白物語   作:ネコ

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115 その後?

―――伝説―――

 

 歓楽街。そこは、夜中でも灯りの絶えない場所として至る国に点在している。

 

 その中でも、火の国の短冊街では、新たなる伝説が打ち立てられようとしていた。

 

「はい! はった! はった!」

「今度こそ当てるぞ!」

「おじい様より先に当てる!」

 

 賭場の熱気に当てられているのか、2人は周囲の事など全く見えていなかった。少しでも注意を払っていれば分かっただろう。周囲の人たち全ての視線や耳が、自分達の次に出すであろう言葉に向いていることに。

 

「「半ぞ(だ)!」」

「「「「「丁!」」」」」

 

 自信満々に答える2人に、合わせるようにして、こちらも自信満々。打てば響くとでも言うタイミングで、答える。

 

 その場にいる全ての者たちの顔には、外れるはずがない、という揺るぎない自信に溢れていた。必ずどちらかが外れるにも関わらず、である。

 

 根拠がどこにあるかなど、前者2人には無かっただろう。あると言われれば、この次こそ当てるという思い込みこそが、根拠だった。それに比べて後者は違った。必ず前者2人の反対へと賭けていたのである。当たるという根拠はそれだけで十分だった。

 

 最初の方こそ、前者2人の答えが、2つに分かれた時にどうするか……。そのような考えが浮かんでいたが、それが杞憂であったと分かるのはすぐだった。全く同じ答えだったのである。毎回、毎度。分かれることなくそれは今も続いている。

 

 どちらかが反対に賭ければいいのだが、一切そのような事をしようとはせず、一斉に合わせて言っているようだった。その顔は、2人とも嬉しそうにしている。純粋に賭け事が愉しいのだろう。

 

 その2人の少し後ろでは、青い顔をした付き添い人が、1人だけついてきていた。その顔色から、ついてきてはいけなかったと、後悔しているのがよくわかる。それは、胸に抱いていた豚にも言えることだった。

 

「はい! 出目は……丁!」

「よし! 次で取り戻そうぞ!」

「次こそは当てる!」

 

 外れたというのに、微塵も悔しそうな顔を見せず、次の勝負へと気合いを入れ直している。その様子は、どこから見ても、血縁者であるということがよくわかった。

 

「む!? 持ってきた金が、もう無くなってしまったな」

「次に行きますか!」

「行こうぞ!」

「止めてください!!」

 

 出ていく2人を止めるべく、必死に苦言を呈し、身体を張って食い止めようとするが、2人に両腕を掴まれて、抵抗虚しく次へと一緒に連れていかれてしまう。

 

 それに続くようにして、その賭場から人が行列のように続いた。

 

 それを見た人たちは口々に語り継ぐことになる。

 

 鴨が、鴨を背負ってきたと。

 

―――完―――

 

 

―――再会―――

 

 1人は一生懸命に弁明し、もう1人はそれに茶々をいれていた。

 

「んー……。こっちはカカシ君だって分かるんだけど……、あなたはオビトに見えない。ごめんなさい」

 

 弁明を受けた少女……リンはカカシの後ろに隠れながら、オビトへと謝る。純粋に頼れる人が、今では両親とミナト、カカシ、ガイ(リーをガイと勘違いしている)しかおらず、いつまでも家の中に閉じこもるのは良くないと、両親の申し出によりカカシが外へと散歩に付き合っていた。カカシとしても、リンには早く里に馴染んで貰いたいため、快く承諾し今に至っている。

 

「いや。ちょっとくらい面影残ってるって、ほらよく見てくれよ!」

 

 そして、当然のごとく、リンへと説明しているのはオビトだった。あれからというもの、しばらくオビトは拘束されていた。大戦の主犯だったのだから当然だろう。ただ、その記憶が残っている者はほとんどいなかった。ナルトにより、消されていたのである。

 

 オビトは、リンが生き返ったことで魂が抜けたかのように牢獄内で過ごしていた。いつまでも牢獄内で過ごさせる訳にはいかないということで、働かせていたのだが、魂の抜けた状態のオビトではほとんど役に立たないと言ってもよかった。そこへ、オビトにカカシがリンの写真を渡したことで劇的に変わったのである。写真が欲しければ、一生懸命働くことを条件に出すと、今までが嘘だったように働き出した。今ではアルバムにて大事にしている状態だ。

