異世界?での改変生活   作:松竹

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本文にある造物主(ライフメイカー)とケルベラス渓谷についての考察ですがあくまで作者の独自設定と原作にある情報を基にしたただの捏造です。
この作品ではそういう物だと思ってください。







介入への最後の準備

この世界に生まれて11年。遂に魔法世界にやってきた。ここ数年の間オレがこの世界で出来ることをずっと考えてきた。初めの数年はただ原作に介入して「ナギやネギ達の仲間として一緒に戦えればいいなぁ」と軽い気持ちで喜んでいたが流石に十年も過ごせばここがフィクションじゃない現実だと理解できる。遊び半分で介入して原作の歴史よりも悪くなったら目も当てられない。オレの所為で魔法世界が滅んだりしたら十億以上の人が消えてなくなる。とてもじゃないが正気じゃいられないだろう。介入するなら原作以上のより良い未来を目指すくらいの気概が必要だろう。その為の準備はしてきたつもりだ。まだまだ足りないものも多いが少しずつ手札は揃ってきている。目指すべき場所は遥か先だが先ずは目先の問題を片付けなければいけない。

 

おそらく後3年程で大戦が始まるだろう。残り時間は多くないがやれるだけやってみよう思う。今のオレでは<完全なる世界(コズモエンテレケイア)>相手に立ち回るのは厳しいだろうが幾つか対策は考えている。この考えを形に出来れば世界最強クラスのチートどもが相手でも十分に渡り合えると思う。それとこの時代にいるかわからないが出来ればあの人と逢っておきたい。彼から話を聞ければ色々考えを補足出来る。上手く形に出来ればより良い未来を目指す為の大きな力になるだろう。

 

 

まず最初に戦場となるだろうヘラス帝国とメガロメセンブリアを見て回った。最低限の地理すら解らないのでは大戦時に色々困るだろう。地形などの情報は古来より戦局を左右する重要な要素なのだから。まぁこの世界には山ごと吹き飛ばして地形すら変えそうな化物も居るのであまり関係ないかも知れないが(ナギとかラカンとか)いざという時の為に隠れ家の一つや二つは見つけておいて損はないだろう。

 

グレート=ブリッジなど戦場になるだろう幾つかの地を回った後ケルベラス渓谷に向かった。原作で魔法を一切使えない場所と言われていたがその理由が知りたかったのだ。魔法とは世界に満ちる魔力に自身の魔力で干渉して己の望む現象を引き起こすもの(ちなみに呪文の詠唱はそれを効率よく引き出す為の補助。だから簡単な魔法なら無詠唱で使える)。つまりケルベラスで魔法が使えないのは世界に満ちる魔力が枯渇しているからだと思われるが(つまり常時オスティア崩壊の原因になった魔力消失現象を起こしていると思われる)、そもそも魔法で作られた幻想世界たるこの世界で理由も無いのに魔力が無いなど不自然だと思う。そう考えればこの地に棲む魔獣達にその原因があると考えるのはそれほど飛躍した考えでもないだろう。もし原因を解き明かし利用できればオレも擬似的に魔法無効化能力を使えるかもしれないのだ。

 

結論から言えばオレの考えは半分だけ合っていた。この地の魔獣は常に周囲の魔力を取り込み続けていた。

 

まず渓谷内で魔法が使えなくなる境界線を確かめようと思い、<火よ灯れ>を使いながらロープで体を固定して少しずつ谷の中へ降りてみたが谷に入ったとたん火が消えるわけじゃなく、下に降りれば降りるほど少しずつ火が小さくなり一定のラインを越えると魔法が一切発動しなくなった。魔力感知で周囲の魔力を探ればそのラインより下は魔力がほとんど存在しなかった。オレは魔力量は平均程度だが魔力感知と制御にかけては他の誰にも負けない自身がある(十年以上毎日のように鍛えてきてのだ。ほかの魔法使いはそんな地味な事にそこまで時間はかけない)。その感知能力で原因を探ってみたら魔獣達に周囲の魔力が引き寄せられている事に気付いた。そこで一匹捕獲して色々調べてみたら彼らは体内に魔力を集め、溜め込む石の様な物(魔石と名付けた)を持っていてその魔力で最低限活動する為のエネルギーを得ている事がわかった(餌も碌に無いのに死なないのはそのため)。

