らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第六話 一喜一憂

7月7日。

 

今日は七夕であり、柊姉妹の誕生日だ。

例によって俺も招待されて(ちと大げさだが)こなたさん、みゆきさんと一緒に柊家におとずれた。

 

『いらっしゃ〜い♪』

『かがみ(さん)、つかさ(さん)お誕生日おめでと〜!』

 

三者三様にお祝いの言葉を送ってそれぞれプレゼントを渡した。

嬉々として受け取るかがみさんとつかささん。

ちなみに俺はおそろいのリボン、みゆきさんはペアのイヤリングとここまでは良かったのだが・・・。

 

「コレ・・・なに?」

 

こなたさんのプレゼントを覗いたかがみさんがなにやら顔を引きつらせてるようだが・・・?

 

「なにって団長腕章だよ? かがみなら似合うと思って♪」

「何であたしなら似合うのよ!?」

 

まぁ言いたいことは分かる・・・が、友人にそんなモン送るか普通?

いや、こなたさんだからこそか。

 

「こなちゃんコレ何に使うの?」

 

ウチの制服に似てるけど、とつかささんが取り出したそれは・・・。

 

「とぅはッ!?」

「ちょっ! おま!?」

 

コレはさすがにツッコミもんだろ!?

 

「おお〜、それ高かったんだよ。大事に使ってね♪」

「姉妹揃ってコスプレさせるな!!」

 

とりあえずかがみさんが何で元ネタを知ってるのかはあえて追求しないでおく。

 

 

 

<つかささんの部屋>

 

 

 

「んじゃ、改めて・・・」

「かがみさんつかささん」

「はっぴーばっすで〜ぃ!!」

 

3人でささやかながら2人の誕生日を改めて祝った。

17本のろうそくを2人で消すのも見てて微笑ましい。

 

パチパチパチパチ!

 

俺たちに拍手を送られながら2人はやっぱり嬉しかったのか照れくさそうに笑った。

そんな2人を見て内心かなりドキドキしたのは秘密だ。

 

「それじゃケーキ切るよ〜」

「主賓に切らせる訳にはいきませんからね♪」

 

みゆきさんによってケーキが切り分けられて皆に配られる。

そしておしゃべりしながらこなたさんがこんなことを言い出した。

 

「まさきって9月生まれだよね?」

「ん? そうだけど」

「そうなると私やかがみとつかさはお姉ちゃんだね」

「そうすると私は妹・・・と言うか末っ子でしょうか?」

「かがみさんはともかくこなたさんとつかささんがお姉ちゃん・・・ねぇ」

 

実際姉が2人いるから呼びなれてはいるが。

 

「あたしは呼ばれなれてるけどね」

「・・・・・・」

「つかささん?」

 

なにやらぼ〜っとしてたと思うと突然

 

「まーくん、私のことお姉ちゃんって呼んでみてくれる?」

「はい?」

 

こんなことを言い出した。呼ぶのはかまわないけどなんか必死って言うか(汗)。

 

「じゃあ・・・つかさお姉ちゃん」

「・・・・・・」

 

なんだか顔を赤くしてポワ〜ンとしちゃってるんですけど(汗)。

 

「・・・ものの見事に放心してるね」

「まぁ末っ子だしね。1度は呼ばれたかったのかもね」

「私・・・ではやはりダメですよね(ボソ)」

 

末っ子なんてそんなモンだろう。

みゆきさんが何かつぶやいたようだが・・・?

 

「まさきはみゆきさんにお兄ちゃんって呼ばれたい?」

「いくらなんでもソッチの趣味は無いぞ? 念のため」

 

まぁ俺も長男だけど末っ子なもんで、従姉妹にしか兄と呼ばれたことは無いが。

 

「年の離れた従姉妹がいたからそっちで呼ばれ慣れてるけど」

「・・・そうなんですか」

 

なんでそんな残念そうな顔するかなみゆきさん。

って言うか俺をお兄ちゃんと呼びたいのか?

