ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕   作:ULTRA-7

25 / 64
後編なのに長い!?なんとか描き切りました!

ユピテルを完全に悪人にしてしまったのですが…いいっすよね?

では本編スタート!!


第二十五話 リーンボックスの歌姫、5pb.!! 後編(改稿中)

「加賀美くん、5pb.ちゃんと一緒に仕事をしてみないかね?」

 

「…はい?」

 

 

局長さんがいきなり現れて何を言い出すのかと思ったら…5pb.と一緒に

仕事?…どーいうことなんじゃい!?

 

 

「あ、あの…いまいち理解が…」

 

「おお、すまんすまん。話を曲げすぎた、正確には明日5pb.ちゃんが出

演する歌番組に君も出てみないかねと言おうとしたのだ、いやはや間違

って一緒に仕事をしないかなんてお恥ずかしい」

 

「あ、あはは…そ、そうですよねえ…」

 

 

さすがに安心したよ、まさか一般人の俺がアイドルとすぐに仕事なんて

ねえ…でもなぜに俺?

 

 

「局長さん?なぜ真ちゃんを?」

 

「ええ、それはさっき聴いた彼の歌ですよ」

 

 

歌?俺が歌ってたの丸聴こえだったのか!?うわあ…恥ずかしい…!!

恥ずかしさのあまり思わず頭を抱えうつ伏せになってしまう、そんな俺

を5pb.は優しく励ましてくれた。

 

 

「さ、さっきの歌すごくよかったよ!優しくて…勇気が出てくるような

そんな感じがした」

 

「そ、そうか?」

 

 

高校の時はバンドやってたからなあ…散々歌ってたし歌うことは好きだ

な、ギターなんかは特撮の曲が引きたくて猛練習したっけ…

 

 

「私もその歌を聴いて感動したのだよ、無理にとは言わないが…」

 

「俺なんかが出てもいいものなんですか?」

 

 

内心不安だったが局長さんはニッコリと笑い返事をくれる。

 

 

「大丈夫!その歌番組はアマチュアからプロまで幅広く出演する言わば

大規模なカラオケ大会のようなものなんだ」

 

「なるほど…」

 

 

それでも俺が出ていいのかな…正直言って自信が…

 

 

「真ちゃん、出てみてはどうでしょうか?」

 

「ベル姉?」

 

 

不安な心境の俺の背中をベル姉が押してくれる、不思議と不安な気持

ちが消えた。

 

 

「私もさっきの歌を聴きましたわ、すごくよかったですもの。それに5pb.

ちゃんのお墨付きですわ、真ちゃんなら十分出る資格があります」

 

「ベル姉…うん!俺やってみる!」

 

「そうか!引き受けてくれるかね!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

 

これも経験の内!と言えば話は早いが…やばい…緊張してきた、今更だと

は思うが…

 

 

「俺はそれまで何すればいいんでしょう…?」

 

「そうだね…うん!5pb.ちゃん、彼にレッスンをつけてあげてもらいたい

のだが…どうかね?」

 

「ぼ、僕がですか?」

 

「経験者である君にアドバイスを貰えば加賀美くんもきっと安心すると思

うのだが…お願いできないか?」

 

 

それはありがたい申し出だが…いいのだろうか?俺はともかく5pb.に迷惑

がかからないといいけど。

 

 

「…僕でよかったら!」

 

「おお!引き受けてくれるのか!ありがとう!」

 

「え?いいのか…?」

 

 

元気に局長さんに挨拶をし了承してくれた5pb.、それと同時に俺は少し申

し訳ない気持ちになる。俺のために時間を取らせるなんてことしてもよか

ったのだろうか…

 

 

「僕も明日のために練習しようと思っていたんだ、それに一人で練習をし

てるとどうしても自分じゃ気づかないところとかあるでしょ?そう言うと

ころを真司くんにも見てもらいたいかなって。勿論真司くんの練習もちゃ

んと付き合うよ、どう…かな?」

 

「そう言うことなら!俺の方こそよろしくお願いします!」

 

 

5pb.にお辞儀する、アイドルに、しかもあんなにすごい歌を歌えるこの子

に練習を見てもらえるなんて!内心心が躍った。

 

 

「練習場の場所は5pb.ちゃんが知っている、中の楽器や機材は好きなよう

に使ってくれて構わない。思う存分練習してくれたまえ」

 

「それでは真ちゃん、私は一旦教会に戻りますわ。時間になりましたら迎

えにきます、それまで頑張ってくださいな」

 

「はい!」

 

 

ここで局長さんとベル姉と別れ俺は5pb.とともに練習場へ向かうことにな

った。確かに緊張してるがそれと同じくらいワクワクしている自分がいる

ことに気づく、今から楽しみだ!

