らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第五十三話 みんなで過ごす、夏の1日 最終日

「夏だ! 花火だ! お・ま・つ・り・だ~!!」

「こなたさん少し抑えて・・・」

「でも泉さんらしく、元気がよくて良いのではないでしょうか。実は私もちょっとウキウキしてますし♪」

 

ココにいられるのは、明日朝一で帰路につくために実質今日で最後となる。

最終日である今日はお祭りをみんなで楽しむ事になっていた。

だから勉強もそこそこに切り上げ、利用させてもらった 別 荘 (みなみさんち)をみんなで大掃除。

こなたさん辺りは少しかったるそうにしていたが、それでもゆたかさんのお姉さんらしくキチッとやるのはある意味彼女らしい。

ちなみにやまとさんとは会話は出来るものの、まだ俺と顔を合わせると赤くなる・・・コレばっかりは夕べ先生達に言われた通り、時間が必要みたいだ。

でもやわらかかったな・・・って違うだろ、俺!

とにかくそれらが終わったあと、学生組全員が浴衣姿に着替えた・・・ご丁寧に俺の分まで浴衣を用意してくれていたり(汗)。

そしてお昼過ぎ。

みんなでお祭りの会場に向った。

 

「ねぇみなみちゃん、ココのお祭りってどのくらい人がくるの?」

「避暑を目的に来る人も多いから、地元の人達を合わせると・・・都会のお祭りとさほど変わらないと思う」

「そうすると大人数だと返って危ないかもしれないね~」

 

みなみさんの答えにひよりさんが呟く。

まぁなんせ保護者含めて15人の大人数だしな・・・。

 

「難しい事は着いてから考えよう・・・って訳には行かなそうだなありゃ」

「結構集まってますね・・・」

「お神輿や盆踊りもあるから、毎年結構盛り上がるのよ~」

 

お祭り会場らしき場所が見えてきた。

まだ明るいからゆかりさんが言ったような事はまだ先のようだけど、出店は普通に賑わっている。

都会並、となるともっと増えるなアレ(汗)。

 

「着いたら何人かで別行動取ったほうがよさそうだな・・・あれは」

「そうね。全員携帯持ってるけどあの大人数じゃ繋がるかどうかも怪しいし、集合場所とかも決めておいた方がいいかも・・・」

「ふ、こんなモノ、コミケだと思えばなんとも無いさ!」

「ソ-デスヨ、ミナサン。オソレるコトはナニもアリマセン!」

 

・・・まぁオタク組は置いといて、さっそく保護者達と話しあう。

 

「一緒に行動する人数、決めておいた方が良いですかね?」

「そうだね~・・・。でもまずは怪我に気をつけて、人に当たっちゃったらきちんとごめんなさいと謝るように!」

「成実さん、いくらなんでもそこまで子供じゃないですよ・・・」

 

まぁ心配してくれてるんだろうけど・・・成実さん、子供が出来たらいい母親になりそうだ。

いや、少々過保護になるかもしれない(苦笑)。

 

「あの~、まさき? 私達は無視?」

「コレがイワユルホウチプレイとイうモノですカ?」

「うんまぁそんなとこ」

「うわ認めてるし!?」

 

とまぁそんな感じでオタク(こなたさん)達をおちょくりながら保護者達の決定を待つ事にする。

他のみんなはそんな俺達を呆れ気味、苦笑気味に見守っていた。

 

 

 

結局、好きな人数でお祭りを見回る事になった。

俺はこなたさん、柊姉妹、みゆきさんにみさおさん、やまとさんと一緒に。

・・・十分人数が多いような気がするんですけど(汗)。

それ以前にこのメンツが滞りなく決まったのは周りが気遣ったのか、意図した事なのか?