 

「別に呼んでみたいならかまわないよ?」

「え?・・・で、では・・・コホン、まさきお兄ちゃん♪」

「・・・・・・」

「あ、固まった」

 

前言撤回。

こんなにかわいらしく「お兄ちゃん♪」なんて言われたらいろんな意味でやばい(汗)。

 

「ていうかなんでこんな話になってんのよ!」

 

 

 

何とか俺もつかささんも帰還して話題は次第に夏休みの話に・・・。

 

「あと半月でやっと夏休みか〜」

「そうだね♪ 海にプールに花火大会にそれから・・・夏祭り!」

「他に何か定番ってあったかしら?」

「夏と言えば戦場の有明! なんといっても! KO☆MI☆KEでしょ!!」

『そりゃお前だけだろ!?』

 

思わずかがみさんと一緒にツッコンでしまう。

 

「コミケ・・・どこの毛?」

「つかささんそれ違う!」

「みゆきは何か定番ってある?」

「そうですね・・・今年も家族で海外に行くくらいでしょうか?」

「・・・今年・・・『も』? マジ?」

「さすがみゆきさん。上流階級は規模が違うね〜♪」

「ていうかその前に期末試験あるの忘れるなよ〜、そこの2人?」

 

かがみさんのその言葉にピクッと反応するこなたさんとつかささん。

 

「あうぅ〜! 今日くらい思い出さないようにしてたのに〜・・・」

「ごめんごめん、分からないところは教えてあげるから一緒にがんばろ?」

「かがみん、私は〜?」

「あんたはたまには努力しなさい」

「はぅ!?」

 

がんばれつかささん、君はきっとやれば出来る子だ!

こなたさんは・・・(汗)。

 

「こんなこと言うのもなんだけど、陵桜って結構レベル高いのにそんな調子でこなたさん、よく入れたね」

「あんた一夜漬け得意だから受験も一夜漬けとか」

「さすがの泉さんでもそれは・・・」

「・・・(ニヤリ)」

 

・・・・・・

 

『それはいくらなんでもちょっとマテ!』

「い、泉さん・・・(汗)」

「こなちゃん、冗談だよね?」

 

俺やかがみさんどころかさすがにつかささん達もツッコミたくなるぞソレは!

 

「いや〜さすがにそれは無いよ〜」

 

『(冗談に聞こえない!!)』

 

なんか今こなたさんを除く俺たち全員の思考が1つになったような気がするぞ。

 

「よく勉強続けられたわね・・・?」

「お父さんが条件付けてきたんだよ」

「条件ってどんな?」

「この学校受かれば新型のゲーム機とパソコン買ってくれるって♪」

 

・・・娘の扱いが慣れてるって言うかあの(おや)にしてこの()あり・・・?

 

「でも思ったんだけどさ・・・」

「どうしました?」

 

こなたさんがじ〜っと俺たちを見てある一点で止まる。

 

「?」

「つかさが同じ学校にいるほうがよっぽど不思議」

 

ちょっ!?

 

「・・・確かに」

「そんないいにくい事をハッキリと!?」

 

かがみさん、ここは姉として否定してやろうよ・・・。

 

 

 

<翌日:2−B教室>

 

 

 

「見て見てこなちゃん、携帯電話買ってもらったの♪」

 

俺は朝会った時点で番号とメアドは交換済みだ。

かがみさんも買ってもらっていて2人ともかなり上機嫌だった。

 

「おお〜、あとで番号とアドレス教えてよ、私のも教えるから」

 

ここまで聞いてふと疑問が1つ・・・。

 

「あれ? こなたさんって携帯持ってたっけ?」

 

使ってるのを見たことが無いんだけど・・・?

