真・女神転生 クロス   作:ダークボーイ

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PART52 CREATION OF THE COLLAPSE

 

「よお、どうだい黙示録の光景は」

 

 背後から掛けられた声にナナシが振り向くと、そこには大剣を手にダンテが立っていた。

 

「黙示録?」

「聞いたことないか? ああ、聖書なんて無い世界か」

「いや、持ってる人は見た事ある。中身は知らない、読んだ事無い」

「オレもだ。だが、そいつはどうだ?」

 

 漆黒に変じたカグツチからの光が降り注ぐ中、ダンテはリベリオンの切っ先をナナシの腕のスマホへと突きつける。

 

『ふ、気付いていたか』

 

 呟きと共に、ダグザがスマホから飛び出し、体を実体化させる。

 

「まあな。ついこの間まであの世に行ってたんでね、死人の匂いは嗅ぎ慣れちまった。ついでに、あんたがそいつと契約して蘇生させたらしいって事くらいは想像がつく」

「ふ、なるほどな。それで、どうする?」

「そうさな。死人の手はいらねえんじゃねえのか?」

 

 最後の言葉が終わるかどうかのタイミングで、ダンテは一気に距離を詰め、リベリオンを高速の刺突で突き出す。

 ナナシはかろうじて身を捩ってその一撃をかわすが、白刃は胸元をかすめ、鮮血が宙を舞う。

 

「なるほどな、体は一応生きてるわけか」

『そうだ。こいつはオレと契約したのだ。蘇生と引き換えに、オレの神殺しとなると』

「なるほどな」

 

 いつの間にかスマホに戻っているダグザに、ダンテは一度剣を引く。

 

「随分、タチの悪いのと契約したな」

「………」

 

 傷口から流れる血を手でおさえながら、ナナシはダンテの言葉に無言。

 その顔に僅かに苦悶が浮かんでいるのにダンテは気付いた。

 

(自我は残ってるわけか………なるほど、マリオネットじゃ神殺しにはならないしな)

 

 予想よりもかなり厄介な状態のナナシに、ダンテは剣を手にしたまま考える。

 

(冥界でもあのゴスロリ嬢ちゃんの件で散々揉めたからな………どうする?)

 

 普段ならためらいなく斬る所だが、そうしたら色々ややこしい事になりそうなのは確実なので、ダンテは迷う。

 

『どうする? こいつはお前を斬ろうとしているぞ?』

「分かってる。だが、今のオレじゃ………」

 

 先程見せられた、圧倒的な実力差にナナシもまた手を出しあぐねていた。

 だが、緊張は意外な形で破られた。

 

「ナナシ!」

 

 エントランスから、アサヒの慌てた声が響く。

 

「貴方! ナナシに何を…」

「馬鹿…」

 

 未だ黒きカグツチの光が降り注ぐ中、アサヒが外に飛び出そうとする。

 ダンテが思わず身をひるがえすが、それよりも早く動いた者がいた。

 

「ちょっと待った~!」

 

 アサヒが外に出るよりも早く、修二がアサヒの頭上へと飛び出す。

 のみならず、彼の仲魔達も一斉にアサヒの頭上に飛び出し、そのまま一気に押しつぶさんがばかりの勢いで覆いかぶさった。

 

「むが!?」

「隙間なく被され! ちょっとでも出すな!」

「分かりました!」「動かないで!」「なんとか中へ!」「潰すなよ!」「心得ている!」「くっ! 頭の中がおかしくなりそうだ」「ちょっとだけふんばれ!」「黒いカグツチに呑まれるな!」

 

 上からクィーンメイブ、サティ、スパルナ、セイテンタイセイ、クー・フーリンがアサヒを黒きカグツチの光からかばいつつ、なんとかエントランスへと戻ろうとする。

 

「重っ! ちょ、どこ触って!」

「動くな! こうでもしないと…」

 

 アサヒが悲鳴を上げるが、修二はそれでもその上から動こうとしない。

 

「お………」

 

 ダンテもどうすべきか迷ったが、そこで降り注ぐ光が薄れてきているのに気付いた。

 

「日焼けの時間は終わりのようだぜ」

「へ?」

 

 修二も覆いかぶさった仲魔の隙間からそれを見上げると、始まった時同様にカグツチが漆黒から元の色へと戻っていった。

 

「よ、ようし。もう大丈夫だ」

「じゃあどけてよ!」

「ふぐ!?」

 

 一安心した修二だったが、そこでアサヒの裏拳が鼻にめり込む。

 

「なかなかいいパンチ持ってる………」

「人の事潰す気!?」

「多少潰れるくらいならまだマシだぞ」

 

 修二に向けて喚き立てるアサヒだったが、後を追ってきた仲間達も外に出ても大丈夫な事を確認すると、こちらへと向かってくる。

 

