学園艦誕生物語   作:ariel

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少し遅くなってしまいましたが、前回の続きを投稿します。 次回からはストーリーを進める予定のため、この章で佳代が出てくる会は、おそらくこれで終了になると思います。


外伝6-2 陳情の旅

1972年 7月中旬 東京 戦車道連盟本部

 

結局、池田流家元の美代子は、美紗子から連絡があった次の日には岸に連絡をしてくれたようだ。岸の方も自民党の総裁選が終わったことで政治日程に時間があり、次の週には時間をとって佳代との面談の機会を作ってくれたため、佳代は美紗子と会った次の週には上京することになった。佳代は岸と実際に会うことが決まった後、この件について自分の教授に相談をしていたが、教授は『政治的な動きは学者としてあまり褒められたものではないが、旧帝国大学に居る以上、多かれ少なかれ政治的な力も必要になるだろう。自分の夢が叶うかもしれない機会はそれほど多くないのだから、折角の機会を最大限利用しなさい。』と、佳代を快く東京に送り出してくれた。

 

佳代が東京の戦車道連盟本部に到着し、本部の受付に『岸との面談の予定がある』事を告げると、受付の人間は無言で岸の居る会長室に案内してくれた。佳代は岸の居る会長室に入る前に、少しでも自分を落ち着かせようと深呼吸をした。これからの岸との面談は、佳代にとって自分の未来がかかった勝負の時間であり、かなり緊張をしていた。佳代が会長室に入ると、正面の机には戦車道連盟会長である岸信介本人が座っていた。そして佳代が部屋に案内されて入ってきた事を確認した岸は、佳代に応接セットの椅子を勧め、自分も佳代に向かい合う形で座った。

 

「岸先生、東北大学金属材料研究所で助手をしています西佳代と申します。本日はお忙しい中、面談の時間をとって頂きありがとうございます。」

 

「西君か…、池田流の家元から既に話は聞いているが、なんでも戦車道に役に立つ研究をしたいから戦車道連盟から金を出して欲しいという事だね?話によっては出さないでもないが、次年度の連盟の予算はだいたいもう決まっているのだ。だから出せるとしてもそれ以降になるよ?…それと、君とは何処かで会った事があるような気がするのだが、気のせいかね?」

 

岸の話を聞いて、佳代はやはり連盟から予算が出してもらえるにしても、かなり先か…と少し残念な気持ちになった。佳代としては一刻も早く自分がやりたい研究を行ないたかったのだが、岸が話したように早くても再来年度の予算からとなると、今年も入れて二年間は何も出来ないことになる。また岸が最後に『何処かで会ったことがあるか?』という質問には佳代も少し驚いた。佳代が岸と会ったのは、もう十年程前の知波単学園と黒森峰女学園の天覧試合の時まで遡る。まさかその時の事を覚えているのか?

 

「はい…岸先生とは、今から十年程前にありました知波単学園と黒森峰女学園の天覧試合が終わった後に貴賓席に呼ばれて会っています。あの時、私は知波単学園の副隊長をしていましたから。」

 

「そうか…あの時の娘か。なるほど、たしか以前池田流の家元が、自分の門下生の中で最も有望な人間が、プロリーグに進まず大学に行く決断をして残念だと言っていたな。君の事だったのだな。そうなると、君は私達戦車道関係の人間からすると身内のようなものだ。だとしたら、話は違ってくる。」

 

十年も前の事を未だに岸が覚えていた事もそうだが、池田流家元の美代子が自分の事をそのように岸に伝えていた事を聞いて、佳代は再び驚いた。そして、戦車道から既に離れていた自分の事を、未だに身内のようなものだと言ってくれた岸に感謝した。

 

「あの天覧試合を戦った人間の話となると、この私も本腰を入れて対処せざるをえんな。一体どのような研究をする気なのかね。」

 

「岸先生、先日福岡シリウスの西住さんや、名古屋スピカの池田さんには少しだけ話をしたのですが、戦車道では審判の件が今問題になっていると聞きました。私の研究は、弾が当たったら自動的に撃破判定が出るシステムを作ることが目的です。これが実用化すれば今問題になっている誤審の問題は全て解決出来るでしょう。とはいえ、私は材料研究をしている人間ですから、そのシステムの中の主に材料に関する研究を始めようとしているわけですが…。」

