ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕   作:ULTRA-7

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ノワールに対して思ったことをぶつけてみました!ではどうぞ!!


第六話 誰かを頼りにしてもいいと思うんだ(改稿中)

「今回のモンスター退治は二ヶ所、ナスーネ高原と近くのトゥルーデ洞窟で

難易度はそう高くは…」

 

 

ノワールさんが今現在俺たちにクエストの説明をいてくれている、でもまあ

そこはプラネテューヌとラステイションの国境付近らしいのでその足で帰り

なさいと言うのが正直な話だろう。ノワールさんかなり厳しいが…それ以前

に気にすることがある。

 

 

「あ、あの…ノワールさん?」

 

「ん?真司…だったわよね?どうかしたのかしら?」

 

「すごくありがたい説明なんですけど…俺とユニちゃん以外誰も聞いていな

いんですが…」

 

「え!?」

 

 

ノワールさんが振り向いてみると歩き疲れて休憩するコンパにそれを気にす

るアイエフ、そして何かはしゃいでいるネプテューヌの姿が、なんだかピク

ニック気分である。

 

 

「おお!これは有名な裏から見ると読めない看板!!」

 

「お姉ちゃん…看板って基本そうだよ?」

 

「ちょっと!?」

 

 

…人の話は最後までちゃんと聞こうね?

 

 

 

――――――――

 

 

 

「いい!?」

 

「ペース落ちてる!」

 

「あはは…」

 

 

ユニちゃんたちを先頭に俺とネプテューヌとノワールさんは後ろを歩いてい

る、ネプテューヌの歩くペースが落ちるとその後ろでノワールさんが木の棒

で突っつきネプテューヌのペースを乱さないようにしていた、隣の俺は苦笑

い。

 

 

「も~!ノワールったら真面目なんだから~、いつもそんなんだと疲れちゃ

わない?」

 

「悪い?それに疲れくらいどうってことないわよ、私はもっともっといい国

を作りたいの」

 

「…」

 

 

ノワールさんの言うことはもっともだと思う、ノワールさんはこの国の女神

でみんなを幸せにしたいと言う気持ちは彼女としては当然なのだろう、でも

少しくらい肩の力を抜いてもいいと思う、頑張りすぎて無茶していなきゃい

いけど…

 

でもやっぱり感じてしまう。ノワールさん、仕事がとても一生懸命だとわか

る。でも力を入れ過ぎて、そのせいで周囲に壁を作っている様な気がするの

だ。まるで自分を押し殺すような感じ、それはただ辛いだけなんじゃないの

だろうか?確証はないけど…ユニちゃんに厳しく接してしまうのはそのせい

なのでは?と考えてしまう。

 

 

「そりゃ私だっていい国作りたいけど…どうせだったら楽しい方がいいな~」

 

「貴女は楽しみ過ぎなの!!」

 

「それには同感」

 

「真司酷い!?」

 

 

こればっかりは弁護のしようがない。諦めてくれネプテューヌ…と、溜息を

ついていると、前方から人の歓喜の叫び声が聞こえてくる。その声を聞いた

ノワールさんは、すぐさま走りだし森の出口付近で止まった。

 

 

「キャ~!女神様よ!!」

 

 

どうやら依頼をしてきた村人たちの声だったようだ、ノワールさんの姿を見

たらさらにその声が大きくなる、信仰されている証拠だ。

 

 

「いけない!アクセス!!」

 

「え~!?今ここで変身やっちゃう!?」

 

 

 

するとノワールさんが輝きだす、あの時のネプテューヌの時みたいだ、輝き

が収まるとそこには銀髪の髪、レオタードを着ている女性が降り立つ、俺が

あの時見た姿ブラックハートそのものだった。

 

 

「女神の心得その二、国民には威厳を感じさせることよ。みなさん、モンス

ターについて聞かせてくれるかしら?」

 

「目の前で変身しても威厳とかなくね?」

 

「まあいいじゃんか、とにかく俺達も行こう」

 

 

俺達はノワールさんの後を追って村人たちのところへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

                ◇

 

 

 

 

「ここがナスーネ高原ですね」

 

「ええ、スライヌが大量発生して困っているのですわ…」

 

 

いたるところにスライヌがたくさん、俺が最初に見た光景とほとんど変わら

ない、確かにこれだけいると困り者だ。

 

 

「わかりました、お隣の国のネプテューヌさんとネプギアさんが対処してく

れるようです」

 

 

唐突だと思った。スライヌ退治を、ネプテューヌ達に振ったのだ。さすがに

ネプテューヌも驚きを隠せない、それは俺もそうだ。

 

