せっかく転生したのなら楽しまなきゃ損でしょ   作:黒ウサギ

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六話 桜通りの吸血鬼でしょ

プチ歓迎会の翌日、学園長に呼び出されたまた学園長室に

 

「今度はなんざんしょ」

 

「何、君ネギ君の補佐をしてみないかの?」

 

「喜んでやりましょう、ただし給料はちょっと多めにね!」

 

「仕方ないのう、それくらいはしても罰は当たらんじゃろ」

 

「そうと決まれば早速行くぞゴルァ!」

 

別にそうする必要はなかったのだが学園長室のドアを蹴破り颯爽と教室に向かう

残されたのは無残に破壊されたドアと呆然としている学園長だけであったそうな

 

そして現在3-A前

勢いで来たものの何を補佐すればさっぱり分からず立ち尽くす

 

「君、こんなところで何をしているんだ」

 

声をかけられひょ?と振り向くを新田先生降臨

おぉう、鬼の新田と呼ばれるだけはあるのかもしれぬ・・・・・・

 

「初めまして新田先生、今日からネギ先生の補佐として3-Aの副担任として配属になりました神楽悠斗と申します」

 

「お、おぉそうでしたか。私は新田と申します、失礼ですが随分お若く見えますがお歳はお幾つで?」

 

「生まれて20年とそこらの若輩者です。至らないところもあるかもしれませんがよろしくお願いします」

 

「いえいえこちらこそ、それでどうして教室の前にいるんですか?」

 

「配属されたのは良いのですが、学園長にどうすればいいのかを聞き忘れてしまって」

 

「はっはっは、多方聞き逃したのだろうと思いましたがまさか本当にそうだとは。ついてきてください、職員室に案内しますよ」

 

我ながらペラペラと嘘を吐ける物であると自分に驚く

しかしあれか、ネギ先生に比べると俺が副担任というのはそこまで驚かれることじゃーないのか

 

新田先生とも軽く雑談をしながら職員室に無事に到着

扉を開け中に入るとこれまたビシビシと嫌な感じの視線が・・・・・・

 

「今日からネギ先生の補佐として3-Aの副担任になることになりました神楽悠斗です、右も左もわからない若輩者ですが

よろしくお願いします!」

 

パチパチと拍手が出迎えてくれるが視線が一向に柔がない

特にそこの三十路間近の神鳴流、お前からは違う気配も漂ってきて尚更怖い

 

自己紹介も終わり、タイミングよくチャイムが訪れ少しだけ視線が緩和される

ネギ君が職員室に入ってきて俺を見つけた時の顔ったらもうなかなかどうして、写メっておいたから後で委員長に売りつけよう

今日は赴任初日ということで3-A面子に対する挨拶と学園の探索、漫画でも思ったけど麻帆良広すぎるんよ

まずは学園を把握しておこうということで適当に見てまわろうと思ったが、何故かは知らないが神鳴流の人が付き添いで動くことに

道中通りすがりの生徒に声をかけられ「刀子先生彼氏ですか?」と聞かれるたびに神鳴流の人がニヤついていたのが怖い

無事に?探索も終わり次は3-Aに挨拶。最初に来たので、案内するという葛葉先生の提案をやんわりと断りいざ色の濃い面子とご対面

 

「えー、ネギ先生の補佐としてこのクラスの副担任になりました神楽悠斗と申します、これからよろしくお願いします」

 

挨拶するために壇上に立ったのだが、エヴァちゃんとせっちゃんの視線が痛いのなんの

パパラッチ筆頭の質問攻めも難なく突破し――途中木乃香と顔見知りということであらぬ誤解を受けそうになりせっちゃんが怖かった――

その日は授業がなかったのでHRもぱぱっと終わり今日の学業は終了

クラスから出るとせっちゃんとエヴァちゃんが鬼の形相でこちらに詰め寄ってきたので人目につかない場所に逃げ込みスキマをつなぎ逃走

あの二人の目は確実に殺る気満々だった、なぜそこまで恨まれているのか理解に苦しむ

 

寮監というのは案外仕事があったりする

寮内の、主に廊下や大浴場の清掃

廊下はともかく大浴場は早めに掃除しないと鉢合わせでもしたらお縄につくレベルで危ない

ということで無事に逃走し終わり、能力を発動『水を操る程度の能力』で洗剤を混ぜたお湯を操りしつこい水垢などを丁寧に落とす

 

 

 

「あっ」

 

 

 

と言う間に掃除完了、廊下の掃除は明日の授業外の時間でやるとして

そうか、食材を調達せねばなるまい

そうと決まれば自室に戻り着替えを済ませいざ食材を入手しに出発

 

 

