らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第三十五話 大きく咲かせ、仲間の輪

<某ゲーセン:コクピット内>

 

 

 

『うおぅりゃ〜!』

 

日下部さんが格闘型の青い機体で敵陣に切り込む!

 

『日下部! 一旦下がりなさいって!』

 

熱くなった日下部さんを制止しようと緑色の汎用機に乗ってるかがみさんが声をかけるが、ああなると彼女は絶対に引かない。

 

「ああなったら日下部さんは止まらないからかがみさん、援護してあげて。八坂さん、永森さん、西側の敵機を止めるよ!?」←近距離型

『おっけ〜、任せて!』←上に同じ

『日下部先輩は相変わらずですね・・・』←遠距離型

 

現在、『戦場の絆』を6vs6で戦闘中。

・・・てか今日はどこで花見をするか相談しようということで集まったはずなんだが・・・(汗)

 

「砲撃型2体に格闘型・・・って指揮官機のカスタム仕様だぁ!? Bクラスで入手出来る機体なのかアレ!?」

 

砲撃型の方はともかく、指揮官機は原作での某小隊の隊長機ってか主人公機だ・・・やっぱりコクピット目指して殴りかかってくるのだろうか?

もしくはオープン回線で恥ずかしいセリフを大声で叫ぶとか。

そんなくだらない事を考えながら砲撃型に自軍拠点を落とされるのを防ぐため、八坂さんと永森さんに砲撃型の方に行ってもらった。

そして俺はマシンガンで指揮官機を牽制しつつ、赤軍近距離型機体特有の高温を纏わせた斧で切り込んでいく。

 

 

 

「はぁ〜・・・つかれた〜」

「・・・日下部、少しは引くことを覚えた方が良いんじゃない?」

「柊、攻撃は最大の防御だぜ?」

「・・・・・・」

 

頭抱えたくなるのは分かるぞ、かがみさん。

 

「反面、私達は息ピッタリ!」

「フォローにすっごく苦労したんだけどね・・・」

 

自信満々に言う八坂さんを尻目に永森さんがバッサリ。

相変わらず親友を親友と思ってるのか分からない2人である。

 

「お疲れ様でした、皆さん」

「これって見てる方も結構熱くなっちゃうね」

 

みゆきさんと峰岸さんはやっぱり見ている方が良いみたいだ。

しかし・・・気が付いたらゲーム仲間がずいぶんと増えたなヲイ。

ちなみに花見についてはかがみさんとみゆきさん、俺の3人で決めることになってたが、都内で良い場所があるとのみゆきさんの提言であっさり決定。

余った時間をどうしようかと話し込んでる時に日下部さん、峰岸さんと鉢合わせた。

日下部さんが『ゲーセン行こう!』っと言うことで行って見たら今度は八坂さんと永森さんのコンビと鉢合わせ。

さらにビックリな事に八坂さんはおろか、かがみさんまで『戦場の絆』を始めたとの事・・・。

『受験生なんだから自重しなさい!』なんて言いそうなかがみさんまで始めたのは驚きだが、まぁ息抜きやストレス発散程度にやるのは良いかもしれない。

撃墜されたら逆にストレスが溜まりそうだけど。

 

 

 

<夕方:柊家>

 

 

 

自宅アパートに帰る前に柊家に寄っていく。

というのも、最近すっかり柊一家に馴染んでしまった俺は、時々かがみさんやつかささんを通して柊家の夕飯に招待をされる事がある。

冗談抜きで違和感のカケラも無くなって来てるあたりはどうなんだろう?

