異界の魂   作:副隊長

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36話 変えられた事

 プラネテューヌとルウィーの境界にある湖の中央にある島に、ひっそりと聳え立つ古城があった。城が出来た当時は豪奢にして絢爛な輝きを持つ建物であったのだろうけれども、時の移ろいと共に朽ち果てていったのか、今では過去の栄華の残り香を感じさせる分、物寂しく感じる。ギャザリング城。それが僕たちの目的の物が隠された場所の名であり、目と鼻の先に見える建物だった。

 

「いよいよだな」

「そうだね。道を切り開く為、必要なものだよ」

 

 ブレイブの言葉に頷く。命を奉げる魔剣。それを用いる事で、老人は道が開けるかもしれないと言っていた。その話を頭から信じる訳では無いけども、とても魅力的な話であることは確かだった。事実であれば、現状を打破する切り札になり得るからだ。

 だけど、同時にこうも考えてしまう。そんなに都合の良いモノが存在するのか、と。魔剣の話を聞いた時から、ずっと第六感とでも言えば良いのだろうか、直感みたいなものが危険を告げていた。何がどう、と言うのは解らない。だけど、忌避感が付きまとう。それが、どうしても気になってしまう。

 

「まぁ、取れるもんなら取ればいいじゃねーか」

「そうだね。手に入れるだけなら、何も起こらないだろうし」

 

 それでもクロワールの言葉に同意する。クロワールに言われていた。マジックやブレイブにも言われてきた。このままで良いのか、と。問われたところで、どうこう出来る問題では無かった。だから、諦めていた。だけど、生きる事から何処か逃避していた僕がこの世界に来て、女神であるあの子たちやイストワールさん、クロワール、犯罪組織を含む色々な人たちの出会いを経て、もう一度生きたいと思ってしまった。他者の未来を奪ってまでそうしようとは思わない。だけど、それ以外に方法があると言うのなら、足掻いてみる価値は十分にある筈だから。だから、魔剣を探す事を肯定した。例えそれが命を奉げると言う魔剣であったとしても、手にするだけならば何かが変わると言う事は無いのだから。

 

「ふふ、そうか、そうか!」

「……どうかしたのかな?」

 

 不意に、クロワールが笑っている事に気付いた。何時もの様に人を喰った笑みの筈なのだけど、何処となく違っている様に思えた。

 

「何でもねーよ」

「まぁ、クロワールだしね。どうせロクでもない事を考えてるんだろう」

「おいおい、そりゃ流石に偏見ってもんだぜユーイチ。俺だって普通に笑う事もあるって」

「これまでの君を見てると、とてもそうは見えないよ」

 

 そう言ったところでふと気付いた。これまでクロワールとの間には色々な事があった。恨む事があった。問われた事があった。そして、道を示された事も。確かに表向きは彼女に苦労させられてきた。だけど、クロワールに本当の意味で悪意を向けられた事は無かった。確かに信用ならない事はある。だけど、本当に大事なところで何かされたと言う事は無かった。寧ろそう言う局面では、助けられていた気がする。もしかしたらこの子は……、

 

「まったく、ひっでー言われようだぜ! まぁ、それでも少しは安心した。お前が足掻くってんなら、つまんねー話を最後まで見せられる心配も無くなるってもんだしな。俺としてもそっちの方が良いよ」

「ふーん。僕が魔剣を探すのが、君の暇つぶしにもつながるって訳か」

「そーいう事だよ。だから精々足掻いてくれよ。無様に泥臭く最後の最後まで諦めず、足掻いてくれりゃー良いよ。この世界に呼び出された哀れな人間が、生きる事を諦めきれず最後の瞬間まで足掻き続ける。それは俺にとって最高の見せもんだからな!」

 

 クロワールの言葉に苦笑が浮かぶ。その言葉に善意も悪意も無い。本心からそう思っているのだろう。無邪気に言い放つ姿にそう思ってしまった。

 

