学園艦誕生物語   作:ariel

34 / 85
黒森峰女学園の決勝戦の相手は大方の予想通りプラウダ高校と決まりました。今回の話は、決勝戦に向けて英気を養う?黒森峰女学園の生徒達の話になります。また、ガルパンの本設定に近づけるための話を前半部分に入れています。今回の話で、ガルパンの本設定に近い形になるかな…と考えています。


第24話 決戦前夜

1960年 8月 日出生台演習場 会議室

 

戦車道第1回全国大会は、準決勝が終了し、残るは決勝戦を残すのみとなっていた。決勝戦は大方の予想どおり、黒森峰女学園とソ連が支援するプラウダ高校の対戦が決まっていた。そして、決勝戦までまだ二日残っていたが、両校ともに戦車の整備などに忙しい日々を送っていた。そして、ここ演習場の管理棟にある会議室でもそれと同じほど、いやそれ以上に忙しい人間達が集まり、白熱した議論を重ねていた。第1回全国大会は手探り状態で開催していたため、様々な問題が顕在化しており、その対処方法や、そしてこの大会以降の戦車道の取り扱い方を含めて、戦車道関係者は勿論の事、政治家も含めた話し合いが行われていたのだ。

 

「いや、私は初めて戦車道の試合というものを見たのだが、なかなか白熱するものだね。これ程の物になるとは思っていなかったが、これなら私もここまで力を貸してきた甲斐があるよ。」

 

先月まで内閣総理大臣の要職にあった岸信介が感慨深げに発言した。岸は、日米安全保障条約締結における国内混乱のゴタゴタの責任を取って、この年の7月に内閣総理大臣を辞任し、後任を池田勇人に譲っていたが、学園艦や戦車道の運営については自分も計画段階から関わっていたため、今でもこの種の会合には出席している。また、近々設立される戦車道連盟の初代会長になることも決まっていた。

 

「まさか、我々帝国陸軍の九七式中戦車がドイツのパンター戦車を撃破する姿を目にすることが出来るとは、私もここまで頑張ってきた甲斐がありますよ。」

 

学園艦の発案者でもあり、戦車道復活の主要人物の一人でもある元帝国陸軍参謀で現在は参議院議員の辻政信も、一回戦の様子を思い出しながら発言した。会議室に居る人間の中には、各学園の学園長達もおり、彼等の多くは元帝国陸軍軍人のため辻の発言に対して『まったくだ』と賛同している。これについては、黒森峰女学園の初代学園長である島田豊作元中佐でさえ、賛同していた。彼は一回戦の知波単学園対黒森峰女学園の試合を観戦していた際、最後に知波単学園のチハが自校のパンターを撃破した瞬間、思わず『よし!よくやった!』と叫んでしまい、周りに居た西住流関係者や黒森峰女学園の関係者から非難の目を向けられた経緯もある。

 

「よりにもよって、孫娘が搭乗するパンターが撃破されたから、思わず『よくやった!』と叫んでしまったのは軽率だったかもしれないが、それでもあんな姿を目にする事が出来るとはね…」

 

島田も感慨深げに言う。帝国陸軍で機甲兵として最後まで戦った島田は、それを実際に行う事の難しさを知っているため、知波単学園の健闘を誰よりも理解しており、試合後すぐに知波単学園の学園長である細見の所に挨拶に行っていた。

 

「まぁ、その件は少し置いておきまして…試合は残す所あと決勝戦だけですが、手探り状態で大会を運営していたため、やはり様々な問題が出てきましたな。まずはそれを一つずつ片付けていくことにしましょうか。彼女達に素晴らしい試合をしてもらうための環境整備を行う、それが、我々大人の仕事でしょうからな。」

 

知波単学園の学園長である細見惟男が会議の進行を始めた。細見の言葉のとおり、この第1回大会では、それまであまり想定していなかった問題が表面化しており、その対処に迫られていた。また直に戦車道連盟も立ち上がるため、そのための組織作りや、学園艦を卒業していった生徒達を受け入れるためのプロリーグの設立など、解決すべき課題は多数存在していた。

 

