biohazard supplementary biography”NT”   作:ナッツガン

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ベルトウェイの体の秘密
それを知るには、日本で起きたバイオハザードを知らなくてはいけない。
ジルとレオンとクレアに聞かされる秘密の戦い
そしていよいよあいつの名前が明らかになる


呪われた一族

呪われた一族

 

 

 あれは俺が答えを見つけた後、エイダと共にある任務についた。

 日本国内でバイオハザードが発生したという報告を受けたBSAAは部隊を派遣する。

 俺はエイダと共に俺の家族を回収するために、動き出していた。

 そんな機内で俺は外を見ながら、ため息をついて呟く。

「なんでジルじゃないんだろ?」

 もちろんエイダはそんな俺の呟きを、無視して自分の本を読みふけっている。

 今更家族なんて未練なんてなかった。

 助けられなくても別にいいとさえ思った。

 でも、それでもその地に足を踏み入れる事が、俺達兄弟の運命を捻じ曲げる事になるなんて。

 

 

 ハァ……ハァ……ハァ……

 俺は友達と共に走りながら逃げ場所を求めていた。

「こっちもダメそうだ」

 友人の一人がそう言って引き返してくる。

 だったらともう一人の友人がこっちと誘導してくれる。

 俺達が走りながら後ろを走っていた友人の一人が苦しみだした。

「グァ―――――――!!」

 首を引っ掻きながら、その場で静かになった。

「そいつから離れろ!」

 顔色が変化すると、いきなり近くにいた奴の首筋に噛みついた。

「ギャ―――――――!!」

 俺達はそこから離れる、友人が俺の手を握ってくれる。

 走って行くと、また仲間が減った事に落胆する。

 平和だった日々がさっきの事のように感じてしまう。

 路地から出て行くと、そこは俺達の住んできた町が火で燃えていた。

 どうしてこういう事になったんだ?

 そんな事を考えていると、後ろで最後の仲間の悲鳴が聞こえた。

 これはゾンビに襲われた悲鳴じゃない。

 これは、あいつが追ってきたんだ。

「この私から逃げられるとでも思ったか?愚かな弟」

「なんで?なんで!?」

 ガスマスクをつけた特殊部隊らしい男は、ナイフとハンドガンを構えながら俺の目を真直ぐ捕えていた。

「言っただろ?貴様を殺すためだと。それにこの呪われた一族の血を絶やさなければ、また私のような悲劇が生まれる」

「そんな事の為に、家族を……町を!」

「貴様には一生分からない事だ。平和な生活をしてきたお前にわ」

 男はナイフを振り下ろそうとすると、俺は条件反射で目をつむってしまった。

 しかし、ナイフが俺を刺す事は無い。

 俺がゆっくりと目を開けると、そこには同じようにガスマスクで顔を覆っている男がいた。

「やはりこう来たか、ハンク」

「お前が来る前に殺しておきたかったが、間に合ったかベルトウェイ」

 ベルトウェイと呼ばれた男の声を俺は知っている。

 懐かしい声が俺の口から声を出す。

「兄貴?」

 そう口にすると、後ろから別の人物の声が聞こえてくる。

「こうして兄弟が揃うのは初めてだな」

 後ろに立っていたのは、白いコートを着ていた。

 兄は後ろにも視線を向けると、そこに居る男の名を言った。

「お前まで居るとはな、バロク」

 バロクと呼ばれた男は、不敵に笑いだすと俺をそっと見つめた。

「計画は失敗だが、面白い状況になったな。私の計画に一歩近づいたという所か」

 バロクと呼ばれていた男は俺の腕を見つめていた。

 俺が自分の腕を見ようとしたところで激痛が走った。

 ゾンビが俺の腕に噛みつき、俺はそれをはがそうとするが中々はがれない。

「これで“NTウイルス”感染者がまた一人」

 ようやくの思いでゾンビを剥す、しかしゾンビはそんな事は気にもせず再び噛みついてくる。

「おとなしくしていろ!」

 兄はゾンビの頭を銃で撃つと、ハンクと呼ばれていた男と少しだけ距離を取った。

「お前達が何を語ろうと、今更お前達を信用はできない」

 体中が熱く感じてしまって、うまく体が動かせない。

 そんな中、俺は少し前の出来事を思い出していた。

 

 

 その日の朝は比較的に早く起きられて、俺は母親に見送られる形で俺は家を出た。

 会社で仕事をしていると、昼ごろいきなり爆発が起こる。

 会社の仲間と一緒に逃げていると、俺は家族の回収をすることにした。

 しかし、俺が家族の元に駆けつけると、ガスマスクをつけた男が家族を皆殺しにしていた。

 俺はいきなり怖くなってその場から逃げて行った。

 男は俺を追いまわし、友達に助けられた俺はそのまま逃げて行った。

 

 

 飛行機から降りると、俺はいきなりBSAAの仮設本部に急いだ。

 仮設本部内では既に作戦が実行されている為に、人達が忙しくしていた。

「代表のベルトウェイだ」

 俺が室内に入ると、みんなが一斉に敬礼してきた。

 俺も敬礼して返すと、まずは状況を確認することにした。

「状況を説明してくれ」

「はい!今市内に多くの犠牲者がいます。既に部隊が各地に配置、作戦行動に映っています。まだまだ逃げ遅れた人も多くいるようで、連絡が来ています」

 エリアが複数に分かれているが、作戦指揮が良く執れている。

 この分ならここは任せても大丈夫だろう。

「ならここは任せる。何か不審な点が見つかったら俺に報告しろ」

 そう言うと俺は仮設本部から出て行く。

 外ではエイダが待っていた。

「行きましょうか」

 俺達は町へ出て行く。

 