「待て、あの黒い陽光に当たると危険だと言われたはずだ」

「けど、あいつがナナシを!」

「アサヒちゃん落ち着いて」

 

 ガストンとノゾミがなだめるが、アサヒは激昂したままだった。

 だがそこで、トキがアサヒの背後へと回る。

 

「アサヒ、動くな」

「え?」

 

 宣言するや否や、トキが手にした鉈をいきなり横薙ぎに振るい、アサヒの髪の一部が宙を舞う。

 

「ひっ!?」

「トキちゃん何を…」

「これを見ろ」

 

 アサヒが思わず悲鳴を上げ、ノゾミも驚くが、トキが宙を舞った髪の一部を掴んでみせる。

 

「これは………」

「な、なんだこれ!? ガラスか?」

 

 切られた髪の端が、結晶化しているのに気付いたガストンとハレルヤが仰天する。

 

「そいつが、キュヴィエ症候群って奴だ。生身の人間があの黒いカグツチの光を浴びるとそうなっちまうらしい」

「え………」

「人修羅に感謝しな。でなけりゃ、ここで彫像が一つ出来る所だったぜ」

 

 ダンテが説明してやりながら、興が削がれたのかリベリオンを仕舞う。

 

「え、あ、じゃあなんでナナシは………」

「何でも、悪魔の力を体に宿してる奴は平気らしい。だからオレとダンテがよこされたんだ。少なくても、キュなんとか症候群は発症しないからな」

「他の問題もありそうだがな」

 

 修二が補足説明する中、一足遅れてきたフリンが、目の前に広がる光景を見ながら呟く。

 そこには、先程まで小競り合いを繰り広げていた各勢力の者達が、同士討ちの形でほぼ壊滅状態となっていた。

 

「なるほど、ナナシさんが平気なのはダグザ神が宿っているためなのですね?」

「一概にそうとは言い切れないだろうがな」

 

 イザボーがナナシが外に出れた理由を推察するが、それに対してダンテは苦笑。

 

「どんな奴までが平気なのか、試してみるわけにもいかないからな~。分かってるのは何ともないのは喰奴って連中と、オレとダンテと、もう一人か。まあ喰奴はたまに暴走するらしいが」

「確かにこれでは、不用意に出歩けない」

「上の人達にも厳重注意しておきませんと。ちなみに、治療方法は有りまして?」

「有ったらオレらだけよこさないって。取り敢えず、中入ってた方いいと思うぜ」

 

 修二があれこれ説明する中、険しい顔のフリンとイザボーが結晶化した髪を見つめていたが、修二に促されて皆がタルタロス内へと戻っていく。

 

「ほらナナシ、危ないから戻ろ。手当しないと」

「ああ」

 

 アサヒに引っ張られて戻っていくナナシを、最後に残ったダンテが無言で見送るが、そこで全身を返り血で染めた魔具の悪魔達が近寄ってくる。

 

「少し頭に血が上っていた」

「あの黒きニセ太陽」「かなり厄介だ」

「まあストレス解消になったけれど」

「掃除にはなったさ。取り敢えず戻っておけ」

 

 アグニ&ルドラ、ネヴァンが魔具の姿へと変ずる中、ケルベロスはすぐに戻らず、ダンテの耳のそばへと巨大な頭部を寄せる。

 

「あの少年、奇妙な死臭をまとっている。いいのか?」

「なるようになるさ。少し厄介だがな」

 

 ケルベロスの警告にダンテは小さく吐息を漏らすが、ケルベロスは納得したのか魔具の姿に戻る。

 

「取り敢えず、仕事はこれで完了か。周りの掃除も出来たしな」

 

 ダンテは魔具の入ったトランクケースを背負うと、周囲一体に無数に転がる悪魔の屍を見回し、タルタロスへと入っていく。

 

「報告、チアキ様に報告を………」

「他に生きている者は………」

「何が起きた………」

 

 僅かに残った各勢力の者達も、己達のリーダーに惨状を報告するために散っていく。

 後には、凄惨な戦場跡だけが広がっていた。

 

 

 

『悪いな、他に人材がいなかった』

「いや、構わない。状況は大体分かった」

 

 持ち込まれた通信機で、代表してキョウジが通話し、こちらも代表でフリンが応じる。

 

『取り敢えず、まずしなきゃならないのは救援物資の搬入か………』

「食料の問題が出始めている。ここでは食料になりそうな物は何も無い」

『だろうな………喰奴だったらシャドウも食うんだが、まずいと言ってたな』

「あれ、食べられるのか? 倒したらすぐ霧散したが………」

『その辺は聞かない方がいいだろ。差し当たって、どうにか移動手段を構築しないとな』

「こちらには、一応転送可能なターミナルが有る。だが、ここに来て以来機能していない」

『ターミナル? ああ小次郎が使ってたとかいう奴か。こっちに似たようなのが有ればなんとかなるんだが………』

『通信中失礼します。こちらアーサー、レッドスプライト号の管理プログラムです。先程のターミナルと呼称される転移装置の件ですが、シュバルツバースに置いても同様の装置が有り、使用されておりました。そして、珠閒瑠学園にも同様の装置が確認されております。これとそちらのターミナルをリンクさせるミッションを提案します』