「まずプラウダさんやマジノさんから提案があった、各試合の間をもっと伸ばすようにということだが、これは整備の問題が絡んでいるから、なんとかせざるを得ないだろう。これについては、まだこれは私の私案だが、将来的には半月か一月試合間隔を空けて試合毎に演習場も変えてしまうのが良いと思うがどうかな?ただ当面は、数日間隔を伸ばすくらいの応急手当しか出来ないだろうが。」

 

細見は自分の私案を述べた。細見の私案では、いずれは各学園が学園艦に移り自由に移動する事ができるようになる。そうなれば、わざわざ一箇所に全ての学園を集めなくても、試合をする学園のみが試合会場まで移動して試合を行えば良いため、全国に試合会場を分散させても問題ないと考えていた。

 

「個人的には、政治家の立場として細見君の案に賛成だな。これだけ試合が盛り上がるとは私も思っていなかったため軽く考えていたが、これだけ人が集まり盛り上がるのであれば、試合は各地方に分散させた方が各自治体にも利益があるだろう。それに一度に全てを終わらせてしまうのは勿体ないな。そう思わんかね栄作。」

 

岸は同席していた弟の佐藤栄作に賛同を求めた。岸の実の弟で政治家の佐藤栄作は、現在の第一次池田内閣では無役だったが、隠然たる力を党内でもっており、いずれは頂点に立つだろうと噂されていた。

 

「現在総理大臣の池田さんは、日本全国の高度成長を目指していますから、地方を活性化させるためにも、細見さんの案は良いと思いますね。流石に学園艦が揃うまでは、実現は難しいのかもしれませんが、あと数年もすれば学園艦は一定量揃うはずですし、そうなれば懸念はなくなるでしょう。あるとすれば、学園艦が停泊できる場所を新設しなくてはならない事くらいですが、これは港湾整備に絡めて動かしていけば問題なく出来るでしょうね。」

 

政治家達が国内事情から賛同に回った以上、細見の案で行くのが一番良いだろうと、会議室の面々は考え、議論は纏まった。佐藤の言うとおり、学園艦はあと数年もすれば、ある一定の量揃う。これまで鈴鹿と鹿島の特殊ドックのみで建造されていたが、既に全国何箇所かでドック建築も含めて、学園艦建造が始まっており、おそらくあと4年もすると、この場に居る学園長の学園艦は全て就航するだろう。あとは、学園艦を全部で何隻作って維持していくか?という問題のみになる。それだけ学園艦が揃ってしまえば、細見の言うとおり、全国各地に学園艦が移動していけば、どこで試合が行われる事になっても対処可能だ。

 

「どうやらこの問題については、これで解決出来そうですな。取り敢えず、今直ぐには動かないでしょうから、各学園艦が揃っていると思われる5年後の第6回大会辺りから、この方式で行きましょう。次の問題ですが我々の戦車道では、第二次世界大戦で使用された戦車をそのまま使用しています。今は問題ないですが、遅かれ早かれ使用していた部品の劣化や、損傷部品の補充で問題が出てくるでしょう。これを如何にするかも決めておきましょう。」

 

損傷部品や部品劣化の問題は深刻だった。既にマジノ女学院の学院長からは、自分達が大会で使用したARL44の一両が部品劣化により動かくなくなっており、しかも本国フランスにも予備部品がない事を連絡され、このままでは一両破棄する事になりかねないという報告を受けている。

 

「今回はマジノ女学院の問題になっていますが、これはいずれ何処の学園も直面する問題になるでしょうね。結局のところ、戦車の肝である装甲の厚さや大砲の口径、そして動力設計などの変更は認められなくても、それを構成する部品については新造を認めるしかないのではありませんか?ひょっとしたら、この制限をかけていても、将来的に科学技術が発展して、とんでもない性能の戦車が出てくる事になるのかもしれませんが、それはそれで認めていくしかないでしょう。」

 

辻が発言する。部品が一つ損傷したからといって、戦車そのものを破棄するなんてもっての他だ。まして各学園にある戦車は、大会ルールで各学園艦所有の戦車のみ出場可能としているため、テコ入れした本国所有の戦車ではなく、学園に委譲された学園所属の戦車だ。折角手に入れた戦車を、部品一つの問題で直ぐに破棄していたら、幾ら戦車があっても足りなくなる。そのため、この辻の発言には、各学園艦の運営を任されている学園長達は両手をあげて賛同した。

 

