「ついに・・・ついにわが世の
「どっかの
10月、紅葉も深く色付き始める季節。
今日は修学旅行の出発日だ。
しかも週間天気予報では秋晴れが続くと言う。
この学園に晴れ男、もしくは晴れ女でもいるのだろうか?
体育祭の時も思いっきり晴れてたからな〜(前日まで微妙な空模様だった)。
そんなこともあってか、こなたさんじゃなくても気分は月○蝶もとい! 絶好調な生徒が多いようだ。
「こなちゃん、今は秋だよ?」
「つかささん、恐らく泉さんの言ってる意味は季節とは関係ないかと(苦笑)」
「最近は訳の分かんないこなたのボケをまさきくんがツッコんでくれるから楽で良いわ♪」
かがみさ~ん、俺1人じゃ捌ききれないんスけど?
加えて天然な娘が2人もいるし(汗)。
取り合えずクラスごとのバス移動になるから、最悪こなたさんのボケを俺1人で・・・まあそんときゃスルーしとくのも良いかもしれないけど。
「柊〜! もうすぐ集合時間だぞ〜!」
「あ、ゴメン。そろそろ行くから! それじゃまた後でね」
かがみさんのクラスメートの友達だろう・・・ずいぶんボーイッシュな娘のようだけどその娘の隣にもう1人手招きしてる娘もいる。
昼食時間は席自由だからひょっとしたら一緒になるかも・・・ま た 女 子 か !!
まあそれはともかくとして校長のこれまた長〜いお言葉と生徒代表挨拶も済ませ、クラスごとのバスに分乗する。
さてどこに・・・。
「最後部座席で皆一緒に座ろーよ!」
「こなちゃん、まーくん。こっちこっち〜!」
こんな時に限って手回し早いねつかささん。
あ、みゆきさんもおいでおいでしてるし。
本当にいい友達を持ったな〜・・・胃に穴開いたりしないかね、俺?
何気に男子の目線がキツクなったりしてるんだが(汗)。
「あ〜・・・私の席、端で良いかな? 昨夜も遅かったから眠くて眠くて・・・」
「さっきまでのテンションはどこ行ったのこなたさん?」
夜更かししないこなたさんってのもあまり想像できないけど。
取り合えず全員乗った所でバスが順次出発する。
ちなみに最後部座席は5人乗り。
クラスは約40人だけどバスは大型の補助席無しで50人は乗れるから、最後部5人座れる場所を俺達で独占!
・・・ちなみに内訳は男1:女3。
並びは窓際からこなたさん、俺、みゆきさん、つかささん。
周りからの視線が生暖かい様な気がするのは・・・ハァ(涙)。
ってことでこなたさんが寝やすいように1席空けた方が良いんじゃないかと思った矢先・・・。
ポフッ☆
・・・え〜っと。
「こなたさん? 頭置くところ間違ってない?」
「ちょうどいい枕があったもんだから利用してるだけだよ〜。休憩地に付いたら起こしてネ?・・・ふぁっ」
欠伸1つかいて速攻爆睡ってか寝るの速いなおい!
しかし俺の膝の上で気持ちよさそうに眠ったこなたさんを邪険には出来ないし・・・。
「こなちゃん気持ちよさそうに寝てるね♪」
「膝枕は女の子の憧れですよね♪」
むしろ男の憧れでもあるんだがあえて言わないでおこう、うん。
幸い周囲はかなり騒がしくなってる上、前の座席で隠れているため見つかる心配はなさそうだ。
見つかったらどんな目にあうかな(汗)。
<休憩地:昼食時間>
「こなたさ〜ん、飯の時間だぞ〜」
「ふわぁ〜い・・・もうちょっと色気のある起こし方は選べなかったのまさき?」
「どんなおこs・・・いや、いい、なんでもない」
昼食を食べるために大きなS.Aに立ち寄った俺ら陵桜学園2年生。
7クラスがココで昼食(弁当持参)を食べることになる・・・さすがに全員は無理だったのだろう。
残りの6クラスのバスはもう少し先のS.Aで昼食をとる為に先行している。
「で、合流したのは良いけど、そっちの2人はかがみさんのクラスメイトでオッケー?」
今朝方見かけた初顔の2人がかがみさんと一緒にいた。
「あ、そういえば実際に会うのって始めてよね」
かがみさんの紹介により、2人は日下部みさおさん、峰岸あやのさんと判明。
