異世界?での改変生活 作:松竹
あと「展開早くね?」と言う感想をいただきました。多分話と話の間でかなり時間が進んでる事とかちょっと前のアスナと街へ行く所の描写を飛ばしたりしたとかその辺の事だと受け取りました。一応そのあたり後書きに理由を書いときます。
今さらですが私は感想を頂いた場合、前書きや後書きでそれに対する返答をする方針ですので個別に返信はしません。感想で悪い点など指摘して頂いた場合、感想を送ってくれた方以外にも同じ様に感じた方もいると思いますのでみんなが目を通す場所に返答したほうがいいかな?と思いましてそうしています。勿論全てに答えなどを返せるわけでも無いですが。
SIDE アリカ
先の戦は鬼神兵5体に戦艦10隻を破壊され軍に壊滅的な損害を受けたヘラス帝国軍が撤退することで終戦をむかえた。ウェスペルタティア側は王都オスティアの50%以上が破壊される甚大な被害を被ったが幸いにも人的損耗は最小限に止められた。さすがにオスティア防衛にあたった兵士からは少なからず死者を出したが非戦闘員からは怪我人こそ出たものの死者は0人。あれだけの規模の戦闘で数万の住民を守り抜いた事を考えれば今回の戦はウェスペルタティア側の完全勝利と言ってもいいかもしれない。
アリカは各所に戦後の指示を出し終えた後戦場で付いた血と汗を軽く流した後謁見の間へ向かった。そこに待つ今回の勝利を決定付けた者達に会うために
「まずは礼を言う。此度の戦、お主達が救援に来なければ少なからず民達にも被害が出たじゃろう」
玉座に腰掛け今回の戦で救援に駆けつけた<紅き翼>の面々に声をかける
「気にすんな。俺達も来るのが遅れてすまねぇ」
「ナギ!このバカ!!陛下にどういう口の聞き方だ!!」
あまりに砕けた態度で答えるナギを詠春が怒鳴りつける
「フフ・・・申し訳ありません陛下。礼儀に疎い粗忽者ですので。どうか寛大な御心でお許し下さい」
「全くコヤツは・・・。不肖の弟子が大変失礼を」
残る二人もアリカに頭を下げる
「んだよどいつもこいつも。別に良いじゃねぇか」
ふむ・・・こやつ等がサイの言っていた<紅き翼>か。あやつ曰く「凄腕ですよ?リーダーは特にね。バカだけど。多分世界最強じゃないですか?バカだけど。根も善良だし味方にできれば百人力じゃないですか?バカだけど」らしい。アヤツは誉めたいのか貶したいのか一体どっちなんじゃ?というかそこまで強調するとはどれだけバカなんじゃ?と言いたくなるが・・・なるほど。確かに少々思慮は足りぬかもしれん。
「構わぬ。主らはこの国の恩人じゃ。多少の無礼には目をつぶろう」
「ほら見ろ!女王さんは別に良いって言ってんじゃねぇか」
アリカに許されドヤ顔のナギ。それを見てまた一本、生真面目剣士の血管が切れる
「調子に乗るな!!この
「さっきからいちいちうっせぇぞ詠春!!」
「お前の所為だろうが!!」
随分姦しい奴らじゃ。たしか青山詠春じゃったか?なんと言うか苦労してそうじゃな。しかし王との謁見中に仲間と騒いでおる自分も大概礼を逸しておるんじゃが・・・気付いて無さそうじゃな。
「二人ともその辺で止めておきなさい。陛下が呆れていますよ?」
「スマンのぅ陛下。バカ二人には後でよく言い聞かせておくゆえ」
アルとゼクトは呆れ果てたと言わんばかりの態度で謝罪する
「「一緒にすんな(するな)!!」」
「いや。日頃相手にしている者達は腹に一物抱えた者ばかり。それに比べればお主等の明け透けな態度は好ましいぞ?」
「有難う御座います」
「感謝する」
アルビレオ=イマとゼクトか・・・。この二人が<紅き翼>の歯止め役かの?考え無しのスプリングフィールドに生真面目すぎて視野が狭くなりがちの青山、それを一歩引いた位置からサポートするアルビレオとゼクト。ふむ・・・中々バランスの良いチームじゃな。
