せっかく転生したのなら楽しまなきゃ損でしょ   作:黒ウサギ

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十一話 ちょっとした番外編でしょ その2

キリトさんがボスを倒したので俺の出番は当然の用になく

さてこれからどうするかなと思い悩んでいたところに正妻さんに声を掛けられた

 

「貴方は一体何者ですか!」

 

どうしてそんな敵意剥き出しなんですかぁ・・・・・・

 

 

 

アスナSide

 

キリト君が七十四層のボス《TheGleameyes》に一人で立ち向かっていった時、私の体から血の気が引いた

なんて無謀な!そう思い私ももう一度戦線に立とうと思い・・・・・・気がついた

彼の、普段は片手剣を使い盾も持たずに空いていた片手に、剣が握られているのを

二刀を自由自在に操り、瞬く間にボスをHPを削っていく

 

「すごい・・・・・・」

 

無意識のうちに呟いていた、それほどまでに今の彼の動きは人を惹きつける

クラインさんもきっとただひたすら彼の動きを見ているのだろう、一向に動く気配がない

 

「・・・・・・ぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!」

 

雄叫びとともに放たれた、数えた感じでは16連撃の最後の一撃がグリームアイズの胸の中央に突き刺さり

 

「ゴァァアアアアアアアアア!」

 

絶叫とともに膨大な青の欠片となり、グリームアイズは爆散した

やった!そう声に出そうと思った時、キリト君が地面に倒れ込んだ!

見ればHPゲージがレッドゾーンに達しているではないか

急ぎ私は彼の元に駆けつけポーションを飲ませる

 

「キリト君!キリト君!」

 

必死に叫ぶ、叫び続ける!お願い目を覚まして!

何度も何度も叫んでいるうちに――ジャリ、と誰かの足音が聞こえた

クラインさんたちではない、彼らは私たちの周りにいる

では誰?私は最大の警戒とともにレイピアをその人物に向かって突きつけた

 

「貴方は一体何者ですか!」

 

声を掛けられた・・・・・・見た目まだ成人していないように見えるその男性は、何故私がこんなに警戒しているのかわからない。

そういった顔をしていた

一体なんの目的でボス討伐直後に現れたのか、もしかしたらPKが狙いなのでは?

そう思うと私は一瞬も油断はできない

未だレイピアの切っ先は謎の人物に向けて睨みつける

 

彼は肩をすくめるとこちらに向かって手を伸ばした

何をするつもりなの?その疑問を口に出そうとした時

 

「・・・・・・・・・っう・・・・・・」

 

気を失っていたはずの彼が目を覚ました

(回復が早すぎる!)

回復ポーションは飲んでもすぐに体力が回復するわけではない、時間をかけて徐々に徐々に回復していくのだ

それにもかかわらずキリト君のHPゲージはもう緑、それもMAXまで回復していった

 

「あーうー、キリトさん起きた?」

 

声を掛けられる、いつの間にこんな近くまで!?見れば私の手に握られていたはずのレイピアも彼が持っているではないか

どうする、替えのレイピアを取り出すまでこの人は何もせずにいてくれるのだろうか・・・・・・

チラリとクラインさんの方に目を向けるが彼らも武器を取られていた

 

「・・・・・・アスナ?」

 

完全に意識を取り戻したキリト君が目で問いかける、何が起きていると?

 

「えーとだね、そのなんていうか・・・・・・キリトさん大丈夫なんだよね?」

 

「え、あぁHPももうMAXまで戻ってるし元気といえば元気だけど・・・・・・」

 

「あぁ良かったまじよかった・・・・・・、原作ブレイクするかと思ったわ・・・・・・」

 

原作?彼は何を言っているの?そんな彼と普通に会話するキリト君に唖然としながらも

 

「キリト君・・・・・・知り合い?」

 

私は問いかける

 

「いや知らない」

 

クラインさんがずっこけた

 

「てめぇ普通に会話してるから知り合いかと思ったじゃねぇか!」

 

「いやこの人敵意なさそうだし、大丈夫かなーって・・・・・・」

 

そんな理由で・・・・・・、いや、彼は元々こんな人だった

彼がそう思うなら敵意はないのだろう、私は警戒心を時再度同じ質問を問いかける

 

「貴方は一体何者なんですか?何が目的でここまで来たんですか?」

 

「ただの旅人?目的は俺もボス討伐したかったから!」

 

何故疑問形なのだろう?それに旅人って・・・・・・

改めて彼を見る・・・・・・え?