 

「うん? たいてい家に忘れてくるけどね〜」

「それじゃ携帯の意味ないでしょ・・・」

「そもそもどこに置いたっけ?」

「・・・こなたさんの携帯って当てにならなそうだ」

 

ウチの親父でもやらんぞそんなこと。

 

 

 

ちなみにつかささんの携帯電話は翌日洗濯機の中に消えてしまったという・・・。

 

 

 

それからさらに時間が経って期末テストも終了、無事に夏休みを迎えられそうだ。

 

「私は今回がんばったよ♪」

「う〜ん、今回はヤマはずれちゃったから点数ヤバイかも・・・」

「こなたさんいい加減まじめにやらないとまずいんじゃない?」

「え〜、だって高校の知識って大人になったら使わないじゃん?」

「そういう考え方が問題なのよ・・・」

 

実際、期末テスト前に図書室などで勉強会を開いたのだが、こなたさんはほとんど『右から左』といった感じだったりする。

反面、つかささんは結構がんばってて今回は手ごたえがあったようだ。

 

「テストも終わったことだし、みゆきも誘って久しぶりに遊ぶか?」

「それい〜ね〜。映画とかカラオケとかご無沙汰だし♪」

「そういえば最近カラオケ行ってないね〜」

「じゃ、日曜日いこっか?」

「けって〜い!」

 

女性陣は盛り上がってるが、あいにく俺は蚊帳の外。

さすがに女の子同士で遊びに行くのを邪魔するのもなんだし・・・っと思いきや。

 

「んじゃお昼はケーキバイキングでその後カラオケって事で・・・まさきは日曜空いてる? ってか空けろ♪」

「何でいきなり俺に振ってくんの!?」

 

しかも命令形かい!

 

「まーくん日曜日は忙しいのかな?」

「同級生の男子の歌って音楽の時間くらいしか聞けないからね〜♪」

「・・・期待しないで。たのむから」

 

歌うこと自体は好きだがヘタの横好きというヤツで・・・。

実家にいたときは友達に誘われてよく行ってたが、その友達の影響もあってジャンルはある意味こなたさん寄り。

最近の流行の歌にも疎いし、少し前のJ−POPもほとんど知らない。

そのうえ女の子とカラオケ行くこと事態初めて。

まぁ彼女達は基本的にいい人達だからそれだけで敬遠されることは無いと思うけど。

 

 

 

<日曜日>

 

 

 

みゆきさんも誘って5人で昼食代わりのケーキバイキングの店に入った。

みんな皿一杯にこれでもか、と持ってくるけど・・・。

 

「そんなに一杯食べきれるの?」

「このくらい普通よ普通♪」

「甘いものは別腹だもんね〜♪」

 

そんな不安をよそに4人揃って幸せそうな顔で次々とケーキを平らげていく。

平らげては次のケーキを・・・てな感じで最初からずいぶんハイペースだ。

店員の説明では残したら追加料金が請求されるはずである。

そして案の定・・・。

 

「最初のペースで飛ばしすぎたわ・・・」

「さ、さすがにキツイかも・・・」

「はうぅ〜・・・」

「でも全部食べないと・・・」

 

後先考えずに食べまくったらこうなるよな・・・あ、店員がこっちの様子を見ていった。

甘いものは別腹と言っても限度があるだろう。

残り時間は・・・ま、何とかなるか。

 

「食いきれない分こっちに移して」

「まさきさんは、大丈夫なんですか?」

「こういう事態を予測してたから食う量はセーブしてた」

「・・・なんか悔しいわ」

「ごめんねまーくん」

「食べる量が少ないと思ってたけどそういう事だったんだね・・・」

 

そんなわけで店員の目を盗んで(なんとなく気が引けた)残り物を片っ端から平らげるが・・・。

 

「・・・甘ッ!」

 

こんな甘いのよくもまぁみんなして大量に食えるな。

コーヒーで口直ししながら残ったケーキをなんとか平らげた。

 

「まさきってひょっとして甘いの苦手なタイプ?」

「嫌いじゃないけど特別好きってワケでもない」

「本当にゴメンねまーくん?」

「良いってこんくらい・・・ぐぅぇっぷ。でも、しばらくはケーキは見たくないかも・・・」

 

ちと食いすぎた・・・でも大声出せば少しは消費するかな?