「さて。では本題に入ろう。今回の戦功に対する報奨の話じゃ」
ナギ達のやり取りで緩んでいた空気がアリカの言葉で引き締まる
「あん?んなもん別にいらねぇよ」
「そうだな。別に褒美が欲しくて戦った訳じゃない」
「フフ・・・確かに二人の言う通りですね」
「それに無礼を承知で言わせてもらうんじゃが今のこの国にその様な余裕は無いのでは?」
褒美になど欠片も興味の無いナギと人助けで謝礼を求めるなどあり得ない詠春。アルやゼクトにしてもその手の物欲は乏しい。
「確かに余裕は無いがそれとこれとは話が別じゃ。たしかに此度の戦でこの国が被った被害は大きい。じゃがお主らや兵達のお陰で幸いにも民への被害は軽微じゃ。怪我人こそ出たが死者はでておらぬ。これはおぬし等や命がけで民を守った皆の功績。信賞必罰は世の倣い。功には報いねば組織は立ち行かぬ。これは国も同様じゃ。」
「なんつーか面倒くせぇな」
「ではこうしてはどうでしょう?」
「何か思いついたか?」
アルビレオか・・・こやつはくせものじゃな。イマイチ内心が読めぬ。
「はい。こちらは特に欲しい物は無い。そちらも戦災復興のため余裕は無い。あっていますか?」
「そうじゃな」
アルの言葉にアリカがうなずく
「なら今後私達がこの国を頼った場合にある程度便宜を図って頂くと言うのはどうでしょう?」
「要するに後ろ盾になって欲しいと言う事か?」
「そう取って頂いて構いません」
こやつ等は言ってみれば傭兵の様なもの。連合もけして一枚岩では無い。<紅き翼>の事を快く思わぬ者もいるじゃろう。そういった権力者に目を付けられた時の保険という事か・・・。此方としてもこやつ等との関係を維持するメリットは小さくないかの?
「そんなことで良いのか?それならこちらとしてもありがたいが」
「はい。ウェスペルタティアは小国なれど魔法世界で屈指の歴史と伝統を誇る。その権威はけして小さな物ではありません。その後ろ盾があれば愚かな貴族や政治家もそうそう噛み付いては来ないでしょう」
「どういうこったお師匠?」
アルとアリカのやり取りをイマイチ理解できないナギは自身が師と仰ぐ少年?に問いかける
「つまりこれからも仲良くしましょうという事じゃ」
「なるほど」
「ゼクト殿それは端折り過ぎです」
余りにも大雑把な説明に詠春が口を挟む
「そうかの?ナギにも分かるように端的に説明したつもりじゃが?」
「確かにそれはそうですが」
「つーかお前ら。オレの事馬鹿にしてねぇか?」
「「何をいまさら」」
ナギが二人をジト目で睨むも二人はさも当然だと言う様な態度で返す
「お前らなー!!」
「ではそう言う事で宜しいですか?」
「うむ。こちらに異存は無い」
3人の漫才を後目にアルとアリカの話し合いも合意に至る。
「そういえばお主達はこれからどうするつもりじゃ?」
「ナギ?」
アリカの問いにアルがナギを促す。今回の様な交渉の場では基本的にアルが出張るが彼らの行動方針を決めるのはあくまで<紅き翼>のリーダーであるナギだ。
「あん?とりあえずしばらくはこの街の復興を手伝うつもりだぜ?流石にあの有様見てほかってくのも寝覚めが悪いしな」
「そうか。ならばこの街に滞在する間の食事と寝所はこちらで用意しよう。王宮内で構わぬじゃろう?」
ナギの言葉を聞きアリカがそう提案する
「マジか!!城のメシっていっぺん食って見たかったんだよな」
「ありがとう御座います。陛下」
「御心遣い感謝いたします」
「感謝するぞ。アリカ陛下」
アリカの言葉にそれぞれ礼をのべた処で<紅き翼>とアリカの顔合わせは終了した
SIDE サイ
ふぅ・・・流石に少し疲れたな。
「まぁアリカ達に比べれば楽な方なんだけど」