 

 

 

 

 

 

 

                  ◇

 

 

 

 

 

「~~~~~~♪」

 

「相変わらずすげえ…」

 

 

今現在練習場、俺はまずお手本にと5pb.の歌を聴かせてもらっていた。音

程、音量、その全てが完璧だった。

 

そして丁度歌い終わり5pb.は俺の下へ歩み寄る、反射的に俺は拍手してい

た。やっぱりすごい!

 

 

「どうだったかな?音程とか外れてなかった?」

 

「俺は外れていないと思ったよ、素人意見だから参考になるかはわからな

いけど…」

 

「ううん!十分に参考になるよ、ありがとう」

 

 

ニッコリ笑ってお礼を言ってくれる5pb.お礼を言うのはこっちの方だとい

うのに…本当にいい子だな…

 

 

「俺の方こそありがとう、練習に付き合ってもらって。でもどうして付き

合ってくれたんだ?」

 

「う~ん…なんでなのかな?僕もわかんないや、だけど…」

 

「?」

 

「なんとなく…一緒に練習してみたいなって思って、真司くんのこと知り

たいなって…」

 

「…へ?」

 

 

俺のことを知りたい?それはどう言うこっちゃ?すると5pb.は顔を真っ

赤にしてあわあわと慌てた、そりゃあもう見た感じ壊れた機械人形みたい

にカクカクしながら。

 

 

「あ、ああああああああの!?知りたいというのはそう意味じゃなくてベ

ール様が真司くんのことをすごく信頼してたからつまりそう意味であって

変な意味じゃなくてあうあうあうあうあうあうあうあうあう!?」

 

「わ、わかった!わかったから落ち着け!?」

 

 

深呼吸させどうにかして落ち着かせる。俺は若干苦笑い、まさかこんなに

取り乱すとは…

 

 

「ご、ごめんね…取り乱しちゃった」

 

「いいって、それじゃあ次は俺の…」

 

「ずいぶんと余裕だね、5pb.」

 

 

ふと誰かに話しかけられる、振り向いたらそこには男が三人こちらを見て

佇んでいた。こいつら一体誰だ?

 

 

「ユピテルのみんな…」

 

「ユピテル?それじゃあ5pb.と同じアイドル…」

 

「おいおい、俺たちをこいつと同じにされちゃあ困るなあ」

 

「いずれ僕たちはこのアイドル界を背負って立つものなんだからさ」

 

 

…感じ悪っ!いかにも俺様主義のような奴らだ、言葉を聞いてて胸糞が悪

い。

 

 

「世間では君がナンバーワンだと思ってるのだろうが…それもここまでだ、

明日の音楽コロシアムでは目にものみせてやるよ」

 

「君よりこの僕たちユピテルこそが真のナンバーワンだということをね、ハ

ッハッハ!」

 

「別に僕はそんなこと…ただみんなのために歌えたら僕は…」

 

「その余裕っぷり、ますます気に食わないね。それにみんなのために歌うだ

って?そんなこと思うのは君だけだよ、歌はビジネス!自分たちの有能さを

魅せるためにやるものだ!」

 

「そんなことない!歌は…そんなことのためにあるんじゃないよ!」

 

 

涙目になっても必死に言い返す5pb.、そんな彼女をユピテルの三人はあざ笑

う。

 

 

「いい子ちゃんぶるなよ、お前だってそう思ってるんだろ?」

 

「それとも僕たちのような有能なアイドルに蹴落とされるのが怖いのかい?」

 

「安心しな、今からでも蹴落として…「いい加減にしたらどうだ?」なに?」

 

 

さすがの俺もここまで言われてたら黙ってるわけがない、とっさに声をかけ

たが…ユピテルの三人は俺を馬鹿にするような眼で見た。

 

