遊戯王部活動記   作:鈴鳴優

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027.なんとしてでも勝ってくれ!

 

 

 ●橘晃&風戸有栖 LP400

 晃  手札3

 有栖 手札5

 

 ■unknwon

 

 ●新堂創&二階堂学人 LP8000

創   手札5 

二階堂 手札3

 

□X─セイバーパシウル

 

 4ターン目が開始される。

 彼女がドローフェイズでカードを引く時、創が場の《X─セイバーパシウル》を指差しては説明するように語る。

 

「我のモンスター、《X─セイバーパシウル》は戦闘にて決して破れぬ効果を持つが相手のスタンバイフェイズの時に守備表示ならば1000のダメージを受ける」

 

 新堂創&二階堂学人 LP8000→7000

 

 創と二階堂が始めてダメージを負うが自滅の形だ。まだ晃たちは1のダメージも与えてはいない。風戸有栖のターンだが、状況は圧倒的に不利。二階堂の《サイバー・ツイン・ドラゴン》の《リミッター解除》の2連続攻撃によってほんの少しのダメージを負うこの状況。気の弱い彼女であったが負けられないと認識しているためか、やけに落ち着いて場を眺めては手札を確認していた。

 

「わたしは、手札から《ガスタ・ガルド》を召喚するよ」

 

 ガスタ・ガルド

 ☆3+ ATK/500

 

 小さな一匹の薄い緑色の鳥が飛来する。

 数値では《X─セイバーパシウル》を上回ってはいるものの、生憎と相手は戦闘破壊不可能なモンスターだ。そもそも、残りライフがわずかなところで低攻撃力のモンスターを出すこと事態が悪手だ。

 しかし、これを逆手にとって有栖は1枚の魔法カードを発動する。

 

「《強制転移》を発動するよ」

「モンスターを入れ替えるカードか、僕の場には新堂のパシウルのみだ。厄介な壁を除けて、リクルーターを送りつけてくるか」

 

 お互いにモンスターを1体選択してコントロールを入れ替えるカードだが、両者の場にはそれぞれモンスターが1体しか存在しないため有栖たちの場には《X─セイバーパシウル》、二階堂たちの場に《ガスタ・ガルド》が配置される。

 

「だけど、どうするのよ。《強制転移》で移したモンスターはこのターン表示形式が変えられないし《X─セイバーパシウル》の効果で次のターンにダメージを受けて終わるわよ」

 

 などと涼香が語る。

 先ほど二階堂たちがダメージを受けた様に、次の創のターンに《X─セイバーパシウル》が守備表示で存在すれば1000のダメージを受ける。400しか残りライフが無い晃と有栖だとそれで終わってしまう。けれど、有栖はそれも考慮済みだと言わんばかりに落ち着いて次の手を打つ。

 

「うん、だから《緊急テレポート》を使うよ」

 

 手札、デッキからレベル3以下のサイキック族を特殊召喚できるカード。この効果を使って有栖はデッキから1枚のカードを取り出しては場へと駆り出させた。

 

「《ガスタの神裔ピリカ》を特殊召喚!」

 

 ガスタの神裔ピリカ

 ☆3 ATK/1000

 

 人形の様な白い肌に杖を持った緑色の髪のポニーテールの女の子だ。その傍らには緑色のペンギンの様な生き物がとび跳ねるようにいる。

 

「ピリカは召喚、特殊召喚した時に墓地から風属性のチューナーを呼べるけどいないよね……残念。でも──」

「ふん、シンクロ召喚か……」

 

 《緊急テレポート》で特殊召喚を行ったことで有栖の場には《ガスタの神裔ピリカ》とチューナーである《X─セイバーパシウル》が存在するのだ。その合計レベルは5。

 

「レベル3《ガスタの神裔ピリカ》とレベル2《X─セイバーパシウル》でシンクロ召喚するよ! お願い《ダイガスタ・ガルドス》!」

 

 ダイガスタ・ガルドス

 ☆5 ATK/2200

 

