<体育祭当日>
3年に一度の体育祭、加えて今日は雲ひとつ無い晴天!
この日は生徒の父兄も応援に駆けつける。
が、残念ながら俺の両親は仕事の都合が付かず・・・まあ別に構わないんだけどね。
実家がメチャメチャ遠いし。
そんなことはひとまず置いといて、さすがマンモス校。
生徒全員+父兄を入れると凄い人数になって、ある意味壮観である。
恒例の校長挨拶、選手宣誓を終えてそれぞれのクラスの待機場所に戻った。
形式としては学年対抗戦という形になる・・・クラス対抗にしたらどうなることやら(汗)。
「最初の競技ってなんだったかな?」
「パン食い競争だよ。いきなりかがみの見せ場だね〜」
「いきなりソレからかい!?」
他にも最初に持ってくる項目があるのでは?
まあグラウンドが広いから他の競技も併せてやってはいるが・・・。
<かがみ視点>
なんだかな〜、この高揚感。
さっきからずっとやる気というか何と言うか・・・とにかく闘志が体の中k「お姉ちゃん頑張って♪」「かがみさんがんばってください!」「スタートからブッちぎれ〜!」「むしろそのまま全部食べつくしちゃえ〜♪」・・・人がシリアスに燃えてるってのに、つかさやみゆきはいいとしてあの2人は・・・!
「こなた、まさきくん! 2人は黙ってろ!!」
「怖〜い、かがみんが怒った〜♪」
「っていうか俺も!?」
女の子に対してブッちぎれは無いでしょ!
大体あいつは最近こなたに感化されすぎなのよまったく!
でもまさきくんもアレで応援してくれてるのよね。
最近妙に胸が高鳴るこの感じが強くなってくる。
コレってもしかして・・・ってそう思ってるうちに出番がまわって来た。
ええぃ、余計なことを考えるのはヤメヤメ!
こうなったら思いっきりやるだけだ!
パァン!
絶対に1位になってやる!
「どぉりゃぁぁぁぁぁ! たあ!」
全力ダッシュと共に思いっきりジャンプして一番にパンをくわえる・・・ってあれ?
パンが・・・クリップから外れない!?
ヤバ、このままじゃ!
「ムグ〜〜〜!?」
何とか取ろうとするも口だけじゃどうにもならない!
バタ〜ン!!
結局、パンを吊り下げてる台ごとわたしは顔面から土にダイブするハメになった・・・。
<まさき視点>
「凄いなかがみさん・・・台ごと倒れてもまだパンをくわえているとは」
「さすがかがみん。食べ物が絡むと凄まじいパワーを発揮するネ」
・・・本人が聞いたら鬼神と化すぞ、こなたさん(汗)。
結局その後やり直したのだがやっぱりかがみさんがダントツ1位だった。
しかしよく食うな〜、2個目だぞあのパン。
「お姉ちゃんが1位・・・私も頑張らなきゃ!」
「次はつかささんの番ですね」
「無理だけはしないようにね」
「ドジッ子キタコレ! つかさ、期待してるよ〜♪」
「うん、がんばる!」
そういいながら出場選手の集合場所に行ったが・・・。
こなたさんは一体何に期待してるんだ?
まぁ期待というよりお約束というか、なんとなくイメージは浮かんでくるんだが・・・。
「・・・人の妹に対して言ってくれるじゃない、こ・な・た?」
取り合えずいきなり背後に現れないでくれ、かがみさん心臓に悪いから(汗)。
「お、かがみ! さっきは凄かったって何故に拳を振り上げてらっしゃるのですかかがみさん?」
「さっきの余計な一言に対する制裁」
「ちょ!? 無表情で言わないでよ返ってこwふんぎゃ!?」
こなたさん、南無。
「まさきくんもよ? まったく、こなたよりはマシだけど、女の子に対してブッちぎれは無いんじゃない?」
「ハイ。以後、気をつけます」
笑顔で言って来るが・・・凄まじいほどのオーラが漂ってきて正直怖いです(汗)。
「まぁまぁかがみさん、2人とも悪気は無いのですから・・・」
「みゆきは甘すぎ! 特にこなたには徹底的に制s「それは愛情の裏返しとも取れるよね」・・・まさきく~ん、覚悟はい〜い?」
「ステキな笑顔で握り拳はかんべんね、いや、ホントに。」
「・・・・・・」
あれ?
今の一言で大人しくなっちゃった。
いつものかがみさんなら間違いなく追撃が来そうなもんだが・・・はて?