「出来るのか?」

『やってみないと分からないって奴だろうな』

『現在、キュヴィエ症候群対策として完全遮蔽型移動車両を資材班で開発中です。完成次第、設備調整可能な人員を送り込み、ターミナルのリンクミッションを行います』

『上手く行けばいいんだが………』

「どの道、こちらが籠城出来る限度は短い」

『やるしかないか………』

『葛葉さん、ちょっといいだろうか?』

 

 そこでキョウジと入れ替わり、美鶴が通話に入ってくる。

 

『月光館学園特別課外活動部部長、桐条 美鶴と言う者です。貴方達が今いる、タルタロスの調査を行っていました』

「そうか、ダンテが言っていたここを知る者とは君達の事か」

『はい。二、三質問よろしいでしょうか? 重要な事です』

「答えられる事なら」

『まず第一に、体調に異常を感じているような事は? タルタロス内では、通常の倍以上で疲労するはず。次に、今こうして外部と通信していますが、本来ならタルタロス内部と外部では、時間の流れに差が生じるはずなのです。本来タルタロスは、日付が変わる瞬間から、一時間だけ姿を現すはずなのですが』

「確かに、疲労しやすい感はあるが、深刻な物ではない。時間差に関しては、今の所感じてはいない」

『そうですか………』

 

 それを聞いた美鶴が難しい顔をして唸る。

 そこでアーサーが口を挟んでくる。

 

『これはシュバルツバースとこの受胎東京で得たデータからの推測ですが、タルタロスがこの世界に出現した影響で、特異性が軽減、もしくは消滅した可能性が有ります。本来ならばその場にはカグツチ塔と呼ばれる建造物が出現する予定だったらしいのですが、何らかの理由により、タルタロスが置換されて出現した物と推察できます』

『つまりは、あれはタルタロスであると同時に、カグツチ塔としての性質も持っているがゆえに、タルタロスの特性が失われている、と?』

『あくまで仮説ですが』

「この際、どちらかは問題ではない。我々は、どうにかしてここから元の世界に帰還しなくてはならない」

『そいつは全員そうさ。皆して、そのためにあれこれ頑張ってる。最近ちょっと疲れ気味だがな』

 

 フリンの言葉に、再度キョウジが通話に出て答える。

 

『ターミナルリンクミッションの件は急がせます』

「そうしてほしい。この状況が長引けば、各種物資の欠乏は目に見えている」

『こちらも余裕が有るわけではないが、そちらに回す分くらいは十分確保出来るはずだ。その代わりと言っては何なのだが…』

「無論、戦力が必要なら協力しよう。状況が整い次第、タルタロス上層部への探索を開始する」

『タルタロスの探索なら、我々の専門だ。こちらからも部員を派遣するので、しばし待っていてほしい』

「分かった」

 

 克哉と美鶴からの通信にフリンは頷き、通信が途切れる。

 

「話はつきまして?」

「ああ、近い内にターミナルの復活及び物資の搬入があるそうだ」

「それまでは、私達でどうにかするしかありませんわね」

「オレらもいるんですけど」

 

 交渉結果の確認に来たイザボーにフリンが結果を告げる中、鼻の頭に湿布が貼られた修二が手を挙げる。

 

「情報としても戦力としても、期待はさせてもらいますわ。ダンテさんは少し不安が残りますが」

「いや、後の事考えなくていいならあいつ一人に任せおけばいいんだろうけど、絶対全部壊滅させて終わるだろうしな~」

 

 イザボーの不安に、修二はむしろ腕組みして肯定する。

 

「それと、ナナシの件だが」

「………アンタ達は気付いてたか?」

「何かあるのではと薄々思ってはいましたけれど………」

「黄泉帰ってきてるのは確かだな。この間まで嗅いでた死者と同じ匂いがうっすら漂ってきたし」

「問題は、憑依しているダグザ神の方か」

「だな。もっともオレも人の事言えた義理じゃない。妙な連中にこんな体にされちまったからな」

「訳ありの方ばかりという訳ですのね」

「訳が無かったらこんな状況にはなってないだろう。こちらもな」

 

 修二の説明にイザボーが眉をひそめるが、フリンはわずかにうつむいて唸る。

 

「ナナシの事は、しばらく様子を見よう。操られているという雰囲気でもないようだ」

「オレも実際、どうなってるんだか?」

「本当に大丈夫なんですの? ナナシも、貴方も」

「ま、何かあったらダンテがたたっ斬ってくれる。オレの事も含めてな」

「とんでもない信頼ですわね………」

 

