黙示録への転生者   作:空手KING

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お久しぶりです。
ようやくテストが終わりました。
それではどうぞ^_^


始動‼︎黙示録

「なぁ〜孝〜、いきなりどうしたんだよ⁇

ってか、俺らはどこに向かってんだ?」

 

「ハァハァ…ん、ハァハァ……」

 

俺は屋上からどこかに走って行ってしまった孝にすぐに追いつくと、並走しながら孝が慌てている様子を聞く。

だけど孝は疲れているのか、それとも慌て過ぎて耳に俺の声が届いていないのか…何の返事もすることなく一心不乱に走り続けている。

しばらくそのまま走っていると孝がある部屋の前で足を止めた。

 

「ここは…俺らの教室じゃねーか‼︎

なんだよ…急に授業を受けたくなったのか?」

 

「………。」

 

またもや返事をしない孝。

孝はいきなりすごい勢いでスライド式のドアを開けて教室の中に入った。

俺も「はぁー」と溜め息を吐きつつも孝の後ろに続いて入る。

中に入ると授業を受けていた皆の視線が一斉に孝と俺に送られる。

ザワザワと皆がザワつき出すが孝は気にすることなく麗がいるところへ進んで行く。

 

「小室!

サボるだけじゃ足りずに授業の妨害まで‼︎

それに桂木まで‼︎」

 

授業を行っていた教師も怒るが、孝は無視したまま歩みを緩めない。

孝は麗の元へと行くと、麗の腕を掴み上げた。

 

「一体何よ!

授業中「いいから来いっ!」。」

 

麗も理由も分からずついて行くはずもなく抵抗する。

 

「ハハハ、何考えてんだアイツ。」

「イカれてんじゃね?」

「あれって告白?」

「超強引〜〜w」

 

麗を無理矢理連れて行こうとする孝に対して皆口々に孝をバカにする。

孝と麗のやり取りを見ていた麗の彼氏の井豪が立ち上がり麗と孝の元へと近づいて行く。

井豪が立ち上がった時に何故か高城も立ち上がり「何してんのよ桂木ぃっ!」とさらに何故か何もしていない俺を怒鳴りつけてきた…それに対して俺はスルー。

今から勃発する修羅場を見逃す訳にはいかないからなww

井豪は孝の麗を掴んでいる手とは反対の手を掴み取り怒りの形相を顔に浮かべる。

 

「孝!麗をどうするつもりだ!」

 

井豪が孝に怒鳴りつけると、孝と井豪がボソボソと話し始める。

「こらっ!聞いているのか小室っ‼︎」と孝と井豪がボソボソ話している間も教師は怒鳴り続けている。

ちなみに俺は教室の入口付近にいるため、2人が何を話しているのかまったく分かりません‼︎

 

2人がボソボソ話していると、麗が孝の腕を振りほどき口を開く。

 

「ちょっと待ってよ!

ちゃんとした説明を受けない限り私は…『パンッッ』」

 

…「「「「⁉︎」」」」…

 

しかし麗の言葉は甲高い音で遮られた。

孝が麗の頬を平手打ちしたのだ。

今までのクラスのザワつきが嘘のように止んだ。

その行動にはさすがの俺も目を見開いた。

 

「いいから言う事を聞け!」

 

「…………。」

 

孝が井豪と麗に怒鳴りつけると井豪は神妙な面持ちで頷いた。

 

「先生ちょっと失礼します。

麗、行くぞ。」

 

「おいっ、井豪までーーー」

 

孝を先頭に井豪が麗の肩を抱きながら、教師の言葉を無視して出て行った。

が、孝が頭だけを教室に覗かせ

 

「龍一、何してんだよ。

早く来い‼︎」

 

と、俺に言ってきた。

 

「またどっか行くのかよ〜。

分かった、俺は歩いて行くから先に行ってろ。」

 

「時間が…クッ、いいか‼︎絶対に来いよ龍一。」

 

孝はそれだけ伝えるとクラスから走ってどこかに行ってしまった。

さぁーて、親友との約束を違える訳にはいかないからな…俺も行こうかな。

俺は頭の後ろで手を組み、前世で好きだった曲を口笛で吹きながら教室を後にした。

俺が出て行く時、高城と教師の怒鳴り声が聞こえたがスルー♪

 

 

 

 

孝side

 

僕は絶句した。

龍一と授業をサボり屋上に来ていた僕が、麗の事を考えていた時だった。

校門の辺りで教師陣が何やら騒いで

いた。

 

「なんだあれ?

