■15.
さてはさてさて。
ワールドチャンピオンシップス。特別編が、いよいよ開催なされます!
要するに野球のあれににた客寄せの興行の大会な訳ですが……呼ばれた選手達は本当に実力者そのもの。
カロス地方とガラル地方は、ポケモンバトルにも歴史のある地方です。
リーグという形を取り、ショウさんの国の「現在のリーグの形」に近い方式を取っています。
カロス地方からは、今年にチャンピオンとなったばかりの少女、セレナさん。
とてもファッショナブルなお方で、登場の度に衣装と髪型が変わっております。
なんと専属のファッションデザイナーがついているそうなのです。
スゴいなー。流石はカロス地方! なんかいらぬやっかみ受けそうですね!(直球)
……ということをバトルの後に彼女に聞いたら。
「あははー……スポンサー契約でね、そういうことになってるんだ」
と言われてしまいました野暮な突っ込みでごめんなさい!?
あたし自身の反省が増えることとなりましたねほんとすいません。
ポケモンバトル自体は、彼女はカロス地方の最大戦力。
チャンピオン位は維持している、世界的な名優のカルネさん(あたしでも知っている)。
そして四天王位のタイプ相性的に招集されたと思われるガンピさん。鎧重そう。
この3人のメンバーな訳でしたが……。はい。
「やったねオノノクス! カルネさんにも勝てちゃったー!」
「ぐるぉーう!」
ハイタッチどころか首根っこ掴んで騎乗してかちどきをあげるアイリス少女。
そのままぴょんぴょんと跳ねて、鞍も手綱もないのに、身体能力たけぇ……。
「いい勝負でした。流石は最年少のチャンピオン。ありがとう! あなた、とても輝いていました!」
「こっちこそ、ありがとー! でした!」
「がーぅ」
オノノクスが首を下げて、カルネさんと握手するアイリス。
「まぁさいねんしょーって言うの、ルリにはおよばないんだけどね。でもでも、イッシュではさいねんしょーだよ!」
「ふふ。その才能もまた、輝かしいものです。絶えず磨いて、また勝負をしましょう」
「うん!」
礼がどうこうというよりは微笑ましいですね。本当にいい勝負でしたし。
そう。
アイリスさんがとても太い択を通しまくってくれたので、ガンピさんとカルネさんを2連勝。
一番マルチにタイプを扱うあたしとセレナさんの対決を、辛くもあたしが勝利。
カトレアさんを出さずしてのチーム勝利と相成ったのでした。
……実の所。あたし達にとってに有利な点は、イッシュ地方では「メガシンカ」が出来ないという点にもありまして。
カロス地方の人達は、どうしてもそれを前提にポケモン達を育てざるを得ませんから。
ショウさんとあたしでそれを加味した作戦を立てていた、というのも優勢勝利には貢献しているでしょうね。
「ふ、あ。……アタクシが出ても、出来ることは少なかった……かも知れないもの」
……実際の所、カトレアさんはかみ合いが悪そうでしたからねー。エスパーは。
特にガンピさん。アイリスさん以外では誰しもが悪戦苦闘を強いられたのではないでしょうか。
なのでひとり残しとはいえ、決して優勢すぎるバトルだとは思いませんでしたけどね。あたし!
なのに振り返ってスポーツ紙を読んでみると、コメンテーターの方はなんかそういう風なことを話してくれてやがりましたね。
見出しは大勝利とか煽り文句満々だったんで、SNSの方で上記の組み合わせについては喋っちゃいましたけど。
「とまれ、リーグ戦だから残りも頑張るよ。あなた達も頑張ってね! メイちゃん!」
「はっ、はい! お互い頑張りましょー!」
最後に大将同士、セレナさんと握手を交わし。
……初戦勝利、と!
続きましてはアローラ地方戦。
……いちおう、アローラにはリーグがこれから創設される予定と言うことで。アピールを含めての参加となったご様子。
ただ、ここ相手は特に特に苦戦しました。後から話しますけども。
参加選手は島の格闘ポケモン使いハラさん。
世界的なプロゴルファーでもあるカヒリさん。
そして。
「ねーね、あなたのセコンドの人、ショウでしょーっ!」
試合終わってからすぐ控室に逃げたあたしを追ってきて、しかもめっちゃ話しかけてくる少女。アセロラちゃん!!
そうなんですよねー。はい。あたし達イッシュガールズチームは、リーグのないアローラと大接戦を繰り広げたのです!
……というかね。言い訳ですらないんですが。アローラって、固有種がめちゃくちゃに多いんですって!?