アリカは自ら戦場に立った後も各所に指示を出したりで働きっぱなしだし、アルナも戦闘中は避難民を纏めてたし今は今回の被害状況を報告させてそれに対する保障やら対応やらに頭を悩ませてるみたいだ。
「さてと。一番楽な俺が泣き言いう訳にもいかんしとりあえずアスナの所に行くか」
今回の防衛戦では俺達3人ともそれぞれやるべき事があったのでアスナは最低限の護衛だけつけて自室で待機させた。最初はアスナだけ避難させるという案もあったが俺が却下した。俺がアスナの傍で護衛できない以上王宮内から外へ出すのはリスクが高いと判断したからだ。<完全なる世界>がいつ動くか分からないがアスナにはできるだけ俺の近くにいてもらった方が守りやすい(因みにアスナの自室には俺が何重にも結界を張っておいたので多分オスティアで一番安全だった)。
「よぉ!さっき振りだな」
「ん?もう謁見は終わったのか?」
廊下を歩いていると前から<紅き翼>の面々が歩いてきた
「さっきな。やっぱああ言うのは面倒くせぇな」
「ナギ。失礼な事を言うな」
「貴方にはああいった場は合わないでしょうね」
「もう少し戦闘以外の事も教えるべきかのぅ」
<紅き翼>か・・・改めて近くで見るとやっぱりそこらの奴らとは違うな。じゃれ合っててもスキの無い立ち振る舞い。たぶん俺が今仕掛けても軽く対応するんだろうな。これが世界最強か・・・。
「しばらくココで世話になるからよ。改めて自己紹介しとく。ナギ=スプリングフィールドだ。よろしくな!」
「青山詠春だ。しばらく世話になる」
「貴方が・・・。アルビレオ=イマと言います。アルとおよび下さい」
「ゼクトじゃ」
それぞれサイに向き直り挨拶する<紅き翼>の面々。全員が興味深そうに彼を見ている
「??ああ・・・宜しく。サイだ。一応アリカ様達の護衛を任されてる」
なんか観察されてる?なんでだ?直接顔を合わせたのはナギだけだし特に気を引く様な事はして無いと思うけど。てかアルの「貴方が・・・」て何?ナギのアホがいらん事言ったか?まだ俺の事には気付いて無いみたいだけど・・・
「サイ?」
ナギはサイの名を聞き訝しげな顔をする
「俺の名前がどうかしたか?」
気付いたか?まぁ自分から言っても良いんだけどなんとなく嫌な予感がするんだよな。色々と面倒事が起きそうな気がする。できれば黙っておきたいんだけど。
「いやオレの知り合いに同じ名前の奴がいるからよ」
「へ~ソウナンダ。偶然だな~」
「同じ村で育ってな。ガキの頃はよく遊んだんだぜ」
「天下の<千の呪文の男>にも微笑ましい時代もあったんだな」
遊んだ?一方的に絡まれてた気がするんだが。
「あの野郎。村を出て学校行ったと思ったら中退してどっか消えやがって。オレとの約束忘れてんじゃねぇのか」
「約束?」
そんな事したか?覚えてないぞ。
「ああ。村にいた頃よくやり合っててな。オレが負け越してんだ。だから今度あったら勝負するって約束してんだ」
あぁ~思い出した。そういやそんな事言ったっけ。
「たしかお主がワシに弟子入りした理由もソヤツに勝ちたいからじゃったな」
「ほう。そんな者がいたのか」
「フフ。ぜひ一度お会いしてみたいですね」
村にいた頃の話をしているとゼクト達も会話に加わってくる。
「オレのライバルだからな。きっと強くなってる筈だ。そのうち見つけてリベンジしてやんぜ」
ライバル認定されてる?!超うれしくねぇ!!あれか?子供の頃の記憶は美化されるもんだし滅茶苦茶買いかぶられてる?てかゼクトに弟子入りしたのは俺の所為なのか?何そのバタフライ効果。
「・・・そのうち会えるんじゃないかな?」
「まぁこの戦が終わんねぇとそれ所じゃねぇし当分は無理そうだけどな」
目の前にいるけどね?バレたら間違いなく挑まれるな。黙ってて良かった。負けると解ってる勝負なんか別にしたく無いしね。てかナギの奴よくあんな約束覚えてたな。絶対忘れると思ってたのに。