「それにな、諦めずに足掻けば、報われる事があるかもしんねーし。どう考えても、結末は変えられねーけど、だけど諦めなけりゃどこかでどんでん返しが起きるかもしれねーよ。そう考えるだけでも、一瞬たりとも目が離せねー面白い展開だ」

「何が起こるか解らないから楽しい、か。君らしい言葉だね。だから、足掻けと」

「そーだよ。足掻いて足掻いて、最後まで足掻きぬいて精々俺を愉しませてくれよ」

 

 相変わらず言葉が悪い。最初にそんな感想を抱いた自分に、苦笑が浮かんだ。それ程、クロワールの言葉は相変わらずだったから。一見すると、道化を見て楽しむ観客の言葉だ。しかも、クロワールは僕がそうなった元凶である。本来恨んでいるべき相手だ。だから、今の言葉を聞き怒ったとしても不思議では無い。と言うよりは、クロワールは僕を怒らそうとしているように思える。

 だから、そんな思惑には乗らず、冷静に彼女の言葉をかみ砕く。天邪鬼。腐れ縁ともいえるこの黒の妖精を語る上で、それは重要な言葉だった。要するに素直じゃない。その上、意地が悪い。だからこそ、裏の意味を考えなければいけない。

 

「口が過ぎるぞ、黒き妖精」

「良いよ、ブレイブ。何時もの事だから」

「しかし、クロワールの言葉は余りにお前に対する配慮が足りん」

 

 そんな言葉を聞き、今にも剣を振りかねないブレイブを窘める。クロワールの言葉を聞き、表面だけ見ればこんな反応を示すのも仕方が無い。それだけの悪意を感じさせる言葉だから。だけど、それなりに付き合いがある僕から見れば違っていた。

 

「大丈夫だよ、ブレイブ。確かにクロワールは本心で言っているけど、落ち着いて聞けば裏の意味がある」

「裏の意味、だと?」

 

 笑みを浮かべ説く僕にブレイブは疑問に思ったのか、聞き返してくる。

 

「ちょっと待てユーイチ。なに適当な事を言おーとしてんだ!」

「別に適当な事じゃないよ」

「ぜってー嘘だ! お前がそう言う笑みを浮かべている時は、碌な事を言わねー!!」

 

 ぎゃあぎゃあと喚くクロワールをひょいっと捕まえ、邪魔の出来ない状態にしてから続ける。そんな僕たちの姿を見て、ブレイブが微妙な空気を醸し出している。

 

「要するにこの子は天邪鬼なんだよ。だから口が悪い」

「口が悪いのは解る」

「おい、誰があまのじゃくだ!! あと、ゆーしゃロボ、お前もさり気無く同意してんじゃねー!」

 

 ぶんぶんと両手を振り回し逃れようとするけど、素直に離す事はしない。今まで散々面倒な思いをさせられて来たこともある。少しばかり仕返ししても、罰は当たらないだろう。

 

「確かにクロワールの言葉は悪いよ。だけど、冷静になって噛み砕いて行けば、ただ心配してくれてるんだよ」

「何だと? とてもそうは思えないが……」

「それが天邪鬼たる所以だね」

「くっそー、はーなーしーやーがーれー!!」

 

 じたばたともがいているクロワールを無視する。

 

「クロワールは確かに言ったよ。生きるために最後まで足掻けって。それに、最後まで見てるとも。その方が面白いって言うのは確かにあると思う。だけど、クロワールの言い方を借りれば、面白くないのにが最期まで見ている必要は無い。それでも、見てるって言ったんだよ。それは、最後まで僕に付き合ってくれるって事なんだよ。その上で、諦めるなって言ってくれた」

「あの言葉に、そのような意味が……!?」

 

 クロワールにとって、本当に面白いか否かが重要ならば、面白くない時点で僕から目を話せばいい。それでも最後まで見ていると言っていた。例え、面白くなくとも。それは、クロワールなりに、僕の事を気にしていると言う事であった。出会ったころならばわからなかっただろう。だけど、彼女とも腐れ縁が続いていた。だから、クロワールの事を少しずつ解るようになってきていた。それをブレイブに告げると、衝撃を受けたようにクロワールを見詰めていた。

