異世界での暮らし方   作:磨殊

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第25話

 コチャーと再会して数日後、珍しく怒り心頭な紅白が店にやってきた。

 いや、怒っている事は偶にはあるけど、顔を見ただけで思わず逃げたくなるほど怒っているのは初めてだ。

 最近何かした覚えはないんだけれども、はてさて。

 

 

 

 

 

異世界での暮らし方 第25話

 

 

 

 

 

「そんなに怒って、どないしたん紅白」

「この前、神社に人が来たの」

「ほう」

 

 あの人里からちと離れとって道中が危なくて、人どころか妖怪の溜まり場になっていると評判の博麗神社に人がっ!

 もしや記念に赤飯でも用意せえ言うんか? にしては表情が険しいぞ。でもって赤飯作った経験はないんや、すまんな。

 

「それはええことやん」

「その人に言われたの。営業停止って」

「うん?」

 

 外の世界ならそれも有るんかもしれんけど、この幻想郷で? この神社にそんなこと言える存在なんておるやろか。

 紅白もそこは疑問に思っているようで腑に落ちない顔をしている。

 

「私もそこがなんか変だと思ったから、人里でその人について聞いてみたのよ」

「人が住んでるんは、オレや黒白みたいな例を除いたらやっぱし人里になるやろからなあ」

「そうしたら人里には住んでないけど、証言は得られたわ……秋さんの妹だってね!」

「なんと!?」

 

 ちょっと前まで怪訝な顔をしてた紅白が、キリっと目を吊り上げてるこっちを睨んできおった。

 おいおい、ちょっと待ってえな。それってもしかして、コチャーの事か。あいつ何しとんねん。紅白言うたら、幻想郷で喧嘩売ったらあかんやつ筆頭やぞ。

 

「待て、ちょう待って。念の為聞くけど、そいつの名前は」

「東風谷早苗。最近、妖怪の山に神社ごと引っ越してきたそうよ」

「あっちゃー」

 

 ほんと、何やっとんねんコチャー。

 だからあれほど何かする時はよく考えてから行動しろと口すっぱくして言うたのに。あのド天然め。思い込んだら一直線は止めろて何度も言うたやん。痛い目見んと分からんのかあいつは。

 

「まあ、そいつがオレの妹分なんは認めよ。で、何でウチに来たん? コチャーはおらんよ」

「いたらラッキー程度にしか考えてないわ」

「ならなんでまた」

「秋さんが唆したのかなって」

 

 だとしたらまず秋さんを懲らしめるわ、と紅白が良い笑顔で告げてきた。

 おお、怖っ。そんな真似誰がするかい。勝てない相手と地主には喧嘩売らんようにしてんねんから。

 

「せえへん、せえへん。何でそんなおっそろしいことせなあかんねんな」

「妹が来たから、そっちの神社に鞍替えしようとか思ったんじゃないの?」

「鞍替えした方がええんか?」

 

 そらそっちからするとオレはあんまし賽銭入れへんし、偶に博麗神社行っても現物渡すほうが多いから歓迎されてないんかもしれへん。けど、今まで世話になってるのに急に鞍替えとかせえへんぞ。

 そんな訳で変な事ぬかす紅白の頬に手を延ばす。質素な生活してるのになんでこんな柔らかいねんこいつ。

 

「なにゅいすひゅのひょ」

「人をそんな薄情者にした口はどんなんかなと思って」

「はにゃしゅいなしゃひ」

「やなこった。おお、伸びる伸びる」

「ひひふぁへんにしゅいにゃしゃ……!?」

 

 紅白が何か技でも使って脱出しようとしたみたいやけど、甘いな。

 この店では能力の使用は禁止されとるし、オレに悪意ある行動は出来へんようになっとる。言わばオレがルールとなれる空間や。いくら紅白でも暴れられへ……!?