 巨大になった《ガスタ・ガルド》に《ガスタの巫女ウィンダ》が乗ったようなモンスターだ。効果は墓地のガスタ2体を戻すことで相手モンスターを破壊できるのだが、この場では使っても与えるダメージが500増える程度でしかない。

 

「バトルフェイズ。《ダイガスタ・ガルドス》で《ガスタ・ガルド》に攻撃」

 

 新堂創&二階堂学人 LP7000→5300

 

 有栖は小さく『ごめんね』なんて呟いた。

 巨大な鳥に乗った巫女が攻撃の指示を出し、そのまま《ガスタ・ガルド》へと突貫する。同じ種類の鳥とはいえ大きさの違う者同士ではぶつかったところで決着は火を見るよりも明らかであり《ガスタ・ガルド》が消えたのちに緑色の薫風が吹いた。

 

「これで、《ガスタ・ガルド》の効果が発動するか」

「うん。《ガスタ・ガルド》が破壊されたときデッキからレベル3以下のガスタを呼べるから《ガスタ・イグル》を呼ぶよ」

 

 ガスタ・イグル

 ☆1+ ATK/200

 

 《ガスタ・ガルド》よりも一際小さい緑の鳥《ガスタ・イグル》が姿を現す。ほとんど戦闘では成果を上げるのが困難だと思われる数値でありながらも攻撃表示。だからでこそ有栖はさらに攻撃の指示を出した。

 

「続いて《ガスタ・イグル》も攻撃だよ」

 

 新堂創&二階堂学人 LP5300→5100

 

 たった200のダメージを与える。

 それでも遊戯王にはたった100前後の数値で残る場面も無いわけでは無いのだ。ここでほんの少しでも減らしておくのは愚策というわけではない。ここで有栖の場の2体は攻撃を終えたということでバトルフェイズは終了する。

 

「メインフェイズ2に移るけど、もう1度。今度は《ダイガスタ・ガルドス》と《ガスタ・イグル》でシンクロ召喚! 力を貸して《ダイガスタ・スフィアード》!」

 

 ダイガスタ・スフィアード

 ☆6 ATK/2000

 

 今度は《ガスタの疾風リーズ》が《ヴァイロン・スフィア》を装備した様なモンスターだ。本来はツインテールだった髪型がロングヘアーとなり灯りの燈った杖を携えた女性。

 そのモンスターを見た瞬間、二階堂や創の表情が変わった。

 

「ったく、ここでスフィアードか……本当は強えーんじゃねの風戸」

 

 なんて創は一瞬だけ素に戻って悪態をつく。

 

「《ダイガスタ・スフィアード》がシンクロ召喚できたから墓地からピリカを手札に加えるよ」

 

 《ダイガスタ・スフィアード》の効果は3つ。

 一つは今使ったシンクロ召喚時にガスタと名の付くモンスター1体を手札に戻す効果で《ガスタの神裔ピリカ》を戻す。

 

 だが、それだけでなくむしろ《ダイガスタ・スフィアード》の真骨頂は〝戦闘で破壊されない〟と〝ガスタの戦闘ダメージは相手が受ける〟という二つの効果だ。これで残りライフが少なくてもガスタの戦闘では相手が受けることになる。これを厄介と呼ばずにどう呼べばいいのだろう。

 

「あ、後はカードを2枚伏せて……ターン終了だよ」

 

 これで晃のカードを含め3枚の伏せカード。

 場には《ダイガスタ・スフィアード》と守りも厚い。残りライフ400といえど、そうそう削りきられる事もないだろう。

 

「くはは、これで再び我のターンだ!」

 

 なんて一巡したため再び創のターンに入る。

 

「トップドロー、《大嵐》だ!」

「ここで《大嵐》ッスか!?」

 

 晃と有栖、創と二階堂の外側に渦巻く様な暴風が巻き上がった。

 魔法と罠を破壊するこの効果で破壊されるのは、晃と有栖の場の3枚の伏せカードのみだ。ここで破壊されてはマズイと判断した有栖はカウンターの伏せカードを1枚発動させる。