「じゃあ俺は行く所が・・・アスナ?」
ナギとの話を切り上げ様とした時廊下の先から歩いてくるアスナが目に入った。
「あん?」
ナギ達もサイの言葉に振り向く
「・・・サイ」
ナギ達の間を抜けて目の前まで来たアスナが話しかけてくる
「どうした?出歩くなんて珍しい」
自分を見つめるアスナに目線を合わせて話かける
以前外へ出かけた後も何度か機会を見つけてアスナと一緒に街へ降りている。そのお陰か最近少しだけアスナに変化がおきている。まだまだ子供らしくなったとは言えないが以前より確実に自分の意思を表に出すようになった。前のアスナならこうやって自分の意思で部屋を出て俺の所まで来る事は無かっただろう。俺としても以前は全く興味なさげだったアスナが懐いてくれた様でつい嬉しくなってしまう(ん?ロリコンじゃねーよ!!)。
「誰だ?その子?」
「・・・だれ?」
話しかけてきたナギにアスナが反応する。
「ああ。アリカ様達の妹だ。ほらアスナ自己紹介しな?」
アスナを促しナギ達の方へ向き直る
「・・・アスナ」
「ナギだ。よろしくな姫子ちゃん」
「・・・ヒメコ?」
聞きなれないナギの呼び方に首をかしげるアスナ
「この国のお姫様なんだろ?だから姫子ちゃんだ。嫌だったか?」
「・・・別に嫌じゃない」
「なら決まりだな」
首を横に振り否定するアスナにナギがニカっと笑いかける
へ~流石はナギだな。前よりマシになったとは言え未だにほとんどの人間に関心を持たないアスナが多少なり興味を持ったみたいだ。こういう直ぐに人を惹きつけるとこはどうやっても真似できん。村でも他の子供とか纏めてたし。ナギがもうちょっと成長すればかなりの女たらしになりそうだ。これがリアルニコポか?
「青山詠春です。アスナ姫」
「宜しくお願いします。アルとお呼び下さい」
「ゼクトじゃ。よろしくのぅ」
アスナの簡潔すぎる自己紹介を気にした風も無くそれぞれ挨拶する<紅き翼>の面々。それを受けてしばらく彼らを見た後アスナが俺を見つめてきた。無表情だが「これでいいか?」と言いたげだ。
「よくできました。偉いぞアスナ。」
頭を撫でながらアスナを誉める。子育ての経験なんか無いからこれが正しいか分からないが大した事じゃなくてもこうやって誉めたりしながら少しずつでも外に興味を向けられればいいと思っている。まぁ無表情ながら心なしか嬉しそうにしている気がしないでもないので多分悪影響は無いと思う。
「ハハ。まるで親子みたいだな」
サイとアスナのやり取りを見てナギがからかい混じりに茶々を入れる
「そうか?俺としても一応家族になったつもりで接してるんだが。これが中々難しくてな」
他からはそう見えるのか?未婚な上に恋人もいないのに子持ちか。俺って実は子供好きだったのかな?ちょっと嬉しいかもしれん。将来は「娘は嫁にやらん!」とか言うのかも。
「それにしても随分大人しい子だな?」
あまりにも静か過ぎるアスナに詠春が疑問を抱いたようだ。本来子供なんて基本的に騒がしいもんだしな。これだけ無表情で大人しけりゃ違和感の一つも感じるか。
「この子は色々特殊だからな。噂くらいは聞いた事あるんじゃないか?」
曰く、オスティア王宮には人形の姫が幽閉されてるとか世界を滅ぼす兵器が隠されてるとか正直ろくでもない噂が多い。微妙に真実なあたり<完全なる世界>が他の国を煽るために意図的に情報を流したんじゃないかと俺は疑ってる(いつの間にか原作同様<黄昏の姫巫女>とか呼ばれてるし)。本当にいい迷惑だ。お陰で先の戦でもアスナを使えとか言う愚か者が少なからず存在した。まぁそいつらは見事にアルナに黙らされたが。魔王の如き威を放ちながら天使の微笑みを浮かべ淡々と話すアルナに抗える者は誰一人存在しなかった(あれは怖かったね。マジで)。あくまで噂レベルだったのも幸いした。実際にアスナの力を知られていればあそこまで簡単に押さえ込む事はできなかっただろう。
