biohazard supplementary biography”NT”   作:ナッツガン

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『クレアレッドフィールド』
ラクーンシティから脱出した直後、ベルトウェイは森の中で一人の女性に出会う。
その女性との出会いは後に、大きな意味を持ってくる。
『私生活』
ジルと出会ってから数日。
ベルトウェイはニューヨークの町で静かな生活を送っていた。
これは二人が組織を立ち上げる決意をするまでの話。


クレア・レッドフィールド/私生活

『クレア・レッドフィールド』

 

 アンブレラの実験施設から漏れてしまった“Tウイルス”が、町中を汚染してしまった。

 アンブレラは証拠もろとも町を、『ラクーンシティ』を吹き飛ばす事を決定した。

 俺は核が落ちる前に町から脱出することに成功した。

 近くの森に着地すると、そのまま森の中を走って行く。

 そのままヘリで移動してもよかったのだが、アンブレラにばれてしまう事を俺は恐れた。

「しかし、意外と遠いな…」

 近くに町を確認したため、俺は途中で降りたのだが…

 予想以上に遠かった…

 しかし問題はこの服だ。

 何とかしなくてはならない…

 そんな事を考えていると、近くで銃撃音が聞こえてくる。

 音のする方に走って行くと、1人の女性が特殊部隊らしき人達に追われていた。

 その女性は明らかに戦い慣れていて、特殊部隊を倒しながら逃げていた。

 このまま無視をして進むか悩んでいると、女性は足にけがをしてしまう。

「ようやく追い詰めたぞ…」

 仕方が無い……助けるか……

 俺は走りながらハンドガンで特殊部隊の一人の頭を吹き飛ばした。

 特殊部隊は丁寧に、俺の方を見ると一斉に銃の引き金を引いた。

 銃撃を回避しながら、確実に殺していく。

 特殊部隊は先に女性を殺そうとすると、俺はナイフを特殊部隊に向けて投げた。

 特殊部隊の一人の頭に突き刺さると、その場に倒れてしまった。

「そこでじっとしていろ!」

 俺は最後の三人を相手に格闘戦を仕掛ける。

 拳と脚技を使いながら特殊部隊を少しずつ殺していく。

 最後の一体を何とか殺すと、俺は座り込んでいる女性の方を向いた。

 女性は俺に警戒を向けていた。

 まあ、当然の反応か…。

 こんないかにも特殊部隊のような恰好をしていると、そんな反応になる。

「俺はベルトウェイ・シュターナーだ。君は?」

 念の為に自己紹介をしておくことにする。

 彼女は恐る恐る自己紹介をすることにしたようだ。

「クレア…クレア・レッドフィールド」

 会話が終了してしまった。

 気まずい空気が場を満たしている。

「…あなたはアンブレラの人間じゃないの?」

 驚くことに彼女から話かけてきた。

「まあな、逆にアンブレラから追われる側の立場だ」

 俺は近くに投げていた鞄を拾うと、中から治療に必要な道具を取り出す。

 彼女の足を掴むと、傷を見てみることにした。

 足の傷はかすり傷程度であったが、念のために消毒とガーゼと包帯で傷を塞いだ。

「これで大丈夫だろう」

 俺は死んだ特殊部隊の遺体を探っていると、1人の中から携帯らしきものを取り出した。

 携帯の中には任務の中身が書かれていた。

「とある人間の抹殺…」

 携帯に書かれていたのは、ジル・バレンタイン、レオン・S・ケネディ、クレア・レッドフィールドと書かれていた。

「どうやら君を殺す事が彼らの任務だったようだな」

 彼女も携帯に注目していると、一番下に最重要抹殺対象と書かれた人物がいた。

 最重要抹殺人物……ベルトウェイ・シュターナー

「……最重要抹殺対象」

「やはり、俺を追っていたか…。考えていたことだが、まだ俺を追っていたようだな」

 携帯を踏みつぶして壊すと、他にも似たような物が無いか探しだした。

 他にも二点同じような物を見つけると、壊した。

「ここから移動するぞ」

 俺はクレアを担ぐとそのまま歩いてその場を後にした。

「別に急がないでも…」

「あれにはGPSが内蔵されていたはずだ…」

 ここの居場所もばれているはずだ。

 町まで逃げれば、アンブレラも追ってはこないだろう。

 俺はクレアを担ぎながら町の方に逃げて行く。

 ある程度歩くと、高台にたどり着いた。

 高台からは大きな町が見えてくる。

 俺は歩きながら降りて行くと、町の入り口の近くまで来ていた。

 時間はすっかり昼だった。

「クレア、頼みがあるんだが」

「はい?」

「服を買ってきてはもらえないだろうか?俺はこの服しか持っていないからな」

「分かりました」

 クレアは町の中に消えていくと、俺は森の中で隠れていることにした。

 町の中は人が賑わっている。

 ラクーンシティが壊滅した事を知らないかのようだ。

 しかし、町の中には何人かが町の入り口で騒いでいる。

「ラクーンシティに言ってはダメだって!どういう事だ!?」

「ですから!今はダメなんです!封鎖されているんです!」

「あそこには妻子が!妻子がいるんだ!」

「だめですって!」

 男達が警察の封鎖を乗り越えて、ラクーンシティに行こうとしていた。

 だが今頃ラクーンシティは…

「買ってきましたよ!」

 クレアが町の方からやってきた。

「すまないな」

 俺は物陰に隠れると、服を着替えた。

 服を着替え終えると、物陰から出てくる。

「……ベルさんって日本人なんですか?」

「…ああ、元な」

 ようやくまともな服になった。

 視線をもう一度男達に向ける。

「…あの人たちは、ラクーンシティに大切な人がいるんですね?」

