らき☆すた~if~ たとえばこんな物語   作:岡崎ひでき

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第九話 開戦後混戦! そしてこの世の生き地獄へ・・・

<客室>

 

 

 

「女性の入浴ってやっぱり長いな〜」

 

先に客室に戻った俺は、人数分の布団を敷いて先生達が戻るのを待つことにした。

先程とは違い、静かな部屋で(俺しかいないからだが)椅子に腰掛けてのんびりくつろいでいる。

年寄りじみてるなんて言わないように。

夜景を眺めるのも結構悪くないぞ?

真っ暗な海しか見えないがタマにキズだが・・・。

 

「・・・飲みに付き合わされるなんてことは無いよな、いくらなんでも」

 

いや、あの2人ならやりかねんか(汗)。

そんなことを考えてると・・・。

 

ガチャ

 

ノックも無しにいきなり誰かが入ってきた。

先生達が戻ってきたのかと思い入り口を見るとそこにいたのはこなたさんとかがみさん。

 

「あんたねぇ、いきなり開けるな。ノックくらいしろ!」

「中にいるのまさきだけだって分かってるから問題ナイナイ。そんな訳でまさき〜、拉致しに来たよ〜♪」

「まぁなんとなく来るんじゃないかな〜とは思ってたけどね・・・って拉致?」

「そうそう、私達の部屋に拉致させてもらうよ♪」

 

何を始めるつもりだいったい・・・?

 

「こなたの言い方は置いといて、ここにいると先生と成実さんがまだ飲むって言ってたから、しばらくは寝れないわよ?」

「ヘタすりゃ明日の朝はまさき含めて3人、二日酔いの可能性があるからね〜」

 

さすがに絡まれるのは勘弁願いたい。

 

「まあそれは予想はつくけど・・・何を始める気?」

「もちろん秘密♪ つかさとみゆきさんももうすぐ戻ってくるからその時に教えるよ」

 

まぁ後で分かるならいいか、と単純に俺は考えてた。

 

この事を後で激しく後悔するハメになるのだが・・・。

 

やがて先生達と一緒につかささんたちが戻ってきたということで、こなたさんに引っ張られてこなたさん達の部屋へ。

 

「で、何をする『ボフッ』・・・」

「みんなでお泊りの時の定番っていったら♪」

「やっぱりこれですよね♪」

 

ちなみに今のはつかささんの不意打ち・・・あ、みゆきさんが次弾装填(まくらじゅんび)してる。

2人揃ってまだ顔を赤らめてるが・・・まぁ温泉に入ったからということにしておこう、うん。

ま、そういうことなら受けて立つのが男というもの!

 

「やったなk『ボフッ』・・・・・・」

「ふ、敵は2人だけではないのだよ♪」

「ま、男の子なんだし、ちょうどいいハンデよねぇ♪」

 

1対4か・・・いいだろう・・・。

 

「上等だ、纏めてかかってこ〜い!」

 

俺は足元に落ちてる枕を片っ端から投げつけてやった!

 

「うぉ!? まさきがキレた!」

「はっはっは、何言ってるのかなこなたさん、俺は通常の50%しか力を出してないんだぜ♪」

「どう考えても嘘でしょそ『ボフッ』・・・こなた・・・?」

「いや〜、スキだらけだったんでつい」

「つい、で味方を撃ってどうすんのよアンタってヤツは〜!」

 

早くも仲間割れしてる凹凸コンビだった。

かがみさんも1対1じゃかなり強いなアレ。

 

「え〜っと・・・押入れの中の枕、コレで全部かな?」

「そのようですね」

 

つかささんとみゆきさんはなにやら結構な量の枕を・・・ってこの部屋って何人部屋だっけ(汗)。

だが利用しない手はないよな♪

2つほど拾って、

 

「てい!」

『ひゃあ!?』

 

ボフッボフッ・・・と2人に命中させてみる。

 

「やったな〜! えぇい!」

「踏み込みが足りん!」

 

非力なつかささんが投げても残念ながら威力は無い。

それをキャッチして投げ返そうと狙いを絞るも・・・。

 

「まだです! やぁっ!」

「見える、そこ!」

 

みゆきさんが投げてきたのでみゆきさんにカウンターとして投じた。

ところが・・・。

 

ボフッ!

 

「あ・・・」

 

あたったのはかがみさんの後頭部。

みゆきさんが素早い反応で俺の枕をかわしたのは良かったのだが、外れた枕がかがみさんに当たってしまった。

 

「・・・・・・」

「ふう、ようやく開放されたよ〜」

 

そんな能天気なこなたさんとは裏腹にかがみさんが静かにこちらを振り返る。

はっきり言ってめちゃめちゃ怖い(汗)。

 

「お〜ま〜え〜か〜!? あたしにぶつけたのは!」

「いや枕投げってそんなモンでしょってうおぉぉぉぉぉ!?」

 

俺がぶつけたと知った瞬間凄まじい勢いで枕を放ってくる!