 

佳代の言葉を聞いて、岸は何故池田流の家元が自分に目の前の女性と会ってやって欲しいと依頼してきたのか納得できた。たしかに現在戦車道では、誤審についてはかなり問題となっている。しかもその解決策は今のところ見つかっていない。その問題をこの娘が解決してくれるのであれば…そう考えたのだろう。

 

「なるほど。それは確かに我が連盟にとっても非常に有用な話だね。で、そのシステムは何時実現するのかね?」

 

「そ…その、システムの実現は、まだだいぶ先になると思います。私の研究はあくまでも材料に関連するところだけですし、実際にシステムを作るとなると電算機の発展も必要ですから…たぶん、十五年…いえ、二十年はかかるでしょう。」

 

佳代の返答を聞いて岸は、『自分が生きている間には実現しないのか』と少し残念な気持ちになったが、それでもそのようなシステムが作れるのであれば、自分が助力しても良いだろうと考えた。

 

「なるほど…私が生きている間には実現出来んということだな。ただ、それだけ大きな事をやるのであれば、時間がかかるのは致し方あるまいな。分かった、この岸信介が力になろう。それで、実際のところいくら必要なんだ?」

 

「岸先生…二千万円程あれば、当面は…」

 

佳代はいきなり岸から具体的な必要金額を問われて少し戸惑ったが、とりあえず今年度文部省に申請していた額を岸に伝えた。しかしその金額を聞いて、岸は驚いたような表情をした。

 

「ん…二千万円だと?西君、そのような額でいいのかね?それに、本当にその額で君がやろうとしている研究は出来るのかね?第一、当面と言っていたが最終的にいくら必要なのかね?もう一度だけ聞く。必要金額はどれくらいになるのだね?」

 

岸に改めて問われて佳代は困ってしまった。自分としては研究開始に必要な金額は見積もっていたが、最終的にどれくらい予算が必要なのかは考えた事もなかったからだ。佳代が黙ってしまった事を見た岸は、少し笑うと佳代に助け船を出してやる事にした。

 

「なるほど…まだ最終的な額までは考えていないということだな。だが、先ほど君が言ったように十五年、いやニ十年はかかる研究だとしたら、数億は必要になるだろう。そうなれば、戦車道連盟からの支援もそうだが、国からも出させた方が良いだろうな。西君、今日は東京に宿をとってあるかね?」

 

「は…はい。明日の汽車で仙台に戻りますから、今日は東京に泊まる予定です。」

 

何故、自分が東京に泊まるかどうかを岸が聞くのか?と西は少し困惑したが、正直に東京に宿泊することを岸に伝えた。佳代の返答を聞くと岸は『それならいい』と満足気に頷くと、自分の机に戻り何処かに電話をかけ始めた。岸があまり大きな声で電話口で話していなかったため、西は岸が何処に電話をかけているのかは分からなかったが、誰かと会う約束をしているように聞こえた。そのため、今夜岸と一緒に誰かと会うのか?と考えていたが、岸が最後に『それでは、これから行かせるから、よろしく頼む』という言葉を言ったため、自分一人で誰かと会うのか…と理解した。電話が終わると、岸は再び応接セットのところに戻ってきて、佳代に次のように伝えた。

 

「西君、これからとある人の所に行って貰う。その人に予算を出して欲しいと直接お願いしなさい。ただし予算の陳情をする時は必ず、これから言う三つの事を守って欲しい。まず一つ目は、先ほど君が言った二千万円という具体的な額は最後まで言わないように。『いくら必要か?』と聞かれたら、黙って指を二本出しなさい。それで相手は適当な額を言ってくるだろう。二つ目は、最終的に相手が出した金額は黙って受け取るように。おそらく君が想像していないような額になると思うが、相手のプライドもあるから黙って受け取りなさい。ただし受け取り方は色々変更が可能だから、西君にとって多すぎると思った時は、『一年で使いきれない』と正直に言えばいい。そうすれば相手が対応を考えてくれるだろう。そして最後の三番目が一番重要だ。君が最初に希望した二千万円という数字は、私は聞いていないことにしなさい。以上だが、この三つの事を守れば、少なくとも君にとって悪いようにはならないだろう。いいかね?」

