ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕   作:ULTRA-7

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お久しぶりです、更新ペースがかなり遅くなってきましたね…このままちゃんと終わりを迎えられるか心配…

今回はぷるるんと一緒にクエスト!漫画に出て来たあのドラゴンも!楽しんで行ってください!!


第五十六話 ぷるるんくえすと!!

 青い青い空、白い雲が続く空の下、この俺加賀美真司はプラネテューヌの郊外にあるセガミ高原へと足を運んでいた。

 此処に来た目的、それはイストワールさんたっての依頼だった。

 プラネテューヌには国の象徴とも言える天然記念物、『メガミドラゴン』と呼ばれる生物がいるそうな、密猟が増え数が激減していたのだが、国が総力を挙げて今ではこのセガミ高原を保護区域として守られており平和に暮らしているらしい。

俺がこの世界に来る前の話って言ってたっけ? そのメガミドラゴンの生態調査を依頼されたんだ。

 

 

「プラネテューヌにもこんなところがあったのか、のどかなところだよな」

 

「ポカポカ日和だね~、真くん~」

 

「ん、まったくもってその通りだな。とりあえずこのおんぶの状態を何とかしたいんだけど? そろそろ降りてくれないか?」

 

「やだ~」

 

 

 プルルートと一緒に、な…

 

 何でこんな事になったかと言うと…

 

 

 

 数時間前――

 

 

 

「え? 生態調査ですか?」

 

「ええ、そうなんです」

 

 

 イストワールさんに呼び出され、俺はプラネテューヌに生息しているメガミドラゴンと呼ばれる生物の生態調査を頼まれた。

 

 

「本当ならネプテューヌさんが向かうべきなんですが…」

 

「本人はあの通り、ですからねぇ…」

 

「ねぷぅぅぅぅっ! 仕事が片付かないよぉ!?」

 

 

 向かうべきはずのネプテューヌ、だがこれまでに溜まっていた自分の仕事のツケが回ってしまったため行く事が出来ないでいた。

 まあ自業自得、こればかりはしょうがないと思うぜ? しかも今日はアイエフも別件の用事でいないし……

 

 

「本当に申し訳ないのですが、真司さんお願いできますか?」

 

「別に構いませんよ? それくらいお安いご用です」

 

 

 今日は特に用事らしい用事もない、それにプラネテューヌに生息している生物を見るのも初めてだから何だか楽しみなんだよな。

 

 

「それじゃあ~、あたしも行くよ~。一人じゃ大変だと思うから~」

 

「プルルートさん? いいんですか?」

 

「まかせて~」

 

 

 するとプルルートが挙手、俺について来てくれるみたいだ。

 女神様の一人がついて来てくれるのは何とも心強い、女神化状態はあれなんだけどね…

 

 

「ぴぃもいく!! ぴぃもぴぃも!!」

 

 

 今度はピーシェが自分も行くとグルグル腕を回し猛アピール、連れて行ってあげたいとは思うんだけどたぶんモンスターだって出てくる筈、もしそうなった場合一番危険なのはピーシェだ、だから連れて行く事は出来ない。

 

 

「ピーシェ、今から行くところはモンスターだって出て来るぞ? そうなったらピーシェが危ないんだ、だから大人しく留守番を…」

 

「やだやだ! おにーちゃんといっしょにいきたい!!」

 

「参ったな…」

 

『うむ…』

 

 

 ピーシェは一度言い出すと中々言うこと聞かなくなっちゃうんだよな、でもだからと言って無理矢理とか怒って言う事を聞かせるのはいただけない、んー…あ、これでいこう。

 

 

「ピーシェ、君にはとある任務を任せたい」

 

「ふぇ? にんむ? にんむってなに?」

 

 

 おし、食い付いてきた。ここからは腕の見せ所…

 

 

「任務とは今ここにいるピーシェにしか出来ない事だ、ピーシェ隊員! 今から君だけに極秘任務を与える!」

 

「ほ? ほぉおおおおおおお!! なになになに!?」

 

「それは…今そこにいるネプテューヌの仕事の見張り兼お叱り係だ!」

 

「ねぷ? うぇぇぇっ!? 真司何言っちゃってくれてんの!?」

 

 

 ネプテューヌが何か言ってるが無視無視! ここは彼女に犠牲となってもらおうか、うん。

 

 

「さあ、ピーシェ! ネプテューヌが真面目に仕事をできるかは君の双肩にかかっている!! この重要な任務、任されてくれるか!!」

 

「ほわぁああああ!! ぴぃやる!!」

 

「よし! 任せたぞ!!」

 

「『よし! 任せたぞ!!』じゃないよ!? ピー子がお叱り役とか本当にシャレになんな…」

 

「ねぷてぬ! おしごとしなさぁぁぁい!!」

 

「ねぷげらぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 ピーシェのぴぃぱんちが炸裂!ネプテューヌはノックアウトされた! 完全に伸びている気がするが…気にしない!

 

 

「そう言えば~」

 

 

 伸びているネプテューヌをよそに、プルルートは平常運転。

 人差し指を頬に当て、首を傾げながら呟く。

 

 

「ギアちゃんは~? 行くなら別にギアちゃんでもいい気がするんだけど~?」

 

『確かに、おや? そう言えばネプギアの姿が見えないな…』

 

 

 プルルートの言葉に俺はそう言えばとふと思う、確かにネプテューヌじゃなくてもネプギアでよかったんじゃ? 何で俺に…

 

 

「そうしてもらいたいのは山々なんですけどねぇ…当の本人が…」

 

「ネプギアがどうかしたんですか?」

 

「…ネプテューヌさんのお仕事を手伝った後力尽きてしまったんですよ、今頃部屋で燃え尽きてるんじゃないでしょうか…」

 

「どこまで仕事溜まってたの!?」

 

 

 

 その頃ネプギアの部屋――

 

 

 

「あははー…真っ白な世界キター…」

 

 

 完全に燃え尽きて机に突っ伏しているネプギアの姿が、あったりなかったり。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「と、言う訳で。済みませんが真司さん、よろしくお願いします」

 

「いえ…これは自分にも責任感じてますから…」

 

 

 ちゃんとネプテューヌの仕事にも目配せするべきだったよなぁ…そうすればネプギアへの被害も最小限で済んだと思うのに。

 

 

「それじゃあイストワールさん、プルルートと一緒に行ってきますね」

 

「ありがとうございます、詳しい場所はこの地図に…」

 

 

 イストワールさんに地図を貰い場所を確かめる、セガミ高原か、ここにそのメガミドラゴンがいるんだな。

 それにしてもどんな姿形なのだろう?