ポケモン対策というか。そういうのがし辛いのです。ただでさえワールドリーグへ未参加となると、固有のポケモン種への対応って遅れがちになりますし。そういう意味で、あたし専属セコンドのショウさんに知識実地共に経験を積ませて貰っておいて良かったと思います。
因みにZ技は……使えなくもないみたいなんですが、一応の大会ルールで禁止されているので使えませんでした。
試合自体は、ドラゴンのタイプ相性をみて先方を務めたアイリスさんが、なんとハラさんと引き分け。珍しい完全同着。
カトレアさんがカヒリさんには勝利したものの、アセロラさんとは人的にもタイプ的にも相性が悪く、完敗(といえる内容)。
あたしとアセロラさんの一進一退の接戦で、なんとか対策が取れてたかなぁ……という勝利だったのです。
「ねー! メイちゃんー! ショウのこと、教えてくれるー?」
で。話しかけられている訳なのですが!
……あの。ショウさんはあたし専属のセコンドなので、この場はおろか会場にすら顔を見せていないんですよね……。
「な、なんで判るのでしょー……? あ、し、試合はありがとうございましたー……」
「うん、勝負ありがとう! すーごかったよ! あなたのポケモン! 『タイプ相性をそもそも見ない』っていう考え方は、新しいなぁって思った! でもああいう着眼点からして変えてしまう裏手って、アセロラが知ってる人だとショウが良く考える策なんだよ~!」
そうなんですよね。メインウェポン、サブウェポンをガン無視した「中立的な択」という奴を無難に、HP管理がっつりしながら通したわけなんですよ、あたし。すっごい疲れたんですけども。
……でもそれだとショウさんの技術や知識を真似た、って解釈にしかならなくないですかね。なんでセコンドとか……。
「それよりショウだよショウ! あなたの近くに居るって、
「こ、ここにはいらっしゃいません~」
「そっかー。残念!」
初対面なのでちょっと
みんなって誰でしょうね! ゴースト使いさんがおっしゃるみんなって!?
「ショウはね。アセロラが古代のプリンセスだって証明してくれた人なんだ。それに
「そ、そうなんですか」
孤児院に縁とゆかりのある人なんですねぇ。ショウさん。
……いや、そういう所にこそプラズマ団とか。エーテル財団とか。そういうお金の回りそうな環境が出来るからこそ、突っ込んでいってるんですかね? 研究費用とかでかなーりヒモになっているみたいですし。
とはいえ、つまりは。
「ショウさんに会いたくて参加を決めたと」
「そーだよー! 今回こんな大会に出たのは、会えるかな~って思ったからなんだよ~。ほんとはクチナシおじさんが出る予定だったんだけどねぇ。快く、譲ってもらったんだぁ!」
笑顔で。口みてぇな栗じゃなくて。ずい、とした圧を感じます。
……いやお会いさせすることが出来なくてすいませんというかあたしがショウさんを奪った訳じゃないですしでも縛ってはいますけれども会場に来てないのはショウさん自身の選択ですし。
……。えーと。
「アセロラさんが会いたがってたー……って、つ、伝えておきますから……」
「ほんと! アセロラ、会えるまではイッシュに泊まるつもりだからねって言っておいてね!」
だ、そうですよショウさん。
うげぇという声が脳内に聞こえてきます。
なんで会いたくないんでしょうね。彼女の側が離れなくなる予感はあるので気持ちはわかりますが。
……とにかく。2勝利目!
3戦目。ガラル地方。
リーグとして、興行としてのポケモンバトルの歴史がとても深い地方です。
ただしリーグの形が「カントー式」ではなく、四天王と言う役職が存在しません。チャンピオン位はあるんですけどね。
なので選手として出場なされたのは、現ランクが高い選手3名。
常勝の王者、ダンデさん。
フェアリー女史、ポプラさん。
ドラゴンタレ目、キバナさん。
以上の3名でした。
感想。バランスが……バランスが良い……!