「それと、新造部品などの製作は、各学園艦で行わせるようにすれば、工学系の教育も行なっているという丁度良い理由付けになりますからね。ある意味、各学園艦の技術力の差が、戦車の力の差になってくることもあるでしょうから、教育にも力が入るでしょう?」

 

何人かの学園長は、自分の学園に在籍している少女達があまり勉学に励んでいない実情を考えて、最後の辻の発言に顔をしかめたが、それでも戦車を破棄する事になるよりはマシだろうと考えていた。

 

「しかし計画当初は、辻君や今年亡くなった服部君は、悪党だと思っていたが、今は感謝しておるよ。例のアメリカとの安全保障条約締結の際、国内のゴタツキはあったものの、肝心のソ連とは、この戦車道のおかげでそれなりの関係を築けたからね。今度の決勝戦も、ソ連の要人の何人からか、見学に来たいという申し入れが来ている。なんでも、一回戦でサンダース高校に勝利した時は、『宿敵アメリカに勝利した』と、クレムリンではお祭り騒ぎになっていたそうだ。当初の計画通り、しっかり我が国の安全保障の役にたっているな。それと、今回のその提案で女子学生達が少しでも工学を楽しんでくれれば、我が国の成長にもプラスに働くだろう。」

 

岸が、会議室に居るメンバー達に話す。当初、ソ連に学園艦や戦車道の話を持っていた時は、『敗戦国が何を考えているのだ?』と鼻で笑われたが、アメリカやイギリスは既に参加を表明しており、代理戦争のような形で楽しめますよ、と言ってからは、態度が急変し莫大な量の援助や人間を日本に送りつけてきた経緯がある。今回の第1回全国大会では、ソ連とアメリカの両大国の威光が大きく働き、一回戦で両校の激突が実現したが、双方の応援席は、お互いの学園で指導してきた両国の軍人達も含めて、物凄い盛り上がりを見せていた。また、プラウダがサンダースを下した時は、プラウダ側の観戦席から中央観戦席まで「Ура」の声が届いていた。おそらく岸の発言通りであれば、決勝戦の黒森峰女学園戦を見学するために、ソ連の政府高官もしくは軍高官が何人か緊急来日することになるだろう。

 

また現在の池田内閣で、今後の日本の方針として工業立国を目指し先進国の仲間入りする方針が決まっている。学園艦で女生徒にも工学に触れてもらえば、将来的には日本の成長に役に立つ事もあるだろう、と政治家達は考えていた。その後、会議室では学園艦を卒業した後の選手達を受け入れるための戦車道プロリーグの設立や自衛隊との連携についても話が活発に行われていった。

 

 

 

黒森峰女学園 宿舎

 

 

「いよいよ明日は、決勝戦だ。相手はあのプラウダ高校。我々にとっては、負けられない相手でもある。明日は皆、与えられた役割を果たして、しっかり戦って欲しい。それでは、解散!」

 

隊長の西住なほは、明日の決勝戦に出場する事になっている選手全員を前に激を飛ばした。明日の決勝戦でやる事は既に決め、全員に伝えた。やるべき事は全て行ったが、相手がソ連戦車を装備している学校で、史実ではドイツはソ連に負けているため、やはり気がかりは残る。なほの解散の指示で、多くの選手達は自分達が割り振られた部屋に戻っていったが、小隊長以上の三人が未だに部屋に残っており、心配そうになほの顔を見ている。

 

「隊長、大丈夫です。隊長の立てた作戦なら、問題ありません。史実でドイツ軍が成功させたように華麗に決めて、明日は祝勝会をやりましょう。学園長の御爺様には、明日は勝つから祝勝会は盛大にやってよ、と言ってありますから。」

 

副隊長の島田真由子は、隊長のなほを元気づけるように言う。今回なほが計画した作戦は、リスクはかなり高いが、成功すればドイツ機甲師団らしい勝利になるだろう。しかもなほは、副隊長である自分に勝負を決定づけるための役割を与えてくれた。全力でその信頼に答えなければならないと、真由子は考えていた。

 

「真由子の判断で、勝敗が決まるからな。こちらで突入のタイミングは指示するが、突入後の動きは、真由子の判断で決めてくれ。あと豊子と真美、お前たちは私と一緒に、明日は薄氷を踏むような思いで戦う事になるだろうが、最後までしっかり頼むぞ。」