「ああ。ということは噂いくつかは真実だったか。こんな幼い子供相手に・・・許せんな」
「まぁ過去の事だ。今は普通の子供として暮らしてるから安心してくれ」
「・・・サイ」
服の裾を引っ張りながらアスナが話しかけてくる
「ああ。んじゃ行くか」
言葉は少ないが最近なんとなくアスナがどうして欲しいか解る様になった。それに応えてアスナを抱き上げる。これが今のアスナの定位置だ。以前街中で親子連れを見掛けた時に子供が親に抱かれているのをアスナがジッと見ていたので試しにやってみたら気に入ったらしい。今では部屋にいる時もよく俺の膝の上に座っている。
「じゃあ俺達は部屋に戻るから。しばらく此処に居るなら暇なときにでもアスナの遊び相手にでもなってくれ」
「モチロンかまわねぇぜ。姫子ちゃんもまたな!」
「・・・また」
ほかの面々とも挨拶を交わしてその場を立ち去る。<紅き翼>とのファーストコンタクトは上手く行ったかな。これから力を借りる事も増えるだろうし悪印象を持たれたら不味いからな。狙ったわけじゃないけど上手い事アスナも紹介できたしとりあえず言う事無しだな。ナギなら多少なり関わりを持った子供が狙われれば力を貸してくれるだろうし。初めから自分一人で守りきれるなんて自惚れてないし俺が居る所為でナギ達とアスナが知り合わなくなると色々不味い事になるかも知れないしね。
しかしこうも打算的な事ばっかり考えてるとか我ながら嫌な奴だな。
「ホント嫌な大人になったもんだ」
「・・・サイ?」
「ん?なんでもないよ」
つい口からこぼれた言葉に反応したアスナを誤魔化しつつ部屋に入る。まぁその辺は割り切るしかないな。とりあえず俺にできるのは俺を信じてくれる人間を裏切らない様にすること位だし
「それじゃあ今日は何をしようか?」
SIDE ナギ
「彼が私達が来るまであの塔で戦っていた者ですか」
「かなり出来るな」
「少なくとも魔力制御に関してはワシ等よりも上じゃろう。長く生きておるがあれほど見事に洗練された<魔法の射手>はワシも見たことが無い。何でも力任せの馬鹿弟子にも見習わせたいものじゃ」
お師匠達がサイの評価をしてる。確かにかなり強いなアイツは。オレが来た時も自分で対処出来そうな感じだったし。他を気にしなけりゃアイツ一人で勝てたかもな。いっぺんやり合ってみてぇけどそれよりやっぱ気になんなアイツ。
「やっぱどっかで会った事ある気がすんだよな」
「どうしました?ナギ」
話に加わらず一人首を傾げるナギにアルが問いかける
「いや。前にアイツと会った事ある気がしてな」
「ほう。それはこの街に来る前に・・・という事ですか?」
ナギの言葉を聞き興味を抱くアル
「ああ。っても多分気のせいだろけどな?この国に来たのは初めてだしあんだけやれる奴に会ったんなら忘れねぇし」
「そうじゃな少なくともワシと行動を共にしてから会った事は無いはずじゃ」
先ほどまで詠春と話していたゼクトも会話に加わる
「そうでも無いかも知れませんよ?」
「あん?」
「貴方が彼を彼と認識していないだけかも知れません」
「どう言うことだ?」
横で話を聞いていた詠春が口を挟む
「つまりナギは彼と会った事があるという意味ですよ。そう・・・例えば子供の頃などに」
そう言って笑みを深めるアル。この場にサイが居たなら思わず「バレてる?!」と叫んでいたかも知れない。
「は?アイツがサイだってのか?」
つまりこう言う事か?さっき会ったサイは村にいたサイでサイとサイは同じやつだったと。つーかサイサイ解かりずれぇな!