それに最初のうちは、タダ飯ってのも何か良い気がしなかった。

そのため何度か手伝おうとしたんだけどみきさんにやんわりと断られている。

ま、時間は少し早いけど退屈はしないし。

バイトは夜だから構わないだろうと判断して柊家にお邪魔した。

 

「ただいま〜・・・あら? この靴・・・こなたが来てたんだ」

「お邪魔します、と。晩飯も一緒に食ってく気だとか」

「それは無いでしょ・・・なんかこなたとつかさの話し声が聞こえるわね・・・」

 

盗み聞きはよくないぞ。

そう思いつつ俺も一緒になって聞き耳を立ててみる。

てか居間のふすまが開きっぱなしだから聞こえるのは当然だ。

 

「最近あったかいね〜」

「そだね〜」

「春眠暁を覚えずって言うけど、ホント眠くなりそうだね〜」

「そだね〜」

「春休みは宿題が無いから良いよね〜」

「そだね〜」

 

・・・この2人の会話、そろそろツッコンだ方が良いのか?

結論が出ない無限ループと化してるぞ(汗)。

てか・・・。

 

「そういうのはいつも一生懸命にやってる人の言うことだと私は思うんだけど?」

「同感。とりあえず今年の2人の目標は『宿題を全て自分でやること』かな?」

「ぎく!?」

「はぅ!?」

「まぁ言いたい事はなんとなく分かるけどさ・・・」

「隠居した老人かあんたらは」

 

日向ぼっこしてる2人はまさにそれである。

とりあえずこのツッコミも慣れたもんで、無限ループは強制終了。

こなたさんは誤魔化しつつゲームを再開した・・・電源どころかゲームもつけっ放しでほっといてたんかい・・・ってやってんのはス○ロボかよ!?

人の家でやるゲームかよそれ?

 

 

 

『左舷!弾幕薄いぞ、何やってるの!?』

『長い砲身には、こういう使い方もあるんだ!』

『不死鳥は、炎の中から・・・蘇る!』

『やぁってやるぜ!』

 

「アンタ、こういうロボット物のヤツのキャラクターや元ネタってわかるの?」

「まぁある程度はね〜。まさきに色々と教えてもらったしキャラやロボットの図鑑付きだし。あ、そうそう。かがみ、コレコレ」

「ん? これって・・・」

「まーくんが買ってもらってたロボットも出てきたから私もビックリしたよ〜」

 

そりゃあサ○ファには出演してるからね。

てか最終的な話の中核になっていくし。

ちなみに戦闘シーンには定評のあるこのゲーム。

再現度もシリーズを追うごとに力が入っている。

反面、不思議な光景も見られるがそこはツッコンだら負けである。

 

「他の主力機も随分力が入ってるね」

「わかる? そりゃ主人公はこれで全部コンプしたし、ルートもカンペキ! 今やってるのをクリアすればパーフェクト!」

「あ〜、もう何も言わないけど・・・確かガン○スターっていったっけ? ソイツの実力はどうなのよ?」

 

何だかんだで結構気になってるらしいかがみさん。

こなたさんもニヤニヤしながら戦闘シーンをONにした。

 

『お姉さま、あれをやるわ』

『ええ、よくってよ』

 

2人のパイロットのやり取りの後、画面には技を大声で叫んだ後に思いっきり必殺の蹴りを繰り出すという、大迫力の戦闘シーンが!

・・・よくよく考えるとこれも含めて広範囲殲滅武器ばっかりだよね、ガン○スターって。

 

「・・・・・・」

「かがみ〜ん、これ見てどうだい?」

「凄い迫力ね・・・えっと原作のモノもこうなの、コレ・・・?」

「動画サイトで見たことはあるけど、原作のシーンを見る限りじゃ大体こんな感じだね」

 

開発スタッフの皆さん、本当におつかれさまです。

 

 

 

<柊家:夕食時>

 

 

 

『いただきま〜す!』

「たくさんお食べ」

 

こなたさん帰宅後に夕食の時間がやって来た。

柊家の今日の晩御飯は鍋物。

大所帯だからかナベ自体もかなりデカイ。

が、ナベの中身が何だか分からない。

別に蓋をしてる訳じゃないが、真っ白いもの・・・大根おろしだろうか?