「ああ、だけどもう…。今頃は…」

 ラクーンシティのある方角を見ると、そこには大きな爆炎がいまだに上がっている。

「逃げられなかった人は…もう…」

「無理だろうな…。俺達はある意味運がいい方だ」

「これからどうするんです?」

「アンブレラを壊滅させる為に戦うさ」

 町の中に向かって歩いて行くと、クレアもついてくる。

「私、兄を追っているんです。クリスって言うんですけど…。知りませんか?」

「知らないな…。元々俺はラクーンシティの人間じゃない」

「そうですよね…。やっぱりヨーロッパに行って見るしかないのかな?」

「ヨーロッパにお兄さんは居るのか?」

「はい!兄は今アンブレラと戦っているんです」

 アンブレラと戦っている…

 これはチャンスかもしれない。

 彼の情報を掴めば、仲間を集められるし、アンブレラを壊滅させることもできるかもしれない。

「……ヨーロッパに行って見るか…」

「ヨーロッパに行くんですか?だったら私も!」

「だめだ!君を巻き込むわけにはいかない。君のお兄さんは俺が見つけて見せる!だから、君は待っていなさい」

 俺は何とかクレアを説得すると、ヨーロッパに飛ぶために資金を集め始めた。

 これが、出会いの話

 

『私生活』

 

 ベットの中でもぞもぞしていると、目覚まし時計が何度も音を鳴らしている。

 ベットの中から何とか腕を出すと、目覚まし時計のボタンを押した。

 時間は朝の5時、俺は眠たい目を擦ると何とか起きる。

「ふぁ~」

 大きく欠伸をすると、パジャマのままでリビングまで移動する。

 大きな窓からニューヨークの町が良く見える。

 アメリカに来てから大分経つが、この光景にも、この朝にも慣れてきた。

 卵を割るとスクランブルエッグを作る。

 その次にベーコンを焼いてサラダにパンを焼いたら、朝食の完成だ。

「いただきます」

 パンをかじりながら、時間の確認を取る。

 時間は既に朝の6時を過ぎていた。

 少しゆっくりし過ぎていたかもしれない。

「今日は…ジルと会う約束をしていたか?」

 自分で予定を考えていて、既に半分ほど忘れている。

 今日はジルと本格的に活動をする予定だった。

 ここ数日はそれぞれの時間を過ごしていて、ジルは一度家に帰ると言っていた。

 ジルとは数日前に在ったばかりだ。

 ある旅先で出会ってから、同じ目的の仲間同士行動を共にすることにした。

 朝食をさっさと食べると、歯を磨いて、着替えて家を出た。

 ニューヨークの街並みを眺めながら、ジルと待ち合わせの場所まで向かった。

 ちょっとした喫茶店にたどり着くと、俺は近くの席に座ってコーヒーを注文した。

 あらかじめ買っておいた新聞を眺めると、1人さびしくつぶやいた。

「アンブレラはあまり大きな行動出ていないようだな」

 ここ最近は大きなニュースになっていない。

 ラクーンシティが壊滅した時は、あちらこちらでアンブレラの悪事がばらまかれていた。

 どうやらラクーンシティからの脱出者が、情報を流していたようだ。

 今では少し落ち着いている。

 しかし、アンブレラが倒産してしまうのも、時間の問題だろう。

 そんな事を考えていると、向こうからジルが現れる。

「待った?」

「いや、今来たところだ」

 俺は黙って席を立つと、代金を払ってその場を後にする。

「これからどうする?」

「仲間を集めたいな。後、組織を作っておきたい。これから行動するのに組織が必要になる」

「だったら必要なのは、資金と人材、それにリーダーね」

 リーダーと人材はともかく、問題は…

「問題は資金だな。俺達には組織を作るほどの資金が無い」

 俺とジルは、お互いに生活を支えるほどの鐘はあるが、組織を作るほどの鐘は無い。

 二人して悩んでいると、町の中心で記者たちがたむろしていた。

 記者たちがたむろしている場所の中心に居たのは、スーツ姿の男だった。

「あれは…。製薬企業連盟のトップに居るトライセル社の社長ね。彼も大変ね、アンブレラがあんな研究をしていたせいで、製薬企業連盟の存在自体が危うくなっているんですもの」

「製薬企業連盟?」

 聞いた事が在るような…無いような。

「知らない?」

 入れは黙って頷くと、ジルは説明を始めた。

「製薬企業連盟はね、製薬会社が組合を作り上げたの、それが製薬企業連盟」

「要するに、製薬会社が集まった組織って事か?」

「ええ、今アンブレラがウイルス実験していたんじゃないかって問題になってるでしょ?アンブレラも製薬企業連盟の傘下にいたから…。製薬企業連盟もその非難の的になってるの」

 そこまで聞くと、俺は良い事を想いついた。

「資金は何とかなりそうだな」

「何か当てがるの?」

 俺は先程想いついた案を、ジルに説明する。

「製薬企業連盟が避難から逃れる簡単な方法ななんだと思う?」

「……アンブレラを倒産させる事か、ウイルス自体を撲滅する事?」

「まあ、そうだな。アンブレラの倒産は製薬企業連盟にはできないだろう。出来たとしても避難から逃れる事は多分できない。簡単な方法は、ウイルス自体を消す事だ」

「そうだけど。それこそ彼らにはできないでしょ?」

「そうだな。でも、金を出すだけでそれが出来てしまったらどうだ?」

「どういうこと?」

「要するに対バイオハザード私設部隊を創設すればいい。そしてここにはそんな組織を作りたがっている人間がいる」

 そこまで言うと、ジルはすべてを理解した。

 組織が出来るのも時間の問題だ。




次回予告
『創設秘話』

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