 

残念ながら魔石の一つ二つでは魔力を完全に枯渇させることは出来ないらしい。ケルベラス渓谷内の大量の魔獣達の魔石でようやく渓谷内という限定された空間の魔力を枯渇させているので一つだけではたいした効果は無い。精々ちょっと魔法が使いにくくなる程度だろう。そもそも仮に魔法を無効化出来てもオレも魔法が使えなくなるので余り意味が無い。

 

オレには<幻想殺し(イマジンブレイカー)>は出来ないとわかったので少しがっかりしたが他の使い道を思いついた。多少の改良は必要だがこの魔石の性質を利用すれば某赤い悪魔の宝石魔術の様なことが出来るかもしれない。上手く行けば魔力量が並程度しかないオレでも最強クラスに対抗できる切り札になるだろう。時間はかかったが苦労して二十個ほどの魔石を手に入れてケルベラスを後にした。

 

 

ここまで1年程の時間がかかったが最低限の準備が整ったので大戦の中心になるオスティアに向かう事にする。まずは旅の最中に賞金稼ぎをして貯めたお金でダイオラマ魔法球を買うことにする。残りの時間はオスティアを拠点に魔法球内で修行にあてるつもりだ。食料などの問題もあるし他にやりたい事もあるので24時間入り浸る事は出来ないが2年あればかなりの時間を修行に使える。使いすぎて大戦時には中年のオッサンになっていた!みたいな事は出来れば避けたいが(原作開始時にはジジイになってしまう)背に腹は変えられない。なんとかその辺りと折り合いをつけて可能な限り力をつけるつもりだ。

 

 

初めてダイオラマ球の中に入ったが安物なだけあって殺風景な荒野とボロい小屋があるだけだった。エヴァの豪華な別荘とは比べ物にならないが修行に使うだけだから構わないだろう。まずは今後の方針から決めようと思う。まず目的を整理しよう。

 

今の所オレの目的は大きく分けて三つある。

 

1:原作とは別の形での魔法世界崩壊の阻止

 

2:大戦のより良い終結

 

3:1,2を実現するための力をつける

 

オレはネギま!において最も改変が難しいのが1と2の出来事だと思っている。他は個人や地域レベルの問題ばかりだが、この二つは文字どうり世界規模の問題だからだ(学園祭の超の歴史改変は世界に影響を与えるが動いているのはほんの数人だし最悪学園祭前に超を拘束して麻帆良(まほら)から連れ出せば済むことだ。もしくは学園祭前に田中軍団を全て壊すとか)。

 

魔法世界の崩壊はたとえ原作通りに防げてもその際に起きる問題は小さくないだろう。原作では大丈夫だったようだが正直戦争に発展してもおかしくないと思っている。確実に原作と同じ未来に進むか解らない以上放置していいことじゃない(完全なる世界(コズモエンテレケイア)は論外。あんなのは死んでないだけ)。

 

大戦については戦争に介入するから下手な真似をすればより多くの死者を生むだろう。オレでは戦争自体は防げないし、どれほど鍛えても造物主(ライフメイカー)に勝つことは難しい。ただナギと行動をともにしても原作の未来をなぞるだけだし上手く立ち回る必要がある(最大の目標はオスティア崩壊の阻止)。

 

とりあえず魔法世界の崩壊は今すぐどうにかなる物でも無いので、大戦のより良い終結を目指す。その為にまずは最低限強くなる必要がある。今のままだと何も出来ずに終わる所か最悪足を引っ張りかねない。出来れば事前にアリカやアスナとも接触しておきたいが何のコネも無いので情報を集めつつ追々考えることにする。

