ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕   作:ULTRA-7

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長らくお待たせしました!やっとこさ更新です!すいません…何分忙しいorどう書こうかと悩んでいたもので…

しかも今回かなり長い!?分ければよかったかなあ…まあいいか!

今回かなり重いかもしれません、ネプテューヌの、真司の運命やいかに!


挿入歌・ED『Rainy Rose』


第三十四話 勝利の代償(改稿中)

「う…あ、があああああああ!?」

 

 

右目を必死になって俺は押さえている、血は止めどなく流れ落ち激痛が脳天を刺激した。

 

 

「真司…!!」

 

 

ネプテューヌが声を上げる、だが俺はそれすらも聞けないでいた。そしてそんな俺に近づいてくる人影が一人…

 

 

「無様なものだなあ…先ほどまでは私にあれだけ抵抗してみせたというのに、所詮ひ弱な

人間だったか」

 

「ぐうっ…が…」

 

 

マジェコンヌだ、あざ笑うかのように侮辱しながら俺を見下ろす。俺は激痛に耐えながら

も起き上がりマジェコンヌを見据えた。

 

 

「だが危険因子は摘み取らねばならん、いつお前が力を回復させるかわからんから…な!」

 

「ぐえっ!?」

 

 

言葉と同時にマジェコンヌは俺のみぞおちを膝で蹴り上げ岩場に叩き付けた、衝撃が強す

ぎて息ができない…そこにマジェコンヌは更なる追い打ちを仕掛けてきた!

 

 

「そらそらそらあ!!」

 

「うぎっ!?あああああああああああああ!?」

 

 

ビットによるレーザーの攻撃、その攻撃は俺の腹部と右肩の肉を焼け焦がす。ジュウ…と

肉が焼ける音が辺りに響き、焼け焦げた肉の匂いがたちこめた…

 

 

「まだ終わらんぞ!!」

 

 

ゴキッ!!ボキャッ!!

 

 

「あ゛っ!?があああああああああああああ!?」

 

 

右腕を踏み砕かれた、普通ならそこまでは行かないだろう。だが今マジェコンヌは女神の

力と同等のものを持っている、それ故に力が尋常じゃない。

 

俺の右腕の骨は完全に砕かれてしまった…

 

 

「さあ…苦しみながら、死ぬがいい!!」

 

「うぐ…ああ…」

 

 

止めを刺そうと槍を振りかぶるマジェコンヌ、だがそこに…

 

 

「止めてえええええええええええええ!!」

 

 

ガキン!!

 

 

ネプギアが俺たちの間に割って入った、そこにさらにユニちゃんが駆けつける。アイエフ

とコンパのもとにはロムちゃんとラムちゃんが向かっており二人は揺り動かされ目を覚ま

した。

 

必死に俺の名前を呼ぶユニちゃんの声が聞こえる…俺は息が絶え絶えになりながらもどう

にかして目を開け返事を返した。

 

 

「ユ…二…ちゃん…ごめん、俺…」

 

「喋っちゃダメ!!今安全なところに運ぶから…」

 

「邪魔はさせんぞ!!」

 

「っ!?きゃああああああああ!?」

 

 

ネプギアを退けたマジェコンヌがユニちゃんを蹴り飛ばす、俺も同時に地面に叩き付けら

れ俯せ状態なってしまった。

 

 

「真司…うう…なんで…こんな時に限って…!」

 

「私は…女神なのに…!!」

 

「肝心な時に…助けに行けないなんて…!」

 

「このままじゃ…真ちゃんが…!!」

 

 

ネプテューヌたちは必死になって結界の向こう側にいる真司に手を伸ばそうとする、だけ

どそれすらも届かない…肝心な時に、大切な人が死にそうな目に合ってるというのに…!

無力な自分たちに悔しくて涙が出た。

 

 

「どうだ?女神ども、自分たちの希望が死にゆく様を見るのは?」

 

「マジェ…コンヌ…」

 

 

衰弱しきったネプテューヌたちに話しかけるマジェコンヌ、それを見たネプテューヌたち

は弱り切った瞳をしながらも強い視線でマジェコンヌを見据えた。

 

 

「てめえ…絶対に…絶対に許さねえ…!!」

 

「なんとでもいうがいい、今のお前たちに何を言われようが痛くもなんともないわ!」

 

「くっ…!」

 

 

言い返せなかった、今の自分たちは何もできない…このまま黙って真司がなぶり殺しにな

るのを見ているしかないのか…

 

その時マジェコンヌがニヤリと笑いだす、その表情は悪鬼、殺戮者そのものだった。

 

 

「くくく…ここからさらにお前たちの希望が傷つく様を見たくなったぞ?今ここにいるこ

の男が苦しんだら…お前たちはどうなるかな?」

 

「え…まさか…」

 

「なに…する気なのよ…止めなさい…止めなさいよ…!」

 

 

四人の顔から一気に血の気が引いた、そしてノワールは制止の声をマジェコンヌに投げか

けるが…本人は聞く耳を持たない。

 

 

「ふふ…せいぜい絶望してくれよ?」

 

「止めて…お止めなさい…!!真ちゃん…!!真ちゃん…!!」

 

 

マジェコンヌは手に持つ槍を思いっきり振り下す―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドスッ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

「フハハハハハ!!さあ女神ども!絶望しろ!!そしてそのまま闇えと沈むがいい!!」

 

 

マジェコンヌはその槍で真司の左足を串刺しにした、想像を絶する激痛が彼を襲う。

 

 

「そ、んな…真司…」

 

「い、や…いやあああああ…!」

 

「真司…あ…」

 

「真…ちゃん…わ、わた…くし…」

 

 

ネプテューヌたちの表情が一気に絶望の色に染まった、その絶望が強すぎたのかブラン

とベールが気力を失い闇へと沈む…

 

 

「ブラン…ベール…!」

 

 

ネプテューヌの声は今の二人には届かない、そして今残っているネプテューヌとノワー

ルも気力を失いかけていた。

 

 

「さあ、お前たちも闇に沈め。安心しろ…この男もお前たちの後を追わせてやる、あの

世で仲良くできるようになあ」

 

「真…司…」

 

「あ…」

 

 

ついにはノワールも気を失い闇に飲み込まれていく、残ったのはネプテューヌのみ…

 

 

「さて…そろそろ本気で止めと行こうか!!」

 

 