 

「おとなしく当たっときなさ〜い!」

「だが断る!」

 

いつの間にか俺とかがみさんの一騎打ちになっていた。

飛んでくる枕をかわすか枕で叩き落す。

頭に血が昇ってるせいか、投げるのは速いけど狙いが甘いのでかわすのは簡単だ。

が・・・。

 

(なんで枕が止まらないんだよ!?)

 

投げるスピードは落ち始めているものの、まるっきり投げてくる量が減ってない。

 

「はい、こなちゃん♪」

「サンキュ〜、つかさ♪」

「まさきさんの分もちゃんと用意してますよ♪」

「原因はお前らかコンチクショウ!」

 

理由は何てことはない、外した枕をこなたさん達が回収して分配してたのだ。

このままじゃ埒が明かない。

勢いも少し落ちてきている・・・ならばここは多少強引にでも反撃あるのみ!

 

「こうなりゃ奥義・エター○ルスローだ! それそれそれそれっ!」

「何よエター○ルスローって! うわあぶな! 負けるモンですか!」

「お姉ちゃんがんばって♪」

「私はまさきさんを応援しますね♪」

「むう、ならば私がレフェリーを『ボフッ』・・・ぶったね!? 親父にもぶたれたことないのに・・・そんな大人、修正してやる〜!」

 

流れ弾に当たったこなたさんの参戦を確認!

って言うかさっきかがみさんから大量に食らってた上に正しくはぶつけただろうさらに修正ってあんたはどっかのニュータイプかそもそもこの場に大人は居ないぞと色々ツッコミを入れたいがそんな余裕はない!

 

「遅い! 遅いぞエピ○ン! ヤツの反応速度を超えろ!」

「ウ○ングゼロ! 私に勝利を見せてくれ!」

「なんか2人のキャラが違うような・・・っと! 簡単には当たってやらないわよ!」

 

途中からつかささんとみゆきさんも巻き込んで敵も味方もない大乱闘!

部屋中に枕が飛び交う中、皆の表情は終始笑顔だった。

 

結局レフェリーがいない(そもそもルールすらない)枕投げは夜遅くまで続いた。

 

「いい加減日付変わる時間だから部屋に戻らんと・・・」

「まぁ・・・これ以上はこなた以外は明日に差し支えるわよね」

「かがみ~、それってどういう意味かな? かな?」

 

とりあえずこの場は引き分けと相成った。

なんか不毛な会話をしてるようだがとりあえず「おやすみ!」と一声かけて隣の部屋に戻る。

しかし・・・。

 

「何で鍵閉めておくかな・・・」

 

まだ俺が戻ってないのにもかかわらずしっかり鍵がかかってたりする。

ためしにインターホンを押してノックもしてみたが何の反応もない・・・。

もう酔いつぶれたのか酔いのせいで気づいてないのか?

さて、どうしたものか。

 

「むっふっふ・・・お困りのようですネまさきクン?」

「・・・どっから湧いてきたの? こなたさん」

「酷いな〜、せっかく解決策を持ってきたのに・・・」

 

含み笑いをしてる時のこなたさんは大抵何か企んでる事が多いため、油断は出来ない。

 

「・・・で、解決策ってのは?」

 

単純にフロントに行って合鍵で開けてもらうしかないような気がするが。

 

「簡単だよ。私に着いて来たまへ〜♪」

 

そういってこなたさんは歩き出す・・・自分達の客室へ。

 

「あ、お帰り」

「すべては私達のシナリオ通りだよ♪」

「・・・こなたさんはいつ特務機関指令になったの?」

 

ていうかわずかな時間しかたってないのに布団が1人分増えてる。

なんとなく解決策とやらが解かって来たが何だか話を聞いてるとこうなることを既に・・・。

 

「皆揃って予想してたってこと?」

「そのと〜り! ていうかやっぱりシナリオ通り?」

 

疑問を疑問で返されるのもアレだが、俺は思わず頭を抱えた。

 

「俺がここで寝るのはかなり問題あるんじゃ・・・?」

「心配ありませんよ。先にお風呂に入ってた時に、先生から承諾を頂きましたから♪」

 

全員揃って確信犯かい!?

それ以前にあっさり許可出すなよ保護者!

っていうかこうなることを知らなかったのは俺だけ・・・?

 

「そんなわけでまーくんの寝床はここだよ♪」

 

と、つかささんがポンポンと布団をたたく。

 

「俺、押入れで寝るわ」

 

冗談じゃない、こんな状況じゃ絶対に落ち着いて寝れん。

てか皆して無防備すぎるだろいくらなんでも。

 

「ちょ!? 何どこぞの猫型っぽいロボットのような寝床選んでるの!?」

「私たち、まさきさんなら大丈夫と判断して承諾したんですよ?」

「わ、私はあんたがどこで寝ようと気にしないわよ!」

「まーくん、私たちと一緒じゃイヤ?」

「ぐぁ・・・」

 

さすがに断りにくくなってきた(汗)。

・・・明日は朝一番で冷水でも浴びるかな。

 

 

 

<翌朝6:00>

 

 

 

「やっぱり眠れなかった・・・」

 

あの後何故か俺を中心にそれぞれの布団に入ったのだが・・・。

 

(右にはみゆきさん、左にはこなたさん・・・位置的に頭の上に柊姉妹。どうしろと?)