 修二の断言に、イザボーは肩をすくめるしかなかった。

 

 

 

「これで大丈夫。回復魔法で塞いでるけど、しばらく無茶したらダメだからね?」

 

 ナナシの手当を終えたアサヒが、救急箱を片付け始める。

 

「全く、我が弟子ながらよく無事だったな。あのダンテとかいう男、正真正銘の怪物だ」

「確かに………」

 

 ナナシのそばで勝手に師匠を自称しているナバールの言葉に、ナナシは今更ながら、ダンテに剣を突きつけられた時の恐怖に身震いする。

 

「アサヒちゃん、いいかしら」

「どうぞ」

 

 ノゾミが声をかけつつ、顔を覗かせてくる。

 

「一応、話はついたみたいよ。近い内にターミナル修理の人手を送ってくれるって」

「修理して繋がる先あるんですかね?」

「空に飛んでる街に繋がるらしいわよ? 向こうも大変らしいけど」

「う~ん………」

「こちらよりひどくなければいいだろう」

「それはそうだけど。あ、服縫っておくから出しておいてね」

 

 手当の済んだナナシが衣服を正そうとするのを、アサヒが声をかける。

 

「少なくても、食うには困らないさ」

「ちょっと、何しに来たの!」

 

 そこにダンテも顔を覗かせるが、一目見ただけでアサヒは警戒感を露わにする。

 

「一応、見舞いにな」

「傷つけた張本人が何言ってるの! フリンさんやイザボーさんが許しても、私は許さないんだから!」

「アサヒちゃん、落ち着いて」

 

 がなりたてるアサヒを、ノゾミがなんとかなだめる。

 

「やれやれ、嫌われちまったか」

「胸に手を当てて考えなさい!」

「刃だったらしょっちゅう突き刺されてるぜ」

「ならもう一本くらい………」

「落ち着けアサヒ」

 

 茶化すダンテに、アサヒは明らかにやばい目で愛用の短刀を抜こうとした所で、ナナシも止めに入る。

 

「そういう訳で、向こうに戻る算段がつくまで、こっちに厄介になるぜ。ピザもストロベリーサンデーも無いのは残念だが」

「あんたに食べさせる食料なんてないわよ!」

「だから落ち着いてって」

 

 今にもダンテに襲いかからんばかりのアサヒを、ノゾミとナナシで押さえ込む。

 

「取り敢えず、顔を見せるな。これでは話にならん」

「そうかい。じゃあそうするぜ」

 

 変わってナバールがダンテに警告し、ダンテは大人しくその場を去る。

 

「え~と、そうだこういう時は塩を撒くって父さん言ってた!」

「そんなもったいない事出来ないでしょ」

「なんか塩っぽい物ない!?」

 

 あからさまにダンテを毛嫌いしているアサヒに、ノゾミがため息を漏らす。

 

「フリンよ、アサヒがアレだから、しばらく大人しくしててくれ。これ以上話をややこしくしたら、どうとばっちりが来るか分かったものじゃない」

「分かった………」

 

 ナバールもアサヒのあまりの剣幕に呆れるが、そう簡単に彼女の虫の居所は収まりそうになかった。

 

「どうにも、話がさらにこじれそうね」

「ターミナルの修復を急いでくれるとありがたいのだがな。私は死んでるから問題ないが、生きてる連中は段々問題が出てきているようだからな」

「そりゃ、幽霊はご飯いらないからね………」

 

 物資、特に食料の問題が深刻化する前に違う意味で悪化しそうな事態に、ノゾミは更に重い溜息をもらさずにはいられなかった。

 

 

 

「状況は?」

「明日には完成するぜよ。ABC防御よりさらに厳重にってのはちと骨が折れたが………」

 

 視察に来たキョウジが、レッドスプライト号のラボで戦闘用車両をベースに、厳重な防護処置が施されていくのを見る。

 光が絶対入らない、というある種奇妙な要望に答えた資材班が、対キュヴィエ症候群対処用車両の完成を急いでいた。

 

「後は人員か」

「こちらの資材班からと護衛の人員といった所ぜよ?」

「タルタロスという事だから課外活動部から風花とあと誰か護衛についてもらうか………その分足したら、あと何人くらい乗れる?」

「特殊遮蔽を内部にも施しといたから、あと2~3人かの」

「だとしたら………」

 

 

 

翌日

 

「………やっと奇妙なカプセルから出れたかと思えば、今度はまたタルタロスか」

 

 治療の済んだ左腕の具合やかなり強引につながれている骨の具合を確かめつつ、八雲がボヤく。

 

「内臓がイってなかったのが良かったのか悪かったのか………傷んではいたらしいが」

「あ、八雲さ~ん」

「八雲~」

「おう、出迎えご苦労」

 

 レッドスプライト号から業魔殿へと向かう途中、迎えに来たカチーヤとネミッサに八雲は片手を上げて応えた。

 