マジェコンヌはもう一度槍を振りかぶる、今度は確実に…真司の心臓を捉えて振り下ろ

した――――

 

 

「やあああああああああああああああああ!!」

 

「ぐっ!?お前は!!」

 

「貴様あああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「ぐはっ!?うお!?」

 

 

だがそれは叶わなかった。ネプギアがマジェコンヌに切りかかり、ユニがX・M・Bで撃

ち抜いてきたからだ。

 

 

「真司さん…っ!!~~~~~っ!!貴方は…っ!貴方だけは!!」

 

「くうっ!?」

 

 

真司の今の姿に涙を流し歯を食いしばるネプギア、そしてその眼は怒りの色に染まって

行く。ネプギアはM・P・B・Lを持つ手に力を籠めマジェコンヌに再度切りかかった。

 

緊急離脱するマジェコンヌ。ネプギアは迎撃に、ユニは真司を抱え必死になって声をか

けた。

 

 

「真司さん!!真司さん!!しっかりしてください!!」

 

「うあ…あがっ!?」

 

「真司さん…!!」

 

 

真司の苦しむ様を見て思わず泣き出すユニ、そこにロム、ラム、アイエフ、コンパもか

けつけた。

 

 

「真司!!しっかりして!!」

 

「真司さん!!っ!?や…いやあ…」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「お、お兄…ちゃん…!!」

 

 

正直今の真司を誰もが直視できない、あまりにも真司の負った怪我がひどすぎるのだ。

今この瞬間も真司は苦しみ、さらには吐血もしてしまう…

 

 

「え゛う゛っ!?え゛ほっ!?」

 

「お兄ちゃん!!~~~~~~っ!!お兄ちゃんを…よくも!!」

 

「絶対に…許さない!!」

 

 

涙目になりながらもロムとラムは怒りが頂点に達しマジェコンヌを睨み付けた、そして

ネプギアの下へ全力で飛び立つ。それはユニも同じ…真司のことをアイエフとコンパに

任せて静かに立ち上がった。

 

 

「アイエフさん、コンパさん、真司さんのことお願いします…」

 

「…任せておいてください、マジェコンヌのことは頼みます」

 

「絶対に…倒して見せる!」

 

 

勢いよく飛び立ちユニはネプギアたちのところへ向かう、今ここにはアイエフとコンパ、

そして傷ついた真司が残された。

 

 

 

 

 

 

 

 

                    ◇

 

 

 

 

 

「はあああああああああああ!!」

 

「やあああああああああああ!!」

 

 

ネプギアはM・P・B・Lをマジェコンヌに向かって放つ、それに続きユニもX・M・Bを駆

使し攻撃を加える。

 

 

「チッ…しつこい!」

 

「ロムちゃん!」

 

「うん!!」

 

 

続いてロムとラムがアイスコフィンを作りだしマジェコンヌにぶつけた、その衝撃で後方

に下らずを得なくなったマジェコンヌ。

 

苦虫を噛み潰したような表情でネプギアたちをマジェコンヌは睨み付けた。

 

 

「調子に乗るな!!クロスコンビ―ネーション!!」

 

「きゃああああああああああ!?」

 

「レイシーズダンス!!」

 

「ああああああああああああああああ!?」

 

「テンツェリントロンべ!!」

 

「「きゃああああああああああ!?」」

 

 

そこからマジェコンヌの反撃が始まる、それぞれにネプテューヌたちの技を放ちネプギア

たちを地面に激突させた。

 

 

「諦めろ、もうじき女神たちは死ぬ。お前たちの戦いも…あの男の抵抗も無駄に終わるの

だ!アーッハッハッハ!!」

 

「…無駄?」

 

 

その言葉にネプギアが反応する、ネプギアだけじゃない…ユニも、ロムもラムも、その言

葉を聞いて立ち上がった。

 

 

「無駄じゃない…」

 

「なに?」

 

「私たちの戦いも!真司さんの戦いも無駄じゃない!!」

 

 

ネプギアはマジェコンヌに一喝する、そしてユニ、ロム、ラムも次々に声を上げた。

 

 

「真司さんは必死で戦った!アンタなんかに臆することもなく、お姉ちゃんたちを助ける

ために命を懸けて戦ってくれた!!」

 

「お兄ちゃんは臆病な私に勇気をくれた…!私たちのために怒ってくれた!!」

 

「今こうして私たちが戦えるのはお兄ちゃんのおかげなんだから!!」

 

「真司さんは私に大切なことを気づかせてくれた…自分から一歩踏み出すための勇気をく

れた!そんな真司さんの戦いが無駄なんてこと…」

 

 

四人はそれぞれの武器を構えマジェコンヌを見据える!

 

 

「「「「私たちが絶対に言わせない!!」」」」

 

「ぐっ!?こいつら…どこからこんな力を!?」

 

 

マジェコンヌは怖気着く、目の前のネプギアたちの気迫に徐々に押され始めて行った。

 

 

「貴方を倒す、そしてお姉ちゃんも…真司さんも救ってみせる!!」

 

 

意を決してネプギアたちはマジェコンヌに立ち向かう―――

 

 

―――――

 

 

「コンパ、真司の容態は…」

 

「酷すぎです…このままじゃ真司さんは本当に…!」

 

 

アイエフは顔を伏せ歯を食いしばる、そして後悔した。あの時真司を強引にでも止めて

いれば…無理やりにでもプラネテューヌに帰ってもらえばこんなことにならなかったの

にと…

 

 

(私の判断が甘すぎた…っ!!真司…ごめんなさい…っ!!)

 

 

謝っても許してもらえないのはわかっている、だが謝る以外に自分ができることが想像

できなかったのだ。

 

アイエフの眼からは涙が零れ落ちた…

 

 

「とりあえず少しでも応急処置を…ひうっ!?」

 

「コンパ…?し、真司!?」

 

「あ゛…ア゛イエ゛フ…ご…コン゛パ…」

 

 

コンパの声にアイエフが反応し振り向く、すると真司が血まみれの左手でコンパの腕を

がっちりと掴んでいる様子が見えた。

 

真司は息が絶え絶えになりながらも二人に話しける、その間にも口からは血が吐血され

続けていた。

 

 

「真司!!喋ってはダメよ!!コンパ!早く応急処置を!!」

 

「ハイです!!真司さん!!今助けますから…」

 

「ふ…二人…とも…え゛ふっ!?お、俺の話…を…き、聞いて…くれ!!」

 

 

真司は掴んでいる手の力をより一層強くした、その力故にコンパは顔を歪める。アイエ

フは何が何だかわからない様子だった、そんな二人をよそに真司は口を開く。

 

 

「お、俺の…応…急…処置…に、がっ!?…回す…時間が…あるなら!!げほっ!?み、

みんなの…援護…を!!ネプ…テューヌ…たち…を…助けるために…使って!…くれ!

