本当に熱かったです。その中に自分のキャラクターたちもぜひ入れたいと、ずっと思っていました。

 

 そして、傭兵王、帰還すの意味。これはサイファーがはっきりと円卓の鬼神を受け継いだという自覚からこのタイトルにしました。しかし、これにはもう一つの意味があります。最後に現れた、初代円卓の鬼神。彼が自分の役割を終え、次の世代に託して帰還する。これは傭兵王がその役目を終え、後世に託して自分は帰路に就く、という世代交代の意味も含めています。戦後、初代サイファーは傭兵業から足を洗い、自宅でのんびりと余生を過ごしていることでしょう。

 

 あ、一個だけ想定外なことが起きてました。ラスボス機に当初はモルガンを使おうと思っていたのですが、設定によるとベルカ事変後にモルガンはノヴェンバー市で展示飛行を行っていることから没にしました。じゃあラスボスは何にしようかと思っていたら、エスコン2に登場ADA-01という機体に行きつきました。これなら知ってるコアなファンは驚くし、知らない人はエスコン2にも興味を持つ! と、ハーメルンに連載を開始した段階で考えていました。

 

 しかし。しかし!! まさかのインフィニティで実装!! おったまげました。まさかこいつまで出すなんて思ってもみなかったですから、ガセ情報ではないかと疑いましたよ。なんか、先越された感じがしてちょっぴり残念でした。まぁ、もっと早くに書き終わればよかっただけの話なんですけどね。

 

 さて、思いつく限り、私が印象深く思っていることを書き出しました。まだまだ語りたいことはたくさんありますが、これにて終わろうと思います。連載開始から三年半、皆様本当にありがとうございました。今後の活動は海のほうでちまちまと短編を書くだけになると思います。もし興味のあるかた、ぜひそちらも読んでいってください。

 

 本当に、今までありがとうございました!!

 

 

 

P.S. エスコン7続報まだー?

 

 2016年4月19日 チビサイファー

 

 

 

 

 


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