 

 これならば、もう大丈夫だろうと、上層部にカカシが掛け合い外に出したのだが、外に出した途端カカシを締め上げて、リンの居場所へと連れて行かせたのである。カカシも、その必死さに、無闇矢鱈に近づかないことを条件に出して了承させたのだが、あまり意味のあるものではなかった。

 

 ストーカーと化してしまったのである。オビトの中でのリンはあの頃の姿のままだったため、余計にその想いに火を付けたと言ってもいいだろう。昔付けていたゴーグルや服などを購入したり、プレゼントを送るなどアピールするものの、逆にリンの警戒心を煽る結果となっていた。

 

「あんまり近寄ると逆効果だと思うよ」

「お前は分かって貰えたからいいかもしれないけど! 俺はまだなんだよ!」

 

 オビトは必死に、自分の顔を指差して、リンに自分をオビトだと認めてもらおうと昔話を交えて説明をしていたが、リンの中ではオビトは既に過去の人になっていた。それに加えて、自分が死んだはずなのに生き返っているということと、カカシが大人になっていることから、未だに現実味が無い状態だったのである。そんなところへ、いくら説明しようとも素直に受け入れられるはずも無かった。

 

「ほら! このゴーグルなんて俺が昔いつも使ってただろ!」

「大人の状態で着けても怪しいだけだよ」

「カカシは黙ってろ! ……ちくしょう! なぜ変化できないんだ!」

 

 オビトはカカシへ怒鳴りつける。それがリンの感情へと更に悪循環になっているとも考えずに……。そして忍術が使えないことを悔しがり、頭を抱えていた。

 

「<この人大丈夫なの?>」

「<たぶんね>」

 

 オビトがリンに、オビトだと認められるのは、このストーカー行為のせいで、数年掛けていたのは言うまでもない。

 

―――完―――

 

 

―――仕事―――

 

 波の国は、大戦以後再び活気に溢れていた。

 

 元から忍術などに頼ったやり方をしていなかったために、チャクラの恩恵が無くなっても然程変わらなかったことが大きいと言えるだろう。

 

 しかし、波の国の上層部……ガトーカンパニーでは大変なことになっていた。ナンバー1とナンバー2が揃って他国へと行ってしまったのである。

 

 ナンバー1の再不斬に至っては、もう大戦は起きないだろうことを予見し、霧隠れの里のアカデミーで生徒の指導をしている。再不斬にまともに生徒の指導など出来るのかと、疑問に思うかもしれないが、意外と手加減が出来るようになっていた。最初の白へのやり方などを真似していれば、死者が出ていてもおかしくは無かったが、チャクラが無い今はそのような事が簡単には出来ないようになっている。

 

 霧隠れの里へ向かったのはそれだけが理由ではなかった。照美からの提案で、コロシアムが作られるとのことで、それの手伝い兼参加者で向かったのである。開催してから今のところ、チャンピオンとして君臨し続けていることから、それなりの手合いがボチボチとは来ているのだろう。そうでなければ、自ら探しに行くはずである。

 

 波の国は圧政の影響にあったためか、あまりコロシアムといったような、人が争うことを好まない傾向があるため、建設は難しかった。民衆の意思を無視すれば容易いが、人の入らないコロシアムなど、ただの処刑場である。そんなところに好き好んで人が来るとは思えなかった。その為の移動だったのである。

 

 最近。照美との結婚の噂も流れていることから、式の日も近いかもしれないが、その噂を流しているのが、どうやら照美の母親のようなので、どこまで信用できるのかが不明だった。もしかしたら、外堀から埋めていって周知の事実とし、強制的に結婚させようとしているのかもしれない。情報の重要性をよく理解しているといっていいだろう。それが再不斬に効くかと問われると甚だ疑問だが。

 

 ナンバー2のナナに関しては、コウと真っ当に木の葉の里で新婚生活を送っているようだった。特に、波の国に来るわけでもなく、色々なところへ旅をしているのを確認している。

 

 実際には、既にナンバー2などという肩書きも無いに等しく。本人にもその気が無いため、今では代わりにハナビがその席へと座っていた。

 