 

 

「それと、これがメガミドラゴンの姿を映した写真です。どの様な姿なのかちゃんとわからないと探しようがありませんから」

 

 

 そう言われて渡された写真、これがメガミドラゴンの姿…プテラノドンにそっくりだ。体色は薄紫、これだけ情報があればわかりやすい。

 

 

「これだけ情報があれば見つけやすいです、助かります」

 

「いえいえ、こちらこそ本当に申し訳ないです。生態調査と言ってもただ単にメガミドラゴンたちが今どの様子で暮らしているのかを見て纏めたりするだけなのでそこまで難しいことではないかと思います」

 

「了解です。それじゃあプルルート、今日はよろしく」

 

「うん~、よろしくね~」

 

 

 プルルートに声をかけ、いざ出発! プルルートもニコニコ笑顔で俺の後ろについてきた。

 

 

「ねぷぅぅぅっ! 真司!! かむばぁぁぁあっく!?」

 

「ねぷてぬ! しごとしろぉぉぉおっ!」

 

「ふんぎゃぁぁぁあっ!?」

 

「『…何をやっているんだか』」

 

 

 …ネプテューヌ、南無!

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 目的の場所を目指して数時間、俺とプルルートはチェイサーで地図に指定されたセガミ高原の入り口の場所まで来た、結構緑が多いところなんだ、地図で見た地形から岩場ばかりかと思ったんだけど。

 

 

『Connect! now…』

 

「さてと、チェイサーも一旦片づけたし。プルルート、ここから先は結構歩くけど大丈夫か?」

 

「大丈夫~、あたし頑張るよ~!」

 

 

 拳をギュッと握ってガッツポーズをとるプルルート、何とも可愛らしく頼りがいのあることだろうか、こんな子が女神化したらあんな姿になるなんてなぁ…未だに信じられない。

 

 

「ふぇ? 真くんどうかした~?」

 

「い、いや? 何でも…」

 

 

 俺の考えが顔に出ていたからなのかプルルートが気を使って俺に声をかけてきた、結構鋭いところもあるな、普段はあんなにぽやぽやなのに。

 

 まあ気を取り直して…

 

 

「それじゃあ張り切って行こうか」

 

「おお~!」

 

 

 メガミドラゴンの生息地に向けて歩き出す、俺が歩くその隣にプルルートはぽてぽてと足音を鳴らし一緒に進んだ。

 

 

 かくして二人のクエストが幕を開ける――

 

 

 

――――――――

 

 

 

「へぇ…メガミドラゴンは温厚で優しい性格か、これなら特に気を張る事もないか…?」

 

「真くん~…あたし歩き疲れたよ~」

 

「もう!?」

 

 

 セガミ高原の中に入り大体数十分ほど、手に持つ資料を見ながらメガミドラゴンの事を調べている矢先、プルルートが歩き疲れてへたり込んでしまった。

 歩き始めてそこまで時間が経ってないと言うのに、先ほどまでの意気込みはどこへやら…

 

 

「体力ないにもほどがないか? 歩き始めてそこまで経ってないぞ?」

 

「あたしは~、インドア派だも~ん。のんびりすることは好きなんだけどね~」

 

「今はあまり関係ない気がするんだけどね…」

 

 

 思わずジト目、体力はあんまりない方なのね…女神化した時とか怒った時はかなりパワフルだったんだけど。

 でもどうしよう? 一度休憩を挟んで行く方がいいか…? う~ん…

 

 

「真くん~、おんぶ~」

 

「…はい?」

 

 

 この子はいきなり何を言ってやがりますか…おんぶっておい。

 

 

「あのねぇ、おんぶって…駄々をこねるものじゃありません! ちゃんと自分の足で行く事をだな…」

 

「ぷる~ん…」

 

「…何をそんな潤んだ目で見ているんだよ、そんなことしたって俺は…」

 

 

 その瞳、まさしくチワワだ! とか変な事を言ってるけどまさにその通りの目で俺を見てくるプルルート。

 …ハッ!? いかんいかん! そんな目で見てもダメ! それに言う事を聞いたらプルルートの為にならん! ここは心を鬼に!!

 

 

「ぷる~ん…」

 

「そんな、事、したって…お、俺は…」

 

 

 先ほどより一層うるうるとした目で俺を見てきただと!? くぅ…流されるな!! 流されたらダメだ!! でも…こんな瞳で見つめられたら俺は…

 

 

「ぷる~ん…」

 

「………はぁ、わかったよ…ただし少しだけだからな!」

 

「わぁ~い! 真くん大好き~♪」

 

 

 結局折れてしまった、思わずため息をついてしまう、でもしょうがないと思うんだよね!? あんな瞳で! しかも泣きそうな声聞いたらそうなってしまうものさぁ!? 自分の心の弱さに涙目…

 とりあえずしゃがみ込みプルルートをおんぶして立ち上がる、以外に軽い、そして女の子特有の甘い香りに柔らかさが背中越しに伝わって……

 

 邪な考えはよそう……

 

 

 

 

「ほら、とっとと乗った」

 

「は~い、んしょ…それじゃあ改めてれっつご~♪」

 

「お前が言うな!」

 

 

 俺の背中で拳を突き上げ叫ぶプルルートに一喝、そのままゆっくりと歩きだした。

 

 マイペースにもほどがあると言うか…プラネテューヌの女神ってこんなものなのかな?そう考えざるを得ない今日この頃である。

 

 

 

――――――――

 

 

 

 と、言った具合に、冒頭でのお話はここまでだ。

 そんなわけで今もプルルートを背負って歩いてるんですよこれがね、時間が経ってもまだもう少しとかさ、完全に朝起きれない人の台詞じゃん…あと五分とか、そんな感じ

の言い訳と言うか。

 でもメガミドラゴンの生息区域近くまで来る事が出来たしまあいいか、ここに来るまでモンスターとあまり遭遇しなかったのも本当に運が良い、余計な体力も使わずに済んだしな。

 それにいろんな生き物も見れたし、青玉ネズミとか空飛ぶUMAとか、歴史ある遺跡なんかも見れてかなりの感動!