 

 ゾンビが多く徘徊しており、BOWもちらほらうかがえる。

 ハンドガンで交戦しながら、市内を探索していく。

 まずは家族の家を探さなくては、そう考えながら俺は市内を移動していた。

 車で行けば早いのだが、市内は最初の爆発で車での走行が難しくなっている。

 俺達は歩きながら、ゾンビを倒して行く。

 ビルを横目に、俺はリッカー集団を相手にしていく。

 リッカーは集団は俺達を囲んでくると、俺達の進行を妨害する。

 一体一体が俺達に攻撃を仕掛けてくる。

 明らかに俺達の足止めが目的だ、こうなったらある程度強行突破しかない。

「行くぞエイダ」

「あなたは先に行って」

「エイダ?」

「私がリッカーの相手をするわ」

 エイダは俺に提案すると、そのまま戦闘に入る。

 俺としてもそうしたいが、エイダ一人に任せるのは不安がある。

 どうしようと悩んでいると、後ろ更にハンターが襲撃してきた。

「これじゃあ」

 エイダを1人残したら間違いなく殺される。

 俺は残る事を選ぼうとすると、後ろからBSAAの隊員が援護してくる。

「代表は先に!」

 エイダもそう言ってくれると、俺は迷わず先に急ぐ。

 走りながらもゾンビを倒して行くと、市内を迷わず進む。

 

 

 ようやくの思いで家までたどり着くと、そこに在ったのは家族の遺体だった。

「誰が……」

 どう考えてもゾンビなどに襲撃された跡ではない。

 ハンドガンやナイフを使用した跡が見受けられる。

 遺体は母親と父親と祖父と祖母だけだった。

 弟の遺体だけ確認できない。

「生きていると考えたい」

 しかし、どこに逃げたのかが分からない以上、どうしようもない。

 俺が考えていると、通信機からエイダの声が聞こえてきた。

『あなたに教えておきたいことがあるんだけど』

「なんだ?手短に頼む」

『じゃあ、一言だけ』

 エイダはそう言うと少しだけ間を開ける。

『今回私があなたについて来た理由は、ハンクよ。ここまで言えば私が何を言いたいか分かるわね?』

 そう言う事か、ハンクがここにきている理由。

 ハンクと知り合った時も、ハンクは俺達家族を恨んでいたな。

 1人で生きてきたハンク、生まれてすぐに軍に売られ傭兵として生きる事を強制された。

 そんな生きざまを決めたのは、ある意味家族だった。

 ハンクは俺の兄にあたる人間で、兄弟で言えば次男だ。

 俺がそれを知ったのは2007年の出来事だった。

 この話を語るのはまた今度にしよう。

 

 

 そして俺はようやくの思いで弟に追いついた。

 弟は終始苦しそうにしている、俺は弟を連れてその場から離れる。

 弟をBSAAの輸送車の中に入れると、ハンドガンを構えて二人の前に立つ。

「血の繋がった兄弟同士、仲良くしようじゃないか。なあ、ベルトウェイ」

「お前達と仲良くするつもりもない。それにお前達を捕まえるのが、俺の仕事だ!」

 

 

 俺は大きなトラックのような車の中に入れられると、その場で倒れていた。

 体が熱くて、まともに体が動かない。

 そして吐き気にも見舞われた。

 何度も吐いていくと、外から声が聞こえてくる。

「血の繋がった兄弟同士、仲良くしようじゃないか。なあ、ベルトウェイ」

 しかし、そう言われた兄は、当時の姿からは全くらしくない答えを出す。

「お前達と仲良くするつもりもない。それにお前達を捕まえるのが、俺の仕事だ!」

 数年間会わなかっただけで、すごくかっこよくなっていた。

 昔の兄ならこんなセルフは言えなかっただろ。

 なのに俺はこんなところで、何をしているんだ?

 体が楽になると、俺は車の中を調べた。

 兄が使っていたのと同じものがそこにはある、そこには明らかに俺に向けられたあて先不明の手紙が在った。

『あなたが闘うかは、あなたの自由。あなたの兄と同じ道すすむならこれを着なさい』

 俺はその服に手を掛けると、着衣を始める。

 

 

 腕に切り傷が出来ると、俺は彼らから距離を取る。

 傷口はすぐに治って行く。

 そうしていると、輸送車のドアが開くと中から出てきたのは俺そっくりの男だった。

「お前、何を」

「兄貴だけを戦わせるわけにはいかない」

 ナイフとハンドガンを構えるが、元々使った事のない物だ、戦えないだろ。

 そうしていると、ハンクはハンドガンを弟に向けて撃った。

 弟はハンドガンを回避すると、ハンクに向かってナイフを振るう。

 ハンクの腕から血が出ると、俺達から距離を取る。

「今回は退くとしましょう」

「バロク!」

 バロクは上空に現れたヘリから出た梯子に捕まる。

 俺はハンドガンを構えてバロクに撃つが、ハンクがそれをナイフで撃つ落とす。

 気づけばハンクの怪我は治っている。

「また会おう」

 ハンクも梯子に捕まると、その場から離れて行く。

 

10

 

 俺は飛行機の中で弟と話していた。

「これからどうする気だ?」

「兄貴に付いて行く」

「BSAAに入るのは良いが、名前ぐらい変えろよ」

「兄貴が決めてくれよ」

 先ほどから外を見たまま視線を外さない。

 エイダは途中でどこかに行ったようだし。

 俺は名前を考えていると、良い名前を思い付いた。

「アベル・シュターナー。とある所長の名前だ」

 これが呪われた一族の戦いの始まり。




次回予告

『ディジェネレーション』

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