 

「ねーから!! ぜんぜんそんな意味は存在しねーからな!!」

 

 言いたい事も言えたので喚くクロワールを介抱すると、凄まじい形相で睨まれる。ふーふーと鼻息荒く此方を見詰める様は、闘牛を連想させる。とは言え、突っ込んできても全く怖くは無いけど。

 

「そうか、お前たちにしか解らん絆があったと言う事か」

 

 ブレイブがしみじみと頷く。本心から感心しているようだった。

 

「おい、ユーイチ! お前の深読みが過ぎるから、変な誤解を生んでいるじゃねーか!! 俺は面白ければいいって言ってんだろーが」

「そうだね」

「そーだね、じゃねーよ!!」

 

 怒り狂うクロワールを見ていると、小さく笑ってしまう。神出鬼没なクロワールである。本当に嫌ならば、一も二もなく消えてしまうだろう。だけど、怒り狂いながらも、どこかに消えると言う事はしていなかった。それは、言葉通り本当に僕の事を見ていると言う事なのだろう。つまり、それが答えだった。

 

「お前たちは随分と気の置けない仲なのだな。しかし、嬉しいぞ四条優一」

「どういう事かな?」

「形はどうであれ、お前は生きる意志を示した。それは決して強いものでは無いかもしれない。だが、それでも、この世界に来て与えられた不条理を良しとしていたお前が、少しでも運命に抗おうと決めてくれた。仲間として、これ程嬉しい事は無い」

「仲間、か」

 

 ブレイブの真摯な言葉を嬉しく思う反面、あの子たちの事を思い出してしまう。仲間。ノワールとユニ君。ラステイションの女神姉妹。確かに、僕はあの子たちの仲間だった。そして、今も僕はあの子たちを仲間だと思っている。守りたい、大切な友達だった。

 諦めていた僕に、手を差し伸べてくれた。まだ死にたくないと、思ってしまった。そう思える程のモノを貰っていた。その事を言葉にした事は無かったけど、態々言わなくても大事な友達である事には変わりが無かった。

 そして、その子たちに別れを告げる事もせず、決別した。それが最善だったから。マジックに成す術も無く敗北を喫し、倒れたノワール。強くなるために旅に出、捕えられたユニ君。そして、捕えられ力なく項垂れる女神とその妹達。それを助けるためなら、迷う事は無かった。例え一緒に居る事が出来ないとしても、その所為で恨まれることになったとしても、それでも守る事はできるのだから。それなら、僕にとってはできない選択では無かった。

 

「大丈夫か?」

「……問題ないよ。少し感傷的になっただけ」

「そうか」

 

 尋ねてきたブレイブだったが、それ以上は聞かずに引き下がってくれた。

 

「待たせたな」

「ああ、待ったよ。だけど、気持ちを整理するのには良い時間だったよ」

 

 姿を消していたマジックが現れる。何をしていたのかは解らないが、マジックが来たと言う事は、漸く出発すると言う事だった。

 

「さっさといこーぜ!」

「ああ。魔剣ゲハバーン。必ず手に入れる」

 

 クロワールとブレイブが進み始める。

 

「少し、変わったか?」

「かもね」

 

 疑問を宿したマジックの呟きに、小さく答え歩を進めた。

 

 

 

 

 

「ブレイブソード!」

 

 ギャザリング城。朽ち果てた古城の中には、定番と言うべきか、多くの魔物がすみ着いていたようで、その姿を現し襲い掛かってきていた。ブレイブの気迫に満ちた轟撃が振り下ろされる。迫り来る魔物を、慈悲も無く吹き飛ばす。

 

「このようなところで時間を浪費する気は無い。消えろ」

 

 それでも敵の数は多く、ブレイブの一撃を何とか避けた魔物に、マジックは紅の魔力を凝縮し解き放つ。死を宣言する魔弾。矢継ぎ早に放たれるソレを受け、異常なまでの速さで敵は数を減らす。

 

