biohazard supplementary biography”NT”   作:ナッツガン

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マルハワ学園
アジアで最大の名門校だった
しかし、ある時マルハワ学園を襲った悲劇の事件
その事件はマルハワデザイアと呼ばれていた
この事件はあれで終わりではなかった
その後に起きたさらに大きな事件が待っていた


マルハワデザイア①

『マルハワデザイア①』

 

 

 マルハワ学園はアジアで最大の名門校だった。

 そう、だったのだ…今ではそうではない。

 マルハワ学園内で大規模なバイオハザードが発生してしまった。

 事態の収拾の為にシンガポールにあるベネット大学の教授ダグと甥っ子のリッキーが闘ったが、事態は収拾するどころか大きくなるばかり…

 そして、事態は突如大きく膨れ上がった。

 マルハワ学園は閉鎖的な学園だった。

 学生が校内で死んでも、親族に何の報告もない。

 それ故に俺達BSAAもバイオハザードが起きたと気づかなかった。

 クリスとピアーズとメラが学園に到着した時にはすでに学園は壊滅的な状況だった。

 最終的な生存者はクリスとピアーズと甥っ子のリッキーだけだった。

 この戦いでエージェントのメラが死亡してしまった。

 のちにBSAAが突入した時は既に事態は収拾してしまっていた。

 幸い学園内だけバイオハザードが起きた為、島にいた他の住民に被害は行かなかった。

 学園が閉鎖的なのが今回役にたった。

 そののち正確な調査の為俺とジルが先行で島内に潜入することになった。

 

 

 俺達はボートでマルハワ学園のある島に近づいていた。

 島自体が閉鎖していて、誰も近づくこともできない。

 調査の為俺達が潜入することになったのだが…

「別に私達が調査に行かなくてもいいんじゃない?」

「こうでもしないとあの書類の山から逃げ出せない」

「だとは思ったけど」

 島にちょっとは近づいているのか、島が大きく見えてくる。

 俺は水面を見ると、小さくため息をついてしまう。

「メラが死亡…。信じられないが…」

 俺達はメラを知っている。

 クリスからエージェントの育成に手伝ってほしいと言われた時、俺達はメラと出会った。

 メラはあった時から優秀だった。

 ある意味クリスが推薦してきた意味を理解した。

「エージェントは実戦部隊と違ってそんなに死ぬような事は無いんだけど…」

 今回は相手が悪かった。

 なんでも新型BOWが襲ってきたと報告を受けている。

 ある意味メラは俺達の後輩にあたる人物だ。

 そんな事を考えながらも、ボートは着実に島に近づいている。

 島の全貌が見えてくると、俺は少し違和感を覚えた。

「なんか静かじゃないか?」

「そうね、そんなに大きな騒ぎが起きる所とは聞いてないけど…」

 何か嫌な予感がする。

 当たってほしくない予感が俺の胸に残っていた。

「空も暗くなってきたし、嫌な感じがするわ」

 ジルも俺と同じ嫌な予感を感じていた。

 空がこれからの事件を予感させるようだった。

 

 

 島がようやく近づいてくると、俺はボートの中で準備に追われていた。

 ハンドガンなどの武器の準備をしている時だった。

 いきなりボートが大きく揺れて、俺自身の体がボートの端に叩きつけられた。

「なんだ!?どうしたんだジル!」

「分からない!何かが船の下に居るみたい!」

 俺は船から乗り出して、船の下を見ると大きな魚みたいなモノを見つけた。

「大きな魚みたいなやつが船の下に居る!」

 さらに大きく船が揺れると、俺は船の端に捕まる。

 すると目の前に大型のBOWが姿を現した。

「ベル!機関銃を!」

「分かってる!」

 目の前に付いている機関銃を手に取ると、大型BOWに向けて引き金を引いた。

 しかし、機関銃の攻撃はBOWの体に当たると同時に弾いてしまった。

「体が硬い!」

 後ろから攻撃をする限り、弱手が分からない。

 ボートの速度が速くなっていくと、BOWの横顔が見えてくる。

 複数の目が俺を捕える。

 目に向けて機関銃の引き金を引くと、BOWは大きな悲鳴を上げる。

 BOWは体を水中に沈めると、船に体をぶつけてきた。

 船が少し揺れてしまうと、再びBOWが水上に姿を現した。

 BOWは体から小型の魚みたいな物体をこちらに飛ばしてくる。

 俺は機関銃の攻撃でそれらを落とすと、BOWに対して攻撃を開始する。

 再びBOWの後ろに位置した場所では致命的な攻撃は望めない。

「ジル!船を奴の隣に!」

「分かってる!」

 船がまたしても速度を上げて行くと、今度はもう一方の方に船をつける。

 もう一方の目に機関銃の攻撃を当てる。

 BOWは苦しそうに悲鳴を上げると、魚のような物体をこちらに多数飛ばしてくる。

 機関銃で落としていくが、何匹かが船に激突する。

 船がまたしても揺れてしまうと、俺も少し態勢を崩してしまう。

 このままでは船が沈んでしまう。

 俺の攻撃で此奴が倒れればいいのだが、中々倒れてくれない。

 BOWは再び攻撃の態勢を取ると、またしても体から魚を飛ばした。

 今度こそ全て叩き落とすと、俺達はBOWの顔を拝むことが出来た。

「どこかに弱点があるはずだが…」

 そうしていると、BOWは大きな口を開けて俺達を丸呑みしようとしていた。

 その大きな口に弱点らしきモノを発見した。

 それに機関銃の照準をあてると、俺はためらいなく引き金を引いた。

 BOWは大きな悲鳴と共に沈んで行く。

 