 

しかも何だか微妙に近い位置で寝てるような(汗)。

・・・メモ残して朝風呂にでも入ってこよう。

タオルは風呂場に予備があったはずだからそれを使えばいい。

そう考えつつ外に出ようとすると・・・。

 

「ふわぁ・・・あれ? まさき、どっかいくの?」

 

ありゃ、こなたさんが起きてしまったか。

 

「おはよう、こなたさん。ちょっと朝風呂に入ってこようと思ってね。鍵は念のためかけておくから鍵は持っていくつもりだけど」

 

他の三人がまだ寝てるから一応小声で話す。

 

「そっか・・・なら私も一緒に行こうかな?」

 

そういってこなたさんが起き上がる・・・て!

グキッと音がなるくらいの勢いで首を回転させる。

 

「どしたのまさき?」

「・・・表で待ってるからさっさと準備して来てくれ」

 

寝起きは普通恥ずかしがるもんじゃないのか?

思いっきり浴衣が乱れてて・・・イカンイカン。

速攻で表に出て待つことにした。

 

「おまたへ〜!」

 

待つこと5分。

普段着に着替えたこなたさんと並んで大浴場に向かう・・・微妙に頬を染めてるのは気のせいだと思いたい。

 

「ふぁ・・・」

「おや、あんまり眠れなかったのかね?」

「おかげさまで一睡も出来てないよ・・・」

「あはは♪ まぁそうだろうね。私達は特に気にしてないからあっさり眠れたけど」

 

いや、気にしろよ(汗)。

てかそこまで言われるほど信頼されるようなことしたっけ俺?

 

「やっぱまさきはギャルゲーの主人公だよね♪」

「撤回してくれ頼むから・・・」

 

 

 

<大浴場入口>

 

 

 

「やっぱこなたさんも女の子なんだな・・・」

 

軽く体を洗って少し暖まってシャワーを浴びて。

10分程度で俺は出てきたがこなたさんはまだしばらくかかるようだ。

とりあえず気長に待つこと数分後。

 

「ふ〜、いいお湯じゃったわい♪」

「お前いくつだ・・・」

 

温泉から出てきて開口一番言うことがソレかい。

 

「いやいや、風呂はいいよね〜。風呂はリリンが生んだ文化の極みだよ。君もそう思わんかねまさき君♪」

「そのセリフ、昨夜俺自身も言ったような気がするわ・・・」

 

とりあえず先生達は起きてるかな?

 

「先生達が起きてるようなら戻るからね?」

「あいよ〜・・・2人揃って二日酔いに苦しんでるかもだけど」

 

笑えない冗談だなそれ。

インターホン押して確認してみるか。

 

♪ピンポ〜ン♪

 

どこに行ってもこの音は変わらないんだろうなぁとどうでもいいことを考えながらインターホンを押す。

 

・・・ガチャ。

 

「お、赤井君おはよ〜♪ 昨夜は楽しかったかい?」

「ええ、枕投げが最高に楽しかったっすよ?」

「むう、思ってたより冷静だね・・・慌てふためくかと思ったけど」

「・・・単純に頭が回らないだけですよ」

 

あんな状況で普通に寝れるやつなんてそう居ないだろう。

それより・・・。

 

「昨夜は何時まで飲んでたんです?」

「ん〜・・・日付変わった後かな?」

「日付変わる前に俺こっちに戻ろうとしたんですけど」

「まぁまぁ、気にしちゃダメだよ♪」

 

部屋の中にはまだ豪快にイビキをかいて眠ってる黒井先生と、結構な量の空き缶や空き瓶が・・・。

成実さんは二日酔いにはなってなさそうだが・・・あんたら保護者でしょ一応(汗)。

 

 

 

<大広間>

 

 

 

朝食はバイキング形式。

皆でわいわいしながら朝食食べるのも結構楽しい。

 

「こういう時ってバイキング形式だとありがたいよね♪」

「そうですね。食べる量を自分で決められますし、私は少食なので助かります」

 

つかささんにみゆきさんは朝はあまり食べないようだ。

 

「なによ?」

「いやなんでもない」

 

俺とかがみさんは結構な量を食べてたりする。

それでもかがみさんは俺より少ないが。

 

「まさき〜・・・さすがに食べすぎなんじゃないの?」

「男はこれくらいが普通だぞ?」

 

茶碗が小さめだからというのもあるけど育ち盛りだしね。

そう言って俺はご飯のお代わりをすでに3回している。

自分の家では面倒だからと、かなり手抜きな上に1人暮らしと言うこともあり、味気無い朝食でさっさと済ませているが、こういう時はしっかり食べる。

やっぱり友人や家族と食べる食事は1人で食べるより美味しいし、楽しいものだ。

でもちょっと食い過ぎたかも。

 

朝食を終えた俺たちは各部屋に戻り海水浴のために準備を始めた。

 

 

 

つづく・・・


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