ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕   作:ULTRA-7

4 / 64
四話目です、主人公のある意味での葛藤、優劣感をお見逃しなく…なんてね。


第四話 モンスター退治(改稿中)

次の日から俺はネプテューヌが住んでいる教会にお世話になることになった、

教会と言っても俺がいた世界のようなものとは違っていてある意味新鮮な感じ

がした。今俺はイストワールさん、ネプギア、ネプテューヌにその教会の中で

説明を受けている。

 

 

「今日からこの部屋が真司さんのお部屋になります、生活に必要なものは一通

りそろっているはずですがもし何かあったら遠慮なくおっしゃって下さい」

 

 

教会の中にある一室、その一つを俺が使わせてもらえるようになった。部屋の

中は小奇麗で、窓からは日が差し込み全体を輝かせる。ベッドに本棚、小さい

冷蔵庫も常備されており、下手なホテルよりもいいところだった。

 

 

「すいません、部屋まで用意していただいて」

 

「なんのなんの!」

 

「いや用意してくれたのはイストワールさんであってネプテューヌが威張ると

こじゃないだろ…」

 

 

胸を張り、ふふんと鼻を鳴らすネプテューヌ。そこに俺はツッコみながら訂正

を加える、まあ彼女が言うことも間違いではないのだが。

 

 

「うわ!痛いところをつかれた!?」

 

 

それにしても相変わらずのテンションである、最初に会った時のイメージとは

全く持ってかけ離れてるからまだ戸惑っている。でも、もしかしたらこれこそ

がネプテューヌ自身の素顔なのかもしれない。そう思うと、何故か不思議と笑

いが込み上げてきた。

 

 

「でも取り計らってくれたのはネプテューヌだもんな、本当にありがとう」

 

「ねぷ?そこまで面と向かって言われると逆に照れちゃうよ」

 

 

改めて俺は、ネプテューヌにお礼を言った。それを聞いた彼女は、照れくさそ

うに頭を掻きながら笑う。でも本当のことだ、ネプテューヌがいなかったら俺

は今頃どうなってたかわからない、もしかしたらこうやって話をすることもな

かったかもしれないのだから。

 

 

「これからよろしく頼むよネプテューヌ、ネプギアもよろしくな、もしかした

ら沢山迷惑かけちゃうかもしれないけど…」

 

「いえいえ、私の方こそよろしくお願いします真司さん」

 

「迷惑なんてバッチこいだよ!遠慮しないでね!」

 

「その気配りをこの国のシェアと私の胃にも向けてほしいものなのですが…」

 

 

イストワールさんの顔色が悪い、しかもお腹が痛そうだ…大丈夫だろうか?そ

れにしても昨日からちらほら聞く単語が気になるな。

 

 

「イストワールさん、そのシェアってなんなんですか?」

 

 

俺のいた世界にもその単語はあった。企業の商品が、一定の範囲内でどれく

らいの割合を占めているかの比率の意味。この教会では、何か物を売ったり

していると言うことなのだろうか?

 

 

「うう…え?あ、そういえば真司さんにはこの世界のことはまだあまり話して

いませんでしたね」

 

 

イストワールさんはコホンと咳払いをして俺に説明してくれた。

 

 

「真司さんはネプテューヌさんの女神化を見たことはありますね?」

 

「はい、最初に会った時はその状態でしたし」

 

「女神の力は国民の信仰心で成り立っています、その信仰心のことをシェアと

言うのです。シェアはクエストなどをこなすことで増やすことができます、シ

ェアが上がれば女神の力も当然強くなりますしひいては国の発展にもつながる

のですよ」

 

 

それってかなり重要なことだな、それってシェアが下がったら必然的に女神の

力は弱くなって国の繁栄どころか滅ぶことだってありえる。だからこそ、女神

たちは自身のシェアを会得するために、四苦八苦していると言うことなのだろ

う。

 

 

「ところでこの国のシェアはどれくらいなんですか?」

 

「…」

 

「イストワールさん?」

 

 

沈黙が続く中イストワールさんは笑みを浮かべていたが次の瞬間それはもう俺

の耳でもはっきりわかるような胃がきりきり痛む音が聞こえた。

 

 

「い、イストワールさん!?」

 

「真面目に…真面目にクエストをこなせばシェアも少しずつ上がるんですよ?

