ゲイムギョウ界に来てしまった!?〔改稿中〕   作:ULTRA-7

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温かい回にしてみたのですがうまくできてるといいですね…

ブランもこの回で自分の気持ちを再確認しますので!そこんとこよろしく!


第十八話 温かい気持ち(改稿中)

「ふわ~…朝か…」

 

 

みなさんおはようございます、昨日ルウィーについた加賀美真司です。

眠い目を擦りながら俺は着替えを始めカーテンを開ける、外は素晴らし

い快晴!雪が積もってるところはキラキラと白銀の光を放っていた。

 

コンコン

 

「真司、起きているかしら…?」

 

「ブラン?うん、起きてるよ」

 

 

ブランが俺を起こしに来てくれたみたいだ、俺は部屋のドアを開けブラ

ンを出迎える。

 

 

「今朝ごはんができたから呼びに来たの、大丈夫かしら?」

 

「うん、丁度お腹も空いたところだしよかったよ」

 

「それじゃあ行きましょう、ロムとラムも待ってるわ…」

 

 

ニッコリとほほ笑み俺を誘導するブラン、俺は背伸びをし、欠伸をしな

がらブランについて行った。

 

 

―――――

 

 

「お兄ちゃん、おはよう…」

 

「おはよう!お兄ちゃん!」

 

「ロムちゃんラムちゃんおはよう、二人とも早いね」

 

 

食事の席にはすでにロムちゃんとラムちゃんが座っていた、フィナンシ

ェさんもニコニコしながら俺たちを出迎えてくれる、さすがはメイドさ

んだ。

 

 

「それではブラン様と真司様もそろったところですし、朝食にしましょ

う、真司さま、どうぞお座りになってください」

 

「あ、どうも…」

 

 

フィナンシェさんは俺を誘導して席に座らせてくれた、こんなやり取り

は元の世界でも滅多にお目にかかれないものだから緊張したりする。

 

 

「それじゃあ…いただきます」

 

「「「いただきます!」」」

 

「はい、召し上がれ」

 

 

そして出てきたたのはシンプルな野菜のスープにパン、洋食の朝の定番の

ものだ、スープを一口すする…野菜の甘さとスープの温かさが全身に広が

る感じがして心地良い、パンも焼き立てで香ばしい、思わず笑みがこぼれ

るほどだ。

 

 

「これ全部フィナンシェさんが?」

 

「そうだよ!フィナンシェの料理とってもおいしいんだから!」

 

「恐縮です」

 

「謙遜することないわ…いつもこれだけの料理を作ってくれて、感謝して

る」

 

 

ブランに褒められて照れるフィナンシェさん、でも本当においしい!俺は

その後も出された料理に舌鼓を打ちながら楽しんだ、すごく温かい気持ち

になる料理を。

 

 

 

 

 

 

               ◇

 

 

 

 

「それじゃあ真司…今日はお願いね」

 

「了解、この書類の整理から始めればいいか?」

 

「ええ…私はこっちを終わらせるから…」

 

 

朝食の後一息つき、俺はブランとともに仕事を開始した、お互いに黙々と

書類に手を出し片付けていく。

 

 

「(ブランすごいな、もうあんなにあった書類の山を片付けてる…しかも

手際がいいし、さすが長年ルウィーを治めてる女神様だよな)」

 

 

内心驚きと感心でいっぱいになる俺、そんな気持ちでブランを見つめてい

た、ブランってまつ毛綺麗だなー…それに肌も白くて…なに考えてるんだ

俺は!?

 

 

「真司?どうかした…?」

 

「い、いいや!?なんにもございませんよ!?」

 

「?…ふふ、真司ってばおかしい…」

 

 

ブランがクスクスと笑う、いかん、その表情も可愛らしくてドキドキして

しまう。俺はこのドキドキと格闘しながら仕事に打ち込んだのだった…

 

 

―――――

 

 

「ふう…これで大半の書類整理が終わったかな?」

 

「そうね…あともう少しで終わりよ」

 

 

結構時間がかかったと思ったけど二人で仕事をした分スムーズにできた、

残りは後少し!ここでラストスパートを駆けて…

 

 

「お兄ちゃ~ん!あそぼ~!!」

 

「遊ぼう?お兄ちゃん…」

 

 

ドアが勢いよく空いたと思ったらロムちゃんとラムちゃんが俺がいる場所

へと駆け寄ってきた、俺は思わず慌ててしまう。

 

