biohazard supplementary biography”NT”   作:ナッツガン

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これはジルが失踪する事件の前
スペンサーの居場所を知る物語


呪われた運命

 

 通路を走って行く音が周囲の壁に響いて聞こえてくる。

 私は研究所のような場所をひたすら走っていた。

 右の窓からは戦闘が垣間見れて、そこではプラーガに寄生された人たちとベルが闘っていた。

 もうすぐで目的地に到着するはずだ。

 曲がり角を曲がると、私の目の前に大きなドアが出てきた。

 パスワードを入力すると、私は大きなドアをゆっくり開く。

 中では1人の女性が隅の方で座り込んでいた。

「だ、誰!?」

「私はBSAAの者よ、あなたを救出してほしいと頼まれてね」

「本当に!?」

「ええ、早くここから脱出しましょう」

 私はアシェリーを連れて通路を走って行く、すると目の前にある画面から私達が良く知る人物が写った。

「全く出来の悪い娘だ。君たちは私の考えるとおりに行動しない」

 写っているのはレオン・S・ケネディーが倒したサドラーだった。

 しかし、私はあえて別の名前を出した。

「サドラーになりすますのは止めなさい。モルガン・ランズディール」

 私は画面を睨みつける。

 画面に映っていたサドラーの画面にノイズが掛かると、画面に映ったのはモルガンだった。

「やはり君たちは私にとって脅威だな」

「かつてのFBC長官が、今ではただのテロリストですか?」

 後ろからプラーガに寄生された人々が群がっている。

 私は彼女の手を握るとそのまま走って行く。

「君たちは絶対に許さない」

 声が遠くなっていくのを私は走りながら聞いていた。

 

 

 俺は少し違和感を覚えながら長い道のりを進んで行く。

 これは研究所から行くまでの道のり。

 俺とジルは橋を落とされた後、果てしない道のりを進んで行った。

 少し歩くと端末を確認するジル。

「もう少し歩くと村に到着するはずよ」

「だと良いが」

 崖の上にたどり着くと、俺達は崖の上から見つけた村を見つめる。

 しかし、そこにあったのは村ではなく大きな研究施設だった。

「どういうこと?どうしてこんな場所に……」

「あそこが教団の本拠地かもしれないな」

 歩こうとすると、俺は本拠地の出入り口の方を確認した。

 本拠地の出入り口では多くのプラーガに寄生された者達が居た。

「ジルは裏口を探し出して潜入してくれ」

「あなたはどうするの?」

「俺は入り口で戦う。俺が囮になる」

 ジルは驚いて見せると、俺に聞いてきた。

「いいのね?」

「これしかもう方法はない」

 俺は真直ぐ研究所の出入り口に向かって行く。

 出入り口に姿を現すと、プラーガに寄生された者達が一斉にこちらを向く。

 俺はナイフを構えると、戦闘に入って行く。

 男達はアサルトライフルを構えると、俺に向かって引き金を引く。

 俺は攻撃を回避すると、男の一人をフックショットで引き付ける。

 男に爆弾を付けると、奴らに帰してやる。

 爆弾を付けた男は、奴らの中に入って行くとすぐに爆発した。

 その爆発は大きな音に包まれる。

 しかし、彼らの行動は意外と速く、被害は少ない。

「知性があると厄介だな。ゾンビならこれで済んでいるものを!」

 奴らのとの距離を潰すと、ナイフで奴らの一人の首を切り落とす。

 奴らの内の一体が俺に向かってアサルトライフルを構えるが、大きな銃声と共に男の頭が吹き飛ぶ。

「なんだ?どこからだ?」

 出入り口に居たのは、あのハンクだった。

「どうして貴様がここにいる?」

 出入り口から多くの兵が現れて俺達を囲んで行く。

「先にこっちをどうにかした方がいいんじゃないのか?」

「貴様に言われなくてもそうするつもりだ!」

 ハンクはハンドガンで交戦すると、俺はナイフとマシンガンで交戦する。

「どうして貴様がここに!?」

「モルガンが俺達の研究施設からプラーガを持ち出して逃げたんだ」

「モルガンだと!?あいつは今刑務所に服役中のはずだ!」

 モルガンはあの事件の後、すぐに刑務所に服役した。

 今はそこに居るはずだ。

「貴様がどう思うと現実は変わらない。モルガンはここにいる」

 俺はフックショットの先にナイフを取り付けると、フックショットを男の頭めがけて飛ばす。

 男を殺しつつ自分の元に手繰り寄せると、男を盾にマシンガンで攻撃する。

「器用な武器だな。それ、エイダとかいう女からもらったものだな?」

「だったらなんだ?」

「かなり改造してあるな」

「銃の知識ならある程度学んでいる」

 ハンクはハンドガンに別の弾を取り付ける。

 ハンクの撃った弾は相手に当たると、数秒後に爆発する。

 ハンクは何度かこちらを窺うと、何度も引き金を引く。

「マインスロアーの改良型だな」

 ある程度相手が居なくなると、ハンクは俺から距離を取る。

「俺から逃げるつもりか!?」

「俺が手を出さなくてもお前達が勝手に殺しれくれるだろう。それに俺は忙しい」

「逃げるな!」

 ハンクに向かってナイフ付きのフックショットを飛ばす。

 ハンクはナイフでそれをはじくと、そのまま逃げて行く。

「頼んだぞ、弟」

 ハンクは森の中に入って行く。

 

 