でも当の女神様本人が真面目にしないおかげでシェアも下がる一方で…ある意

味限界ですね…」

 

 

そんなことよりイストワールさんの方が限界ですよ!?しかも吐血までしてい

らっしゃる!?貴女のストレスはどれくらい溜まっていると言うのか…

 

 

「いーすん?どうしたの?顔色悪いよ?」

 

 

ネプテューヌのこの発言、彼女なりに心配はしていたのだろう。でもそれがい

けなかった、イストワールさんの額から、次々と青筋が出始める。火山噴火の

数秒前と言わんばかりに、そして彼女の中で何かが切れた。

 

 

「それはネプテューヌさんがクエストこなさずに毎日毎日ぐーたら過ごしてるか

らでしょおおおおおおおおお!!いつもいつも同じこと言わせないで下さいよ!

やるべき仕事をしてくださいと何度言ったらわかるんですか!!」

 

「ねぷう!?いーすん落ち着いて…」

 

「誰のせいだと思ってるんですかあああああああああああ!!」

 

 

あーなるほど、要するにこのストレスの原因ってネプテューヌが原因と言うこと

か。それだったらこの怒り様は納得、ネプテューヌの無責任発言でこうなってし

まったと言うことだ。でも人って切れたら歯止めが効かなくなるって本当なんだ

な、あの優しそうなイストワールさんがここまで怒るなんて…でもそれほどスト

レスを溜め込んでいた、と言うことなのだろう。傍にいるネプテューヌの慌てよ

う、同情しようにも出来ん。

 

 

「な、何かすいません真司さん…」

 

 

そんな中でネプギアは俺に頭を下げて謝る。結構申し訳なさそうな感じで、たぶ

ん今現在のこの状況のせいだと思うけど、身内の恥ずかしいところを見せてしま

って申し訳ないと言うところだろうか?

 

 

「いやネプギアのせいじゃないだろあれ、それにしてもネプテューヌっていつも

ああなのか?」

 

 

でも謝ってきたネプギアは悪いわけではない、そこのところは少しばかり訂正を

して質問する。その質問に対して微妙な反応、…うん、大体わかったと思う、と

言うより今の反応だけで十分だ。ネプギアは必死になってフォローを入れようと

しているけど…

 

 

「ええっと…そうでもなくはなかったり…」

 

「フォローが入ってないよネプギア!?」

 

「ネプテューヌさん!!話はまだ終わってませんよ!!」

 

「ねぷうううううううううう!?」

 

 

うんあれだ、これはもう自業自得と言うしかない。でもシェアを上げないとこの

国も危ないということがイストワールさんのこの状態でよくわかった気がする、

俺にできることはないか…そうだ。

 

 

「あの、イストワールさん」

 

「ハア…ハア…え?真司さん?どうしたのですか?」

 

「そのクエストって俺にも手伝うことってできますか?」

 

「「「え?」」」

 

 

イストワールさんのほかにネプテューヌ、ネプギアも俺の方を向いた、その顔は

少し驚いた表情だった。

 

 

「ええっと…俺にクエストの手伝いが出来るかなと思ったんですけど…」

 

「真司さん…気持ちはありがたいのですけど真司さんはモンスターのことも知ら

ないでしょうし何より貴方は私たちが保護している身です、危険に晒す様な事は

させられません」

 

 

この世界にはモンスターもでるのか!?知らなかったが言ったことには最後まで

責任を取らないと、俺はそのまま話を続けた。

 

 

「確かにモンスターのことは予想外でしたが…でもそれ以外だったら俺にもでき

ると思うんです。ここに住まわせてもらうんですからせめてそれくらいはさせて

下さい、みんなが頑張ってるのに俺だけ何もしないなんて嫌だし…」

 

「真司さん…」

 

「お願いします!」

 

 