 

「チェーンして《神の宣告》!」

「むぅ……」

 

 橘晃&風戸有栖 LP400→200

 

 途端、ピタリと暴風が止んだ。

 最強のカウンター罠カード《神の宣告》の効果により《大嵐》は効力を失いカードを1枚たりとも破壊せずに終わった。この代償によりライフを半分支払うこととなるが、残りライフ400と200では大差はないだろう。

 

「やるな、だが我はその上を行く! 手札から《XX─セイバーボガーナイト》を召喚し、効果によりさらに《X─セイバーエアベルン》を特殊召喚!」

 

 XX─セイバーボガーナイト

 ☆4 ATK/1900

 

 X─セイバーエアベルン

 ☆3+ ATK/1600

 

 晃のターンのエンドフェイズに《XX─セイバーダークソウル》の効果で手札に加えた《XX─セイバーボガーナイト》を使い一気に2体の展開。かと思いきや、創はさらに手札のカードを場へと出す。

 

「さらに場にX─セイバー2体が存在する故、《XX─セイバーフォルトロール》も特殊召喚だ!」

 

 XX─セイバーフォルトロール

 ☆6 ATK/2400

 

 赤い近未来的な鎧や武器を纏った筋肉的な戦士である上級モンスター《XX─セイバーフォルトロール》。創との対戦で幾度となく見て来たX─セイバーの戦術において中枢格を担うモンスター。

 

「《XX─セイバーフォルトロール》の効果! 墓地のXセイバーである《X─セイバーパシウル》も特殊召喚だ!」

 

 X─セイバーパシウル

 ☆2+ DEF/0

 

 続けての展開。

 遠慮抜きで創は1ターンで4体の展開を行ったことになる。レベルは全てバラバラであるがシンクロ召喚を行うのに支障は無い。

 

「まずはコイツだ。レベル4《XX─セイバーボガーナイト》にレベル2《X─セイバーパシウル》でシンクロ召喚! 来るがいい《XX─セイバーヒュンレイ》!」

 

 XX─セイバーヒュンレイ

 ☆6 ATK/2300

 

 現れるXX─セイバーのシンクロモンスター。

 曲刀の剣を握りしめ場の伏せカードへと狙いを絞る様に構える。

 

「くはは、ヒュンレイの効果だ。その伏せカードを全て葬ってやろう!」

 

 などと言いながら《XX─セイバーヒュンレイ》が飛びかかる。

 シンクロ召喚に成功したときに場の伏せカードを3枚まで破壊する効果は、《氷帝メビウス》の1枚増えたバージョンだが1枚で3枚も破壊できるアドバンテージはかなりのものだ。

 だが、そう簡単にやられはしないと有栖も1枚のカードを使う。

 

「うぅ、でも《ガスタへの祈り》を発動して墓地の《ガスタ・イグル》と《ダイガスタ・ガルドス》を戻して……《ガスタ・ガルド》を蘇生するよ」

 

 有栖のもう1枚の《ガスタへの祈り》は墓地からガスタ2枚をデッキへと戻すことで同じく墓地からガスタを特殊召喚できるカード。発動する条件は墓地にガスタが3枚以上あることのためヒュンレイに破壊される前に発動できた。

 このまま、ヒュンレイが2枚のカードを切り裂く。既に発動した《ガスタへの祈り》と同時に晃が伏せていたまま《剣現する武神》が破壊されてしまう。

 

 除外されている武神を墓地に戻すか、墓地の武神を手札に戻す効果を持つ《剣現する武神》だが、墓地にあるのは《武神─ヤマト》と《武神器─ハバキリ》、《武神器─ヘツカ》のみ。どれも有栖の手札に加えたところで意味も少なく、晃が使えなくなるために発動しなかったのだろう。

 

「さて、続いてレベル6の《XX─セイバーフォルトロール》《XX─セイバーフォルトロール》の2体で《ガントレット・シューター》をエクシーズ召喚をしようではないか!」

 