あたし達のチームにアイリスちゃんが居ますように。専任タイプの組み合わせ、となると中々に困るもの。
このガラル地方の3名は特にそれが良い塩梅な気がします。ドラゴンタイプの優勢とそれを止められるフェアリー。
それに加えて、王者のダンデさんです。国内無敗なだけあって、素晴らしい戦績を誇っておられます。
……因みに付け加えておくと、流石に国外戦では完全無敗というわけではありません。その少ない敗戦を、あたしとショウさんで研究し尽くしてやったわけなんですけれどもね。うっへっへ。
あとここもガラル特有の粒子が無いとダイマックスは出来ないため、そこは加味しなくて良くて、とっても助かりましたね。
さては試合結果。
キバナさん敗北 ― アイリス勝利。
ここは同タイプを当てると決めていました。スピード差が顕著に出た戦いで、アイリスちゃんが勝利。
アイリス敗北 ― ポプラ勝利。
こうなりますよねー。これは仕様がない。タイプ相性というもの。
ポプラ敗北 ― メイ勝利。
痺れるバトルでございました。毒対策はされているものとして。弱点は突かれず、しかし毒をサブウェポンとして併用できる草タイプを活かさせてもらった形です。
因みに。なんかバトルの途中で問答をされたんで、適当に答えていたんですが、あたし側にブーストかかったりしてよくわかりませんでした。
ポプラさんに曰く。「ショウの輩みたいに如才ないくせドッキリ好きな答え方をする娘だね。優しい賢しさに混ぜ込められた、良い具合にショッキングなピンクだったよ」とのこと。
……? ……いや、ようわかりませんでしたが褒められたみたいなので胸は張っておきます勝ちましたし!
で。
メイ敗北 ― ダンデ勝利
ダンデさんには勝てませんでしたすいません(土下埋まり)!
メンバーを変更できないのでホントは搦め手を使いたかったんですが、高火力高スピードをひたすら上から押し付けられた形での不甲斐ない敗北となりました。
切り札のリザードンとの相性も最悪でしたしね。タイプ的には。
ただ、一応の引き出しは持たせまして……登場したりますは、我らがイッシュ地方の最終兵器!
ダンデ敗北 ― カトレア勝利
やーりました! やってくれましたよカトレアさんっっ!!
世界ランク的にも大きめのジャイアントキリングです。これはまぁ、カトレアさんがワールドチャンピオンシリーズのポイントを国内のものしか取っていないからってのが大きいのですが……。
兎に角。この勝利には会場も沸きに沸き、ネットニュースが大騒動。あたしも思わずカトレアさんのお胸に抱き着く事間違いなし!
「……アタクシ、チャンピオンには、負けないの」
手のひらで額をぐいと押され、遠ざけられ。広げたあたしの両手が空を切ります……!
アイリスちゃんとは普通に「やったね!」てハイタッチしてるので、あたしもそちらに切り替えて無難にハイタッチ。
ダンデさんが此方に歩いてきて。カトレアさんと握手。
「久しぶりに負けたよ。悔しいな。……でも、これが海外大会の良い所だな!」
「ありがとうございました」
手を放し、ふわりとお辞儀をするカトレアさん。
ダンデさんは腕を組んで、笑顔で続けます。
「……けれどキミの戦い方ならば、負け筋は確かに見える。納得のできる敗北だった。良い戦術眼を持っているね、カトレアさんは」
「……。この眼は、師匠に嫌と言うホド鍛えられたもの……」
「師匠? こんなに強いキミにも師匠が居るのか! どんな人だい?」
質問をぶつけられはじめたので、カトレアさんは視線を下に逸らして。
「むなーぁ」と、ボールから出したムシャーナを腕に抱いて。撫でて。
「とても強い人、です。……きっと、アナタよりも」
「ほう?」
「ムーナーァ!」
ムシャーナからも同意のような声を得て。
特に気分を害した訳でもなく。むしろ興味がある、といったように目を見開くダンデさん。
カトレアさんはあくまでマイペースに。
「……そういう人。『チャンピオンになるような人』を
「ふむ」
「アナタは有名。公開された映像も、育てたポケモンの状態を見ることが出来る情報も、山程、ありますでしょ……」
「なるほどな。研究のたまものってやつか。俺ももっともっと、新しい戦法を身に着けていかなきゃってことだな」
「えぇ。アタクシに勝ちたいのなら。次は……もっと先の見えないような。星々をばらまくような。そんな戦い方を……よろしく、お願い」
ふいと踵を返してしまうカトレアさんに、おうと元気に頷くダンデさん。
これにてWCS初戦は、3戦3勝。
ファーストグループは全勝で勝ち抜けることが、出来たのでした!
ΘΘΘ
「―― はーぁ。いーいバトルでしたね! おふたかたっ!!」
拳をぐっと握って、アイリスちゃんとカトレアさんに喜びを示すリーダーあたし。
格好よくダンデさんに勝利して決められれば一番良かったのでしょうけれども、それは次の機会にとっておくとして!