俺は頭を下げる。恩返しとまではいかないかもしれない、でも俺のためにここま

で親身になってくれた人たちのために少しでも役に立ちたいと思った。

 

 

「わかりました、私としてはすごく助かります。私の方こそよろしくお願いしま

す、真司さん」

 

「はい!」

 

 

イストワールさんは少し考えた素振りを見せた後、微笑みながら俺の言葉を了承

してくれた。人手が増えた事に、彼女も純粋に嬉しいのだろう。でも俺にとって

も嬉しいことだ、お世話になる人達に少しでも恩返しができる。俺はその意気込

みで、元気良く挨拶を返す。

 

 

「おお~!いーすんよかったね!!」

 

「お前もクエスト頑張るの!」

 

「あいた!?」

 

 

お気楽なネプテューヌの頭を拳骨で殴った、隣でネプギアは苦笑いしている。ま

あそれは置いといて…この世界で今俺ができることをやってみようと思う、まず

今日はその最初の一歩を踏み出した―――――

 

 

 

 

 

まではよかったんだけど…思いもしない問題が発生した、それは…

 

 

「…」

 

「し、真司さん?元気出してください!」

 

「そうですよ!こればかりは仕方がありません!」

 

 

ネプギア、イストワールさん。お気遣い痛み入ります…でもこれはさすがにまず

いんじゃないかと思うんですよ、だって…だってさぁ…

 

 

「でもまさか文字が読めないなんてねえ…」

 

「ぐはあ!?」

 

「お姉ちゃん!」

 

「ねぷ!?しまった!?」

 

 

そう、この世界の文字が俺は一切読めなかった。さっきまでの決意が崩れ落ちて

いくのがよくわかる、うう…俺って本当に馬鹿…

 

何で!こんな時に!!文字すら読めないってどう言うことだよっ!ここにいる人

達とは普通に会話していると言うのに!?

 

 

「も、文字なら今からでも覚えて行けばいいじゃないですか!!」

 

「そ、そうだよ!私も教えてあげるからさ!元気出そう?」

 

「今その優しさがすごく傷に染みるのはなぜ?」

 

 

嗚呼…目から大量の汗が出てくるのがわかる、ぢぐじょう…同情ってここまで残

酷なものだったのね…体育座りになってしくしくと泣き始める俺、こんなの見て

誰得だよと思うかもしれませんがどうか流しておいてください。

 

と、悲しみに浸っておるところにドアをノックする音が聞こえてきた。誰だろう

と思い顔を上げる、ドアが開いたその先にはアイエフとコンパが並んで立ってい

た。

 

 

「イストワール様、お邪魔します…真司?どうしたの?」

 

「なんでそんなに泣いてるです?」

 

 

二人は俺の状態を見て首を傾げる。傍から見ると、どう言った状況なのかが分か

らないから当然と言えば当然。グスン、これにはちょっとした事情があるのです

よお二人さん。

 

 

「へへ…いやね、現実と同情は残酷だなあと今現在噛みしめてるところ」

 

「?まあいいわ、イストワール様、モンスター打倒のクエストの依頼がきたので

ねぷ子たちをお借りしたいのですが…」

 

「ええ、大丈夫ですよ」

 

 

クエストの依頼と聞いてネプテューヌがげんなりした表情を浮かべていた、そん

なんでいいのかこの国の女神…それはまあ置いといて、俺はアイエフに質問した。

 

 

「アイエフ、そのクエストってどんなことやるんだ?」

 

「ええ、スライヌ…あ、真司はモンスターのこと知らなかったわね。今プラネテ

ューヌの一部の村にスライヌって言うモンスターが大量発生したって報告を受け

たの、モンスターは人に危害を加える恐れがあるからそれの退治を私たちが依頼

されたってわけよ」

 

 

スライヌ…スライムの親戚なのか?想像してみるがどんな形か見当がつかない。よ

くロープレに出てくるようなあんな感じのスライム…ではないよなぁ…

 

 

「そのスライヌってそんなに狂暴なのか?」

 

