biohazard supplementary biography”NT” 作:ナッツガン
それを知るには、日本で起きたバイオハザードを知らなくてはいけない。
ジルとレオンとクレアに聞かされる秘密の戦い
そしていよいよあいつの名前が明らかになる
呪われた一族
1
あれは俺が答えを見つけた後、エイダと共にある任務についた。
日本国内でバイオハザードが発生したという報告を受けたBSAAは部隊を派遣する。
俺はエイダと共に俺の家族を回収するために、動き出していた。
そんな機内で俺は外を見ながら、ため息をついて呟く。
「なんでジルじゃないんだろ?」
もちろんエイダはそんな俺の呟きを、無視して自分の本を読みふけっている。
今更家族なんて未練なんてなかった。
助けられなくても別にいいとさえ思った。
でも、それでもその地に足を踏み入れる事が、俺達兄弟の運命を捻じ曲げる事になるなんて。
2
ハァ……ハァ……ハァ……
俺は友達と共に走りながら逃げ場所を求めていた。
「こっちもダメそうだ」
友人の一人がそう言って引き返してくる。
だったらともう一人の友人がこっちと誘導してくれる。
俺達が走りながら後ろを走っていた友人の一人が苦しみだした。
「グァ―――――――!!」
首を引っ掻きながら、その場で静かになった。
「そいつから離れろ!」
顔色が変化すると、いきなり近くにいた奴の首筋に噛みついた。
「ギャ―――――――!!」
俺達はそこから離れる、友人が俺の手を握ってくれる。
走って行くと、また仲間が減った事に落胆する。
平和だった日々がさっきの事のように感じてしまう。
路地から出て行くと、そこは俺達の住んできた町が火で燃えていた。
どうしてこういう事になったんだ?
そんな事を考えていると、後ろで最後の仲間の悲鳴が聞こえた。
これはゾンビに襲われた悲鳴じゃない。
これは、あいつが追ってきたんだ。
「この私から逃げられるとでも思ったか?愚かな弟」
「なんで?なんで!?」
ガスマスクをつけた特殊部隊らしい男は、ナイフとハンドガンを構えながら俺の目を真直ぐ捕えていた。
「言っただろ?貴様を殺すためだと。それにこの呪われた一族の血を絶やさなければ、また私のような悲劇が生まれる」
「そんな事の為に、家族を……町を!」
「貴様には一生分からない事だ。平和な生活をしてきたお前にわ」
男はナイフを振り下ろそうとすると、俺は条件反射で目をつむってしまった。
しかし、ナイフが俺を刺す事は無い。
俺がゆっくりと目を開けると、そこには同じようにガスマスクで顔を覆っている男がいた。
「やはりこう来たか、ハンク」
「お前が来る前に殺しておきたかったが、間に合ったかベルトウェイ」
ベルトウェイと呼ばれた男の声を俺は知っている。
懐かしい声が俺の口から声を出す。
「兄貴?」
そう口にすると、後ろから別の人物の声が聞こえてくる。
「こうして兄弟が揃うのは初めてだな」
後ろに立っていたのは、白いコートを着ていた。
兄は後ろにも視線を向けると、そこに居る男の名を言った。
「お前まで居るとはな、バロク」
バロクと呼ばれた男は、不敵に笑いだすと俺をそっと見つめた。
「計画は失敗だが、面白い状況になったな。私の計画に一歩近づいたという所か」
バロクと呼ばれていた男は俺の腕を見つめていた。
俺が自分の腕を見ようとしたところで激痛が走った。
ゾンビが俺の腕に噛みつき、俺はそれをはがそうとするが中々はがれない。
「これで“NTウイルス”感染者がまた一人」
ようやくの思いでゾンビを剥す、しかしゾンビはそんな事は気にもせず再び噛みついてくる。
「おとなしくしていろ!」
兄はゾンビの頭を銃で撃つと、ハンクと呼ばれていた男と少しだけ距離を取った。
「お前達が何を語ろうと、今更お前達を信用はできない」
体中が熱く感じてしまって、うまく体が動かせない。
そんな中、俺は少し前の出来事を思い出していた。
3
その日の朝は比較的に早く起きられて、俺は母親に見送られる形で俺は家を出た。
会社で仕事をしていると、昼ごろいきなり爆発が起こる。
会社の仲間と一緒に逃げていると、俺は家族の回収をすることにした。
しかし、俺が家族の元に駆けつけると、ガスマスクをつけた男が家族を皆殺しにしていた。
俺はいきなり怖くなってその場から逃げて行った。
男は俺を追いまわし、友達に助けられた俺はそのまま逃げて行った。
4
飛行機から降りると、俺はいきなりBSAAの仮設本部に急いだ。
仮設本部内では既に作戦が実行されている為に、人達が忙しくしていた。
「代表のベルトウェイだ」
俺が室内に入ると、みんなが一斉に敬礼してきた。
俺も敬礼して返すと、まずは状況を確認することにした。
「状況を説明してくれ」
「はい!今市内に多くの犠牲者がいます。既に部隊が各地に配置、作戦行動に映っています。まだまだ逃げ遅れた人も多くいるようで、連絡が来ています」
エリアが複数に分かれているが、作戦指揮が良く執れている。
この分ならここは任せても大丈夫だろう。
「ならここは任せる。何か不審な点が見つかったら俺に報告しろ」
そう言うと俺は仮設本部から出て行く。
外ではエイダが待っていた。
