ポケットでモンスターな世界にて   作:生姜

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Θ50 VSゲンジ

 

 

 そんなこんなで、やってきました最終日。

 

 

『うぉおす! 始まりますよぅ、ホウエン地方ポケモンリーグ開幕前哨特別試合決勝戦! こんな長くて面倒なネーミングを一体全体誰がつけたのですかぁっ!!』

 

『それは決勝まで来てからツッコむポイントじゃあないと思うな。さて。本日はわたしことアオイもアナウンス席に着かせていただきまして、クルミちゃんと共に解説を担当させてもらいまーす!』

 

『アオイちゃんは、昨日まで第2闘技場での出し物を担当してくれてましたぁ。合流した本日は、解説に期待してくれて良いですよぅ!』

 

『……クルミはクルミで、レベルが高い実況だったと思うけどね?』

 

 

 既に慣れてきた闘技場の真ん中でひとつ、足を踏み鳴らしてみる。

 しかし足音は2人の実況トークによって盛り上げられた歓声に飲み込まれ、俺の中にしか響かない。骨伝導というヤツだ。

 

「(しっかし、やっぱりあのアオイだったか)」

 

 HGSSにおいて、コガネでラジオ番組を担当していたパーソナリティである。うーん、ゲームでは固有グラフィックはなかったからなぁ。気付くのが遅れたか。

 ……そして、もう1人のアナウンスが同じくHGSSにおける人気パーソナリティ・クルミだったことには吃驚していない。何となく予想は付いてたし! 話し方とかな!

 

 

『さてさて、最終日のショウ君のお相手はゲンジさん! ホウエン地方バトルクラブのナンバー1であるゲンジさんは最近学会で話題となっている新タイプ、ドラゴンタイプを得意としているトレーナーでーす!』

 

『おぉう……真面目さんですねぇアオイちゃん……』

 

『このくらいは貴女も解説していたでしょー、クルミ』

 

『そうでしたっけ。今日のわたしは、はっちゃけますけどねぇ!』

 

『それは通常運転でしょう?』

 

『な、ならばわたしにどうしろと言うのですかぁッ!?』

 

『とりあえず、本日もルール解説行きますよー!』

 

 

 いやはや。結果としてこないだの「ブレーキ役が必要なんじゃないだろうか」っていう脳内無駄提案が、何故か世界に了承されたらしい。現実的には、第2闘技場のアナウンサーが今日は仕事が無いから合流したというだけなんだけれども。

 

 さて、そんな無駄思考は置いといて。対面側のトレーナー位置から、件のゲンジさんが此方へと歩み寄って来ているのだ。

 その外見は船長っぽい帽子に長いコート。口元には白髭を生やしたナイスなオヤジである。

 

「(うぅん、ダンディズム溢るるお人だ)」

 

 目の前のゲンジさんは原作よりか、若干若く見えている。そのせいもあってか、爺さんというよりはオヤジと言った方がしっくり来るんだよなぁこれが。

 そのまま目の前まで歩いてきて、歓声にかき消されず声の聞こえる距離になってから口を開く。

 

 

「少年」

 

「はい」

 

「……体調は? 壮健か?」

 

「あ、そうですね。だいじょぶです。御心配お掛けして申し訳ありませんでした。あと、お見舞いありがとうございます」

 

「……大丈夫ならよい。さて」

 

 

 おおう。ゲンジ、いいオヤジだな。

 

 

「このわしに挑んでくるのならばそれ相応の覚悟でもって挑むといい。ポケモンと一緒に戦うという事がなんたるかを教えてやろう。……もしお前が既に分かっているとするならば、わしに勝つことも出来るだろう?」

 

「はい。……では、全力を持って」

「ふん、当然だな。ワシもことバトルにおいては手を抜かん」

 

 

 それだけを伝えてゲンジさんは、向こう側へと戻って行った。

 

 

『――というルールだからね。流石にこの最終日に会場にいる人たちは皆、分かってるって気もするけど!』

 

『判り易い! 判り易いですよぅアオイちゃん!』

 

『いやいや。結構メジャーなルールだよ。悲しい事に、わたしの解説が特別に理解し易いという訳じゃあないんだなー、これが!』

 

『アオイちゃん、謙虚ッ!!』

 

『だけどこれ、事実なのよねッ!!』

 

 

 なんぞこれ。よりにもよって最終戦のアナウンスが最も色物な気がっ!