「そこまで強くないよ?素手で倒せちゃうくらい弱いんだから!」

 

 

…弱っ!?まだ俺が知っているスライムの方がちゃんと戦えるぞ、それより素手で

倒せるモンスターって…

 

 

「モンスターの威厳が一ミリも感じない…」

 

「それでも大量発生したら色々と厄介なのよ、塵も積もればって言うでしょ?」

 

「…確かに」

 

 

そのスライヌって言うモンスターを見たことはないがどれだけ弱いやつでも大量

に存在したら話は違ってくる、蟻も集まればカブトムシだって倒せるんだ、油断

したらそれこそ命取りになる。それこそゲームではお約束のことだ、俺はそれで

一回やばいことになったことあるし。

 

 

「というわけで私たちじゃ不安だからネプ子たちの力も借りたいのよ」

 

「そこまで頼りにされたら仕方がない!いっちょやりますかあ~!」

 

 

ハイテンションなネプテューヌ、片腕をグルグル回しいかにもやる気十分って感

じだ、そのやる気を普段から持っていればとイストワールさんは思っているに違

いない。

 

 

「それじゃあ出かけてくるね、ネプギア、行こう!」

 

「うん、お姉ちゃん!」

 

「頑張ってくださいね」

 

 

意気込んで腕まくりをするネプテューヌ、ネプギアも両手を胸の前で握りしめる

ガッツポーズを取った。準備万端、と言ったところだろうか?やる気がこちらに

も伝わってくるのがわかる。そんな姿を見ていたら、ふと思った。今の俺に出来

ることは何かないのだろうか?何か手伝えることは無いのだろうかと。目を閉じ

て考える、そしてゆっくりと目を開き…

 

 

「…ちょっといい?」

 

「真司?どうしたの?」

 

 

俺はネプテューヌを呼びとめた、少し迷ったが決意して口を開く。

 

 

「そのモンスター退治に俺を連れて行ってくれないか?」

 

「ねぷ!?なんで?」

 

「ダメですよ真司さん!?貴方を危険な目に合わすわけには…」

 

 

イストワールさんが俺を止めに入った、俺の身を案じてくれてるのだろうだけど

俺は話を続けた。

 

 

「確かに危険だと思う、モンスターのことだって知らないしこの世界の文字だっ

てわからない。正直足手まといだ…だけどこのまま知らないままで終わりたくな

いし何より危険だからってそれが理由で逃げたくないんだ…」

 

「真司さん…」

 

「みんなには迷惑かけない!なんだったら俺はついていくだけでもいい!せめて

俺が今できることをしたいと…」

 

 

俺はまず、この世界のことを知らないといけない。そのためにもリスクがあった

としても、そう言ったものを経験するべきなんだ。みんなはもしかしたら反対す

るかもしれない、でもこれだけはどうしても譲れなかった。

 

 

「真司!」

 

 

そう思ったのも束の間、ネプテューヌが俺の傍へ寄り笑顔を向けた。ネプテュー

ヌだけじゃない、アイエフ、コンパ、ネプギア、それにイストワールさんもだ。

 

 

「そこまで言うなら連れて行かないわけにはいかないよね!」

 

「確かに真司の言うことは一理あるわ、この世界のことを知るきっかけになると

思うから」

 

 

俺の気持ちを汲んでくれた、この場にいる全員がだ。正直言うと全員からは反対

されるかもと思っけど、賛成をしてくれて嬉しく思う。この世界を知るまず最初

の一歩を、きっかけを与えてくれたのだ。

 

 

「危ないのなら私たちで真司さんを守るです!」

 

「それに真司さんは足手まといなんて思ってませんよ?」

 

「みんな…」

 

 

コンパとネプギアも、笑顔で俺に応える。その言葉がすごく嬉しかった、女の子

に守られると言うのは男としてどうなのかと思うけど。でも今は贅沢など言って

いられない、このチャンスを蔑にしないためにも。

 

 

 

「ふう…仕方ありませんね、でもくれぐれも皆さんから離れないこと、なるべく

皆さんと一緒に行動することが条件です、いいですか?」

 