何かこなたさんとかがみさんの2人がぼそぼそ言ってるようだが・・・っと、次はつかささんの出番だ。
<つかさ視点>
(落ち着いてタイミングを図って、左足から1・2・3で跳ぶ・・・ゆきちゃんとまーくんがせっかくアドバイスしてくれたんだし頑張らなきゃ!)
元々自分は料理以外取り柄が無いから、2人のアドバイスは凄く助かるな。
1位は無理だとしてもまーくんにはいい所を見せたいし・・・ってあれ?
(何でまーくんにって思ったんだろ?)
その疑問を抱えたまま自分の出番がまわって来る。
(いけない、集中しなきゃ。タイミング、タイミング・・・左足から1・2・3,1・2・3・・・)
「つかさ、頑張れ〜!」
「つかささん力みすぎ! もっと楽に行って楽に!」
「後はタイミングを取れれば大丈夫ですよ!」
「さあ行くのだつかさ! 他の選手に一泡吹かせるのだ〜!」
『ってますます緊張させてどうする!?』
「ほんぎゃらへ!?」
あはは、こなちゃんらしいな〜。
そっか、楽にらk「パァン!」へ?
もうスタート!?
出遅れちゃったよ〜!
(え〜っとどうすんだっけ、えっとえっと!)
出遅れた上に頭がこんがらがっちゃったよ〜!
あ、一個目のハードルを・・・。
「はにゅ!?・・・あじゃぱ~・・・」
思いっきり転んじゃった・・・。
<まさき視点>
「・・・ある意味才能かなアレは?」
「言わないで、お願いだから・・・」
見事としか思えない。
順位はビリでなお且つ・・・。
「さすがにハードルを全部なぎ倒すとは私も思わなかったよ・・・」
「・・・つかささん、ファイトです(苦笑)」
「ゴメンねゆきちゃん、まーくん。せっかくアドバイスしてくれたのに・・・」
さすがのつかささんも凹み気味である。
まああれじゃあ、ねぇ(苦笑)。
「ドンマイドンマイ、つかささんはよくがんばった・・・ってなんじゃありゃ?」
「ほえ?」
俺の目線の先には、プロの写真家が使ってそうな数台の高価そうなカメラの数々。
新聞社が取材にでも来たのか?
そんな話はあったら聞いてそうな物だけど・・・だがその考えはすぐに消え去った。
何せ見覚えのある人が写真を取りまくっていたのだから・・・。
「まぁ体育祭は生徒だけが楽しむ場所じゃないもんね」
「取り合えずどこからツッコめば良いんだろうっていうかこなたさんはなんとも思わないの、あれ・・・?」
「ツッコんだら負けよ、きっと・・・」
<こなた視点>
お昼前の最終競技。
私はついにスタートラインに立つ!
『がんばれ〜。こなた(泉)さん』
「こなちゃんファイト〜!」
「恥かくんじゃないわよ〜!」
むう、さすがツンデレ。
さりげなく辛口な言葉とは裏腹に本音じゃ無いっぽい声援に萌え!
私の嫁や婿と友人の想い、確かに受け取った!
・・・てあれ?
婿といったら該当しそうなのは・・・ゑ!?
最近たまにある、胸のチクチクした感じの正体・・・かがみん曰くギャルゲ脳で考えると・・・!
取り合えず私は目の前の、メンドイけど競技に集中しよう。
皆の応援、無駄に出来ないしそれに・・・この想い、今は本当かどうかはわからないけど。
期待には応えたい!
パァン!
その時、私は一陣の
<まさき視点>
「速ッ!?」
「不思議なことに運動は得意なのよね・・・本人はインドア派だけど」
「うわ、ダントツ1位だよ〜!」
「女子の中では運動部の人を除くと、運動神経はトップクラスなんですよ」
そういえばそんなことを言ってたような気がするがここまでとは・・・。
2位との差が1秒以上あったんじゃないかな、あのスピードは?
「ふ、私の脚力は甘くない!」
「こなちゃん、スゴイスゴイ!」
「っていうかそのちっこい体でアレだけのスピードって・・・人は見かけによらないわよね〜」
「コレがいわゆるギャップ萌えってヤツ?」
「萌えとかは言われても分からんぞ」
こなたさんの100M走の記録は遅く見ても13秒台と見た!
しかし・・・。
「いや〜、娘が出てたんですよ♪」
怪しさ全開でメチャメチャ見覚えがあるオッサンが係員に事情聴取されてるところが視界に入ってしまった・・・。
「ちなみにアレに関しては?」
「ん〜・・・本人が楽しければ良いんじゃない?」
そういう問題かなぁ・・・?