でもまぁ、俺ばっかり意識して一人相撲ってのもどうかと思うし、今はこのメンツでお祭りを楽しむ事にしよう。

 

「さぁ、行くぞ皆の衆! 目指すは屋台全制覇だ~!」

「無茶言うなって」

「いやいや、まさきとかがみがふたりがか・・・りで・・・ごめんなさい調子に乗りました」

『よろしい』

 

俺とかがみさんは袖口から出しかけたハリセンを収めた。

ホント、しょっぱながら絶好調だなこなたさんは。

 

「じゃああそこから順番に回って行こうよ」

「そうだな、じゃ、さっそく行こうゼ!」

「てこらこら、ひっぱるなっての!」

 

みさおさんに俺が引っぱられる形で最初の出店に入る事になる

 

 

 

その1:金魚すくい

 

 

 

そういや花見の時は挑戦したものの、結局取れなかったっけ。

 

「・・・花見の時のリベンジと行くか」

「先輩、何だかんだで、気合が入ってます、ね・・・」←まだちょっと緊張気味

「お、兄ちゃん彼女がいっぱいいるね~。カッコイイとこみせてやんなよ?」

「うっす。でも彼女とかじゃなくてみんな友達っすよ」

 

後から「ぐはっ!」とか「はぅっ!」とか聞こえたような気がするが、とりあえず今は・・・目の前の金魚達に全神経を集中!

 

「・・・それ!」

「わ、まーくんすご~い!」

「有言実行ね。さっすがまさきくん!」

「ありがと♪ さて、この網1つでどれだけいけるか・・・?」

 

結果、金魚を4匹取ったところで網は破れてしまった。

残りの網をこなたさん達に譲るとおっちゃんが俺が取った金魚を渡してくれた。

 

「網1つで4匹ってのも中々のモンじゃね~か。兄ちゃん達はどっから来たんだい?」

「あ、俺達はそれぞれ学友で、東京やら埼玉からきたんです」

 

と会話を弾ませている所でみんなのチャレンジは終わったようである。

 

「まさき~、オマエどんなマジック使ったんだよ~」

「・・・金魚すくいにマジックも何も無いでしょ(汗)」

「私ら一匹も取れなかったんだよ~・・・それ以前にまさき、その金魚はどうすんだ?」

「・・・あ」

「考えて、なかったんですか・・・」

「むう・・・かがみさん、つかささん。悪いけど預かってくれる?」

「それって・・・ウチの池でって事?」

「ああ。家も近いし、餌やりくらいは出来るからさ」

 

ちなみに去年のお祭りでかがみさんが取った金魚は今も元気に丸くなってるそうで・・・。

成長の仕方が間違ってるような気がするが。

 

「金魚ばちやら何やらと何気にお金がかかるし、餌代くらいなら俺も出せると思うんだけど」

「・・・いいわよ別に。その代わり、ちゃんと面倒見に来なさいよ?」

 

 

 

その2:くじ引き

 

 

 

大量の紐の内、1本の紐を引っぱる形のくじ引き・・・でいいのかな、これ?

ガラスケースの中には色んな景品が見えるがどの紐がどの景品を吊るしているのかはさすがに判別できない。

 

「とりあえず引いて見るか・・・これだ!」

「あ、何か動いたぜ!」

「大当たりはあのP○3なんだろうけど・・・なんだろ、なんだろ?」

 

そして取り出された物は・・・。

 

『・・・・・・』

「お、兄さん面白いの当てたな。ほい、バルサミコ酢だ♪」

「あっはは、バルサミコ酢~♪」

『何でやねん!?』

 

そう、引き当てたのは何故かバルサミコ酢・・・いや、確かに酢は体に良いけどさ・・・。

思わずつかささん以外全員で力いっぱいツッコンでしまった。

てかツッコミを入れざるをえないだろコレは(汗)。

 

「ちなみにアチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレとか言う高級品だ。ある意味大当たりだぜ?」

「はい・・・?」

「えっと・・・確かアチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレは、熟成に最低12年、原料のブドウの種類、その他細かな製法がイタリアの法律で定められていると言うものでは・・・?(Wikipedia参照)」

「へぇ、お譲ちゃんは物知りだね。面白半分で仕込んだんだがいきなり引かれるとはな。大事に使えよ、坊主!」

「は、はぁ・・・」

 

何か釈然としないものを感じながらバルサミコ酢を受け取る。

・・・うわ、書いてある文字が読めね~・・・。

みゆきさん曰く、高級レストランとかで使用してるようなヤツで、一般の家庭で使う事は殆ど無いらしい。

てかこんなモン、1人暮らしの学生が使うモンじゃないと思うぞ。

実家に送った所で扱いに困りそうだし。

 

「もしくは料理上手な彼女にでもプレゼントして見たらどうだ?」

「かなり微妙なプレゼントだと思うんですけど・・・」

 