 

「ねぷ!?いきなり振る!?」

 

「私たちがやるんですか?」

 

「心得その三、活躍をアピールするべし」

 

 

ネプテューヌが活躍しても、ノワールさんのシェアが上がるわけでもない。

寧ろネプテューヌのシェアが上がるはずだ、敵に塩を送るつもりなどないと

発言した彼女が何故その様な事を?あれ?確かここはプラネテューヌとラス

テイションの国境付近って言ってた、まさかノワールさん…俺の推測が正し

ければ、ノワールさんは本当はネプテューヌの事を敵だとは思っていないの

かもしれない。推測が正しければだけど…

 

 

「まあいっか!スライヌなんてヒノキの棒でも倒せるもんね!」

 

 

俺が考え込んでいる間に、ネプテューヌは勢いよくスライヌの前に降り立っ

た。その動きはまるで新体操選手の様、素晴らしい動きだ。そして手をかざ

し、自身の刀剣を呼び出す。

 

 

「それじゃあやっちゃおうか!ネプギア!!」

 

「うん!お姉ちゃん!」

 

 

ネプギアも自分の武器を呼び出し構える、戦闘になるとやっぱり二人の雰囲

気は違ってくるよな、俺も負けてられない!

 

 

「スライヌだったら負けない!」

 

「おお!真司もやる気満々だね~!」

 

「アイエフにつけてもらった修行の成果を見せてやる!」

 

 

俺は木刀をコールした、このコールの仕方はアイエフだけじゃなくイストワ

ールさんにも教わったもの、使うのにそれなりの苦労はしたけどな。

 

 

「やあああああああ!」

 

 

まず先に仕掛けたのはネプテューヌ。刀剣を構えて一目散に駆け出し、飛ん

だ勢いをつけてスライヌに真っ向から切り伏せた。その斬撃が、スライヌを

光の粒子に変えていく。

 

 

「はぁあっ!」

 

 

ネプギアはレーザーブレードを構える。周りのスライヌはじりじりと彼女に

狙いを定め、その内の一体がネプギアに飛びかかって来た。だがネプギアは

それに動じる事なく、一太刀の下にその一体を切り伏せた。そこから彼女の

連続斬撃が始まる、ネプギアの周りにいたスライヌはみるみるうちに数を減

らしていったのだ。

 

最後に俺。木刀を構えてしっかりと相手を見定める、相手を確実に倒すため

の基本だ。基本はアイエフに徹底的に叩き込んでもらっている、感謝しても

しきれないよ。でも今は目の前の敵を倒すことが第一だ、俺は木刀を握りし

め、力の限り振りかぶる。

 

 

「うぉおおおおっ!!」

 

「ヌラァッ!?」

 

 

木刀の一撃がスライヌの脳天に命中、スライヌは目を回しながら消えていっ

た。まずは一体、ここからどんどん倒していかないとな。

 

 

「さっすがネプギア!我が妹よ!それに真司もやるじゃん!」

 

「うん!お姉ちゃん!」

 

「こっちだって努力してるんだ、これくらいの事出来なくちゃな!」

 

 

ネプテューヌの声に応えながら、俺は木刀を振りスライヌを一体ずつ確実に

倒していく。でも油断は禁物だ、前にクエストに連れて行ってくれた時もい

きなりスライヌの増援が現れた事もあった。油断しないようにしないと…

 

 

「真司!」

 

「え?どわぁ!?」

 

 

そう考えていたのも束の間、目の前にスライヌが四匹ほど飛び掛かって来た

。少し慌てたが、どうにか薙ぎ払う事に成功する。危ないないところだった

、集中しなければ命取りになる。

 

 

「数が多すぎるわね…」

 

「私たちも手伝うです!あいちゃん!」

 

「そうね!」

 

 

俺達がスライヌを薙ぎ倒している時、後ろの方から誰かが走り寄って来た。

ネプテューヌの親友であり、戦友のアイエフとコンパが駆けつけてくれたの

だ。アイエフは自前の武器、カタールと呼ばれるものを両腕に装着し、コン

パは自分の背丈の半分ほどある注射器を呼び出しスライヌの群れへと攻め込

んでいく。

 

 

「はぁあっ!」

 

「いっくですよ~!」

 

 

カタールでスライヌを、まるでスライスする様にアイエフは切りつける。そ

の攻撃の鋭さはまるで一陣の風、鎌鼬の様な速さでスライヌを次々に光の粒

子に変えていく。そしてコンパ、その注射器でスライヌを突き刺し、中の液

体を注入して倒していく。でもその中身、一体何なのだろうか…とりあえず

今はそれには触れないでおこうと思う。確実に今、スライヌの数が減ってい

る事は事実だ。このまま一気に攻め込む!