がはっ!?」

 

 

二人は絶句した、真司は一体何を言っているのか?思考が一瞬フリーズする、理解…

した、してしまったのだ。

 

真司は自分よりもネプギアたちを、ネプテューヌたちを優先しろと言っていることに…

 

 

「な、何言ってるのよ!?アンタ言ってる意味わかってるの!?」

 

「真司さん…!?何を言ってるんですか!?真司さんをこのままになんてできるはずな

いです!!」

 

 

二人は声を荒げる、それもそのはずだ。今目の前に仲間が死にかかっているというのに

むざむざ放っとけというのか?それは断じて否だ、仲間思いのこの二人ならこのような

ことを言われてもそんなことできるはずがない。

 

だが…

 

 

「た、頼む…!!」

 

「真…司…?」

 

「真司…さん…?」

 

 

二人は驚いた、今真司は泣いていた。大粒の涙を零して二人を見つめていたのだ、何で

真司は泣いているのか?二人には想像できなかった、痛いから?違う…怖いから?それ

も違う…もっと別の何かがあると感じた。

 

 

「この…まま…じゃ…!ネプ…テューヌたちの…げふっ!?命…が…危…ない…!俺…

みんなに…死ん…で、ごほっ!?ほ、欲しく…ないんだ…!みん…な…には…!!生き

…て…笑って…いて…欲しい…んだ…!!」

 

「っ…!」

 

「俺…今…は…足手…まとい…に…しか!!がぼっ!?なら…ない…ネプ…テューヌ…

たち…を…助け…げぼっ!?…たくても…助け…に…行け…ない…!!」

 

 

二人は理解した、真司は今…悔しくて、悲しくて…ネプテューヌたちを助けに行けない

のが死ぬほど悔しくて!!泣いていた…

 

自分は動けない、助けに行こうとしてもできない…だからこそ自分たちにネプテューヌ

たちのことを優先させようとしてるのだ。

 

 

「頼む…頼…むよ…!みん…なを…死なせ…ないで…!!…ネプ…テューヌ…を…!ノ

ワー…ル…を…!…ブラ…ン…を…!…ベル…姉…を…!」

 

「ぐっ…う、うう…っ!!」

 

「ひぐ…っ!!し、真司…さん…っ!!」

 

 

思いが伝わってくる、真司の張り裂けそうな思いが自分たちの中を駆け巡ってくるのを

二人は感じた。

 

その思いに共鳴するかのごとく二人も涙を流す、真司の思いが…痛いほど伝わってくる。

 

 

「…っ!くっ!!」

 

 

アイエフは立ち上がり自身の武器であるカタールをコールして装備した、そしてマジェ

コンヌがいる方へ向き直る。

 

 

「あいちゃん…?」

 

「コンパ、私行くわ…真司の思いを…涙を無駄にしないために…!」

 

「だったら私も…!」

 

 

コンパも自分も行くと言い出したが、アイエフはそれを手で制止した。

 

 

「コンパはここにいて、そして…少しでも真司の応急処置をお願い」

 

「あ…あい…アイ…エフ…!お、俺は…!」

 

 

真司はアイエフに声をかける、何故コンパを残しておくのかと…真司は少しでも多く、

ネプテューヌたちの救出に向かって欲しかったのだ。

 

 

「真司…貴方だって私たちの仲間なのよ?そんな貴方がこんなに大怪我を負っているの

にこのまま一人にするわけないじゃない!!」

 

「う…あ…」

 

 

アイエフは真司に一喝する、真司がネプテューヌたちを思っているように彼女もまた真

司のことも思っての言動だった。

 

 

「絶対に…一緒に帰るわよ、誰一人欠けずに!」

 

「あいちゃん…」

 

「コンパ、ごめんね。真司のこと頼んだわ!」

 

「はいです!!」

 

 

アイエフはネプギアたちが戦ってる場所へと全力で赴く――

 

 

 

――――――

 

 

 

「はあああああああああああああああああ!!」

 

「ぐっ!?」

 

 

ネプギアたちとマジェコンヌは今激闘を繰り広げていた、ネプギアはM・P・B・Lのそ

れぞれの形態を駆使して戦い…

 

 

「当たれ当たれ当たれえええええええええええ!!」

 

「おごっ!?ぐあああああああああっ!?」

 

 

ユニはX・M・Bの射撃でマジェコンヌを乱れ撃つ、マジェコンヌは回避行動に移るも

射撃の嵐を掻い潜ることが出来ずビームの二、三発が直撃する。

 

 

「喰らいなさい!!」

 

「えい…っ!!」

 

「なっ!?うぐああああああああああっ!?」

 

 

その隙にロムとラムは魔法を畳み掛けた。そして四人はともに並び、息を切らしてい

るマジェコンヌと対峙した。

 

 

「ハア…ハア…女神たちの妹が何故ここまで…っ!今の私は四女神の力を全て手に入

れているというのに!!」

 

 

歯を食いしばりネプギアたちを睨み付けるマジェコンヌ、だがネプギアたちはその眼

に臆することなく武器を構えマジェコンヌを見据えた。

 

 

「力を持ったとしても、それは貴方の力じゃない!」

 

「確かにお姉ちゃんたちの技はすごかったわ、だけど所詮は紛い物!!」

 

「そんな偽物に私たちが負けるわけが!!」

 

「ない…っ!!」

 

 

姉たちの本当の力を知ってるからこそ言える言葉、その言葉にマジェコンヌは怒りの

表情を浮かべる。が…突如その表情が崩れ――

 

 

「ふふ…アーッハッハッハ!!」

 

 

笑い始めたのだ、これにはネプギアたちも動揺した。この追いつめられた状況でなん

で笑っていられるのかと。

 

 

「何がおかしいんですかっ!!」

 

「よくやったと誉めてやろう、ここまで追いつめられるとは思わなかったからなあ…

だが、タイムアウトだ」

 

「どういう…っ!?お姉ちゃん!?」

 

 

ネプギアの目線の先、そこには今…闇に沈み行くネプテューヌの姿が映った。

 

 

「あの女神はよく頑張った方だな、だがもうじき他の女神同様闇へと沈み死ぬ!結局

はお前たちの戦いは無駄だったのだ!!」

 

「そ、そんな…」

 

 

マジェコンヌの言葉に動揺するネプギアたち、その隙をマジェコンヌは見逃さなかっ

た。マジェコンヌは再びネプギアたちに切りかかってくる!