 

「毎回毎回、何かある度に乙女の頬を引っ張るのはどうかと思うの」

「だ、だからと言って金的はやりすぎや」

 

 この巫女、油断しとったら躊躇なく金的かましてきおったぞ。

 金的、それは男なら誰しもが崩れ落ちる技。オレも例外ではなく、その痛みに膝を屈し、前屈みになって痛みに耐える。

 紅白はそんなオレを慌てた様子で見ている。

 そりゃ毎回頬引っ張ってるけど、それ以外どうしろと。野郎と違って女性は触りにくいからメンドイんや。

 

「あれ、秋さん。何で痛がっているのよ? いつもならこれぐらい平気な顔してるじゃない」

「い、いつもならな。ただ、流石に家の中やと、いつもみたいにガチガチに防御固めた服着てる訳ちゃうからな」

「あー、その、ごめんなさい。やりすぎたわ」

「次回から、せめて、腹とかにしてくれる、と、ありがたいわ」

「ええ、そうするわ」

 

 紅白は未だにこちらを心配そうな顔で見ていたが、問題ないことを伝えて妖怪の山に行くよう促した。コチャーのやつが山に神社ごと引っ越してきたと言っとったからな。

 そして、この前ウチに新聞持ってきた文屋は、迷惑だけど簡単には追い払えない存在がやってきたと言っとった。十中八九あっこの山におるやろ。

 まったく、外の世界だろうと幻想郷だろうとお構いなしに騒動起こすな、あの天然暴走特急。

 この痛みが引いたら、紅白追いかけてオレも妖怪の山に行こか。久々のお仕置きや、コチャー。

 

 

 

 

 

「ああ、ようやく立ち上がれるわ。痛かったなあ、おい」

 

 蹲ること十数分、ようやく股間の痛みが引いてきたので立ち上がる。なんやあいつ、やけに金的するの慣れてなかったか?

 さて、今から出発したら何とか紅白に追いつけるかな。

 あいつより先に行ってコチャーと会わんと、コチャーが紅白にしばかれてしまいやからな。でもって、後でオレも怒られる気がする訳で。

 ただ、今から店を出発しても追いつけないので裏技使うけども。

 オレは空を飛ぶことが出来んから、空き部屋のドアをいくつかの出先のドアと繋げてる。幸い、妖怪の山やとはたてんの部屋と繋いでいるから、数分の遅れぐらいやったら追い抜けるやろ、きっと。

 一応行く前に電話しとこか。どこで手に入れたか知らんけど、あいつ携帯電話持っとるからな。

 あいつの携帯電話はオレの能力で改造しとるから、幻想郷でも謎の電波が届くんですぐに連絡取れて便利よね。

 

「もしもし、はっちゃん。いきなりやけどそっち行かせてや。ちょいと神社に用事があってな」

『いいけど、ついでに何か食べるもの持ってきてよ』

 

 さすがぐーたら同盟員、やっぱし部屋におったか。

 

「オーケー、オーケー。何か適当に見繕って持って行くわ。ん、あったあった。燻製した肉でええやろ」

『上等』

 

 

 

 

「おや、秋がこの山に来るなんて珍しい。文字が足りなくなりましたか!?」

「あー、文屋の姉さんか。いやなに、ちとここに出来た神社に用があってな」

「ふむ、スクープの予感がしますよ! さあ吐きなさい、すぐ吐きなさい。ハリーハリーハリー! これでスクープ逃したら崖から逆さまに吊るして泣いて文様すみませんネタは全て吐きますと謝るまで回しますよ、超高速で!」

 

 さっきまで空中から話しかけて来てたのに、スクープの匂いがした瞬間に地上に降りて間詰めて来おった。

 今のオレは動体視力も強化してるはずやのに挙動が全っ然見えんかったあたりに、こいつが今本気でオレを吊るしかねんと感じさせられる。

 

「今日もいい具合にエクストリーム入ってるなあ、おい。こっち着いて来てもええけど、もうすぐ巫女がこの山に来るで」

「巫女が!? こうしてはいられません、上司たちに報告をしないと」

 