俺達も簡単な自己紹介を済ませ、どうせなら一緒に、ということでテーブル席に移動する。
「
「いやいや、
『・・・・・・』
・・・なんか沈黙が重いぞ。
「柊はアタシのクラスメートだからウチのだ!」
「いやいやかがみはしょっちゅうウチのクラスに来てるしいつも一緒だからウチのだよ〜♪」
「マテコラ、あんた達何言ってんのよ・・・(汗)」
取り合えず2人の微笑ましい(?)やり取りはまだまだ続きそうだ。
「アホらし・・・」
「柊ちゃん、人気者ね♪」
「ひょっとしてかがみさんって一部の生徒のアイドルとか?」
「んな訳あるか! 大体女子に所有権主張されても嬉しくないわよっ!」
特殊な趣向の持ち主だったらどうしようと思ってたのだが問題ないようだ。
「だったらお姉ちゃん、男の子だったら良いの?」
「この中で男性の方と言えば・・・」
「そうなんだ・・・柊ちゃん、お昼になったらしょっちゅう他のクラスに行くのは・・・」
「マテ、そういう訳じゃない! たまたまよ! た・ま・た・ま!」
取り合えず真っ赤な顔で全力否定されるのはもうお約束だからなんとも思わないけどね。
ついでに言わせてもらうと『たまたま』がほぼ毎日ってのはどうなんだろう?
「何〜、柊には既に彼氏がいるだと〜!?」
『誰もそんなこと言っとらんわ!!』
でかい声でそんなこと言うな!
最近ようやく落ち着いてきたのにまた要らん誤解が蔓延したらどうする!?
「そうだよ。かがみんは私の嫁だよ!」
「アンタはもう黙ってコロネでも食ってろ!」
取り合えず興奮した日下部さんを峰岸さんが宥めてようやく落ち着いて昼食を食べる事となった。
が、静かに食べる訳もなく、女の子同士の語り合いの場に・・・あれ?
俺、かなり浮いてね?
そして話は自分の夢と言うか、やりたいことが話題になった所のようで・・・。
「峰岸さんは将来何になりたいの?」
「え? 私は・・・その・・・『お嫁さん』・・・カナ?」
峰岸さんは俗に言う『永久就職』と言うヤツか。
「ちなみに、あやのの場合はわりと具体的な話だぞ〜?」
『・・・・・・』
具体的か・・・う、羨ましくなんてないぞコンチクショウ。
そしてクラスメイト3人が大人しく聞いてたと思ったら・・・。
『ぜひ詳しく!!』
「え、ええ!?」
「本っ当にわかりやすい奴らだな〜。私も気持ちは分かるけどさ・・・」
まったくだ。
てか女の子ってこういう話題好きだよな〜。
取り合えず俺は傍観者に徹することにする。
「相手はどんな人!?」
「えっとみさちゃんのお兄さん・・・」
「つまり順調に行けばあやのはアタシの義理の姉貴になるんだよな♪」
「もう、みさちゃん!」
「どんな所が好きになったの〜?」
「・・・優しいところ、とか」
「好きになったきっかけとかはあるんですか?」
「・・・自然に、その、好きになった、というか・・・」
おお、峰岸さんがどんどん俯いていくぞ・・・顔を真っ赤にしながら。
つーかその辺にしてやんないと峰岸さん、オーバヒートしかねないんだが。
まぁ俺が止めるのは非常に難しいのでツッコミはかがみさんに・・・。
「ちなみに、峰岸は彼氏とどこまで進んじゃってるのかな〜?」
「柊ちゃんまで・・・はぅ〜・・・」
かがみさん、あんたもか!
とまあこんな感じで峰岸さん弄りをしてる内に昼食時間は終了。
それぞれのバスに戻っていくのであった。
<高速道路:車内>
その後バス車内で目的地(今日は宿泊先のホテルに直行)に着くまでカラオケ大会になった。
まあ面白くも無いビデオを見せられるよりはよっぽどマシだ・・・こなたさんの目が輝いていたが・・・。
「泉〜。アニソンは結構入ってるみたいだから安心しときや♪」
「ならば不肖泉こなた、歌わせていただきます!」
こなたさんってこういう時は積極的に行動するんだなぁ。
それだけの情熱をもう少し勉学に・・・言っても無駄か。
「泉こなた、いっきま〜す!」
『わぁぁぁぁぁぁ!!』
さすがにテンション高いな、ノリノリじゃん皆してってか高速走ってるのに席を立って前に出て大丈夫なのか(汗)?