 形式上、ナンバー2を誰にするかを白はナナに確認した。特にいなければ、空席のままにしておけばいいと思っていたのだが、何を思ったのかナナは覚えていないはずにも関わらず、ハナビの名前を出したのである。自分で口に出した言葉に不思議がっていたが、それでも、その名前の子に譲ってほしいということで、その通りとした。これは、ナナがまだ木の葉の里に行く前である。ハナビへの愛情は本物だったと思わされた瞬間だった。

 

 波の国に戻ってからは、空いた日数分の事務処理に追われていた。この日ほど、影分身が使えないことを惜しんだことはないだろう。ただ、動体視力や身体能力は、前の状態に近い状態まで持って行けることが判明しているので、その処理速度が早いことには変わりない。

 

 今ではナンバー1の席で事務処理をしているのだが、意外と公衆浴場が人気だったりする。自来也の提案で始めた計画だったが、今では各街に最低1箇所は設営してあるので、どこでも気軽に入れるようになっていた。素泊まりの宿が多い街では人気が高いようだった。これも大戦前に必要資材などを準備していたお蔭である。

 

 数年経って他の国の復興も終わった頃、それは突然としてやってきた。

 

「私たちは子供は作らないのですか?」

「ぶっ! はぁはぁ……いきなりなに?」

 

 お茶を飲みながら、書類に目を通していたため、諸にその口に含んだ茶が書類に掛かり、苦い顔をしながら白はハナビへと問い返す。何の前置きも無くいきなりだったため、白は心の準備ができておらず、むせこんでしまったのである。

 

「木の葉の里から手紙が来ました」

「手紙? 誰から?」

 

 ハナビが見ていたのは、仕事の書類ではなく手紙の束だったのである。それを手に持ちながら白へ視線を向ける。

 

「父上とヒナタ姉上とネジ兄上と「もういいよ! よくわかった!」そうですか?」

 

 手紙の枚数分言うつもりだったのだろうが、1番上の手紙を読んでからこちらへ声を掛けたことから、この発言の原因の相手がヒアシであるとあたりをつける。

 

(なんてことを書くんだ! 手を出したら犯罪の予感しかしないじゃないか! まともにアカデミーに通わせないからこんなことになるんだ!)

 

 不思議そうに、白を見つめるハナビの視線に堪えられず、白は顔を横に向けると、小声で悪態をつき始める。

 

「<今度行ったときに薬を盛ってやる。医療技術と薬草学なめるなよ!>」

「何をなめるんですか?」

「っ!? 誰だ! そんなことを教えたやつは!?」

「あなたです」

 

 ハナビの言葉にショックを受けて、白はその日仕事が手に付かなかったとか。

 

―――完―――

 

 

―――計画―――

 

 その暗い部屋では、男2人が、ろうそくの灯りのもと、相談をしていた。

 

「それにしても、歳をとったな、ダンゾウ」

「二代目様が若いままなのです」

「俺も、生き返るとは思わなかったからな……」

 

 扉間は、生き返ってから、何度目になるか、自分の手を何度も握りしめては広げるを繰り返す。未だに生き返った実感の沸いていない内の1人である。

 

「それよりも、これは本当にいけるんだろうな?」

「間違いありません」

 

 ダンゾウは自信満々に二代目へと頷く。計画は用意周到だった。

 

 生き返ったダンゾウは、チャクラが練れないことに不思議を覚えていたが、自分の最後を思い出して周囲の警戒を行った。実際に無駄に終わるのだが、人に会うまで疑心暗鬼に駆られたのはいうまでもない。

 

 大戦が勝利に終わったと聞いたダンゾウは、すぐさま木の葉の里に戻った。大戦が終わればすぐに戦後処理が待っているはずだからである。

 

 今回の規模は、かなりのものであるということが分かっている。単純に計算しても死傷者がかなりに上っているはず、その思いから行動を起こすために戻ってみると、結果は誰も死んでおらず、それどころか逆に人が増えていた。

 

 混乱しているダンゾウを見つけたのは、自主的に見回りをしていた扉間である。傍目に、挙動が怪しかったことから捕まえたが、それがダンゾウと分かり、自分の住みかへと案内していた。

 

 ヒルゼンとダンゾウ。2人の火影候補で扉間の気に入っていたのはダンゾウだった。急場でなければ、非常に合理的な考え方をするためである。2人とも里の事をよく考えているだけに、最後の問い次第では、ダンゾウに火影を任せることも有り得た。