 あ、おい。あいつ何しに話かけてきたんや。話しかけてきたと思ったらすぐにどっか行ってしもたがな。

 にしてもなんて勘のええ天狗や。はっちゃんの家から出たら、速攻で飛んで来おったぞあいつ。

 ただ、ミスったなあ。あのままあいつが着いてきてくれたら、道中の護衛になったのに。まあええか。

 この山、しかも天狗が住んどるとこの近くやったらそうそう襲われるような事ないやろ、きっと。

 

 そんな事を考えていたらあっさり着きました、社に続く階段まで。

 出会ったのは天狗ぐらいやし、その天狗とも顔馴染みやから襲われる事もない。やっぱ組織が治めてる場所ってのはある程度の秩序があるから安全やねえ。

 他んとこやとワラワラと妖精が現れて弾幕放ってくるし、場合によっては妖怪に襲われるから気を抜けないといったらありゃしない。実際、紅白んとこ行く時には偶にルーミアとかに遭遇するからなあ。あれは本気でこっち食べようとしてくるから怖い。

 と言っても、前回噛み付かれた時はあいつの歯の方が折れたけど。そりゃ要塞と化した服んとこ噛み付いてもアカンわな。涙浮かべて蹲っとる間に逃げさせてもらったわ。

 

 にしても、この目の前に現れた終わりの見えない階段。これ上がらなあかんのかいな。

 冥界に行く階段よりマシやけど、ここの社もそれなりの階段やなあ。

 外の世界に比べたら幻想郷の人って体力あるけど、程々にせんとツライと思うんやけど。そんな事を思いつつ階段を登っていたら、前方から人が飛んできた。迎えに来るんが遅いねん、コチャー。

 

「あれ、誰かと思ったらお兄さんじゃないですか。とうとう神奈子様たちを信仰してくれる気になってくれたんですね! さあ行きましょうすぐ行きましょう一緒に住みましょう神奈子様達に紹介しますから!」

「落ち着けコチャー、ステイステーイ」

「ハイ!」

「……躾が行き届いてとるなあ」

 

 おいおい、本当に止まっちゃったよこの娘。しかも止まったのに期待の目でこっち見つめてくるんですがこの娘。

 たしかにこいつの兄貴分やってきたけど、何でこんな懐かれてるんかお兄さん不思議ですよ?

 さて、こんな純粋な期待を寄せるコチャーにお説教せんとあかんのやけど。こんな期待の目で見てくる妹分にお説教するなんて心が痛む……訳ないわな。

 いったい今まで何度こんな展開があったっけか。こいつ純粋な好意で暴走するからなあ、何度でも。

 

「あんなあ、コチャー」

「はい!」

「お前、紅白んとこの神社言って営業停止とかほざいたやろ」

「……」

 

 あ、目を逸らして吹けない口笛吹きやがったこいつ。

 おーい、こっち見んかいド阿呆。人と話す時は相手の目を見て話しましょうって教わったやろ。

 それ、無理して口笛吹こうとせんでええからな。というか、口笛吹かれへんかったんかいコチャー。

 

「だって、あそこはなんの営業努力もしてなかったんですよ! それなら私のとこで接収した方がいいかなと思いまして。そもそも何でその事でお兄さんが来るんですか?」

 

 おい紅白、幻想郷に来たばっかのコチャーにも神社どうにかする努力しろって言われとるぞ。本気でどうにかした方がええんちゃうか。あいつもあいつで偶に改善しようとしてるんやけど、毎回失敗してるのが涙を誘うわ。何で途中まで良い感じやのに、最後で失敗するんやあいつ。

 

「オレ、あそこの氏子」

「……え?」

「あっこの巫女には世話になってるんやけどな、そいつが今朝やってきたんや。営業停止とか言ってきたのはあんたの妹だろ、と」

「あ、あはははは。え、えーっとですね」

 

 こいつ、あの神社にも氏子とかがいるとか考えてなかったな。明後日の方向見ながら笑って誤魔化しとるぞ。

 

「まったく、何度も言ってきたけどなあ。もうちょい考えて行動せえや。ああ見えてもあっこは幻想郷にとっては重要な神社なんやから」

「考えたんですよ? でもあの寂れ具合でしたし、信仰もほとんど無かったので」

「人の神社についてよくもまあそこまで言ってくれるわね」

 