 

 

「これで百人力!もう勝ったも当然…」

 

 

そう言って勝ち誇るネプテューヌ。今のこの状況で、誰しもが発言するであ

ろう台詞だ。だがそれは同時に、気が緩み油断している事に他ならない。そ

う、今の俺達は完全に油断しきっていたのだ。

 

 

「ふぇ?んにゃぁあああああっ!?」

 

「どわぁあああっ!?」

 

 

スライヌがまた突然増えて、雪崩の如く押し寄せて来たのだ。気が緩んでい

た俺達は、対処出来ずにそのままスライヌの群れに埋もれてしまう結果とな

ってしまったのだ。あ、でも案外気持ちいかも。と、心の中ではそう思って

いるが、現実は厳しいもので…俺達はスライヌに成すがされるままとなって

しまった。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

今現在、ネプテューヌさん達はスライヌの群れに悪戦苦闘していた。アタシ

も驚いた、まさかあそこで増援が現れるなんて思いもしなかったから。でも

そう言った事も想定の範囲に入れておきなさいって、お姉ちゃんも言ってた

っけ?アタシもそうならない様に気をつけようと思う。

 

でも今はネプテューヌさん達だ。あの状況じゃとてもじゃないが体勢を立て

直す事は出来ないはず、こうなればアタシも行くしかない!アタシはお姉ち

ゃんに声をかける、アタシも一緒に戦うために。

 

 

「お姉ちゃん!アタシたちも…」

 

「ダメよ」

 

「え?どうして…」

 

 

だけどお姉ちゃんはアタシを制止する。今ネプテューヌさん達はピンチだと

言うのに、何故止めるような事を?理由が全然わからなかった、だけど今の

お姉ちゃんの目は真剣そのもの、何か考えがあっての事なのだろうか?

 

 

「あの子たちがやることに意味があるの、だから…ね?」

 

「…わかった」

 

 

お姉ちゃんの言葉に疑問を持ちつつも、アタシは投稿用の写真を撮る方に集

中した。少しでもネプギアたちの活躍を映すようにしないと、今アタシが出

来る事をしよう。そう心で思いながら、アタシはカメラのシャッターを押し

続けた。

 

 

 

――――――

 

 

 

「ひゃあ!?変なとこ触るな!!」

 

「気持ち悪いです~!?」

 

 

何なんだろう?俺達はスライヌと絶賛戦闘中だったはず、なんだけど…

 

 

「そんなとこ入ってきちゃダメぇ!?」

 

「あははははははは!!く、くすぐったい!?あははははは!?」

 

 

目の前に広がるこの光景は…何と言うか…

 

 

「…ごく」

 

 

うん、スライム系統のモンスターがエロゲでは定番な理由がすごくわかった

気がする。ネプテューヌ達の服の中に紛れ込み、ドロドロとした粘液の様な

ものが顔にへばり付き、半裸になっている。正直喉を鳴らさずにはいられな

い、俺だって健全な男子なんだから。

 

 

「ちょっと真司!!見ていないで助けなさいよぉっ!!」

 

 

みんなを凝視している俺に、アイエフが怒気を含めた叫び声を上げた。その

声にハッとなり、我に返る。まずいまずい、あのまま何もなかったら間違い

なく凝視したままで終わってた。

 

 

「わ、悪い!!」

 

 

俺はスライヌを掻き分け、みんなのところへ向かう。だが俺は気が付かなか

った、俺の足元を狙っているスライヌの存在に。

 

 

「ヌラッ!」

 

「のわぁ!?」

 

 

スライヌが俺の足を引っ掛け転ばせる。しかもその先にはネプテューヌの姿

が、このままだと彼女にぶつかってしまう!それは避けなければ!!

 

 

「うぉわぁっと!?」

 

「ねぷ!?」

 

 

俺はギリギリのところで両手をつき、ネプテューヌにのしかからずに済んだ。

だが、今この体制がまずい。そう、非常にまずいのだ。何故なら…

 

 

「し、真司?その、ねぷぅ…」

 

「ご、ごめん!わざとじゃくてだな!?」

 

 

この体制はまさに押し倒したような感じだ、それになんでネプテューヌはこ

んなに乙女の顔してるんだよ!?なんか可愛いじゃないか…じゃなくて!?