「行きましょうか」
俺達は町へ出て行く。
5
ゾンビが多く徘徊しており、BOWもちらほらうかがえる。
ハンドガンで交戦しながら、市内を探索していく。
まずは家族の家を探さなくては、そう考えながら俺は市内を移動していた。
車で行けば早いのだが、市内は最初の爆発で車での走行が難しくなっている。
俺達は歩きながら、ゾンビを倒して行く。
ビルを横目に、俺はリッカー集団を相手にしていく。
リッカーは集団は俺達を囲んでくると、俺達の進行を妨害する。
一体一体が俺達に攻撃を仕掛けてくる。
明らかに俺達の足止めが目的だ、こうなったらある程度強行突破しかない。
「行くぞエイダ」
「あなたは先に行って」
「エイダ?」
「私がリッカーの相手をするわ」
エイダは俺に提案すると、そのまま戦闘に入る。
俺としてもそうしたいが、エイダ一人に任せるのは不安がある。
どうしようと悩んでいると、後ろ更にハンターが襲撃してきた。
「これじゃあ」
エイダを1人残したら間違いなく殺される。
俺は残る事を選ぼうとすると、後ろからBSAAの隊員が援護してくる。
「代表は先に!」
エイダもそう言ってくれると、俺は迷わず先に急ぐ。
走りながらもゾンビを倒して行くと、市内を迷わず進む。
6
ようやくの思いで家までたどり着くと、そこに在ったのは家族の遺体だった。
「誰が……」
どう考えてもゾンビなどに襲撃された跡ではない。
ハンドガンやナイフを使用した跡が見受けられる。
遺体は母親と父親と祖父と祖母だけだった。
弟の遺体だけ確認できない。
「生きていると考えたい」
しかし、どこに逃げたのかが分からない以上、どうしようもない。
俺が考えていると、通信機からエイダの声が聞こえてきた。
『あなたに教えておきたいことがあるんだけど』
「なんだ?手短に頼む」
『じゃあ、一言だけ』
エイダはそう言うと少しだけ間を開ける。
『今回私があなたについて来た理由は、ハンクよ。ここまで言えば私が何を言いたいか分かるわね?』
そう言う事か、ハンクがここにきている理由。
ハンクと知り合った時も、ハンクは俺達家族を恨んでいたな。
1人で生きてきたハンク、生まれてすぐに軍に売られ傭兵として生きる事を強制された。
そんな生きざまを決めたのは、ある意味家族だった。
ハンクは俺の兄にあたる人間で、兄弟で言えば次男だ。
俺がそれを知ったのは2007年の出来事だった。
この話を語るのはまた今度にしよう。
7
そして俺はようやくの思いで弟に追いついた。
弟は終始苦しそうにしている、俺は弟を連れてその場から離れる。
弟をBSAAの輸送車の中に入れると、ハンドガンを構えて二人の前に立つ。
「血の繋がった兄弟同士、仲良くしようじゃないか。なあ、ベルトウェイ」
「お前達と仲良くするつもりもない。それにお前達を捕まえるのが、俺の仕事だ!」
8
俺は大きなトラックのような車の中に入れられると、その場で倒れていた。
体が熱くて、まともに体が動かない。
そして吐き気にも見舞われた。
何度も吐いていくと、外から声が聞こえてくる。
「血の繋がった兄弟同士、仲良くしようじゃないか。なあ、ベルトウェイ」
しかし、そう言われた兄は、当時の姿からは全くらしくない答えを出す。
「お前達と仲良くするつもりもない。それにお前達を捕まえるのが、俺の仕事だ!」
数年間会わなかっただけで、すごくかっこよくなっていた。
昔の兄ならこんなセルフは言えなかっただろ。
なのに俺はこんなところで、何をしているんだ?
体が楽になると、俺は車の中を調べた。
兄が使っていたのと同じものがそこにはある、そこには明らかに俺に向けられたあて先不明の手紙が在った。
『あなたが闘うかは、あなたの自由。あなたの兄と同じ道すすむならこれを着なさい』
俺はその服に手を掛けると、着衣を始める。
9
腕に切り傷が出来ると、俺は彼らから距離を取る。
傷口はすぐに治って行く。
そうしていると、輸送車のドアが開くと中から出てきたのは俺そっくりの男だった。
「お前、何を」
「兄貴だけを戦わせるわけにはいかない」
ナイフとハンドガンを構えるが、元々使った事のない物だ、戦えないだろ。
そうしていると、ハンクはハンドガンを弟に向けて撃った。
弟はハンドガンを回避すると、ハンクに向かってナイフを振るう。
ハンクの腕から血が出ると、俺達から距離を取る。
「今回は退くとしましょう」
「バロク!」
バロクは上空に現れたヘリから出た梯子に捕まる。
俺はハンドガンを構えてバロクに撃つが、ハンクがそれをナイフで撃つ落とす。
気づけばハンクの怪我は治っている。
「また会おう」
ハンクも梯子に捕まると、その場から離れて行く。
10
俺は飛行機の中で弟と話していた。
「これからどうする気だ?」
「兄貴に付いて行く」
「BSAAに入るのは良いが、名前ぐらい変えろよ」
「兄貴が決めてくれよ」
先ほどから外を見たまま視線を外さない。
エイダは途中でどこかに行ったようだし。
俺は名前を考えていると、良い名前を思い付いた。
「アベル・シュターナー。とある所長の名前だ」
これが呪われた一族の戦いの始まり。
次回予告
『ディジェネレーション』
感想待ってます。