 いつの間にか追いついた紅白が後ろにいた。呑気にコチャーと話し過ぎたのか、紅白がいつも以上に勢いづいて妖怪退治したのか。

 いくら紅白が空を飛べるからって、こっちは空間繋ぐという裏ワザまで使ったのに追いつかれるとは思わんかったわ。

 で、紅白さん。何でオレの肩を握るんでしょうか。ちょ、イタいイタいイタい、どんな握力で握りつぶそうとしてるんやこの暴力巫女!?

 

「言っておくけど、神社も秋さんからの信仰も全部渡さないから」

「お兄さんお兄さん、両方ともとは欲張りですよこの巫女。悪いですけど、お兄さんはウチの神社で預かります。私の、このワ・タ・シのお兄さんですから。今までお兄さんが大変お世話になりました。この御礼はいつか必ずしますので、潔くちゃっちゃとお兄さんをこっちに返しなさいこの泥棒巫女」

 

 おーい、地味にオレを巻き込むんやめへんか? そんな火花散らして睨み合う内容にオレ入れたら雰囲気台無しやん。

 

「そうだ。今ここでこの巫女を倒せば神社もお兄さんも私の物に!」

「……秋さん、この子いつもこの調子なの?」

「すまん、ホンマすまん紅白」

 

 どうしてこう、すぐ暴走すっかなあ。

 自分が勝ったその先を想像して高笑いしとるコチャーを、紅白と揃って呆れた目で見つめる。ようそこまで妄想できるなあこいつ。

 やる気になった時の紅白に勝つのがどんなに難しい事か。黒白あたりが聞いたら憤慨すんぞ。

 

「はぁ。こいつの相手はオレがしとくから、紅白は先に行ってここの神さんと交渉してき」

「いいの?」

「ええ、ええ。今までもずっと、暴走したこいつ止めるんはオレの役目やったし。譲る気はないよ?」

 

 はてさて、オレが幻想郷に落ちてからどんだけ暴走してたのやら。今度会長に聞くのが恐ろしいわ。

 紅白はさっさと神さんと話して、休戦するか弾幕ごっこで負かすかしてき。たぶん神さんをどうにかせんと、こいつも止まらんやろうし。

 

「なら先に行ってるわ。そいつの相手よろしくね」

「おっと。そこから先には行かせませんよ!」

 

 先に行かせまいとコチャーが紅白に弾幕放つ。それを体を割り込ませて代わりに喰らう。

 悪いが防御力高すぎて盾になるのは慣れとるんでな!

 

「お前の相手はオレやぞ、と」

「んな!? そ、そこまで彼女を庇いますか肩入れしますかそっちがいいんですか。それなら弾幕ごっこで負かしてこっちに改宗してもらいます! その際にちょーっと怪我をしてもらえば、ずっと私が面倒を見て、また前みたいに心配する事もなくなりますよね」

「誰やコチャーをヤンデレに育てたんは!?」

 

 最後に会った時はただの天然ぎみの暴走列車だったんが、何で数年会わないだけでヤンデレに覚醒してるんですかねえ! お兄さん不思議でならないんですが。

 あの高校にもヤンデレはいなかった筈やけど。

 

「それではさくっとお兄さんを倒してあの巫女を追いかけましょうか。神奈子様達に迷惑をかける訳にもいきません」

「……うん?」

 

 今こいつ、オレを簡単に倒せると言いましたか?