 ガントレット・シューター

 ★6 ATK/2400

 

 かつて涼香との対戦にて使用した真っ赤な巨大ロボット。

 総攻撃力を半分以下にまで落としてまで場に出すのは、かつてと同じだ。思い出すように晃は目を見開いて呟いた。

 

「破壊……効果!?」

「くはは、その通り! エクシーズ素材を一つ取り除くことで、相手モンスター1体を破壊する効果だ! 我はこれで《ダイガスタ・スフィアード》を破壊する!」

 

 《ダイガスタ・スフィアード》の左腕がロケットパンチの如く発射される。戦闘においては無敵の強さを発揮するモンスターでも効果破壊にまでは対応できずに直撃を受け、爆発に巻き込まれて散ってしまった。

 

「《ガントレット・シューター》は1ターンに二度まで効果を扱えるが《ガスタ・ガルド》は効果破壊にも対応していたな……第二射は取っておこう。戦闘だ!」

 

 などと片手を上げて、獣の戦士と巨大ロボは攻撃耐性を取る。

 最初の攻撃対象はまちがいなく有栖の《ガスタ・ガルド》だ。

 

「さあ堕ちろ! 《X─セイバーエアベルン》で攻撃!」

「うぅ……《ガスタ・ガルド》が破壊されたことで《ガスタの巫女ウィンダ》を特殊召喚」

 

 鋭利な爪で切り裂かれても、緑の鳥は薫風を巻き起こして仲間を呼ぶ。敵に破れても尚、仲間を呼び主人を守るリクルーターを主軸とした戦術を取るデッキ。それが彼女の扱う【ガスタ】の特徴だ。

 

「今、追撃を行ったところで墓地を肥やすのみ……ならば戦闘は終了! メインフェイズ2にて《ガントレット・シューター》の効果を再び発動!」

 

 メインフェイズ1で発射した左腕とは逆、右腕を発射し緑色の髪。ポニーテールの少女へと向けて拳を飛ばす。まるで悪の秘密組織のロボットが儚い少女を攻撃するような1シーンだ。

 

「殲滅完了だ! カードを1枚伏せてターン終了」

「っ……オレのターン!」

 

 やはり、あの二人が手を組んだら洒落にならない。

 最初の《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》の攻撃力上昇効果の説明で思わず破壊してしまったのちの《サイバー・ツイン・ドラゴン》《リミッター解除》の猛攻。満タンだったライフが一瞬にて追いつめられた。

 

 創に至っても、場に《ダイガスタ・スフィアード》に3枚の伏せカード。それも1枚は《神の宣告》があるという堅い守りであるにも関わらず、《大嵐》をピンポイントで引き展開からの破壊効果で場を焼け野原へと帰させた破壊力。

 総合的に見て実力差は明確だ。

 

 それでも、諦めることだけはしたくない。

 今、自分ができることを考えて最善を尽くすのみだ。

 

「ドロー!」

 

 引いたカードは《武神降臨》。

 自陣の場のみにモンスターがいないため条件は満たすものの、除外されている武神が存在しない。とどのつまり使えない。

 

 無言のまま冷や汗をかく。

 しかし、他の手札を見れば同じく魔法カード。それも《武神降臨》に似た名前の魔法カードならば発動できるではないか。手札もイマイチ機能しそうにない今、これに賭けるべきだと判断した。

 

「だったら手札から《武神結集》を発動! 墓地の武神、獣戦士族の《武神─ヤマト》をデッキに戻し手札を全て捨てる。デッキからカード名の異なる武神、獣戦士族を3枚まで手札に加える!」

 

 手札には機能しない魔法カード《武神降臨》と墓地発動型の2枚の武神器だ。

 これならば手札を全て捨てるコストもメリットになるだろう。

 

「《武神─ヤマト》《武神─ミカヅチ》《武神─ヒルメ》を手札に!」

 

 3枚の武神、獣戦士族を手札に加える。

 

「墓地から《武神器─ハバキリ》を除外し《武神─ヒルメ》を特殊召喚! さらに《武神─ヤマト》を通常召喚!」

 