 俺は多くの兵士達の群れから逃げるように研究所に入って行く。

 兵士は俺を殺す為に追いかけてくる。

「ったく!どんだけ暇人なんだ!?」

 兵士の数が多くて戦闘をする気にならない。

 走りながら進んで行くと、俺の端末が鳴りだす。

「もしもし?どなたですか?今忙しいんですけど」

『ベル?今どこにいるの?』

「研究所内で追いかけっこだ。命を懸けたスリル満点のな」

『そう。何か分かった?』

「ああ、サドラーの正体はモルガンだった。やば!?じゃあな!」

 俺は端末の電源を切ると、明るい場所目掛けて飛ぶ。

 広い空間に出ると、そこにはモルガンが立っていた。

「久しぶりだね」

「モルガン。落ちるところまで落ちたみたいだな」

 モルガンはリモコンのようなものを操作すると、大きな画面を天井から出した。

 画面にはジルとアシェリーが逃走劇を繰り広げていた。

「ジル!貴様!」

「君たちには本当に手を焼かされた。君たちは私を陥れた」

「自業自得だ!お前のやり方は理解できないんだ!」

 俺はジルの元に行こうとすると、出入り口にシャッターが下りる。

「なぜ邪魔をする?邪魔をするな!」

 俺はモルガンを睨みつけると、モルガンは笑い出す。

 少し笑っていると、モルガンは俺に向かって最低も発言をする。

「邪魔をする?邪魔をするに決まっているじゃないか。お前達のせいで私は人生が破綻したんだからな!」

「貴様の自業自得だと言っただろ!そんな事にジルを巻き込むな!」

 シャッターは頑丈で壊れそうもない。

 そんな時、シャッターが開く。

「馬鹿な!」

 俺は通路に向かって走って行く。

 通路を走って行くと、兵士達を退けながら走る。

 長い通路を走って行くと、ジルから連絡が入った。

『ベル?今BSAAの部隊が来てるらしいの。上のヘリポートにヘリが来るんだけど……』

「ジルは先に逃げろ!俺はモルガンを倒す」

 俺はそう言いつつ端末を切る。

 その時その選択を後悔した。

 あんなことになるんなら、ジルを帰らせたりしなかったのに……

 

 

 俺は通路を走って行くと、ドアから明かりが漏れる。

 ドアが開いた隙間から覗き込むと、そこにはエイダの姿があった。

「エイダ…こんな場所で何をしている?」

 エイダは俺の方を見つめると、パソコンから得た情報をこちらに投げた。

「これはなんだ?」

「モルガンにプラーガを与えた人間の情報よ。正確に言うと、スペンサーの居場所」

「スペンサーの居場所だと?」

 USBメモリーを端末に刺すと、中の情報を眺める。

 俺はその情報を本部に転送すると、改めてエイダの方を向いた。

「で?お前は何をしているんだ?」

「あなたを手伝ってあげようと思ったのに……」

「嘘だな。お前は上からの命令で動いているはず。何が狙いだ?」

 エイダはパソコンをなでると、質問に答えた。

「支配種のプラーガの情報はまだこちらには無いから……」

「目的は支配種のプラーガだな?」

 エイダは黙って頷くと、こちらを見つめる。

「私の仕事は終わったから」

 そう言うとエイダは部屋から出て行った。

 俺は追いかけるか一瞬悩んだが、俺にはまだやることがある。

 そう感じ、俺はあの男の元に急ぐことにした。

 

 

「待っていたよ」

「一つだけ聞かせろ。どうしてアシェリーを巻き込んだ。貴様が教団を名乗るならシェリーは必要なかったはずだ」

 モルガンは俺に向かって衝撃の言葉を発した。

「貴様を誘い出すためだ。グラハム元大統領の娘を誘拐すれば必ず貴様が動く。そうすれば私の復讐も達成される。今の私にとって復讐こそが全て!他の事などどうでもいい!」

「……昔の貴様はまだ世界の事について考えていた。だから戸惑った。しかし!もはや躊躇する理由は無くなった!」

 俺はハンドガンを構えると、モルガンに向かって発砲する。

「貴様を殺してすべての決着に終止符を打つ!」

 モルガンの体に当たった弾は全てモルガンの体から外に出て行く。

 サドラーと同じ現象だ。

「貴様では私は殺せない!私がすべてだ!」

 モルガンはかつてのサドラーと同じ姿を取ると、こちらに向かって走ってくる。

 俺はモルガンの足に攻撃を仕掛けるが、モルガンはそれより早く迫ってきた。

 モルガンの攻撃を回避すると、俺はフックショットで奴の背中に移動する。

 ハンドガンの弾を数発足に当てると、モルガンはよろめくように倒れる。

 俺はモルガンの体に乗っかると、口から出た大きな目にナイフを突き刺す。

「ベル!これを!」

 いつの間にか上に居たエイダが俺に向かってロケットランチャーを投げる。

 俺はそれを受け取ると、モルガンに照準を付ける。

「今のお前じゃ世界は救えない」

 ためらいなく引き金を引く。

 モルガンは最後に悲鳴に似た声を上げると、そのまま粉々になって行った。

 俺はもう一度上を見ると、そこには既に誰もいなかった。

「代表!」

 BSAAの隊員が入ってくる。

 

 この数日後この研究所の鎮圧が完了した。

 

 そしてジルは失踪することになる。

 

 俺はこの研究所で調べていてジルを助ける事が出来なかった。

 

 これがスペンサー事件の前のお話

 

 モルガンという呪われた運命に翻弄された男の物語




次回予告

『結婚式』

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