らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第四十九話 みんなで過ごす、夏の1日 3日目

「雨だな~」

「雨ね~」

「雨だね~」

「って事は雨天中止?」

「何だかそう聞くと、何かの競技が中止するように聞こえますね」

「この雨じゃ今日は無理だな~」

 

早朝。

目が覚めたとき、妙に薄暗かった。

その上ザァーっと外から音がするからカーテンを開けてみると案の定である。

いつもランニングに参加してるメンバーも一応起きて来ており、居間でどうするか話したが、正直天候はどうしようもない。

 

「雨天中止・・・いつもなら歓喜に浸る所なんだけどね~」

「アンタの場合はアニメの録画だろ」

 

2人のやり取りはさて置き、俺は普段着に着替えて居間でのんびりする事にした。

こなたさん、つかささん、みゆきさんは少し早めの朝食の準備のためにキッチンに入る・・・正直俺はこなたさん辺りが2度寝するのかと思っていたんだが(笑)。

残ったかがみさん、みさおさん、やまとさん、ゆたかさん、みなみさんも居間でのんびりくつろぎ、又はお喋りに花を咲かせている。

と、周囲の変化に気づいたのか、居間で寝ていたチェリーが頭を起して周りをキョロキョロ見回した。

そこにゆたかさんが近づく。

 

「おはよう、チェリーちゃん♪」

「・・・ワン!」

 

ゆたかさんはチェリーの前足を取ってご機嫌だ。

チェリーは特に抵抗する事もなく、ゆたかさんの好きにさせている様だ。

 

「チェリーちゃんいい子! ふふふ・・・チェリーちゃんはかわいいな、チェリーちゃんはかわいいな♪」

 

ゆたかさんはご満悦・・・てか周りの事、忘れてるなあれ。

その光景をみなみさんはデジカメで激写してるんだが・・・。

 

「躾もちゃんとされてるし、いい()ですね」

「まぁひよりさんは吼えられてるけどね」

「そういえば確かに・・・チェリーの嫌いな臭いでも付いてるのかしら?」

「ん~む。ひょっとして腐・・・ナントカだからじゃね~か?」

「いや、関係ないし(汗)」

 

みさおさん、それはさすがに失礼だぞ。

大体、それを言ったらこなたさんやパティさんにも吼える事になるがそういう所は見た事がない。

そしてゆたかさんの後にこっそりと近づくちみっこい影が1つ・・・。

 

「楽しそ~に歌ってますネ、ゆーちゃん?」←(=ω=.)ニヤニヤ

「はぅっ!?」←我に返った

 

こなたさんの言葉に驚くと同時に、周囲の視線を一身に受けてる事に気づいたゆたかさん。

こなたさんと一緒にキッチンから出てきたつかささんやみゆきさんも状況を察したらしく、微笑ましく見守っていた。

その後、ゆたかさんは朝食の時間まで、顔を染めながらもチェリーと戯れていた。

 

 

 

みんなが起きて来て、朝食を終えた後の勉強時間。

宿題のほうはみんな順調に消化しており、あのこなたさんでさえもうすぐ終わりそうなほどの勢いで進めている。

やっぱり皆でやると早く終わるね~。

 

「天気予報を見る限りじゃ今日は雨が一日中降るみたい・・・」

「そうね・・・今日1日は外に出るのはやめておいた方が良さそう」

「お祭りの日じゃなくてよかった」

「ホントだね~」

「オマツリ・・・ナンとカンビなヒビキなんでショウ・・・」

 

こうやって話をしながら勉強をする余裕もおのずと出てくる。

もっとも、勘違いしてるのが一人いるようだが・・・。

 

「パティさん、一応言っておくけど、お祭りってのはコミケでもサンクリでもコスパでもないからね?」

「ナ、ナンダッテ~!? それイガイナニがアルとイうのですカ、マサキ!?」

「本気でそれ以外知らないんかい!?」

 

俺がツッコミを入れてる間にみゆきさん・・・ではなくかがみさんが説明に入った。

 

「あのね、パティさん。『まつり』っていう言葉は『(まつ)る』の名詞形で、本来は神を祀ること、またはその儀式を指すものを言うの。この意味では、個人がそういった儀式に参加することも『まつり』で、現在でも地鎮祭、祈願祭などの祭がそれにあたるのよ。 日本は古代において、祭祀(さいし)を司る者と政治を司る者が一致した祭政一致の体制だったから、政治のことを(まつりごと)とも呼ぶの」

「それに、祭祀の時には、神霊に対して供物や行為見たいな事とか、色々なものが奉げられて、儀式が行われるんだよ。その規模って結構大きくて、地域を挙げて行われているような行事の全体を指して『祭』って呼ぶこともあるんだよ」

「もっとも、祭祀に伴う賑やかな行事の方のみについて『祭』と認識される場合もあって、元から祭祀と関係なく行われる賑やかな催事、イベントについて『祭』と称されることもあるけどね」

 