 

岸の説明の内容は佳代にとってよく理解できない部分もあったが、少なくとも岸が本当に自分の事を考えて動いてくれている事は理解できたため、佳代は岸の言う事を守ることにした。しかし、まだ肝心なことを聞いていなかった佳代は、岸に質問した。

 

「分かりました。岸先生に言われた事は守ります。ところで、私はこれから一体どなたに会うことになるのでしょうか?」

 

「ワハハハ、それは会ってのお楽しみだ。このビルの地下に私の公用車が止めてある。運転手には私から事情を伝えるから、君はその公用車に乗っていきなさい。それでは、あの天覧試合の時のように、君が華麗に勝利を掴めることを願っているよ。」

 

「は…はぁ。!失礼しました。岸先生、何から何までありがとうございました。もし予算がついたあかつきには、必ず成果をあげて見せます。」

 

結局、岸は自分が誰に会う事になっているのかを教えてくれなかったが、ここまで来た以上進むしかないと佳代は決意した。そして岸にお礼を言うと、会長室を出て連盟ビルの地下にある岸の公用車のところに向かった。連盟ビルの地下では、既に岸の運転手が佳代を待っており、黙って公用車の後部座席を開け、佳代を車内に招きいれた。そして一言もしゃべらず、黙って車を発進させた。

 

 

 

同日 目白御殿

 

 

西を乗せた岸の公用車は、東京文京区に入り、目白台にある大邸宅に入っていった。流石に車から外を見ていた佳代も、目白台の大邸宅に近づいたところで、自分がこれから誰に会う事になっているかを悟り、岸の部屋に入るとき以上に緊張してきた。これまでテレビのニュースなどで何度も見た家が近づいてくる。まさか、自分がこの家に行くことになるとは、昨日までの佳代は考えてもいなかった。車が目的の大邸宅に入ると、すぐにその邸宅から書生と思われる若い男がやってきて、佳代の乗っている後部座席の扉を開けた。

 

「西さんですね?岸先生から連絡は受けています。首相は書斎でお待ちですから、直ぐに案内します。」

 

自分の予想が当たった事を佳代は嬉しく思わなかったが、ここまで来た以上は腹をくくるしかないと思い、扉を開けてくれた若い男について邸宅に足を踏み入れた。しばらく邸内を歩くと、目的の場所に来たのか、ある扉の前で案内をしてくれた若い男が立ち止まった。

 

「首相は、中におりますのでお入りください。」

 

若い男が扉を開けると、中には新聞などで何度も見た顔の男が座っており、佳代を手招いていた。部屋に足を踏み入れる際、佳代はこれ以上ないくらい緊張したが、意を決して足を進ませた。

 

「ふむ…岸先生からの紹介だからどのような人間が来るかと思っていたが、まさかこんなに若いお嬢さんが来るとは思わなかったな。岸先生にはいつも不意打ちをくわされる。まぁ、いいだろう。一応自己紹介をするが、私が田中角栄だ。この国で首相をやっておる。」

 

「あ…あの。西佳代と申します。現在、東北大学の付属研究所である金属材料研究所で助手をやっております。今日は、お会い出来て本当に光栄です。」

 

「ほぉ、どんな素性の娘かと思えば、旧帝国大学の先生なのかね。まだ若そうだが、いくつだね。」

 

「26です。」

 

田中は、まだ三十にも満たない娘が岸の紹介で陳情にやってきた事に少し驚いたが、自分を前にして物怖じせずに話す佳代のことを好感を持って見ていた。

 

「それで岸先生からは、研究のための予算を陳情したいという事だったが、一体何の研究なのだね?本来なら文部省か科学技術庁に申請するのが筋だと思うのだが」

 