「そう言う事です」
「だったら何で黙ってんだよ?それにアイツはオレより一つ上なだけだぜ?アイツはどう見ても20は超えてんだろ」
言われてみりゃ何となくアイツの
「名乗らない理由は解かりませんが年齢が合わない理由は想像できますよ?」
「ああアレか」
「アレの事じゃの」
アルの言いたい事を察する詠春とゼクト
「二人はわかんのか?」
「ダイオラマ魔法球。聞いた事はありませんか?」
「っと・・・たしか時間の流れが違うんだっけ?」
たしか前にお師匠が言ってたやつだよな?オレには必要ないとか言ってた。
「ええ。あれを使えば貴方が知るより遥かに歳をとっていてもおかしくは無いでしょう?」
「たしかにな・・・でもただの推測だろ?」
「ええ。ですから確かめてみたらいいのでは?」
アルは楽しそうに微笑みながらサイにとっては迷惑極まりない事を提案する
「どうやってだよ?」
「フフ・・・それは私に任せてください。折角の幼馴染との再会です。精々おもしろ・・・もとい感動的に演出してみせましょう!!」
「随分楽しそうだな」
「最近娯楽に飢えておったからのぅ」
心底楽しそうなアルの様子にコソコソ話し合う詠春とゼクト
「いや・・・感動とか別にいらねぇんだけど。でもまぁ・・・アイツがサイだってんなら久し振りに
やたらとテンションの高いアルに若干引きつつ数年振りのライバルとの戦闘の予感にナギは戦意を滾らせる。
こうしてサイの抵抗むなしくナギとの再戦フラグが成立した
「展開早くね?」に対する返答
・一応理由としては「あんまりゆっくり進行すると一向に話が進まん」って言うのと「アスナと街へ行く所とかアリカの時と被ってね?」というのが理由です。他にはアリカ、アルナは内政で忙しいのでサイと遊んでたりは不自然だし、かといって内政の話とか無理!っていうのと今のアスナはほとんど人間的な反応を返さないから日常の描写とか書きにくいって言うのがあります(サイもアスナ達放ってフラフラ出歩くのはおかしいですし)。一応これからはキャラも増えてきたので少しそれぞれの行動などを書いて対応したいと思いますが基本的に大戦期の間は今後も結構飛び飛びになるかと思います。それ以降はある程度マッタリ生活してても別に不自然じゃないと思うので日常の描写も増やしていければと思います。
・アスナの噂について
以前感想で頂きましたが原作だと100年単位で生きていて何度も力を使わされてるみたいですがこの作品だとアスナはアリカ達の妹なんで原作のように<黄昏の姫巫女>とか呼ばれる理由がありません(実際に力を使う機会が無かったので)。なので小細工して見ました。無理矢理感があるかもしれませんがスルーして下さい。
・ナギが魔法球を使ってない件について
ナギには必要ないですよね?だって理不尽な才能の塊ですからあんなの使わんでも直ぐに強くなれますし。本文のゼクトが「必要ない」と言ってたというのはそういう理由です。それに長く生きてるので時間というか人生の大切さを知ってるんじゃ無いかと思います。だから自分より遥かに短い人の生を必要も無いのに削る事はしないんじゃないかな?と思いました。魔法球を使うと人より早く老いる訳ですし。まぁ原作でも使って無さそうだったんでそういうことにしといて下さい。
・サイの正体がバレた件について
別に変装してる訳でも偽名を名乗ってる訳でもないので少し違和感を感じれば直ぐにバレるかと。ナギはともかくアルとかは色々腹黒そうなんで彼に見破って貰いました。