と、通りかかったいのりさんの言葉で〆。

今回の説明役は柊家の3姉妹となった。

さすが神社の娘だけあって詳しい・・・ってか詳しすぎ。

みゆきさんが感心して聞いてたから相当なもんだぞ。

ちなみにいのりさんは偶々洗濯物を干しに通りかかったために補則をつけただけだが。

 

「・・・???」

 

さすがに難しい言葉も混じってるためか、パティさんの頭にはさっ○り妖精が踊ってる状態だがまぁ実際に行って見れば分かるだろう。

 

「パティさん、漫画とかアニメもいいけど、もっと日本の文化を知ったほうが良いんじゃない? せっかく留学して来たんだから」

 

よくよく考えると単身で海外留学なんて中々出来ない事だと今更ながらに気づく。

しかも俺より年下の女の子が、だ。

 

「そうですね。日本の伝統的な遊びや行事も沢山ありますから、知りたくなったらいつでもお教えしますよ♪」

「ムム・・・ニッポンのブンカもオクがフカイですネ」

「それでも! 腐女子精神は不滅っス! こうなったらそのお祭りを乗っ取って・・・!」

「やめろよこの馬鹿!!」

 

スパァ~ン!

 

「あ痛ぁっ! まさき先輩何するんスか~! ちょっとした冗談なのに~・・・」

「本気でやりそうだから全力で止めたんだよまったく・・・。まさかこのハリセンをこなたさん以外の相手に使う事になるとはね」

「ねぇねぇまさきクン。どこから出したんだい、そのハリセン?」

「ポケット」←即答

「・・・まさきはいつからバニラアイス好きの4次元使いになったのかな?」←(=ω=;)

「いや、アレはネタでしょ。てか本気じゃないよね?」

 

無論、ポケットから出したと言うのは冗談である。

が、こなたさん。

また微妙に危ないネタを・・・。

 

 

 

ドゴォン!

キーーーーーン!

こなたさんの超4○空が俺の超4ベ○ータをぶっ飛ばす!

ヒュン!

ダッシュで追ってくるもその場でタイミングを合わせてカウンター!

ガン!

ドゴン!ヒュ!ドゴン!ヒュ!ドゴン!ヒュ!ドゴン!ヒュ!バキャ!

数回カウンターで背後の取り合いをするも俺はタイミングを誤り吹き飛ばされる!

ドウ!ドウ!

すぐに体勢を立て直し、さらに追撃をしてくる超4○空を迎え撃つ!

ガガガガガガガガガガガガガガガ!

 

『おおおおおおおおおおおおおっ!』

 

俺とこなたさんはコントローラーのスティックを回転させて激しい攻防を繰り返す!

今度は俺が打ち勝ち、コンボを決める!

 

「うっは、なんだコレ。ありえね~」

「まさきお兄ちゃんもこなたお姉ちゃんも凄~い(汗)」

「私、泉先輩とやってみたいな~。日頃のゲーセンのリベンジを・・・」

「こう、時には諦めも肝心よ?」

「しっかし最近のTVゲームはここまで来とるんか~」

「私が小学生の頃に流行ったヤツ、今でもゲーム化してるんですね~。お姉さんビックリだ!」

 

そんな事言ってると歳がバレますよ、成実さん?

とにかく、これでフィニッシュ!

 

『勝負あり! 勝者2P!』

 

「よっしゃ、俺の勝ち!」

「あっちゃ~、負けちゃった~」

 

別に何か賭けた訳でもないがこなたさん、やけにノリが軽くないか?

ちなみに現状。

時間は既に夜。

居間にて、少し前までこなたさんが持ってきたある意味懐かしいニ○テン○ー64でこれまた懐かしいヒゲ親父や亀の化け物、はてはお姫様がゴーカートで激走する『マ○オカート64』で皆でワイワイやってたものの、全員ほどよく満足したため今度はP○2の『龍 球 Z(スパーキングでメテオ)』でこなたさんと勝負。

で、先ほどの展開になったという訳だ。

ちなみにこの辺りで保護者組が部屋に戻っていった。

 

「こなたが前もやったヤツで連敗・・・まさきくん、やっぱりやり込んでるの?」

「久しぶりだから感覚取り戻すのに必死だったよ。かなりギリギリだったし」

 

ぶっちゃけ最後の攻防で撃ち負けてたら結果は逆だっただろう。

ちなみに説明書を熟読していたこうさんがこなたさんに挑んできた!