 

 

「そらそらそらあああああああああああ!!」

 

「くっ!?きゃあああああああああああああああああっ!?」

 

 

動揺していたせいで対応が遅れたのか、ネプギアは抵抗する間もなく切りつけられて

地面を転がる。ユニも、ロムもラムも岩場に激突し身動きが取れない状況になった。

 

 

「お前たちを更に絶望の淵へ落してやろう…」

 

 

そう言うとマジェコンヌは指を鳴らす、すると地面からモンスターの群れが出現した。

先ほどの残党なのだろう、だがそれなりに数はいる。

 

 

「さあ、女神の妹たちよ。絶望に苛まれながら…散れ!!」

 

 

モンスターたちによるレーザーの一斉射撃が放たれる!その時だった…

 

 

「はああああああああああああああああああっ!!」

 

「ピガッ!?ギギギギッ!?」

 

 

突如現れたアイエフがカタールでモンスターの一体に一閃!そして近くのモンスター

にも一撃、二撃と攻撃を加えていく。

 

 

「アイ…エフさん」

 

「ネプギア!立ちなさい!!貴方はまだ戦える、戦って勝って…ネプ子たちを救うの

よ!!そして…みんなと笑顔で一緒に帰るの!!」

 

「っ!!」

 

 

ネプギアは立ち上がる、その眼には覚悟と…決意を新たにする闘志の色が見えた。

 

そしてもう一度ネプテューヌの方へ目線を移す、そこには…

 

 

「あれは…」

 

 

光が見える、金色で…とても温かい光。この光がなんなのかわからない、だけどこれ

だけはわかる。

 

 

「お姉ちゃん…っ!!」

 

 

ネプテューヌたちは死んではいない、と…

 

 

「な、なんだ?結界の中を満たしているこの光は!?」

 

 

結界を満たす光に驚くマジェコンヌ、彼女でさえこの光の正体は掴めないでいた。そ

してその隙をネプギアは見逃さない!

 

 

「っ!!やああああああああああああああ!!」

 

「ぐっ!?ああああああああああああああ!?」

 

 

M・P・B・Lでの一閃、それをマジェコンヌは受け止めたが力負けして地面に叩き付

けられる結果となった。

 

 

「まだ…終わってない、終わりじゃない!!」

 

 

更にM・P・B・Lを構え直し、射撃モードの出力を最大にしてモンスターたちを薙ぎ

払った。

 

その間にユニ、ロム、ラムも立ち上がる。そして再びネプギアの下に集結した。

 

 

「そうよ…まだ…っ!!」

 

「終わって…ない!!」

 

「まだ…まだ…っ!!」

 

「い、一体何なのだ…何故こいつらは立ち上がってくる!?」

 

 

マジェコンヌは驚きを隠せないでいた、何度痛めつけても…何度言葉で攻めてもネ

プギアたちは立ち向かってくるからだ。

 

 

「お姉ちゃんたちは死なない…今も必死になって戦ってる!!」

 

「アタシたちだって…っ!」

 

「絶対に…!!」

 

「負けない…!!」

 

 

するとどうだろうか、ネプギアたちの周りから光が放たれる。神秘的で…とても温

かい…

 

 

「貴方を倒します、全身全霊全てを賭けて!!」

 

 

ネプギアたちの戦いは最終局面を迎えようとしていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

                      ◇

 

 

 

 

 

 

 

「真司さん…真司さん…っ!!」

 

「げぼっ!?げっ…え゛…!?」

 

 

コンパは真司の応急処置を必死に行っていた、だがコンパが持っている道具はどれ

も簡易的なものばかり…真司を処置するには必要なものが足りなさすぎた。

 

 

「このままじゃ…このままじゃ…っ!?ね、ねぷねぷ!?」

 

 

コンパが突然叫びだした、真司はそれに気づきどうにかして顔を上げる。息を切ら

しながらも懸命に焦点を合わせた、そこに映っていたのは…

 

 

「ね…ネプ…テュー…ヌ…!?」

 

「う…あ…」

 

 

闇に沈み行くネプテューヌの姿が真司の瞳に映った、真司は必死に地面を這いネプ

テューヌの傍へ行こうとした。

 

 

「真司さん!?ダメです!!今動いちゃ…!」

 

「がふっ!?こ、コン…パ…頼…む…い、行かせて…くれ…!」

 

「真司さん…」

 

 

コンパは真司を止めようとした、だが真司の必死な姿を見たら無闇に止めることは

できなかった。

 

そしてゆっくりと這いながらもネプテューヌのところへたどり着いた真司、今真司

とネプテューヌは結界越しに眼を合わせた。

 

 

「ハア…ハア…ネプ…テューヌ…」

 

「真…司?あ、あはは…ごめんね…なんかもう…無理っぽい、力が全然…入んない

んだ…なんていうオチ…なんだろうね…」

 

「ネプ…テューヌ…っ!!」

 

 

力なく笑うネプテューヌに真司は泣きそうな声で必死に名前を呼んだ、手を伸ばそ

うとしても結界に阻まれ掴むことは愚か振れることすらできない…

 

 

「ま…だ…だろ…!まだ…終わって…ない…!!すぐ…に…ここ…から…だして!」

 

「真…司…―――ね…」

 

「…え?」

 

 

ネプテューヌの声が聞き取れなかった、真司は必死に耳を澄ま。そしてネプテュー

ヌはもう一度重い口を開いた。ゆっくりと、ちゃんと聞こえるように…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けに行けなくて…ごめんね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ!?」

 

「ねぷねぷ…っ!?ねぷねぷ!?」

 

 

真司に言葉を告げた後、力尽きてしまったネプテューヌ。そしてとうとう深い闇へ

その身が沈んで行くのであった…

 

それをコンパは泣きながら見ているしかできなかった、真司は…結界に爪を立てな

がら必死に手を伸ばそうとする、だが…無駄だった…

 

 

「そんな…いや…いやですっ!!ねぷねぷ!!ねぷねぷ!!」

 

 

その場に大粒の涙を零しながら泣き崩れるコンパ、夢なら覚めてほしい…そんな思

いが彼女の中をいっぱいにしていた…

 

 

「………っ!!」

 

 

ガンッ!!