 

 ……今この状況を除けばね。

 

 

「えへへ~、真くんの背中温かいね~♪ ねぷちゃん達の気持ちがわかる気がするよ~」

 

「ネプテューヌ達の気持ち?」

 

 

 今現在おんぶされているプルルートが呟く、それをただぼんやりと聞いていたんだけど…ネプテューヌ達の気持ちってどういう事なんだろう? 今のこの状態と何か関係があるのか? ……わかんない。

 

 するとプルルートはニコニコ笑顔になりながら俺に抱き着いて来た、わっ!? 何なんだいきなり!?

 

 

「ぷ、プルルート!?」

 

「こうやって真くんと触れ合ってる時~、すごく温かい気持ちになるんだって~。話してる時のねぷちゃん達すっごく幸せそうだったよ~」

 

「え……?」

 

 

 みんなそんな事思ってたのか、そう言われると何だかすごく恥ずかしい気持ちになっちゃうじゃないか。

 でも何だろうな、恥ずかしいけど嬉しいって気持ちもある、みんなに幸せに思ってもらえるのは何だか嬉しいな。

 

 

「だから~あたしも~、ごしょーばんにあずからせていただきま~す」

 

「いやまずはおんぶから脱しようよ!?」

 

「やだ~」

 

 

 さっきまでの感動を返せよおい!? はぁ…このままじゃまだ当分降りてくれそうもないぞ、ったく…

 

 

「もう諦めるか…ん?」

 

「真くん~? どうかしたの~?」

 

「いや、あれ」

 

 

 プルルートのおんぶに関して諦めていたその時、ふと空を見上げる。

 何か大きな生き物が飛んで近づいて来るのが見える、あの形状に体色、まさか…

 

 

「キュルルルルルルルル~!!!!!!!」

 

「メガミドラゴンだ!!」

 

「わぁ~、おっきい~!」

 

 

 メガミドラゴンが大きな翼を広げ、高度を低くしながら飛んで来た! その影響で周囲には風が巻き起こり思わず飛ばされそうになってしまった、すごい!!

 

 

「わわ~!? 飛ばされちゃうよ~!?」

 

「しっかり捕まってろよ!!」

 

 

 プルルートをおんぶしたまま、俺はゆっくりと岩場の陰に移動する。

 メガミドラゴンが立ち去るまでどうにかして足を踏ん張り耐え、しっかりとプルルートを押さえるのも忘れない。

 そして耐えること数分後…

 

 

「ふぃ、やっと行ったか」

 

「すっごい風だったね~」

 

 

 メガミドラゴンも立ち去り俺達は岩場から出て来る、もうあんなに遠くまで飛んで行ったのか、飛ぶスピードが半端無い。

 でもあそこが集落みたいだ、今丁度降り立つのが見える、ここから後もう少し行ったところの様だ。

 

 

「っし、それじゃあもうひと頑張りしましょうか。集落まで後少し!」

 

「頑張ろ~!」

 

「まずは降りてね」

 

「ぷる~ん…」

 

 

 今度はちゃんと降りてもらいましたよ? さすがに俺も体力温存はしておきたい、プルルートは渋々だが降りてくれた。

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 ガサターン渓谷――

 

 

 

 

「お、おお~!これが!!」

 

「メガミドラゴンがいっぱ~い!」

 

 

 集落に辿り着いた俺達、そこにはたくさんのメガミドラゴンの群れが暮らしていた。 頬を擦りあったりしてる者や押し合いをして力比べをしている者、ぐっすり寝ている者や果実を食している者、それぞれ好きな事をして生活している。

 

 

「ここまでくると壮大だな~、スノウゴマにも負けてないや」

 

「何だか可愛いね~」

 

 

 本当にそう思う、結構表情をころころと変えて見ていて飽きない、それに何だか親近感が湧くんだよな、相棒の力を受け継いだからだろうか? 同じドラゴンだし。

 

 

「ドラちゃんも来れたらよかったのに~、何で来なかったのかな~?」

 

「ああ、イストワールさんが心配らしいんだ。それにピーシェもいるだろ? ネプギアが燃え尽きている以上、負担を全部イストワールさんにかけたくないって」

 

「そっか~、でもドラちゃん、いーすんのことすごく大切に思ってるんだね~」

 

 

 俺もそう思うよと心の中で付け加えておく、何だかんだであの二人はよく一緒に居る、見ていて本当に仲がいいなと思えるくらいに話し込んでいることもしばしば。

 もう夫婦でいいんじゃない? って本気でそう思ったし、案外いい感じだと思う。

 

 

「そんじゃ、二人の負担を早く減らすために生態調査をさっさと済ませちゃおう」

 

「おっけ~!」

 

 

 相棒とイストワールさんとの事を思いつつ、俺とプルルートは生態調査を開始し始める。

 さて、まずは何処から行こうかな…

 

 

「キュルル?」

 

「ん…? おわぁ!?」

 

「キュル!?」

 

 

 さあ、いざ生態調査! と思いきや、後ろから何やら気配がした。

 振り返るとそこにはメガミドラゴンが、大きさからして子供の様だ、いきなりだからビックリしたぁ…

 

 

「おおぅ…ビックリした、でもごめんな?俺の方も驚かせちゃったみたいで…」

 

「キュル? キュルキュル!」

 

「お? わは! くすぐってぇ!」

 

 

 メガミドラゴンが俺に頬ずりしてきた、警戒心がないのかな? 何の躊躇いもなしにやって来たし。

 それにしても可愛い、俺も頭を撫で返した。

 

 

「いきなり懐かれちゃったね~」

 

「結構人懐っこい性格なんだな、それにまだ子供だから」

 

「キュル~♪」

 

 

 暫く撫で回した後一旦離れる、すると子供のメガミドラゴンは満足したのかその場から飛び立った、どうやら親の元へ向かった様だ。

 遠くにその子の親らしき影が見えるから間違いない、ほら、今擦り寄っているし。

 

 

「好印象も持たれたみたいだし、それじゃあ行こうか」

 

「うん」

 

 

 改めて調査開始!