 

「泉先輩? 日頃の雪辱を晴らさせていただきます!」←孫○空(後期)

「ふふふ、圧倒的な力の差というものを教えて差し上げましょう。」←孫○飯(青年)

 

結果・・・。

 

『勝負あり!勝者1PパーフェクトKO!』

 

「うわ~ん、明かに初心者だって分かってて手加減無しなんて酷いじゃないですか~!」

 

そういい残して走り去ってしまった・・・数分後には戻ってきたが(汗)。

 

「ふっふっふ。まだまだ修行が足りんのう」

「てか初心者がこなたに挑むのが間違ってるような気がするんだけど・・・」

「ならこれだぁ!」

「お、ゲーセンでいつもやってるアレかね。ふ、笑止千万!」

「・・・先に風呂入るよ~」

『は~い!』

 

何だか2人で盛り上がっているのでひとまず部屋に戻る。

既に自室では保護者達のささやかな酒宴が開かれており、それに苦笑しつつも入浴しに行く事を伝えて着替えを用意し、風呂場に向かった。

 

別荘が広いだけに風呂場も広い。

1度に6~7人入れそうなくらい広い。

さすがに誰かと遭遇したらヤバイので風呂に入る前と入った後には先ほどの様に必ず全員に声をかけている。

そのおかげか、今の所遭遇率は0%だ。

ちなみに風呂掃除は交代制である。

 

「・・・う~ん!」

 

体を伸ばして風呂に入るのなんて滅多に無い。

・・・色々思う所はあるがまあとにかく、ココに来てからは1人になれる貴重な時間でもある。

しかしここに来てから考える事はいつも同じだった。

 

間違い無く、好きな娘があの中にいる。

 

いったいそれが誰なのか、誰と会話をしてもまだ確証が得られない。

数名、自分に対して好意を抱いてるんじゃないか、と言うのが分かるくらい。

誰に対しての自分の気持ち、と言うのがよく分からない。

・・・自分の気持ちを確かめるのにはいい機会だと思ったんだけどなぁ。

イレギュラーはあったが、みんなと1週間も一緒に過ごす機会が得られたのだ。

焦ってもしょうがないのは分かってるが、早く決めないと俺から離れていくのではないか。

『卒業』と共に・・・。

会う機会すらなくなるかも知れないと思うとゾッとする。

そんな事だけがグルグルと頭の中を駆け回る。

と・・・。

 

ガチャ。

 

誰かが脱衣所に入ってきた・・・?

それも複数。

・・・皆には俺が風呂に入るって言ったはずなんだけど。

 

「お~い、誰かいるのか~? まだ俺が入ってるぞ~!」

 

・・・返事が無い。

何だろう、前にも同じ事があったような気がする。

いつだったk(がららら!)・・・・・・。

 

「やふ~、まさき♪」

「背中流しに来たぜ~♪」

「・・・やっほ♪」

「ちょっと恥ずかしいかも・・・」

「・・・はぅ」

「・・・どうも」

 

上から順にこなたさん、みさおさん、かがみさん、つかささん、みゆきさん、やまとさんがタオルを巻いた状態で入ってきた。

え~と何コレ、新手のドッキリ?

凄まじい超展開に俺の思考、停止中。

 

「はいはい、まずはいったん後ろ向いてから上がってね~♪」

「とりあえずコレ巻いときゃいいよな?」

 

ごしごしごしごし。

 

「こうして見るとやっぱり男の子の背中って大きいのね・・・」

「うんしょ、うんしょ・・・どうかな、まーくん?」

 

コクコク。

 

「じゃあ次は私がやりますね♪」

「えっと・・・流石に前は・・・」←真っ赤

「そ、そうですね。じゃあ上半身と足の方を・・・」←上に同じ

 

ごしごしごしごし。

 

「じゃ、流すぞ~。」

「シャワーが二つあるとかけっことか出来ていいよね~♪」

「子供かアンタは・・・」

 

シャ~~~~。

 

「完了~!じゃ、一緒に暖まろうか~♪」←真っ赤

『・・・・・・』←俺含む全員上に同じ

 

浴槽の中、スシ詰め状態。

繰り返すが浴槽は6~7人は入れそうな広さ。

そこに全員が入る。

男:1人、女:6人。

6人の女の子と完全に密着してる状態で正直何も考えられない・・・。

 

 

 

気が付いたら俺は自室に戻っていた。

しっかり自分の足で歩いて部屋に戻ってきたらしいがよく憶えていない。

・・・やっぱり何だか前にも同じ事があったような気がする。

 

「ふふふ、いいお湯だった?」

 

いのりさんの言葉でようやく頭が回転し始めた。

 

「・・・いのりさんの差し金ですか?」

「あら、お姉さんからがんばってるまさくんへのプレゼント見たいなものよ」

 

と指さした方角にいるのはすっかり酔いつぶれてるいのりさん以外の保護者の方々(汗)。

何かあったらどうするつもりだったんだろう。

てか先ほどの事が思考停止中だったものの、鮮明に思い出されて顔が非常に熱い。

 

「答えを急げ、とは言わないけど、出来るだけ早く気持ちを伝えてあげてね」

「・・・・・・」

 

いのりさんなりに応援してくれてるのかな・・・。

あの6人のうちの誰か。

間違いなく、いる。

俺は寝床に入って明日に備える事にした。

ごちゃごちゃ考えてもしょうがない。

あんな事があって内心かなり動揺していたが、俺は少しスッキリした気分で眠りに付く事が出来た。

 

 

 

つづく・・・


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