 ……まぁ、別にいいけどさ。何度も言うが、嫌いじゃないし。

 そんな風に考えつつ出来た間で、本日も快晴な闘技場の空やら、俺が現在立っている中心からすり鉢状に広がっている満員の観客席やらを眺める。うーん、改めて見てみると凄い人数だよなぁ。

 

 

「なら、こんだけの人に見てもらってるってのに無様なバトルは出来ないよな、皆?」

 

 ――《カタ、カタカタカタカタッ!》

 

「うっし、そんなら勝ちに行くか!」

 

 

 なにせ、今日がここまで続いた試合の最終戦である。全勝で来てしまったからには、勝ちに行きたいのが人心というものだろう。少なくとも勝って悪いものじゃあないと思うしな!

 

 

『さぁて、わたしとアオイちゃんの仲が良いのは十二分に伝わったとは思うのですがぁ』

 

『試合開始の時間が迫ってきましたから、開始したいと思いますよー。お2人とも、位置についてくださーい!』

 

 

 今までこちらを置いてけぼりにしていたアナウンスが開始を促すが、しかし。俺にしろゲンジさんにしろ、既に位置についているのだからして。んー、とりあえずアピールしとくか。

 

 

「あー、もう位置に着いてます! 始めちゃって良いですよー」

 

「……」

 

『ぅぉぅ。ショウ選手に手を振られちゃいましたよ、アオイちゃん。振り返しておきましょうかぁ』

 

『はーい、わたし達がグダグダやっている内に位置についてくれていた様で、ありがとうございまーす!! ではでは!』

 

『ポケモンバトル、』

 

『レディー、』

 

『『ファイトです(ぅ/ー)!』』

 

 

 ――《《ワァアアッ!!》》

 

 

 一斉に上がる歓声の中で腰からボールをとり、それじゃあ行きますかぁ!

 

 

「頼んだ、ピジョン!」

 

「ピィ、ジョッ!」

 

「さぁ始まるぞ、チルタリス!」

 

「チルルゥ!」

 

 

 闘技場に繰り出される、ピジョンとチルタリス。チルタリスはモコモコとした雲のような翼を羽ばたかせてボールから出た後の体制を整えているけど、こちらは通常運転だ! 『たつまき』で!

 

 

「ピ、ジョッ!」

 

 《ゴウッ!》

 

「チルタリス、攻撃に当たってからで良い! 高速移動!」

 

「チ、……ルゥッ!」

 

 

『おおっと、ピジョンがいつもの通り素早い先制攻撃を仕掛けましたが……ゲンジさんのチルタリスはそれに動じず、空を華麗に舞っております!』

 

『ピジョンのあれは今度こそ、風起こし……じゃあないですよねぇ。見た目的には、竜巻ってカンジですよぅ!』

 

 

「ピジョン、もいちど!」

 

「ピジョ、ジョッ!」 

 

 ――《ゴウッ!!》

 

「まだだチルタリス、耐えてもう1度だ!」

 

「チル、チル、タッ!」

 

 

 ……あれ、これはやばいか。俺は今、見事に積まれてるよな!

 ゲームだったらここから全抜き……は、ないか。チルタリスだし。だがしかし、これは手を打たなければならないだろう。

 

「(でもなぁ。ピジョンでチルタリスを倒しきるには、攻撃力が不足か)」

 

 『たつまき』はドラゴンタイプにつきチルタリスには効果抜群だけど、威力は低めの技だ。ゲンジさんの声掛けは非常に上手く、チルタリスを焦らせない効果を伴っており……こちらの目論見、「ひるみ狙い」が看破されているのかも知れないなぁ。

 となれば、作戦変更だ。

 

 

「……ピジョン! (フェザーダンス!)」

 

「ピジョ……ピ、ピ、ジョッ!」

 

「……ここだ! 切り返して、竜のツメッ!」

 

「チル――」

 

『ああっと、チルタリスが空高く飛び上がり……』

 

「――タァァッ!」

 

『ピジョンに向かって急降下ぁッ! ですぅ!』

 

 

 高空を飛んでいたピジョンに向かって、より高い位置から繰り出される『ドラゴンクロー』。

 ……耐えてくれ!

 

 

「ピジョォ、」

 

 《バサバサッ!》

 

「――タァァ、リスッ!」

 

 ――《ズザンッ!》

 

「ジョォッ!!」

 

 

 ――《《ワァアアッ!》》

 

『観客の歓声に包まれながら、チルタリスのツメがピジョンを直撃ィィィィィッ!!』

 

『あ、熱いわねクルミ……!』

 

 

 ピジョンはツメによって叩き落された後に地面でワンバウンドし、バウンド後の空中で素早く体勢を立て直す。

 ……どうやら『フェザーダンス』は決まった様子だけど、相手のチルタリスのほうが早かったからな。今の一撃には攻撃低下はかかっていなかっただろう。

 そしてしかも、「1度高空まで上昇したにも関わらず、こちらと同じターンで攻撃を仕掛ける事のできていた」あの早さだ。おそらくは『こうそくいどう』によって上昇した反応速度を生かして、ターンなどの体のキレをも上げているんだろう。「速さ」は2倍にならずとも「早さ」を生かして戦えば、こちらを翻弄する程の「すばやさ」をも生み出せるという事か。

 ……と、その前にだ!