少し・・・いや、かなり引かれるだろ、こんな訳の分からんモン送られたら。

まぁそれ以前に彼女がまだいないんだが。

 

「ねぇまーくん。良かったら今度のお夕飯にそれで何か作って見て良いかな?」

「へ? 良いけど・・・そうだね、料理上手なつかささんなら良いか」

「うん、がんばって美味しいお料理作ってあげるね♪」

「あ、ああ。よろしく・・・」

 

つかささんが無邪気な笑顔で答えるのは良いが、何か後から妙な気配が・・・(汗)。

でその後、今度は普通のくじ引きをやる事にする。

 

「あっちゃ~、ハズレだ」

「あ、わたしは・・・キーホルダーか~」

「可もなく不可もなく、かな・・・」

「お、何か当たった・・・」

『え、何々!?』

「おわ、みんなして詰め寄るなよ!」

「だってさっきからまさきばっかり当たってるんだもん」

「・・・運を使い果たしそうで逆に怖いけどね。この番号は・・・リラッタヌ?」

 

なにやらたれた形が印象的な狸のぬいぐるみ。

男がもらってもあまり嬉しくないぞコレ(汗)。

 

「・・・欲しいヤツいねぇんならあやののお土産にしていいか?」

「峰岸さん、こういうの好きなの?」

「ああ。前、わたしがあやののぬいぐるみにコーヒーかけて汚しちまった事があってさ。クジ代は払うから・・・」

「いいよ別に。なんならみさおさんが引いたって事にして渡してもいいんじゃない?」

「ヴぁ!? それはさすがに・・・」

 

ああだこうだ言ってる内に有耶無耶になったのでとりあえずみさおさんにあげる事になる。

 

 

 

その3:射的

 

 

 

的をコルク銃で当てて、落っことしたら景品をゲットできるというお祭りではおなじみの物。

みんなそれぞれ思い思いの物を狙ってる様だが俺は特に欲しい物が無い。

ちなみにダンボールに書かれた的もあるようだがどうやらこなたさんがしきりに狙ってるようで・・・。

 

「まさき、あれ落としてよあれ!」

「あれって・・・『小神あきらサイン会招待券』? なんでそんなモンが・・・」

「何回やっても落とせないんだよ~(涙)」

「いや泣くなよ!」

 

こなたさんにも好きな芸能人がいるんだな~なんて思いつつ狙ってみる。

1回目・・・隣にあったチビ人形げっと。

2回目・・・ダンボールのヤツに当たるも少し後退させた程度。

 

「まさき~・・・」

「分かったからその上目使いはやめい(汗)」

 

思ってない・・・今のこなたさんがめちゃくちゃ可愛かったなんて思ってない・・・。

それにしても見た目ダンボールを折り曲げた程度のヤツの下の部分に当ったのに、ゆれる事無く後退させたとなると・・・。

3回目、ダンボールの上の部分にうまく当たりめでたくゲット!

 

「やった~! まさき大好き~!!」

「うわ、抱きつくなってか声がでけぇよ!」

「いや~お見事! ハイ、コレが例のブツだ。」

 

そんな言われ方をすると物凄く怪しいんだが・・・まぁ日付が1ヶ月後になってるから大丈夫だろう。

ちなみにこなたさんの言葉に反応したのか周りからまた痛い視線が(汗)。

しかしくじ引きといい射的屋といい景品がピンポイント過ぎないか・・・?

 

 

 

その4:出店(たべもの)

 

 

 

「カキ氷に焼きソバでしょ? たこ焼きに綿あめチョコバナナ、それから・・・」

「かがみさ~ん、チリも積もれば何とやらってことわざ知ってる?」

「・・・! ま、毎日運動してるからコレくらい平気よ平気!」

 

俺がツッコムのもなんだが周りは止めないだろうし・・・。

 

「リバウンドですね、分かります」

「・・・天誅!」

 

スパァン! といい音を立てて漫才してる2人は置いといて。

みさおさんは焼きソバ、つかささんは綿あめ、みゆきさんはカキ氷とそこまではいいんだが・・・。

やまとさん、水羊羹って(汗)。

お祭りでそんな物売ってる出店なんてあったっけ?