 

 

 

――――――――

 

 

 

「これで粗方終わったかな? それにしてもみんな幸せそう…」

 

 

 調査開始から数時間ほど経った、どのメガミドラゴンも本当に平和に暮らしているんだなと思う、これもネプテューヌたちの努力の賜物なんだな。

 ……今その本人は絶賛仕事に追われ中だけど。

 

 

「みんな本当に幸せそうだね~、何だかこうして見てるとあたしの次元のプラネテューヌが恋しくなるよ~」

 

「プルルートの次元? そういえば俺プルルートの世界のことよく知らないや、どんなところ? ここの次元と対して変わらない?」

 

 

 プルルートの次元について質問した。

 今更だけど俺はプルルートの事をちゃんと知ってるわけじゃない、それに彼女のいたプラネテューヌがどんなところかも気になった。

 だからプルルートのことや彼女の次元がどの様な感じなのか、知るには丁度いい機会だと思った。

 

 

「少し古風? レトロって言えばわかるかも~。ここの次元とは結構違っていたりするんだけど~、優しい雰囲気なのは一緒かな~?今のこの状況と似てるからつい恋しいって思っちゃった~」

 

「へぇ、まあプラネテューヌは何処も優しい雰囲気なのは変わらない感じがするよ。女神様もマイペースなことだしさ」

 

「むぅ~! 真くんそれ褒めてないでしょ~!」

 

「ごめんごめん、でもそのおかげで国全体が優しい雰囲気で包まれてるんだから誇ってもいいんじゃないか?」

 

「えへへ~、そうかな~?」

 

「そうそう」

 

 

 和やかな雰囲気で話が弾む、お互いに笑いながら笑顔で。

 だが少しだけ、少しだけだがプルルートの表情に影が差した様に見えた。

 

 

「プルルート? どうかした?」

 

「うん…お友達の事思い出しちゃって~…」

 

「お友達って…プルルートの世界の女神様のこと?」

 

「うん、大事なお友達なの~」

 

 

 また笑顔に戻るプルルート、だけど少しだけ無理してる様な笑顔、その笑顔を見たら心に何かチクリと感じるものがあった。

 やっぱり寂しいんだろうと思う、別の次元での使命を果たさなければならないとはいえ、大切な人達と会えないのは悲しい。

 気持ちはよくわかる…

 

 

「やっぱり寂しい?」

 

「少しだけ~、でも会えないわけじゃないから。ちゃんとお仕事終わればまた会えるもん」

 

「そっか、じゃあそのお仕事を終わらせるために俺も頑張らないとな」

 

「ふぇ?」

 

 

 少し困った様な表情で首を傾げているプルルート、何とも可愛らしい。

 

 

「言ったじゃん、使命を果たせるように俺も協力するって。それにプルルートの気持ちさ、俺少しわかるよ」

 

「真くん?」

 

「俺も別世界からこの次元に来たんだ。最初は右も左もわからなくて、知ってる人も誰もいなくて…ガラにもなく泣いちゃったこともあったしな。元の世界が恋しいって気持ち、俺も同じだから」

 

「………」

 

 

 元の世界の家族や友達に会いたいって気持ちは無くならないだろう、だからこそ今のプルルートの気持ちが理解できる、胸に引っかかるその気持ちが…

 

 

「まあ無理に笑う必要もないぞ? 寂しかったら泣いたっていいと思うしさ、その方がすっきりするだろ? 俺も泣いた泣いた」

 

「えへへ…ありがとう、真くんは優しいね~」

 

「そうか?でも何にせよ、辛いこととかあったら言ってくれよ? 俺に限らずネプテューヌたちにも。プルルートの寂しさを受け止めるくらいの度量くらいあるさ、な?」

 

「うん!」

 

 

 その笑顔から陰が消えた気がする、さっきより柔らかくいい笑顔、普段のプルルートに戻った。

 少しは心が晴れたかな? そうであったら嬉しい。

 

 

「みんなにも~真くんやねぷちゃんを紹介したいな~、今度いーすんに頼んで通信してもらおうかな~?」

 

「そう言えば、プルルートの友達の女神様って?」

 

「えっとね~、ノワールちゃんに、ブランちゃん。それからベールさんなの~」

 

「………ほ?」

 

 

 うわぁ…聞き覚えのある名前が三人も、ってノワールとブランとベル姉かい!? 何でその三人がプルルートの次元に…大体察しはついたかも。

 

 

「その三人って、プルルートの次元のノワール達って事でいいんだよな?」

 

「そう~だからこの次元に来た時は~、三人の顔見たらびっくりしちゃったよ~♪」

 

 

 別次元のイストワールさんがいた時点で気づくべきだったかも、それにしてもプルルートの次元のノワール達か、一度会ってみたいな。

 

 

「また会える機会があったらいいな、その時は紹介してくれよ? プルルート」

 

「うん、約束だよ~。約束の指切り~♪」

 

「これはまた懐かしいものを…」

 

 

 プルルートの小指と俺の小指が絡まり合い指切りをする、この歳でするのは恥ずかしい気もするけど、嫌な気分じゃないのは確かだ。

 

 

「ちゃんと紹介するよ~、この次元のあたしのお友達だって」

 

「そうだな、俺もちゃんと言わないと。俺はプルルートの友達だって」

 

「「…あはは!」」

 

 

 何だかくすぐったくて思わず笑い出してしまった、こうやって笑い合えるのはどれだけ素敵なことだろう? 心が晴れる、すごく清々しい気分になれた。

 

 

「それじゃあそろそろ行こうか? ネプテューヌ達も待っているだろうしさ」

 

「うん~、またおんぶよろしくね~」

 

「今度はちゃんと歩きなさい!」

 

 

 プルルートを叱りつけたその時だった――

 

 

「な、何だ!?」

 

「おっきな音~」

 

 

 遠くで聞こえた爆発音、周りもぐらぐらと揺れる激しい衝撃に思わず足を踏ん張った、周りのメガミドラゴン達も爆発音を聞いて混乱している。

 すると小型のメガミドラゴンが泣き声をあげながら俺に近づいて来るのが見えた、さっき俺に頬擦りしてきたメガミドラゴンの子供だ!