 

 BOWを撃退することに成功すると、俺達は真直ぐ島に向かった。

 島の港でボートを止めると、島に上陸する。

 しかし、島はやけに静まり返っていて、先ほど沖合で戦闘が在ったのがウソのようだ。

 家の明かりも全て消えていて、ついているモノと言えばどこかのバーぐらいだ。

「どうにもおかしいな」

「ええ、あれほどの戦闘が在ったら人が出て来てもいいはずなのに…」

「いやな予感がする」

 そう感じながら俺達は真直ぐ合流場所に向かった。

 港の入り口で俺達はこの島の案内人に会う予定だったのだが…

 何分待っても案内人が現れる気がしない。

 月明かりでさほど暗くは感じないが、それでも今の状況は少し不気味だった。

「合流時間から既に三十分は立っているぞ」

「誰も来ないわね」

 仕方が無いと言いながら俺達は鞄を持ちその場から移動していく。

大きな通りにでると、俺達はマルハワ学園がある方向に向かって歩いて行く。

 二人して歩いて行くと、周辺に誰もいない事に違和感を覚えた。

「誰もいない事も異常だが…」

「うん、人の気配が一切しない」

 ふと店の中を覗いてみると、客はともかく店員までいない。

 やはりおかしい、俺達は道を警戒しながら歩いて行く。

 そうしていると、後ろから気配を感じた。

 後ろを振り返ると、多くのゾンビが俺達を目指して歩いていた。

「嫌な予感が当たったわけだ」

「逃げましょう!」

 俺達は大きな荷物を持ちながら通りを走って行く。

 するとさらに目の前から多くのゾンビが現れた。

 俺達はゾンビに挟み撃ちにされる形に追い込まれる。

 いよいよ逃げる場所が無くなってきた。

「どうする?」

「どうしましょうか?」

 俺達は路地裏に向かって走って行く。

 暗い路地裏をひたすら走って行くと、更に奥からゾンビが現れる。

 逃げられない状況に当たってしまう。

 俺はジルを担ぐと、そのまま壁を登って行く。

「ベル!?」

「そのままでいてくれ!」

 壁にあるパイプや非常階段などを使って登って行く。

 ゾンビもさすがにここまでは来れないようで、俺は屋上に上がると息を吐いた。

 さすがに疲れてしまった。

「大丈夫?」

「ハァ…ハァ…大…丈…夫」

 下ではゾンビが俺達を目指して腕を伸ばしている。

 早めに移動した方が良さそうだ。

「行こう。ここから離れた方が良さそうだ」

「そうね」

 俺達は屋上から屋上に移動をしていく。

 

 

ゾンビの群れから離れて行くと、俺達はBSAAに連絡を取ることにした。

 しかし一向に連絡が付かない。

「どういうこと?」

「誰かが電波妨害をしていると考えた方が良さそうだな」

 誰かがこの島の電波を妨害して、この島を隔離してしまった。

 おかげで俺たちはBSAAは島がこうなっていることに気づかなかった。

「電波妨害をしている何かが、どこから発信しているかを見つけた方が良さそうだな」

「こうなるとますますマルハワ学園を捜索した方が良さそうね」

 マルハワ学園は一週間前にマルハワデザイアと呼ばれている事件が発生した。

 マルハワ学園の学生は事件によって全員が死んでしまった。

「でもどうやって行くかよね。マルハワ学園にいこうにも、移動手段が全くない以上どうしようもないんだけど…」

 屋上から町を眺めている。

 夜はまだまだこれからだ。

「マルハワ学園に行った方がよさそうだけど、移動手段を探すには下に降りなければならないわね」

 下はゾンビの群れであふれていて、降りたらゾンビとの戦いは避けられない。

 そうなると車の在りそうな場所に降りた方が良さそうだ。

「どこかに車が無いか探したほうが良さそうだ。ジル、どこかに無いか?」

「と言われてもね。私も別にこの島に詳しいわけじゃないし…」

 屋上から車が無いか探していると、ゾンビが俺達の方に行って来ていた。

「一旦ここから逃げた方が良さそうだな」

 さらに屋上を渡って行くと、町の奥に進んで行く。

 

 

ガソリンスタンドにたどり着くと、一台の車を発見した。

 ガソリンを入れたところをゾンビに襲撃されたのか、血はあれど人はいない。

「これを使ってマルハワ学園を目指すか?」

「それしかなさそうね」

 車に乗り込むと、ゾンビの群れが俺達を出迎えてくれた。

「盛大なお迎えだな」

 車で逃げようとも、出入り口をゾンビで囲まれたのでは意味がない。

 どうしたものかと悩んでいると、声が聞こえてくる。

「俺達が車から攻撃しよう。どっちかが運転をしてくれ」

 声のした方に向くと、そこに居たのは…

「レオン!クレア!」

 レオンとクレアの二人だった。




次回予告
『マルハワデザイア②』

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