彼の来ている服、本来ならこのアインクラッドには存在しない現実世界にある服を着ていた

それにキリト君も気づいたのか背中に収めていた剣を抜こうと――

 

「お願いだからすぐに剣を向けないでください、俺の胃がそろそろ危うい」

 

――彼に取られていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠斗Side

 

 

「んじゃ何か?アンタはそもそもプレイヤーですらないってか?」

 

バンダナさんが最もな疑問をぶつけてくる

現在それぞれの武器を返品し、俺についてのお話会が始まった

 

「んむ、だってアインクラッドでこんな服装してる人いないでしょ?」

 

ジーンズに上はTシャツに羽織ものを来ているだけのシンプルな格好、それに対しSAO組の格好はいかにもな服装

 

「悠斗さん・・・・・・だっけ?それならアンタはどうやってここにきたんだ?」

 

「んっとね、同じ話を茅場さんにもしたんだけどね・・・・・・・」

 

――再び説明中

 

「ありえない・・・・・・って決め付けるのは駄目だな。現に悠斗さんがここにいるのが証明だ」

 

キリトさんは頭の回転が速いのか、案外すんなり納得してくれた。まぁばらしちゃうと説得力上げてちょっと強引だけど納得してもらった

 

「ちょーっと待て、今アンタ茅場って言ったよな?アイツこの世界にいんのか?!」

 

バンダナさんが質問してくるが

 

「言ってない言ってない」

 

今度も説得力を上げて誤魔化す、茅場さんの存在をばらすのはアレだしね

バンダナさんは渋々といった感じだが納得したようだ。聞き間違えたのかなぁ・・・・・・とか言ってるが気にしない

しかし二年間もこんな生活か、ストレスでよく禿げないな

ふと、俺の頭の中にある事が浮かんだ

 

「所で話は変わりますが、皆現実に戻ったら何食べたい?」

 

ちなみに俺は今ラーメンが食べたい

 

「俺はそうだな、ちゃんとしたラーメンが食べたい」

 

「私も同じね、あのお店のラーメンみたいな何かじゃなくて、インスタントでもいいから・・・・・・」

 

キリトさんと正妻さんがものすごい切実に答えてくれる、そんなに美味しくなかったのかあのお店・・・・・・

 

「俺ぁピザだな!このゲームが始まる前にピザの宅配を頼んでおいたんだけどよぉ、ログアウトできなくて食べ損ねちまってよぉ」

 

「あぁそんなのもあったな、あの頃は俺がお前に指南してたんだっけ」

 

もう2年か、とキリトさんが昔を思い出すように空を見上げる

よろしい、ならばそんな君たちにご褒美をあげようじゃないか!

 

「ゆっかり~ん」

 

「は~い、ご注文の品はこちらになりまーす」

 

空間がクパァと割れそこからラーメンの丼と宅配ピザが数枚渡される、紫さん準備良すぎて惚れる

地面にシートを敷き、そこに渡された物を並べていく

突然現れたゆかりんに皆警戒を抱いていたが、並べられていく物を見てからは様子が変わった

 

「醤油に味噌に塩にとんこつ、ピザはシーフードに照り焼きとか定番どころを色々!」

 

渡された物を確認ついでに喋っていくが・・・・・・反応がない、固まっている

 

「「「「「「・・・・・・え?」」」」」」

 

「え?」

 

「え?じゃないだろ!どうしたんだこれ!というかさっきの人だれ!?それにこれ本物なのか!?」

 