 

「ら、ラムちゃん!?俺まだ仕事中だから…」

 

「え~!いいじゃん!私だってお姉ちゃんみたいにお兄ちゃんと一緒にい

たいんだもん!」

 

「ロムも…」

 

「ぶっ!?二人とも何言ってやがる!?」

 

 

意外にも噴いたのはブランだった、ブランの顔は真っ赤になりすごく慌て

てるように見える。

 

 

「そんなこと言って~、私知ってるんだよ?お兄ちゃんがここに来るって

知った時鼻歌を歌いながらy「だああああああああああああああ!?これ

以上は言うんじゃねえええええええええええ!?///」だって本当のこと

だし、ね?ロムちゃん!」

 

「うん…!」

 

「お、お・ま・え・らあああああああああ!!」

 

「ブラン!ブラン!!落ち着いて!?」

 

 

今にも二人に掴みかかりそうな勢いのブランをどうにかして抑える俺、大

人しそうな感じとは裏腹に意外に切れやすい人なんだなこの人は…しかも

力強い!?

 

 

「ふー!ふー…」

 

「お、落ち着いた?」

 

「え、ええ…見苦しいところを見せたわね…」

 

「まあまあ、治まったようで何よりだよ」

 

 

なんとか冷静さを取り戻したブラン、その横ではロムちゃんとラムちゃん

がはしゃいでいる、相変わらず元気な子たちだ。

 

 

「真司、ロムとラムと一緒に遊んであげてくれてもいいかしら?後の仕事

は私がやっておくから…」

 

「え?でも…」

 

「後少しで書類も片付くし…これだけなら私一人でも大丈夫」

 

「…わかった、それじゃあよろしく頼むよ、ロムちゃん、ラムちゃん、一

緒に遊ぼうか!」

 

「「やった~!!」」

 

 

俺は残りの仕事をブランに任せ二人と遊ぶために部屋の外へと出た。

 

 

 

 

 

 

 

                ◇

 

 

 

 

「お兄ちゃん!お絵かきしよう!」

 

「お兄ちゃん…絵本読んでほしいな…」

 

「よしよし、順番にやろうな?」

 

 

遊びのおねだりをされてしまう俺、向こうの世界でも妹や弟がいたらこうや

って遊んであげたのかなとふと思う、なんだか優しい気持ちになるな。

 

 

「真司さん、お疲れ様です」

 

「フィナンシェさん、どうもです」

 

 

ロムちゃんとラムちゃんのお絵かきに付き合っているとフィナンシェさんか

ら声をかけられた、その間にも二人はせっせと絵を描いている、のびのびと

した子供らしくてとてもいい絵だ。

 

 

「ふふ♪そうしてみると真司さんが本当にお兄さんのように見えますね」

 

「そうですか?自分じゃあんまり自覚がないんですけど…」

 

「二人を見る目がとてもお優しくて、見てるこっちも幸せになりそうなくら

いに」

 

「恐縮です…」

 

 

そこまで真面目な感想を言われると照れてしまう、俺は頬を掻きながら恥ず

かしさをごまかした、その横でフィナンシェさんは優しく微笑む。

 

 

「ブラン様もあの時の一件以来笑顔になることが増えて…真司さんには感謝

してもしきれませんよ」

 

「俺は別になにもしてませんよ?」

 

「いいえ、ブラン様があの時心無いことを言われた時、真司さんは真剣に…

本気でブラン様のために怒ってくれました、ブラン様がこの国のために一生

懸命頑張ってきたことを肯定してくださいました…」

 

「あの時は本当に勢いだったんですけどね…俺はあんな輩が好きではなくて

つい…」

 

 

正直おせっかいだったかなとか思ったりしたんだよな、でもあれは俺の本心

だ、この国を見てブランがすごく頑張ったんだと本当にそう思った、だから

言ったことには全然後悔していない。

 

 

「それでもですよ、あの方の努力を認めてくれた…私はそれだけで嬉しいん

です」

 

「へへ…なんか恥ずかしいですね、こう面と向かって言われると」

 

「それに真司さんならブラン様のことを任せられると思うんです、ブラン様

も真司さんのこと満更でもないようですし」

 

「はい?」

 

 

任せられる?それはあの時シアンがノワールのことを言ってたようなみたい

にか?う~む…でもあの時も思った通り俺はみんなの弱さを受け止められる

ように努力すると誓った、これは頑張らないとな。

 