「話は聞いてるな?」

「はい、タルタロスに行ってターミナル修復の手伝いをすればいいんですね?」

「八雲直せるの?」

「見てみない事にはな。プログラミング関係なら何とかなるかもしれんが。カチーヤの方こそ、体は大丈夫か?」

「あ、はい。もう大丈夫です」

「カチーヤちゃん、帰ってきて40時間くらい寝てたからね~。一緒にネミッサも寝たけど」

「お前ももう少し………いや野放しにするよりはマシか」

「八雲ひど~い」

 

 誰もが完調とは言えない中、八雲は次の仕事の算段を色々考える。

 

「GUMPはヴィクトルに預けてたが、どうなってる?」

「メンテナンス中だそうです。出撃までには渡してくれるそうですよ」

「アイギスちゃん重傷で、メアリちゃんたちもけっこうひどいからそっちの修理に手間取ってるって。あ、あの長鼻こき使われてたよ」

「もうこの際使える奴は元敵でも構わない、か。状況がヤバ過ぎるしな」

 

 八雲が上空、シバルバー全域を覆うように常時スタンバイ状態のシールドを見て呟く。

 

「虎の子の回復アイテム使い果たしちまったしな~、補充効くかな?」

「ソーマとか難しいかもしれませんね」

「どっかからパチる? ネットとかに転がってないかな~」

「さすがにそれは無いだろう………」

 

 消費の激しかった装備の補給を悩みつつ、八雲達が業魔殿の中に入っていく。

 そこで、トレーニングジムエリア脇を通ろうとした時だった。

 

「ウハァ!」「クマッ!?」「うおっ!」

 

 聞こえてきた声に、何気に八雲が覗き込むと、そこには下から陽介、クマ、完二の順に積み重なって伸びている二人と一匹(?)の姿だった。

 

「つ、強ぇ………」「すごいクマ………」「とんでもねえ………」

「………前も見たな、これ」

 

 うめいている者達の向かいで、竹刀片手のライドウが涼しい顔で立っていた。

 

「それなりには使えそうだ」

「一方的にボコってそれ?」

「しかもこっちは三人クマ………」

「ケンカでこんな一方的なのは初めてっす………」

「お前らか。新入りって」

 

 呆れた顔の八雲が室内へと足を踏み入れる。

 

「退院したのか」

「ついさっき」

「あのこちらの方は?」

「葛葉の三下サマナー、小岩 八雲だ」

 

 ライドウに片手を上げて答える八雲に、悠が首を傾げた所で八雲は自己紹介する。

 

「どうも、特別捜査隊の鳴神 悠です」

「いきなり言うのもアレだが、ライドウ相手に模擬戦なんてやめとけ。葛葉四天王の一人で、ここにいる悪魔使いでも最強クラスの一角だぞ」

「いや、ちょっと実力を見たいって言われまして」

「すごい………」

「どうなってたの、今の?」

「じ、実力が違いすぎるみたい………」

「確かに」

 

 差し出された手を握り返しながら苦言を呈する八雲だったが、用意したベンチで見学していた捜査隊女性陣がライドウのあまりの実力に絶句している。

 

「退院してきたのならちょうどいい。お前も実力を見せてみろ」

「病み上りなんすけど」

 

 ゴウトがライドウの肩に止まりながら告げるのを、八雲は頭をかきながらぼやく。

 

「明日には出撃だろう。今の内に勘を取り戻しておけ」

「………ゴウト童子に言われたら逆らわない方がいいか。ちょっと準備してくるんで」

「そちらからは誰が出る?」

「じゃあオレが」

 

 悠が名乗り出、準備に行った八雲が戻ってくるのを待つ。

 

「あの人も強いんですか?」

「三下って名乗ってましたけれど………」

「弱くはない。だが、実力を見せたがらないようだ」

「皆さんからも、まあ色々言われてますけれど………」

「三下って自覚してるならいいじゃん」

 

 悠と雪子の質問に、ライドウ、カチーヤ、ネミッサがそれぞれ答え、捜査隊が更に首を傾げる。

 

「待たせたな」

「あ、いや………それ使うんですか?」

 

 戻ってきた八雲が、ホルスターに拳銃、腰にナイフその他のどう見ても完全武装なのに、悠が若干ビビる。

 

「そっちも何使ってもいいぞ。ペルソナだろうが何だろうが」

「あの、模擬戦…」

「構わん、互いに実力が分かっていいだろう」

 

 やる気の無さそうな表情に反してやる気満々の八雲の格好に、悠が何か言いたげにライドウの方を見るが、代わりにゴウトが許可する。

 

「頑張って!」「ホントに何でもいいの!?」「やっちゃえ先輩!」「気をつけてください」

 

 女性陣の声援を受けつつ、悠がさすがに真剣はまずいと思い、模擬戦用に用意していた木刀を構える。

 

