冒険の書 武装商人の生き様   作:わくわくさん

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グルー王城
「王よ!大変です!」
王座の間に従者が慌ててくる
「何用だ、申せ。」
「国境のアラー大橋でヤナン、スコール両軍が交戦を開始しました!!」
アラー大橋はヤナン帝国!スコール国の国境である世界一大きい橋だと言われている。
「王よ、どうなさいますか。」
グルー王はうむ、と少し考えるような仕草をして、
「あいわかった。様子を見よう。伝令ご苦労。だった、下がって良いぞ。」
「ははっ!」
伝令兵は敬礼をして王座の間から出ていった。
その横で話を聞いていた男、彼は旅立つ前にリュウと話していた男だ。
男は静かにリュウの無事を祈っていた。


足音

リュウがそのことを知ったのはアリア公国についた頃だ。ヤナン帝国は余りにも遠いので一旦アリアで1日過ごすのだ。

その頃二人は宿で

「へぇー、ライフルって凄いのね!」

「そうだろう、そうだろう!」

ライフルトークで盛り上がっていた。さすが幼馴染だ。

「あ、そうだ。ライフルも弾が無くちゃあ意味がない。…買いに行くか!」

「そうしましょう!」

異様にテンションの高い二人は外に出た。

すると

 

アリア城下町

「ごーうがーい!」

一人の男が大声で歩いていた。それを見て

「ねぇ、リュウ、ごうがいって何?」

「今入った最新の情報だ。グルーで言う緊急掲示だ。」

「ふぅーん。」

「けど号外って余程でかいことが起きたときしか出ないぞ。」

「例えば?」

エリが聞く。

「戦争とか」

迷わず言ったリュウにエリは苦笑いを浮かべる

「止めてよね」

「まあ、聞いてみよう。」

気付けば男の周りは人でいっぱいだ。

「号外!ごーうがーい!」

「なんだなんだ、早く言ってくれ!」

周りの人が急かす。

すると男は答えた。

「アラー大橋でヤナン、スコール両軍が衝突!全面戦争勃発の可能性大!」

この男の言葉で恐怖の足音が聞こえた気がしたような気がした。

 

宿屋

「で、これからどうするの?」

エリが話を切り出す。その事についてはリュウも考えていた。

「アリアでずっといるのも何だしな。でも行くとすれば今のうちに行った方がいい。」

「なんで?」

エリが訳を聞く。するとリュウから返答が来た。

「今の戦線区域は恐らくアラー大橋付近だ。グズグズしてると戦線が拡大して行けなくなる」

「成程…」

相槌を打つ。こっからヤナン帝国に行くのはとても危険だ。だからと言って引き返せば金が入らなくなり生活が困難になる。リュウにとっては重大なことだった。

考えているとまたあの声が響いた。

「ごーうがーい!ごーうがーい!」

 

「号外だよ!えー、国外からはるばる来てくださった旅人、商人の方々には申し訳ない。この度起きた戦争で下手にに外に出られないのは承知の上だ。しかし、この戦争について各国々の方針も変わるかもしれない。その為にお主たちにはこの国を一旦去ってもらいたい。これは近隣国との会議で決まったことだ。おぬしたちの帰路に祥あることを願う。…とこれは王の言葉だよ!」

リュウは不自然に思った。戦争が起きただけで総員帰国令が出るのか?もし出るとすればそれはもう世界を巻き込んだ大戦争…!

「エリ!帰る支度をしろ!」

リュウは思い立ったように言う

「え!なんなの急に!もう少しくらい休んでもいいでしょ!」

「嫌な予感がするんだ。それも飛びっきりの。」

リュウに近づく足音は徐々に大きくなっていく。

まるで先ほどリュウが想像したように…




グルー王城
「王よ、ヤナン帝国からのご客人です。」
男は静かにグルー王に近づく。
「会えて光栄です。グルー王よ」
「回りくどいのは良い…要件を申せ。」
「なら、遠慮なく…」
男は紙を王に渡す。
「我がヤナン帝国皇軍はグルー王国に対し宣戦を布告する!」
家来達が唖然とする中グルー王は待っていたかのように冷静な笑みを浮かべていた。

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