biohazard supplementary biography”NT” 作:ナッツガン
スペンサーの居場所を知る物語
1
通路を走って行く音が周囲の壁に響いて聞こえてくる。
私は研究所のような場所をひたすら走っていた。
右の窓からは戦闘が垣間見れて、そこではプラーガに寄生された人たちとベルが闘っていた。
もうすぐで目的地に到着するはずだ。
曲がり角を曲がると、私の目の前に大きなドアが出てきた。
パスワードを入力すると、私は大きなドアをゆっくり開く。
中では1人の女性が隅の方で座り込んでいた。
「だ、誰!?」
「私はBSAAの者よ、あなたを救出してほしいと頼まれてね」
「本当に!?」
「ええ、早くここから脱出しましょう」
私はアシェリーを連れて通路を走って行く、すると目の前にある画面から私達が良く知る人物が写った。
「全く出来の悪い娘だ。君たちは私の考えるとおりに行動しない」
写っているのはレオン・S・ケネディーが倒したサドラーだった。
しかし、私はあえて別の名前を出した。
「サドラーになりすますのは止めなさい。モルガン・ランズディール」
私は画面を睨みつける。
画面に映っていたサドラーの画面にノイズが掛かると、画面に映ったのはモルガンだった。
「やはり君たちは私にとって脅威だな」
「かつてのFBC長官が、今ではただのテロリストですか?」
後ろからプラーガに寄生された人々が群がっている。
私は彼女の手を握るとそのまま走って行く。
「君たちは絶対に許さない」
声が遠くなっていくのを私は走りながら聞いていた。
2
俺は少し違和感を覚えながら長い道のりを進んで行く。
これは研究所から行くまでの道のり。
俺とジルは橋を落とされた後、果てしない道のりを進んで行った。
少し歩くと端末を確認するジル。
「もう少し歩くと村に到着するはずよ」
「だと良いが」
崖の上にたどり着くと、俺達は崖の上から見つけた村を見つめる。
しかし、そこにあったのは村ではなく大きな研究施設だった。
「どういうこと?どうしてこんな場所に……」
「あそこが教団の本拠地かもしれないな」
歩こうとすると、俺は本拠地の出入り口の方を確認した。
本拠地の出入り口では多くのプラーガに寄生された者達が居た。
「ジルは裏口を探し出して潜入してくれ」
「あなたはどうするの?」
「俺は入り口で戦う。俺が囮になる」
ジルは驚いて見せると、俺に聞いてきた。
「いいのね?」
「これしかもう方法はない」
俺は真直ぐ研究所の出入り口に向かって行く。
出入り口に姿を現すと、プラーガに寄生された者達が一斉にこちらを向く。
俺はナイフを構えると、戦闘に入って行く。
男達はアサルトライフルを構えると、俺に向かって引き金を引く。
俺は攻撃を回避すると、男の一人をフックショットで引き付ける。
男に爆弾を付けると、奴らに帰してやる。
爆弾を付けた男は、奴らの中に入って行くとすぐに爆発した。
その爆発は大きな音に包まれる。
しかし、彼らの行動は意外と速く、被害は少ない。
「知性があると厄介だな。ゾンビならこれで済んでいるものを!」
奴らのとの距離を潰すと、ナイフで奴らの一人の首を切り落とす。
奴らの内の一体が俺に向かってアサルトライフルを構えるが、大きな銃声と共に男の頭が吹き飛ぶ。
「なんだ?どこからだ?」
出入り口に居たのは、あのハンクだった。
「どうして貴様がここにいる?」
出入り口から多くの兵が現れて俺達を囲んで行く。
「先にこっちをどうにかした方がいいんじゃないのか?」
「貴様に言われなくてもそうするつもりだ!」
ハンクはハンドガンで交戦すると、俺はナイフとマシンガンで交戦する。
「どうして貴様がここに!?」
「モルガンが俺達の研究施設からプラーガを持ち出して逃げたんだ」
「モルガンだと!?あいつは今刑務所に服役中のはずだ!」
モルガンはあの事件の後、すぐに刑務所に服役した。
今はそこに居るはずだ。
「貴様がどう思うと現実は変わらない。モルガンはここにいる」
俺はフックショットの先にナイフを取り付けると、フックショットを男の頭めがけて飛ばす。
男を殺しつつ自分の元に手繰り寄せると、男を盾にマシンガンで攻撃する。
「器用な武器だな。それ、エイダとかいう女からもらったものだな?」
「だったらなんだ?」
「かなり改造してあるな」
「銃の知識ならある程度学んでいる」
ハンクはハンドガンに別の弾を取り付ける。
ハンクの撃った弾は相手に当たると、数秒後に爆発する。
ハンクは何度かこちらを窺うと、何度も引き金を引く。
「マインスロアーの改良型だな」
ある程度相手が居なくなると、ハンクは俺から距離を取る。
「俺から逃げるつもりか!?」
「俺が手を出さなくてもお前達が勝手に殺しれくれるだろう。それに俺は忙しい」
「逃げるな!」
ハンクに向かってナイフ付きのフックショットを飛ばす。
ハンクはナイフでそれをはじくと、そのまま逃げて行く。
「頼んだぞ、弟」
ハンクは森の中に入って行く。
3
俺は多くの兵士達の群れから逃げるように研究所に入って行く。