「それでは、始め!」

「ふっ!」

 

 ライドウの号令と共に、悠が一気に迫って木刀を上段から振り下ろすが、八雲は僅かに後ろに下がってその一撃を避け、腰のポーチから何かを取り出す。

 

「ほらやるぞ」

 

 そうして取り出した物、手榴弾のピンを口で引き抜いて無造作に悠へと投げる。

 

「え………」

 

 悠の脳内に前回の失敗の記憶がまざまざと蘇り、思わずその手榴弾を受け止めるが、その時にはすでにレバーは外れていた。

 

「う、うわわわ!?」

「マジかっ!」

「ちょ、どうすんの!?」

 

 捜査隊の仲間達も慌てる中、悠も慌てて手榴弾を己でお手玉する。

 

「あと2、1」

「わわわわ!?」

 

 八雲のカウントダウンに、悠は半ば錯乱して手榴弾を人のいない方向に投げ、その場にうずくまる。

 

「0」

 

 八雲のカウントダウンの後、手榴弾からは間の抜けた煙が少しだけ吹き出る。

 

「………え?」

「不発?」

「不良品?」

「ほれ取った」

 

 悠だけでなく、捜査隊の仲間達もポカンとした時、うずくまったままの悠の首元にナイフが当てられていた。

 

「あ………」

「勝負アリだな」

「ず、ずっけえ!!」

「イカサマじゃん!」

「ひどいクマ!」

 

 事態を理解した捜査隊から、一斉にブーイングが飛ぶ。

 

「幾らなんでも、アレはないんじゃない!?」

「何を使ってもいいと八雲は先に言った」

「まあ、八雲さんらしいと言うか………」

「ネミッサなら最初に蜂の巣だね♪」

 

 講義するりせに、ライドウは淡々と返し、カチーヤはどうフォローするか悩み、ネミッサはむしろあおる。

 

「言ったろ、オレは四天王とは比べ物にならない三下だからな。こうやってイカサマするんだよ」

「イカサマ、ですか………」

 

 ナイフを納めた八雲の言葉に、悠は何かひっかかる物を感じるが反論すべき言葉が思いつかず、うなだれる。

 だが、全く違う感想を持っていた者もいた。

 

「なるほど、イカサマですか」

「そ、まぁ太刀筋は悪くなかった。死なない様にせいぜい頑張る事だな」

「あ、あの皆さん八雲さんの真似はあまりしない方がいいですよ」

「良くない大人なっちゃうからね~」

「誰もやらないわよ!」

 

 直斗は適当にお茶を濁し、ついでに背中にブーイングを浴びつつ去っていく八雲の背中を見ながら呟く。

 

「どう見た」

「三下なんてとんでもない。すごい使い手ですね」

 

 八雲の後をカチーヤとネミッサも付いていくのを見送りながら、表情の違う直斗の隣に来たライドウの問いに、直斗は断言する。

 

「彼は前もってボク達が手榴弾で事故を起こした事を聞いていたのでしょう。だからあんな手を使った。一度失敗した人間は、同じ事態に混乱をひどくする。その様子を観察し、最小限の労力で鳴神先輩の戦力を奪った。恐ろしい程、緻密に計算された戦い方です」

「だろうな。あやつは自分をわざと過小評価している。本当に実力を見せたがらないのだろう」

 

 直斗の推察に、ゴウトも頷く。

 

「強いんですね、かなり」

「でなければ、この状況で生き残れない」

「性格と行動にかなり難があるがな」

 

 直斗の結論に、ライドウとゴウトが肯定しつつも少しだけ異論を述べる。

 

「ああそれと」

 

 そこでいきなり、去っていったと思われた八雲が顔を覗かせる。

 

「そこの小さいの」

「ボクですか?」

 

 声を掛けられた事に、直斗が自分を指差す。

 

「他人の趣味にケチ付けるつもりは無いが、そうじゃないならその男装は止めとけ」

「え?」

「初対面で直斗が女の子って気付いた!?」

「どうやって?」

 

 仲間達ですらしばらく気付かなかった直斗の秘密を、八雲が初見で気付いた事にブーイングが止まる。

 

「どうして、分かったんです?」

「男だったら、そんなに膝合わせて座らんから」

「………!!」

「あ~」「うん、そうだね」「…なるほど」

 

 それだけ言うと、八雲は今度こそその場を離れる。

 数秒の間を持って、直人が真っ赤になって思わず太ももを抑え、男性陣が頷く。

 

「あの、一体」「どういう事?」「さあ?」

「だからですね………」

 

 今一理解できない女性陣を直斗は手招きして、そっと耳打ち。

 途端に女性陣が全員顔を赤くする。

 

「ドスケベ!」「変態!」「セクハラ!」

 

 女性陣の更に激しいブーイングが響くのを、ライドウは苦笑するだけだった。

 

 

 