「はい!ありがとうございます!!」

 

「それじゃあ改めてモンスター退治に出発だよ!」

 

 

ネプテューヌの掛け声に俺たちはモンスター退治に向かうこととなった。

 

 

 

 

               

 

 

                ◇

 

 

 

 

 

そしてここはプラネテューヌの街から少し離れた村である、のどかで静かなとこ

ろだが所々に何やら水色っぽい何かがいた。

 

 

「スライム?犬?…スライムっぽい犬?」

 

「だ~か~ら~!スライヌだよ!モンスター!」

 

「すごく無害に見えるんだけど…」

 

「見かけに騙されたらいけないですよ?」

 

 

確かに、いかんいかん、油断大敵と言う言葉があるしさっきも同じことを思った

じゃないか。それにしてもあれがモンスターか、ファンタジーの中だけだと思っ

たけどいるとこにいるんだな、この世界そのものがファンタジーだけど。

 

 

「それじゃあスライヌ退治、さくっとやっちゃおう!」

 

「うん!お姉ちゃん!」

 

「はいです!」

 

「何気に思ったけどコンパも戦えるの?」

 

 

見た感じ戦闘要員じゃない、ゲームで例えるなら回復担当の感じがするし…

 

 

「こう見えてコンパは強いわよ?今までも一緒に戦ってきたんだから」

 

「えへへ♪あいちゃんに褒められたです!」

 

「ん~…いまいち想像できない…」

 

 

言っちゃ悪いけど、コンパって結構ドジをしそうな感じがしなくもない。そんな

子が一体どんな戦闘をするのか、全然想像できなかった。

 

 

「それは見てからのお楽しみと言うことでいいじゃない、それよりもみんな、準

備はいい?」

 

 

スライヌが集まる付近まで来た俺たち、そこでネプテューヌたちは武器を出現さ

せそれぞれ構えた。おお!まさにファンタジー!でもコンパの武器がでかい注射

器って…

 

 

「それじゃあネプギア、真司のことお願いね」

 

「はい、アイエフさん。真司さん、私から離れないでくださいね?」

 

「わかった、よろしく頼むよ」

 

「それじゃああいちゃん!こんぱ!いっくよ~!!」

 

 

ネプテューヌ、アイエフ、コンパがスライヌたちに攻撃を仕掛けた、最初に仕掛け

たのはネプテューヌ。

 

 

「はっ!りゃあ!!」

 

 

スライヌが体当たりする中それを軽やかに躱し刀剣で斬撃を加える、スライヌたち

は粒子となって消えて行った。

 

 

「せやああああああああ!!」

 

 

次にアイエフだ、彼女はまるで忍者のごとく走りすれ違いざまにスライヌを切り裂

いていく、そして銃による的確な攻撃で数を減らしていった。

 

 

「えい!」

 

 

最後にコンパだ、注射器をスライヌに突き刺し少しずつだが倒していく、あれに刺

されたら痛そう…

 

 

「…すげえ」

 

 

その一言に尽きる、俺から見たら彼女たちの戦いは俺の身体にビリビリ伝わってく

る、言葉で表現できないと思うほどだった。こんな戦いを彼女たちは今まで続けて

いたのだろうか?

 

俺って本当に平和な世界にいたんだとつくづく思う、この世界はこんなモンスター

たちがいて被害をこうむっている、平和ボケした俺にできることが本当にあるのか

と少し気持ちが暗くなった。

 

 

「真司さん?どうしたんですか?」

 

「ネプギア?うん…俺って平和な世界にいたんだなあって思っただけ」

 

「やっぱり早く戻りたいですか?」

 

「そうじゃないって思えば嘘になるけど…ただ俺ってこの世界じゃ本当に役に立た

ない人間に思えてきちゃってさ」

 

「真司さん…」

 

 

結局このモンスター退治だってネプテューヌたちに任せてしまっている、自分にで

きることを見つけに来たのにこれじゃあ意味がない、正直悔しい。

 

 

「ごめんなネプギア、暗い話になっちゃって」

 