不審者か?」

 

僕が屋上から見た感じでは校門の閉まっている門に何度も体をぶつけ、校内に入ろうと?している人がいた。

すると教師の手島がその不審者らしき人の胸ぐらを校門の閉まっている門の隙間から掴み、思いっきり引き寄せ顔を門にぶつけさせた。

しかし熟女でグラマラスの肢体を持つ教師、林に怒られたのかちょっと戸惑った様子を見せた時だった…不審者が手島の腕に噛み付いたのだった。

手島は腕を噛まれると地面に倒れすごい形相でもがき苦しみだした。

そして思いっきり仰け反った後、手島は一切動かなくなった。

 

「死んだ、のか?

噛まれただけで…⁈」

 

僕がパニックになりかけた時、手島が動いた様で僕はホッと肩を落とす…が、今度は手島が近くにいた林の襟元を掴み引き寄せると林の首に噛み付いたのだ。

 

「な…なんだってんだ一体…。」

 

その時、どうして即座に動けたのか自分でもよく分からないーーーともかくそうしなければならないと思ったんだ。

僕は龍一に何も伝えることなく走り出した。

後ろから龍一の制止の声が聞こえた気がしたが、それどころではない…。

僕の頭の中にあるのは‘‘麗”の身の安全…ただそれだけだった。

 

 

 

 

 

 

僕は今、麗と永を連れて廊下を走っていた。

 

「……………。

校門で何かヤバい事が起きてる。

自分が可愛ければ逃げろ!」

 

「校門で何かって…それだけなの?」

 

「校門に誰かいた。

体育教師どもが見に行って…何かがあった、今は…教師どもが殺し合いをしてる。」

 

僕は校門であったことを時間がないのでかなり簡潔に麗に説明した。

 

「そんなバカなことが…「じゃあ勝手に死ねよ。」………!」

 

麗は僕の説明に納得がいかないようで否定しようとするが、僕は言葉を重ねる。

麗は「勝手に死ねよ。」という言葉が気に入らなかった様でムスッとした表情を作る。

麗と僕が話していると永が制止の声をかけてきたので足を止め、忘れ物をしたのかと問うと、永は武器が必要になると言ってきた。

それには激しく同意だ。

永は麗の槍術が得意なのを生かすために、掃除ブラシの柄の部分をブラシから外し武器を作る。

僕は野球部のバッグから金属バットを拝借する。

ふと永が武器を持っていないことに気がつき聞いてみると、自分は空手の有段者だから必要ないと言われた。

 

「ともかく学校を出よう。」

 

「実家か…」

 

「まず警察よ‼︎

お父さん警部補だからすぐ来てくれる…。」

 

麗の提案に乗り、僕は麗に携帯を渡して警察に電話するように促す、が…

 

「うそ…」

 

麗は携帯を耳にあてながら呟いた。

 

「どうした?」

 

「110番がいっぱいだなんて…そんな…。」

 

麗は目を見開き動揺を隠せない様子だ。

その時だった。

 

『全校生徒・職員に連絡します!

全校生徒・職員に連絡します!

現在校内で暴力事件が発生中です。

生徒は職員の誘導に従って直ちに避難してください‼︎』

 

学園中に放送が響きわたった。

 

「何だ何だ⁇」

「マジ?」

「ちょ、何〜〜。」

「ウソだろ?」

 

と、各クラスから困惑の声が上がり始めた。

 

「ようやく気づいたな。」

 

僕は今頃になってようやく放送があったことに苛立ちを覚える。

すると放送が繰り返し流され始めた。

 

『繰り返します。

現在校内で暴力事件が発生中d『ブッ‼︎キィィ…ン……ン…ガキン…ン…』…』

 

「まさか…。」

 

僕は放送に雑音、ハウリングが混ざったことで嫌な予感を感じ、嫌な汗が背中を伝う。

そして僕の嫌な予感はやはり当たった。

 

『ギャアアアアアアアアアッ!