田中の問いは、西も想定していたものだった。そして素直に今年度の申請が不採択になった事を伝え、自分がやろうとしている研究について田中に熱心に説明を行なった。田中は、佳代の研究の説明については半分上の空で聞いていたが、佳代の説明する姿はジッと見ていた。

 

「ふむ…私には君が何を言っているのかはよく分からんが…。まぁ、私が理解出来るような話だったら、それは研究としては成り立っていないわな。それと、理解は出来なかったが、西君がこの話をどうしてもやりたいという情熱だけは、よく分かった。岸先生の紹介もあることだから、いいだろう。私がなんとかしよう。…で、いくら必要なんだ?」

 

佳代は、田中の問いに答えるにあたって、岸から言われていた事を思い出し、黙って指を二本だした。田中は、西が指を二本出した事を見て、頷くと西に言った。

 

「二億か…。まぁ、その程度なら直ぐに予算をつけることも出来るだろう。」

 

田中の言葉に、西は焦って首を振り田中に『桁が違います』と言った。実際に二億も予算を付けられたら今の西では一年間で使い切ることは出来ない。『自分が必要なのは二千万だ』と西が言おうとすると、田中はなにやら合点が言った様に頷くと更に発言を重ねた。

 

「まぁ、岸先生からの紹介でこの角栄のところに陳情に来たわけだから、二億という事はないわな。だが、二十億となると流石のこの私でも直ぐに調整出来る金額ではない。それで一つ提案なのだが、二年間に分けて二十億…つまり一年あたり十億で良いのであれば、今この場で予算をつけることを約束出来る。どうかね?」

 

田中のあまりの言葉に西は呆然とした。いつのまにか自分が必要とする金額の百倍の金額が提示されている。岸からは、相手が提示した金額を素直に受け取るようにと言われていたが、流石にこの額を受け取るわけにはいかない。また、佳代にとって二億でも使い切れない予算が、二十億も渡されてしまっては大変なことになる。佳代は岸には止められていたが、意を決して田中に本当に必要な額を伝える事にした。

 

「あの…田中首相。私が必要としている予算は二千万円です。二億でもそうですが、二十億も予算をつけられたら、私には使いきれません。」

 

佳代の言葉に田中は一瞬驚いたように目を見開き沈黙したが、やがて堰を切ったように笑い出した。

 

「ワハハハ、こいつは傑作だ。この角栄に対して二千万円の陳情とはな。いや西君、この角栄、これまで様々な人間から陳情を受けてきたが、今回が一番傑作だよ。だが、君の希望は受け入れられない。この私にも面子というものがある。岸先生から紹介を受けた君にたったの二千万円の予算しかつけられなかった事が広まれば、この角栄の沽券に関わる。岸先生は、君が陳情する額を知らなかったのかね?」

 

田中の質問に対して、西は岸に言われたとおり『岸先生は、陳情額を知らない』と伝えると、田中は更に笑い出し『これは、岸先生の珍しいミスだな』と言い、なにやら納得した顔をした。

 

「まぁいい。だが、どのような事情があるにせよ、この私が直接調整する額が二千万円というわけにはいかない。十億。これだけの予算を動かそう。なに、金はあっても困る事はあるまい。」

 

「しかし、田中首相。十億もいただいても、私には一年間で使い切ることが出来ません。」

 

佳代の言葉に田中は再び笑い出すと、佳代に一つの案を出してやる事にした。『それならば、戦車道連盟に十億を渡してそれを研究基金化する。そうすれば、数年にわたってその予算を君が使うことが出来るだろう。さしずめ、一年に一億で十年ということでどうだ?』という田中の言葉に対して、西にとってはそれでも多すぎる予算ではあったが、岸から言われたとおり、田中の言った予算をそのまま受け取る事にした。

 

「田中先生…その、ご配慮感謝いたします。これだけの予算をつけていただいた以上、必ずなんらかの成果をあげて見せます。」

 

西の決意を聞いた田中は満足そうに頷くと、少し気になっていた事を西に尋ねた。

 