 

 

「や、やあ…」

 

「も、もうダメぇ…」

 

「真司…最初は優しく…」

 

「ふざけてる場合じゃないぞネプテューヌ!?」

 

 

まずいまずいまずい!?目の前にはさらに群がるスライヌ、スライムもりも

りどころの騒ぎじゃいぞ!?この状況をなんとかしないと…

 

 

「だあああああああああああああああああ!!」

 

「あ、アイエフ?」

 

「お前らの魂!冥界へ送り返してやるよ!!」

 

「アイエフが壊れたあああああああああああああああああ!?」

 

 

ここから先はアイエフ無双が始まった、スライヌを千切っては投げ千切って

は投げ…これが本当の鬼神なのだと初めて思い知らされた瞬間でもあった。

 

 

 

――――――――

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「お、終わった…」

 

「しばらくゼリーとか肉まん見たくない~、それに真司に押し倒されて…ね

ぷぅ…」

 

「いやそれ濡れ衣だから!?」

 

 

アイエフの無双によりスライヌは根こそぎ撃退された、周りには倒れこむコ

ンパとネプギア、へたり込む俺とネプテューヌが。正直本当に疲れた、精神

的な意味でも…本当に。

 

 

「どうして女神化しないの!変身すればスライヌくらい…」

 

 

その時ノワールさんが怒りの声を上げた。あの時ネプテューヌが何故女神化

しなかったのかと、あの時変身していればスライヌなど敵ではなかった事を

彼女は知っているからだ。でもネプテューヌの事だ、案外忘れてたからだっ

たりして。当の本人は頭を掻きながら笑ってるし…

 

 

「でもまあほら、なんとかなったし…」

 

「他の人に何とかしてもらったんでしょ!!そんなんだからシェアが…せい

ぜい休んでおきなさい!」

 

 

ノワールさんがネプテューヌにきついお叱りをした、さすがに俺にもその言

葉は響く、今回も結局アイエフに何とかしてもらった…俺もまだまだ頑張ら

ないといけないな。

 

 

「トゥルーデ洞窟に案内して!」

 

「は、はい!」

 

「わ、私も…」

 

 

ユニちゃんもノワールさんについていこうとするが、ノワールさんに止めら

れてしまった。今の俺達を見兼ねての行為だと思う、正直胸に痛いが。

 

 

「大丈夫よ、ユニはネプギアたちを介抱してあげて」

 

「う、うん…」

 

 

ノワールさんはそう言った後、一人で洞窟へ向かって行った。彼女は女神の

務めを果たそうとしている、女神化したノワールさんなら間違いなくそれが

出来るだろう。だけど何故だろう、胸がざわつく。この嫌な予感は一体何な

のだろうか?俺の気のせいなのだろうか?不安な気持ちの中、俺は洞窟へ向

かうノワールさんを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

                 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「消えなさい!」

 

 

私の攻撃がモンスターに直撃して消える、ここに来るまでモンスターに度々

出くわしたけど大したレベルじゃなかったわ。そして洞窟の奥まで進んでみ

たけどここで行き止まりだった、何か拍子抜けね。

 

 

「ここで打ち止めね…っ!」

 

 

引き返そうとしたその時だった。背後に感じる殺気、振り向くとそこには、

巨大な龍が咆哮を上げ威嚇する姿があった。

 

 

「グォオオオオオオオッ!!」

 

「エンシェントドラゴン!?」

 

 

まさかこんな奴に出くわすなんて思わなかった。エンシェントドラゴンは、

私に狙いを定めて腕を振りかぶる。巨大なその腕で、私を薙ぎ払おうとして

いるのだろう。だけど!

 

 

「なかなか強そうじゃない!」

 

 

私はエンシェントドラゴンの攻撃を躱し懐へ潜り込む。巨大なその腕は空を

切り、その隙をついた私は自分の剣を振りかぶり、エンシェントドラゴンの

胴体へと狙いを定めていった。

 

 

「もらった!」

 

 

剣の軌道は完璧だ、このまま振り降ろせば確実に攻撃は当たる。でもこの時

、私は自分が完全に油断していたと思い知らされた。

 

 

「きき!」

 

「はっ!?」

 

 

モンスターの伏兵がいたのだ。そのモンスターは私の懐へ飛び込み攻撃する

、その一撃で私は壁に叩き付けられてしまった。

 

 

「くっ…あっ!?」

 

 

なんとか起き上がり体勢を立て直そうとするといきなり力が抜ける感覚に襲

われる、するとどうだろうか、私の女神化が解けてしまったのだ、一体どう

して!?考えても答えは出ない、でも私は目の前の敵の存在を認識できてい

なかった。エンシェントドラゴンが生暖かい息を吐き、私へと迫ってくる。

後ずさりしても後ろは壁、逃げ場がない。

 

 

「グォアアアアアゥ!!」

 

「あ…あ…」

 

 

目の前にはエンシェントドラゴン、私は女神化が解けたショックと目の前の

敵の存在に恐怖し身動きが取れない、エンシェントドラゴンがその腕を思い

っきり振り下ろし私の目の前はブラックアウトする――――

 

 

「ノワールさん!!」

 

 

はずだった、だけどそれは免れたのだ。何故かですって?

