ハリー・ポッターと野望の少女   作:ウルトラ長男

63 / 85
┌(┌^o^)┐ 皆様こんばんわ。
超サイヤ人で一番好きな形態は超3のウルトラ長男です。
眩く光って髪が伸びる、って単純だけど凄い格好いいと思うんですよね。
でも悲しい事に超3の戦績はあまりよくないという……。
格好いいのになあ……。


第59話 愚者

 何かが起こりつつあるというイーディスの予想は当たっていた。

 ここ最近、どうも校内の様子がおかしい。

 あろうことか2度、魔法界で最も安全と言われるこのホグワーツで殺人未遂が発生したのだ。

 1度目はグリフィンドールのケイティ・ベル。

 ホグズミードで呪いのかかったネックレスに触れ、あわや死ぬ所であった。

 手袋の上から触れたため一命は取りとめたものの、しばらく聖マンゴ病院に入院する羽目になってしまい校内を騒がせた。

 2度目は、これまたグリフィンドールのロナルド・ウィーズリー。

 スラグホーンの教室で彼に勧められた酒を飲んだところ、何と毒入りだったらしい。

 幸い、近くにあったベゾアール石を飲んだ事でこちらも大事には至らなかったが、もしベゾアール石がなければ入院していたかもしれない。

 この一件で当然のようにスラグホーンに疑いがかかるも、彼も毒入りとは知らなかったようで、更にその酒は元々ダンブルドアに贈る予定の物だったらしい。

 スラグホーンを狙った犯行なのか? それともダンブルドアを狙った犯行なのか?

 誰が犯人なのかは分からない。

 しかし分かる事は、1度目も2度目も結局犯人の狙った人物に届いてすらいないという事であった。

 

 この件でまず最初に、ハリーとイーディスはマルフォイを疑った。

 彼は今年度に入ってから確実に何かをやろうとしているからだ。

 クィディッチの試合に出てこなかったり、やけにコソコソ動いていたり。

 それに何と言ってもハリーは証拠を握っている。

 彼の持つ『忍びの地図』からマルフォイの姿が頻繁に消えるし、スネイプと何か話している場面も目撃した。

 また、その会話内容もまるでマルフォイが犯人であると言っているようなものであった。

 加えて、この会話からハリーはスネイプもまたヴォルデモートの手先であると考えた。

 何故かマルフォイとスネイプは仲違いしているようで、『お前は結局母上と破れぬ誓いをしなかった!』だの『あれは行動を狭める行為だ。ナルシッサにもそう説明したはずだが?』など言い争いをしていたが、これは全て二人が同じ闇の陣営に属している事を示唆しているように思えたのだ。

 

「マルフォイは何かをやろうとしている。それは確かなんだ」

「私もそれには同意するわ。最近マルフォイはどんどんやつれてる……何もないとは思えないよ」

「面倒だ、殴って吐かせよう」

「ロン黙ってて! ハリー、その事はイーディスに任せて、貴方はスラグホーン先生の記憶を手に入れる事に専念すべきよ!」

 

 いつものように図書館に集まって話しているのはハリーとイーディス、そしてロンとハーマイオニーだ。

 グリフィンドールとスリザリンに分かれている彼等が落ち着いて話せる場所は限られている。

 図書館はそんな限られた場所の一つだった。

 

「ああ、わかっているさ。けどあの人は僕と二人きりになるのを避けているんだ。

だからせめて、いい手が思い付くまでマルフォイの動きを気にするのがそんなに悪い事か?」

「違うでしょ、ハリー。『いい手』っていう発想がそもそも間違っているのよ。

魔法とか薬とかで聞き出せるならとっくにダンブルドアが聞き出してるわ。

それをせず、貴方に任せるって事は説得しろって事なのよ」

 

 ハリーはハーマイオニーの剣幕にたじろぎ、助けを求めるようにイーディスを見る。

 しかしイーディスはお手上げ、とばかり肩をすくめるだけだった。

 それにハーマイオニーの言葉は基本的に正しい。

 ハリーは今年度からダンブルドアの特別授業という名目でヴォルデモートの過去を探っているが、スラグホーンの記憶こそがその最も重要なピースなのだ。

 それを解き明かす事さえ出来れば、ヴォルデモートの不死の秘密にも辿り着ける。

 ならば彼の記憶を手に入れる事こそが何にも優先される急務であると言えた。

 

「マルフォイの事は私が調べておくから、ハリーはスラグホーン先生に集中すべきだと思う」

 