 

「フィナンシェさん、俺頑張りますよ、ブランの気持ちが少しでも安らげる

ような人になれるよう努力します」

 

「え~っと…遠かったり近かったり…真司さんって意外に鈍感だったりしま

すか?」

 

「あれ?違いました?」

 

「今はそう言うことにいたしましょう、ブラン様、真司さんは強敵です…」

 

「?」

 

「お兄ちゃん!描けたよ!!」

 

「私も描けた…!」

 

「お、どれどれ?」

 

 

ロムちゃんとラムちゃんが描いた絵を俺に見せに来た、どうやらブランを描

いたみたいだ、うん、二人ともブランの特徴を見てよく描けてる。あれ?ブ

ランの隣にいるこの人の絵は…

 

 

「この人はお兄ちゃん!」

 

「俺?俺も描いてくれたのか?」

 

「うん…お姉ちゃんもお兄ちゃんも大好きだから…二人とも笑顔でいてくれ

ますようにって…」

 

「~~~~~~っ!!ありがとおおおおおおお!!」

 

 

俺は二人に全力でハグする、なんて嬉しいことをしてくれるんだこの子たち

は!!なんて可愛いのだろう!!そう思わずにはいられない。

 

 

「あはは!お兄ちゃんくすぐったいよ」

 

「お兄ちゃん…えへへ…」

 

「本当にありがとうな、ロムちゃん、ラムちゃん」

 

 

俺は改めて二人にお礼を言う、そしてさらにギュッと抱きしめた。ロムちゃ

んもラムちゃんも少し恥ずかしそうだったが嬉しそうに笑っている、隣では

フィナンシェさんが微笑ましく俺たちを見つめていた。

 

 

「お兄ちゃん、次は絵本を読んでほしいな…」

 

「お、いいぞ!それじゃあ…」

 

 

俺はそのままロムちゃんが手に持っている絵本を読み始めた、なになに…こ

の絵本のタイトル面白いな、『龍神様の物語』って。

 

 

―――――

 

 

「これでお終いっと…」

 

 

絵本を読み終えホッと一息、ロムちゃんとラムちゃんは始終はしゃいだり笑

ったりしてくれたから話をしてるこっちも楽しく読めた。

 

きゅるる~…

 

あれ?この音は一体なんだ?と、疑問に思ってるとロムちゃんが顔を赤くし

て俯いている、どうやらロムちゃんのお腹の音のようだ。

 

 

「あう…」

 

「そう言えばおやつ時だもんな、小腹がすくのも無理ないさ」

 

「私も少しすいたかも…」

 

 

ラムちゃんもお腹を押さえて笑っている、今からフィナンシェさんに言っ

て何か持ってきてもらうのもいいが…そうだ!

 

 

「ロムちゃん、ラムちゃん」

 

「何?お兄ちゃん?」

 

「どうしたの?お兄ちゃん…」

 

「俺と一緒におやつを作ろうか!」

 

 

二人の眼がキョトンとなる、あらやだ可愛い。

 

 

―――――

 

 

「すいませんフィナンシェさん、厨房に案内してもらって」

 

「いいえ、でもおやつなら私が用意ししても…」

 

「それもいいんですが、どうせならロムちゃんとラムちゃんが楽しめる方

向で行きたかったので。二人とも待ってるだけじゃ退屈だもんな?」

 

「お兄ちゃんと一緒におやつ作り!」

 

「ワクワク…♪」

 

「あらあら…うふふ♪」

 

 

用意してもらうのは早いけどそれだけじゃ面白くないかなと思い俺はロム

ちゃんとラムちゃんにおやつ作りを提案した、そしたら案の定、二人は眼

を輝かせ楽しそうにしてる。

 

 

「冷蔵庫の中は…おお!食材も豊富!でも一緒に作ると言ったら…これだ

な、ホットケーキ!」

 

「私ホットケーキ大好き!」

 

「私も…!」

 

「そうか、それじゃあ一緒にホットケーキを作るぞ~!」

 

「「おお~!!」」

 

 

うん、二人ともいい返事だ!俺は冷蔵庫から卵、牛乳バター、ベーキング

パウダーを取り出す、そして小麦粉と砂糖を準備!これでOKだ。

 

 