 いつからオレはお前ん中でそんな簡単に超えられる存在に成り下がったんかな。

 よし、その伸びに伸びきった鼻を折る為に叩きのめそう。本来なら紫用に置いておきたかった切り札も切ったるわ。

 

「おい、コチャー。誰がさくっと倒せるって?」

「里の人に聞いてますよ。お兄さんが弾幕ごっこ出来ないって。でも、幻想郷での勝負ですから弾幕ごっこ挑んでも卑怯じゃないですよね?」

 

 コチャーの悪どい笑み、これどこかで見た笑顔だと思ったら会長とそっくりやんけ! どうしてそう似たらあかんやつに似てしまうかなあ、お前さんは。あんな根性ねじ曲がったやつ見習ったら嫁ぎ先も友人も無くすぞ。

 

「悪いけど、兄に勝てる妹は存在せえへんで?」

「師だっていつかは超えられる存在なんですよ? 兄ぐらい簡単に超えてみせます」

 

 たしかにいつかは超えられるかもしれんなあ。なんせ空飛べるぐらい才能あるみたいやし。ただ、それは今とちゃうわ。

 その既に勝った気になってる顔歪ませたる。

 

「よう吠えたな。その言葉撤回させたる!」

「吠えてるのはお兄さんの方ですよ。弾幕も放てないのにどうやって空を飛んでる私を落とすつもりなんですか?」

「あー、それなんやけどなコチャー」

「はい、何ですか。今更降参は受け付けませんよ?」

「そんな高いとこ飛んどるからスカートの中見えとるよ?」

「ふぇあ!?」

 

 コチャーが顔を真っ赤にしながらスカートを押さえて高度を下げてきた。そして、完全に地面に足をつけてからこちらを睨んでくる。

 や、位置取り考えーやそこは。相手が下におったらスカート履いてりゃそういう事もあるやろ。

 

「み、見ましたか?」

「悪い、嘘や」

「嘘?」

 

 もっとも、コチャー履いてるのってロングスカートやから、ほぼ真下にでもおらんと見えへんけどな。

 コチャーは呆気にとられた顔してボーっと突っ立てるが――これで近づいて殴れるね?

 

「あ、ちょ、せこっ。お兄さんセコい、さすがお兄さんセコい!」

「恥ずかしがる感性があって、お兄さん安心しましたよ?」

「そう言いつつ何で抱きついてくるんですか!? お兄さんも恥じらいを持ちましょうよ!」

「それはな――」

 

 ――お前を投げ飛ばすためさ

 

「鬼符『大江山悉皆殺し』」

 

 オレは書いた文字に力を与えることが出来る。『火』と書けば書いた対象は燃えるし、木刀に『聖剣』と書けば悪魔でも切れる刀になるだろう。

 故に、スペルカードとは相性がいい。なんせ書いてしまえば使えるんやから。例えそれが誰かの持ち技だったとしても、オレがそのスペル名を書いてしまえば再現できる。まあ、再現できるだけで使いこなすのは無理やから、さっちゃんや鬼娘みたいに自分の能力使ったスペルカードは再現できへんのやけど。

 しかし、このスペルカードならオレでも再現出来る。

 以前3回ほど自分で喰らったし、これに必要とされるのは身体能力ぐらいやからな。なんせこの技は――

 

「まずは1回」

「あいた!」

 

 相手の腰を抱え、振り上げてから地面に叩きつけて――

 

「2回目っと」

「はうっ」

 

 先ほどより高く跳び上がって地面に叩きつけて――

 

「これで最後!」

「……」

 

 ――自分の跳べる限界まで跳び上がって、勢い良く地面に叩きつけるだけなのだから。

 

 さすが力自慢の鬼のスペルカードだけあって、まともに喰らったコチャーが起き上がってこない。

 もしかしてこいつ、今まで負け知らずで痛みに慣れてないんか?

 

「だから言ったやろ。そんな簡単に越えられる存在に成り下がった覚えはない、と。というか、オレに負ける程度で紅白に喧嘩売ったらあかんって。あれはホント人の枠外れてるから」

「……」

 

 あら、気絶しとるがな。おいおい、スペルカード1枚で気絶とか情けないぞコチャー。

 というか、お前さん起きてくれんと神社まで抱えて行かんとあかんのやけど。

 とりあえず、揺すって頬叩いて起してみるか。おーい、起きろー。

 ……ダメだこりゃ。




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これでストックもあと1話分のみです。
新規で1つぐらい書くかなあ。

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