 

 

「ピジョン! いけるか!?」

 

「ピ……ジョ、オッ!」

 

 

 声をかけると、こちらへ鳴声を響かせてくれるピジョン。いや、気は進まないけど……ここはまだピジョンに頑張ってもらわないといけない場面か!

 

 

「そのまま、もう1撃だチルタリス!」

 

「チルッ、ルゥゥ!」

 

「ピジョン、限界まで回避しながら! (でんこうせっか!)」

 

「ピィ、ジョォ!」

 

 

 《《ヒュッ》》

 

 ――《シュンッ!》

 

 ――――《ゥゥウンッ!》

 

 

 ピジョンが『でんこうせっか』のために高速で移動するのと、相手も同時に動き出す。けど、これは!

 

 

「ジョッ!?」

 

 ――《ウゥンッ》

 

「チルッ、ルゥッ!」

 

 《ブォンッ!》

 

 

『あぁぁぁ! ピジョンの電光石火の攻撃をかわします! チルタリスの変態機動、キターッ!!!!』

 

『うわぁ、アレは確かに……物凄い飛び方してるわね』

 

『コレ、キマシタワーーッ!!!!』

 

 

 まさか避けられるとは思わなかったけど、確かに早っ!

 『でんこうせっか』の余韻で飛び続けているピジョンに向かって振り向き、飛び上がり、ロールしつつ、翼を広げて空気抵抗を増大させると共に1度降下のフェイントを入れてからピジョンを追いかけて真横にスライドし、今度こそ降下しつつ回し蹴りの要領でフェイントの時とは逆のツメで――蹴り降ろす!

 

 

「チルルルゥッ――」

 

「ピジョ!?」

 

 ――《ズダァンッ!》

 

「……ジョーォォォッ、」

 

 《ドッ! ドスンッ》

 

 

『 直 ☆ 撃 !!』

 

『ショウ選手のピジョン、地面に叩きつけられたーぁ! これは起き上がれないでしょうかっ!!』

 

 

「……ありがとな。ピジョン、戦闘不能です!」

 

 

『おぉ! これは、チルタリスが見事な勝利ですねぇ!』

 

 

 《《、ワァアアアア――》》

 

 

 沸きあがる歓声の中。ピジョンをボールに戻し、感謝の念を忘れず伝えておく。ゴメンな、でもってありがとう、ピジョン!

 ……しっかし、結構積まれたなぁ。まさか『でんこうせっか』を反応の速さで避けられるとは思わなかった。

 

 

「よくぞやってくれた、チルタリス!」

 

「チルゥ! チルルゥ!」

 

 

 そんな俺の向こう側では、チルタリスがゲンジさんの横へ降り立ち、撫でられているのが見えるのだが。うぅん、チルタリスは非常にゴキゲンな様子だな。それも当然といえば当然か。

 

 

「……さて、と」

 

「……む、次が来るな。構えなさい、チルタリス」

 

「チ、チルッ!」

 

 

『さぁ、ショウ選手の次のポケモンはなんでしょうかね?』

 

『んー、この間わたしが見た他の手持ちはニドリーナとプリンでしたけどぉ……』

 

 

 《《ザワ、ザワザワ……》》

 

 

『ザ、ざわわ……』

 

『……クルミ……恥ずかしくない?』

 

『えぇ、迷いましたよ恥ずかしかったですよツッコミ待ちですよぅ!! 立地的にもサイユウシティならいいかと思ってネタに走ったのが間違いでしたッ!! すいませぇんっ!!』

 

 

 解説によって会場が……俺の手持ちを予想しているのであろう……喧騒に包まれ、その解説自らによって喧騒がぶち破られました。これがマッチポンプか。違うか。

 ……ざわめきだけなら俺も、賭博的なアレでツッコミ様があったんだがなぁ。

 なんていう無駄思考は置いといて。それでは、こちらの最後の1体をお披露目と行こうか。

 

 

「そんじゃ、」

 

 

 モンスターボールを振りかぶる。良い感じのバックスピンをかけつつ、前に放る。 

 そして投げた白いモンスターボールから姿を見せるのは、2本の腕を前に構え、2本の脚で地に立ち、大きな尻尾をたたえる青い身体の怪獣だ。

 