まあカラオケBOXまで距離もそこそこあるし、多少の腹ごなしにはちょうど良いだろう。

会計を済ませて表に出た俺たちは雑談しながらカラオケBOXへと歩いていった。

 

「これからバイキング行く時はまさきについて来てもらおう♪」

「明らかに残飯処理係じゃん俺・・・」

 

 

 

<カラオケBOX>

 

 

 

「さ〜、時間も限られてるしちゃっちゃと入れるよ〜♪」

「いきなりテンション高いね・・・フリータイムなんだからってもう入れてるし!?」

「さっさと入れないとこなたのアニソンメドレーになるわよ?」

「わたしはちょっとこの本見て決めるね?」

「どんな歌が入ってるのでしょうか・・・?」

 

つかささんとみゆきさんは選曲に悩んでる。

曲数もハンパ無い。

かがみさんが入力したのを見て俺も入れることにする。

 

「なんとぉ!? さすがの私もこれは予想外だ!」

「え・・・こなたのこの反応ってまさき君もまさか・・・」

 

俺が入れたのは某女性声優兼歌手の歌。

確かゲームの・・・OPだったかな?

こなたさんは分かりそうだが皆はどう思うだろ・・・。

 

こなたさんはまじめに歌えば結構上手いのだろう。

が、いかんせんメチャクチャ古いアニメの曲なのでノーコメント。

かがみさんも中々上手い・・・微妙に時代がかかってるような気はするが。

声が高い分、女の子は皆基本的に上手なのかな?

で、俺の番。

 

「まーくんの歌楽しみ〜♪」

「歌手も曲名も知らないものですけどどんな歌なんでしょう?」

「頼むからあんまり期待しないで・・・」

 

そんなこと言ってるうちに前奏が流れてくる。

 

『♪~~~♪』

 

「をを!」

「へぇ・・・」

「わぁ、まーくん上手〜」

「本当ですね」

 

あ、引かれてない。

正直こなたさん以外どういう反応をするか少し不安だったが・・・。

本来女性歌手の歌だがそっちの方が俺にとっては歌いやすいので女性歌手の歌を歌うことが多い。

このメンバーならよっぽど変な曲を入れない限り大丈夫かもしれない。

でもやっぱり俺も男なんで・・・。

 

『♪~~~!!♪』

 

J○Mの熱い曲を思いっきり歌うこともあれば

 

『♪~~~♪」

 

ちょっと前の某ジャニーズの歌も歌ってみる。

みんなの反応も上々のようで結構盛り上がってくれた。

ノリにノッてこなたさんとかがみさんがデュエットで歌ってみたり、つかささんがかわいらしく歌ったり、みゆきさんが名前繋がりの某歌手の歌でさらに盛り上がった。

最後に全員で歌って楽しい時間を終えた時には既に夕方。

 

「いや〜、男の子がいるとなんだか新鮮だね〜♪」

「そうだけどほとんどこなたと同系統だったわよね?」

「否定できない自分が悲しい所だけどね・・・」

「でも上手だったよ〜」

「泉さんと同じようなペースで歌ってましたけど喉、大丈夫ですか?」

「前いた所で友達と3人で6時間歌ったことあるからな〜・・・3回に一回のペースで」

 

今思うと結構無茶なことしてたような気がする。

 

「よく喉潰れなかったね・・・」

「さすがに次の日の朝は喉がガラガラだったけどね」

 

 

 

ちなみに翌日、かがみさんが「体重が増えた!」と嘆いていたのは別の話である。

 

 

 

「見た目全然変わらないのに何でそこまで気にするかな、かがみんは?」

「気にしないあんたの方がおかしいのよ!」

 

 

 

つづく・・・


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