 

「おやおや、君は一般人のようだが…何でこんなところにいるんだい?」

 

「明日のその音楽コロシアムに俺も出るからだ、そのために5pb.にいろいろ

教えてもらってる」

 

「君みたいな何の変哲もないやつが?これは傑作だ!ハハハ!恥をかきに来た

ようなものじゃないか!」

 

「それに5pb.に教えを乞うとはね、こんな人見知りのどこがいいんだか…教え

てもらう人は選んだ方がいいよ」

 

 

笑いだすユピテル、5pb.は何も言い返せずに俯いていた。その表情は何とも言

えないほど悲しそうに見える…

 

 

「君がどうしてもと言うのなら僕たちが特別に教えてあげても…」

 

「結構だ、人ぐらい自分で選べる。それに…お前たちみたいに自意識過剰で己

に酔っているやつらに教えてもらうことなんかなにもない!」

 

 

俺の言葉に三人は憤慨した、だが俺はこの言葉を撤回する気はさらさらなかっ

た。俺はユピテルを見据える、真剣に…怒りを込めて。その時ユピテルの一人

が俺に突っかかってきた。

 

 

「なんだと!!もういっぺん言ってみろ!!」

 

「何度でも行ってやるよ、お前たちは自分たちの地位にただ酔ってるだけの哀

れなやつらだってな」

 

「言わせておけば…」

 

「だってそうだろ?自分たちがナンバーワンだと疑わず他人を下に見る、自分

たちが有能だと見せつける、自意識過剰以外の何物でもないだろ?」

 

「くう…!」

 

「それに…」

 

 

怒りの表情が露わになってきたユピテル、俺はそこからさらに言葉を畳み掛け

た。

 

 

「本当の名店は看板さえ出していない、5pb.のようにな。お前たちはさながら

派手に着飾ってるだけの廃れた店そのものだ」

 

「…ふっ、君みたいな一般人なんかに僕たちの魅力がわかるまい!行くぞ!シ

ョウ!ハリー!」

 

「お、おい!ケン!!」

 

「ちっ…!」

 

 

ユピテルの三人は悪態をつきながら練習場を後にした、ここに残ったのは俺と

5pb.の二人だけである。ああ…言いたいこと言えてすっきりした!

 

 

「し、真司くん…」

 

「ん?5pb.?」

 

「ごめんなさい…」

 

 

気分もすっきりした今日この頃、5pb.は申し訳なさそうな表情で俯いていた。

そして俺に頭を下げ謝ってくる、いきなりのことだったので驚いてしまった。

 

 

「僕のせいで不快な思いをさせちゃったね…本当にごめん…」

 

「いやいや、5pb.のせいじゃないだろ?悪いのはあいつらユピテルなんだか

らさ、5pb.が気にするようなことじゃないさ」

 

「でも…そのせいで真司くんに何かあったら…」

 

「いいの、それに俺あいつらみたいなやつら大っ嫌いなんだ。それに言いたい

こと言えたからすっきりしたしな!」

 

「真司くん…」

 

 

少しだけだが5pb.の顔に笑顔が戻った、やっぱりこの子には泣いてるような顔

じゃなく笑ってる顔の方がいい。ステージに立って堂々と歌い、みんなを魅了

させていたあの時の表情のように…

 

 

「この話はこれでお終い!それにここには練習のために来たんだから、次は俺

の番だったしよろしく頼むよ!」

 

「…うん!まかせて!」

 

 

俺たちは練習に励む、明日精一杯歌うために…

 

 

―――――

 

 

「ちくしょう!気に食わねえ!!何なんだアイツは!」

 

「落ち着けよ、ケン。どうせ一般人の言葉だ、気にすることねえよ」

 

 

廊下でも悪態をつくユピテル一行、その内の一人、リーダー格のケンはまだ腹

の虫が治まらないでいた。

 

 

「僕たちは有能で誰よりも優れてるはずなのに…全て5pb.のせいだ!!アイツ

さえいなかったら…クク…そうだ」

 

 

ケンの表情は歪んでいた、まるで悪魔のごとく…

 

 

「5pb.…明日のステージ…無事に立てると思うなよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    ◇

 

 

 

 

 

そして当日――

 