 

 最後に必要だったのは、判断速度。ただ、それだけだったのである。

 

 ダンゾウを落ち着かせて、大戦の話をしていたのだが、いつしか木の葉の里を今後よりいっそう繁栄させていくための話に変わり、いつしか、それを行うための計画を練っていたのである。

 

 ダンゾウは、少々強引にでも計画を進めていた。今度こそ認めてもらうために。

 

「計画は順調か?」

「順調です。金についてもほぼ予定金額を貯め終わりました」

「よし! まずは周囲の国からやっていく。くれぐれもしくじるなよ」

「分かっております。計画については、私と二代目様の頭の中のみ。金の所在については二代目様より教えていただいた場所にありますゆえ」

「うむ。さすがにあの場所の事を知る者はおるまい」

 

 2人は頷き合うと、その場に痕跡など残さぬよう細心の注意を払い、その場を後にした。

 

 数日後、2人で金の場所を確認しに向かい、中が空っぽになっているのを見て絶句し、持ち出した相手が分かって更に頭を抱える2人がいたとか、いないとか。

 

―――完―――

 

 

―――子供―――

 

 それは、第四次忍界大戦が終わってからすぐのことだった。白はヒナタからの呼び出しに応じて、木の葉の里に来ていた。

 

 呼び出された場所に行ってみると、落ち着きなく、部屋の外をうろうろするアスマの姿があった。

 

 ここは、木の葉病院の手術室前である。手術室前の廊下の両端にある長椅子には、紅班のメンバーであるヒナタに加えて、アズマ班のメンバーであるシカマルが座っていた。そして、見知らぬ人も4人、2人ずつに分かれて座っている。

 

「おはようございます」

「おはよう、白」

「ああ。おはよう」

「落ち着いたらどうっすか? 相手は逃げも隠れもしないっすよ」

 

 アスマはシカマルに言われて、一旦座るものの、少し経つと、また立ち上がりうろうろとしだす。全く落ち着きというものがなかった。

 

 ヒナタはそんな姿を見て、笑みを浮かべ、シカマルは呆れているようだった。普段このような事を見ることがないためだろう、新鮮であると同時に、シカマルには理解できなかった。

 

 見知らぬ4人はその様子に、女の方はヒナタと同じく微笑み、男の方は、目を閉じて何も言わず、沈黙を保っている。

 

 しばらくして、手術室の中から声が聞こえてくる。

 

「おぎゃああああ!!」

「!!!」

 

 アスマは扉にへばりつき、中の音を聞き逃すまいと、片耳を当てて、耳を澄ませていたが、中から開けられる扉の邪魔になっていることに気付き、すぐさま離れる。

 

「おめでとうございます。無事にお子さんは産まれました」

 

 アスマはその言葉を最後まで聞かずに、手術室の中へと入っていく。余程早く会いたいのだろう。その動きに躊躇いは一切なかった。

 

 残った7人は、ゆっくりと中へ入っていく。入ったそこでは、壊れ物を扱うかのように、胸に抱くアスマと、疲労困憊ながらも、嬉しそうに笑っている紅がいた。

 

「おめでとうございます」

「ありがとう」

 

 白やヒナタが挨拶を兼ねて、祝いの言葉を添える。話しているなかで分かったが、見知らぬ人物は、アスマと紅の両親であった。

 

 少しすると、面会は終わり部屋の外へと出ることになる。そこへ、残りのアスマ班と紅班のメンバーがやってくる。

 

「残念だったね。今面会謝絶になったところだよ」

「ええー!? まさか、もう産まれたの!?」

「イノちゃんはタイミングが悪かったね。折角ずっといたのに……」

「チョウジ!! あんたがさっさと動かないからよ!」

「僕に八つ当たりされても……」

 

 チョウジは、助けを求めるように、一緒に来たメンバーであるキバとシノへ目線を向ける。しかし、キバには気付いた様子はない。シノは……。

 

「自業自得だ。何故ならいくら呼んでも起きなかったからだ」

 

 無常にも、イノの後押しをしていた。それを聞いて、チョウジは更に落ち込むことになる。実際に傍から聞いていても、内容的に悪いのはチョウジであると判断しただろう。

 

 医療関係者に祝いの品を渡して、言伝てを頼むと、メンバーで食事をしに向かう。向かう先は、言わずと知れた焼肉屋である。

 

