らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第五十八話 誰にでもある(?)秋の1日

「おはよ~、こなた・・・さん?」

「あ~・・・おふぁよ~。今日も仲良く登校かい・・・?」

 

うわぁ、朝っぱらからものすっごく暗いなこなたさん!

柊姉妹と3人で登校中、こなたさんを見つけたから声をかけたのだが、こなたさんの表情がかなり暗い・・・。

 

「今日はやけにローテンションね?」

「こなちゃん、何かあったの?」

 

いつもの活発なこなたさんじゃない。

今はむしろ落ち込んでる・・・のかな?

その辺の理由を尋ねてみると・・・。

 

「いや~、ビデオ録画に失敗した時の朝って・・・やるせないよね~。もう何もかもやる気が起きないよ~・・・」

 

ある意味彼女(こなたさん)らしく、そして分かりやすい回答をありがとう。

 

「時々感心するよその情熱・・・(汗)」

「でもさ、感心はするけど尊敬はしないわよね~・・・」

「お、お姉ちゃんもまーくんもさすがにキツイよそれ・・・」

「大丈夫だよつかさ・・・こういう時の2人の言葉はもう挨拶のようなもんだしネ~」

 

まあ特に否定はしない。

そんなこんなで落ち込んだこなたさんと共に学校までの道のりを今日も行く。

 

「あとさ~、新聞の番組欄のさ、深夜番組の表示は何とかならないのかな~? いくら略すって言っても番組名2文字とかやめよぅよ~!」

 

たまに何のことだか分からないんだよ~、とか騒いでるがだったらソッチ系の専門雑誌を買えば良いと思うのは俺だけか?

もっとも、彼女の部屋の収納スペースを考えると難しいかもしれないが。

そんなこんなで昇降口でみゆきさんと合流。

5人揃って(かがみさんはお隣だが)教室に入っていくのであった。

 

 

 

「あれ? 珍しいね、こなたさんがコロネ以外のパンを食べてるの」

 

昼休み、いつものメンバーで昼食中。

何か違うところと言ったら、以前よりこなたさんが弁当を持ってくるようになったものの、諸々の理由で弁当を用意できなかった場合はチョココロネを食べているのだが・・・。

こなたさんが今、嬉しそうに食べてるのはメロンパンだった。

 

「・・・そういえばチビッ子がパン食ってる時って大抵はチョココロネだよな。売り切れてたのか?」

「いやいや、今やってるアニメの主人公の好物でさ、そういうのって何だか無性に食べたくなっちゃって♪」

 

最後の1個だったらしい・・・ってアニメの影響かよ!

ちなみにこの時、とある後輩がメロンパンを買い損ねて泣く泣く学食に向かったと言うのは余談である。

しかしまぁ、コレで贄殿○那があればある意味カンペキだ。

ていうかキャラクターそのものとしてはまったく似てないが身長(誤差約1cm程度)や髪の長さはほぼ同じだし、コスプレしたら・・・ダメだ、凛々しさが足りない。

 

「実にわかりやすい奴だな、アンタは・・・」

「でも何だかこなちゃんの気持ち、分かる様な気がするよ~。TVで動物の特集とかやってると私もペット飼いたいなって思うもん」

「でも、ペットを飼うのって実際はかなり大変なんだよね?」

「そうですね、躾はもちろんですがお散歩に食事(エサやり)、それ以外にも動物特有の病気もありますから予防接種等々、きちんと面倒を見なければいけませんから」

「そういう事を考えないでペットを飼う人が多いから、捨て猫や捨て犬も多いんだもんね・・・」

 

ペットはモノじゃない、生き物だ。

単純に『かわいいから』なんて理由で飼ったところでキチンとした世話の仕方を覚えてないと、手に余って捨ててしまうと言う事もニュース等でよく聞く話である。

ちなみに俺が夏休みの時に獲得した金魚は今日も元気に柊家の池で泳いでいる。

金魚も一応ペット・・・になるのかな?

