らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第三十九話 拝啓、オタクの街より

<○○線電車内>

 

 

 

現在秋葉原に向かって移動中。

と言うのも以前かがみさんが『今度みんなでこなたのバイト姿見に行ってみよっか♪』と言ったところ、こなたさんがそれを大歓迎したのだ。

で、こなたさんのバイト先は秋葉原にあるとの事で、こなたさんが先に向かって俺たちは後から行くことになった。

・・・一緒に行けばいいのにと思うかも知れないが、そうなってしまった理由は俺が日直だったからである。

しかも来る途中、ついでにアニ○イトに寄って買い物も頼まれてたりする。

実は初めて行く秋葉原・・・どんな所だろう?

 

 

 

<秋葉原:駅前>

 

 

 

「駅を出た瞬間、凄い人達がいたわね・・・」

「まぁこの近辺くらいだと思うけど・・・てか思いたい(汗)」

 

駅を出てすぐに目に入ったもの・・・チラシを配ってるメイドさんやコスプレイヤーの皆様方(汗)。

お客さんの勧誘に頑張ってるんだろうけどさすがに・・・なぁ。

 

「こなちゃんもあんな格好して働いてるのかな?」

「コスプレと言っても、色々なものがありますし・・・そもそもあの格好では『メイド喫茶』なのでは・・・?」

 

メイド服もある意味コスプレだろう。

 

「とりあえずさっさと買うもの買って移動しようか」

「そうね」

 

そして移動を開始したら何だかチラチラと見られてる・・・ぶっちゃけ視線を感じる。

俺達の内の誰かを・・・見てる?

何だか数人のいい年した大人達(主に男)がこちらを見て、何か話してるようだが。

そのうち1人の男性がこちらに寄ってきた。

 

「すいません、写真取らせてもらってもいいですか?」

『は?』

 

いきなりそんな事を言われても反応できるはずが無く、こちらの返事を聞く前に写真を取り始めた・・・つかささんを。

 

「すいません、こっちもいいですか?」

「ひろ○きちゃんって言ってみてください!」

「すいません、こっちも・・・」

 

次々とカメラを持って集まってくる男達。

こういう人達をカメラ小僧って言うんだっけ?

つかささんはカバンで顔を隠すなどして相当嫌がっているが、彼らはそんな事はお構い無しと言わんばかりに写真を取っている。

 

「・・・わたし神○じゃないです、柊です・・・」

 

そういや去年の誕生日にこなたさんがつかささんに贈ったのが確か・・・(汗)。

 

「おお〜、その顔いいね〜!」

「こっちもこっちも!」

「富○フラッシュ!」

 

どうやらつかささんをコスプレイヤーと勘違いしている様子。

しかし・・・友達がそんなつもりも無いのに見世物同然にされるのはいい気分がしないな。

 

「ちょっとあんた達、いい加減にしなさいよ! ウチの妹が嫌がってるじゃない!」

 

かがみさんが動き出したが人数が人数である。

 

「いちいち相手してたらキリが無い。こんな連中ほっといてさっさと行こう」

「さ、最後にこっちもお願いします!」

「って、何やってんのアンタって人はぁ!」

 

スパ〜ン!

 

「あいったぁ!?」

 

()()の頭にハリセンを叩き込んだら実にいい音を立てて入った。

 

「たたたた・・・なんでわたしだけ実力行使なんスか!?」

「それ以前に先輩、どっからハリセンを・・・?」

 

何故か店先に置いてあったハリセンを使って叩いたのはカメラこぞ・・・じゃなくて田村さんだった。

 

「すいません勝手に使わせてもらって」

「これくらいお安い御用よ、お兄さん。それにしても中々切れ味鋭いツッコミだったわ!」

 

使わせてもらったハリセンを店の店員に返す。

ちなみにハリセンで田村さんをしばいた際に八坂さんも発見。

ネタを探しに秋葉原(ココ)に来たとか。

それはさておき。

俺がつかささんの手を引き強引にカメラ小僧の群れ(いつの間にか増えてた)を掻き分けて進み、つかささんの両サイドをかがみさんとみゆきさん、後方を協力要請をして引き受けてくれた八坂さんと田村さんが(表情が少し危ないが)隠す形でやはり強引に進んだ。

 

「みんなありがとう・・・怖かったよ〜(涙)」

「よしよし、もう大丈夫よ」

「あの方達ももう少し常識とマナーを守ってもらいたいですね」

「ああいう連中は、断わってもしつこいのが多いみたいだから無視が一番だよ」

「ふむふむ、これでまた1つネタのストックが・・・」

「さすがにベタ過ぎるよひよりん」

 