 

 

「キュル! キュルルル~!!」

 

「どうした? 何かあったのか?」

 

「よしよし~、大丈夫だよ~?」

 

「キュル~…」

 

 

 プルルートに撫でられて少しずつ落ち着きを取り戻していくメガミドラゴン、それでも身体が震えているのが分かる、まだ怯えているのだ。

 

 

「あれ? そう言えばこの子の親は…」

 

「一緒じゃないの~?」

 

「キュ…」

 

「…まさか」

 

 

 この子の怯え様、親に何かあったとしか思えない、だから俺のところに来た、助けてほしいから。

 そう思えば納得がいく、俺は即座にプルルートに声をかけた。

 

 

「プルルート、爆発音がしたところへ行って見よう。女神化して俺を運んでくれないか? 少しでも時間が惜しい」

 

「え? いいの~? あたしが女神化しても~? 他のみんなはすごく渋るんだけど~?」

 

「…? 別に構わないけど?俺何か変なこと言ったかな?」

 

「ふぇ? う~ん…わかった~、え~い!」

 

 

 光に包まれたプルルート、すると彼女の体系が普段の幼い体系から大人の女性の身体へと変化していく、そして佇むは妖艶な笑みを浮かべた別次元のプラネテューヌの女神、アイリスハートだ。

 

 

「真くん物好きねぇ? あたしに女神化を促したのは貴方が初めてよぉ?」

 

「物好きっておい…まあいいや、それより頼むぞ!」

 

「りょ~かい、落とされない様に気をつけてねぇ?」

 

「ああ、それとお前はここにいろよ?絶対親を連れて帰ってくるから!」

 

「キュル~…」

 

 

 プルルートに両腕を掴まれそのまま飛行する、目指す場所は爆発音が聞こえた場所、一体何が起きたのか…

 

 

 

――――――――

 

 

 

「ここら辺だと思うんだけど…特に変わったところは無いな」

 

「メガミドラゴンの親らしき姿もないわねぇ…」

 

 

 爆発音が聞こえた場所まで来たものの何も見当たらない、プルルートと辺りを隈なく探すがこれと言って変化があるようには思えなかった。

 でも何か小さな変化はないかと目を凝らす、あのメガミドラゴンの親がいないのは事実なんだ。

 

 

「プルルート、もう少し調べてみよう? まだ何か見つけられてないものがあるかも…」

 

 

 そう言った矢先だ、また先ほど聞いた音が辺りに鳴り響く。

音の大きさからしてかなり近い!

 

 

「一体何処から……プルルート! あそこ!!」

 

「おらおらぁ! 撃ち落とせ!!」

 

「ヒャッハァ!」

 

「キュルルルルル~!?」

 

 

 いかにも密猟者ですよと言わんばかりの男が二人ほど、そして女が一人がメガミドラゴンを襲っていた。

 女の方は見覚えがある、確かスノウゴマの一件でもいたよな? ロムちゃんとラムちゃんの誘拐にも関与してた奴だ!

 積もる話もあるけど今はアイツ等を止めないと!!

 

 

「お前ら! こんな事止めろ!!」

 

「んだぁ? アタイ達の邪魔する奴は…ってあれは女神!? 見た事がねぇ奴みたいだけど……」

 

「ほっとけ、それよりもドラゴンだ!」

 

 

 男達は乗っているホバーボードのスピードを上げて俺達を撒こうとする、そして銃火器をメガミドラゴンに向けて乱射し、撃ち落とそうとした。

 

 

「俺達のことはガン無視かよ!?あくまで狙いはメガミドラゴンって事か…」

 

「あたし達を無視するなんて…いい度胸してるわねぇ? これはお仕置きのし甲斐がありそうだわぁ」

 

 

 舌なめずりして獲物に狙いを定めるかの如く睨むプルルート、見ていて思わずゾッとしたが…今プルルートの思っている事と俺が思っている事は一緒、密猟は断じて許されるものではない!

 

 

「プルルート! 何が何でもアイツ等捕まえるぞ!!」

 

「あたりまえよぉ、メガミドラゴンを傷つけるなんて絶対に許さないんだからぁ!」

 

 

 プルルートは飛行速度を上げる、それに気づいた密猟者もホバーボードのスピードを更に加速させた。

 まさに怒涛のカーチェイス状態、だが女神のスピードに勝てるはずもない。

 

 

「追いついたぁ!! 逃がさねぇぞこの野郎!!」

 

「ゲッ!? 追い付かれた!? こうなったら…喰らいやがれ!!」

 

「おわ!?」

 

 

 密猟者の一人がライフルをこちらに向けて発射する、後少しで当りそうになったがプルルートがすぐさま回転して避けてくれた、危なかった…

 

 

「真くん、無事かしらぁ?」

 

「大丈夫、ありがとうなプルルート」

 

「ええ、そんな事より…あたしのお友達に手を出した事、許せないわねぇ? どうしてくれようかしら?」

 

「……アイツ等にはお気の毒様と言っておこう」

 

 

 プルルートがお怒りのご様子、その原因が俺のためって言うのが嬉しいけどな。

でも怒り心頭になったプルルートがここからどうなるのかは記憶に新しい、マジェさんの時がいい例だ。

 

 

「チィッ!? 何なんだアイツは!? あんな凶悪そうな女神なんかいたのか!?」

 

「無茶苦茶凶暴そうじゃねぇか!? 怖ぇ!? こうなりゃドラゴンの方は後回しだ!! 逃げるぞ!!」

 

 

 男二人はプルルートの威圧で臆病風に吹かれたのか、ドラゴンを無視して逃げ出す、攻撃されていたドラゴンはそれを見て安心したのかどうのかして降りられる場所を探し飛び立った。

 一先ずドラゴンの方は大丈夫だ、だが問題はこっちの方。

 

 

「うるさいわねぇ…きゃんきゃんきゃんと!! すぐに潰してあげる、逃がしはしないわよぉ!!」

 

 

 密猟者の言葉が気に障ったのか、プルルートは睨みを利かしてスピードを上げる、それを見た密猟者は発砲を繰り返すがプルルートはことごとくそれを躱していった。

 まさにハットトリック、すごいの一言だ。

 

 

「プルルート! 俺をアイツ等の一人目掛けて投げてくれ!! 後の二人はお前に任せてしまうことになっちゃうけどいいか?」

 

「いいわよぉ? 寧ろ願ったりかなったりだわぁ、そ・れ・じゃ・あ♡」

 