 イーディスはそう諭すように言い、ハリーが為すべき事に集中出来るよう図る。

 実際グリフィンドールのハリーよりもスリザリンのイーディスの方がマルフォイを調べ易い位置にいるのは事実だ。

 ハリーも渋々納得したように頷き、イーディスに言う。

 

「それじゃ……わかった。マルフォイの事は君に任せるよ。

僕は何とかスラグホーン先生をどう説得するべきか考えてみるよ」

 

 

 

 そうしてマルフォイの事を引き受けてから数日後。

 イーディスは8階の、壁の前に立っていた。

 そこはハリーから聞いた『必要の部屋』がある場所だ。

 イーディス自身は一度として利用した事の無い場所だが、ハリーが言うには心の中で念じる事でその者が必要とする部屋が現れるらしい。

 そしてマルフォイがここを使用している事は既にハリーの調べで判明している。

 ならば後は、彼が使っている部屋を出す事が出来ればその目的も判明するわけだ。

 

 イーディスは考える。

 単純に『ドラコ・マルフォイが使ってる部屋』を念じても出て来る事はないだろう、と。

 ハーマイオニーが言うにはどういう部屋になるかをちゃんと念じなければならないという。

 つまりマルフォイの意図を読み、彼がどんな部屋を必要としているかを読まなければならないのだ。

 

 ではどういう部屋を彼は求める?

 やはりここで推理の材料となるのはハリーから聞いた情報だ。

 マルフォイはボージンアンドバークス店に行き、店主に何かを強要していたという。

 また、ケイティ・ベルを殺しかけたネックレスもそこの商品らしい。

 だがそこは大した問題じゃない。

 

 彼はここで何かをしようとしている。

 そして2度に渡る殺人未遂をハリーと、ハリーの聞いたスネイプの言葉を正しいとするならば、計画したのはマルフォイだ。彼は誰かを殺そうとしている。

 ――誰を?

 ケイティ・ベルか? 否、殺すに足る理由がない。

 ロナルド・ウィーズリーか? 確かに犬猿の仲だが今更殺そうとする程ではないだろう。

 では……ホラス・スラグホーン、あるいはアルバス・ダンブルドアか?

 候補の中で残ったのはこの二人しかいない。残念ながらそこまで頭の回転に優れるわけではないイーディスではこの二人のどちらが本命かまでは解き明かせないだろう。

 しかしそんな事は問題ではない。どちらにせよ、マルフォイでは正攻法で殺せる相手ではないというのが何より重要なのだ。

 

 マルフォイはこの二人を自力で殺す事は出来ない。

 だからこそ道具に頼った。そう考えれば呪いのネックレスや毒入り酒も説明がつく。

 即ち……暗殺である。

 だがそんな稚拙な手では殺せないと彼は学んだはずだ。ではどうする?

 より確実な手を講じるにはより強力な魔法の道具が必要だ。

 しかし彼はそんな物を持っていないし、持っていれば検査に引っかかる。

 隠すにしても、この校内で下手な場所に隠せばすぐに教師が見付けてしまうだろう。

 

 ――隠すための場所が必要だ。誰にも見付からない、そんな場所が。

 

「って、安直すぎるか……いくら何でもこんな単純な事ならハリーがとっくに試してるでしょ」

 

 あはは、と苦笑しながらイーディスは壁の前を3回ウロウロする。

 ハリーから教えてもらった情報によると、ここで3回ウロついて必要とする部屋を念じなければならないらしい。

 安直であると自分で思いながらも、とりあえず思い付いた事はやってみるべきだろう。

 そう思いながらイーディスは『隠すための場所』を念じ、部屋を出現させる事に成功した。

 

「お、本当に出たよ。まあいくら何でもこんな捻りのない部屋にいるわけ……」

 

 一人ごちりながら、ドアノブを回してドアを開ける。

 果たしてその中は大聖堂のように広く、都市のように壁が聳え立つ部屋であった。

 何世紀にも渡り、様々な先人が隠して来たのだろう道具の数々、積み上げられた本の山。

 そして青い顔でこちらを見るドラコ・マルフォイ。

 

「…………」

「…………えー」

 

 ドラコ・マルフォイである。

 どこをどう見ても正真正銘、ドラコ・マルフォイ本人であった。

 そっくりさんでもルシウス・マルフォイでもドッジ・ランドンでもない。

 

「あ、あー……こんにちわ? げ、元気? マルフォイ」

「…………」

 