あっ、助けてくれっ、止めてくれっ‼︎

ひぃいいいいっ‼︎

たすけっ、痛い痛い痛い痛い‼︎

助けてっ、死ぬっ、ぐわぁぁぁあ‼︎‼︎』

 

し………………ん

 

各クラスからの困惑の声が止み、静寂が支配した。

しかし、それは一瞬…

 

『ワァァァァァァアアアアア‼︎』

 

人が波のように全クラスから飛び出し、皆我先にと逃げ出す。

そこには男女の性別関係なく、前にいる者の髪、服、腕を引っ張り、倒れた者がいたならば平気で上を踏んで逃げる。

それは僕たちも同様だ。

僕と永はアイコンタクトを取ると頷き合い、校舎の出口とは真逆の方向に走り出した。

 

「えッ、外に逃げるんじゃなかったの⁉︎」

 

「教室棟は人で溢れかえってる‼︎

管理棟から逃げる‼︎」

 

僕は麗の疑問に走りながら答える。

しばらく走っていると階段付近の曲がり角から人影がノソノソとやけに遅い動きで現れた。

 

「あれって現国の脇坂?」

 

「まさか邪魔するつもりじゃ…。」

 

そして僕は気がついた。

脇坂の足から血が滴っていることに。

 

「避けろ!」

 

「えっ……。」

 

僕が叫んだ瞬間、脇坂はこれでもかという程に口を開け、麗に襲いかかってきた。

麗は困惑した声を上げながらも2、3歩後ろに下がりながら尖った先端を持つ柄を振り回し牽制する。

が、麗の牽制を気にする様子を見せずノソノソと麗に近づいていく。

 

「なっやだっ、近寄らないで‼︎」

 

麗は悲鳴に似た声を上げる。

 

「おらっ、何やってんだよ脇坂ァ‼︎

こっちだこっち‼︎」

 

俺も囮になろうと声を出すが振り向きすらしない。

すると麗は顔をキッと切り替え…

 

「槍術部を……なめるなぁ!」

 

と左足を前に出し体重を込めて脇坂の心臓を貫く。

しかし脇坂は「ゔっっ」と奇妙な呻き声を上げ意にも介した様子はない。

麗は柄が抜けないのか、柄ごと壁際まで吹き飛ばされる。

 

「心臓を指したのに、な、なんで動けるのよ⁉︎」

 

麗は壁に背を預けたまま座り込み、悲鳴を上げる。

麗は心臓に指した柄をつっかえ棒の様にし、脇坂を近づけられないようにしている。

すると永が脇坂を後ろから抑え込み、麗に柄を抜くように指示をする。

麗は永の指示に従い柄を心臓から引き抜く。

しかし俺は気がついた…心臓を指したのに出血がかなり少ないことに。

 

「永、直ぐに離れろ‼︎

脇坂は……普通じゃない‼︎」

 

「心配するな、こんな奴俺が投げ飛ばして……⁉︎」

 

永が笑いながら投げ飛ばしてやると言った直後、脇坂の首が常人では曲がらないほどに首がギギギっと回りだす。

永は慌てて首が回らないように頭を抑えつけるが…

 

「なっ、こ、こいつなんで…こんなに力が⁉︎」

 

永が困惑の声を上げた瞬間、脇坂は永の左腕に噛み付いた。

僕が慌てて脇坂を殴りつけ、麗が刺すが

 

「永ッ‼︎

なんで…どうして、どうして離れないのよ!」

 

「やはりそうだ…。」

 

「何言って…。」

 

僕がいきなり呟き出したことに麗が問う。

 

「死んでいるんだこいつは…。

死んでいるのに動いているんだ‼︎

でなければ心臓を刺されて動けるわけがないし…傷から血が吹き出してるはず…。」

 

僕が呟いた直後、さらに噛む力が上がったのか永が悲鳴を上げる。

 

「永っ‼︎

じゃあどうしたらいいのよ⁉︎

男でしょ‼︎

なんとか…なんとかしなさいよ‼︎」

 

麗が瞳に涙を浮かべた時だった。

永に噛みついていた脇坂が崩れ落ちた。

 

「「「え⁉︎」」」

 

何が起こったのか分からないが、僕と麗が永に小走りで近寄る。

 

「永!大丈夫⁉︎」

 

「ちょっと肉を裂かれただけだ。

大したことない。

それよりも……。」

 

僕、永、麗が脇坂に目を向ける。

 

「矢⁇」

 

脇坂の後頭部に矢が刺さっていた。

 

「いったいどこから⁇」

 

3人でキョロキョロと周りを見渡すと、こちらに弓を持って歩み寄って来る男がいた。

 

「「「龍一(桂木)‼︎」」」

 

そう、そこにいたのは龍一だった。

 

 




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