 

「いよいよか!昨日はみっちり練習したし…後は精一杯頑張るだけだ!」

 

「ふふ♪期待してますわ、真ちゃん」

 

 

会場の楽屋の中、俺は期待で満ち溢れていた。5pb.のおかげでたくさんアドバ

イスも貰えて充実した練習をすることが出来たし!昨日こそ緊張してたけど今

はワクワクの方が勝っているのを感じた。

 

コンコン

 

ん?誰かが楽屋のドアを叩く音が聞こえる、俺はドアを開けてみる。するとそ

こには5pb.が笑顔で俺の前に立っていた。

 

 

「真司くん、今日は頑張ろうね!」

 

「おう!5pb.にいっぱいアドバイスしてもらったんだ!全力を出し切ってみせ

るさ!」

 

「あらあら♪5pb.ちゃんと短い期間でここまで話せるようになるなんて、やっ

ぱり真ちゃんはすごいですわね♪」

 

 

俺がすごいとはどう言うこっちゃ?褒めてくれてるんだろうけどどういう意味

で…まあいいか。

 

 

「それじゃあ真司くん、また後で」

 

「おう!またな!」

 

 

一旦別れる俺たち、さて…まずは機材の準備とか衣装選びとかいろいろあるし

な、そう思い俺は楽屋を出た。

 

 

―――――

 

 

「さあ!いよいよ始まりました音楽コロシアム!略してオンコロ!実況はこの

俺DJノブハルが受け持つぜ!今日は一体どんな歌手たちが俺たちの心を振るわ

せてくれるんだ!!みんな!準備はいいか!!」

 

「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」」

 

 

会場からの歓声が波のように押し寄せてきた、すげえ…俺はこんなすごいとこ

ろで歌うことができるのか!緊張とワクワクとドキドキが治まらない!

 

 

「真ちゃん、私は観客席で見ていますから。頑張ってくださいね♪」

 

「おう、ベル姉もここまで付き添ってくれてありがとう」

 

「いえいえ、弟を気遣うのは姉として当然ですもの。それじゃあ…」

 

 

ベル姉は人ごみを軽やかに躱し観客席の方へ、俺はまず深呼吸…ふう…よし!

 

 

「俺の出番はまだ先だし、まずは他の人たちの歌を聴くことからだな」

 

 

最初は一体誰なんだろう?ワクワクして会場を見たのだが…

 

 

「トップバッターはこちら!話題のイケメンユニット!ユピテルだ!」

 

「ふふ…僕たちの歌に酔いしれるといいよ!」

 

「ゲッ…」

 

 

よりにもよってこいつらかよ…会場の方は…

 

 

「きゃ~!!ユピテルよ~!!」

 

「ケン様~!!ショウ様~!!」

 

「ハリー様~!!」

 

「早速僕たちの魅力に酔った子たちがいるね…いいよ!さあ!もっと僕たちに

声援をくれたまえ!」

 

 

…キザにもほどがある、しかも騒いでるの女の子たちだけだし…男たちは逆に

面白くなさそうな顔してるし…ハッ!?まさかベル姉も…

 

 

「…」

 

 

ホッ…ベル姉はそんなことないみたいだ、逆に険悪の表情を浮かべている。俺

だってそうだ、昨日あんなことがあったのにあいつらに好感を持てというのに

無理がある。

 

 

「それじゃあ一曲目!行くよ!!」

 

 

会場はある意味最悪な形でスタートすることとなった…

 

 

―――――

 

 

だいぶ歌い進み残りの参加者はあと数名、アマチュアの人もプロの人もどれも

すごかった!ユピテルを除けばだけど…次はいよいよ5pb.の番!俺はその次

だ、少し緊張してきて…

 

 

「おい!どうした!!」

 

「大変なんです!!5pb.ちゃんの…」

 

 

…え?さっき5pb.の名前が出てこなかったか?それに大変って…俺はその場に

いたスタッフに声をかけた。

 

 

「すみません!その…5pb.がどうかしたんですか?」

 

「え?ああ、彼女の衣装とこれから使う機材が滅茶苦茶にされていたんだよ!