「おーおー。流石は犯罪組織の幹部ってか。凄まじいじゃねーか」

「全くだね」

「どーすんだよ。お前の出番とか、無いんじゃね?」

「無くとも一向に構わないけどね」

 

 二人の幹部の戦いぶりに、クロワールは楽し気に僕に言う。クロワールが感心するほどあって、二人ともこれまで見た誰よりも強い力だった。手にする長釣丸、抜き放つ。左手に鞘を持ち、右手で刀を持つ。そして、自分の持つ力を解き放つ。マジックによって、新たな段階に押し上げられていた。だからと言う訳ではないが、これまでとは少し違う使い方を試す。

 

 ――魂砕

 ――S.O.C

 

 それは二振りの魔剣。これまで僕が使って来た、異界の魂の持つ剣だった。一度に二振りの剣を再構築する。それが出来るようになっていた。両の手に二振りの魔剣がある事を実感すると、言葉を紡ぐ。

 

 ――マキシマム・チャージ

 

 人の限界を超える魔法。それを、解き放つ。全身から活力が溢れだし、感覚が研ぎ澄まされる。そうでありながら、心はどこか澄み渡っていた。

 

「まだ、足りない……か」

 

 だけど、これはまだ僕が目指すべき極地では無い。これは、その上に行くための通過点だった。ブレイブとマジックの猛攻を搔い潜った魔物が迫る。無造作に切り払った。そして両の魔剣を更に読み取っていく。遠くで魔物たちの断末魔が聞こえる。マジックとブレイブ、その二人にほとんどの敵が討たれたのだった。

 

 

 

 

 

「流石に煩わしくなってきたな」

「まったくだね。一体どこから出て来るのか」

 

 魔物たちとの遭遇戦に加え、何度となく背後からも攻撃されていた。強さ自体は大したものでは無いのだけれど、回数がかさむとブレイブの言う通り煩わしく思えてくる。

 

「……お前たちは先に行くと良い」

 

 此方を一瞥だけしてそのまま進むマジックを見て、ブレイブが残ると言いだした。背後から来る敵を一手に引き受けてくれると言う事だった。

 

「おいおい、良いのかよ。それって死亡フラグだぜ?」

「問題ないさ。悪の組織の幹部に立つフラグじゃないよ」

 

 茶化すクロワールにそんな感じで返していた。クロワールの言い回しが少しうつったのかも知れない。苦笑が零れる。

 

「そりゃそーだな」

「うん。だからブレイブ、此処は任せるよ」

「ああ、任せておけ。ここから先は、一歩も通さん」

 

 背後をブレイブに任せ、歩を進める。かつかつと、歩みを進める音だけが鳴り響く。

 

「お、なんだかそれっぽいところに辿り着いたじゃねーか」

 

 歩を進め辿り着いた先には、大きな扉があった。謁見の間へと続く扉。ちょうどそんな感じの大きな入口だった。

 

「少し待て」

「何、かな?」

 

 不意にマジックが静止の言葉を零した。

 

「一応言っておく。この先では、女神を模倣した能力は使うな」

「……どう言う事かな?」

「魔剣ゲハバーン。それは命を奉げる剣。厳密に言えば、女神の命を奉げる剣だ」

「何だって……?」

 

 マジックの言葉に驚く。驚いたはずなのだが、何処か納得もしてしまった。名前を聞いた時から嫌な予感がしていた。だけど、彼女の言葉を聞き、合点がいった。それは、僕が女神の脅威を排除する為に呼び出された存在だったからだった。女神を護るべき僕と、女神を殺す事で力を得る魔剣。魔剣の事が本当ならば、僕とは相いれる筈が無い。だから、女神の制約が警鐘を鳴らしていたと言う訳だった。

 

「だけど、なぜ僕が使うのを控える必要がある?」

「女神と言うのは、突き詰めればシェアの塊だ。それ故、お前の持つ女神四人分のシェア。それを用いた女神の能力の模倣とは、相性が悪い」

「成程」

 

 つまりは、奉げる力と用いる力とでは相容れないと言う事だった。

 