「まぁ、いわゆるその…君のような若い人間が一つの事に打ち込んで結果を出す。これは素晴らしいことであるな。しっかり頑張りたまえ。ところで一つ気になったのだが、西君は岸先生とはどのような関係なのだね?岸先生が直接この私にお願いをするなどなかなかない事だから、かなりのつながりだと思うのだが。」

 

「田中首相。私は残念ながら岸先生とは直接のつながりはほとんどありません。私が困っている事を知った友人の助けで、岸先生に直接話を出来る方を通じて、岸先生と会う約束をとりつけました。そしてその結果、今日首相の元にたどり着きました。」

 

佳代の答えを聞いた田中は頷くと、佳代に少し待つように伝えて、書斎内の自分の机に向かって何かを書き始めた。そして、引き出しの中から取り出した封筒に書いた紙を入れると封筒を封印し、その封筒を佳代に手渡した。

 

「とりあえず、君の陳情についてはこの田中が受けた。私が約束したと言う事は、その約束は必ず守られるということだ。だから安心しなさい。それとこの封筒を君に渡す。私の屋敷から出て、西君が一人になった時にこの封筒を開封し、中に納めた紙にかかれた通りに動きなさい。いいかね?」

 

佳代が渡された封筒はかなりの厚みがあったが、佳代はその場では特に何も考えず、封筒を自分の鞄にしまい、田中に言われたとおりにする事を伝えた。それを聞いた田中は満足そうに頷くと、佳代の前から自分の机に再び移動し、自分の机に向かって座りなおした。どうやら田中との面談の時間は終わったようだ。佳代はそのまま田中の書斎を辞し、来た時と同じように書生に連れられ屋敷を出た。屋敷から出ると、岸の公用車の運転手が未だに待っており、佳代をその日の宿に連れて行くと言ってくれたが、佳代は自分の心を少し落ち着かせたいから自分で歩いて帰ると言い、運転手には先に戻ってもらうことにした。

 

佳代が田中の屋敷を出た頃には既に夕方になっていたが、少し歩き近くの公園のベンチに腰掛けると、田中から受け取った封筒が気になり、この場で開ける事にした。封筒の裏には『田中角栄』と簡単に手書きで書かれているだけだったが、封筒を開けて中身を確認した佳代は文字通り絶句することになる。中身は聖徳太子の描かれた新札が百枚束ねられた物が入っており、角栄が書斎で書いたと思われる紙が同封されていた。その紙には次のことが書かれていた。

 

『今回助けてくれた友人を大切にするように。そして同封した金を以下のように使うこと。

1. この金でその友人と旨いものでも食べに行き、今回の件のお礼を言う事

2. 実際に岸先生への面談の約束をした者に、この金でお礼をする事

3. この金は、収支報告も返済も不要』

 

佳代は紙をジッと見て何度もその文面を読み直した。そして再び封筒を自分の鞄に丁寧に戻すと、自分が出てきた田中の屋敷の方に向かって深々とおじぎをした。

 

こうして佳代の陳情の旅は終わったが、田中が佳代に約束したとおり、その次の年初めに、戦車道連盟から東北大の佳代に対して研究費が10年に渡って総額10億円渡されることが伝えられ、この事をまだ聞いていなかった佳代の同僚達は驚きを持って佳代を見ることになる。また佳代の所属する研究室の教授は、この件についてはほとんど何も言わなかったが、ただ一言『予算に見合うだけの成果を必ずあげる事。』と佳代に伝えた。佳代はその後、東北大学の金属材料研究所にて最終的に教授の地位まであがり、戦車道関連の研究で名声を高める事になる。そして田中がその後収監される事になった後も、田中に対して必ずその年度に得られた研究成果の報告書を送付し続けた。

 




角栄さんが最後に渡した百万の封筒の話は、相手こそ学者ではありませんが、極めて実話に近い話だったりします。角栄さんが相手に金を渡すエピソードは、色々ありますが、この話は筆者にとってはかなり好きなエピソードのため、自分の話に入れたいな…と思い、今回の話となりましたw。誰か、私にこんな風に百万程パッと渡してくれないものですかね…w。

次回は、まじめにストーリーを進める予定です。今回も、読んでいただきありがとうございました。

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