 ……そう。

 

 

「行こう! ニドクイン!!」

 

「ギャウゥゥゥォアッ! ォォンッ――」

 

 ――《ドドッ、ドッ!》

 

 

「!! 進化したのか! ……チルタリス、竜のツメ!」

 

「チル、タリ、スゥ!」

 

 

 《《ズドォンッ!》》

 

 

『これは、高速で接近したニドクインのパンチとチルタリスのツメが交差(クロスカウンター)!』

 

『……あぁッ!?』

 

 

「チ……ルゥ、」

 

 ――《ズンッ》

 

 

『ダウーンッ! チルタリス、飛ぶ間を与えられずに倒されましたぁ!!』

 

 

「……よくぞ一撃を加えてくれた、チルタリス。戻って休んでくれたまえ」

 

「うし。これで何とかなりそうだ。ありがと、ニドクイン」

 

「ギャゥ、クゥゥウインッ」

 

 

 体長が俺の背を越えてしまった、しかし変わらぬ相棒の頭を撫でる。うぅん、進化しても相変わらず撫でられるのが好きだな。撫でがいのあるヤツめ。

 

 

「で。今度はゲンジさんの2体目か」

 

「少年よ。次がワシの切り札だ……ついて来れるか」

 

 

『さぁさぁこれで1対1ですぅ! ゲンジさんの次なるポケモンはぁぁ!?』

 

『文面的には、すんごい俗っぽく怒っている様に見えるよ。「はぁぁ!?」って』

 

『次なるポケモンわぁぁッ!』

 

 

 通常進行のアナウンスの中、ゲンジさんはモンスターボールを取り出し……

 

 

「さぁ行くぞ……出番だ、ボーマンダよ!!」

 

「グルォウ! マンダァ!!」

 

「! ……ギャォオンッ!!」

 

 

 闘技場の中央に浮かぶ、青い身体の暴慢竜。あー、これは予想通りというべきか。ゲンジさんはゲームでも切り札だったボーマンダを繰り出してきたようだ。

 そしてボーマンダの登場と同時にニドクインに向かって『いかく』が発動し、攻撃力低下もかかるものの、ニドクイン自身はむしろやる気は出してくれたみたいで。 

 

 

『ゲンジさん、ドラゴンドラゴンしたドラゴンを繰り出しましたぁ!』

 

『つまり名前は分かりませんと言う事ですよ皆さーん。ドラゴンっぽいのは見れば分かりますから』

 

 

「ボーマンダよ、……龍のツメ!」

 

 

 ボーマンダが、指示と共に低空飛行に切り替える。

 

 

「迎え撃て! ニドクイン!」

 

 

 ニドクインは飛んでくる竜に向かって、両の手を構える。

 

 

『さぁ、サイユウシティにて開かれたこの試合! 最終決戦の火蓋が、切って……』

 

 

「マン、ダァアッ!!」

 

 《ズンッ!!》

 

「ギャ、ォォオンッ!!」

 

 

『落とされましたぁ!!』

 

 

 《《――ァ、アアァ――っ!!》》――

 

 

 激突と同時に、闘技場を埋め尽くす歓声とアナウンス。

 ここ数日で慣れた俺の耳には既にあまり入ってはこないが、会場が盛り上がっている事だけは、理解できる。

 

「(その中だからこそ、集中しろ!)」

 

 俺だからこそ判る。声で指示を出すという事は本来、ポケモンにとって適した経路だという事を。ただしその難しさも同時に判るんだけど、な。

 

「(ニドクインが、ドラゴンクローの威力によろけている)」

 

 当然だ。相手はメタグロス同様の600族なのだから。

 

「(けど踏ん張って、受け止めた)」

 

 当然だ。なにせ俺のニドクインは、先日貰った『ふしぎなアメ』によってレベルが43を越えたんだから(自慢気)。

 

「(口を開いて、エネルギーを溜める)」

 

 なにせ、カンナさんからラプラスのお礼にと貰った技マシンで覚えたばかりの技だ。昨日今日と訓練したにしろ、確実に当てるためにはこうして動きを止めてやる必要があった。

 

「(……もう少し!)」

 

 

 ――《《ワ――ァアアッ!!》》

 

 

「ギャ、ウゥゥゥ……」

 

『ニドクイン、自分よりも数段大きなドラゴンの翼をわしづかみィッ!!』

 

『おわぁ。ワイルドね、ニドクイン!! おてんばな女王様だよ!』

 

「な、にぃっ!」

 

「マンダッ!?」

 

 

 うし! い、けぇぇっ!!