とにかく表面全てが真っ白に覆われていて、他にどんな具が入ってるのかがさっぱり分からないのだ。

みきさんが取り分けてくれたのでそれを受け取ってみると・・・。

 

「白菜に・・・豚肉、ですか?」

「そう。白菜と豚肉を交互に重ねて大根おろしを乗せて煮込むだけ。水は白菜や大根おろしに火が通ればいっぱい水分が出るから少しで良いの。簡単だから、もし実家に帰ったら親御さんに作ってあげたらどう?」

 

ポン酢で食べると美味しいわよ、と俺にポン酢を取ってくれた。

交互に重ねてって・・・量がとんでもないんですけど(汗)。

鍋一面の大根おろしなんか大根を丸々一本使っても足りないらしく、ただおさんががんばってすりおろしているとか。

 

「うん、おいし〜♪」

「これなら私でも何とかなりそうね・・・」

「・・・大根おろすのが大変そうだけど」

「〜♪」

 

いのりさんはご満悦、まつりさんとかがみさんはブツブツ呟きながらもくもくと食べてる。

つかささんも食べるのに夢中で、それを見てると相変わらず俺と同い年には見えなかったりするのは秘密だ。

とりあえずその辺りはひとまず置いとき、俺はいつもの様にコレでもか、というくらいの量を平らげた。

以前初めて招待された時、自分は客だから、と控え目に食べた事がある。

が、みきさんには俺の食べる量が知られているため、結構な量のおかずを残してしまった。

少し残念そうなみきさんを見てると何だか凄い罪悪感が湧いてきたので残ったおかずを全部食べて、その後は出されたものは大抵平らげるようにしたのだ。

案の定、4姉妹からは驚愕の表情(当初のみ)、柊夫婦からはホッとした様な、そんな感じでたまに見る少し変わった食事風景を楽しんでいるようだ。

 

 

 

『・・・ファイナルアンサー?』

『ファ、ファイナルアンサー!』

『・・・・・・』

『・・・・・・ッ!』

 

夕飯後、少し時間に余裕があるので柊家と一緒に某クイズ番組を見てるが・・・相変わらず息が詰まるなここまで来ると。

で、こういう時のお約束で・・・。

 

『あ、僕は麺にうるさい○○麺です』

 

『はぁ〜〜〜〜・・・』

 

CMに突入した瞬間に脱力する。

全員息を呑んで見ていたため、分かっていたけど当たるか外れるかの独特の雰囲気は見てる方もある種のプレッシャーになる。

それでも、顔色1つ変えずに見ている人が約1名いるが・・・。

と、そこでつかささんが時計を見た。

 

「つかさ〜、時間見て正否判断するのやめない?」

「だ、だって緊張感に耐えられなくて・・・(汗)」

「あっははは、物凄く引っぱるからね〜、この番組」

 

まつりさんも同じ意見だった様だ。

ちなみに俺の場合は・・・。

 

「とりあえずこの番組が終わったら、バイトの時間も近いしそろそろ失礼しますね」

「あら、まさくんもう・・・てかこんな時間にアルバイトって、大丈夫なの?」

「まぁ一応学校には許可取ってるんで。」

 

時間が時間だからか、いのりさんが心配してくれるが許可を貰ってれば何とでもなる。

バイトを始めて約2年、昼間はもとより夜の方も任せられていたりする。

ちなみに学校は夜のバイトは不許可である・・・当然だが。

夕方ならまだしも、夜中遅くまでバイトをやってたらある意味違法だし。

もっとも、この辺りでは学校関係者を見たことが無い・・・てかそんな時間に出歩く方が珍しいだろう。

警察の巡回もあるがその時はレジのカウンターに隠れて凌いでいる(笑)。

とりあえず番組が終わったところで皆に挨拶とお礼を言って、俺は柊家を後にした。

 

 

 

 

つづく・・・


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