「では行ってくると良い。此処から先は、四条優一の、ブレイク・ザ・ハードの見せ場だ」

 

 最後にそう言うと、マジックは踵を返す。扉越しに大きな力を感じていた。それをマジックも感じ取ったのだろう。あとはお前に任せると良い、姿を消した。

 

「おいおい、此処まで来てお前ひとりでボス戦かよ! まー、それはそれで面白そうだけどな」

「戦うのは一人だけど、二人だね」

「おっと、そーだったな。観戦していてやるよ、精々頑張れ」

 

 クロワールの軽口に苦笑いを浮かべ、扉を開く。瞬間、凄まじい圧力が全身を包み込んだ。

 

「これはこれは……」

「……、やっべーんじゃねーの?」

 

 其処は広大な部屋だった。薄暗い大広間。その奥から魔剣らしき力を感じた。だけど、それとは別に一つ問題があった。巨大な竜が、此方を見据えていた。目が合う。ぞわりと、衝撃が全身を駆け抜ける。恐怖の類では無い。ただ、目の前の竜の放つ力に戦慄していた。以前ノワールと討ち果たしたエレメントドラゴンなどとは、文字通り格が違っている。

 

「アレってなんていう名前か知ってる?」

「あーっとたしか、八億禍津日神」

「また、随分と凄い名前だね。まるで勝てる気がしない」

 

 思わず口から出た馬鹿な質問にクロワールは律儀に答えてくれる。

 

「で、勝てんのか?」

「勝つよ。此処で負けるようなら、未来なんか変えられない」

「そーかよ、なら頑張れよ。そんで、俺に面白い見世物を見せてくれ」

 

 クロワールの問いに、淀みなく答える。これは最初の試練だった。なら、こんなところで躓く訳には行かない。ぶっきらぼうだが背を押してくれた友達に心の中で感謝と謝罪をし、二振りの魔剣を握り締める。今の僕ができる、限界まで力を使っていた。顕現した二振りの魔剣、その姿を一つの剣に変化させる。それは、一振りの剣だった。何の力も感じない、ただ一振りの剣。それを作り出していた。

 

「これが、今の僕に出来る全力」

「全力って、それのどこが強いんだよ。お前、そのまま挑むってんなら、間違いなく殺されるぞ!!」

 

 僕の構築した剣を見たクロワールがイラついたように言う。確かにクロワールが言う事は正しかった。これは、何の力も持たない剣。量産された一振りの剣でしかなかった。だけど、この剣を再構築したのには意味があった。

 

「クロワール、離れててよ。下手したら君も巻き込む」

「どーいう事だよ?」

「見てたら解るよ。これから戦うのは僕であって、僕では無いから……」

「意味解んねーけど、解ったよ」

 

 しぶしぶながらも従ってくれたクロワールに礼を言う。なんだかんだ言って、この子も信じてはくれているのだろう。そう思うと、素直に嬉しかった。手にする剣。ゆっくりと構え、読み取った経験を再現し、記憶をこの世に呼び起こす。それは、今の僕に出来る最大の使い方。経験によって力を借りるのではなく、この身体を一時的に明け渡し、この世に再び呼び起す能力だった。それを解き放った。どこか意識が遠くなる。だけど、途切れる事は無い。自分を客観的に見ているような不思議な感覚が全身を包んでいた。

 

「……貴様の最期の輝き、見せて見ろ」

 

 自分では無い自分が言葉を発していた。それは、人を極めし闘神の記憶。自らの体を依代に、一振りの剣をしるべとし、再びこの世に呼び戻していた。身体がゆっくりと動き始める。八億禍津日神が咆哮を上げた。それが、戦いの合図だった。そして、

 

 

 

 全身に凄惨なほどの破壊を受けた八億禍津日神の巨躯が崩れ落ちる。この日、四条優一は女神を殺す魔剣を手にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




神次元DLあいちゃんのエグゼドライブである、人を極めし闘神の元ネタが登場しました。解る人いるのだろうか

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