 元々青白い彼の顔は今や蒼白になり、目を見開いている。

 よほど他人に見付かりたくはなかったのだろう。

 彼は杖を素早く抜くと、イーディスへと向けた。

 それと同時にイーディスはその場から跳び、杖の射線上から外れる。

 一瞬遅れて飛んできた呪いが壁に命中し、わずかに焦がす。

 

「いきなり何するの!?」

「う、うるさい! 見られた以上問答無用だ!」

 

 マルフォイは次々と呪文を放つが、そんなものはメアリーによって1年間鍛えられたイーディスには通じない。

 無言で盾の呪文を展開し、そのことごとくを弾く。

 続けてイーディスは心の中で呪文を唱え、杖から電撃を発射する。

 回避も防御も不能の一撃。しかしそれも狙いが逸れては意味がない。

 未だ未熟なイーディスの電撃魔法は狙いを外し、マルフォイからずれた位置にあるキャビネットに直撃、炎上させてしまった。

 

「あ……ああああああ!? お、お前何て事を!!」

 

 マルフォイがいよいよ真っ青になり、イーディスとの決闘中という事も忘れてキャビネットに駆け寄る。

 そして一心不乱に水魔法で消火しようとするも、炎はなかなか収まらない。

 その背中を見てイーディスは思った。

 あれ、これチャンスじゃない? と。

 

「とった!」

「!?」

 

 無言で石化呪文を放ち、マルフォイを行動不能にする。

 さらに魔法で捕縛し、杖を取り上げた。

 それからキャビネット棚に水をかけ、消化するも既に手遅れだ。

 キャビネットは完全に原型を失い、よく分からない黒炭の何かへと変貌してしまっていた。

 

「――」

 

 そのキャビネットの惨状を見たマルフォイは白目を向き、呆然とした顔をしている。

 どうやらこのキャビネットは彼にとって大切な物だったらしい。

 マルフォイはまるで糸の切れた人形のように崩れると、メソメソと泣き出してしまった。

 これにはイーディスも度肝を抜かれ、ぎょっとする。

 

「お、終わった……何もかも……」

 

 その、あまりに覇気のない姿を見てイーディスは冷や汗をかき、思う。

 私……ひょっとしてやっちゃった? と。

 

*

 

「へ、へへ……本当にこれで2000ガリオンももらえるので? お嬢様よう」

「ああ、案ずるな。私は約束は守る」

 

 後ろ暗い人間ばかりが集まるノクターン横丁。

 その中でも更に人が寄りつかない路地裏で、一組の男女が人目を避けて会合していた。

 一人は不死鳥の騎士団のマンダンガス・フレッチャー。

 もう一人はこの路地裏には不釣合いな美しい少女、ミラベル・ベレスフォードだ。

 マンダンガスは何故騎士団にいるのか不思議な程性根の腐った男であり、金の為ならば仲間だろうが裏切るし、仲間の私物だろうが盗んで金に換える。

 そして今もまた、シリウス・ブラックの私物であるはずの屋敷から一つのロケットを盗み出してここに持ってきていたのだ(もっともシリウス自身はブラック家の遺産などガラクタ程度にしか思っていないので気にしていないようだが)。

 

「ふむ、この禍々しい気配……本物に相違ないようだ」

 

 緑の宝石がS型に埋め込まれた金のロケットを見て、ミラベルはこれこそが本物の分霊箱であると確信する。

 あの偽物のロケットを掴んでからというもの、まずミラベルはイギリスに戻り、その辺を徘徊して子供を襲っていた死喰い人を適当に捕獲した。

 確か狼男の死喰い人で名をフェンリール・グレイバックとかいったか。

 ミラベルの容姿に油断し、彼女を餌と見て近付いてきた愚かな狼男は哀れにも四肢を切断され、拷問にかけられて情報を絞り取られた末に殺されてしまった。

 その後彼から得た情報でR.A.Bがレギュラス・ブラックである事を突き止めたミラベルは、早速ブラック邸に乗り込もうとした。

 しかし彼の家……即ちブラック邸は騎士団の本部であり守りの呪文によって保護されている。

 これではミラベルはこの屋敷に立ち入れないし、見付ける事も出来ない。

 だが幸運はミラベルに味方した。

 騎士団の愚か者、マンダンガス・フレッチャーという騎士団最大の愚者を発見したミラベルは彼に接触し、このロケットを盗み出させたのだ。

 

「ご苦労だった。報酬の2000ガリオンをくれてやる」

「うへへへ……ありがてえ、ありがてえ」

 

