らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第八話 小旅行も命懸け?

8月・・・小旅行出発の日。

俺は柊姉妹と共に集合場所である陵桜の校門前に来ると、みゆきさんが既に到着していた。

 

「おはようございます」

「おはよう、早いね?」

「おはずかしながら、6時にはもう目を覚ましてしまいまして・・・」

「あるある。旅行の前とか楽しみで早く目が覚めちゃうんだよね♪」

「そのくせ前の日は中々眠れないのよね〜」

 

俺もそれで早起きしてしまったクチである。

あとは保護者2人とこなたさんを待つだけなのだが・・・。

 

「おはようさん! 遅れてすまんな〜」

 

集合時間の10分後、保護者の1人である黒井先生が到着した。

 

「久々の運転やさかい、車が言うこと聞かんでな〜♪」

 

出発前から不吉なこと言わないでください・・・(汗)。

それからさらに10分後。

 

「ごめ~ん、電車がモロ混みで〜!」

「車で来たのに電車のせいかい!?」

 

それはネタなのかボケなのか、非常に判断に困るが・・・。

ともあれ、こなたさんがもう1人の保護者である成実さんと共にようやくやってきた。

話し始めるとキリがないのでさっそく分乗して出発する。

俺と柊姉妹が成実車、こなたさんとみゆきさんが黒井車に乗るが・・・。

 

ここで気になったことが1つ。

 

それはこなたさんが率先して

 

「私は黒井先生の車に乗るよ〜」

 

と言った上に、成実さんの車に乗り込む俺達に対して敬礼のようなポーズをとっていたのだ。

・・・なんか嫌な予感がする。

 

「今回はわざわざ私たちのためにありがとうございます」

「婦警さんが保護者って頼りになるよね♪」

「・・・だね。3日間よろしくお願いします」

「あいよ〜♪ かわいい(こなた)の頼みだし、お姉さん張り切っちゃうぞ〜!」

 

悪い考えを頭から追い出して、改めて挨拶をして出発する。

 

「それにしても、最近の高校生ってみんな発育がいいんだね〜。お姉さんびっくりだ☆」

「だからこなたさんを基準にしないでくださいって・・・」

「そういえば成実さんって普段どんな仕事をしてるんですか?」

「婦警さんって言ってもいろいろ仕事があるんですよね?」

 

そういえば俺も警察の仕事なんて詳しくは知らない。

 

「大まかに言っちゃうと、交通安全課に勤務してるんだよ。」

 

へぇ、そういう部署があるのか。

 

「ってことは交通ルールは何でも来い! ですね♪」

 

かがみさんが安堵したように言う。

かがみさんもこなたさんのことが気になったのかもしれない。

 

「おお! お姉さんに何でも聞きなさ~い♪」

 

といった矢先の出来事だった。

 

ブォン!!

 

凄いスピードでこちらの車をスポーツカーと思しき車が追い越して行ったのだ。

 

「うわぁ!?・・・あの車凄いスピード出してたよ〜」

「ああいうヤツがムチャクチャな運転して事故を起こすのよね。本人はともかく、無関係な人達も迷惑するってのに」

「広い通りとは言え片側1車線なのにずいぶんと思い切ったことを・・・」

 

実際のF1などのレースならともかく、漫画やアニメに影響を受けてああいう行為に走る連中が多いと言う話は聞いたことがある。

が・・・。

 

「・・・あのヤロウ!」

 

ここにもいたよソレらしき人!

なんか運転席に座ってる人が目の色変えてるんですけど(汗)。

 

「え・・・っと、成実さん?」

「全員、シートベルトちゃんと付けてるね!?」

 

ってお〜い、交通安全課の婦警さん!?

追いかける気満々ですかい!!

 

「別にあんなの気にする必要ないんじゃってうおぉぉ!?」

『きゃあ〜〜!?』

 

突然アクセルを踏み込み、猛スピードで先程の車を追いかけ始めた。

嫌な予感が見事に的中!

メーターを横から見るとすでに時速100km近く・・・って!