 

 俺を持つ腕に力が籠るのを感じる、おや? 正直言って嫌な予感しかしないぞ? ああ…もしかして俺の発言って完全にフラグでしたか、そーですか。

 

 

「いってらっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!」

 

「やっぱりこうなりますよねぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

 

 プルルートに力の限り投げつけられる、俺は今完全に涙目、絶叫マシンに乗った以上の怖さ。

 ああ、あの時ネプテューヌに飛んでラステイションに連れて行かれた時と同じ様な怖さだ。

 久しぶりだよ、この怖さをまた経験する事になろうとは…

 

 

「怖い怖い怖い怖い怖いぃぃぃぃぃっ!?」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁっ!? こっちくんなぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「無理!? 行かないと死んじゃうからぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 目の前の女に一直線! 相手も無茶苦茶叫んでるけどそんなこと気にしてられるか!! 俺だって命は惜しいもん!! 俺は密猟者の一人、女のいるホバーボードへ全力全開! 必死の形相で向かって行った。

 女の方も目を見開きものすごく驚いている表情を見せる、そして…捕えた!!

 

 

「っしゃあ! 捕まえた!! ハァ…ハァ…し、死ぬかと思った…もう逃がさねぇぞ!! 誘拐の時も前の密猟の時も居やがって!! お前は下っ端かこの野郎!!!」

 

「下っ端って言うな! アタイにはリンダって名前があるんだよぉ!!」

 

「んなもん今はどうだっていいわい!! お・と・な・し・く!! しろぉっ!!」

 

『Bind!! now…』

 

「へ? 何だこれ!? おわぁっ!?」

 

 

 周りから鎖が幾つも飛び出し揉み合いになっているリンダに絡みつく、俺が魔法で作り出した拘束具だ、ちょっとやそっとじゃ絶対に切れない。

 

 

「どうだ!! これで逃げられな…おわぁぁぁぁっ!?」

 

「んぎゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 だがそれがいけなかった、ホバーボードは制御を失いグルグルと高速スピンし始める、俺もリンダも振り落とされない様に必死になっていた。

 途中で岩場にぶつかりそうになったり横転しそうになったり、正直言ってかなりまずい!? まるでピンボール、宛らミニゲームだ。

 

 

「真くん!!」

 

 

 プルルートが俺を助けようと、任せていた男二人に背を向け飛び立とうとする姿が目に移った、目が回りながらもそれが見える自分を褒め称えたいね! うん! 馬鹿な事を考えてる暇はないけどな!?

 

 

「おおおおおっ!? と、止まれぇぇぇぇぇっ!?」

 

 

 すかさず俺はホバーボードのハンドルを握り急ブレーキをかける、だが中々止まらない、渾身の力を振り絞りとにかく止まれと願いながら俺は歯を食いしばった。

 頼む! 止まってくれ!!

 

 

「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれぇぇぇぇぇっ!!」

 

 

 その時だ、パァンと景気良くいい音が鳴り響く、…ん? パァン? 何だこの音、何かが破裂した様なそんな音。

 …まさか、恐る恐る手元を見る。

 そして見た、見てしまったのだ。

 

 

「ほ、ほほほほ…」

 

 

 

 ブレーキが完全に壊れている、その様を…

 

 

 

「ほほぉぉぉぉっ!?」

 

 

 人って極度の絶望に陥った時こんな声でません? ドクター真木の様な感じのさ。

 正直こんな状況で何言ってんのこいつとか思うだろうけどそこは割合させて!?

 

 

「んぎゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

「おたすけぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

 

 リンダ共々叫んでいます! 魔法を使えばいいんじゃねとか思った人はいるだろう、だがこんな状況下でちゃんとした魔法使える訳がない。

 あれは集中も必要なんだよ、今そんなこと言ってられないけどね!?

 

 

「真くん!? ちぃっ!! はぁっ!!」

 

 

 プルルートが剣を振りかぶる、確かあれは蛇腹剣、連結式の武器だった筈だ。

 その剣がまるでチェーンの様に伸びコントロールを失ったホバーボードに巻き付いた、そしてそのまま…

 

 

「うぐぅっ!? と・ま・れぇぇぇぇぇっ!!」

 

「うぉわぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 プルルートは力任せに引く、ボードは岩場にガンガンぶつかるもののどうにか直撃を免れることができた。

 今必死に歯を食いしばり、剣を引きながらスピードを殺していくプルルート、その甲斐あってか後少しで止まりそうだ。

 

 

「うわぁぁぁぁぁっ!?」

 

「ほぎゃぁぁぁぁっ!?」

 

「しまっ…!?」

 

 

 何とかして止まった! と思ったのも束の間だった、止まった先も結局岩場だった訳でして思いっきりの正面衝突、そのまま身を投げ出してしまう結果となってしまった。

 そのまま俺は宙を舞う、クルクルクルと身体が回転するのがわかる、そのまま俺は地面に叩き付けられそうになる。

 

 

「っ! きゃあっ!?」

 

「おわっぶ!?」

 

 

 だけどそうはならなかった無かった、何か柔らかいものが俺の顔に当った、それがクッションとなって痛みを和らげてくれたみたいだ。

 強い衝撃は受けたもののそれでも地面激突よりもましだろう、ホッ…助かった。

 

 

「んんん…ひゃうっ!?」

 

「もご? もごご…」

 

 

 あれ? おかしいな、助かったと思うのだがいかんせん息苦しい、でも顔には最上級に柔らかく気持ちの良い感触が、それに何だかいい匂い…

 

 ………………何故だろう? 何か嫌な予感が、いや、それしか思いつかない。

 

 

 それに聞こえる女の人の声、リンダ…ではないな、アイツがこんな声を出すとは思えん、でも他に女の人と言えば…あ。

 

 

「ふぁ…んん、し、真くん? 何処に顔を埋めてるのかしらぁ? ねぇ?」

 

「もご…もがが!?」

 

 

 いましたぁぁぁぁぁっ!? ここに最大級かつ最強(たぶん)の女神様がいらっしゃいましたよぉぉぉぉぉぉっ!? も、もしかしてもしかしなくても、今俺の顔に触れているこの最高に柔らかい感触の正体って…

 

 プルルートの、胸………………?