とりあえずそのチョイスについてツッコミたいんだが・・・ツッコメない。

昔ながらの長椅子に座ってお茶を飲んでたら完璧だ。

でもそんな和風なやまとさんもいいかも・・・って!

一々何考えてるかな俺の脳みそ!

 

「ど、どうしました?」

「あ、いや・・・水羊羹、好きなの?」

「・・・ハイ」

「そ、そっか・・・」

『・・・・・・』

 

か、会話が続かね~(汗)。

とりあえず俺もたこ焼きを買ってみんなで食べた。

時には分けたり分けてもらったり。

やまとさんにも分けてやったら少し微笑んだような、そんな気がした。

そんなこんなで・・・。

 

「あ、もうすぐ集合時間ですね」

「へ、もう?」

「夏だからね。日もあんまり傾いてないし」

 

分かりにくいが何気に時間は既に6時近い。

みんなで打ち上げ花火を見る事になってるので集合場所に来たが・・・。

 

「連絡、取れない?」

「・・・ダメね。みんなの携帯に繋がらないみたい」

「時間はもうすぎてるんですけど・・・こうがまた何かやらかして無ければいいんですけどね」

 

やまとさんは親友の事で心配事が尽きないようである。

足で探そうにもこの大人数だ。

ミイラ取りがミイラになりかねない。

 

「・・・他の皆さんはもうあの場所に行ってるのかもしれませんね」

「あの場所って・・・会場(ここ)に来た時に話に出てきた穴場の事?」

 

花火を近くで見ようと沢山の人が詰め掛けてくるらしく、そのおかげで何でもない場所が絶好の穴場になってるとゆかりさんが言っていた。

『灯台下暗し』とはよく言ったモンだ。

万が一お互いの連絡が取れない時はそこに集合しようと言う事になっている。

既に会場は人でほとんど埋めつくされているため、俺達はその穴場・・・いつも俺達がランニングしている土手に行くことにした。

 

 

 

「お、来たね青春を謳歌している若者達が♪」

「みんな~、こっちよ~♪」

 

無事、他のみんなと合流出来た。

先に来てたなら連絡して欲しかったがやっぱり繋がらなかったとか。

 

「・・・・・・」

「・・・!・・・・・・!!」

 

なんか俺と一緒に行動をしていたみんなが何かを聞かれて赤面してるようだが・・・?

俺は俺で酔っ払った保護者・・・ぶっちゃけ黒井先生と成実さんに絡まれて身動きが取れなかったりする(汗)。

そうして数分後。

1発目の花火が上がる。

それを追うかのように、去年見た東京での花火大会に勝るとも劣らないくらいの花火が数百発以上・・・。

ほんの一瞬のきらめきを見せては散っていく。

どこかの漫画で言ってたような、一瞬だけど閃光のように。

いや、漫画の引用で表現しちゃだめか。

ふと、周りを見てみる。

こなたさん、かがみさん、つかささん、みゆきさん、みさおさん、やまとさん。

みんな花火を見上げて・・・月並みな言葉だけど、みんなとても綺麗だった。

これから先、どうなるかまだ分からないけど。

せめて、この穏やかな時間がもう少しだけでも続きますように・・・。

 

 

 

<オマケ>

 

 

 

「な~んや赤井、花火そっちのけで女の子を物色か~?」

「ちょ、な! そんな事してないですよ・・・」

「いや~、アレは立派に青春を謳歌してる男の子の目だね~♪」

「て! あんた等2人そろって声デカイですって!」

「赤井・・・教師に対してその言葉遣いはちと修正の必要があるな~」

「赤井君・・・嘘はいけないよ? おねーさん、本職のお仕事するハメになっちゃうよ?」

「何でそうなるんですか!」

 

 

 

「ふふ、良かったわね、かがみ、つかさ?」

「こなたお姉ちゃんも先輩達も脈ありって感じですね。うらやましいな~」

「みゆきさん、応援してますから・・・」

「日下部先輩もまだまだいけるっスよ?」

「アキらめたらソコでシアイシューリョーネ♪」

『・・・・・・』←5人揃って硬直中

「ハンデは大きいけどやまと、ただでさえ女子高に通ってて男っ気が無いんだから、ちゃんと捕まえなきゃダメよ?」

「こう・・・あなたこの状況楽しんでるだけでしょう・・・」←真っ赤

 

 

 

つづく・・・


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