「…真司さん」

 

「ん?ネプギア?」

 

「私は真司さんは勇気がある人だと思っていますよ?」

 

「え?」

 

 

いきなりだったから少し驚いた、俺に勇気があるって…

 

 

「真司さんは異世界から来たんですよね?昨日聞いたときは驚いちゃいましたけど」

 

「う、うん…」

 

「普通なら不安でいっぱいでたまらないはずなのに真司さんはここで自分ができる

ことを見つけようとしてるじゃないですか、それってとても勇気がいることだと思

うんです、だから…自分が役立たずだと思わないでください、お姉ちゃんたちだっ

てそう思ってるはずです!」

 

「ネプギア…」

 

 

元気がでてくる、そうだ、俺はまだ始まってもいないじゃないか…この世界にだっ

てまだ来たばかりでわからないことだらけなのにすぐに何でもできるわけじゃない

、だったらこれからゆっくりでも見つけて行けばいい、そのための時間がまだ十分

にあるのだから。

 

 

「ありがとうネプギア、なんかふっきれた」

 

「い、いえ!私こそなんだか生意気なこと言っちゃって…」

 

「ネプギアって変なところで真面目なんだなあ…」

 

 

あわあわ言ってるネプギアを見てそうつぶやく。その時だ、茂みの方から何かがさ

がさと音が鳴る。どうやらスライヌの伏兵がいたらしい、そのスライヌがネプギア

の背後へ突進してきた!

 

 

「ネプギア!!」

 

「え?きゃあ!?」

 

 

俺はとっさにネプギアを抱きしめスライヌの攻撃を躱した、危なかった…

 

 

「大丈夫か!?」

 

「は、はい…なんとか…でも…その…」

 

「え?わああああああ!?ごめん!?」

 

 

とっさだったから気づくのが遅れたが俺はネプギアを押し倒す形で倒れていたのだ、

ネプギアは戸惑い顔を赤くしている、俺ってば何やってるんだよぉ…

 

 

「真司さん!!」

 

「え?どわあ!?」

 

 

周りを見てみるとスライヌの群れが俺たちを囲っていた、どこぞのクエストのスラ

イムばりに多い、これだけいるともう不気味レベルだぞ!?

 

 

「真司さん!私の傍から離れないで!!」

 

「わ、わかった!」

 

 

ネプギアと俺は体制を立て直しネプギアは武器を出現させ構えた、でもこの数をネ

プギアだけで相手にするのは無茶だ、一体どうすればと考えていた時だった。

 

 

「チェストおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「はあああああ!!」

 

 

スライヌの群れの一部が、光の粒子となって消えだした。一体何事なんだと思った

が、その原因はすぐに判明する事となる。

 

 

「お姉ちゃん!アイエフさん!!」

 

「真司さん!ギアちゃん!怪我はないです!?」

 

「コンパ…大丈夫」

 

 

ネプテューヌたちが俺たちを助けてくれた。コンパも慌てながら、俺とネプギアを

心配して駆け寄って来てくれた。だが問題は、目の前にいるスライヌの数である。

数は減ったといってもそれでもこの多さだ、どうする…

 

 

「埒があかないな~!こうなったら…」

 

「ネプテューヌ?」

 

 

イラついた様な声を出すネプテューヌ。気持ちはわからんでもない、これだけの数

のスライヌがいるのだ。俺にとっては未知の者でも、彼女たちにとってはザコ当然

の敵、正直鬱陶しいのだと思う。だけどこうなったらとは?何かネプテューヌに秘

策があるとでも言うのか?