 

 

「えぐ…ふえ…?真司…さん?」

 

 

何か音が聞こえその音に反応したコンパが顔を上げた、そこには結界を殴っている

真司の姿が映っていたのだ。

 

何度も何度も…必死に、想いを吐き出すように殴り続ける真司。そして何かを叫ん

でいた、ネプテューヌたちに向かって…

 

 

「な…に…!勝手な…こと…言ってるんだよ…っ!!なにが…ごめん…ね…だよ!

謝る…くらいなら…!!もう…少し…頑張れよ…!!」

 

 

ガンッ!ガンッ!!

 

左腕で何度も殴った、その手からは力が強すぎたせいか血が滲んでいる。それでも

真司は止めようとはしなかった。

 

 

「い…ま…げほっ!?ね、ネプギアたちが…っ!!必死で…頑張ってんだぞ!!妹

たち…が…頑張ってるのに…お前ら…が…ここで…あきらめて…どうするんだよ!」

 

 

ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!!!

 

 

「ベル姉…ブラン…ノワール………………ネプテューヌっ!!」

 

 

ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!」

 

 

「あきらめるなあああああああああああああああああああああっ!!」

 

 

ガンッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

すると…光が満ちる、金色で…包まれると温かくなるような光が…結界周囲を照ら

していた。

 

 

「ふえ…?ど、どうなってるです…?」

 

 

コンパは目を丸くした、だがそんなことはお構いなしに光は輝きを増してゆく――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプテューヌSide

 

 

ここは…どこだろう?私…死んじゃったのかな?なんだか冷たくて…寒い…

 

周りを見たらそこは真っ暗、闇そのものだった…そこに一人ポツンと私は漂ってい

た、すごく心細い…そして、とても悲しい…

 

再び私は眼を閉じた、すると真司の姿が浮かび上がる。真司は…どうなったんだろ

う?それだけが気がかりだった。

 

思わず涙が出てしまう、結局私は力が出せずに真司がなぶりごろしにされるのを見

ているしかなかった…痛かったはずだ、苦しかったはずだ…だけど何もできなかっ

た…私は…女神失格だ…

 

 

 

――ぃ ――っ!

 

 

真司、本当にごめんね…助けに行けなくて…ごめんね…怖い思いをさせて…苦しい

思いをさせて…ごめんね…っ!!

 

 

 

――――ぃ!! ―――――ろ!!

 

 

 

…なんだろう?声?が…聞こえる…この声…温かい…私の…大好きな声…

 

 

 

「いい加減に…起きろ!!駄女神!!」

 

ガコンッ!!

 

「ねぷうううううううううううううううううううううううううううっ!?」

 

 

いったあああああああああああああああい!?だ、誰!?人がアンニュイな気分に

浸ってる時に頭をぶってくるような人は!!私の有能な脳細胞を死滅させるつもり

なのっ!?

 

頭を押さえ蹲ってる私の傍に誰かが近寄ってくる、むううううううう!!こうなっ

たら誰が私の頭をぶったか正体を暴いてやる!!そう思って振り向いてみると…

 

 

「ったく…いつまで寝てるんだよ、ネプテューヌ」

 

「え…真…司?」

 

「おう」

 

 

嘘…なんでこんなとこに真司がいるの!?それに真司は散々痛めつけられてこんな

風に立っていることも話すこともできないはずなのに!?どうして…

 

…?なんで真司は顔を逸らしてるんだろう?しかも若干顔が赤いし…

 

 

「真司?なんで顔を逸らしてるの?」

 

「あー…えっと…その…なあ…ね、ネプテューヌが…」

 

「私?私がどうかし…っ!?」

 

 

私は自身の身体を見下ろす、…私真っ裸っ!?え…ま、まさか真司に…見られた?

 

 

「や…いやあっ!?し、真司っ!?見ないで!!」

 

「お、おう!?だ、大丈夫だ!!」

 

 

私は手で身体の大事な部分を押さえ背中を真司に向けながら叫んだ、真司に見られ

るなんてぇ…でも…真司になら…見られたって…

 

それでも恥ずかしいものは恥ずかしい!!

 

 

「真司…その…見た?」

 

「見たって…何を?」

 

「…私の裸」

 

「……ごめん、最初あたりにちょっと。でも本当にちょっとだけだから!!」

 

「~~~~~~~~っ!!??」

 

 

うわあああああああああああああああん!!やっぱり見られちゃってた!!今更な

がらすごく恥ずかしいよおおおおおおおおお!!

 

 

「それよかなんで真司は服着てるの!!私だけ着てないなんて不公平じゃん!!そ

れともなに!?こういった仕様なんですか!?プレイなんですか!?」

 

「落ち着けって、服ならその…イメージしたらなんとかなるんじゃね?ここなんか

精神世界っぽいからさ」

 

「うう…本当に?まあダメもとでやってみるけどさ…」

 

 

そう言って私は普段着ている服をイメージしてみる、おお!本当にできた!よかっ

た~、このまま全裸でいるなんてマニアックにも程があるというか…

 

 

「服も着れたみたいだし、そんじゃ行こうか」

 

「え?行くって何処に?」

 

 

服が着れた喜びも束の間、真司が私の傍により手を引いてくる。少し指が触れただ

けなのに私はドキッとしてしまった、惚れた弱みってやつだよねえ…

 

 

「みんなを探しにさ、たぶんネプテューヌと同じ様なことになってると思う」

 

「…みんなも全裸かな?」

 

「…たぶん」

 

 

ため息をつく真司、なんかこんな姿も可愛いかもと思った私は悪くないと思う。

 

 

「とにかく、行こう。ネプテューヌ」

 

「え?キャッ!?」

 

 

変な声出しちゃった、だって真司がいきなり手を繋いでくるんだもん…でもなんだか

すごく温かい…ドキドキして…とても幸せな気持ちになる。

 

そんな思いの中私と真司はノワールたちを探しにこの空間の中を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そしてやっぱりみんな全裸だったよ…真司に見られて私と同じ反応してた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漸く私たちは再会できた、ノワールもブランもベールも今はちゃんと服着てるよ!

そうじゃないとこの作品がR-18指定になっちゃうからね!