「それじゃあロムちゃんとラムちゃんには小麦粉と砂糖とベーキングパウ

ダーを泡立て器で混ぜてもらおうかな」

 

「うん!」

 

「わかった…」

 

 

俺は分量を計ったものを二人に渡す、二人はそれをボウルに入れ混ぜ始め

た。

 

 

「ラムちゃんはもう少し力を弱くして混ぜてごらん?丁度ロムちゃんが混

ぜているような感じにしてみてね」

 

「わかった!」

 

「そうそう、いい感じだよ!次は牛乳と卵を入れて…後バニラエッセンス

を少々…それじゃあもう一度混ぜてみよう!」

 

 

一生懸命に混ぜるロムちゃんとラムちゃん、俺はまずロムちゃんに手を添

え一緒に優しく混ぜる。

 

 

「そうそう、こうやってすると…いい感じだよロムちゃん」

 

「えへへ…♪」

 

「お兄ちゃん!私も!」

 

「はいはい♪」

 

 

ラムちゃんにも忘れずに手ほどき、こうして着々と準備が進みホットケー

キの生地が出来上がっていく、そしていよいよ焼く過程に入った。

 

 

「それじゃあ焼いて行こうか、まずは油を敷いて…」

 

 

俺は少しずつフライパンの温度を上げ油を敷く、充分に温まったところで

生地を流し込み少し待つ、ひっくり返すと綺麗なきつね色になっていた。

 

 

「それじゃあ俺の得意技を一つ…そいや!」

 

「わあ~!」

 

「お兄ちゃんすごい…!」

 

 

俺はホットケーキを跳ね上げひっくり返した、これって意外に難しかった

りする、二人は眼を輝かしながら俺を見つめていた。

 

その過程を繰り返し焼きあがったホットケーキをお皿に盛りつける、そし

てバターを乗せてメープルシロップをたっぷりかければ…

 

 

「ホットケーキの出来上がり!」

 

「「わ~!!」」

 

「お見事です!」

 

 

出来上がったものを運ぶ俺たち、さて…お味の方はどうか気になるところ

である。

 

 

―――――

 

 

「いただきま~す!」

 

「いただきます…」

 

 

ロムちゃんとラムちゃんはホットケーキをフォークで切り、一切れを口に

運ぶ、果たして反応は…

 

 

「おいし~!!」

 

「おいしい…」

 

「よかった、久しぶりだったから味の方は自信なかったけど、二人が手伝

ってくれたおかげだね」

 

「「えへへ…///」」

 

 

俺はロムちゃんとラムちゃんの頭を撫でる、二人は頬を赤く染めて嬉しそ

うに笑っていた。

 

 

「あの…私もいただいてよかったんですか?」

 

「いいんですよフィナンシェさん、それにあの場にいたのに作った後では

いお終いなんて後味悪いじゃにですか」

 

「まあ…そうなんですけど」

 

「そじゃあこれは朝のおいしい朝食のお礼と言うことで、それだったらい

いですよね?」

 

「…ふふ♪それだったらいただかないわけにはいきませんね、それでは遠

慮なく…」

 

 

と、フィナンシェさんはケーキを一口頬張る、そして笑顔!甘いものはど

んな人でも笑顔にしてくれるというのはよく言ったものだ。

 

 

「おいしいですね、ロム様とラム様、真司さんの気持ちがこもっているか

らでしょうか?」

 

「ぶいっ!」

 

「ぶい…!」

 

「あはは、恐縮です。さてと…」

 

 

俺は立ち上がりホットケーキが乗ったお皿と紅茶をお盆に乗せ移動する、

フィナンシェさんはそんな俺を見て声をかけた。

 

 

「真司さん、どちらへ?」

 

「ブランのところに、仕事たぶん終わってると思うんで丁度いいかなと」

 

「それでしたら私が…」

 

「ブランの好意で仕事を抜けさせてもらったんです、これくらいしない

と罰が当たっちゃいますよ。だから俺に行かせてください」

 

「わかりました、そういう事ならお願いします」

 

「はい、ロムちゃんラムちゃん、また後でね」

 

「うん!お兄ちゃん!」

 

「行ってらっしゃい…」

 

 

二人に声をかけその場を後にする、俺はホットケーキと紅茶が冷めない

うちにとブランの部屋まで急いだ、おっと!慌てたら紅茶がこぼれてし

まう。

 

 

 

 

 

 

               ◇

 

 

 

 

コンコン

 

「どなた?」

 

