らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第二十二話 いざ、修学旅行!:最終日

<修学旅行最終日:朝>

 

 

 

修学旅行も今日で最終日。

と言っても帰るだけなんだけどね。

振り返って見るとあっという間だった気がするこの4泊5日の旅。

昨夜もやっぱり質問攻めだったけど予想の範疇だったために軽くスルーして、さっさと寝たため今日はいつもの時間に目が覚めた。

荷物さえ漁られなければいい。

バックの中に皆で撮ったプリクラが入ってる。

それを見られたらその瞬間に・・・考えるの、やめよ(汗)。

カーテンを開けてみるとうっすらと明るくなり始めた山々が、やっぱり2度寝はもったいないと言う気分にさせてくれる。

そんな訳で・・・お茶をすすりながら皆が起きるまで、少しずつ明るくなっていく外の様子を見ながらのんびりと過ごした。

 

「ふわ・・・お、おはよ。やっぱり朝早いな赤井」

「おはよ〜」

「相変わらず朝早いってか夜寝るの早すぎじゃね?」

「毎朝5時半に起きてランニングとかしてみる?」

「・・・今日の朝飯なんだろな〜」

 

こらこら、いい若いモンが現実逃避するなこのくらいで。

 

 

 

<帰路:バス内>

 

 

 

S.Aで数回休憩や昼食の時間をはさみながら一路埼玉へ向かう俺達陵桜学園2年生。

バスの中は修学旅行の余韻のためか、クラスメート同士のおしゃべりが途絶えることがない。

 

「しっかし結構ないもんだね〜・・・逆刃刀とか赤い着物とか」

「あったとしても着物はともかく、間違いなく銃刀法違反だろ逆刃刀って(汗)」

「模造刀だよ〜。いくらなんでも本物の刀を探しちゃいないよ」

 

模造刀とはいえ探してたのかこなたさん。

懲りずにネタ全開でハイテンションな彼女。

新撰組がダメなら左頬に十字傷を付けた明治剣客の浪漫譚に出て来る赤い髪の主人公にでもする気だったのか、俺を?

ちなみに、昨日の道中で買った物はお土産だと主張するこなたさんを黒井先生が一蹴し、予想通り没収となったが埼玉に帰ったら返してもらえるとのこと。

反面、みゆきさんやかがみさんは隠しやすい本だっため、被害を免れたのはここだけの話である。

 

「鹿さん可愛かったな〜」

「そうですね。わたしも色々な歴史のことを本など知識だけではなく、直に触れることが出来てとても楽しかったです」

「つかさは鹿に襲われそうになったけどね〜♪」

 

こなたさ〜ん、そこで蒸し返すなって。

 

「あう・・・ごめんねまーくん」

「だから気にするなって。こなたさんも蒸し返さない!」

「きゃ〜、まさきが怒った〜♪」

 

鹿からつかささんをかばったせいか、つかささんは思い出したら何度も謝ってくる。

・・・こりゃつかささんをかばって大怪我でもしたら彼女のトラウマになりかねないな。

 

「ちなみに逆刃刀でもパイナップルを一刀両断できるのは知ってた?」

「・・・もしそうだとするとあの主人公の不殺(ころさず)の誓いは早々に破られちゃってるよね」

「強烈な一撃食らって立ってても頑丈とかのレベルじゃないし(笑)」

 

それはさて置き。

 

「さ〜て、修学旅行帰りのお楽しみ、くじ引き大会始めるで~!」

 

S.Aで昼食後、全員バスに乗った時に黒井先生から渡された紙。

コレに番号が書いてあって黒井先生が引いた番号と同じ番号の紙を持ってる人に景品が送られると言うもの。

景品は民芸品から饅頭などの食べ物まで様々なものが用意されているそうだ。

 

「私25番だよ〜」

「33番ですね」

「19番! ぜひあの羽織と模造刀を我らに!!」

「俺は6番か・・・にしてもまだ諦めてなかったのこなたさん?」

 

こなたさんはあくまで新撰組にこだわってる様だ・・・何か思い入れでもあるんだろうか?

それ以前に羽織はともかく模造刀(木製)まで景品ににしていいのか?

ちなみに全員分はさすがに用意してないようである。

 

「まずはコレや。6個入りの黒おたべ! 3名様までや!」

 

黒おたべ、つまり生八つ橋のことである。

コレは俺たちには当たらず他の生徒達へ。

 

「次はやっぱり6個入りの薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)! コレは1箱だけやで! さあ誰に当たるか!?」

 

ちなみに薯蕷とは山芋のこと。

俺に当たったらみやげ物と重複するがコレも別な生徒の手へ。

 

「お次はコイツや、京扇子! 100均の安モンと比べたらアカンで? コレも1名様や!」

 

何か先生のテンションも上がってるな〜。

 

「あ、私当たりました〜♪」

 

おぉ!