 

 

「ノワールさん!大丈夫ですか!?」

 

 

彼が…真司が身を挺して私を助けてくれたからよ。

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

「ノワールさん!!」

 

 

俺はあの後ノワールさんの後を追ってこの洞窟までやってきた、俺の予感が

当たってなければいいと思って心配したからだ。でもさすがはノワールさん

だと思う、次々にモンスターを撃破する姿を見て本当にすごいと思った。

 

洞窟の最深部までついて俺は驚いた、まさかドラゴンまで存在してるなんて

思わなかったからだ。ノワールさんはそのドラゴンに攻撃しようとした時だ

、ドラゴンの頭に別のモンスターがいてノワールさんに攻撃してきたんだ。

ノワールさんは攻撃を受け壁に激突してしまう、すると理由はわからないが

ノワールさんの女神化が解けてしまったのだ!しかもノワールさんはその場

で動けずにいる、そのノワールさんにドラゴンが攻撃しようとした。

 

そこから先は無我夢中だった、俺はノワールさんの名前を叫んだ後全力疾走

でノワールさんの下へ駆け寄り彼女を抱き止めた後、転がるようにドラゴン

の攻撃を躱した。

 

 

「ノワールさん!大丈夫ですか!?」

 

「あ、貴方…どうしてここにいるの!?貴方には危険な場所なのよ!?」

 

 

ノワールさんの怒りの声、でも俺のために怒ってくれているのが嫌と言うほ

どわかる。こんな時に自分の心配より他人の心配をしてくれる、ノワールさ

んはとても優しい人だ。だけど、今の状況じゃそうは言っていられない。

 

 

「すいません…ノワールさんが心配になって…お叱りは後で受けます、でも今

は…」

 

「グォオオオオオっ!!」

 

「この場から逃げ出さないと…」

 

 

ノワールさんを助けたはいいがこの後のことは全く考えてなかった、正直足

が竦む…冷や汗も出てきて身体も震えだした、今すぐにでもここから逃げ出

したい気分だ。

 

 

「貴方は逃げなさい!ここは私がなんとかするから!!」

 

「貴女を置いて逃げろと?そんな事、出来るはずないだろ?」

 

 

ノワールさんの言う通り、ここは俺が逃げた方がいいのかもしれない。俺に

はまだ、こんなモンスターを相手にするほどの力は無い。正直足手まといだ

、でも俺がここで逃げたらこの人はどうなる?この人の命はどうなる!そう

考えたら導き出される答えはたった一つしかない、俺はこの人を置いて逃げ

ない、俺はノワールさんと一緒に帰るんだ!

 

 

「一緒に逃げるんです、ノワールさんを置いて逃げるなんて絶対に嫌だ!」

 

「そんな事貴方が気にするような事じゃないでしょう!?私は一人でも平気

なの!だから私に任せて逃げなさい!!はっきりいって貴方がいたら邪魔な

のよ!わかるっ!?」

 

 

ノワールさんの言葉が突き刺さる。邪魔、確かにそうだろう。俺は弱いから

、ノワールさんにとっては俺は守るべき対象だと思う。でも俺だって譲れな

いものがある、ノワールさんをこのまま置いて行ったら絶対死ぬほど後悔す

る!それだけは絶対に嫌だ!!

 

それに、何でこんな時にまでこの人は一人は意地を張っている?先ほど見せ

ていたあの表情。怖がっていて、声も出せずにいて、動けずに泣きそうだっ

たあの表情は何だ!心細かったからじゃないのか?助けてほしいと思ったか

らじゃないのか!!何で、何で素直にそう言わないんだ!!

 

 

「わかったならもう行きなさい!ここからは私だけで…「何で…」え?」

 

「何でそう一人でやろうとするんだっ!!!お前はっ!!」

 

「ひっ!?」

 

 

俺の怒号が洞窟に木霊する、ノワールさんも俺の声に少し足がすくんだ。だ

けど俺は叫び続けた、その言葉は止まることなくノワールさんに降り注ぐ。

 

 

「何でも一人でやるのは結構だ、だけど今そんな事を言ってられる状態なの

か?そうじゃないだろう!!それなのにここは任せろ?自分だけで平気?そ

んな意地を張っている状況じゃない事くらいわかるだろうが!!」

 

「っ…う、うるさい!!何でそんな事を貴方に言われなきゃならないの!?