『そういう訳で明日にもそっちに修理のための人員が行くが、状況はどうだ?』

「どうもこうも………よくこいつら生きてたよ。ここに来る前な」

 

 キョウジからの定時通信に、修二は顔をしかめていた。

 

「何でも、最終核戦争が起きた時、悪魔討伐隊とやらの男が、己を贄にマサカド公を召喚して大天蓋とかで東京その物を封印したとか。で、そのまま20ウン年、食う物無いから悪魔の肉食って生きてたとか」

『そりゃ、すげえ話だな………似たような話は聞いた事有る気もするが』

「オレも人の事言えないし。話が早くて助かったけど。そういう訳なんで、物資早めに頼みます」

『それほど積載量ある車両じゃないからな………一応レッドスプライト号から圧縮レーション持たせてくれるそうだ』

「足りっかな~? いっそそこらからアマラ転輪鼓でも持ってくるか?」

『止めとけ。ただでさえ内部も外部も歪みまくってるのに、外から別種の転移装置なんて持ち込んだらどんな影響出るか分からねえ』

「ややこしすぎる………それと」

『例の件か』

 

 通信装置の前で突っ伏しながら、修二が周囲を確認しながら口を開く。

 

「どう思います? そのナナシって奴の事………」

『正直、オレも似たような経緯でデビルサマナーになったからな。ただ、オレは魂抜かれたのをこの体に入れられただけだが、そいつは完全に蘇生させられてるとなれば、かなりヤバい。そいつがどこまで自由意志を持ってるか、どこまで動けるか、それを見極めとけ。………ダンテが斬ろうとしたらしいな』

「それで、更に話がややこしく………完全にダンテの事、警戒してる奴もいます」

『そっちもどうにか頼む。喰奴送ったら、さらに話ややこしくなりそうだし』

「………救援物資に胃薬もお願いします」

『分かってるよ』

 

 通信を切ると、修二は思いっきり深いため息をついた。

 

「話がすげえややこしく………オレ一人で頑張ってた時の方がマシだった………」

「それはそれで大変だと思うが」

 

 いきなりの声に修二が跳び上がりそうになるが、いつの間にか背後に来ていたフリンの姿に胸を撫で下ろす。

 

「おどかさないでください………」

「すまない。だが、そうやって見ると、本当に君は体だけ悪魔なんだな。そんな人間地味た反応する悪魔は見た事がない」

「ま、喰奴とか除けば………あ、あとはジャンクフードと機銃掃射が好きな女悪魔もいたな」

「随分と人材、いや悪魔材豊富だな」

「その悪魔、ネミッサって言うんですけど、なんでも滅びを司る悪魔なんだとか。で、そのせいで創世をしようとする各勢力から一斉に目の敵に………」

「ここにもそうしそうなのがいるらしいけどな」

「あ」

 

 フリンの一言に、修二はようやくその事に思い当たる。

 

「似たような境遇らしい君から見て、ナナシをどう思う?」

「………う~ん、オレはこんな体だけどオカルトとかってよく分かんないすけど、少なくても操られている風ではないような。オレも何でこんな体にされたか分かんないし、してきた連中はたまに現れるけど、何させたいのかも分かんないし」

「すぐの危険は無い、という事か」

「なんとも。キョウジさんは見極めておけって言われましたけど」

「前回以来、四六時中アサヒが付いてるし、イザボーも目を光らせてる。何かあったら分かると思うが………」

「どこもかしこもややこしくする連中ばっかか。この間は冥界にまで行ってようやく一件片付いたってのに」

「前回の騒乱以降、タルタロス周辺の戦闘は激減している。どこも警戒しているんだろう」

「けど、裕子先生の言う通りなら、創世のためにはここを登ってカグツチをコトワリで開放しなきゃならない。だとしたら、どこも諦める事は無いから、その内にどこか、へたしたら全部一気に来るかも………」

「そうなったら、流石に支えきれない」

「前はアサクサに攻めてきたヨスガの大軍勢から、マネカタ全員連れてトンヅラこいたな~………」

 

 遠からずして、ここが最大の主戦場になる事を感じつつ、修二は再度ため息を吐く。

 

「ここだけの話、攻めて来てる三勢力の内、二つはオレのダチだった奴が率いてる」

「………こちらでもそうだった。サムライの同期の中で、残ったのはイザボーだけだ」

「どこも似たような事やってる、か」

「君は、もし創世をするとしたら、どうしたい?」

「………元の世界に戻りたい。コトワリも悪魔も無い、千晶や勇と馬鹿やって笑っていた、あの平凡な世界に」

「オレもだ」

 

 意外な所で意見の一致をみた二人だったが、しばし無言の間が流れ、そしてどちらともなく微笑む。

 

「ターミナルが復帰し、体勢が整ったらタルタロス登頂に入る。カグツチとやらの開放のためにな」

「オレも協力します。いや、オレがしなくちゃならない」

「取り敢えず、現状で分かっている各勢力の状況を」

「まずは…」

 