 

「そだよね。ヘビさんやワニさんが逃げて大騒ぎになった事もあるし・・・それを言ったらみなみちゃんちって凄いよね♪」

「確かに、それは言えてるね。」

 

あれほどの大型犬(たしかシベリアンハスキー)をきちんと躾けて家族の一員として暮らしてるんだから確かに岩崎家は凄い。

でもつかささんが言った、ヘビもワニも愛玩用としては個人的にどうかと思う・・・まぁ人の好みも人それぞれだからとりあえず何も言わないけど。

そんなこんなで俺達は昼休み終了5分前までペットの話で盛り上がっていたんだけど・・・いつの間にかみさおさんが爆睡していた。

しかも俺の机で。

 

「お~い、みさおさんもうそろそろ教室に戻らないとやばいぞ~。つーか俺の机返せ~。ここで授業を受ける気か~?」

「・・・日下部、いつから寝てたのかしら?」

「みさちゃん、そろそろおk「あ、あやの~・・・」・・・みさちゃん?」

 

起きてる・・・訳じゃないよな?

起きるそぶりも無いって事は寝言か?

 

「と、何だ・・・兄貴、いたのか~・・・」

「え・・・ちょ、みさちゃん!?」

 

どうやら夢の中では現在進行形で峰岸さんとみさおさんのお兄さんが一緒にいるらしい。

てか顔赤いぞ、峰岸さん。

しかしそれも次の言葉で一気に怒気に染まることになる。

 

「・・・うわ、・・・エロッ・・・」

 

・・・・・・

 

一気に周囲の空気が冷えていく。

 

「峰岸、とりあえず貸すからコレを一発お見舞いしてやんなさい・・・」

「・・・ありがとう、柊ちゃん」

 

かがみさんがいつからか常備するようになったツッコミ用兵器(ハ リ セ ン)を峰岸さんに渡す。

てか前にも思ったけど、怒った峰岸さんってメチャメチャ怖ぇ(汗)。

そして峰岸さんはハリセン(そ れ)を高々と振り上げて・・・。

 

スパァァ~ン!!

 

っと一気にみさおさんの脳天に振り下ろした!

いい感じに入ったらしく、効果は抜群だ!

 

「いって! な、なんだなんだ!?」

「ふう、スッキリした♪」

「・・・それは何よりだネ~」

 

そのやり取りに、こなたさんでさえ引いてる・・・。

ついでに言うとみさおさんは状況がつかめてないようだ・・・あたりまえっちゃあたりまえだが。

 

「さて。ねぇみさちゃん? 何か私に後ろ暗い夢を見てなかった・・・? 根も葉もない、無責任なカンジの・・・」←笑顔だが額に血管が浮いている

「えっえっ、あやの? て、何で怒ってんだ!?」←状況がつかめない

「と、とりあえず謝っておいたほうがよろしいかと・・・(汗)」

 

その後、チャイムがなるきっかり1分前にみさおさんが全面降伏し、彼女は峰岸さんにズルズルと引っぱられて教室を出て行った。

かがみさんも苦笑気味にその後を追う。

・・・みさおさん、南無。

 

 

 

「みさおさんもこの手のゲームやるんだ?」

「下手の横好きだけどな~。ほら、夏休みの時さ、まさきがチビッ子と勝負してて私にも出来るかな~と思ってさ。でも小遣い少くねぇからひとつ前のヤツしか買えなくて」

「だからパッケージも違うヤツなのね・・・にしても日下部、わざわざ買わなくても、まさきくんが持ってるの知ってるでしょうに」

「・・・ま、まぁとりあえず対戦しようぜ(汗)!」

 

現在の状況。

場所:日下部さんちのみさおさんの部屋。

部屋に居る人:俺、みさおさん、かがみさん。

あれから放課後になってもまだ峰岸さんは少々怒っているらしく、機嫌が悪いとかでみさおさんが『1人じゃ怖いから』と言い、俺とかがみさんを巻き込んでみさおさんの家に向かったのだ。

そして峰岸さんを宥めつつ・・・てか話してて思ったんだけど特に怒ってない様な気がするんだが・・・?