キリトさんから怒涛の質問攻めにあう・・・・・・がしかし

 

「キリト・・・・・・」

 

「なんだクライン、今大事な質問を・・・・・・何食べてんの!?」

 

バンダナさんはピザに触れて本物だと分かるや否やものすごいスピードで食べ始めた

 

「だってよぉ!(モグモグ)目の前にこんな(モグモグ)並べられたら(ゴクゴク)プハァ!食べるしかねぇだろ!」

 

食べながら飲みながら、お願いだから喋るかどちらかにしてください

 

「え、食べてるってことは・・・・・・本物なのか?」

 

恐る恐るといった形でキリトさんもラーメンに手を伸ばす。あ、箸はこちらです

麺を掴み・・・・・・いざ一口・・・・・・

 

「キリト君?」

 

正妻さんもバンダナさんがピザを食べ始め、安全性を確認したあとにちゃっかり食べ始めています

そんな正妻さんの隣に位置するキリトさんの動きが止まった・・・・・・ゴトンと丼を下ろす

うぇ!?中身ないんですけど!!

そこからは地獄絵図・・・・・・というわけでもないけど壮絶だった

バンダナさんのギルドメンバーも我さきにとピザに手を伸ばし、キリトさんもモグモグと食べている

 

――皆食事中

 

 

「満足した?」

 

「「「「「「大満足です」」」」」」

 

ゲプゥと少し下品な音が聞こえて来た気がするがこの際よしとしよう

並べられた料理はすっかりなくなり、皆満足した顔でお腹をさすってる。正妻さんがさするとお腹の子が・・・・・・的に見えてやヴぁい

 

「悠斗さん、これどうやって取り出したの?」

 

ごもっともである

 

「こうやって」

 

論より証拠と言わんばかりにスキマを開く、先程も見せたはずだが空間が割れるというのは慣れないものなのね、皆驚いてます

 

「この中が別のところに繋がっていて、そこから取り出した」

 

キリトさんだけでなく、いつの間にか話を聞いていた皆も唖然としている

 

「もしかして、それを使えば現実に戻れるのか?」

 

ギルドメンバーのその質問に皆が緊張したのがわかる、すっごう空気ピリピリしてるもん

 

「残念だけどそれは無理、俺は実体だけどキリトさん達はナーヴギアによって切り取られた精神体とでも言えばいいのかな?

その精神体だけを現実に出しても勝手に体に戻ってくれるわけでもないし、最悪の可能性そのまま霧散することもありえる」

 

希望を潰すようで申し訳なかったがこればかりはどうしようもない

 

「まぁ安心したまえ、こんな摩訶不思議超常現象を引き起こす俺が保証しよう。今ここにいる君たちはきっと現実に戻れる」

 

ごめんなさい、原作知識あるので未来わかってるんです・・・・・・

そう言うと、皆苦笑し食事のお礼を言ってきた

 

「もしまた俺がこっちに来ることがあればご馳走するよ」

 

「まじか!じゃあ次は焼肉が食いたい!」

 

バンダナさんの遠慮のない発言に皆が笑い出す

ん?焼肉?

 

「そういえばこんなのあったな」

 

取り出すはラグーラビットの肉、皆が食事に夢中になっている間ラグーラビットを見つけたので倒してみたら見事入手

 

「それS級素材ですよ・・・・・・?」

 

正妻さんが頬を引きつらせながら言う

 

「俺が持ってても意味ないしね、キリトさん達は食べたことありそうだからバンダナさんに上げよう」

 

そう言いバンダナさんに渡すと泣いて喜ばれた

そこまで嬉しいのか・・・・・・

 

バンダナさんが泣き止むのをまち、スキマを開く。2日いるって茅場さんに言ったけどここままいたら原作ブレイクしそうで怖い

皆いい人だもんなー

 

「それっじゃ俺はここらで帰るよ、皆元気にレベル上げしろよ!」

 

皆から別れの声を背にスキマに入る、今度こそ買い物をしに行かなければ・・・・・・!


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