 

今回なほが立てた作戦は、前線を12両の重戦車と重駆逐戦車で構成し偽装後退や突出などを用いる事で、プラウダ高校の予備戦力を全て誘引し相手を攻勢限界まで消耗させた所に、真由子率いる機動部隊が敵の中央を一気に撃破するというものだった。すなわち、第三次ハリコフ攻防戦でドイツ軍のマンシュタイン元帥が行なった『後手からの一撃』を、場所と数を変えて、この決勝戦で再現しようという野心的な計画だった。

 

なほの考えでは、防御線の中央部隊を自分が担当し、左翼を第2小隊小隊長の玉田豊子が、そして右翼を第3小隊小隊長の吉村真美が担当する。そして作戦成功の決め手となる機動部隊の指揮を、副隊長の島田真由子に任せるつもりだった。昨日、決勝戦への激励という事でカリウス達が黒森峰女学園の宿舎に来ていたが、その際なほは、『決勝戦の作戦は自分達の力で考えるから、観戦席から見守っていて欲しい。』と言い、彼等にも作戦を教えなかった。

 

「隊長、左翼は私がちゃんと支えますし、そう簡単には崩れませんよ。だから安心してください。」

 

「右翼は、私が任された。これだけの戦車を第3小隊に編入してくれたんだ。右翼が突破されるような事態にはしないさ。だから隊長、大船に乗ったつもりで指揮してくれよ。」

 

後手からの一撃は、決まれば華麗に勝利を決定づけられるが、相手が消耗する前にこちらの防御線が破られれば、作戦全てが壊れてしまう。なほと一緒に防御線の指揮を担当する事になる豊子と真美も、明日は胃が痛くなるような戦いになるだろうな…と、なほは考えていたが、二人は元気よく『大丈夫だ』と、繰り返していた。

 

「今更、色々考えても埒があかないか…、とりあえず夕食を食べて、今日は早めに寝よう。」

 

なほは、今更考えても仕方ないか、と思うと、三人を誘って食堂に向かった。三人は、なほの顔が吹っ切れたような表情に変わったのを見て、『隊長は、全て自分で背負い込む癖があるからな…でも、吹っ切れてくれたみたいだ。』と思いながら、なほに付いて行く。

 

 

 

黒森峰女学園 宿舎 食堂

 

 

黒森峰女学園の宿舎の食堂では、既に多くの生徒達が集まって食事を始めていた。黒森峰女学園は食事もドイツ式で、その日の食事もライ麦パンとザワークラフトが並んでいた。通常であればこれに肉類やジャガイモが出てくるのだが、今日は未だメインとなる料理が並んでいなかった。黒森峰女学園の食事は、量は豊富だが種類は少なく、生徒達からの評判はあまり良くなかったが、それでも肉料理が全くない日など、これまでなかったはずだ。食事を始めている生徒達も、なんで今日はこれだけなのだろう…と少し疑問を持ちながら食事をしていた。しかし、とある生徒がその疑問を口にした事で、食堂全体にその声が広がっていく。

 

「ねぇ、明日は大事な決勝戦なのに、今日はお肉もジャガイモもないよ…。流石にライ麦パンとザワークラフトだけだと、私泣いちゃうよ?」

 

その場に居た全員が同じように思っていた事もあり、その声はあっという間に広がっていく。

 

「パンとキャベツだけだとね…力出ないよね。」

 

「流石に泣かないけど、モチベーションが…」

 

そこに、隊長であるなほ達が入ってきたため、生徒達は皆、なほ達に縋る様な視線を向ける。

 

「隊長、お肉が食べたいです…これはいくらなんでも酷いですよ。」

 

「隊長、うちは質実剛健だというのは知っていますが、これはあんまりです。」

 

最初は、なほも何の事を言われているか分からなかったようだが、食堂のテーブルに並んでいる皿の中身の惨状を見て、すぐに理解した。

 

「えっと…流石にこれは酷すぎるな。ちょっと学園長の所に行ってくる。真由子、お前も来い。」

 

「御爺様め…こんな食事を決勝戦前に食べさせるなんて、あんまりです。私からもキッチリ抗議します。隊長行きましょう。」

 