 

みんな真司と再会できたことを喜んでる、最初あたりはすごく驚いてたよ。そりゃ

そうだと思うよ?あれだけ痛めつけられてたのに無傷の状態でここにいるんだもん。

 

 

「真司…ごめんさい…本当に…っ!」

 

「ノワール、別にお前のせいじゃないだろ?泣くなって」

 

「でも…あそこで私たちが油断しなかったら…」

 

「ブラン…」

 

「見ていることしかできなかった…私…姉失格ですわ…」

 

「ベル姉…」

 

 

泣きながら真司に謝罪するみんな、私も同じ気持ちだよ…ここにいるみんな真司の

ことが大好きなんだもん、大好きな人が傷つけられて何もできないなんて…すごく

辛いことだから…

 

 

「…」

 

「真司?」

 

 

すると真司は微笑みながら私たちを抱きしめた、ドキドキする…すごく温かくてす

ごく幸せ…大好きな人に抱きしめられるとこんなに温かい気持ちになれるんだね…

 

 

「俺は後悔してないよ?確かに痛かったし苦しかったけど…俺はあの時一番したい

ことをした、俺が本当にやりたいことを…」

 

「真司…」

 

「だからそんなに悲しそうな顔するなよ?みんなには泣いてる顔より笑っている顔

の方が一番似合ってるんだからさ」

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

私たちは顔が真っ赤に染まる、いきなりの不意打ちは反則だよぅ…当の本人はケロッ

とした顔してるけどさ!

 

 

「みんな?どうかしたのか?」

 

「「「「なんでもないっ!!」」」」

 

「まあ…いいけど」

 

 

私たちの思いも知らないでもう…でも絶対に振り向かせてみせるんだから!!

 

 

「とりあえず…まずはここから出ないとな、早くしないと手遅れになるっぽいし」

 

 

そう言うと真司は私たちから離れる、確かにこんな暗くて寂しいとこからすぐにで

も脱出したいしね!

 

 

「出るって言ったって…何処からでればいいのよ?」

 

「ご心配なく、ほれ」

 

 

真司が指を指す、そこには僅かだけど金色の光が見えた。あそこが出口…

 

 

「そうとわかれば早速行こう!ダッシュ!!」

 

「ちょっ!?ネプテューヌ!?」

 

「まったく…落ち着きがない…」

 

「まあまあ、何はともあれここから出れるんですからいいじゃありませんの」

 

 

意気揚々と出口を目指す私たち、早く出てネプギアたちを安心させてあげないと!

 

 

「真司!真司も早く行こうよ!!」

 

「…」

 

 

真司が黙ったままそこから動かない、それに気づいたみんなも足を止めて真司を呼

んだ。

 

 

「真司!何やってるのよ!!」

 

「早く…行きましょう?」

 

「そうですわ!あの光が消えてしまう前に早く!!」

 

「…悪いみんな、俺はここでやらなきゃいけないことがあるからさ」

 

 

言ってる意味が分からなかった、真司がやらなきゃいけないことって?それに…な

んで?

 

なんでそんなに悲しそうな顔で笑ってるの?

 

 

「何言ってるの!?真司も行こうよ!みんなだって真司のこと待って…」

 

「俺さ!この世界に来て本当によかった!」

 

 

真司が話し始める、でも私は内心焦っていた。胸騒ぎというか…なんだか落ち着け

ない、そんな感じがした。

 

 

「いつも平凡な毎日で…いつも同じ様な動作をして…何の刺激もなかった毎日だっ

た、だけどこの世界に来て…本当に毎日が楽しくて、すごく新鮮で…最高の日々が

送れた。こんなに満足することはなかった…」

 

 

何…?何なの?真司は何を言ってるの?これじゃまるで…

 

お別れの言葉を言ってるみたいじゃない!!

 

 

「真司っ!!」

 

 

私は走り出した、真司の下へ。私だけじゃない…ノワールも、ブランも、ベールも

そうだ。

 

真司に後一歩で辿り着けそうになった時、真司はそれを手で制止させた…

 

 

「ここから先はみんなは来ちゃいけない、みんなには帰る場所がある。今みんなが

行かなくちゃいけないのはそこなんだ」

 

「真司!!真司もそうだよ!!真司のことだってみんな待ってる!!一緒に…」

 

 

私は真司の手を掴もうとした、だけど掴めなかった…

 

 

「え…?」

 

「嘘…っ!?」

 

「どう…して…」

 

「真ちゃん!?」

 

 

真司の姿が透けてる!?何度真司の手を掴もうとしてもできない…なんで?どうし

て!?真司だって帰らなきゃいけないんだよ!?

 

 

「みんなが掴まなきゃいけない手は…俺の手じゃない、光の先にいる…みんなの仲

間たちの手だ」

 

「真司…っ!!」

 

「さあ、行くんだ。みんなが…ネプギアたちが待ってるぜ」

 

 

その言葉を最後に真司の姿が消えた…私たちはただボーッと見ていることしかでき

なかった、歯を食いしばりながら拳を握りしめる私…

 

でも…このままここにいちゃいけない、真司が指示してくれた道標を無駄にしない

ためにも…

 

 

「みんな、行こう…」

 

「ネプテューヌ…」

 

「真司が…まだ…!」

 

「そうですわ!真ちゃんをこのままにしておくわけには…!」

 

「わかってる!でも…真司が示してくれた道を…無駄にしたくない」

 

 

みんなの気持ちは痛いほどわかるよ?でもこのまま真司を探し続けて出口が閉じ

ちゃったらもともこうもない、真司の気持ちを踏みにじる結果になってしまう。

 

 

「もしかしたら案外真司の方が先に脱出してるのかもしれないよ?こういったパター

ンはよくあることだしね!」

 

「だと…いいんだけど…」

 

「さあ!早く行こう!ネプギアたちも心配してるだろうしさ!」

 

 

私は急かすようにみんなを煽り立て光へと向かった、でもすごく不安だよ…真司が

どうなったのか…そればっかりが気がかりだもの。

 

そんな不安を抱えながら私は出口を目指す、その先にある答えを確かめるために。

 

 

 

 

ネプテューヌSide END

 

 

 

 

 

 

 

                    ◇

 

 

 

 

 

 

 

「これは…シェアエナジーの共鳴!?」

 

 

驚愕の表情を浮かべるマジェコンヌ、そしてその光はマジェコンヌが纏うアーマー

にも確実にダメージを与えていた。

 

みるみるうちにアーマーが崩れ落ち劣化していくのがわかる。

 

 

「すごい…」

 

 

アイエフはその光景をただ見つめていた、神秘的で輝かしいその光を…

 

 

「アンチエナジーが…私の奇跡が…っ!?くっ!!」

 

 

するとマジェコンヌは空高く飛び立ち逃げようとする、だがそれをみすみす逃すほ

どネプギアたちは甘くない!