 

 

目的の再確認も終えたので早速修行を開始しようと思う。俺のやるべきことは大きく分けて四つ

 

1:基礎能力の底上げ

 

2:魔石を利用した一時的な魔力のブーストの実現

 

3:最強クラスと渡り合うための戦術の構築

 

4:造物主を封印する為の術式の開発

 

1については言うまでも無く正面から戦っても勝てないまでも簡単には負けない程度の実力をつける事だ。瞬時に粉砕されるほどに力の差があったら小細工なんて何の意味も無い。最低限渡り合える程度には強くないと小細工ごと一蹴されて終わりだろう。その為の材料は揃っている。オレの目的は感卦法(かんかほう)の習得だ。この世界では魔力量は火力に直結する。魔力量は鍛えたところで早々増えないので人並程度の魔力しかないオレではフェイト達の異常な障壁はどうやっても破れない。その為なんとか技術で補えないかと魔力の制御や運用効率などを磨いたがどうにもならない事が解っただけだった(どれだけホースの先を細くして水圧を高めても川の流れには逆らえない)。つまり魔法だけでは全く勝ち目が無いのだ。だから気の習得を選んだ。究極技法(アルテマアート)とまで言われるあの技を習得できれば多少は力の差を埋められるだろう。何よりあの技は天才だけがなし得る特別な技じゃなく努力しだいで誰でも使える技術だ(単に難易度が高く気と魔力の両方を実戦レベルで使える者が少ないから習得できる者がほとんどいないのだろう)。ならばオレも時間さえあれば習得可能なはずだ。

 

2は魔法世界に来る前は考えてなかったのでうれしい誤算だった。元々はケルベラスの魔法使用不可の原因を探りあわよくば擬似的な魔法無効化能力の実現でも出来ないかと考えていたが。これはこれで悪くないだろう。どの程度の魔力を溜め込めるか確認しないとわからないがうまく実現できれば一瞬だけでもナギに匹敵する力を得られるかもしれない。元から魔力を溜め込む性質を持つので後はオレの望むタイミングでそれを引き出せる様にすればいいのだからおそらく可能だ。

 

3については今までもずっと考えてきた。例え1と2が上手く行っても正面からの力押しではやはり厳しいと思う。今考えているのは全魔法の無詠唱化と拘束術式による絡め手の二つだ。

 

魔法使い最大の弱点は呪文の詠唱だと思う。刹那の時間で命を取り合う戦場で詠唱に数秒も使うのは自殺行為だし(だから魔法使いにはそれを守る従者がいる)敵に詠唱を聞かれるから何の魔法を使うかバレバレだ。だからこそ無詠唱魔法の習得は大きな力になる。さすがに<千の雷>の様な大魔法は無理だろうが(そもそもオレがそんな魔法を使えば一発で魔力が無くなりかねない)<雷の暴風>辺りの中級クラスならなんとかなるだろう。

 

拘束術式は原作の京都で当時のネギが圧倒的に格上のフェイトを僅かな間だが見事に無力化している(まぁ、かなり手加減していたが)。これを上手く使いこなせば格上相手にも勝ちを拾えるだろう。

 

 

そして最も重要なのが4の造物主の封印だ。こいつはただ倒しても意味が無い。他人に乗り移ってまた復活するからだ。オレは造物主の<不滅>の理由にある程度予想が付いている。原作でははっきり明かされる事無く終わってしまったが断片的な情報は出ていた。

 

1:造物主は2600年生きている

 

2:造物主は600年前にエヴァで<不滅>の研究をしていた

 

3:造物主は少なくとも3度死んでいる

 

4:造物主は死んだとき近くにいた者に憑依する

 

5:原作のネギはアスナがいれば倒せると言っていた

 

以上の5点だ。

 