 二人の話し合いは、長時間に及んだ………

 

 

 

同時刻 ニヒロ機構

 

「先遣隊が壊滅とはな」

「キュヴィエ症候群の事は知っていたが、ここまでとは………」

 

 報告を受けた氷川が苦々しい表情を浮かべ、神取も表情を険しくする。

 

「悪魔には問題無いはずでは?」

「そう聞いていたが、結晶化はしなくとも、精神的に興奮状態にはなるようだ。喰奴は始終暴走の危険性を孕んでいるのは、そういう理由だったらしい」

「ならばどうする? カグツチの変質のタイミングが分からない以上、不用意にこちらも部隊を動かせない」

「だが、チャンスでもある。いつ起こるか分からないキュヴィエ症候群に、シバルバーの住民達のストレスは最高潮に達しているだろう。ここはマガツヒの収拾に専念し、守護の召喚を最優先とする」

「そうだな。だが、他の勢力も気付いているだろう。ほどなく、シバルバーからのマガツヒの奪い合いが始まる」

「こちらの準備は出来ている。いち早く始めるとしよう」

 

 そう言いながら、神取はそばにあったコンソールを操作する。

 

「Reverse・Deva SYSTEM起動。出力15%、システム安定と同時に出力を順次上昇」

「収集にどれくらい掛かる?」

「状況いかんだが、それ程は掛かるまい。確かめてみるといい」

 

 操作を続ける神取の横目に、氷川は側に設置されたタンクを覗く。

 そこには、赤い光を放つマガツヒが少しずつ入れられたかと思えば、段々とその数が多くなっていく。

 

「ほお………面白い物だな」

「何、前に似たような事をしていたからな。今回はいささか量が多いのが問題だが」

 

 笑みを浮かべる氷川に、神取も笑みを返す。

 

「出力を上昇させる」

「ふふ、さて守護を呼ぶまであとどれくらいだろうか………」

 

 

 

同時刻 シバルバー 夢崎区

 

「まずいわね………」

 

 自警団のパトロール巡回中のたまきは、街の異様な状況に顔をしかめる。

 街一番の繁華街に人気は無く、店舗の半数以上がシャッターのみならず窓から何からを締め切っている。

 たまに開いている店が有るかと思えば、高確率で売買トラブルで騒動が起き、慌てて仲裁に入る、というケースが頻発していた。

 

「この間のアレがダメ押しだったわね~」

「一応、あのシールドで防げるんですよね?」

 

 一緒にパトロールにあたっていた淳に、たまきは腕組みしながら考える。

 

「一度根付いちゃった恐怖はそう簡単には抜けないわ。特にこの街ではね」

「確かに………噂で悪化する可能性も有りますね」

「トロ達がなんとか噂の悪化を防いでるようだけど、どうなる事やら」

「何だとてめえ!」「やかましい!」

 

 うなだれながら歩くたまきの前で、再度ケンカ沙汰が怒ってるのが目に飛び込んでくる。

 

「まったく、これ今日何件目!?」

「確か五件………」

 

 吐息を一つもらすと、たまきはケンカをしている男達の方へと向かっていく。

 そこでふと、淳は視界に何かが見えたような気がした。

 

「ん?」

 

 目をこすって再度ケンカ中の男達を見た淳だったが、その目に男達から赤い光が漏れているのに気付く。

 

「たまきさん!」

「…見えてるわよ」

 

 ケンカしている男達を仲魔も使って強引に引き離したたまきもそれに気付く。

 ケンカしていた両者から漏れる、マガツヒの光に。

 

「すぐに他の人達に連絡! ひょっとしたら…」

 

 たまきが声を上げるが、程なく彼女の携帯がコール音を立てる。

 

「はいたまき…はい、こちらでも確認出来ます。結界は……そうですか。分かりました」

 

 短い通話の後、電話を切ったたまきの顔が険しくなる。

 

「誰からですか?」

「レイホゥさんから。やっぱり、他の地区でも同様の事が起きてるわ。結界でも防げていない………」

「でもこれは………」

 

 二人が目を凝らすと、街の各所からマガツヒの赤い光が飛び立ち、どこかへと向かっていく。

 

「間違いなく、人為的にマガツヒを収拾してるわ」

「似たような現象を知ってます。それを行っていた人物も」

「私も、同じ事を考えてたわ………すぐに緊急招集が掛かるわよ。淳君は面子揃えてきて! 私は業魔殿に向かうわ!」

「分かりました!」

 

 いうやいなや、二人はそれぞれの方向へと走り出す。

 そんな中、マガツヒの光は、一つ、また一つと飛び出していった………

 

 

 

 事態解決の手がかりを模索すべく、糸達は動き出す。

 だが、それを阻むがごとく闇は蠢く。

 その先にある者は、果たして………

 


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