結局到着した日下部邸に、『せっかくだから寄ってけ』と言われて素直にお邪魔した所、タイミング良くみさおさんのお兄さんに遭遇。

峰岸さんはその場で硬直するも急に乙女モードのスイッチが入ったようでモジモジし始めた。

・・・こんな峰岸さん、見たこと無いぞ(汗)。

ちなみにみさおさんのお兄さん(相変わらず本名不明、以下みさお兄と呼称)は『みさおが男を連れてきた!』と叫ぶも、峰岸さんがみさお兄に耳打ちで上手く説明したようだが、複雑そうな顔をしていた。

・・・どんな説明をしたのかかなり気になるんだが。

それでも峰岸さんに会えたことが素直に嬉しかったようで、上機嫌な様子で家に上がらせてくれた。

他の家族は揃って外出中だそうだが・・・今更だがちっとは気にしてくれ(汗)。

ちなみに峰岸さんはみさお兄とそのまま出かけている(デートとも言う)。

で、先の会話に戻ると言う訳だ。

 

「という訳で勝負だまさき!」

「どういう訳だ。てかシステム面や操作方法に若干の違いがあるけど、まぁ何とかなるかな・・・?」

「何か違うの?」

「見てりゃ分かるよ」

 

3作目(メテオ)ではなく2作目(ネオ)だ。

少々めんどくさい操作が必要だが、難易度は低め。

経験者ならすぐに適応できるレベルとも言える。

そんな訳で。

1P:みさおさん(孫○空)

2P:俺(ウ○ブ)

場所:岩地

アニメであった師弟対決の組み合わせで始める。

ちなみにキャラのカスタマイズは一切無し。

 

「目標補足! いくぜ、まさき!」

「ターゲット確認、排除開始!」

「・・・へ?」

 

かがみさんが呆けたような声を出すがそれもそのはず。

2作目のヤツは、お互い相手を探す事から始まる。

大抵は目の前に相手がいることが多いが、場合によっては見失う事もあるから要注意。

 

「うぉりゃ~!」

 

真正面から突っ込んでくる・・・みさおさんらしい。

それを上手くガードして、俺はそのままラッシュを仕掛ける。

上手くタイミングを狂わせて真横から蹴り上げてさらに追撃、○空を叩き落したと同時に、○空のサーチが解除された。

その間に俺は後に回りこんで気を溜める。

 

「日下部、あんたの真後ろにいるじゃない!」

「ヴぁ? ヴぁ!?」

 

画面が2分割されるために少しでも冷静さを欠けばこの通りである。

視野が狭くなるため、ちょっとズレただけでこっちの居場所が気配を察知されるまでわからない。

3作目ではこの手間を省いているので、説明無しでかがみさんが2作目(これ)をやったら恐らくみさおさんに勝つのも難しいだろう。

で、かく乱しまくって翻弄した結果・・・。

 

『勝負あり!勝者2P、パーフェクトKO!!』

 

「ヴぁ~! あんなに練習したのに何で1発も攻撃があたらねぇんだよ~!!」

「や、雄たけびあげられても困るんだけど・・・」

「・・・日下部、アンタの気持ちはよ~く分かるわ」

「柊~、私の敵をとってくれ~・・・」

「ゴメン私じゃ無理」

「即答かよ!?」

 

その後・・・。

 

「柊、覚悟~!」←ヤケクソ気味

「くっ、基本操作は同じ、だけどサーチが解けたら厄介ね・・・」←操作方法を模索しながら向かえ討つ

「2人ともがんばれ~」←超棒読み

『・・・・・・』

 