 

 

「ニドクイン! 吹雪(ふぶき)だ!!」

 

「……ゥゥ! ギャ、ウゥォ!!」

 

 ――《《コォオオオオーーッ!》》

 

 

 

 ……。

 

 ――ピシィッ

 

 

 

 

 

 ――――《ド、》

 

 

 《《《ッワッァァァァアァッ!!》》》

 

 

 

 

『大歓声! そしてドラゴン、氷漬けーっ!』

 

『変温動物だからかぁ!? ドラゴン、ダウン! ダウンですよぅ!』

 

『……あれ、変温動物なの?』

 

『いえ。恐竜はともかく……あれぇ?』

 

 

 ……うん。最後まで、締まらないな!

 そして恐竜は……結局どっちなんだろうな。最近は変温じゃないって言ってた気がする!

 

 

 

ΘΘΘΘΘΘΘΘ

 

 

 

 さて。実は『ふぶき』だけでなく、『れいとうパンチ』やら『れいとうビーム』やらも習得しており、一気に戦力アップした俺のニドリーナ改めニドクイン。

 チルタリスを伸したのは、『れいとうパンチ』。ボーマンダ相手では持久戦にしたくなかったため、初手『ふぶき』で仕留めに行ったのだ。

 

 

「進化したところで、飛べないもんなぁ?」

 

「ギャゥ、キュゥゥン!」

 

「いや、こうして撫でるのは良いけど、流石にもう膝には乗せてやれないっぽい……」

 

 

 それはそれで、なんかさみしい。

 なんて思考が飛びつつも次は、どうやってニドクインに進化したか、だ。

 

 

「あー、要するにふしぎなアメのおかげなんだけど」

 

 

 オツキミ山での騒動の後、しばらく通って入手しておいた『月の石』。

 しかしそれよりも「ニドリーナをレベル43まであげて、『かみくだく』を習得させる」という部分が最も問題だったんだ。そのために今までは、ニドリーナのほうがレベル上昇早めだったりしたんだけど……

 

 まぁ、つまり。

 こないだの見舞いとかアオイからのお礼とかに貰ったのが、ポケモンのレベルを上昇させる『ふしぎなアメ』というアイテムだったという訳だ!

 

 

「結局は他力本願かっ!」

 

「? キューン?」

 

「ぉおう、スマン……」

 

 

 いきなり虚空にツッコミをいれたもんだから、ニドクインに怪訝な顔をされてしまったな。

 

 

「あー、ところで。今日でこの丘ともお別れだ」

 

「ゥン、ギャウ!」

 

 

 多少誤魔化しの意味を含めて、ニドクインと共に丘の上からサイユウシティの街並みを見下ろす。

 たった1週間の滞在のはずなんだけど、なんとも毎日が濃かったためか、名残惜しい気もするな。

 

 

「……どーせ、明日からも修行なんだけどさ」

 

 

 今回はこの街で対人戦を数多くこなす事はできたけど、ピジョンやプリン、ミュウやもう1体も出来る限り鍛えておきたいからな。

 あー……訓練しても、しすぎると言う事はないハズだ。

 

 

「さて、俺はどこまで行けるのかね?」

 

 

 南国の夜空の向こう。

 その向こうの火山島で待つ、あのポケモンに立ち向かえる程度には届くと……信じたいけど、な。

 

 






 遂に、主人公にも公式戦で使えるエースが!
 これで大分戦えるかと!!
 ニドクイン! ニドクイン!

 ……さて。ここまでが長かったために、テンションおかしくなりましたが修正しまして。
 野生ポケモンのレベルが云々によってレベル上げが滞っていましたが、最終的にはアイテムで解決いたしました。
 因みに『ふしぎなアメ』は、本編でも良く使うと思います。例えばHGSSにて、シナリオ中では10個の『ふしぎなアメ』が手に入りますので、ヨーギラスやミニリュウをレベル45まであげて連打すればあら不思議(不思議なアメだけに)。
 ……流石に主人公も道で拾ったものに関しては、気軽にはポケモンに食べさせないと信じていますが。

 あと、チルタリスの変態機動については、スピードは上がらずとも反応が早くなったための補正です。(ポケモンなら、元からスピード自体はかなり出せそうな気もしますので)
 1ターンに別種の攻撃技で2回攻撃するというのは不可能ですが、4~6段階も積めば相手の(直接技による)攻撃をかわして(出の早い直接攻撃で)反撃、くらいは出来るのかもしれません。
 かといって、毎回毎回完全に回避するというのは無理です。今回のも、ゲンジさんがピジョンが反撃に出るのを読んでいたからこそでした。


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