一体誰がこんな…」

 

「っ!!5pb.!!」

 

「あっ!?君!どこへ!?」

 

 

スタッフさんの声を後目に俺は全力で走った、5pb.の下へ急がないと!!俺

はただそう思った。

 

 

機材・衣装格納場所――

 

 

「5pb.!」

 

「し、真司くん…」

 

 

力なく返事を返す5pb.がそこにいた、目の前には滅茶苦茶になったギターや照

明類の機材、そして切り刻まれた衣装だった。

 

 

「誰がこんな…!」

 

「わからない…でも…このままじゃ僕ステージに立てないや…」

 

 

俯く5pb.、俺はどう返事を返していいかわからなかった。今変に声をかけても

彼女を傷つけてしまうんじゃないかと思ったから…

 

 

「衣装やギターならなんとかなりますが…機材の方が…」

 

「誰かから借りることはできないんですか?」

 

 

スタッフの人に声をかけてみるが…スタッフさんは首を横に振る。

 

 

「他の出場者の機材の準備はもう終わっています、借りるにもそれ相応の手配

が必要ですし…ステージが終わった人たちの機材はほとんどが持ち込みなので

すでに片付けられてしまっています」

 

「他に方法は…」

 

「仮に借りるのであれば…誰かの出場を破棄しなければ…」

 

 

俺は考え込む、実質誰かの出場を停止しなければ機材は確保できない…ならこ

の方法しかないよな。

 

 

「それだったら俺が出場を取り消します、そうしたら機材の方は全て5pb.の方

に回せるはずです。もともと俺の機材はこのテレビ局のものだし、局長さんに

言えばすぐにでも…」

 

「そ、それはダメだよ!!」

 

 

俺の提案に5pb.は待ったをかけた、自分の代わりに誰かの出場が取り消される

のが嫌なのだろう。でも俺は5pb.の肩に手を当て話した。

 

 

「いいんだよ5pb.、俺は飛び入りみたいなものだったんだ。俺と5pb.をどっ

ちを取るかって言われたら…間違いなく君だよ、君には君を待っているたくさ

んのファンの人たちがいるんだ」

 

「それでも…!真司くんが昨日頑張ったこと無駄にさせたくない!僕が素敵だ

なって思った真司くんの歌をみんなにも聴いてもらいたいんだ!僕のことで真

司くんが出られないなんて…そんなの嫌だよ…」

 

「5pb.…」

 

 

しかし困った…5pb.の気持ちは嬉しい、だけどどっちか一方が取りやめない限

り話は進まない。どっちか一方…二人…っ!!

 

 

「5pb.」

 

「真司くん?」

 

「俺と…悪魔と相乗りする勇気はあるか?」

 

「え…?」

 

 

 

 

                  

 

 

 

                    ◇

 

 

 

 

 

 

「さあ!オンコロもいよいよ大詰め!!次はいよいよ…リーンボックスが誇る

歌姫!!5pb.ちゃんの登場だああああああああああ!!」

 

「「「「「「おおおおおおおおおおおお!!」」」」」」

 

 

観客席から盛大な歓喜が沸き起こる!それを横に怪しい笑みを浮かべてる三人

組がいた、ユピテルだ。

 

 

「ククク…アイツが出れないことを知らないで…」

 

「今頃泣きわめいているだろうな!衣装はビリビリに…機材は滅茶苦茶だから

な!」

 

「俺たちがやったことも知らないで…ククク」

 

 

そう、5pb.の機材などを滅茶苦茶にした犯人はユピテルだったのだ。5pb.を

蹴落とすため…ファンからの信頼をなくすために彼らが仕組んだことだったの

だ。

 

 

「アイドルのトップはこの俺たち、ユピテルのものだ…」

 

 

まさに勝利の笑み、だがそこでいきなり照明が落とされ周りが真っ暗になる。

 

 

「っ!?なんだ!?」

 

「おおっと!いきなりアクシデントか!?」

 

 

周りからはどよめきが聞こえてくる、その時だ。ステージの中央にスポット

ライトが当たる、そこには…

 

 

「なに!?5pb.!?」

 

 

5pb.がいつもの衣装にハット帽をかぶり立っていた、そして立っているのは

5pb.だけではない…

 

 

「おや!?5pb.ちゃんと背中合わせに立っているこの男性は一体誰だ!?」

 

「アイツ…昨日の!!」

 