 

 …………………………やっちまったぁぁぁぁぁっ!?

 

 

「ふが!? ふごも!?」

 

 

 慌てて離れようとしても無理な体制でプルルートと揉みくちゃになっているため身動きが取れない、その間にも胸の感触がダイレクトに顔に感じる、どうにかして離れたいけど無理だ。

 

 

「んぁ!? はぁ♡ も、もう!! やめ…んん…」

 

 

 チラッとプルルートの表情見たけどすっごく可愛い! そしてそんな声出すの止めて!? わざとじゃない!! わざとじゃないんだよぉ…

 

 

「んく…いい加減に、なさい!!」

 

「んぎゃ!?」

 

 

 振り下ろされる拳骨一つ、そのおかげで離れる事は出来たものの何かものすごく理性と精神が削り取られた気がします、あの状態がずっと続いてたらと思うともう…

 

 

「いづづ…ぷ、プルルート。ごめんなさいぃ…」

 

「まったく、真くんにあんな事されるなんてぇ…危うく傷物にされるところだったわぁ…もう」

 

 

 ものっそい最高の笑顔で見てますね、うん、でも若干頬が赤い気も。

 あんな事があった後だから当然と言えば当然、本当にごめんなさい。

 

 

「うう、本当にごめんプルルート。それと助けてくれてありがとうな? すごく助かった…」

 

「え? ええ…それくらいわけないわよぉ?」

 

「それでもだよ、本当にありがとう」

 

 

 お礼はちゃんと言うべきだ、プルルートが止めてくれなかったらあのまま大事故に繋がってたと思う、あの時は冷静じゃなかったし魔法は使えたけどその後の対処が全然だった。

 プルルートのお陰でこうして無事にいられる、だから…ありがとう。

 

 

「……(変わった人)

 

「え…? 何か言った?」

 

「別にぃ…」

 

 

 プルルートが何か言ったみたい、だけど声をかけたらそっぽを向かれた、どうしてそんな反応を…ま、今はその事はどうでもいいか。

 

 

「そう? あ、ところであの女は?」

 

「あそこで気を失ってるわよぉ?」

 

 

 きょろきょろと周りを見渡すとあの時一緒に巻き込まれたリンダを確認した、おお、丁度近くでのびてるや、怪我もなさそうでよかったけど…

 ま、そこは自業自得と言う事だ、後でイストワールさんに連絡して捕まえてもらうとしよう。

 

 

「後はドラゴンを探してあの子に会わせるだけっと、一応はこれで解決かな?」

 

「まだよぉ? あの密猟者の二人が残って…」

 

「そうだ! まだアイツ等がいた!! …プルルート?」

 

 

 プルルートの言葉で男二人が残っていた事に気づく、そう思い辺りを見渡すが何処にも人影らしきものが見当たらなかった、しまった! どうやら完全に見失ってしまったみたいだ。

 すぐに追いかけようと思いプルルートの方へ振り向く、だがプルルートの様子がおかしい、何やらゴゴゴと音が出るようなオーラが…

 

 

「ふ、ふふふふふ…あたしにあんなこと言った挙句そのまま放置プレイなんてねぇ? ぜぇええええったいに逃がさないわよぉ? ふふふ…」

 

「お、おおぅ」

 

 

 怒りのオーラが爆発、妖艶な表情と怪しげな笑い声に引かざるを得ない。

 でもまあ、逃がさないのは俺も同じなんだけどね。

 

 

「それじゃあ」

 

「早速」

 

「「潰しに行きましょうか(行こうかしらぁ)?」」

 

 

 息ぴったりの言動、二人して完全にサドの表情を浮かべてると自覚した瞬間でもあった。

 

 

 

――――――――

 

 

 

「ハァ…ハァ…こ、ここまでくれば…」

 

「大丈夫だろう…ったく、今日は散々だったぜ…」

 

 

 密猟者の男二人、どうやら渓谷を後少しで抜けられるところまで来たようだ。

 息を切らし辺りを見渡す、誰もいないことに安心したのかその場にへたり込んだ。

 

 

「くそっ…! 今度アイツ等にあったらただじゃおかねぇ…」

 

「アイツ等って誰のことかしらぁ?」

 

「それはお前等のことだって…ぎゃぁぁぁぁっ!?!」

 

 

 男の一人が叫ぶ、何故こうなったのか?答えは至極簡単、後ろにものすごくいい笑顔のプルルートと真司が仁王立ちで立っていたからだ。 

 男二人は後ずさりしてお互いに抱き合いながら震える、見た感じものすごく絵にならない気持ち悪いものだが。

 

 

「ど、どうしてここに…!?」

 

「言ったわよねぇ? すぐに潰してあげるってぇ? メガミドラゴンとあたしのお友達にした仕打ちを忘れたとは言わせないわよぉ?」

 

「ひっ!? ひぃぃぃぃぃぃっ!?」

 

 

 プルルートに威圧されて涙目の二人、そこですかさず男達はある体勢を取った、顔面を地べたにこすり付ける完璧な土下座の体勢だ。

 

 

「すみません!! 出来心だったんです!? どうか! どうかお命だけはお許しをぉぉぉ!?」

 

「もうメガミドラゴンには手を出しません!! ここにはもう二度と立ち寄ったりしませんからぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「…だそうだけど? どうする?プルルート」

 

「ふふふ…そうねぇ…」

 

 

 その笑みまさに女王様、手にしてる蛇腹剣を手の平でペチペチと叩きながら考える素振りを見せる、それを見ている男達は始終ガタガタと震えていた。

 そこで真司が一言…

 

 

「それで? 本音は?」

 

「「逃げ延びたらまた密猟してやるぜ! ヒャッハァ!! …あ」」

 

「あーあ、言っちゃった。プルルート、これはねぇ…」

 

「そうねぇ、徹底的に痛めつけて生まれ変わらせてあげないといけないかしらぁ?」

 

 

 プルルートの言葉とともに蛇腹剣があるのもに変化した、所謂調教用の鞭だ。

 手でクルクルと回しながら舌なめずりをする女王様もといプルルート、男二人の怯え様は極限を超えていたがこれはもう自業自得だ、この二人が悪い。

 

 

「に、逃げ…」

 

「逃がすとお思いかい?」

 