自分の事は自分がよく知っているわ!!今のこの状況だってそうよ!!だか

らこそ私一人で平気だって…」

 

「だったら、何で…」

 

 

俺の怒号に、ノワールさんも怒号で答える。怒りの言葉のぶつけ合い、でも

ノワールさんの言い分はもっともだ。長年女神を務めてきた彼女だ、幾千の

時の中で戦いを続けてきた。今が大変危険な状況だって十分に理解している

のはわかっている、それこそ俺なんかより。だけど、それでも…

 

 

「何で、そんなに震えてるんだよ…」

 

「…え?」

 

 

ノワールさんは自分の身体を見る、するとどうだろうか?小刻みにだが震え

ていたのだ。身体を押さえて必死に震えを止めようとするが、それはただの

気休めにしかならなかった。だってそうだろう?彼女は今恐怖を感じている

のだから。

 

 

「ノワールさんがどれだけ長い時を戦い抜いてきたのかも、どれだけ自分の

事を知っているのかも理解できる。でも今、お前はすごく怖がってるじゃな

いか!あの時だって、泣きそうな顔をしてた…心細そうな顔をしてた!本当

は誰かに助けてほしいと思ったんじゃないのか!?」

 

 

「こ、こんな事くらいで…私は女神なのよ?女神の私が…こんな」

 

 

必死になって強がっているのがわかる、声だって強がっている口調だ。自分

は女神なんだと言い聞かせながら、唇を噛みしめる。だけど…そうじゃない

んだ、女神だからとか関係ないんだ!!

 

 

「怖がったって、いいじゃないか。女神がそうなったらいけない理由なんて

ないはずだ!それに今ここでお前がいなくなったら、誰が泣くと思う?たっ

た一人の妹がお前の帰りを待ってる、ネプテューヌ達だって心配してる、俺

だってこのままじゃ絶対に嫌だ!!」

 

「う、あ…」

 

「こんな時こそ家族を頼れ!仲間を頼れ!!お前は一人じゃないはずだろ?

何のために友好条約を結んだんだよ、こんな時のために、一人でどうしよう

もない時に仲間と手を取り合うためにあるんじゃないのか!?」

 

「っ…!」

 

 

俺の言葉を、ノワールさんは目を見開きながら聞いていた。生意気を言って

いると思う、この世界の事をまだちゃんとわかっていない自分が何様のつも

りだと思っていると思う。だけど、それでも我慢できなかった。ノワールさ

んが何でも一人で事を成そうとする、その行為が。

 

 

「確かに頼りないかもしれない、でも!俺だってお前の手を掴む事は出来る

んだ!!だから、だから…もう一人で頑張るな。一人で抱え込むな…」

 

 

息を切らす俺、叫ぶだけ叫んで俺は漸く落ち着いた。俺が言った言葉は本当

の気持ち、ユニちゃんの話を聞いた時から思っていたこと、ノワールさんは

何でもかんでも背負い込むことがあるんじゃないかって。今までずっと、一

人で頑張っていたのかもって…だったら、少しでも俺は力になりたい。頼り

なくても、助けを求めているのならその手を掴んであげたいから。

 

 

「わ、私…」

 

「…ご、ごめんなさい!!」

 

「え?」

 

 

しまった!?俺頭に血が上ってたとはいえノワールさんに何てこと言っちゃ

ったんだ!?こ、これ外交問題に発展しないだろうか?イストワールさんに

どう説明すれば…

 

 

「っ!?後ろ!?」

 

「え?どわぁ!?」

 

 

目の前には怒り狂ったドラゴンが腕を思いっきり振り上げてくる、俺は反射

的にノワールさんを強く抱きしめ守ろうとした。

 

 

「っ…!ノワールさん!!」

 

「え!?きゃあ!?」

 

 

逃げ場はない、俺は堅く目を瞑り激痛を覚悟した、その時だ。

 

 

「おっりゃああああああああああああ!!」

 

「ぐおああああああああああああああ!?」

 

「ネプテューヌ!!」

 

 

ネプテューヌの豪快な飛び蹴りがドラゴンにクリーンヒットして吹っ飛んだ!