 

真司が緑を強調したロングパーカー、そしてギターを抱え5pb.と背中合わせ

に立っていた。

 

 

「おお!ここで5pb.ちゃんの曲の変更届が来たぜ!どうやら一緒にいる男性

とデュエット曲を披露してくれるようだ!これは斬新!!胸が高鳴ってくるぜ

えええええええええええええええええええ!!」

 

「デュエット…ふん!今までソロで歌ってきたやつにできるわけが…」

 

 

強がってはいるが内心焦っているユピテル一行、そんな思いを断ち切るかのよ

うにDJノブハルがスタートの合図をかける。

 

 

「それじゃあ聴いてもらうぜ!『W-B-X~W-Boild Extreme』!!」

 

 

曲の開始とともにジャズの演奏が入る、そして5pb.と真司の歌が始まった!

 

 

「~~~~~~~~♪」

 

「こ、これは…!?」

 

 

今まで聞いたことのないものだとユピテルの一人、ケンは感じた。それは観

客のみんながそう思ったらしく…

 

 

「すげえ!こんな曲今まで聞いたことない!!」

 

「歌詞もカッコいい!!それに隣にいる男の人も素敵!!」

 

「本当だよな!5pb.ちゃんとデュエットするのも頷けるぜ!」

 

 

観客席の人たちは絶賛していた、それを聞いたユピテルたちはものすごく気

にくわない表情をし、悪態をついた。

 

 

「何故だ!なんでこんなやつらを…!!」

 

「俺たちがナンバーワンのはずなのに!!」

 

「あんな一般人の何処がいいと言うんだ!!」

 

 

悪態をつくもそんなものは届かない、響くのは歓喜と絶賛の嵐それだけだ。

 

 

「真ちゃん…素敵ですわ~!!」

 

 

ベールも真司の姿に思わず声を上げてしまう、真司はそれを見て笑顔を向け

る。それはベールだけじゃなく応援してくれている観客全員に向けての笑顔

だった。

 

 

「~~~~~~~~♪」

 

 

曲もいよいよ最終局面に入った、真司と5pb.の額からは大量の汗が流れ出る

。だがそれすらも今は二人を輝かせる宝石にしか見えない、そして…

 

 

「さあ…」

 

「お前の罪を…」

 

「「数えろ!!」」

 

 

二人揃って観客席へ向けての決めポーズ、二人は肩で息をしていたがその顔は

笑顔そのもの。全力を出し切った顔だ。

 

 

「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」」

 

 

そして観客席からは歓喜の嵐!二人のデュエットは大盛況だった!

 

 

「ブラボー!!最高で素晴らしい曲だったぜ!!まさに二人で支え合いともに

立ち向かう…今の彼らにい相応しい!!みんな!!この二人に今一度盛大な拍

手を!!」

 

 

そして響き渡る拍手の嵐、二人は手を繋ぎ観客席の全員にお辞儀をしその場を

去っていった。

 

 

「…行くぞ」

 

「お、おい!ケン!!どうすんだよこれ…」

 

「安心しろ、手はまだある。明日だ…明日こそ…」

 

 

5pb.をこのアイドル界から引きずりおろしてやる…!

 

 

 

 

 

 

 

                     ◇

 

 

 

 

 

「はあ~…よかった…成功して」

 

 

俺は楽屋でホッと一息、あの後は大盛況でオンコロの幕は閉じられた。いい

経験させてもらったよ…

 

 

「お疲れ様でしたわ、真ちゃん。すごくかっこよかったですわよ♪」

 

 

そう言ってティーカップに注がれた紅茶を差し出してくれたベル姉、うん…

今この紅茶の香りが身に沁みるな、安心する感じ。

 

 

「ありがとう、ベル姉」

 

「どういたしまして、5pb.ちゃんもいかがですか?」

 

「あ、はい…いただきます」

 

 

楽屋には5pb.もいた、俺が誘ったのだ。一人でいるよりも大勢でいた方が

楽しいと思ったから、そして今日一緒に歌い合った仲間だから。

 

 

「真司くん…今日は本当にありがとう、助けてくれて…」

 

「ん?ああ、別にいいよ。俺の方こそ無茶振りみたいな感じで悪かった」

 