 

「成実さん! 前、まえ~!!」

「私の走りの前に敵はな〜い!」

 

前を走ってるほかの車や対向車を絶妙ってか紙一重で次々とかわし、信号もギリギリで走り抜けて・・・てコレでいいのか現役警察官!?

 

「ココから先の連続カーブ・・・一気に詰めるよ!」

「って成実さん減速して下さい! これ以上は危険dうひゃぁ〜!?」

 

後ろからかがみさんが言う前に、スピードをほとんど殺さず真横に滑るようにカーブを曲がる!

コレがドリフトってヤツか・・・て感心してる場合じゃない!

助手席に乗ってる分めちゃめちゃ怖えぇ!!

 

「こなたのヤツ〜! このこと知っtきゃあ〜!?」

「Ω#γ$⊿%δ&Γ+=〜〜!?]

 

かがみさんとつかささんは既に錯乱状態だ・・・あ、やばい。

俺ももう・・・限界・・・ああ・・・(とき)が、見える・・・。

 

 

 

「・・・。・かいくん! 赤井く〜ん! ほら着いたよ!」

「・・・へ?」

 

成美さんの声で気がついたら潮の香りがした・・・。

生き・・・てる・・・?

 

「長時間車に揺られてて後ろの2人も疲れちゃったのかな・・・起こすの手伝ってくれる?」

 

確かに疲れはしたけど、間違いなくその原因はあなたです(汗)。

とりあえず車から降りて立ってみた・・・まだ地面が揺れてるような気がする・・・。

後部座席にはすっかり気を失ってる柊姉妹・・・パッと見寝てるように見えなくもない。

 

「・・・・・・」

 

寝顔見るとやっぱり可愛いよな、2人とも。

 

「何か(よこしま)な事考えてないかな少年よ?」

「な、なんでもないです!」

 

いかんいかん、2人を起こさねば。

 

「お〜い、着いたよ~。2人とも生きてるか〜?」

「ん・・・あれ? まさき、くん?」

「ふぇ・・・あとごふんだけ〜、ホントニ~・・・」

 

2人ともまだ気分が悪そうだ。

てかつかささん、あの状況で寝てたのか!?

チェックインにはまだ早い時間、黒井車がまだ来てない事もあって、休憩できそうな場所に移動する。

 

「わ〜、海がきれ~い♪」

「でもさすがに海水浴客が多いわね。」

 

宿泊予定の旅館の中の喫茶店。

ココの窓からビーチが一望出来る。

それぞれ軽い食べ物と飲み物を注文してようやくひと段落した。

 

「こなた達遅いね〜」

「いや、俺たちが早すぎたんじゃ?」

 

予定では少し早めに着いて周囲を散策後、チェックインのはずだったのだが・・・。

 

「歩く気にすらなれないわ・・・」

「はぅぅ・・・」

 

姉妹揃ってかなりお疲れのようである。

かく言う俺も相当キツイ・・・精神的にだが。

 

「いい若いモンが情けないぞ〜!」

 

誰のせいですか誰の・・・。

 

 

 

結局黒井先生達が到着したのは夕日が綺麗な時間だった。

俺達は先にチェックインを済ませて荷物を部屋に置き、ロビーに降りて雑談しながら先生達を待っていたのだ。

 

「や〜皆の衆、ただいま到着したで〜!」

『・・・・・・』

 

後から聞いた話だが黒井先生は方向音痴な上にペーパードライバーらしい。

先生は元気だが、みゆきさんはおろかこなたさんまでゲンナリしている。

さすがにこなたさんを問い詰めるのも悪いような気がしてきた。

 

「ま、こなたを問い詰めるのは後にして、部屋に行きましょうか。」

「後で問い詰めるんだねかがみんや・・・」

 

いつもの元気がないこなたさん・・・なんか調子が狂うな。

 

 

 

<客室>

 

 

 

こなたさん達は4人で一部屋。

俺は保護者である先生、成実さんの部屋だ。

 

「・・・あの~、先生?」

「ん? どないしたんや赤井」

「部屋に着くなりいきなり缶ビールを空けるのはどうかと・・・」

「ええやん、慣れない長旅で疲れを吹っ飛ばすのには最高なんやで♪」

 

『ツマミがあればもっとええんやがな!』と言って一気に缶ビールを飲み干す。

生徒の前でマイペースに飲んじゃってそれで良いんですか?