そんな事を話しながら俺たちはアニ○イトの前に着いた。

ちなみに後輩2人はいろいろと目的地があるらしく、途中で別の店に入って行った。

 

「ところでまさきくん、いつまでつかさの手を握ってるのかしらね?」

「へ?・・・あ、ごめん! ここまでくればさすがに大丈夫だよね(顔真っ赤)」

「う、うん! ありがとう、まーくん(上に同じ)」

 

その後、散々からかわれたのは言うまでも無い・・・。

 

 

 

<アニ○イト店内>

 

 

 

「この手の店ってこんなに大きかったかしら・・・?」

「何階建てなんだろうね?」

 

フロアごとの広さはそうでもないがそれを補う建物の高さがある。

地方のそれよりかなり充実した品揃えのようで、所々でマンガ雑誌(新刊)やキャラグッズ(新作)等が所狭しと並んでいる。

 

秋葉原(ここ)の店は初めてだからな〜。どこに何があるのかさっぱりだね」

 

頼まれたのは新刊の月刊誌だから、分かりやすい所に置いてあると思うんだが。

 

「ひとまず、店員さんに聞いてみましょう」

「まぁ客商売なんだから変なヤツはいないだろうし。すいませ〜ん」

 

かがみさん達は近くにいた女性店員(眼鏡っ娘)に探し物を尋ね、親切に教えてもらっていた。

俺は適当に辺りを物色していたのだが・・・。

 

「初のご来店ありがとうございます! 何をお探しかね少年よ!?」

「見つからないのであれば! 俺たちに任せておけ!」

「うぉわ!?」

 

忘れていた・・・この系統の店の店員は異様にテンションが高いのだ。

ってあれ?

片方は見覚えが・・・。

 

「俺の名は殿鬼ガイ! この秋葉原店の、アニメ店長であぁる!」

「そして俺の名は兄沢命斗! 池袋本店の、アニメ店長であぁる!」

「・・・本店の店長が何してるんですかこんな所で?」

 

関わりたくない人に関わってしまった(汗)。

 

「細かいことは気にするな少年よ! 『お客様は神様です!』の精神にのっとり・・・ん? 君はもしかして伝説の少女Aとよく見かける少年ではないか!?」

「何? ことごとくお前の『伝説の少女Aシフト』を打ち破って来た、あの少年か!?」

 

・・・いつの間にか変な方向で有名になってたらしい。

てか妨害したつもりはまったく無かったんだが。

 

「フッフッフ、相手にとって不足はなし。そして秋葉原店には初めてのご来店と来たら・・・ふぅむ、兄沢よ、アレをやるか!」

「ふ、当然だ。以前は不覚を取ったが、今回は俺が頂く! 店長ファイト! レディ〜・・・ゴォー!!」

 

ダダダダダダダダダダダダダ・・・・・・。

 

「え〜っと・・・?」

 

何で俺が初めて来た事を知ってるのかとかツッコミたいところが色々あったのだが(汗)。

イマイチ状況が把握できないところにかがみさん達が戻って来る。

 

「どうかされましたか? まさきさん」

「いや、なんと言うか・・・」

「初めてのご来店のお客様に対する突発的で不定期なイベントですよ〜」

「・・・イベント?」

 

先ほどの眼鏡をかけた女性店員さんだ。

何でも店長達がオススメの一品を紹介するから気に入ったほうを買えばいいとの事。

ちなみに拒否権は一応あるらしい。

なんか軽く眩暈がしてきた・・・。

 

「無視するのも悪いし、皆は先行ってて。後から行くから」

「付き合い良すぎるのも程ほどにしときなさいよ?」

「まーくんがんばってね〜♪」

「泉さんのアルバイト先の地図です。これなら道に迷わないでしょうし、わたしは覚えましたから。気を付けてくださいね?」

 

と言うわけで地図を受け取り、3人には先にいってもらった。

ちなみにこなたさんが事前に地図書いてはくれたが、さっぱり分からなかったのでみゆきさんが調べてくれたのは余談である。

 

・・・・・・ドドドドドドドドドドドドド!

 

あ、店長達が戻ってきた。

 

「さあまずは俺のターン! ネオスポーツ代表、『でぃあーぼーいず』! ただいま第3章絶賛連載中!」

「・・・ああ、あのバスケ漫画ですか」

 

深夜の時間帯にアニメをやってたとか何とか。

そういや週刊誌から月刊誌に引っ越した事もあったっけ。

 

「甘い! 甘いぜ兄沢! 俺のターン、ネオバトル代表、『天使の心』! こちらも絶賛連載中!」

「・・・週刊少年誌でやってた昔の漫画のパラレルモノでしたっけ?」

 

パラレルとはいえ結構違う設定もあるが、そこさえ気にしなければ読んでて結構面白い。

ちなみに100tはんまぁは健在である。

 

「さあ、熱い青春時代を取るか?」

「それとも、非日常な毎日を取るか!?」

『少年よ・・・判定は、どっち!?』

 

なんだか某料理番組を思い出すな。

ちなみにこの場合俺の答えは・・・。

 

「どっちもネカフェで全巻読破してるんで遠慮しときます」

『ぬぅわぁにぃ〜〜〜!?』

 

いちいちリアクションがオーバーだが、だからこそからかい甲斐がある♪

・・・あれ、俺って田村さんの言うようにひょっとしてドS?