<昼休み>
・・・結局午前中は応援だけだったからなぁ。
午後イチからはいっちょ、頑張りますか!
「まさきさんはお昼の後すぐですよね」
「200M走だったよね? がんばってね♪」
「おう! こなたさん達のやる気も見たし、情けない結果にはならない様にしないとね」
「あたしは取り合えず突っ走ってただけなんだけどね〜」
「いきなり人のやる気を削ぐようなこと言うなよアンタは・・・」
昼食はそれぞれ持ち寄って、たまにおかずを交換して、そんないつもの昼食中・・・。
「はなせ! 私の娘がピンチなんだ!」
「どう見ても昼食を一緒に食べてるだけでしょう。そんなことより、異常な枚数の写真を取ってましたね? ちょっとコッチまで来てもらいましょうか。」
「ゑ? ちょっと待て! まだ全然とりたりn・・・!」
ずるずると教師2人掛かりで連行っていうか引きずられて行くおっさんがいたのは・・・本人の娘が無視を決め込んでる事もあり、取り合えず黙っておこう。
昼食も終わり、さっそく自分の競技に参加するために移動する。
で、移動したのは良いけど・・・。
何か視線が・・・ってこなたさんの父!?
強制送還するわけには行かなかったのか、元の位置で再びカメラを構えてる・・・こりない人だなぁ。
なんかメチャメチャ殺気立ってるって言うか睨んでる・・・俺を。
俺、何か恨まれるようなことしたっけ・・・?
取り合えず気にしないでおこうと思う中でも競技は順調に進んで行き、自分の番がまわって来る。
ひとまず考え込んでないで、目の前のことに集中集中!
パァン!
スタミナ配分は考えず、初速からスピード全開!
ただ全力でゴールを目指すのみ!
今のところ俺がトップだが、油断はできない。
すぐ後・・・2名ほどか、いつでも俺を抜けそうな距離を保ってる選手がいるのが気配と足音で分かる。
そして半分が過ぎた頃、後の2人が仕掛けてきた!
だが、あっさりとトップを譲るつもりは無い。
そんな時・・・。
『まさき(くん、さん)がんばれ〜!』
「まーくんファイト!」
「まさきのリミッターの解除を要請! 発動、承認! プログラム、ドラ〜イブ!」
声援が聞こえてくる・・・こなたさんは相変わらずだが(笑)。
だけど不思議と力が湧いてくるのを感じる・・・残り目算で約50M!
皆の応援、絶対無駄にするもんか!
「スゴ〜イ! スゴイよまーくん! 最後の方で一気に引き離しちゃうんだもん!」
「まさきくんって陸上でもやってたの? 流石にあそこから更に加速するなんて、普通はありえないわよ」
「はぁ・・・はぁ・・・。ま、火事場の、馬鹿力、って、ことで・・・」
息を整えながら戻ると賞賛の嵐だった。
皆の声援が聞こえたから、なんて言えない。
言えるもんかい、はずかしくて。
「でも本当にお見事でしたよ」
「分かってないな〜。私達の愛情込めたsってあだだだだ!?」
「取り合えず、応援ありがとう・・・でも、こなたさんは・・・もうそろそろ、少し頭を・・・冷やそうか?」
「ひぎゃ〜!? 応援したのに管理局の白い魔王は勘弁って痛い痛い痛い!」
「・・・アンタのアレは違うと思うぞ。」
息を整えつつもこなたさんに対し、両の拳で頭を挟み込むようにグリグリ(通称ウメボシ)をお見舞いしておく。
とりあえずそれなりに反省はしてる様なのでこなたさんを開放してやった。
その後、競技は滞りなく進行していった。
学年ごとの得点はほぼ横ばい。
2学年が頭1つ飛び出してるが、まだ油断は出来ない。
そんな状態で迎えた最終競技、学年対抗4×100Mリレー。
クラスが多いために各クラス代表者が1人ずつ、それぞれ参加することになっている。
ちなみに最終リレーのみ、人数あわせのため(13クラス÷4人=3回、余り1クラス)走者が1人多くなり、5×100Mリレーになる。
<みゆき視点>
はぅ〜、リレー1組目のアンカーに選ばれていたのをすっかり忘れていました!
今更ながら私で本当に良いんでしょうか?
皆さんには『何でも出来る』なんて評価していただいてますけど、私なんてまだまだ・・・。
でも・・・。
「おお! みゆきさんがアンカーか!」
「ゆきちゃんがんばって〜♪」
「結果なんか気にしちゃダメよ〜!」
「今持ってる
ああやって応援してくださってくれる皆さんのためにも、私、頑張ります!