「ちょ!? いくら何でもキャラ性能違いすぎるだろ!」←圧倒的な実力差に内心絶望中

「さすがにアニメ版最強形態+融合した主人公対フツーの地球人チャンピオンじゃあ、ねぇ・・・」←でも手は緩めない

「おめぇだったら勝てる、行け、まさき!」←セリフとは裏腹に腹を抱えて笑いをこらえてる

 

 

 

「か・・・勝った・・・」←疲労困憊

「う、うそ・・・」←絶句中

「あ、ありえね~・・・まさきってやっぱすげ~んだな~」←呆れを通り越して感心

 

てな感じで格闘ゲーム(ネ オ)を延々とプレイし続ける俺達だった。

 

 

 

その後、バイトの時間が近づいて来たのでキリのいい所で帰宅する旨を2人に伝えた。

かがみさんはみさおさんの他に峰岸さんにも用があるそうで、もうしばらく残ると言う。

俺は自宅に帰って軽く夕飯を食べてバイト先のコンビニへ向かった。

そしてコンビニに入って仕事を初めて約3時間後。

すっかり外が暗くなった時間帯にもかかわらず、俺以外に店内にいるのは・・・。

 

「受験生なのに大変ですね。」

「・・・そう言うやまとさんこそ何やってんの?」

 

会計を済ませて、ここ・・・というかレジの前にいる理由が無いはずのやまとさんだけだった。

入って来た時はさすがに驚いたが、アレからちょくちょく柊家に泊まってるらしいから来る事は別におかしくない・・・ていうか今日も泊りらしい。

が、買い物が済んだ後も立ち読みする事もなく、商品を見る事もなく、レジの・・・というか俺の傍に立っている。

 

「他にお客さんがいないみたいですから、暇かなって・・・」

「まぁ暇ではあるけど・・・」

「話し相手くらいにはなれますよ?」

 

微笑しながら言う彼女。

確かに客が来ないと暇だが、だからと言ってココを離れるわけにも行かないし、もう1人のバイト仲間は何故か事務所に引っ込んでいる。

暇なのにはとっくに慣れたつもりだったが、他の仕事も全部終わってしまい、後の仕事は客を待つだけで・・・。

それでも話し相手がいるならそれに越した事はない。

一応念のために言っとくが、別に1人で仕事をしてる訳じゃないぞ?

ついでに言うと時間的にもちょっと問題だ(現在8時)。

その後、何故か客が一向に来ないコンビニ店内でしばらくの間、やまとさんと雑談をして過ごした。

しかしやまとさんも初めて会ったときと比べると随分話しやすくなったもんだ。

話す内容によっては表情も・・・小さな変化だがコロコロ変わるようになったし。

 

ちなみに引っ込んでいたバイト仲間や次のシフトに入る人に仕事を引継ぐ時、あらぬ誤解を受けて散々からかわれたのは言うまでも無い。

また、防犯カメラにもしっかりその時の様子が映っていたために店長や他のバイト仲間からも追求されるのも別の話である。

 

 

 

やまとさんを柊家に送り届けてから俺は帰宅した。

さすがに時間が時間だし、すぐソコとはいえ女の子を1人歩きさせる訳にはいかないしね。

10月も半ばを過ぎて、そろそろ大学受験に向けて本格的に試験対策を練らねばなるまい。

しかしまだ1つ、大きなイベントが残っている。

陵桜学園3大行事の一つ、文化祭。

『桜籐祭』と名付けられているらしく、訪れるのは生徒の父兄や卒業生のみならず、一般客もくれば特別ゲストに人気アイドルも招待するとか。

俺達3年生にとっての最後の学校行事。

みんなで最高の思い出をつくれれば。

思えばあの時、本当に『フラグ』が立っていたのかも知れない。

だからと言う訳じゃないけど。

もうそろそろ自分の気持ちにしっかりとケリをつけないと・・・ね。

 

 

 

つづく・・・


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