ま、何はともあれ。

何とか商品を買ってもらおうと右往左往する2人を適当にあしらい、アニ○イトを出た俺は3人の後を追った。

 

「・・・兄沢よ、これがあの少年の実力か・・・?」

「ヤツを普通の少年だと思って甘く見るなよ・・・? 俺も何度敗北を味わってきたことか・・・」

 

俺がアニ○イトを出てから、こんなやりとりがあったとか・・・。

 

 

 

<コスプレ喫茶:入り口>

 

 

 

「本当にここであってるのかな・・・?」

 

雑居ビルのとある一室・・・にしか見えないが一応張り紙があるから合ってるのだろう・・・多分。

とりあえず入ってみることにする。

 

ガチャ。

 

「お帰りなさいませ、ご主人様♪」

 

・・・パタン。

 

・・・あれ、ここでいいんだよな?

てかコスプレ喫茶だもんな?

もう一度扉を開けて見る。

 

ガチャ。

 

「お帰りなさいませご主人様♪」

「・・・こなたさん、某学生服のコスプレなのに何でご主人様?」

「気にしない気にしない♪ あ、遅れるって話は聞いてたよ〜。皆のところにご案内するね?・・・でもいきなり扉を閉めるのはさすがに酷いよまさき」

「あ~、ごめん。色んな意味で頭が混乱したもんだからつい・・・」

 

そして3人のテーブルで皆と合流、飲み物を注文することにする。

お菓子はフリーらしい・・・普通は飲み物がフリーなのでは?

とりあえずキャラになりきって店員が接客するため、こなたさんの接客態度が若干・・・てかかなりキツメの印象だ。

なにせ・・・

 

「ちょっとアンタ、飲み物は何にする?」

「早く決めなさいよ。遅いと罰金よ!?」

「ただのメニューには興味はありません」

「団長命令よ、待ってなさい!」

 

なんて言われりゃね・・・。

 

「本来のこなたを知ってなきゃ蹴っ飛ばして帰るわよ、わたし・・・」

 

そのためか、物凄く不機嫌そうなかがみさん。

 

「お姉ちゃん。こなちゃんはわたし達にしかやってないみたいだし、お仕事なんだから許してあげようよ」

「それに、普段とは違う一面も見れて楽しいですよ?」

「俺はここに入った時のこなたさんの対応のほうがビックリしたんだけど」

 

今の彼女は某小説の団長兼ヒロインになりきってるからああいう態度なのだろう。

・・・某ヒロイン、バイトは出来そうもないなぁ。

イメージ的に。

 

 

 

それから暫らく経って。

こなたさんと一緒にここでバイトしているパトリシアさんに加えてながもんっぽいコスプレしてる人の3人のステージを楽しんだ。

ステージを無事に終わらせたこなたさんとパトリシアさんが嬉しそう戯れてるのを見ていたかがみさんが、ここでようやく笑顔を見せた。

 

「ハロー! ホンジツはごライテンイタダキありがとうゴザイマス! ワタシたちのダンス、タノシんでいただけマシタカ〜?」

「うん、凄く上手だったよ〜♪」

「やはり踊りと言うのは、生で見ると迫力が違いますね」

「相当練習したんでしょ? 大変じゃなかった?」

 

会話が弾み、気が付いたときには少々長居しすぎたようで日が陰って来た。

こういう所に来るのも、たまには良いかもしれない。

・・・駅を出たときの出来事が無ければ、だが。

 

「どう、まさき? ここでバイトしてみない?」

「遠慮しておく」

 

さすがにやるかと言われたら俺には出来ん。

 

「ムムム・・・ツンデレ、テンネンドジッ子にメガネっ子、そしてコナタ・・・マサキ、やりまスネ!」

「・・・君が何を言ってるのか分からないよ、パトリシアさん」

 

意味不明の無茶振りが来たのでワケわからんからとりあえずネタで対抗しておく。

 

「これイジョウはキンソクじこうデス♪・・・ホントにヤリますネ、マサキ♪」

 

こんな会話がフツーに出来るから周りから変な目で見られるんだよな〜。

 

 

 

つづく・・・


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