「どうかいたしましたの?」

 

「実はね…」

 

 

俺はベル姉に事の次第を話した、それを聞いたベル姉は驚きとお怒りの表

情を見せたが…5pb.がいるのでその場は自重した。

 

 

「真ちゃんがソロで歌わなかったことには納得しましたわ、でも5pb.ちゃ

んにここまでの仕打ちをする人がいるなんて…見つけたらどうしてくれま

しょう…ふふふ…」

 

「いやベル姉、それ怖いから!?女神が直接審判下すなんてシャレになら

ないから!?」

 

 

なんとか宥めるが…正直安心できん、5pb.も苦笑いだし…

 

 

「あはは…ふう、真司くん。とにかく本当にありがとう、なんだか真司く

んに助けられてばかりだね」

 

「そうか?俺は歌に関しては相当5pb.にお世話になったけど?」

 

「ううん…人見知りな僕に優しく接してくれた、ユピテルのみんなから僕

を庇ってくれた…それに今日は僕のためにデュエット曲を提案してくれた

…いっぱい、真司くんには助けられたよ」

 

 

そう言われると照れてしまう、頭を掻き俺は照れ笑いを浮かべた。その様

子を5pb.は笑顔で見つめていた。

 

 

「なんでそこまでして僕を助けてくれるの?知り合って間もない僕のこと

を…」

 

「え?う~ん…そうだな、昨日5pb.が言ってたよな?歌は聴いてる人を笑

顔にする…聴いてる人の心を癒して元気にしてくれる…僕の歌で少しでも

聴いてる人がそうなってくれたらすごく嬉しいなって」

 

「うん…」

 

「その思いを…守りたかったからかな?」

 

「え?」

 

 

目を丸くする5pb.、俺はそのまま話を続けた。

 

 

「5pb.のその気持ち、俺すっごく感動したんだ。それを体現してることも

本当にすごいと思った、だからあの時ユピテルの連中が馬鹿にしたことも

許せなかったし5pb.が出場できなくなることも黙っていられなくて…」

 

「真司くん…」

 

 

ある意味俺の憧れだと思う、自分の理想の言葉を体現する…こんなことを

できる人間はそうそういない。だからこそそれを馬鹿にする行為や汚す行

為が許せない…そう思ったからだと俺は思う。

 

 

「これからもそれは変わらない、もし5pb.の夢を馬鹿にするようなやつが

出てきたら俺は許さないと思う…」

 

「…そっか、真司くんらしいのかな?」

 

「あはは、あ、それと」

 

「?」

 

「そんな時は俺は絶対に5pb.のところに駆けつける、そして…絶対に君の

ことを守ってみせる!」

 

「~~~~~~っ!?」

 

 

その瞬間5pb.の顔が真っ赤に染まった、そしてあわあわとものすごい慌て

っぷりだ。え?俺何か言ってしまったのか!?

 

 

「真ちゃん…それ完全に殺し文句ですわ…」

 

「え?殺し文句?」

 

「はわわわわわわわわわ!?」

 

 

ダメだ…ベル姉の言葉の意味がさっぱり分からん…その間も5pb.の赤面と

混乱は収まらずグダグダにその場は終わった。

 

 

―――――

 

 

そしてその次の日、今日はリーンボックス滞在の最終日だ。最終日と言う

ことで本日の仕事はお休み、俺とベル姉は5pb.のライブ会場へ足を運ぶ

こととなった。

 

 

「昨日まさか5pb.がチケットをくれるなんて…感謝だな~」

 

「そうですわね、しかも特Aクラスのチケット。一般ではまず購入は不可

能なものですし、本当に感謝ですわ」

 

 

あの歌がまた聴けるとなると本当に嬉しい!俺は期待に胸を膨らませなが

ら会場の関係者専用の入口へと足を運ぶ、まずは5pb.に挨拶を…

 

 

「べ、ベール様!!」

 

「あら?局長さん、どうしたのです?そんなに慌てて…」

 

「5pb.ちゃんが…!」

 

「5pb.がどうかしたんですか?」

 

「5pb.ちゃんが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       誘拐されてしまった!!」

 

 

 

 

 

 




次回は通りすがりの…ゲフンゲフン!

5pb.救出作戦開始!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。