そして華麗な着地、その姿はさながらヒーローそのものだ。

 

 

「やっほ~い!真司がいなくなったから気になってついてきたら案の定だった

よ~♪ノワール?なんで変身解けてるの?」

 

「私にもわからな…ネプテューヌ!!」

 

 

ドラゴンがすぐに復活してネプテューヌに攻撃してきた、ネプテューヌはその

攻撃を受け止める、なんという力だ…

 

 

「ノワール!変身って言うのはね…こういう時に使うんだよ!!」

 

 

攻撃を弾き返した後ネプテューヌの身体が輝きだす。その輝きの中で、彼女は

大人の身体へと変化していった。髪は伸び、胸も膨らみ、その身体にはレオタ

ードの様なものと光の翼を、プロセッサを身に纏う。輝きが収まるとそこには

、パープルハートが威風堂々と佇んでいた。自信の剣を構え、ドラゴン相手に

戦闘態勢を取る。

 

 

「女神の力…見せてあげるわ!」

 

「かっこつけてんじゃないわよ!!」

 

 

俺の下を離れたノワールさんが剣をコールして何かを切り伏せた、その正体は

モンスター、伏兵がいたのか!?

 

 

「助かったわ、こっちは私に任せて!」

 

 

ネプテューヌは自身の剣でドラゴンに一撃二撃と連続で切りつける、ドラゴン

にもダメージが通り苦しみだした。そして止めの一撃!

 

 

「クロスコンビネーション!!」

 

 

ネプテューヌの必殺技が見事にドラゴンの胴体を切り裂いた。苦しみだすドラ

ゴン、そして倒れ込み粒子となり消えていく。これで終わった、一気に緊張の

糸が切れてしまう。

 

 

「た、助かった…」

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

「大丈夫?」

 

 

俺はその場にへたり込んだ、腰もぬけてもう立てない…心配したノワールさん

とネプテューヌが俺の傍へ寄った。

 

 

「ね、ネプテューヌ…ありがとう、はは…もう立てない…」

 

「真司の方もお疲れ様、よくノワールを守ってくれたわ。それに、ノワールも

ありがとう」

 

「な、何がよ…」

 

 

ネプテューヌが俺に賞賛の言葉をくれた、そしてノワールにはお礼を。ノワー

ルさんは知らないふりをしている様だが、もしかして…

 

 

「このクエストの事よ、何故このクエストを受けようとしたのかしら?」

 

「だ、だからこれは貴女達に早く帰ってもらいたかったからで…」

 

 

ネプテューヌの質問に、俺もハッとなる。やはり、俺の推測は間違いではなか

ったのだ。ノワールさんは素直じゃないんだなぁ…

 

 

「今から言う事、聞き流してくれてもいいんだけど…」

 

「え?」

 

「真司?」

 

 

口を開き、言葉を発する俺を二人が見つめる。ノワールさんは目をパチクリと

させながら、ネプテューヌは口元を緩め微笑む。たぶん俺の言いたい事がわか

ったのか、はたまた俺と同意見を彼女が持っていたのか、たぶんそんなところ

かもしれない。そんなネプテューヌを見つめて、ノワールさんに微笑みかけな

がら話をする。

 

 

「ネプテューヌが活躍すればそれは国境越しに伝わる、そうしたらプラネテュ

ーヌはシェアを回復できる。俺はそう解釈したんだけど…違ったかな?」

 

「えっ!?あ…ちがっ!?」

 

「ふふ、正解みたいね?」

 

 

ノワールさんはうっ!?と少し顔をしかめ俯いた、どうやら図星だったようだ。

このクエストを受けたのはネプテューヌやプラネテューヌのためにシェアを回

復させるものだったのだ。

 

 

「真司にもお見通しと言うわけね、でも…」

 

 

ネプテューヌは女神化を解いた、いつも通りのテンションではしゃぐ。そして

何やらにんまりとした表情、すごく、嫌な予感がします。

 

 

「負けそうになった女神の事もしっかり報告しないとね~!それに真司とのラ

ブコメの事も!」

 

「…はぁ!?」

 

「待ちなさいよ!?ラブコメなんてしてない!?」

 

 

ラブコメって何なんだよ!?そりゃ確かにノワールさんを抱きしめたけど、あ

れは俺がノワールさんを守ろうとしたからで…ってネプテューヌ!?何ランラ

ン気分で帰ろうとしてるの!?