 金貨の詰まった袋を手渡し、ミラベルはロケットを宙に放り投げる。

 そして次の瞬間、悪霊の炎を解き放ってロケットを跡形もなく消し飛ばしてしまった。

 分霊箱に閉じ込められたヴォルデモートの魂の欠片が断末魔の悲鳴を上げてこの世から消え去るのを確認し、ミラベルは口角を吊り上げる。

 

「な、なにをしてるので!? せっかくお譲りしたロケットを壊しちまうなんて……!」

「ん? 買った物をどうしようが私の自由だろう?」

「そ、そうですが……今更金を返せと言われても返せませんぜ! もう売り払った以上この金は俺のものでさあ!」

「ああ、心配せずともその金は貴様の物だよ。それに……」

 

 ミラベルは酷薄な笑みを浮かべ、マンダンガスに向き直る。

 

「地獄の渡し賃には、それくらい必要だろう?」

「え? そ、それはどういう……」

 

 マンダンガス・フレッチャーは味方の足を引っ張るタイプの男で、ミラベルが最も嫌悪する存在だった。

 実の所、この男を殺さずに利用する手もあるにはある。

 大金さえ積ませればこの男はいくらでもこちらに有利な動きをしてくれるだろう。

 だが金で裏切る男は更なる大金で裏切る。これでは駒としても使えない。

 故に……ミラベルがこの男を生かす理由はもう、どこにも存在しなかった。

 

「もう貴様に用はない」

 

 

 ――緑の閃光が、人気のない路地裏で爆ぜた。

 

 




~クィディッチ選抜の一コマ~
ハリー「なんで急にこんな人気スポーツになったのかわからないよ」
ハー子「わからないの、ハリー? 人気なのはクィディッチじゃなくて貴方よ」
ハリー「え?」
ハー子「正直に言って、貴方がこれほど魅力的だった事はないわ。
貴方は去年一年、嘘付きと言われながら真実を主張し続けた。手の甲にはアンブリッジが残した傷もあるわ」
ロマンドー「俺はプレデターとT-1000に負わされた傷がある」
ハー子「そ、それに身長も夏休みの間に随分伸びたわ」
ロマンドー「俺は188cmになった」
ハー子「……」
ハリー「……やっぱ僕、大した事ないんじゃない?」
ハー子「あれと比べちゃ駄目!」

~毒騒動の一コマ~
スラグホーン「蜂蜜酒は飲むかい?」
ロマンドー「もらおう」 ゴキュッ、ゴキュッ
ハリー「じゃあ僕も……」
ロマンドー「……む……!
待てハリー。これは毒入りだ」
ハリー「え゙?」
ロマンドー「気分が悪くなってきた。解毒剤を調合して欲しい」
ハリー「え? えと……ベゾアール石でいい?(今思いきり飲み干してたような……)」
ロマンドー「助かる」

┌(┌^o^)┐皆様こんばんわ。
今回はハリーの頼みを受けたイーディスが必要の部屋に入りマルフォイとエンカウント。
彼を倒し、更にキャビネットをぶっ壊してしまいました。
原作未読の方の為に一応説明しますと、マルフォイはダンブルドアを殺そうとしていて、このキャビネットは姿現しの効果を持つ魔法アイテムです。
マルフォイはこのキャビネットを修理して死喰い人を外から招き入れるはずだったのですが、イーディスが今回修理不能なまでに大破させてしまいました。
これでマルフォイの計画が全てパーです。
原作どうするんだこれ……。

そして一方、物語の外で敵味方関係なく原作キャラをジェノサイドして回る(一応)主人公ミラベル。
今回はフェンリルさんとマンダンガスさんが何も出来ずに消し飛ばされました。
これによりマッドアイの死亡フラグが木っ端微塵に崩壊です。
またビル・ウィーズリーの顔ボロフラグも消滅です。いいのか悪いのか……。
後、本来トンクスとフレッドを殺すはずのベラ姐さんとルーピンを殺すアントニンをミラベルが殺傷してしまいましたので、この二人の死亡フラグも折れました。
原作味方キャラに生存フラグを立たせて回る……これぞ主人公の仕事です。

現在の分霊箱。
トム・リドルの日記=ミラベルによって破壊。
ゴーントの指輪=ダンブルドアによって破壊。
レイブンクローの髪飾り=ミラベルによって破壊。
スリザリンのロケット=ミラベルによって破壊。逃げきれなかったようです。
ハッフルパフのカップ=ミラベルが捜索開始。カップ逃げて!
ナギニ=健在。
ハリーポッター=健在。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。