両手に花なら喜んで、両手に薔薇は逃げ出して、両手に荷物は腕が痛い

要は買いすぎたのである、麻帆良安い、ほんとびっくり。ついつい買いすぎちゃってこの体たらく

悔しい・・・・・・でも後悔はしてない

思いのほか買い物に時間がかかってしまい、桜通りをのんびりと歩いていると

 

「げ、貴様何故ここにいる!」

 

エヴァちゃん襲来、そうか吸血鬼騒ぎの時期か

エヴァちゃんの足元にはまき絵ちゃんがぐったりと横たわっている

しかしだ、今の俺はエヴァちゃんに構っている暇はない

 

「お勤めご苦労様でーす、失礼しあーす」

 

「う、うむ。お前もご苦労だったな・・・・・・て、ちがーう!!」

 

ギャーギャー騒ぎながら襲いかかってきたのでトンファースルーで通り過ぎると同時にエヴァちゃんがくぐもった声を上げて崩れる

・・・・・・殴ってもないし蹴ってもないからね?トンファースルーってそういう技だから諦めてね

しかしこのまま倒れている二人を放置するのは紳士としては許せない、ならばとスキマを開きまき絵ちゃんは彼女の部屋に、ドアをノックする

と返事が帰ってきたのでそのまま放置

エヴァちゃんは彼女の家のベッドに投げ捨てる

さて、予想外の出来事に時間を食ってしまった、時刻を確認するとそれなりに遅い時間。まき絵ちゃん何でこんな時間に外にいたんだよ・・・・・・

今日はカップラーメンかなぁと思いつつ家に帰ると、ドアを開けると隣の部屋から

 

「悠斗先生遅いえー、どこいってたん?」

 

木乃香ちゃんがひょこっと顔を出してきた、寮監室の隣がアスナちゃん木乃香ちゃんネギ君の部屋なのだ

返事をせずに両手に持っている荷物を掲げてみせる、すると木乃香ちゃん苦笑しながらも何をしてきたのか理解したのだろう

改めて部屋に入ろうとすると「ちょっと待っててなー」と声をかけられる、そのまま待つこと数分

 

「こんなこともあろうかとちょっと多めに作っておいたんよ、お裾分けやえー」

 

あなたが女神か。その手にはほかほかと湯気を立たせ、和風ダシが鼻腔をくすぐる、肉じゃがが入った皿を持っていた

ボロボロと泣きながら「感謝・・・・・・っ 圧倒的感謝・・・・・・っ」などと呟いたら「大げさやなー」と笑われた

彼女が部屋に戻ったのを確認し俺も部屋に入―――

 

「―――すいません神楽先生少しお時間よろしいでしょうか」

 

空気読めよと叫びたくなる衝動をこらえ、振り向くとそこには竹刀袋を携え、こちらを睨みつけるせっちゃんがいた

 

「お時間はない!」

 

叫ぶと同時にスキマを彼女の部屋につなぎ放り投げる

ゆかりんがちょっとご機嫌斜めだったので、買ってきたお酒とお裾分けしてもらった肉じゃがを持ち込みプチ宴会

肉じゃがに舌鼓を打ち、ゆかりんの愚痴を聞きその日は終了した

なかなか充実してるじゃないか転生ライフ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小話

 

「雪広ーちょっといいかー?」

 

教室から出る前にふと思いだし、委員長に声をかける

彼女は何故私が呼ばれるのだろうかと疑問に思いながらも近寄ってきた

パパラッチうるさい、別にお前が騒ぐようなことじゃないから黙ってろ

 

「どうかしましたか神楽先生」

 

しかしこうして見るとお嬢様って雰囲気が半端なくにじみ出てるな・・・・・・

庶民とは違うのだよ庶民とは!!うわ、スッゲェ似合う・・・・・・

 

「神楽先生?」

 

「お、おう神楽先生だ。それで相談なんだがな・・・・・・」

 

言いながら胸ポケットからスマーフォを取り出し職員室で激写したネギ君の写メをちらりと見せる

目が変わった、というか雰囲気がお嬢様から捕食者になった

 

「5本でどうだ?」

 

「喜んで買取りましょう♪」

 

交渉成立、データを雪広に送る。送られてきたデータを見てウヘヘとか言ってるけどそんな位じゃ彼女のカリスマは崩れない

うー☆とは違うのだよ!!

 

 

 

 

「・・・・・・くちゅん!」

 

「お嬢様風邪ですか?」

 

「いえ、きっとどこかで私のカリスマっぷりを噂しているのでしょうね」

 

 

 

間違ってないけど合ってもいない。

こうして無事に取引も成立し、執事の人から茶封筒を渡されたのだが

 

「ちゃうねん委員長・・・・・・5本って5千円のことやねん、万とちゃうねん・・・・・・」

 

考えていた金額との差に頭を抱える事になるのは別のお話


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