そうして私の心の中で決意してる頃、まさきさんが泉さんとかがみさんにからかわれてますね、ふふふ♪
ああやって気軽に、わけ隔てなく話が出来て、笑い合える・・・
でも・・・もう少し、もうちょっと先へ・・・というのは我侭でしょうか?
この心の奥にある『想い』は、決して偽りのものではない。
本物の『想い』だと信じたい。
そしてこなたさん、かがみさん、つかささんもその『想い』はきっと同じ。
だけど今は・・・!
「高良さん!」
「はいっ!」
まさきさんの言うように、
私はバトンを受け取りました。
トップとの差は私の足で追いつけるかどうかくらい・・・いえ、絶対に、追い越して見せます!
<まさき視点>
「おお! みゆきさんもかなり気合はいって・・・てか速いね」
みゆきさんは明らかに・・・こなたさんほどとは言わないけどかなり足が速い。
トップとの差がどんどん縮まっていく!
「みゆきさんがんばれ〜!」
「いけるいける! もう一息だよ!」
「がんばれゆきちゃ〜ん!」
「ココまで来るとかなり微妙な差ね・・・がんばれみゆき!」
『おお!』
トップの選手に並んだ!
そしてゴールテープを先に切ったのは・・・!
<体育祭終了後:通学路>
「今日は中々盛り上がったよね」
「ホントだよね~。つかさもお約束を地で行ってたし♪」
下校途中、話題はもちろん今日の体育祭のこと。
「こなちゃ〜ん、もう言わないでよぅ・・・」
「こ〜な〜た? あんまり人の妹を困らせないでくれる?」
「きゃ〜、怖いお姉ちゃんに襲われるぅ〜♪」
「ああもう! 1発殴らせろ〜!!」
2人はもうスルーでいいだろ。
あのじゃれ合いもいつもの事だし・・・。
「でもみゆきさんの最後の走り、本当に凄かったよ。ギリギリで1位取っちゃうし」
「いえ、あれは・・・皆さんのご声援もありましたから・・・」
あ、少し赤くなってる。
かなりの僅差ではあったが、みゆきさんがわずかに速くゴールテープを切っていたのだからまたスゴイ。
中々あんな展開は見れないぞ?
そのお陰で勢いがついた2年生がリレー全制覇して総合優勝出来たんじゃないかな。
「まさき〜、助けて〜♪」
「ハイ、かがみさん」
「てちょっ!?」
助けを求めてきたこなたさんを即時かがみさんに引き渡す。
これもある意味いつもの光景だ。
「アリガトまさきくん。さ〜てこなた、覚悟はいいかしら♪」
「まさきの裏切り者〜! てかがみん笑顔でその拳骨は・・・アッー!」
その後、いつもの駅でみゆきさんやこなたさんと別れ、いつもの3人で帰路につく。
「ねぇまーくん。まーくんって何であんなに速いの?」
「あ、私も気になってた。スタートから十分速かったけど、あれでも温存してたの?」
話題が尽きない中、姉妹がそろって聞いてくる。
別に温存してた訳じゃないんだけどね。
今は運動部には入ってないし。
「ん〜、毎朝走ってるから体力にはそれなりに自信があったし、こっち来る前は一応運動部に入ってたからそのお陰・・・かな?」
「そういえばいつだったかそんなことも言ってたわね」
「私も毎朝ランニングしてたらちょっとは違ったのかな・・・?」
「人それぞれって言うか、最終的には本人のやる気次第だと思うけどね。ちなみに俺は朝5時半から毎日欠かさずランニングしてるよ」
もっとも、俺の場合はバイトや車の往来の関係上、念を置いて交通量の少ない早朝にやっているだけだ。
「まぁ、さすがに悪天候の時は控えてるけどね」
『・・・・・・』
「・・・・・・?」
2人とも何やら黙り込んでしまった・・・というか考え込んでるようだけど・・・?
<翌日:早朝>
俺が
「おはよ、まさきくん!」
「おふぁよ〜、ま〜くん」
待ってましたと言わんばかりのかがみさんと、明らかに眠そうなつかささんがアパート前にスポーツウェアを着て立っていました(汗)。
無理したらかえって逆効果なんだが・・・。
取り合えずやる気になってる様だから、しばらくの間は2人のペースにあわせる様にしようかな?
つづく・・・
こちらに引越す上で前後編に分けていたこの話を一つにまとめました。
にじファンで読んでた人によっては長いと感じるかもしれませんが、前編後編共に文章量がかなり短かったので・・・。