「ブラン、俺だけど入っていいか?」

 

「真司?ええ、大丈夫よ…」

 

 

俺は部屋のドアを開け中に入る、丁度仕事を終えたのか椅子に座っての

んびりと本を読んでいるブランの姿が見えた、ブランは読んでいた本を

閉じる。

 

 

「なんかごめんな、仕事を途中で任せちゃって」

 

「いいのよ、それに本当にあと少しだったからすぐに終わったわ」

 

「そっか、それならよかったんだけど。あ、これホットケーキ、ロムち

ゃんとラムちゃんと俺の三人で作ったんだ、よかったら食べてよ」

 

「真司が…?それにロムとラムも?」

 

 

ブランが少し驚いたような顔になる、俺は手にしたお盆をブランの机の

上に乗せ紅茶を入れる準備を始めた。

 

 

「二人ともすごく手際が良くてね、味もフィナンシェさんの保証つきだ

よ」

 

「そうなの…それは楽しみだわ」

 

 

紅茶も入れ終えブランに渡す、ブランはフォークを手に取りケーキを切

り始めた。

 

 

「それじゃあ…いただきます」

 

「おう!」

 

「あむ…!おいしい…」

 

「よかった!頑張ったかいがあったよ、ロムちゃんもラムちゃんも頑張

ってたからな」

 

 

どうやらブランの口に合ったようだ、ホットケーキの味にほっこりと温

かい笑顔になるブラン、その笑顔を見れただけでも俺は満足だ。

 

 

「…あら?真司は食べたのかしら?」

 

「…あ、自分の分忘れてた、あはは~、こりゃまいったな」

 

 

他の人たちの分優先で自分の分を忘れるなんてどこのお人よしだよまった

く、でもまあロムちゃんもラムちゃんもブランも喜んでくれたから俺はそ

れだけで十分…

 

 

「し、真司…その…」

 

「ん?ブラン?」

 

「あ、あ~ん…」

 

「…ウェイ!?」

 

 

ブランが頬を赤く染めて俺の名前を呼んだと思えばホットケーキの一切れ

を刺したフォークを俺に向けてあ~ん…ノワールの再来がここに!?

 

 

「わ、私だけ食べるのは不公平だし…真司だってちゃんと食べなきゃロム

とラムに申し訳ないと思うわ…」

 

「え、いや…その…」

 

「ね?」

 

「う、うん…わかった…」

 

 

俺は徐に口を開け差し出されたケーキを食べる、うん、シロップの甘さと

ケーキのふんわり感が口いっぱいに広がり心地よい。

 

 

「うん、我ながらよく焼けたと思う」

 

「そ、そう…それはよかったわ…」

 

「「…」」

 

 

互いに俯きながら硬直する、まさかノワールに続いてブランとまでこうな

るとは思わなかったよ…心臓バックバクだ。

 

 

「真司…」

 

「ひゃい!?」

 

 

いかん、変な声が出てしまった。ブランを見るとその頬はまだ赤く染まっ

ている、そして優しく微笑み俺に話しかけてきた。

 

 

「一緒に食べましょう?その方がいいわ、これで私も真司もお腹いっぱい

だから…」

 

「…そうだな」

 

 

今のこの空気は恥ずかしくって…でも温かい、そんな思いに包まれながら

俺とブランは一つのホットケーキを分け合いながら食べたのだった。

 

 

―――――

 

ブランSide

 

 

なんで真司にあんなことをしたのか自分でもわからなかった、すごく恥ず

かしくて…でも後悔はしなかった。

 

あの時…私が心無い言葉を浴びせられたあの時、真司は私のために真剣に

怒ってくれた、私はひどいことを言ったのに…それでも彼は怒ってくれた

、私が今まで頑張ってきたことを肯定してくれた…

 

その時からたぶん少なからず真司のことを意識してたのかもしれない、で

もその時はまだこの気持ちがなんなのかわからなかったわ、でも…体験入

国の話が出て彼がルウィーにやってくると聞いたとき…すごく嬉しかった

のを覚えている、鼻歌を歌ってたのをラムに聞かれたのは想定外だったけ

ど…

 

でも…今なら確信を持って言えると思うわ、私は…ブランは…ホワイトハ

ートは…

 

 

 

 

真司のことが好き―――

 

 

ブランSideEND

 

 

 

 

 




次回はMAGES.出しちゃうよ~!

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