33番のみゆきさんがゲット!

 

「さすがみゆきさん、一番似合いそうなのが当たったね〜」

「・・・まぁ確かに優雅なイメージはあるわな」

「べ、別にそんなことは・・・(赤)」

 

扇子で自分を扇いでるみゆきさん・・・コレで着物を着てたら完璧だ。

 

「でもこれからの季節は使いようがありませんから・・・来年まで大事に取って置きます」

「何か扇子ひろげて高笑いすると言うイメーz「泉さん♪」ナンデモナイデスハイ!」

 

こなたさんのイメージは極端すぎるだろ(汗)。

そんな感じでくじ引きが行われ遂に景品が残る所後2種類まで来た。

ちなみに俺たちの中で当たったのはみゆきさんだけである。

 

「さあ今度は新撰組の羽織や! こいつが当たるのは2名様やで。40番と・・・19番や!」

「キターーーーーーーー!!」

 

こなたさんに当たってしまった・・・本人は『買わずにゲットしたよ、ラッキー♪』とご機嫌である。

ちなみに40番は白石君だったりする。

 

「とりあえずコスプレするなら自分で楽しんでね」

「ふっふっふ・・・自分でやっても面白くないじゃん?」

「その不気味な笑い方はやめい・・・」

「後は着物と鉢巻があればまさきさんも新撰組の一員ですね♪」

「わ〜、まーくんカッコイイ!」

 

勘弁してくれっていうか2人とも便乗しないでくれ・・・今のつかささんの言葉で凄まじい反応を示してる男子が結構いるんだから。

そんなやり取りをしてる内に・・・。

 

「最後は模造刀と言う名の木刀や。ゲットしたからってむやみに振り回したらアカンで25番!?」

 

25番って・・・。

 

「え・・・私?」

『なんですと〜!?』

 

何と予想外にもつかささんに模造刀が大当たり!!

金属製のヤツとは違うとはいえ木刀を振り回すつかささん・・・イメージ出来ないなぁ。

 

「ほい柊。あまり危ないことに使うんや無いで?」

「えっと、はい!」

 

それでも景品に当たったのが純粋に嬉しかったらしく、笑顔で受け取った・・・パッと見、日本刀そのものを。

 

「いやー、またつかさのイメージに合わないものが当たっちゃったね。」

「う、うん。コレ、どうしよう・・・」

「むっふっふ、ねぇねぇつかさ、みゆきさ~ん♪」

「どしたのこなちゃん?」

「あ、ひょっとしてソレを・・・?」

「話の流れから何がしたいかなんとなく見当つくけど、とりあえず俺を巻き込まないでくれよ~?」

 

わざわざ俺から離れて3人で内緒話・・・すいません、嫌な予感しかしません(汗)。

残念ながら俺には当たりが来なかったけど、それなりに楽しめたから良しとしておこう・・・これから先に不安が残るけどね。

そして埼玉までまだ時間があるため・・・。

 

「さぁお前ら、ここからは自由(フリーダム)なカラオケタイムやで。パァ〜っと歌えや〜!」

「ならば私g「いくら自由でも1人連続で歌うのは無しやで泉?」・・・うぐぅ」

 

うぐぅ言うな・・・。

ま、こなたさんがマイク握ったら下手すりゃアニソンオンリーになりかねないし・・・人のこと、言えないけど。

気を取り直して、マイクを握ったこなたさんが先陣を切る!

 

「♪~~~♪」

 

相変わらず上手いな〜。

周りは既にかなりの盛り上がりを見せていた。

何気に歌手でいけるんじゃないかこなたさんって?

で、歌い終わるなり何で俺に回すかな?

・・・何か既視感が・・・まぁいいや。

 

俺は魂を込めて歌うのみ!

 

「♪~~~♪」

『クリ○タルキ○グかよ!?』

『お前いくつだ!!』

 

予想通りのツッコミと爆笑が返ってくる。

ふ、年齢なんて関係ないさ!