 武神─ヒルメ

 ☆4 ATK/2000

 

 武神─ヤマト

 ☆4 ATK/1800

 

 赤と白の武神モンスターを場に出す。

 これでランク4のモンスターを出せるのだがスサノヲ、カグヅチ、ツクヨミ。他にはパラディオスや101など。どれも使えるカードであるが残りライフを考えてしまえば受け身になってしまう。

 重要なのは常に先手を取ること。ならばと考えた結論で晃は1枚のエクシーズモンスターを特殊召喚する。

 

「だったら──レベル4《武神─ヒルメ》《武神─ヤマト》の2体でエクシーズ! 《励輝士ヴェルズビュート》をエクシーズ召喚!」

 

 励輝士ヴェルズビュート

 ★4 ATK/1900

 

 二体の武神が球体となって円を描く。

 その中から出現するのは、今まで晃が使用したカードとは風貌が全然違うモンスター。ハエのような兜を被った騎士の姿だ。

 

 今、ライフ差は5100と半分以上もある。

 それでもここで焦って攻め急ぐのは危険だ。だからでこそ安全にかつ確実に通していかなければならない。

 

「ヴェルズビュートの効果! エクシーズ素材を一つ取り除きオレの場の手札と場のカードより部長の手札と場のカードが多いためこのカード以外の場のカードを破壊する!」

「おっと、やるじゃねえか」

 

 素になって創が語る。

 晃は手札《武神─ミカヅチ》と場の《励輝士ヴェルズビュート》のみ。対する創は場に2体のモンスターと伏せカードに1枚の手札のため破壊を行うことができた。2体のモンスターに伏せカードは《聖なるバリア─ミラーフォース─》だ。

 

 もしここで攻め急いでいれば成功率が低いとはいえミラフォの餌食になっていたことだろう。いつも以上に臆病になったことで最善となったわけだがヴェルズビュートの効果を発動したためこのターン与えれるダメージも0なのだ。

 

「これでターン終了ッスよ」

 

 それでも《励輝士ヴェルズビュート》のエクシーズ素材はもう一つある。

 しかも発動タイミングは先ほどの自身のメインフェイズに加えて相手のバトルフェイズにも使えるのだ。これで次の二階堂のバトルフェイズを凌ぎ有栖へと回す。それが晃の狙いなのだ。

 彼の判断を見ては、創は悪人のような笑みで述べた。

 

「くくっ、やるようになったな村人Aよ。だが忘れるなよ我々が勝った暁には部室を頂くことをなぁ!」

 

 あー、そういえばそんな設定だったな。

 なんて晃は思い浮かべるのだが、その隣。二階堂は『ふむ』などと軽く顎に手を当てて何か思い出す様に呟いた。

 

「そういえば、資材室が足りなくなってきたと先生方が言っていたな。部室を貰えるとなると丁度いいな」

「……はあ?」

 

 なんて驚きと呆れを見せた表情を珍しく創は見せた。

 だらだらと冷や汗を掻き二階堂の方へと振り向く。

 

「では、我々が勝ったら部室は生徒会が有用に使ってやろう」

「待て生徒会長! それは、フリだろうがっ!!」

「残念だが、僕はそういう冗談は嫌いでな。僕らが勝ったら本当に部室は貰う!」

 

 などと堂々と宣言する。

 いや、この人。遊戯王部を潰そうとしたのを諦めたと思ったけどまだ諦めていなかったのだろうか。目が本気だ。

 

「っ……こうなった生徒会長はテコでも動かん。頼む。橘、風戸なんとしてでも勝ってくれ!」

「えぇー?」

 

 なんだろう。

 タッグデュエルの最中で相方の一人が倒してくれなんて語る場面は始めてだ。

 

「では、逝くぞ!」

 

 ただのフリのはずだった決闘が言うの間にか本気になっていた。

 急に重苦しいプレッシャーを感じ始めた中、二階堂のターンが始まる。

 

 

 

 


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