まあ学校じゃないんだし・・・と思ってると扉がノックされた。

 

「やふ〜、暇だから遊びに来たよ♪」

「おお、こなたにお友達もいらっしゃ〜い♪」

「夕飯まで微妙な時間ですから、お風呂は後に入ろうと思いまして」

 

時間は18時・・・夕食は18時半からだからお風呂に行くには時間的にかなり微妙だ。

夕飯までの間、保護者を除く皆でトランプをやって暇を潰すことになったのだが・・・。

 

「ワンペアだったよ」

「当たりナシ・・・ついてないわね」

「俺はスリーカード♪」

「甘い! 私はストレート!」

「・・・フルハウスです♪」

『どんだけ〜!?』

 

こんな感じで何度やってもほとんどみゆきさんの1人勝ち状態。

何か秘訣でもあるんだろうか?

こないだの例もあることだし、ひょっとしてやらないだけでゲームとかは物凄く強いというか、ギャンブルの神様に愛されてるのかも・・・。

 

 

 

<大広間>

 

 

 

『かんぱ〜い♪』

 

大広間に移動した俺たちは黒井先生の音頭で乾杯(未成年はジュース)し、旅館の食事を堪能していた。

 

「ぷっは〜! 独身女同士で飲むの久しぶりやし、今日のビールは旨いな〜♪」

「え〜と(汗)、私はダンナが単身赴任でいないk「うちらは結婚なんていつでも出来る! せぇへんだけや! なぁ成実さん♪」あの、えっと・・・ハイ、ソウデスネ」

「大人同士で盛り上がってるな〜」

「ああいうのはほっとくのが一番だよ」

「絡まれたら最悪・・・て何この変な味!」

 

何かのジュースじゃないのか?

そう思いかがみさんのジュースをひとくち失敬する。

 

「・・・酎ハイ? アルコール度数は低いと思うけど」

「かがみんは子供だね〜♪ コレくらい飲めなきゃ」

「俺らは未青年でしょ。お酒は20歳になってからだよ」

 

それ以前に誰だ、酎ハイ混ぜたの(汗)。

まあ1口くらいじゃ酔ったりはしないだろうが・・・。

 

「・・・ヒック」

「何だか・・・あたまがふらふらします〜」

 

まわってる人がいたよ、ココに2人!

あ、コップが空になってる。

でも酎ハイ一杯であそこまで酔うもんなのか!?

 

「ちょっとつかさ、大丈夫!?」

「おねーちゃん、のまないならわたしがのんであげるよ〜。」

 

つかささんはそう言ってさらにかがみさんの分まで一気に飲みほしてしまう。

 

「まいかいまいかいいいんちょうをやるのってけっこうたいへんなんですよ〜、いずみさん、きいてますか~?」

「み、みゆきさんとにかく落ち着いて・・・」

 

こっちはこっちでこなたさんに絡んでたりする。

つかささんはともかくみゆきさんまで(汗)。

 

「まあ人の趣味は人それぞれだから何も言わんが・・・」

「ちょ!? 私はノーマルだよ! てか何一人で落ち着いてご飯食べてるのさ!」

「そうよ、まさきくんものん気に食べてないでこの2人を何とかするのを手伝ってよ!」

「2人が寝るか酔いを醒ますまでガンバ!」

 

俺にはエールを送ることしか出来ない。

アルコールが回ってるとは言え女の子を引っぺがす訳にはいかんって言うか色々とアウトだ。

そんなことを考えてると・・・ふと、そんな2人と目が合った。

 

「ま〜くぅ〜ん♪」

「まさきさん、コップがあいてますよ♪」

「ってちょっと2人とも!?」

 

突然酔った2人が俺によってきたのだ!

その手には・・・日本酒!?

さっきの酎ハイといいホントに誰だ飲ませたの!

右側につかささんが寄り添ってきて左側からみゆきさんがお酒を注いでくる。

つ〜か2人ともくっ付きすぎだって!