兵士は俺を殺す為に追いかけてくる。
「ったく!どんだけ暇人なんだ!?」
兵士の数が多くて戦闘をする気にならない。
走りながら進んで行くと、俺の端末が鳴りだす。
「もしもし?どなたですか?今忙しいんですけど」
『ベル?今どこにいるの?』
「研究所内で追いかけっこだ。命を懸けたスリル満点のな」
『そう。何か分かった?』
「ああ、サドラーの正体はモルガンだった。やば!?じゃあな!」
俺は端末の電源を切ると、明るい場所目掛けて飛ぶ。
広い空間に出ると、そこにはモルガンが立っていた。
「久しぶりだね」
「モルガン。落ちるところまで落ちたみたいだな」
モルガンはリモコンのようなものを操作すると、大きな画面を天井から出した。
画面にはジルとアシェリーが逃走劇を繰り広げていた。
「ジル!貴様!」
「君たちには本当に手を焼かされた。君たちは私を陥れた」
「自業自得だ!お前のやり方は理解できないんだ!」
俺はジルの元に行こうとすると、出入り口にシャッターが下りる。
「なぜ邪魔をする?邪魔をするな!」
俺はモルガンを睨みつけると、モルガンは笑い出す。
少し笑っていると、モルガンは俺に向かって最低も発言をする。
「邪魔をする?邪魔をするに決まっているじゃないか。お前達のせいで私は人生が破綻したんだからな!」
「貴様の自業自得だと言っただろ!そんな事にジルを巻き込むな!」
シャッターは頑丈で壊れそうもない。
そんな時、シャッターが開く。
「馬鹿な!」
俺は通路に向かって走って行く。
通路を走って行くと、兵士達を退けながら走る。
長い通路を走って行くと、ジルから連絡が入った。
『ベル?今BSAAの部隊が来てるらしいの。上のヘリポートにヘリが来るんだけど……』
「ジルは先に逃げろ!俺はモルガンを倒す」
俺はそう言いつつ端末を切る。
その時その選択を後悔した。
あんなことになるんなら、ジルを帰らせたりしなかったのに……
5
俺は通路を走って行くと、ドアから明かりが漏れる。
ドアが開いた隙間から覗き込むと、そこにはエイダの姿があった。
「エイダ…こんな場所で何をしている?」
エイダは俺の方を見つめると、パソコンから得た情報をこちらに投げた。
「これはなんだ?」
「モルガンにプラーガを与えた人間の情報よ。正確に言うと、スペンサーの居場所」
「スペンサーの居場所だと?」
USBメモリーを端末に刺すと、中の情報を眺める。
俺はその情報を本部に転送すると、改めてエイダの方を向いた。
「で?お前は何をしているんだ?」
「あなたを手伝ってあげようと思ったのに……」
「嘘だな。お前は上からの命令で動いているはず。何が狙いだ?」
エイダはパソコンをなでると、質問に答えた。
「支配種のプラーガの情報はまだこちらには無いから……」
「目的は支配種のプラーガだな?」
エイダは黙って頷くと、こちらを見つめる。
「私の仕事は終わったから」
そう言うとエイダは部屋から出て行った。
俺は追いかけるか一瞬悩んだが、俺にはまだやることがある。
そう感じ、俺はあの男の元に急ぐことにした。
6
「待っていたよ」
「一つだけ聞かせろ。どうしてアシェリーを巻き込んだ。貴様が教団を名乗るならシェリーは必要なかったはずだ」
モルガンは俺に向かって衝撃の言葉を発した。
「貴様を誘い出すためだ。グラハム元大統領の娘を誘拐すれば必ず貴様が動く。そうすれば私の復讐も達成される。今の私にとって復讐こそが全て!他の事などどうでもいい!」
「……昔の貴様はまだ世界の事について考えていた。だから戸惑った。しかし!もはや躊躇する理由は無くなった!」
俺はハンドガンを構えると、モルガンに向かって発砲する。
「貴様を殺してすべての決着に終止符を打つ!」
モルガンの体に当たった弾は全てモルガンの体から外に出て行く。
サドラーと同じ現象だ。
「貴様では私は殺せない!私がすべてだ!」
モルガンはかつてのサドラーと同じ姿を取ると、こちらに向かって走ってくる。
俺はモルガンの足に攻撃を仕掛けるが、モルガンはそれより早く迫ってきた。
モルガンの攻撃を回避すると、俺はフックショットで奴の背中に移動する。
ハンドガンの弾を数発足に当てると、モルガンはよろめくように倒れる。
俺はモルガンの体に乗っかると、口から出た大きな目にナイフを突き刺す。
「ベル!これを!」
いつの間にか上に居たエイダが俺に向かってロケットランチャーを投げる。
俺はそれを受け取ると、モルガンに照準を付ける。
「今のお前じゃ世界は救えない」
ためらいなく引き金を引く。
モルガンは最後に悲鳴に似た声を上げると、そのまま粉々になって行った。
俺はもう一度上を見ると、そこには既に誰もいなかった。
「代表!」
BSAAの隊員が入ってくる。
この数日後この研究所の鎮圧が完了した。
そしてジルは失踪することになる。
俺はこの研究所で調べていてジルを助ける事が出来なかった。
これがスペンサー事件の前のお話
モルガンという呪われた運命に翻弄された男の物語
次回予告
『結婚式』
感想待ってます!