 

 

「はあ…しょうがないわね、真司、ここはネプ子に任せるわよ」

 

「アイエフ?」

 

「ふっふっふ…括目せよ!!」

 

 

そう言うとネプテューヌの身体が輝きだす、するとどうだろうか、ネプテューヌの

姿がみるみるうちに変わっていく…俺が最初に会ったあの姿に…

 

 

「さあ、覚悟はいいわね!」

 

 

ネプテューヌは自分の武器を出現させ構える、最初に会った雰囲気とはまるで違っ

ていてさながら戦乙女と言うべき感じだった。そうか、彼女の秘策はこれだったの

か。前の状態であれほど強かったのだ、今のこの状態だったらどれだけの強さなの

だろう?でも、やっぱり綺麗だ…見ただけで心臓が跳ね上がる衝動に駆られてしま

うほどに。本当に…

 

 

「真司」

 

 

俺が惚けているとネプテューヌが俺に声をかけてきた、やはりその姿で話しかけら

れることにはまだなれない、またもや心臓がドキドキしてきた。

 

 

「ネプギアを助けてくれてありがとう、真司のおかげで怪我をせずにすんだわ」

 

「お、俺は別に…」

 

 

思わず声が出る。助けられたわけじゃない、あの時のは本当に偶然だった。運が良

かったと言ってもいい、そんな俺にお礼なんて…謙遜してしまう。だがネプテュー

ヌはそうじゃなかった。俺に微笑みを向けてくれて、さらに言葉を繋げる。その表

情がとても美しい、本当に彼女は女神なんだと改めて思い知らされる。

 

 

「謙遜しないで?貴方がいたからネプギアは守られた、これは事実よ?」

 

 

俺が役に立ったのか?ネプテューヌの言葉に胸が熱くなる、そんな俺を見てネプテ

ューヌはもう一度優しく微笑んだ。

 

 

「ここから先は私に任せて、あいちゃん、こんぱ、真司とネプギアをお願い」

 

「わかってるわよ、ネプ子の方こそ頼んだわよ」

 

「ねぷねぷ、頑張ってください!」

 

「ええ!」

 

 

そう言ってネプテューヌはスライヌに攻撃を仕掛けていく、その姿を見た俺はただ

見惚れていた、すごく綺麗で…これが女神の戦いなのか…

 

 

「これで決める!クロスコンビネーション!!」

 

 

最大の一撃、瞬く間にスライヌが消滅していった、そして数分もしないうちにスラ

イヌたちは全滅、クエストは無事に達成されることとなった。

 

 

――――――

 

 

その帰り道にて…

 

 

「いや~、さすがにスライヌがあれだけいたら骨が折れるよね~」

 

「しばらく見たくないかもですう」

 

「それには同感だわ」

 

 

無事にクエストを終え俺たちは教会へ向かっていった、今日のことは本当に勉強に

なったと思う、俺はここから努力しないと…

 

 

「真司、ごめんなさいね、あの時すぐに助けに行けなくて…」

 

 

アイエフは俺に頭を下げて謝った。でもそれはアイエフのせいじゃない、寧ろいい

経験をさせてもらえたことに感謝している。俺はアイエフに声をかける、頭を下げ

ていたアイエフは顔を上げ、俺の言葉を聞く姿勢を取った。

 

 

「アイエフ?いいよ、結果的には助けてもらったんだし、俺もネプギアも怪我がな

かったのはそのおかげだぞ?」

 

「いえ、あそこでスライヌが集団で襲い掛かることは予想できた、私のミスよ」

 

「それでも助けに来てくれた、次からはそうならないように…今度は俺も戦えるよ

うに努力する、だからそのことはもういいよ」

 

「真司…ありがとう」

 

 

アイエフは少し微笑みながらお礼を言った、俺は拳を握りしめ誓う、この世界で俺

が今できることを少しずつでも見つけてみよう…そのための努力をしよう。

 

 

「お~い!早くしないと置いてくよ~!」

 

「ちょっ!?ネプ子!そんなに早くいかなくてもいいでしょ!?」

 

「はわわ!?待ってください!?」

 

「お姉ちゃん!置いてかないで~!?」

 

 

ネプテューヌを追うように走るアイエフたち、俺はその背中をじっと見つめる、俺

を心配してくれて勇気づけてくれた人たちの背中を…

 

 

「真司もはやく~!」

 

「おう!」

 

 

俺も走る、五人の影が夕日に溶けるように重なった。

 

 

 

 




ネプギアとはまだフラグ立ちません、これからどんな風にフラグが立つのかお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。