人形使いと高校生   作:ツナマヨ

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 長らく放置してしまい申し訳ございません。
 活動報告の方に謝罪文を載せました。


 携帯での投稿なのでおかしいところがあるかもしれません。


六日目 朝 謎の夢と体の異常

「はい!あ~ん」

 

「……………………」

 

 目の前で起こっている事が信じられず、何度も目を瞬かせたり擦ったりしたが、アリスが満面の笑みを浮かべて、切り分けられたケーキが乗ったフォークをこちらに向けて突き出している光景は、数秒前と変わらない姿で俺の目に写し出されていた。

 

「夢だろ?これ」

 

 ほっぺたを抓ってみるも少し痛いだけで、見慣れた天井が目の前に広がる自室のベッドで跳び起きることはない。

 

「む~」

 

 あれこれ考えている内に、いつまでもケーキを食べない俺にしびれを切らしたアリスがむくれだした。

 

「何この子、超かわいいんだけど」

 

「えへへ」

 

 思わず口にしてしまった言葉が聞こえたのか、顔を紅くさせながらもはにかむアリス。

 

 この子は俺を萌え殺す気ですか?

 

「たべないの?」

 

 俺が悶えている間に落ち着いたのか、アリスが小首を傾げて聞いてきた。その姿にまた悶えそうになるがどうにか堪えて口を開け、アリスの方へ体を近づける。

 

「あ~ん」

 

 アリスに食べさせてもらったケーキを味わっている俺の顔はどうしようもなく緩んでいるだろう。やっぱり小さい子供相手だと、だらしなくなってしまう。それもこれも妹がいた頃に……………………うん?小さい子供?

 

 自分の思考に疑問を持ち、あらためてアリスを見てみる。

 

 まず、全体的に小さい。いつものアリスなら胸の少し下あたりから頭までが見えるテーブルなのだが、目の前にいるアリスはほとんど顔だけしか見えない。腕を組んで顔を乗っけるのに調度いい位置である。現に今もアリスはそうしている。可愛い。

 

 次に顔立ちが随分と幼くなっている。少女と呼べる外見だが、どこか知的な雰囲気を漂わせており、綺麗といった言葉が当てはまるのがいつものアリスなら、ちっちゃいアリスは、少し生意気そうな子供といった所で、綺麗というよりも可愛いと言った言葉の方がしっくりくる。

 

 まあ、ここまでくればこれが夢の中だって事くらい俺にも分かる。だが、不思議なのは記憶に無いはずである幼い頃のアリスの姿が登場している所だ。しかも姿や服装など細かいところまではっきりとしてる。

 

 ………そういえば、テレビで聞いた事がある。夢というものは、普段意識していない所にある、抑圧された願望などが夢に出て来る事が多いらしい。そう考えると俺 は…………やめよう。これ以上は精神的に悪い。そんなことよりアリスが静かだな。結構長いこと考え込んでいるが、一言も喋ってないみたいだ。

 

「……………………」

 

 なんかめっちゃ見られてる。穴が開きそうなほど見られてる。

 

 少し気になったのでアリスの方を見てみたら、ジッと俺の顔を凝視していたので少し驚いた。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 お互い目線をそらさないまま無言の時が流れる。

 

 あれ?俺の後ろを見ているのか?

 

「ねえ、お兄ちゃん」

 

「なん……だと……」

 

 振り向こうとした所にまさかのお兄ちゃん呼びである。回していた首を即座に戻し、アリスの方へ顔を向ける。勢いが強すぎたのか、首から変な音が聞こえたが些細なことなので、無視する。

 

「なんだい?」

 

 いつもより優しい声が出て来たような気がするが、気のせいだろう。

 

「上海に変な踊りを教えたのはお兄ちゃん?」

 

 アリスが俺の後ろを指で指しているので、その方向に顔を向けた。

 

――シャカシャカ

 

 踊っている上海がいた。

 

「まあ、アリスがいるし上海が出てきても不思議ではないか」

 

 それにしてもいつ見ても踊っているよな、昨日なんて五、六回は見たぞそのダンス。

 

「聞いてるの?」

 

 少し怒ったような声を出したアリスに慌てて顔を向ける。

 

「いや、俺じゃ無い。上海が勝手に覚えたんだ」

 

「嘘よ!」

 

 いや、そんな断言されても俺は教えて無いし………そう言おうとしたが、アリスの小さな掌に集まる光を見て俺の喉は干上がった。

 

 すんごい熱いんですけど、何この光。

 

「神綺様に貰った大切な人形に変な事をしたら許さないんだから!!」

 

「いやちゃうねん」

 

 何故か飛び出した関西弁はアリスには届かなかったのだろう。言い終えた時には俺の体は光に呑まれていたのだから。

 

 

 

 

 

 

「はっ!!」

 

 目が覚めて最初に感じたのは汗で湿った体に走る悪寒と、鈍器で殴られた様な頭の痛みだった。

 

「いってぇ」

 

 声を出してから気がついたが喉も相当渇いていた。

 いや、渇いているなんてものじゃ無い。喉にナニカが張り付いている様な感覚があり、声を出すと痛みすら感じる。

 

 酷くなる頭の痛みに思わず手を当て冷やそうとするが痛みは一向になくならず時間が経つとともに酷くなるばかりだ。

 

 壁の方を向き横になっていた体を天井の方に向ける。視界の端に上海が見えたが、そちらに注意を向ける事も出来ずにいた。あまりの痛みに、視界が蛍光灯のスイッチを点けたり消したりしているかの様に点滅している。

 

 瀕死のポケモンってこんな感じなのかな、なんて熱に浮かされた頭で思った。

 

 さしずめ、俺は瀕死のコダックってところか

 

 そう考えるとともに俺の意識は再び沈んで行った。




久しぶりなので上手く書けているか心配です。

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