まず1から奴は元々不死(もしくは不老)と言える存在だった。2から最上位の魔族と呼べる<真祖>に<不滅>の理由がある。3から肉体的な死には意味が無い。4から死んだ後も意思がある。5から魔法無効化が<不滅>を滅ぼす鍵になる。と言えると思う。

 

1についての理由までは流石にわからないが今は関係ないので置いておく。オレは2~5の点から上位魔族について調べた。原作で上位の魔族は通常では滅ぼせないとヘルマンが言っていたのでそれを滅ぼせるらしいネギが習得していた超高難度の古代魔法を魔法学校で調べておいた(ネギがその魔法を覚えたのはここ以外あり得ない)。魔法の効果が解ればどうして上位魔族が滅ぼせないのか解るからだ。上位魔族が肉体的な損傷では死なないと言う事は肉体は彼らにとって入れ物でしかなく、その身に宿る魔力こそが彼らの本体だと推測できる。つまり魔族とは意思を持った魔力の集合体でありそれが肉体という器に入っている存在ということだ故に『魔』族(おそらく低級な魔族は肉体の死に引っ張られて本体の意思も死ぬんだろう)。実際ネギの覚えた魔法は魔力を消滅させるものだった。

 

しかしそれだけでは<不滅>とは呼べない。いかに高難度でもネギに出来ることが<赤き翼>に出来ないとは考えにくい。そこで<真祖>だ。原作でエヴァは腹を貫かれても直ぐに再生していた。エヴァが治癒魔法を使えない事は原作で書かれてので魔族の性質から考えると自身の魔力がある限り自動的に再生するんだろう(原作でも麻帆良に封印されて魔力が殆ど無い時は不死じゃ無いと書かれていたのでおそらく間違っていないと思う)。その再生能力を得るためにエヴァで<真祖>化の実験をしたんだろう。

 

以上の事から推測すると造物主とは<無限とも言える絶大な魔力を真祖並みの能力で再生させる魔力の塊>であり、滅ぼすためには<真祖の再生力を上回る速度で全ての魔力を消滅させる>必要があると言える。だからこそ魔力を打ち消すアスナの力が造物主を滅ぼす鍵になるんだろう。

 

そして僅かでも魔力が残っていれば再生し、それが他人の中に入り込みその体の意思を奪い体を乗っ取る。だから原作20年前の大戦期にゼクトが、10年前にナギが造物主に乗っ取られた。おそらくナギが何度か自分の意思で行動できたのは生まれ持った膨大な魔力と強靭な意思の力で抵抗していたからだろう。

 

これがオレの考える造物主の<不滅>の理由だ。出来れば彼に逢って裏付けが欲しかったが多分間違ってはいないと思う(因みにオレが逢いたかったのは原作でネギと戦った<黒い猟犬(カニス・ニゲル)>の骨っぽい山羊さんだ。彼はおそらく上位魔族だろう)。

 

世界最高の魔法使いの絶大な魔力とそれを瞬時に回復させる真祖の再生力。魔力を僅かでも残せば瞬く間に再生するし他人の中に入り込んで直ぐに復活。滅ぼすには一欠けらの魔力も残さず再生前に消滅させるしかない(言うなればドラゴン〇-ルに出てくるピンクの魔人の魔力版だろう。あれはミンチにされて焼却されてもその煙から再生した)。

 

これだけ揃えばほぼ<不滅>と言えるだろう。殺すのは不可能に近い。オレは今回アスナの力を借りる気は無いので殺せない。だから封印する方法をずっと考えていたが、丁度いい物が手に入ったのでようやく目途が起った。これなら原作の様にゼクトを犠牲にする事無く戦いを終わらせるだろう。

 

 

やることは色々あるがどれもこれから必要になるだろう。この世界をより良い未来に導く為に、例え還暦を迎えジジイと呼ばれる事になろうともオレが諦める事はけして無いだろう。あとは理想を現実とする為に走り続けるだけだ!

 




次から原作キャラと絡めようと思います。


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