 

 

「最後あたりの方しか見てなかったけどさ~、もうあれは確定でしょ!みんな

~!ノワールと真司がね~!!」

 

「「ちょおおおおおおおおお!?」」

 

 

制止する前に行ってしまった…よし、戻ったらアイアンクローだ、異論は認め

ん。絶対に、な。

 

 

「はぁ…俺たちも戻るとしましょうか?ノワールさん」

 

「あ、あの!」

 

「ノワールさん?」

 

 

溜息をつき、とりあえず戻ろうとする俺をノワールさんが呼び止めた。両手の

人差し指をちょんちょんと突きながら、頬を赤くして何か言いたげな感じだ。

一体どうしたのか?…まさか、さっき俺が言った事を根に持ってるんじゃない

だろうか!?そ、そうだったら俺は一体どうすれば…でもそんな思いは、次の

ノワールさんの言葉で吹き飛ぶ事となる。

 

 

「た、助けてくれてありがと…」

 

 

口をモゴモゴとさせながら、恥ずかしそうに俺にお礼を言ってくれたのだ。こ

の時のノワールさん、見ていたら思わず胸がキュンとなってしまった。このむ

ちゃくちゃ可愛い人は誰ですか?答えはノワールさんです。以下略!

 

 

「い、いや俺は別に…ノワールさんにも怪我がなくてよかった…」

 

 

とりあえず、自分が思った事は後回しにしておく。俺はノワールさんに返事を

返す、でも正直口籠った。先ほどのノワールさんの姿に、少しばかり動揺した

からだ。

 

「私のことはノワールでいいわ、さんはいらない。ネプテューヌの事だって呼

び捨てでしょ?敬語もいらないわ」

 

「え?あ、その…じゃ、じゃあ…ノワール」

 

 

口籠りながらノワールさんの事を呼び捨てに。ごほん、改めてノワール。ノワ

ールは呼び捨てされたことに満足したのか、柔らかい微笑みを向けてくれた。

 

 

「私もこれから真司と呼ばせてもらうわ。でもまさか、会って間もない貴方に

あれだけ説教されるなんて思わなかったわよ。命知らずもいいとこね?真司が

初めてよ、私の事あんなに怒ったのは」

 

「ご、ごめんなさい…」

 

 

俺は素直に謝る、本当にあの時は申し訳なかったと思う、女神相手にあんな

に怒ってしまうなんて…

 

 

「いいのよ、寧ろ…ちょっと嬉しかった」

 

「嬉しかった?」

 

 

怒られる事が?こんな会って間もない俺なんかに?正直反応に困った、この

まま外交問題に発展してしまうのだとばかり思っていたから。だがその理由

を、ノワールはポツリポツリと話し始めた。

 

 

「私女神でしょ?何でも出来て国のお手本、それが当たり前になっちゃった

みたい。だから、心の底では真司みたいに本気で怒って心配してくれる事を

望んでいたのかもしれないわ…」

 

「ノワール…」

 

 

 

それって苦しい事だよな、女神だって普通の女の子で…悩んだり泣いたりす

るはずだ。国を支えそのお手本になるという事は並大抵の努力じゃ出来ない

、俺もその事を心のどこかで軽んじていたのかもしれない、そう感じた。

 

 

「真司、ありがとう…私を心配してくれて。べ、別に変な意味じゃないんだ

からね!」

 

 

素直じゃないなー…これが所謂ツンデレと言うものなのだろうか?あ、別に

ノワールは俺にデレてないからツンツン?…意味が解らくなってきた。でも

まあ…

 

 

「はは…まあ一つだけわかったことがあったかな」

 

「何よ?」

 

「ノワールは完璧だと思ったら、実は素直じゃなくて、可愛らしい女の子だ

って事」

 

「なっ!?なぁっ!?」

 

 

ネプテューヌが弄りたくなる気持ち、今ならわかる気がするよ。素直じゃな

い子をからかった時の反応って結構面白かったりする、弄るのはほどほどに

した方がいいと思うけどね。でも今のこの表情、これがまた可愛い。顔が真

っ赤になっていらっしゃる、完全に茹蛸状態だ。

 

 

「でもこれを機にユニちゃんとも…って!?」

 

 

ノワールの顔が真っ赤に染まった次の瞬間、彼女は剣をコールして襲い掛か

ってきた!?怖ぇえよ!?

 

 

「ちょっ!?ノワール待って!?」

 

「誰が待つかぁっ!!真司のばかぁっ!!」

 

 

この後俺はノワールに追いかけられながら出口にたどり着いた、俺が一体何

したんだよぉ!?

 

 

 

のちにプラネテューヌのシェアは上がったが、それはネプギアのあられのな

い姿の写真のおかげだという事はまた別の話。

 

 




ノワールに立ったフラグ、そしてまだ立たぬネプテューヌのフラグ!次こそは!!

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