 アスマ班はよく利用しているようで、注文に関しても手慣れたものだった。そこで始めて白は、違和感の正体に気付く。

 

「一体いつからシカマルは、煙草なんて吸うようになったの?」

「ん? そうか、もう癖になっちまってたな。これは、アスマが死んだときにな……。生き返っちまったから、もう必要ないんだけどな。ついつい手がでちまう」

「アスマ先生の前では吸わないようにしなさいよ。折角禁煙してるんだから」

「分かってるって」

 

 シカマルは、面倒臭そうに受け答えすると、まだ火のついていない、口に加えた煙草を箱へと戻す。

 

「シカマルの変化には気付いても、俺の変化には気付かないのだな……」

「シノはどこか変わったのか? いつもと一緒に見えるぞ?」

「…………」

 

 シノは不満そうに言ったところへ、キバからの返答を聞き、更に不満をあらわにしていた。実際に変わったところと言われても、昔の印象からそれほど変わったようには見えなかった。

 

 未だにコートを愛用しており、サングラスもかけていることから、表情も分かりにくい。そこからどこが変わったかなど見破るのは難しかった。あえて言うならば、背が伸びたことくらいだろう。

 

「……そう言えば、蟲たちはどうしてるの?」

「気付いたか」

 

 シノは満足そうに頷くと答え始める。

 

「蟲たちは「待たせたな!」……」

 

 タイミングよく入ってきたアスマに、シノは黙ることしかできない。元々が、アスマを祝うためのものであるので、当然と言えば当然であるが。

 

 皆が席についたのを確認し、シカマルが仕切り、アスマが照れ臭そうに受け答えしていく。

 

 主に質問者は女2人組……イノとヒナタであった。男に関しては、ひたすら肉を食べ続けている。

 

「何度もいってますが、おめでとうございます」

「ありがとよ。まさか、自分の子を抱けるとは思わなかったからな……」

 

 感傷に浸るアスマに、質問は更に続く。

 

「お子さんの名前は決まってるんですか?」

「名前か……名前は……」

 

 その後も、遅くまでその集まりは続き、焼き肉の匂いが染み付いた状態で、アスマは紅に会いに行ったために、紅から怒られることとなるのはまた別の話。

 

―――完―――

 

 

―――放浪―――

 

 僕が何者なのか。気付いたときには、薄暗い洞窟のなかにいた。外へ出てみても、全く見覚えのない景色が広がっている。

 

 僕の姿を見ると、上半身裸の状態だった。近くに荷物が見当たらなかったことから、もしかしたら強盗にあったのかもしれない。殺されなくて良かったと思うべきか、出会ってしまったことを嘆くべきか。悩むところだった。

 

 一番始めに出会った集団が、商いを生業にしているところだった。この人たちに拾われたことは、感謝してもしきれないだろう。僕の過去の記憶はないが、薬の調合や、医療に関する記憶は残っている。怪我をしたと耳にしたときに、いきなり頭の中に浮かんできたのである。それまで何も思い出せなかったのに。

 

 薬は良く効くと評判になり、今ではこの集団の医者として一緒に行動している。拾ってくれた恩返しはもちろんある。それ以外にも、記憶が戻るかもしれない、という考えも含んでのことだ。

 

 あれから、色々なところを回っているが、見たことはあっても、そこで何をしていたのかを思い出せない。

 

 デジャヴュとは、こういったことを指すのだろうか。分からない。

 

 次は木の葉の里に向かうらしい。見たことのある風景が広がっている。今のところ僕を知っているという人に会ったことはない。

 

 僕が記憶にある人の名前と顔は1人だけ。その人を寄る街で探してはいるが、広いこの世界では、見付からない可能性が高い。それでも、何処かにいると信じている。

 

「もうすぐ木の葉の里につくぞー」

 

 団長の言葉が聞こえてくる。ここでは、知っている人に会えるだろうか?

 

 僕がどういう人物で、どういうことをしていたのか。とても気になる。きっと何処かには、僕のことを知っている人はいるはずだ。

 

 人は1人では生きていけないのだから。

 

―――完―――

 




 適当に仕上げた感じがバリバリです。

 これで終わり!本当に終わり!

 活動報告に書いた通り終わり!

 作者はコンニャクメンタルです。

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