 

 

「逃がさない!!」

 

「ぐああああああああああ!?」

 

 

ユニがX・M・Bでの射撃でマジェコンヌのウィングの一つを破壊し…

 

 

「「ええええええええええええええい!!」」

 

「うああああああああああああああああああああああ!?」

 

 

ロムとラムのアイスコフィンがマジェコンヌの顔面を直撃した、その拍子でマジェ

コンヌはアンチクリスタルの結界に叩き付けられてしまう。

 

 

「ひう!?」

 

「コンパ!?」

 

 

その時悲鳴が聞こえる、コンパだ。真司についていてまだ結界の付近にいたのだ、

マジェコンヌが攻撃されたその衝撃が彼女にも伝わり軽く吹き飛ばされてしまった

がアイエフがなんとかそれをキャッチ、事なきを得た。

 

 

「大丈夫!?」

 

「は、はいです…でも真司さんがまだ!!」

 

「っ!?」

 

 

それを聞いてすぐに駆けつけようとするアイエフだが…

 

 

「おおおおおおおおおおおおおお!!貴様らあああああああああああああ!!」

 

「「「「きゃああああああああああああああああああああ!?」」」」

 

「ネプギア!?みんな!?うああああああああ!?」

 

「ギアちゃん!?きゃあああああああああ!?」

 

 

 

マジェコンヌの怒りが頂点に達し辺りのものを無差別に吹き飛ばした、そのせいで

全員がその場から吹き飛ばされ地面に叩き付けられてしまう。

 

 

「私はこんなことで終わらん!!お前らを倒し世界を我が物にするまでは!!」

 

「うああああああああああああ!?」

 

「ユニちゃん!?」

 

 

マジェコンヌの怒涛の剣撃がユニを襲いユニはそのまま岩場に叩き付けられてしま

う、あまりにも強すぎたのかそのせいで女神化も強制的に解けてしまった。

 

 

「次はお前らだ!!」

 

「「きゃあああああああああああ!?」」

 

「ロムちゃん!?ラムちゃん!?」

 

 

続いてロムとラムにレーザーでの攻撃、レーザーはまるで流星の如く二人に降り注

いだ。二人はその攻撃をもろに受け倒れる、その影響で女神化も解けてしまった。

 

 

「そ、んな…ネプギア以外全員がやられたっていうの!?」

 

「みんな…」

 

 

アイエフたちがなんとか起き上がって見た光景、ネプギア以外の女神候補生が倒さ

れた場面だった。残るはネプギアただ一人…

 

 

「さあ、後はお前だけだ。覚悟しろ…っ!!」

 

 

じりじりと歩み寄りネプギアに止めを刺そうとするマジェコンヌ、そんなマジェコ

ンヌをネプギアは鋭い視線で見つめていた。

 

 

「くっ…っ!?え…し、真司さん!?」

 

 

だがその表情はすぐに驚愕の表情へと変わった、何故なら…

 

 

「なに?うっ!?お、お前は!?」

 

「ハア…ハア…ハア…っ!!」

 

 

真司が決死の表情でマジェコンヌにしがみ付いてきたからだ、歯を食いしばりなが

ら必死で…

 

 

「絶対…に…逃がさねえ…!!」

 

「くっ!?離れろ!!」

 

 

するとマジェコンヌは真司の頭を殴り始める、何度も何度も…それでも真司は離そ

うとしなかった。

 

 

「真司さん!!止めて…もう止めて!!」

 

「ね、ネプ…ギ…ア…俺に…構わず…こいつを…!!」

 

「この…死損ないがあああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

マジェコンヌが殴るのを止めると真司を思いっきり突き飛ばす、そして手にしてい

る槍で―――

 

 

ドグシュ!!

 

 

「おごっ……っ!?」

 

 

真司の腹を串刺しにした…

 

 

「い、いやあああああああああああああああああああああああああ!?」

 

「真司っ!?真司いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

「真司さん!?」

 

 

ネプギアの悲鳴が、アイエフの叫びが辺り一帯に響き渡る。その声を聞いたユニと

ロムとラムはなんとか力を入れて起き上がった、だが今の光景を見て…

 

 

「し、真司さん…っ!?嘘…嘘…っ!!」

 

「お兄…ちゃん?い、いやあああああああああ!?」

 

「いや…お兄ちゃん…お兄ちゃん!!」

 

 

涙を流しながら、そして恐怖と絶望に苛まれながら崩れ落ちる。その姿を見たマジェ

コンヌは不敵に笑いだした。

 

 

「ふはは!どうだ!私には歯向うものはこうなる運m「あっ!?ぐうううううう!!」

っ!?な、何!?貴様!?」

 

 

その笑みも続かなかった、真司は腹を貫かれながらも左腕でマジェコンヌに掴みかかり

左腕で彼女を拘束したからだ。そして真司はネプギアの方へ向き必死で声を出し彼女を

呼んだ。

 

 

「ネプ…ギア…!!」

 

「し、真司さん…」

 

「今…の…内…に!!げぼっ!?こいつ…を!!マジェ…コンヌ…を!倒せ!!」

 

「え…?」

 

 

一瞬思考がフリーズするネプギア、だがすぐに我に返ると涙を流しながら真司に訴えか

けた。

 

 

「そんな…そんなことできません!!そんなことしたら真司さんが!!」

 

「そう…ですよ!!真司さんが死んじゃう!!」

 

「そんなこと言わないで!!お兄ちゃん!!」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」

 

 

そう、このまま攻撃したら真司が巻き添えを食って無事では済まなくなる。ましてや彼

は重体の身体なのだ、命の保証はまずない。

 

そんなことをネプギアが良しとするのか?それは否だ、仲間思いでとても優しい彼女が

真司を犠牲になどできるはずがなかった。それはユニもロムもラムも同じ…今必死に真

司を止めようとしていた。

 

 

「甘ったれてるんじゃ…ねえ!!」

 

「っ!?」

 

 