『Bind!! now…』

 

「んぎゃ!? こ、これは…!?」

 

 

 真司の拘束魔法、これにより完全に逃げることができなくなった、もうこれで万策尽きる、この後の結末は…言わなくても想像できるだろう。

 

 

「それじゃあ楽しいお仕置きタイムの、は・じ・ま・りよぉ♡」

 

「「ひっ…ひぎゃぁぁぁぁっ!?」」

 

 

 男の断末魔が響き渡る、それに呼応して鞭の音も木霊した。

 

 

 

*     *     *

 

 

 

「キュルルル~」

 

「キュルキュル!!」

 

「よかったな、ちゃんと親に会えて。今度ははぐれないようにな?」

 

「キュルル~!」

 

 

 メガミドラゴンの親子は元気に飛び立つ、あの後親を見つけ出して怪我の治療をした後、子供ドラゴンと引き合わせた。

 怪我の治療をしたのはプルルート、治療系の魔法が得意だったなんて驚いた。

 密猟者のその後は哀れな物であった。プルルートに散々お仕置きと言う名の調教を受け、言葉も片言、ある意味精神崩壊になったし…イストワールさんに連絡して国道警備の人に来てもらい、そのままその二人は刑務所行きとなった。

 まあ国の保護動物を狙ったんだ、当然だろう。

 そしてあの女、リンダだったっけ? アイツだけ姿がなかった、どうやら逃げられたみたい、一緒に連れて来るべきだったと激しく後悔した。

 今度見つけたら絶対ただじゃおかないぜ…

 

 

「これで調査、ついでに密猟者の討伐完了! プルルート、今日は本当にありがとうな? おかげで助かった」

 

「………」

 

「…あれ?」

 

 

 改めてプルルートにお礼を言ったんだけど何故かその本人はまじまじと俺を見つめる、どうかしたのかな? 何か間違ったことでもしてしまったのだろうか? 少し不安になった。

 するとプルルートは静かに口を開いた。

 

 

「真くんって~、結構変わってる~? それとも怖いもの知らず~?」

 

「……? どう言う事?」

 

 

 何故プルルートがその様なことを言ったのかよくわからなかった、変わってる…うん、そうかもしれない、怖いもの知らず…いや、怖いものは怖い。

 例えば怒った時のネプテューヌとか、あれは本当に危機迫るものがある。それはそれとして…

 

 

「何でそんな事を?」

 

 

 プルルートが俺に対して何でそんな事を思ったのだろうか? あの一連の行動の中で思い返してみても特にそう思うところは無い、でもそれはあくまで俺視点の話だ、プルルートなりに思うところがあったのだろうか?

 

 

「真くん、女神化したあたしと~、普通にお話してくれたよね~? 特に怖がる事も怯えることもなく~」

 

「え? あ、ああ…そうだっけ?」

 

「それが不思議だな~って思ったの~、普段なら他の人達は絶対に怖がって話したがらないから~」

 

 

 なるほど、それであんな事言ったのか、そのことはあんまり考えてなかったから完全に盲点、でも…う~ん。怖い…か?

 

 

「ね~、どうして~?」

 

「んー…どうしてって言われてもなぁ、俺別にプルルートが女神化しても怖いって思ってないし」

 

「ふぇ?」

 

「だってそうだろ? 女神化してもプルルートのままだ、俺を助けてくれたし、俺のために怒ってもくれた。確かに性格は変貌するんだろうけどそれだけだし、優しい性格は変わってないよ」

 

 

 最初見た時は驚いたけどまあそれだけだし、それだったらネプテューヌやブランもかなり性格が変貌するしそれと同じだもんな、だって女神化してもしてなくても同じプルルートなんだし。

 

 

「だから別に俺は特に気にしてないかな、プルルートがその事を気にしてたのには気づかなかったけど」

 

「…(本当に変な人~)

 

「え?」

 

「えへへ~、何でもないよ~」

 

 

 プルルートが何か小声で喋った様だけどよく聞こえなかった、ま、気にする事でもないか…そう思いながら背伸びを一つ。

 

 

「それじゃあ帰ろうか、今日はコンパがごちそう作って待ってるってさ! 密猟者討伐お疲れ様って、さっきイストワールさんが言ってた」

 

「わ~い! それじゃあ早く帰ろう~!え~い!!」

 

 

 突然女神化を開始するプルルート、いきなりだったから少しだけ驚いた。

 目の前に現れたのは女王様、いやいやアイリスハート、プルルートが女神化した姿です、でもその恰好は目のやり場に困るから、明らかにボンテージだよね? そのプロセッサ、今更だけど。

 

 

「何でいきなり女神化を…」

 

「ふふ、早く帰りたいでしょぉ? だ・か・ら、あたしが飛んで連れて行ってあげるわぁ。特別に、サービスよぉ」

 

 

 後ろに回り耳元で妖艶な声を上げるプルルート、思わず背筋がゾクゾクする感覚になるが運んでくれるのはすごくありがたい、この申し出を断る理由は無いぞ、よし!

 

 

「ありがとう、それじゃあお言葉に甘えてお願いするな?」

 

「ええ、了解よぉ。真くん♡」

 

 

 後ろから抱えられそのまま俺達は飛び立つ、心地よい風が頬を撫で、その感覚を感じながら帰路に立った。

 コンパのごちそう本当に楽しみだ、それとネプテューヌを敬ってやらんと、絶対に今机に突っ伏しているのが嫌でも想像できる。

 そう思いながら、俺はプルルートに身を任せていた。

 

 

(真くん本当に変わった人ねぇ、でも…ねぷちゃん達が真くんを好きな理由、なんとなくわかった気がするわぁ。ふふ、真くんのこと気にいったかも…♡)

 

 

 帰りの時、何故か上機嫌なプルルートだった。

 




次回「女神たちのガールズトーク」

なんですけど、この話を書くために暫くアダルトの方に集中しようと思います。ネプギアにユニちゃん、マベちゃんに5pb.を書き切ろうかと思います。

マベちゃんの不安、何で真司を好きになったのか?何故ネプギアのことを呼び捨てに、ユニちゃんは
ちゃん付けなのか?5pb.とのお忍びデート、みたいなことを書こうと思います。

すみませんがそれまでしばしお待ちを!かなり遅くなるかもです…

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