そう思ってるうちに曲が流れてくる。
「♪~~~♪」
・・・なんか何時だったか皆でカラオケに行ったときより上手くなってね?
「♪~~~?♪」
『おぉぉぉぉぉ!』
「泉さんって何気に歌上手〜!」
「あ~りがと~♪」
盛り上がりの余韻を過ぎぬまま戻ってくる。
「いや〜、バイトの時に人前でよく歌うから慣れちゃったんだよね。」
なるほど・・・やるのはコスプレ、接客以外にもあるのか。
『流石にこんな大勢の前では歌ったことないけどね~』と言いつつ・・・。
「ハイ次まさきね♪」
「なんで!?」
いきなりお鉢が回ってきたと思ったら・・・車内の空気が変わった!?
「赤井が音痴だと思うヤツ挙手」
なんていきなり
「・・・俺って(汗)?」
「取り合えず君の魂のシャウトを聞かせてあげればいいのだよ♪」
「まーくんがんばってね♪」
「まさきさんなら大丈夫ですよ♪」
こいつらはこいつらで
ええぃもう何とでもなれ!
『・・・・・・』
「赤井、コレもひとつの試練やと思って、気張っていきや!」
先生、この状況楽しんでません?
ため息1つ付いて・・・俺なりに真面目に歌ってみますか。
「♪~~~♪」
『微妙に古!?』
おお、ものの見事に男子全員ハモッとる。
で、歌い終わった後マイクを先生に渡して席に戻る途中、何故か男子からの視線が微妙に変わったような気がするんだが、はて?
「男子全員ものの見事に意表を突かれた! みたいな顔してるね。しかも結構上手いし」
「ん〜、聞いたことあるような無いような・・・?」
「確か今のは『G○t Wi○d』ですよね。私も小さい時に何回か聞いたことがあります。沢山の歌手がカバーしたことがある有名な曲ですよ」
ちなみに俺はアニメ再放送で憶えたクチである。
こうして夕方には無事に本日の目的地である京都に到着した。
クラスが、というか人数が多いのでいくつかのホテルに分かれて宿泊することになる。
2〜3班ごとと(当然ながら)男女ごとに個室があてがわれていて・・・そういやウチの班って女子はかがみさんを除くいつものメンツ+俺と白石君だったんだっけ。
「しっかし・・・赤井って何気に歌うまいな?」
「今更そこかい(汗)。レパートリーはかなり偏ってる上に下手の横好きレベルだよ」
取り合えず白石君に無難に答えておくが、数名のクラスメートが食いついてくる!
「謙遜することないんじゃない? てことは何? 偏ってるって赤井君の趣味は・・・あの歌からして泉さん方面なの?」
「こなたさん程ディープじゃないけどそんな感じかな? ただ、最近のヤツは主にロボット物とかなんだけど原作知らないんだよね〜」
「原作しらねーヤツが何で歌だけ知ってるんだよ・・・?」
「情報源は何も原作だけじゃないからね」
とまぁこんな感じでクラスメートと話をして夕飯も食べ終え、風呂に入って今日1日が終わる・・・と思ってたんだがなぁ。
「さあ同志達よ! これから桃源郷に向かおうではないか!」
『オウ!』
せめて1日を平穏に終わらせることは出来ないのか?
「コラコラ・・・やめといた方がいいよ? 先生方が見張りに立ってる上に大浴場って2階にあるし、壁でもよじ登る気?」
「赤井〜、気分が醒める事言うなよ〜。俺達は漢の浪漫を求めてだな!」
「取り合えず俺は行かないよ?」
興味がないといえば嘘になる。
が、流石に危険を犯してまで行く気にはならない。
「まぁ赤井の周りには必ず誰かいるもんな・・・」
「選り取りみどりだもんね〜・・・」
「何か納得いかねぇ・・・」
俺にとってはそっちの言い分のほうが納得いかんわい(汗)。
「取り合えず繰り返し言っておく、やめとけ。下手すりゃ地獄に真っ逆さまだよ」
「赤井・・・絶対に・・・絶対に後悔させてやるからな!」
何かそんなような事を言い残して、俺以外のこの部屋のクラスメートは部屋から出て行った。
さて、黒井先生の部屋の電話番号は何番だったかな・・・。
つづく・・・