だがそんな彼女たちに真司が怒りの声を上げる…ネプギアはわけもわからず顔を上げた、

真司は更に言葉を続けた。

 

 

「お前たち…は…女神…なんだ!!この…世界の…象徴…で!!げふっ!?この…世界を

…守る…もの…なんだ!!」

 

「「「「……」」」」

 

「そんな…お前たち…が!!…こいつ…みたいな…悪いやつ…を!!…この…まま…野

放しに…する…のか?…こいつに…!!…この世界…を!!お前たちの…好きな…人た

ちを…好きに…させて…いいのか!!」

 

「「「「っ!!」」」」

 

「お前たちには…この…世界を…守る…義務が…ある…はずだ!!がふっ!?この世界

の…未来…を…みんなを…救うため…に…!!」

 

「~~~~~~~~~~っ!!!!!!!!!!!!」

 

 

ネプギアは涙する、その眼からは涙が止めどなく流れ落ちた…そしてネプギアは自身の

武器を、M・P・B・Lを構えエネルギーをチャージする。

 

 

「撃て!!ネプギアあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「うあ…ああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

エネルギーが最大までチャージされ、出力最大のビームの本流が放たれる。その本流に

マジェコンヌと真司は飲み込まれた、それと同時にアンチクリスタルの結界もひび割れ

粉々になってゆく…

 

 

「そんな…ばかなああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

「………」

 

 

 

よくやった、ネプギア―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風が吹く、冷たい風が…

 

 

ネプギアはその場で立ち尽くした。ユニはアイエフに、ロムとラムはコンパに抱えられ

漸く立てると言ったところだ。

 

 

「真司さん…お姉ちゃん…」

 

 

ネプギアの口が重く、そしてゆっくりと開いた。声が空しく響き渡る…

 

 

「真司さん…お姉ちゃん…何処?何処なの…?」

 

『ここよ、ネプギア…』

 

 

声が聞こえる…その声がする方へ振り向くとそこには…

 

 

「お姉ちゃん…お姉ちゃん!!」

 

 

ネプテューヌが、ネプテューヌだけじゃない…ノワールもブランもベールも全員無事に

生還した姿が目に映った。

 

ネプテューヌたちはネプギアたちの下へ舞い降り傍へ寄る、そして優しい笑顔を向けた。

 

 

「「お姉ちゃん!!」」

 

「子供みたいに泣くなって…ごめんな、心配かけて…」

 

 

ロムとラムがブランに駆け寄り抱きしめ胸の中で泣く、その様子にブランはフッと笑い

二人を抱きしめた。

 

 

「お姉ちゃん…」

 

「…だいぶ成長したじゃない、ありがとう」

 

「っ!お、お姉ちゃん!!」

 

 

ユニもノワールに抱き着く、そのユニの頭をノワールは優しく…壊れ物を扱うように撫

でた。

 

 

「お姉ちゃん…私…私…!!」

 

「頑張ったわね、ネプギア…大丈夫よ、これからはずっと…一緒にいてあげるからね」

 

「~~~~~~~~っ!!お姉ちゃん!!」

 

 

ネプギアは涙を流しながらネプテューヌに抱き着いた、それをただ優しく…優しく受け

止めるネプテューヌ。そんな中ただ一人…

 

 

「……ふう」

 

 

ため息をつくベール、その眼はどこか物悲しそうだ…そんな姿を見たネプギアは優しく

ベールに抱き着き…

 

 

「ベールさん、お疲れ様…」

 

「っ!!…ありがとう」

 

 

慰安の言葉を贈る、そして心休まる表情でネプギアを抱きしめた。ネプテューヌはやれ

やれと少し笑う。だが…

 

 

「…真司は?真司は何処なの?」

 

 

ネプテューヌが辺りを見渡しながらつぶやく、その言葉にネプギアは我に返ったのかわ

なわなと震えだしその場に崩れ落ちてしまった。

 

 

「ネプギア!?どうしたの!?」

 

「し、真司さん…真司さんは…っ!!」

 

「真司が?真司に一体何があったの!?」

 

 

ネプテューヌは崩れ落ちたネプギアの肩を掴み必死に問いただす、するとネプギアは涙

を流しながらネプテューヌに答えた…

 

 

「マジェコンヌを倒すために…あの人を逃がさないために…串刺しになって!!必死で

羽交い絞めになって!!私に攻撃しろって…自分を犠牲にして!!私…私…!!」

 

「っ!?真司…!!」

 

 

ネプテューヌはプロセッサのウィングを展開し全力で飛び立った、みんなも決死の表情

で飛び立ち走り出す…

 

全ては、真司を探すため――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラッ…

 

 

 

 

 

 

身体中が…痛い…

 

右腕もすごく痛い、眼も腹も肩も足も…焼けるようだ…

 

でもなんでかな?一歩も動けないや、はは…まいったな…

 

…みんなは無事だろうか?それだけがすごく気がかりなんだよなあ…

 

 

 

 

ネプギア…ユニちゃん…ロムちゃん…ラムちゃん…あんなきついこと言ってごめんな…?

 

アイエフもコンパも俺の我儘に付き合ってくれてありがとう…

 

 

 

「―――――――――っ!?――――――――っ!!」

 

 

声が…聞こえる?誰だろう?この声…聞き覚えがある…

 

 

…ネプ…テューヌ?

 

 

ノワール…ブラン…ベル姉も…みんな…無事だったのか…よかった…本当に…!!

 

 

「-――――――――っ!!――――――――――――っ!!」

 

「-―――――――――っ!?」

 

「-――――――っ!!」

 

 

何言ってるかわかんない…でも…

 

 

なんでみんな泣いてるんだよ…

 

 

 

せっかく助かったんだぜ?みんなと再会できたんだぜ?ここはもっと喜ぶところだろ?

 

 

「-――――――――――っ!!――――――――――――っ!!!!!!!!!」

 

 

ネプテューヌ…前にも言っただろ?俺は…笑ってるネプテューヌの方が―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

好きだって――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「真司っ!?ねえ…何やってるのよ!!起きなさいよ!!」

 

「一人でくたばってんじゃねえぞ!!おい!!真司!!真司!!」

 

「真ちゃん…っ!!嘘…こんなの嘘ですわ!!」

 

「真司…いや…いやああああああああああああああああああああああああ!?」

 

 

泣きながらも何度も揺り動かすネプテューヌたち、だが真司が起きる気配は全くなかった…

 

 

 

 




次回とうとう真司が…

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