「そーだねー。でも今回の大会はトーナメントじゃなくて総当たりだから。ここで3勝できたのはとっても大きいよね!」
アイリスちゃんが付け加えてくださいます。
ですね。今回のワールドチャンピオンシップスは特別編。
ここからまた勝ち上がってきた3地方と戦って……次の中で総ポイントの多い2チームが、決勝として最後に1戦。そういう特殊なルールなのでした。
プール自体はもっと多いんですけどね。初日3勝を決めた向かい側のトーナメントのチームは……うん。やはりのカントー地方。
対応力の勝負になると、強いんですよねー。最古参め。
「ふあ……。でも、まずは次のプールのお相手。注目、しておきましょ」
仰る通り。
次にあたし達が迷い込むプールは、というと。
シンオウ地方。
ジョウト地方。
ホウエン地方。
……ワーオ!
なんて、イッシュリアクションしちゃうくらいには固まりやがってますね!
カントーを有する国ばっかりだぁ……という呆れと言うか。組み合わせの妙と言うか。そういうのは感じますけれども。
「でも逆に言えば、また対策は立てやすそうな相手ですよね」
「エェ、そうね」
「そうだねー。アローラは怖かったー!」
そういう意味でも、こちらには頼もしいお味方がいらっしゃいますからね。ショウさんという!
……などと。連絡してみるとですね!
『―― あー、ちょっと全面的には協力できないかもな』
「えぇー!」
再びの抗議の声、あたし!
お金を払ってるんですけどね、こちとらぁ!
……すいませんお金には困ってないって知ってますけれども。
『いや明日にはそっち向かうよ。ただ、ポケモンを全部連れてくのは無理そうだぞって話だ』
「ほー。それはなぜ?」
『単純に、数が多すぎる。3桁は持ち歩くのは管理できん。日付もないしな』
そりゃあそうだ!
だってショウさんの生まれの国の地方ばっかりですものね。対策のためだ、って言い出したらキリがないくらいには、捕獲を済ませて育成もしていらっしゃるのでしょう。
でも、ある程度は見繕って手伝ってくれると。
『ちょっとばかし向こうの事件で調べたいところも出て来たしな。ワンダーブリッジの創設関連で。今日動けないのはそれのせい』
「ほえー。あたしが生まれる前の事件でしたっけ、ワンダーブリッジのは」
こないだ、雨の日、ニュースで見たのでちょっとだけ記憶に残っています。
火山・リバースマウンテン周りと……工程と。使われるお金の出所に関する、面倒なごたごただったらしいですね。
『そーそ。まぁそっちは大会には関係ないから気にすんな。……てーわけで、だ。俺もそっちに行くぞ ―― カトレア、アイリス』
感慨を込めた声で、ショウさんは……あたしの背後へ話しかけます。
「ほんとー! やった! バトルしよーね!」
アイリスさんの返答には「おう、するぞー。嫌ってほどするぞ覚悟しておけ」「うげぇ」とかいうやり取りが続いて。
「……」
無言のカトレアさんには、もうちょっとだけ優しく。
『いっぱい世話になったのに、心配かけて悪かったな。カトレア』
「……。いいえ……いいえ。お世話になったのは、むしろ、アタクシで……」
『そっか。ならどっちもどっちって言う事でどうかひとつ。……チャンピオンシップスに関しては全力でサポートするから、またよろしくな!』
「はい。……はい!」
そうと良い感じのやり取りで、しめてくれたのでした。
うーん。エモい。尊い。
……ちょっとだけ、
・アローラ
ここだけまだリーグとしては成り立っていないという。
ただまぁ島めぐりとかは歴史もありますし、こういう大会に参加する分には積極的という感じです。
イッシュとは、お国の大元が……だったりしますしね。
・ダンデさん
まぁちょっとタイムリー……なのでしょうか?
今作の中では国際大会では負けることもある。でも勝率はすごいいいよ!なお人です。
カトレアさんのチャンピオンカウンターが発動しました。チャンピオン位絶対倒すマン。
・カルネさん
ある意味こちらもタイムリー(上記と合わせて
とはいっても相手の地方決めたの、BW編を組んだ時だので……もう数年前ですからねぇ。
そもそも私、そういうのは気にしないで出す人は出しますし。
ダイマックスとかZ技はなんとかなりますが、正直メガシンカはパーティにおける占有率というか。そういうのが高い印象を受けます。持ち物固定とか、強化比率がポケモンによってかなり違ったりするところもそうですね。
……それだけに、好きな機能なんですけどねぇ。
石は咲くし。
ニャオハは……こうなってくるとどっちでも楽しみな自分がいる……(笑