なほと真由子が、食堂を出て学園長に抗議に行こうとした矢先、食堂に数台の大きな台車と共に、当の学園長が入ってきた。

 

「学園長、この食事はあまりにも酷すぎます。仮にも決勝戦の前なのですから、もう少し士気が上がる食べ物を用意してください。」

 

「御爺様、隊長の言うとおりです。豪華な料理を出す必要はありませんが、せめて普通の食事を…」

 

なほと真由子が抗議するのを横目に、学園長は全員の前に立つと、一緒に入ってきた台車の上の布を取らせた。

 

「明日は、我が校にとって大事な決勝戦です。そして明日の相手は、これから長きに渡ってライバルになるであろうプラウダ高校です。明日はプラウダ高校に、黒森峰女学園には適わないと思わせられるような強い勝ち方をして欲しいと、学園長である私は思っています。そこで、今日は皆さんに英気を養ってもらうため、アイスバインというドイツ料理を用意しました。これを食べて、明日は是非頑張ってください。それと、先程皆さんの副隊長から、『豪華な食事はいらない』という旨の発言があったようなので、あの娘は食べないようですから、その分、皆さんでしっかり食べてください。」

 

「お…御爺様!」

 

真由子の抗議の声に、食堂中に笑いの渦が巻き起こった。

 

「す…すげぇ~、本物のアイスバインだ。こんな料理、うちの学園で初めて出たよ。早速食べようぜ!」

 

「こんな豪華な料理が、うちの学園で出るなんて…贅沢はス敵よ!」

 

食堂内に居た生徒達が、台車の周りに群がって、料理をどんどん取り分けていく。そんな様子を見ながら隊長のなほは、学園長の元に近づいた。

 

「学園長も人が悪いですね。こんな料理を用意していたのでしたら、もっと早く出してくれれば良いでしょうに。」

 

「なほ君、そうは言ってもこの料理は手間がかかるようで、下ごしらえを別にして、調理に3時間もかかったそうだ。学園の料理人達も苦労しているのだから、今回は勘弁してくれ。西住流に居たカリウスさんや、バルクマンさんにも合格点をもらった味だから、味は期待していいようだがね。」

 

学園長は、なほにそう釈明した。料理人達からの話では、思っていたよりも煮込むのに時間がかかってしまい、料理の完成が遅くなってしまったようだ。そのためとりあえずは、いつものライ麦パンとザワークラフトだけを出しておき、後からアイスバインを出す予定をしていたようだが、その前に生徒達が食堂に入ってきてしまったため、今回の騒動となったようだ。

 

「これ、美味しいよ。豚のすね肉がこんなに美味しいなんて。香りも凄くいいし、これ最高!…それにマスタードが凄く合うよ!」

 

「あ、貴女!それ私が取ろうとしていた塊よ! それにあなたそれで、幾つめよ!?それにしても、この料理だとザワークラフトの酸味も凄く合うわね!」

 

普段は質実剛健な食事に馴らされていたとはいえ、そこは年頃の少女達であり、普段は食べられないようなご馳走を食べることが出来て、黒森峰女学園の食堂には明るい声があちらこちらで上がっていた。その様子を見ながら隊長のなほは、これなら明日勝てる!と心に強く思っていた。

 

 




決勝戦前夜の様子になります。まず前半の会議部分ですが、ガルパン時代の本設定に近づけるための話になります。おそらくこんな感じで、部品を新しくする(新素材で作る事が出来るため、強度や耐熱性が上がり、結果的にエンジン出力の向上が見込めたり…)事が出来るようになったため、ガルパン時代に出てきたP式ティガー高速型が出てくる事になったかと(笑)。

ドイツ料理は…私はあまり良い印象がないのですが、それでもアイスバインやシュバイネハクセのような豚の足の部分を料理した物は結構好きでした。あとスープ系や煮込み系も結構美味しい物が揃っていた(そもそも煮込み系で不味かった料理って、数少ないのですが(笑))記憶がありますが、日本料理と比べてしまうと…。そう思うと、和食って偉大だな…といつも思っています。

次回はいよいよプラウダとの決勝戦になります。現在書いています第二部は、第1回全国大会で戦車道が始まった部分を書く予定でしたから、第二部終了まで残り数話になるだろうな…と思います。

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。