その後も1人また1人へとマイクが渡っていき、気が付けばまもなく陵桜学園、と言う所まで来ていた。

家に帰るまでが修学旅行です、と言わんばかりに先生から注意事項が伝えられる。

楽しい思い出を、帰宅途中に事故ったりして暗い影を落とすのはゴメンだからね。

 

 

 

<帰り道>

 

 

 

「いや〜、楽しかったのはいいんだけどさ・・・」

 

いつものメンツで大量の荷物(減るどころかお土産で一杯である)と格闘しながらの帰り道。

日下部さん達やみゆきさんと別れた後、何か浮かない顔してるこなたさん。

 

「こなた、何かあったの?」

「携帯マナーモードにしてたんだけど・・・大量に着信履歴があってね・・・」

 

なんとなく想像が付く・・・。

 

「全部お父さんからなんだよね・・・200件近く」

「こなちゃんのお父さん、心配性なんだね」

「そういうレベルじゃないわよソレ・・・」

「同感。親馬鹿もそこまでいくと・・・」

 

泉父、あなたは心配しすぎだ(汗)。

 

 

 

「ゴメンね、荷物持ってもらっちゃって・・・」

「コレくらいは平気だよ」

「ま、男の子なら当然よね♪」

 

こなたさんとも別れ、3人での帰り道。

つかささんとついでにかがみさんの分も荷物を持ってやった。

単に俺の荷物が少ないから申し出ただけなのだが・・・。

 

「しっかしこんなに大量に自分で持ってくか? ここまで多いなら宅急便でも使わせてもらえただろうに」

『あ・・・』

 

2人揃ってどっか抜けてるなオイ(苦笑)。

 

「まぁ過ぎた事は仕方ないとして、とりあえず玄関先まででいい?」

「帰ってきたばかりなのに何かあるの?」

「晩飯の用意。けどさすがに疲れたから弁当でも買いに行こうかと思ってさ」

 

色々あって疲れたからなぁ・・・主に精神的に。

いっその事、出前で済ますかな?

 

「あ、だったらウチで食べていくといいよ。みんなで食べよ♪」

「まさきくんも疲れてるでしょ? お父さん達には私達で説明しとくから自分の荷物置いたらウチに来なさいよ。出前も高くつくでしょうし」

 

その申し出はありがたいんだけど・・・何か違う(汗)。

結局2人の申し出を断りきれず、柊家で夕飯を頂くことになってしまった。

・・・そういや2人の親父さんに会った事ないなぁ。

神主やってるって話だけど、どんな人だろ?

 

 

 

<夕方6時:柊家>

 

 

 

「お邪魔します」

 

自宅に荷物を置き、普段着に着替えて柊家へ。

玄関でみきさんに出迎えられた。

 

「いらっしゃい。話は聞いてるわよ。居間で待っててくれる?」

「すいません、突然お邪魔してしまって・・・」

「気にしないで良いわよ。ウチは娘ばっかりだし、まさきくんは美味しそうに沢山食べてくれるでしょ? 作りがいがあるのよ♪」

「あ、いらっしゃいまさきくん」

「ちょうど良かったわ。かがみ、まさきくんを居間に連れてってやって」

「は〜い。こっちよ」

 

かがみさんに案内されて柊家の居間へ。

居間には柊家の大黒柱と思われる人が居た。

 

「おお、いらっしゃい。それから初めましてかな? 柊ただおです。娘達がいつもお世話になってるね」

「あ、い、いえそんな事無いです! えっと、初めまして。赤井まさきです」

 

柊ただおさん・・・何回か柊家(ココ)に勉強しに来た事はあるが、会うのは初めてだ。

何か緊張するな(汗)。

と、そこへ台所からサラダや炊飯器を持って来たいのりさんとまつりさんがやってきた。

 

「まさきくんいらっしゃ〜い♪ そんなに緊張すること無いわよ? ほらほらお姉さんだよ〜♪」

「ちょ、ま、まつりさん!?」

 

まつりさん、いきなり後から抱きしめないでください!

あ、やわらk・・・だから違うだろ、俺!

 

「こらこらまつり、そういうのはあたしが先よ!」

「ツッコムところそこですか!?」

「え〜、いいじゃん私も弟が欲しかったし速いモン勝ちよ♪」

「ふ、2人とも論点がズレてますって!」

 

っていうか弟が欲しかったら御両親に頼んでください!

 

「ってお姉ちゃん達、何やってんのよ!?」

「そうだよ! まーくんも疲れてるんだから!」

 

そこにかがみさんとつかささんで食器を、みきさんが夕飯のカレーを鍋ごと運んできた。

 

「ふふふ。やっぱり男の子が1人は欲しかったわね、あなた♪」

「そうだなぁ。どうだいまさきくん、うちの子になる気は無いかい?」

「初対面の男に対して言う言葉(セリフ)じゃないですよソレは〜!」

 

いのりさん、まつりさんに弄られてる上にただおさん、何で笑って見てるんですか!?

こうしていつもとはかなり違う夕飯の時間が過ぎていく修学旅行の最終日だった。

 

 

 

ちなみに家に帰ったのは10時過ぎだが、帰りがこの時間になったのはただ柊家一同に弄られてただけ、と主張させていただきます(涙)。

 

 

 

つづく・・・


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