あ・・・なんか女の子特有の香りとアルコールの臭いがいい感じに混ざって鼻をくすぐる・・・。

 

「ふふふ、一度生徒を酔わせてみたかったんや♪」

「それが教師のすることですか!?」

 

犯人は黒井先生だった!

こんな性格だから彼氏もできないんだろうなこの人・・・。

 

「ふふふ・・・まさきも懐かれてるね〜。面白そうだから私も!」

 

そう言ってこなたさんが後ろからへばりついて来る。

 

「コラこなた! 便乗すんなってか2人もさっさと離れなさい!」

「そういって2人を羨むかがみんでした」

「だだだだ誰がそんなこと!? 勝手なこと妄想すんな!」

 

なんかドサクサ紛れにかがみさんまでくっ付いて来るし!?

 

「青春やな♪」

「怪しい行動とったら即逮捕ね♪」

「人事のように言ってないで助けてくださいよ、ちょっと!!」

 

って言うか警察官の前で未成年に酒を飲ませるな!

そんなこと言ってるうちに・・・両脇の2人がさらにくっ付いてくる。

 

「ま〜くんあったかい〜♪」

「なんだかゆめのなかみたいです〜♪」

 

なんかやわらかいのが当たって・・・って違う違う違~う!?

俺だって健全な青年男子なんだし女の子にくっかれるのは嬉しいが、さすがにこれはヤバイ!

くぅ、がんばれ・・・歯ァ食い縛って耐え抜いて見せろ、俺の理性!

 

俺が解放されるのはそれから約30分後の事だった・・・。

 

 

 

<男湯>

 

 

 

体を洗ったあと、温泉に肩まで浸かる。

 

「ふぅ・・・風呂はいいね〜。風呂はリリンが生んだ文化の極みだよ・・・」

 

思わず某キャラのセリフが出て来るくらい。

結局あの後・・・つかささんとみゆきさんが眠ってしまい、料理も大体食べ終わってたためその場はお開き。

かがみさんがつかささん、みゆきさんは俺が部屋までおぶっていく羽目になった。

背中にやわらkゲフンゲフン!

まぁとにかく、先に部屋に行って寝床の準備をこなたさんがしてくれてたので2人を寝かせてやった。

先生と成実さんが2人の面倒を見てくれるそうなのでこうして温泉にやってきたのだ。

あの2人も酒が入っているから少し不安ではあるが。

 

「しっかし・・・この世の生き地獄だぞアレは・・・」

 

結果的に女の子4人に引っ付かれてたことになる。

かがみさんはともかくこなたさんは悪ノリだよな、絶対。

ともあれ異性のやわらかい感触を思い出してしまった俺は体温が上昇し始めたのに気づく。

 

「少し頭を冷やそう、そうしたほうがいい。うん」

 

そうして冷水をひたすら浴び続けるのであった。

この時期は冷たいシャワーってのも気持ちいいもんだな・・・。

 

 

 

「ふう・・・」

 

風呂上りにのむ牛乳はやはり格別!

パックじゃなくビン、そして腰に手をあてて一気に飲むのはお約束だ。

そんなことをしてると見覚えのある顔が・・・あ、つかささんもみゆきさんも起きたんだ。

黒井先生達に連れられて温泉に入りに来たみたいだ。

 

「なんや赤井、もう上がったん?」

「ええ、先生達はこれからですか・・・あ、部屋の鍵、貸してもらえます?」

「ほいほい、留守番よろしくネ~」

 

先に戻ることになるので成海さんから部屋の鍵を預かった。

 

「・・・あの、まーくん?」

「何?」

「え〜っと、その・・・す、すいませんなんでもないです〜!」

 

二人揃って顔を真っ赤にして走っていってしまった。

あ、つかささんがこけてる。

 

「それじゃ、あの二人を追いかけますか♪」

「そやな、留守番頼むで赤井♪」

 

保護者2人は特に気にした様子も無く、2人並んで温泉の入り口をくぐっていった。

ひょっとしてあの2人、さっきの事・・・覚えてる?

・・・まぁ深く考えないでおこう。

こなたさんとかがみさんはまだ出てくる様子はないので俺は先に部屋に戻ることにした。

 

 

 

つづく・・・


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